JP4260950B2 - 内視鏡用穿刺具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通されて体腔内に注射等を行うために用いられる内視鏡用穿刺具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来の内視鏡用穿刺具を示しており、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性のシース91の基端に筒状本体92が連結されている。なお、図の下半部は外観を示し、上半部は断面を示している。
【0003】
シース91内には、先端に針先93aが連結された可撓性針軸93が軸線方向に進退自在に全長にわたって挿通されており、その可撓性針軸93の基端に連結されたスライド操作筒94が、筒状本体92に軸線方向に進退自在に嵌挿されている。
【0004】
したがって、スライド操作筒94を筒状本体92に対して軸線方向にスライド操作することにより、可撓性針軸93の先端に連結された針先93aをシース91の先端から出入りさせることができる。
【0005】
ただし、針先93aを体腔内粘膜に突き刺すためには、針先93aがシース91の先端から突出した状態でスライド操作筒94を筒状本体92に固定し、可撓性針軸93とシース91とを一時的に一体化する必要がある。
【0006】
そこで、弾力性のあるOリング95を筒状本体92の内周面部に装着すると共に、そのOリング95と係合する係合溝96をスライド操作筒94の外周面に形成して、いわゆるクリック機構が設けられている。
【0007】
そして、筒状本体92に対してスライド操作筒94を軸線方向に進退させることによりOリング95と係合溝96を係脱させることができるが、その係合状態(クリックが効いた状態)を解除するには相当の力を必要とするようにセッティングされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のように筒状本体92の内周面部に装着されたOリング95は外部からほとんど見えないので、切れたり磨耗してもそれに気付かず、使用中に初めて不具合が分かって注射等の処置を行えなくなってしまうことがある。また、筒状本体92の内周面部に装着されたOリング95の交換作業は簡単に行うことができない。
【0009】
そこで本発明は、クリックを構成するOリングの磨耗状態の確認が容易であり、磨耗があるときにはそれを容易に交換することができる内視鏡用穿刺具を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用穿刺具は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性のシースと、上記シースの基端に連結された筒状本体と、上記シース内に軸線方向に進退自在に全長にわたって挿通されて先端に針先が形成された可撓性針軸と、上記可撓性針軸の基端に連結されて上記筒状本体に軸線方向に進退自在に嵌挿されたスライド操作筒と、上記筒状本体に対する上記スライド操作筒の進退を弾力的に固定するための係脱自在なクリック機構とを有する内視鏡用穿刺具において、上記クリック機構を、上記スライド操作筒の外周面に装着された弾力性のある材料からなる第1及び第2のOリングと、上記筒状本体の内周面に形成された係合溝とによって形成し、上記針先が上記シースの先端から突出した状態のときには上記第1のOリングが上記係合溝に係合し、上記針先が上記シース内に収納された状態のときには上記第2のOリングが上記係合溝に係合するようにしたことを特徴とする。
【0011】
なお、上記針先が上記シースの先端から突出した状態のときに行われる上記係合溝と上記第1のOリングとの係合より、上記針先が上記シース内に収納された状態のときに行われる上記係合溝と上記第2のOリングとの係合力の方を小さくするとよい。
【0012】
また、上記針先が上記シースの先端から突出した状態のときに上記第2のOリングと係合する第2の係合溝が上記筒状本体の内周面に形成されていてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2は、本発明の第1の実施の形態の内視鏡用穿刺具を示しており、図1は、シース1の先端から針先3aが突出した状態を示し、図2はシース1の先端内に針先3aが引っ込められた状態を示している。なお、図の下半部は外観を示し、上半部は断面を示している。これは、他の図においても同様である。
【0014】
内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性のシース1は、腰の強さを確保するために密着巻きのコイルパイプが用いられており、シース1の太さを極力細くするために、ここでは偏平に潰された断面形状の素線を密着巻きしたものが用いられている。
【0015】
シース1の基端には、指先等で保持される筒状本体2が連結されている。2aは、筒状本体2内に嵌挿されてネジ止め固定された連結筒であり、シース1の基端が半田付け又は銀ロー付け等によって固着されている。また、筒状本体2の手元側端部には、指先が引っ掛かるようにするための口元部材2bが一体的に接合されている。
【0016】
連結筒2aと口元部材2bは、筒状本体2をパイプ材から形成するために筒状本体2と別部品になっているが、本来は筒状本体2と同一の部品として形成して差し支えないものである。よって、以下の説明において、連結筒2aと口元部材2bはいずれも筒状本体2の一部として取り扱うものとする。
【0017】
シース1内には、先端に針先3aが連結された可撓性チューブからなる可撓性針軸3が軸線方向に進退自在に全長にわたって挿通されており、その可撓性針軸3の基端に連結されたスライド操作筒4が、筒状本体2に軸線方向に進退自在に嵌挿されている。なお、針先3aを可撓性針軸3と一体に成形してもよい。
【0018】
スライド操作筒4の手元側端部には針元口金4aが一体に固着されていて、可撓性針軸3の基端はこの針元口金4aに対して連通固着されている。したがって、針元口金4aに注射筒(図示せず)を接続することにより、可撓性針軸3に薬液等を送り込むことができる。
【0019】
そして、スライド操作筒4を筒状本体2に対して軸線方向にスライド操作することにより、図1及び図2に示されるように、可撓性針軸3の針先3aをシース1の先端から出入りさせることができる。
【0020】
ただし、針先3aを体腔内粘膜に突き刺すためには、針先3aをシース1の先端から突出させた状態でスライド操作筒4を筒状本体2に固定し、可撓性針軸3とシース1とを一時的に一体化する必要がある。
【0021】
なお、その時は、シース1の先端に取り付けられた先端口金1aの裏面に可撓性針軸3の先端が当接して、シース1内において可撓性針軸3が圧縮されて撓んだ状態になるようにする。
【0022】
筒状本体2に対するスライド操作筒4の進退を弾力的に固定するために、弾力性のある材料からなる第1及び第2のOリング11,12と、そのOリング11,12が係合する係合溝21とによって形成された、係脱自在なクリック機構が設けられている。
【0023】
Oリング11,12は、スライド操作筒4の前後両端付近に円周方向に形成されたOリング装着溝13,14内に少し出っ張る状態に嵌め込まれており、係合溝21は、筒状本体2の手元側端部の口元部材2bの内周面に形成されている。
【0024】
したがって、図1に示されるように、スライド操作筒4を連結筒2aにぶつかるまで筒状本体2内に押し込んで、シース1の先端から針先3aが突出して可撓性針軸3が少し圧縮された状態になると、スライド操作筒4の手元側に装着された第1のOリング11が係合溝21に係合する。
【0025】
その結果、いわゆる「クリックが効いた状態」になり、筒状本体2に対するスライド操作筒4の軸線方向動作が弾力的に固定された状態になって、シース1と可撓性針軸3とが軸線方向への移動について一体化された状態になる。
【0026】
その状態から、筒状本体2を摘んだ状態で力を入れてスライド操作筒4を手元側に引っ張ると、第1のOリング11と係合溝21との係合が外れて、スライド操作筒4が筒状本体2から手元側に引き出され、針先3aがシース1の先端内に引き込まれる。
【0027】
そして、図2に示されるように、スライド操作筒4の先端側に装着された第2のOリング12が係合溝21に係合し、針先3aがシース1内に引き込まれた状態でクリックが効いた状態になる。
【0028】
また、さらにその状態から、筒状本体2を摘んだ状態で力を入れてスライド操作筒4を手元側に引っ張ると、第2のOリング12と係合溝21との係合が外れて、シース1内から可撓性針軸3全体を引き出すことができる。
【0029】
このように構成された内視鏡用穿刺具は、クリック機構を構成するOリング11,12が、筒状本体2から引き出し自在なスライド操作筒4に装着されているので、Oリング11,12の磨耗状態の確認が容易であり、磨耗や傷等があるときには容易に交換することができる。
【0030】
図3は、本発明の第2の実施の形態の内視鏡用穿刺具の筒状本体2とスライド操作筒4の部分を示しており、筒状本体2の奥に入った位置の内周面に第2の係合溝22を形成したものである。その他の部分については、上述の第1の実施の形態と同じである。
【0031】
このようにすることにより、筒状本体2に対してスライド操作筒4が押し込まれた状態(即ち、針先3aがシース1の先端から突出した状態)では、第1のOリング11が第1の係合溝21に係合するのと同時に、第2のOリング12が第2の係合溝22に係合して、クリック力を強くすることができる。
【0032】
図4と図5は、本発明の第3と第4の実施の形態の内視鏡用穿刺具の筒状本体2とスライド操作筒4の部分を示しており、共に第1のOリング装着溝13を浅く形成して第1のOリング11の突出量を大きくし、その分だけ係合溝21の溝深さを深く形成したものである。その他の部分は、第3の実施の形態は第1の実施の形態と同じであり、第4の実施の形態は第2の実施の形態と同じである。
【0033】
このようにすることにより、筒状本体2に対してスライド操作筒4が押し込まれた状態(即ち、針先3aがシース1の先端から突出した状態)における第1のOリング11と第1の係合溝21との係合力を高めて、クリック力を強くすることができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、クリック力を最適に設定するために、第1と第2のOリング11,12の硬度や太さ等を相違させてもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、筒状本体に対するスライド操作筒の進退を弾力的に固定するための係脱自在なクリック機構を、スライド操作筒の外周面に装着された弾力性のある材料からなる第1及び第2のOリングと、筒状本体の内周面に形成された係合溝とによって形成したことにより、筒状本体からスライド操作筒を引き出してOリングの磨耗状態を容易に確認することができ、Oリングに磨耗や傷等があるときには容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用穿刺具の針先突出状態の半断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用穿刺具の針先引込状態の半断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の内視鏡用穿刺具の半断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態の内視鏡用穿刺具の半断面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態の内視鏡用穿刺具の半断面図である。
【図6】従来の内視鏡用穿刺具の針先突出状態の半断面図である。
【符号の説明】
1 シース
2 筒状本体
3 可撓性針軸
3a 針先
4 スライド操作筒
11,12 Oリング
13,14 Oリング装着溝
21,22 係合溝
Claims (2)
- 内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性のシースと、上記シースの基端に連結された筒状本体と、上記シース内に軸線方向に進退自在に全長にわたって挿通されて先端に針先が形成された可撓性針軸と、上記可撓性針軸の基端に連結されて上記筒状本体に軸線方向に進退自在に嵌挿されたスライド操作筒と、上記筒状本体に対する上記スライド操作筒の進退を弾力的に固定するための互いに係脱自在なOリングと溝からなるクリック機構とを有する内視鏡用穿刺具において、
上記クリック機構を、上記スライド操作筒の外周面に装着された弾力性のある材料からなる第1及び第2のOリングと、上記筒状本体の内周面に形成された係合溝とによって形成し、上記針先が上記シースの先端から突出した状態のときには上記第1のOリングが上記係合溝に係合し、上記針先が上記シース内に収納された状態のときには上記第2のOリングが上記係合溝に係合するように構成すると共に、
上記針先が上記シースの先端から突出した状態のときに行われる上記係合溝と上記第1のOリングとの係合より、上記針先が上記シース内に収納された状態のときに行われる上記係合溝と上記第2のOリングとの係合力の方を小さくしたことを特徴とする内視鏡用穿刺具。 - 上記針先が上記シースの先端から突出した状態のときに上記第2のOリングと係合する第2の係合溝が上記筒状本体の内周面に形成されている請求項1記載の内視鏡用穿刺具。
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