JP4260913B2 - ハイアスペクト導体デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、細く、厚さのある複数の導体パターンを狭い間隔で並列した平面コイルやプリント配線板のようなハイアスペクト導体デバイスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平面コイルは、デジタルオーディオディスクの二軸アクチエータや人工衛星などの電源用又は信号用として広く用いられている。また、ファインピッチのプリント配線板は携帯用端末機や高密度実装の電子機器の部品として汎用されている。
ところで、最近、平面コイルやプリント配線板の精密部品用としての需要が高まるに従い、幅が細く、かつ厚さの大きい、いわゆるハイアスペクト導体パターンを狭い間隔で複数個並列的に形成させたものが要求されるようになってきた。これまで、このようなハイアスペクト導体デバイスを製造するには、絶縁基板上に、導体薄膜を被着し、その上にネガ型ホトレジスト層を施し、常法に従いレジストパターンを形成させたのち、エッチング処理して、導体薄膜の露出部分を食刻し、次いでレジストパターンを除去する方法がとられていた。
【0003】
しかしながら、このような方法においては、導体薄膜のエッチングに際し、エッチング液がレジストパターンで被覆されている部分にも入り込み、その部分の導体までも溶解除去してしまう結果、残存する導体の断面が台形となり、導体パターン間の間隔が大幅に増大するという欠点を生じる。
【0004】
このような欠点を改善するために、導体薄膜をエッチングしてスパイラルパターンを形成し、絶縁基板と導体薄膜との電気抵抗の差を利用して、導体薄膜へ選択的に厚いめっきを施す方法が提案されたが(特開昭58−12315号公報)、めっき下地膜が薄く、特にスパイラルパターンを形成する場合などに下地の配線抵抗が増大し、めっき電流を大きくすることができないため、めっきに要する時間が長くなるのを免れない上、通常めっきの成長速度に異方性がないため導体パターンの厚さを大きくすることができないという欠点がある。
【0005】
そのほか、絶縁基板全面に金属薄膜を設け、この上に厚いレジストパターンを形成させたのち、パターンめっきでハイアスペクト導体を形成させ、レジストを除去したのち、イオンミリングなどのドライエッチングで、線間の金属薄膜を除去する方法なども知られているが、レジストの厚さは、せいぜい50μmが限度であるので、導体パターンの厚さとしては、40μm程度が得られるにすぎない上に、レジスト壁が軟質なため高速でめっきを行うと変形するので、作業電流を低くせざるを得ず、作業能率が劣り、しかも特別な設備を要するためにコスト高になるという欠点があり、いずれも実用化するには、多くの問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のハイアスペクト導体デバイスの製造方法における種々の欠点を克服し、細幅で厚さの大きいハイアスペクト導体パターンを狭い間隔で複数並列的に設けたデバイスを容易に製造する方法を提供するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、平面コイルの製造方法について種々研究を重ねた結果、特定の金属を用いて、めっき下地薄膜層及び保護薄膜層を形成するとともに、導体薄膜層上にマスクパターンを形成するためのホトレジストとして、ポジ型ホトレジストを用いて、めっき処理後に活性線照射により導体パターン間のホトレジストを追加的に除去し、かつめっきにより形成させたコイル導体の上に施した保護薄膜層を保ったままコイル導体間のめっき下地薄膜層を選択的に除去することにより、細幅で、厚さの大きい複数のハイアスペクト導体パターンを狭い間隔で並列的に設けることができることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、(A)絶縁基板1上に銅からなるめっき下地薄膜層2を設ける工程、(B)この上にポジ型ホトレジスト層3を積層する工程、(C)このポジ型ホトレジスト層3にホトリソグラフィー法を施してこのポジ型ホトレジスト層3からホトレジストマスクパターン4を形成させる工程、(D)めっき処理を施してめっき下地薄膜層2の露出部2′及びそれに近接したポジ型ホトレジストマスクパターンの被覆部5,6上に断面マッシュルーム状のコイル導体めっき層7を膨成する工程、(E)めっきを施してコイル導体めっき層全体にわたってニッケルからなる保護用金属薄膜層8で被覆する工程、(F)活性線を全面照射したのち現像することにより露出しているコイル導体めっき層間のポジ型ホトレジスト層3′を除去する工程及び(G)露出しためっき下地薄膜層2″のみを選択的にエッチング処理して除去する工程を順次行うことを特徴とするハイアスペクト導体デバイスの製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面に従って、本発明をさらに詳細に説明する。図1は、本発明方法により平面コイルを製造する場合を例として説明するために示した各工程における平面コイルの断面図であって、本発明方法においては、(A)工程において先ず絶縁基板1上に、銅からなるめっき下地薄膜層2を設けることが必要である。この絶縁基板1としては、ガラスエポキシ板やプラスチックや水晶のような単結晶や、SiO2、Al2O3や、各種絶縁体セラミックス例えばフェライトなどのこれまで平面コイルの基板として普通に用いられていたものの中から任意に選んで用いることができる。この絶縁基板1の厚さは、通常50〜500μmの範囲内で選ばれる。次に、この上に設けられるめっき下地薄膜層2としては、銅を用いて、蒸着法、電解めっき法、無電解めっき法など任意の手段で絶縁基板上に施すことができる。このめっき下地薄膜層2の厚さとしては、0.5〜10μmの範囲が適当である。このようにして図1(a)に示す断面の積層体が形成される。
【0010】
次に、この(A)工程により得られた銅からなるめっき下地薄膜層2をもった絶縁基板1の上に(B)工程においてポジ型ホトレジスト層3を積層することにより、図1(b)に示す断面の積層体が形成される。
本発明方法においては、後続の工程において、ポジ型ホトレジスト層3から得たホトレジストパターン4の一部をさらに露光処理して除去する必要があるため、いったん露光した後では、選択的な除去を行うことができないネガ型ホトレジストを用いることはできず、ポジ型ホトレジストを用いることが必要である。
【0011】
このポジ型ホトレジスト層3には、紫外線、電子線、X線、レーザビームなどの活性線の照射により、可溶化するレジストであり、本発明方法においては、これまで知られているポジ型ホトレジストの中から任意に選んで用いることができる。このようなポジ型ホトレジストの代表的なものは、ポリメチルビニルケトン、ポリビニルフェニルケトン、ポリスルホン、ポリオレフィン−スルホン、ポリ(ヘキサメチレン‐α‐トルキシリルアミド)、ポリメタクリル酸メチル系ホトレジスト、ノボラック−ジアゾキノン系ホトレジストなどがある。
【0012】
このポジ型ホトレジスト層3の厚さとしては、0.1〜50μmの範囲が選ばれる。この厚さが0.1μm未満では、均一なマスクパターンの形成が困難で、エッチングに際し、めっき下地薄層2を完全に保護することができないし、またこれが50μm以上になると、レジストパターンを形成させる際の露光に時間がかかり、作業効率が低下する。このポジ型ホトレジスト層3は、慣用されている方法、例えばドクターナイフ法、スピンコート法を用いて積層することができる。
そして、このポジ型ホトレジスト層3の厚さを小さくすれば、後続工程で形成されるコイル導体めっき層のマッシュルーム状断面の茎部が短かくなるし、また、このポジ型ホトレジスト層3の厚さを大きくすれば茎部が長くなる。
【0013】
続いて、(C)工程において、このポジ型ホトレジスト層3に、通常のホトリソグラフィー法、例えば所要のマスクパターンを担持した透明板を介して、紫外線、電子線、X線、レーザビームなどの活性線を照射し、露光部分のみを分解して溶剤可溶性とし、現像処理して露光部分のレジストを除去する方法を施して、ホトレジストマスクパターン4を形成させる。このようにして、図1(c)の断面をもつ積層体が形成される。
【0014】
さらに、本発明方法の(D)工程においては、露出しためっき下地薄膜層2′を電極の一方として、電気めっきを施こし、めっき下地薄膜層2′を中心として、両側のホトレジストマスクパターン層の表面5,6にまでまたがって連続した、断面がマッシュルーム状のコイル導体めっき層7を膨成させる。
この際のめっき浴の組成例としては、銅めっき用の場合、CuSO4・5H2O100〜200グラム/リットル及びH2SO4 30〜300グラム/リットルからなる硫酸銅浴、Cu(BF4)2 250〜400グラム/リットル及びHBF4 1〜5グラム/リットルからなるホウフッ化銅浴、CuCN 60〜80グラム/リットル、NaCN 70〜90グラム/リットル及びKOH 20グラム/リットルからなるシアン化物浴を挙げることができる。また亜鉛めっき用の場合、ZnSO4・7H2O 350〜450グラム/リットル、AlCl3・6H2O 10〜30グラム/リットル、CH3COONa 10〜20グラム/リットル及びブドウ糖100〜120グラム/リットルからなる酸性浴、Zn(CN)2 50〜70グラム/リットル、NaCN 30〜50グラム/リットル及びNaOH 70〜90グラム/リットルからなるアルカリ性浴を、スズめっき用の場合、SnSO4 80〜120グラム/リットル、H2SO4 80〜120グラム/リットル、クレゾールスルホン酸 80〜120グラム/リットル及びゼラチン1〜5グラム/リットルからなる硫酸浴、Sn(BF4)2 150〜250グラム/リットル、HBF4 80〜120グラム/リットル、H3BO3 20〜30グラム/リットル及びゼラチン3〜8グラム/リットルからなるホウフッ化浴などをそれぞれ挙げることができる。また、この際の条件としては、一般に浴温25〜65℃、電流密度0.5〜10A/dm2が用いられる。この際の積層体の断面を図1(d)に示す。
このコイル導体めっき層7としては、(A)工程で設けためっき下地薄膜層と同じ材料を選ぶのが好ましいが、所望ならば別の材料を用いてもよい。
【0015】
次に、(E)工程においては、上記のように膨成したコイル導体めっき層7の上に保護用金属薄膜層8を被覆する。薄膜層としては、(A)工程で施しためっき下地薄膜層2を溶解するエッチング液に対して、抵抗性を有する金属であるニッケルを用いることが必要である。これは、電解又は無電解めっきにより行われる。
この際のめっき浴の組成例としては、NiSO4・7H2O 100〜200グラム/リットル、NH4Cl 10〜20グラム/リットル及びH3BO3 10〜20グラム/リットルからなる普通浴、NiSO4・7H2O 300〜450グラム/リットル、NiCl2・6H2O 45〜60グラム/リットル及びH3BO3 35〜40グラム/リットルからなる改良ワット浴、スルファミン酸ニッケル400〜450グラム/リットル、H3BO3 30〜35グラム/リットル及び湿潤剤0.5〜1.0グラム/リットルからなるスルファミン浴を挙げることができる。また、この際の条件としては、一般に浴温20〜75℃、電流密度0.5〜60A/dm2の範囲で選ばれる。
【0016】
このニッケルめっき層の厚さは、1〜5μmの範囲が適当であり、これは隣接するめっき層間の間隔によって適宜調整される。
このようにして図1(e)の断面を有する積層体が得られる。
【0017】
次いで、本発明方法の(F)工程においては、上記のようにして得た積層体の全面にわたって、上方から活性線、例えば紫外線を照射し、ポジ型ホトレジスト層のコイル導体間の部分3′のみを溶剤可溶化し、現像処理を施して、露光部分を除去し、この部分のめっき下地薄膜層2″を露出させる。このようにして、図1(f)に示す断面の積層体が得られる。
【0018】
最後に、(G)工程において、前記工程により露出した(A)工程で設けた銅からなるめっき下地薄膜層の残存部分を選択的にエッチング除去する。
この場合、エッチング液としては、(E)工程で被覆したニッケルからなる保護用金属薄膜層8には損傷を与えず、(A)工程で設けた銅からなるめっき下地薄膜層2のみを選択的に除去しうるものを用いる必要がある。このようにして、図1(g)に示す断面をもつ平面コイルを得ることができる。
【0019】
図2は、図1とは異なった例の工程を説明する断面図であって、前記の例の(B)工程においてポジ型ホトレジスト層を厚く積層することにより、コイル導体の断面を茎部が長く、太い形状に形成させる方法である。
【0020】
すなわち、図1の場合と同じく、(A)工程において、絶縁基板1上に銅からなるめっき下地薄膜層2を設け、(B)工程において厚目例えば乾燥膜厚で5〜50μmの厚さに塗布する。
次いで、図1の方法と同様にして(C)工程、(D)工程、(E)工程、(F)工程及び(G)工程を順次行えば、それぞれ図2の(c′)、(d′)、(e′)及び(f′)に対応する断面をもつ中間体を経て、図2の(g′)に示す断面形状をもつ平面コイルを製造することができる。
図2における各符号は、図1の場合と同じものを示す。
【0021】
本発明方法においては、絶縁基板の両面に、対称的に銅からなるめっき下地薄膜層、ポジ型ホトレジスト層を設けた積層体を形成させ、両面コイルの接続用にスルーホールを穿設して、複合構造の平面コイルを製造することもできる。
以上、平面コイルを例としてその製造方法を説明したが、その他のハイアスペクト導体デバイス、例えばプリント配線板についても、同様の方法で製造することができる。
【0022】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0023】
実施例1
284個のコイルを製造するための3インチ径のガラスエポキシ基板(厚さ100μm)の所定の位置に直径0.2mmのスルーホールを設けたのち、その基板の両面に無電解銅めっき液(奥野製薬社製、商品名「ビルドカッパー」)を用いて厚さ1μmの銅層をめっきした。
次に、その銅層の上にポジ型ホトレジスト(東京応化工業社製、商品名「PMER P−AR900」)を乾燥膜厚5μmになるようにスピンコートし、常法に従って露光及び現像処理することによりパターン幅90μm、パターン間隔20μmのレジストパターンを形成させた。このようにして得たレジストパターンはその除去された部分が円形スパイラル状で、最内周の半径は0.9mmで巻数は11.5回であった。
次いで、このパターンに、硫酸銅濃度70グラム/リットルのめっき液を用い、小孔を有するパイプをカソード近傍に配置し、25℃において、これからめっき液を20mm/秒の割合で噴出させることによって電流密度2.5A/dm2の条件下で光沢硫酸銅めっきを行い膜厚150μmの断面マッシュルーム状のコイル導体めっき層を形成させた。このときの導体間隔は10μmであった。
引き続いて、NiSO4・7H2O 280グラム/リットル、NiCl2・6H2O 45グラム/リットル及びH3BO3 40グラム/リットルを含む光沢ワット浴を用い、上記のコイル導体めっき層の表面全体にわたって膜厚2μmのニッケル薄膜層をめっきした。
このようにして得たコイル基板を十分に乾燥させたのち、ニッケル被覆銅コイル導体層をマスクとして紫外線の全面照射を行って導体間に存在するポジ型ホトレジストのみを露光させ、次いで現像液(東京応化工業社製、商品名「P−7G」)により露光部分を溶解除去した。
その後で、導体間に露出しためっき下地薄膜層のみをアルカリエッチング液(メルテックス社製、商品名「エープロセス」)でエッチングして除去したのち、カットすることにより、284個のそれぞれ外形寸法3.1×3.1×0.4mm、直流抵抗0.1Ω、インダクタンス値0.37μHの平面コイルを製造した。
【0024】
比較例1
厚さ36μmの銅箔を両面に貼付した厚さ100μmのガラスエポキシ基板を用い、通常のプリント配線板の製造方法に従って、実施例1と同じ形状の外形寸法3.1×3.1×0.2mmの平面コイルを製造した。このものは直流抵抗1.1Ω、インダクタンス値0.37μHであった。
この例から明らかなように、従来のプリント配線板の製造方法に従って製造すると、本発明方法により製造した場合よりも直流抵抗は10倍以上になる。
【0025】
実施例2
実施例1で用いたものと同じガラスエポキシ基板の所定の位置に直径0.2mmのスルーホールを設けたのち、その基板の両面に無電解銅めっき液(奥野製薬社製、商品名「ビルドカッパー」)を用いて厚さ1μmの銅層をめっきした。
次に、その銅層の上にポジ型ホトレジスト(東京応化工業社製、商品名「PMER P−AR900」)を乾燥膜厚5μmになるようにスピンコートし、常法に従って露光及び現像処理することによりパターン幅90μm、パターン間隔20μmのレジストパターンを形成させた。なお、上記のスルーホールを用いて両面の銅箔を接続した。このようにして得たパターンは円形スパイラルからなり、最内周の半径は0.9mmで巻数は11.5回であった。
次いで、このパターンに、硫酸銅濃度110グラム/リットルのめっき液を用い、小孔を有するパイプをカソード近傍に配置し、これからめっき液を50mm/秒で噴出させることにより、電流密度9A/dm2の条件下で膜厚150μmになるまでめっきした。このようにして、導体間隔10μmの断面マッシュルーム状のコイル導体めっき層を形成させた。
引き続いて、NiSO4・7H2O 280グラム/リットル、NiCl2・6H2O 45グラム/リットル、H3BO3 40グラム/リットルを含む光沢ワット浴を用い、上記のコイル導体めっき層の表面全体にわたって膜厚2μmのニッケル薄膜層をめっきした。
このようにして得た基板を十分に乾燥させたのち、ニッケル被覆銅コイル導体層をマスクとして紫外線の全面照射を行って導体間に存在するポジ型ホトレジストのみを露光させ、次いで現像液(東京応化工業社製、商品名「P−7G」)により露光部分を溶解除去した。
その後で、導体間に露出しためっき下地薄膜層のみをアルカリエッチング液(メルテックス社製、商品名「エープロセス」)でエッチングして除去したのち、カットすることにより、それぞれ外形寸法3.1×3.1×0.4mmの平面コイル284個を製造した。このものの電気特性は、直流抵抗0.1Ω、インダクタンス値0.37μHであった。
【0026】
比較例2
厚さ36μmの銅箔を両面に貼付した厚さ100μmのガラスエポキシ基板を用い、通常のプリント配線板の製造方法に従って、実施例2と同じ形状の外形寸法3.1×3.1×0.2mmの平面コイルを製造した。このものは直流抵抗1.1Ω、インダクタンス値0.37μHであった。
この例から明らかなように、従来のプリント配線板の製造方法に従って製造すると、本発明方法により製造した場合よりも直流抵抗は10倍以上になる。
【0027】
実施例3
比透磁率800をもつ直径3インチ、厚さ350μmのNiZn系フェライト基板(TDK社製、商品名「L7H」)の片面に無電解銅めっき液(奥野製薬社製、商品名「ビルドカッパー」)を用いて厚さ1μmの銅層をめっきした。
次に、その銅層の上にポジ型ホトレジスト(東京応化工業社製、商品名「PMER P−AR900」)を乾燥膜厚5μmになるようにスピンコートし、常法に従って露光及び現像処理することによりパターン幅90μm、パターン間隔20μmのレジストパターンを形成させた。この最内周の半径は0.9mm、巻数は5.75回であった。
次いで、このパターンに、硫酸銅濃度70グラム/リットルのめっき液を用い、小孔を有するパイプをカソード近傍に配置し、25℃において、これからめっき液を20mm/秒の割合で噴出させることによって電流密度2.5A/dm2の条件下で光沢硫酸銅めっきを行い膜厚150μmの断面マッシュルーム状のコイル導体めっき層を形成させた。このときの導体間隔は10μmであった。
引き続いて、実施例1で用いたものと同じ光沢ワット浴を用い、上記のコイル導体めっき層の表面全体にわたって膜厚2μmのニッケル薄膜層をめっきした。
このようにして得た基板を十分に乾燥させたのち、ニッケル被覆銅コイル導体層をマスクとして紫外線の全面照射を行って導体間に存在するポジ型ホトレジストのみを露光させ、次いで現像液(東京応化工業社製、商品名「P−7G」)により露光部分を溶解除去した。
その後で、導体間に露出しためっき下地薄膜層のみをアルカリエッチング液(メルテックス社製、商品名「エープロセス」)でエッチングして除去したのち、この上にカーテンコート法で感光性エポキシ樹脂をギャップ部を含めて塗布し、仮硬化後、所定の位置に慣用のホトリソグラフィー法によりコンタクトホールを形成し、本硬化した。次いで、前記の感光性エポキシ樹脂を絶縁基板として、前記と同じ方法を繰り返し、第二のコイル層を形成し、積層平面コイル集合体を製造した。次いで、この集合体を分割して、それぞれ外形寸法3.1×3.1×0.7mmの平面コイルを得た。このようにして得た平面コイルの電気特性は、直流抵抗0.1Ω、インダクタンス値0.6μHであり、インダクタンス値は実施例1で得たものに比べ約50%増加している。
【0028】
実施例4
直径3インチ、厚さ300μmのNiZn系複合フェライト基板(フェライト粉末70容量%及びエポキシ樹脂30重量%の組成)の片面に無電解銅めっき液(奥野製薬社製、商品名「ビルドカッパー」)を用いて厚さ1μmの銅層をめっきした。
次に、その銅層の上にポジ型ホトレジスト(東京応化工業社製、商品名「PMER P−AR900」)を乾燥膜厚5μmになるようにスピンコートし、常法に従って露光及び現像処理することによりパターン幅90μm、パターン間隔20μmのレジストパターンを形成させた。このようにして得たパターンは円形スパイラル状であり、最内周の半径は0.9mmで巻数は5.75回であった。
次いで、このパターンに、硫酸銅濃度70グラム/リットルのめっき液を用い、小孔を有するパイプをカソード近傍に配置し、25℃において、これからめっき液を20mm/秒の割合で噴出させることによって電流密度2.5A/dm2の条件下で光沢硫酸銅めっきを行い膜厚150μmの断面マッシュルーム状のコイル導体めっき層を形成させた。このときの導体間隔は10μmであった。
引き続いて、NiSO4・7H2O 280グラム/リットル、NiCl2・6H2O 45グラム/リットル、H3BO3 40グラム/リットルを含む光沢ワット浴を用い、上記のコイル導体めっき層の表面全体にわたって膜厚2μmのニッケル薄膜層をめっきした。
このようにして得た基板を十分に乾燥させたのち、ニッケル被覆銅コイル導体層をマスクとして紫外線の全面照射を行って導体間に存在するポジ型ホトレジストのみを露光させ、次いで現像液(東京応化工業社製、商品名「P−7G」)により露光部分を溶解除去した。
その後で、導体間に露出しためっき下地薄膜層のみをアルカリエッチング液(メルテックス社製、商品名「エープロセス」)でエッチングして除去したのち、実施例3と同様の方法で第二のコイル層を形成することにより、それぞれ外形寸法3.1×3.1×0.6mmの平面コイル284個を製造した。このものの電気特性は、直流抵抗0.1Ω、インダクタンス値0.48μHであった。このものは、実施例1で得た平面コイルに比べインダクタンス値が約30%増加していた。
【0029】
実施例5
実施例1で得た平面コイルの中央部を穿孔し、外形寸法3.2×3.2×1.3mmのNiZn系EI型フェライトコアではさんで平面コイルを製造した。このもののインダクタンス値は、11μHであり、実施例1のものに比べインダクタンス値は約30倍に増大していた。
【0030】
実施例6
実施例1で用いたものと同じガラスエポキシ基板の所定の位置に直径0.2mmのスルーホールを穿孔し、無電解銅めっき液(奥野製薬社製、商品名「ビルドカッパー」)でその両面に厚さ1μmの銅層を形成した。
次に、その上にポジ型ホトレジスト(東京応化工業社製、商品名「PMER P−AR900」)を乾燥膜厚5μmになるようにスピンコートし、実施例1と同様にして、パターン幅200μm、パターン間隔20μmのパターンを形成した。この際、前記のスルーホールを両面のコイルの接続に用いた。このようにして得られたパターンは円形スパイラル状であり、この最内周の半径は0.9mmで巻数は6回であった。
次いで、CuSO4 70グラム/リットル、H2SO4 200グラム/リットルを含む硫酸銅めっき浴を用い、電流密度2.5A/dm2、浴温25℃において、実施例1と同様にしてかきまぜながら、めっき膜厚が150μmになるまで光沢銅めっきを施した。このようにして、導体間隔10μmのマッシュルーム断面をもつ導体層が形成された。
引き続いて、NiSO4・7H2O 280グラム/リットル、NH4Cl 45グラム/リットル及びH3BO3 40グラム/リットルを含む光沢ワット浴を用い、温度25℃、電流密度1A/dm2の条件下で膜厚2μmが得られるまでニッケルめっきを行った。
次いで、このようにして得た基板を十分に乾燥し、ニッケル被覆した銅層をマスクパターンとして、全面にわたって上方から紫外線照射したのち、現像液(東京応化工業社製、商品名「P−7G」)により露光部分を溶解除去した。
次に、導体間に露出しためっき下地薄膜層をアルカリエッチング液(メルテックス社製、商品名「エープロセス」)で処理して溶解除去したのち、カットすることにより、それぞれ外形寸法3.1×3.1×0.4mmの平面コイル284個を製造した。このものの電気特性は、直流抵抗0.05Ωであった。
この平面コイルを、絶縁性ポリエステルフィルムを介して実施例1で得た平面コイルと積層し、さらに全体を外形寸法3.2×3.2×1.7mmのEI型NiZnフェライトコアにはさみ込んで平面トランスを製造した。このときの周波数500kHzで測定したときの結合係数は0.95であった。
【0031】
実施例7
直径3インチ、厚さ300μmのプラスチック基板(三菱ガス化学社製アンクラッドBTレジン基板)上に、無電解銅めっき液(奥野製薬社製、商品名「ビルドカッパー」)を用いて厚さ1μmの銅層を積層した。
次いで、この積層体の上に、実施例1で用いたのと同じポジ型ホトレジストを乾燥膜厚で30μmになるようにスピンコートしたのち、実施例1と同様にして、露光及び現像を行い、1.6×0.8mmの範囲内にパターン幅20μm、パターン間隔20μmのスパイラルパターンを形成させた。このスパイラルパターンをもつ積層体を、高速光沢銅めっき浴(CuSO4・5H2O110グラム/リットル、H2SO4 180グラム/リットル)を用い、浴温35℃、電流密度9A/dm2の条件下で、カソード近傍に配置し、有孔パイプから50mm/秒の速度でめっき浴を噴出させながら、膜厚が35μmになるまで銅めっきした。この際の導体間隔は10μmであった。
引き続き光沢ワット浴(NiSO4・7H2O 280グラム/リットル、NiCl6・6H2O 45グラム/リットル、H3BO3 40グラム/リットル)を用い、温度60℃、電流密度4A/dm2の条件下で膜厚2μmになるまでニッケルめっきした。
このようにして得た基板を十分に乾燥させ、実施例1と同様にして、紫外線を全面照射して、導体間のポジ型ホトレジストを溶剤可溶化したのち、現像液(東京応化工業社製、商品名「P−7G」)により露光部を溶解除去した。
次に、アルカリエッチング液(メルテックス社製、商品名「エープロセス」)で導体間のめっき下地薄膜層を選択的にエッチング除去することにより、それぞれ外形寸法1.6×0.8×0.3mmの平面コイル1800個を製造した。このものは1GHz付近で良好な周波数特性を示した。
【0032】
【発明の効果】
本発明方法は、従来の平面コイルの製造方法に比較して以下の利点を有する。
(1)基板の全面に銅薄膜を配してこれをめっき下地膜とすることで大電流を通電することが可能となり、ハイアスペクトパターンが形成可能であり、1回のめっきで所要の厚さが得られる。
(2)導体間の下地膜以外は全てレジストで覆っており、かつめっき下地膜が比較的薄いので、導体間隔が導体高さに比べて非常に狭い場合でもウエットエッチングが可能であり、高スループットで処理でき、設備費も安い。
(3)めっき時に用いるレジストがポジ型ホトレジストであるので、後処理に際し、導体間下地膜を選択的に除去しうる。
(4)導体間下地膜のエッチング時の露光は、形成された導体そのものを用いているので、ホトマスクが不要で、またアライメントの手間もかからず、工程が簡単である。
(5)ニッケルからなる保護用金属層の厚さは、通常数μmであり、めっきと連続して行うことで10分程度の短時間で形成でき、工程が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法の1例の各工程における積層体の断面図。
【図2】 本発明方法の別の例の各工程における積層体の断面図。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2 めっき下地薄膜層
3 ポジ型ホトレジスト層
7 コイル導体めっき層
8 保護用金属薄膜層
Claims (1)
- (A)絶縁基板上に銅からなるめっき下地薄膜層を設ける工程、(B)この上にポジ型ホトレジスト層を積層する工程、(C)このポジ型ホトレジスト層にホトリソグラフィー法を施してこのポジ型ホトレジスト層からホトレジストマスクパターンを形成させる工程、(D)めっき処理を施してめっき下地薄膜層の露出部及びそれに近接したポジ型ホトレジストマスクパターンの被覆部上に断面マッシュルーム状のコイル導体めっき層を膨成する工程、(E)めっきを施してコイル導体めっき層全体にわたってニッケルからなる保護用金属薄膜層で被覆する工程、(F)活性線を全面照射したのち現像することにより露出しているコイル導体めっき層間のポジ型ホトレジスト層を除去する工程及び(G)めっき下地薄膜層のみを選択的にエッチング処理して除去する工程を順次行うことを特徴とするハイアスペクト導体デバイスの製造方法。
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