JP2001203109A - 平面コイルおよびその製造方法ならびにトランス - Google Patents

平面コイルおよびその製造方法ならびにトランス

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JP2001203109A
JP2001203109A JP2000013033A JP2000013033A JP2001203109A JP 2001203109 A JP2001203109 A JP 2001203109A JP 2000013033 A JP2000013033 A JP 2000013033A JP 2000013033 A JP2000013033 A JP 2000013033A JP 2001203109 A JP2001203109 A JP 2001203109A
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Japan
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hole
conductor
coil
thickness
insulating substrate
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Takashi Kajino
隆 楫野
Manabu Ota
学 太田
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絶縁基板の両面にコイル導体線条を有し、こ
れらがスルーホール導体を介して直列接続されている平
面コイルにおいて、小径のスルーホールであっても厚い
スルーホール導体を形成することを可能とし、これによ
りスルーホール導体と基板上の導体(ランド部導体)と
の膜厚差を小さくする。 【解決手段】 コイル導体線条4、スルーホール導体4
1およびランド部導体42が電気めっき法により一体的
に形成され、コイル導体線条が、首部とその上に張り出
した頭部とを有するものであり、スルーホール導体の厚
さをTt、ランド部導体の厚さをLtとしたとき、0.
5≦Tt/Lt≦1.5であり、スルーホール21の直
径をTd、絶縁基板2の厚さをStとしたとき、0.0
7≦St/Td≦2であり、前記頭部の高さをHh、幅
をHwとし、前記首部の幅をNwとしたとき、1.4≦
Hh/0.5(Hw−Nw)≦20である平面コイル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁基板上に螺旋
状の導体線条を設けた平面コイルおよびその製造方法
と、この平面コイルを利用したトランスとに関する。
【0002】
【従来の技術】平面コイルは、絶縁基板上に導体線条を
螺旋状に形成したものであり、デジタルオーディオディ
スクの二軸アクチュエータ、モバイルコンピュータのC
PUの電源用コイル、平面ディスプレイ(液晶ディスプ
レイ等)などの電源用または信号用のコイルとして広く
用いられている。
【0003】平面コイルとしては、幅が細くかつ厚い、
いわゆるハイアスペクト導体線条が狭い間隔で配列した
ものが要求されるようになってきている。導体線条をハ
イアスペクトパターンとすることにより、直流抵抗が小
さくなる。本出願人は、細幅で厚い、断面マッシュルー
ム状のハイアスペクト導体線条を有する平面コイルおよ
びその製造方法を、特開平11−204337号および
特開平11−204361号公報で提案している。
【0004】平面コイルでは、絶縁基板の両面にコイル
導体線条を形成し、これらを直列に接続した構造のもの
が多く利用されている。この構造の平面コイルは、通
常、以下のようにして製造される。まず、絶縁基板にス
ルーホールを設けた後、スルーホールの内壁面を含む絶
縁基板の全表面に無電解めっき層を形成する。次いで、
スルーホール開口付近を除き、絶縁基板両面に螺旋状の
レジストパターンを設け、電気めっきを行う。この電気
めっきにより、コイル導体線条が形成されると共にスル
ーホールの内壁面にスルーホール導体が形成され、ま
た、スルーホール開口付近に、コイル導体線条およびス
ルーホール導体の両者に一体化されたランド部導体が形
成される。
【0005】しかし、この方法では、スルーホール導体
を十分な厚さに形成することが難しく、スルーホール導
体の厚さ(スルーホール内壁面から測定した厚さ)がコ
イル導体線条の厚さに比べ著しく薄くなってしまう。ス
ルーホール導体が薄いと抵抗値が高くなってしまい、ま
た、機械的強度も不十分となる。特に、ランド部導体と
スルーホール導体とで厚さが著しく異なると、応力集中
により断線しやすくなるため、信頼性を確保することが
難しい。具体的には、導体と絶縁基板とは熱膨張係数が
異なるため、はんだ付けの際の熱衝撃により応力が生
じ、導体が破壊されやすい。また、モータに適用する場
合には、回転の際のトルク反力により破壊されやすい。
【0006】そこで、例えば特公平7−85630号公
報では、絶縁層の両面に複数個のほぼ同形の渦巻状コイ
ル導体を有し、これらが前記絶縁層を貫通するスルーホ
ールにより導通されており、前記スルーホールの内壁部
において、前記絶縁層がスルーホール中央に向かって凸
状に張り出し、前記凸状の絶縁層を、凹状の導電体が密
着して覆っている小型モータ用両面厚膜ファインコイル
を提案している。同公報には、凹状の導電体の厚さを実
質的に均一にできる旨が記載されている。
【0007】しかし、同公報に記載されたコイルは、製
造方法が複雑であり、製造に要する時間も長くなる。し
かも、同公報には凹状の導電体の厚さを実質的に均一に
できる旨が記載されているが、同公報記載の製造方法を
利用する限り、凹状の導電体は膜厚が著しく不均一とな
るはずであり、このことは同公報の第1図からも明らか
である。
【0008】また、特公平6−52823号公報には、
基板表面とスルーホール内とで導体厚さがほぼ等しいプ
リント厚膜微細パターン導体が記載されている。同公報
の実施例1では、厚さ25μmのポリイミドフィルムの
両面に厚さ5μmの接着剤を塗布してなる基板(合計厚
さ35μm)を用い、そこに直径700μmのスルーホー
ルを形成して電気めっきを行っている。このようにスル
ーホール径が相対的に大きいと、スルーホール内壁面に
厚い導体を容易に形成できる。しかし、このようにスル
ーホール径を大きくすると、電子部品の平面寸法を小さ
くすることができなくなり、また、絶縁基板の強度が低
くなってしまうという問題もある。なお、同公報には、
スルーホール径を大きくする手段のほかには、スルーホ
ール内における導体厚さを大きくする手段はいっさい記
載されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、絶縁
基板の両面にコイル導体線条を有し、これらがスルーホ
ール導体を介して直列接続されている平面コイルにおい
て、比較的小径のスルーホールであっても比較的厚いス
ルーホール導体を形成することを可能とし、これにより
スルーホール導体と基板上の導体(ランド部導体)との
膜厚差をできるだけ小さくすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(4)の本発明によって達成される。 (1) スルーホールを備える絶縁基板を有し、この絶
縁基板の両面にそれぞれ螺旋状のコイル導体線条が形成
されており、スルーホールの内壁面にスルーホール導体
が存在し、スルーホール開口付近にランド部導体が存在
し、コイル導体線条、スルーホール導体およびランド部
導体が電気めっき法により一体的に形成されたものであ
り、コイル導体線条の延びる方向に垂直な断面における
コイル導体線条断面の形状が、矩形の首部と、この首部
上に張り出した頭部とを有するものであり、スルーホー
ル内壁面から測定したスルーホール導体の厚さをTt、
絶縁基板表面から測定したランド部導体の厚さをLtと
したとき、 0.5≦Tt/Lt≦1.5 であり、スルーホールの直径をTd、絶縁基板の厚さを
Stとしたとき、 0.07≦St/Td≦2 であり、前記断面において、前記頭部の高さをHh、幅
をHwとし、前記首部の幅をNwとしたとき、 1.4≦Hh/0.5(Hw−Nw)≦20 である平面コイル。 (2) スルーホールがスルーホール導体により塞がれ
ている上記(1)の平面コイル。 (3) 上記(1)または(2)の平面コイルを製造す
る方法であって、絶縁基板両面のコイル導体線条、スル
ーホール導体およびランド部導体を電気めっき法により
同時に形成するに際し、複数の孔が設けられた板状体で
ある攪拌子を、アノードとカソードとの間に配置すると
共に、アノードとカソードとを結ぶ方向に対しほぼ垂直
な面内で揺動させながら電気めっきを行う平面コイルの
製造方法。 (4) 上記(1)または(2)の平面コイルを複数積
層して構成されるトランス。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の平面コイルの構成例を、
図1(C)に断面図として示す。この平面コイルは、ス
ルーホール21を備える絶縁基板2を有し、この絶縁基
板2の両面にそれぞれ螺旋状のコイル導体線条4が形成
されており、スルーホール21の内壁面にスルーホール
導体41が存在し、スルーホール21開口付近に、コイ
ル導体線条4およびスルーホール導体41の両者に一体
化されたランド部導体42が存在する。
【0012】本発明では、スルーホール21内壁面から
測定したスルーホール導体41の厚さをTt、ランド部
導体42の絶縁基板2表面から測定した厚さをLtとし
たとき、 0.5≦Tt/Lt≦1.5 とし、好ましくは 0.7≦Tt/Lt≦1 とする。Tt/Ltを上記範囲とすることにより、スル
ーホール導体41の厚さがランド部導体42の厚さに近
くなるので、信頼性が高くなる。
【0013】本発明では、図2に示すようにスルーホー
ル導体41がスルーホール21を埋め尽くす構成として
もよい。この構成とすれば、スルーホール導体41形成
後に絶縁樹脂やフォトレジスト等の液状物質を塗布する
際に、液状物質がスルーホールを通って反対面に漏れ出
す不都合が生じない。また、製造工程内での基板の搬送
などに際しては、通常、バキュームチャックを用いる
が、スルーホールが埋められた状態であれば、スルーホ
ールを塞ぐエアー漏れ止め用テープ等を設けることなし
にバキュームチャックを使用することができる。
【0014】本発明では、スルーホール21の直径をT
d、絶縁基板2の厚さをStとしたとき、 0.07≦St/Td≦2 とし、好ましくは 0.2≦St/Td≦1 とする。スルーホール導体41とランド部導体42とを
電気めっき法により同時に形成する場合においてTt/
Ltを1に近づけるためには、スルーホール内において
めっき液の流動性を十分に確保することが必要である。
スルーホール導体のアスペクト比を表すSt/Tdを小
さくすれば、すなわち、スルーホール径Tdを相対的に
大きくすれば、スルーホール内におけるめっき液の流動
性が良好となるので、Tt/Ltを1に近づけることが
容易となる。ただし、スルーホール径Tdを大きくしす
ぎると、前述したように電子部品の平面寸法を小さくす
ることができなくなり、また、絶縁基板の強度が低くな
ってしまう。そのため、St/Tdの下限は上記値とす
る。通常の電気めっき法により導体を形成した場合に
は、St/Tdが0.07以上、特に0.2以上である
と、Tt/Ltを本発明で限定する範囲内にすることが
難しい。しかし、後述する攪拌子を用いて電気めっきを
行えば、St/Tdが上記範囲であっても、すなわち、
スルーホール径Tdが相対的に大きくても、Tt/Lt
を本発明で限定する範囲内にすることが容易である。
【0015】本発明では、ランド部導体42の絶縁基板
2表面から測定した厚さをLt、コイル導体線条4の絶
縁基板2表面から測定した高さをFh(図3参照)とし
たとき、 0.3≦Lt/Fh≦2 であることが好ましい。後述するように本発明では、コ
イル導体線条4、スルーホール導体41およびランド部
導体42を、電気めっきにより同時に形成するので、L
tとFhとはほぼ同じとなる。ただし、めっき条件によ
っては、LtとFhとが異なることもある。その場合で
も、LtとFhとが著しく異なると、コイル導体線条4
とランド部導体42との境界付近に応力が集中し、好ま
しくない。また、Fhに対しLtが薄すぎると、基板両
面のコイル導体線条を高抵抗で接続することになり、好
ましくない。したがって、Lt/Fhは上記範囲内であ
ることが好ましい。
【0016】図3は、コイル導体線条4の延びる方向に
垂直な断面において、コイル導体線条4付近を拡大して
示した断面図である。同図に示されるように、コイル導
体線条4の断面形状は、矩形の首部4Aと、この首部4
A上に張り出した頭部4Bとを有するマッシュルーム状
であり、前記特開平11−204337号および特開平
11−204361号公報に記載された平面コイルにお
けるものと同様である。首部4Aの下には土台部3が存
在する。この土台部3は、コイル導体線条4を電気めっ
きにより形成する際に下地層となった領域であり、金属
から構成される。
【0017】本発明では、コイル導体線条4の前記断面
において、前記頭部の高さをHh、幅をHwとし、前記
首部の幅をNwとしたとき、 1.4≦Hh/0.5(Hw−Nw) とし、好ましくは 2≦Hh/0.5(Hw−Nw) とする。コイル導体線条4を電気めっきにより形成する
場合、Hh/0.5(Hw−Nw)は、電気めっきの際
の異方性成長の度合いを表す。Hh/0.5(Hw−N
w)=1である場合、コイル導体線条は等方的に成長し
たことになる。Hh/0.5(Hw−Nw)が大きいほ
ど、すなわちコイル導体線条4のアスペクト比が高いほ
ど、平面コイル断面に占めるコイル導体線条4の断面積
の比率(占積率)を高くできる。これに対しHh/0.
5(Hw−Nw)が小さすぎると、占積率を高くするこ
とができない。一方、電気めっきの際に成長の異方性を
著しく高くすることは困難であり、通常、 Hh/0.5(Hw−Nw)≦20 となる。
【0018】本発明では、後述する攪拌子を用いて電気
めっきを行うことにより、基板の両面においてめっき層
を異方的に成長させ、かつ、スルーホール内においてめ
っき層をほぼ等方的に成長させることが容易となる。す
なわち、コイル導体線条4のアスペクト比を高くし、し
かも、スルーホール導体41の厚さをランド部導体42
の厚さと同じにできる。したがって、本発明では、高性
能でかつ信頼性の高い平面コイルが実現する。
【0019】土台部3は、コイル導体線条4の接着性が
確保できる範囲において、できるだけ薄くすることが好
ましい。具体的には、前記断面において、土台部3の高
さをBhとし、頭部4Bの高さをHhとしたとき、好ま
しくは 0.001≦Bh/Hh≦1/3 である。ただし、Bhは0.3μm以上であることが好
ましい。Bh/Hhが大きすぎると、絶縁基板2が反り
やすくなる。一方、Bh/HhまたはBhが小さすぎる
と、コイル導体線条4の接着性が不十分となりやすい。
【0020】また、図示する断面において、首部4Aの
幅をNw、頭部4Bの幅をHwとしたとき、好ましくは 1.2≦Hw/Nw≦10 であり、より好ましくは 2≦Hw/Nw≦5 である。Hw/Nwが小さすぎると、すなわち、首部4
Aの幅が相対的に広すぎると、コイル導体線条4を形成
する際に生じた応力により絶縁基板2が反りやすくな
る。一方、Hw/Nwが大きすぎると、すなわち首部4
Aに対し頭部4Bが大きくなりすぎると、首部4Aの機
械的強度が低くなって、製造プロセスにおいて取り扱う
際にコイル導体線条4の剥離が生じやすくなり、また、
最終製品における強度も低くなる。
【0021】絶縁基板2の厚さStが小さいほど平面コ
イルの全厚を薄くできるが、製造工程において取り扱い
が難しくなり、また、基板に反りが発生しやすくなる。
一方、コイル導体線条4の高さFhが大きいほど直流抵
抗を低くでき、また、コイル導体線条4の占積率を高く
できるので好ましいが、この場合も、絶縁基板2に反り
が発生しやすくなる。このような理由から、コイル導体
線条4の高さFhを基準とした絶縁基板2の相対的な厚
さを示すSt/Fhは、好ましくは 0.1≦St/Fh≦2 とし、より好ましくは 0.1≦St/Fh≦1 とする。
【0022】首部4Aの高さは、コイル導体線条4の占
積率を高くするため、および、機械的強度を確保するた
めに、低いほど好ましい。具体的には、頭部4Bの高さ
Hhの好ましくは0.3倍以下、より好ましくは0.2
倍以下とする。ただし、後述するように首部4Aの高さ
はフォトレジストからなるマスクパターンの厚さに依存
するため、通常、0.5μm未満とすることは困難であ
る。
【0023】コイル導体線条の高さFhは、通常、10
μm以上、好ましくは40〜300μmである。コイル導
体線条4が高すぎると、薄型化できるという平面コイル
の特徴をいかせなくなる。
【0024】本発明の平面コイルを積層することにより
トランスが得られる。
【0025】次に、本発明の平面コイルを製造する方法
の一例を説明する。この方法における工程の流れを図1
に示す。
【0026】図1に示される方法は、(A)絶縁基板2
の表面およびスルーホール21の内壁面に下地層3Aを
設け、その上にポジ型フォトレジストからなるマスクパ
ターン11を形成する工程、(B)下地層3Aの露出部
およびこれに近接したマスクパターン11上に、断面マ
ッシュルーム状のコイル導体線条4、スルーホール導体
41およびランド部導体42を一体的に同時形成し、さ
らに、これらの導体を保護層5で被覆する工程、(C)
活性線を全面照射したのち現像することにより、コイル
導体線条4間に露出しているマスクパターン11を除去
し、さらに、下地層3Aの露出部だけを選択的にエッチ
ング処理して除去する工程を順次有する。この方法は、
前記特開平11−204361号公報に開示されている
方法である。以下、図1を参照して、この方法を詳細に
説明する。
【0027】(A)工程では、絶縁基板2上に下地層3
Aを設ける。絶縁基板2の構成材料としては、ガラスエ
ポキシ、プラスチック、水晶等の単結晶、SiO2、A
2 3、フェライト等の各種絶縁体セラミックスなど、
これまで平面コイルの基板に普通に用いられていたもの
の中から任意に選択することができる。絶縁基板2の厚
さは、通常、10〜500μmの範囲から選択すればよ
い。下地層3Aの構成材料としては、電気めっきにおけ
る下地層として機能するものであれば特に限定されず、
例えば、Ti、Ni、Cr、Cu、Al、Sn、Zn、
Au、Ag、またはこれらの少なくとも1種を含有する
合金のいずれであってもよい。また、下地層3Aは、単
層であっても、組成の異なる2種以上の層を積層したも
のであってもよい。下地層3Aの形成には、蒸着、スパ
ッタリング、イオンプレーティング等の真空成膜法、無
電解めっき法、金属箔の張り付けなど任意の手段を利用
することができ、下地層3Aを積層構造とする場合に
は、最下層を形成する場合を除き電気めっき法も利用で
きる。下地層3Aの厚さは、真空成膜法やめっき法を使
う場合には0.5〜10μmの範囲が適当であり、箔を
張り付ける場合には5〜18μmの範囲が適当である。
【0028】次いで、下地層3A上に、ポジ型フォトレ
ジスト層を形成する。ここで例示する方法では、後続の
工程において、ポジ型フォトレジスト層から得たマスク
パターン11の一部をさらに露光処理して除去する必要
があるため、いったん露光した後では選択的な除去が不
可能なネガ型フォトレジストを用いることはできず、ポ
ジ型フォトレジストを用いることが必要である。ポジ型
フォトレジスト層は、紫外線、電子線、X線、レーザビ
ームなどの活性線の照射により可溶化するレジストから
構成される。この方法で用いるポジ型フォトレジストの
種類は特に限定されず、公知のもの、例えば、ポリメチ
ルビニルケトン、ポリビニルフェニルケトン、ポリスル
ホン、ポリオレフィン−スルホン、ポリ(ヘキサメチレ
ン−α−トルキシリルアミド)、ポリメタクリル酸メチ
ル系フォトレジスト、ノボラック−ジアゾキノン系フォ
トレジストなどから選択すればよい。ポジ型フォトレジ
スト層11Aの厚さは、0.5〜50μmとすることが
好ましい。この厚さが0.5μm未満であると、ピンホ
ール等の欠陥が生じやすくなり、エッチングに際し、下
地層3Aを完全に保護することが困難となる。一方、こ
の厚さが50μmを超えると、レジストパターンを形成
する際の露光に長時間を要し、作業効率が低下する。ま
た、首部が高くなるため、コイル導体線条の占積率が小
さくなってしまう。ポジ型フォトレジスト層は、慣用さ
れている方法、例えばドクターナイフ法やスピンコート
法を用いて形成することができる。なお、ポジ型フォト
レジスト層の厚さを変更することにより、後続工程で形
成される首部4Aの長さを制御することができる。具体
的には、ポジ型フォトレジスト層11Aを薄くすれば首
部4Aを短くすることができ、厚くすれば首部を長くす
ることができる。
【0029】次いで、ポジ型フォトレジスト層をパター
ニングする。パターニングに際しては、まず、ポジ型フ
ォトレジスト層に、例えば所定のマスクパターンを担持
した透明板を介して活性線を照射することにより、露光
部分だけを分解して溶剤可溶性とする。次いで、現像処
理を施して露光部分のレジストを除去し、マスクパター
ン11とする。
【0030】(B)工程では、下地層3Aの露出した領
域を一方の電極として電気めっきを行う。この電気めっ
きにより、下地層3Aの露出領域を中心として、その近
傍のマスクパターン11表面にまでまたがっためっき層
が形成され、コイル導体線条4となる。スルーホール2
1内壁面および絶縁基板2のスルーホール開口近傍はマ
スクパターン11で被覆されていないため、この電気め
っきの際に、スルーホール導体41およびランド部導体
42も一体的に形成される。導体は、絶縁基板2の両面
において同時に形成することが好ましい。片面づつ形成
する場合には、一方の面をめっきする際に他方の面をテ
ープ等により被覆する必要があり、そのときスルーホー
ル開口も塞ぐので、スルーホール内においてめっき液の
流動が不十分となる。その結果、スルーホール導体41
を厚くすることができず、Tt/Ltを上記範囲とする
ことが困難となってしまう。
【0031】また、Tt/Ltを上記範囲とするために
は、本出願人が特願平10−324468号において開
示した電気めっき方法を利用することが好ましい。この
方法では、複数の孔が設けられた板状体である攪拌子
を、アノードとカソードとの間に配置すると共に、アノ
ードとカソードとを結ぶ方向に対しほぼ垂直な面内で揺
動させながら電気めっきを行う。
【0032】図4は、この電気めっき方法におけるめっ
き槽内の構成を説明する図である。図4では、板状のア
ノード102と、カソード103とがほぼ平行に対向配
置されている。アノード102とカソード103との間
には、正方形状の孔が並んで設けられた板状体、すなわ
ち格子状の板状体である攪拌子104が、アノード10
2およびカソード103とほぼ平行に配置されている。
この方法では、攪拌子104をアノード102とカソー
ド103とを結ぶ方向に対しほぼ垂直な面内で揺動させ
る。これにより、大面積にわたって一様な攪拌が可能と
なるので、大面積にわたって一様な膜質および一様な膜
厚のめっき層を形成することができる。
【0033】さらに、この方法では、スルーホール内に
おいてめっき液の流動性が極めて良好となり、スルーホ
ール内とスルーホール開口近傍とでめっき層を等方的に
成長させることができるので、Tt/Ltを1に近づけ
ることが容易となる。一方、絶縁基板2の表面ではマス
クパターン11の開口部が狭い間隔で並んでいるため、
成長中のコイル導体線条4間ではめっき液が流動しにく
く、その結果、コイル導体線条4は幅方向に比べ高さ方
向に成長しやすい。すなわち、コイル導体線条4が異方
的に成長するので、1.4≦Hh/0.5(Hw−N
w)とすることができる。また、めっき液が流動しにく
くなってコイル導体線条が異方的に成長するのは、コイ
ル導体線条の成長に伴って、隣り合う線条間の距離が小
さくなったときである。すなわち、コイル導体線条4が
異方的に成長した平面コイルでは、隣り合うコイル導体
線条4間の距離Gwが小さく、占積率が高くなってい
る。したがって、この電気めっき方法を利用することに
より、アスペクト比が大きく占積率の高いコイル導体線
条と、厚いスルーホール導体とを有する平面コイル、す
なわち高性能かつ信頼性の高い平面コイル、が容易に実
現できる。
【0034】攪拌子104の揺動の軌跡は、ほぼ円形で
あることが好ましいが、カソード103の形状や、カソ
ード103と攪拌子104との面積比などに応じ、攪拌
の一様性が高くなるように適宜決定すればよく、例えば
軌跡が長円状や8の字状等となるように揺動させてもよ
い。また、揺動による最大移動量(例えば攪拌子の軌跡
が円形である場合にはその直径)は特に限定されず、攪
拌の一様性が高くなるように適宜決定すればよいが、通
常、5〜50mmの範囲から選択することが好ましい。
【0035】攪拌子104に設ける孔の形状は、方形状
に限らず、一様な攪拌が可能な形状であれば、例えば円
形や長円形等の他の形状であってもよい。孔の径(長
径)は、揺動による攪拌子104の移動量よりも小さく
することが好ましい。
【0036】攪拌子104全体の開口率、すなわち全面
積に対する孔の面積の合計の比率は、攪拌の一様性が高
くなるように適宜決定すればよいが、好ましくは50〜
99%、より好ましくは50〜95%の範囲から選択す
る。
【0037】図5は、図4に示す配置を、攪拌子104
とカソード103とを結ぶ方向から見た図である。攪拌
子104の形状および寸法は、カソード103の形状お
よび寸法に応じ、攪拌の一様性が高くなるように適宜決
定すればよいが、好ましくは、図5に示すように攪拌子
104がカソード103を完全に覆う形状および寸法と
し、より好ましくは、揺動させたときにも攪拌子104
が常にカソード103を覆う形状および寸法とする。な
お、例えば、カソード103が円形であっても攪拌子1
04を円形とする必要はなく、図示するような方形状等
の他の形状としてよい。
【0038】攪拌子104の厚さも、一様な攪拌が可能
なように決定すればよいが、攪拌子104が薄すぎると
攪拌効果が不十分となりやすく、厚すぎると攪拌むらが
生じやすいため、通常、5〜20mmの範囲から選択する
ことが好ましい。
【0039】攪拌子104に設ける孔は、均一に分布し
ている必要はない。例えば、同寸法の孔が均等に分布し
ている攪拌子104を用ると、めっき層厚が不均一とな
ってしまう場合、攪拌子104の面内において開口率
(単位面積当たりの開口面積)に分布をもたせれば、膜
厚を一様にすることが可能である。具体的には、攪拌子
に開口率が相対的に低い領域を設ければ、その領域にお
いてめっき速度が遅くなるため、膜厚の不均一さを補正
することができる。開口率は、孔の分布密度および/ま
たは孔の寸法を変更することにより変えることができ
る。攪拌子104における開口率の具体的分布は、カソ
ード103の形状および寸法、孔の形状および寸法など
の各種条件や、開口率が均一である場合の膜厚分布など
に応じ、実験的に最適値を決定すればよい。その目安と
しては、まず、開口率が均一である攪拌子を用いてめっ
き層を形成して膜厚分布を測定し、めっき層各部の厚さ
の逆数に比例するように開口率に分布をもたせればよ
い。例えば、カソード外周部での膜厚が中央部での膜厚
の2倍であった場合、攪拌子のカソード外周部に相当す
る領域における開口率を、中央部に相当する領域におけ
る開口率の1/2程度とすればよい。
【0040】ところで、膜厚補正がなされない場合、め
っき層は一般的にカソード103の中央から離れるにし
たがって厚くなり、大面積のカソードほどこの傾向が強
くなる。したがって、通常は、被めっき物であるカソー
ドの外周部を一部覆うような額縁状の遮蔽板をカソード
とアノードとの間に設けることにより、カソード外周部
におけるめっき速度を低下させたり、あるいは、カソー
ドの周囲にこれを包囲するように補助カソードを設けて
実効的なカソード領域を拡張することにより、カソード
外周部におけるめっき層厚の増大を抑えたり、両者を併
用したりすることが一般的である。なお、遮蔽板と補助
カソードとを併用する場合、遮蔽板は補助カソードの外
周部を一部覆うように設けられる。しかし、遮蔽板や補
助カソードを設けるだけでは膜厚分布を完全に解消する
ことは困難である。例えば、遮蔽板を設けた場合には、
カソードの中央部と遮蔽部分との間付近で膜厚が厚くな
ってしまうことがある。これに対し、本発明において攪
拌子の面内で開口率分布を制御すれば、遮蔽板や補助カ
ソードでは補正しきれない膜厚分布を補正することがで
き、一様な厚さのめっき層を得ることができる。
【0041】なお、カソード外周部におけるめっき速度
の補正は、遮蔽板や補助カソードを用いずに攪拌子の開
口率分布制御だけによって行うこともできる。また、そ
の変形例として、攪拌子外周部に、開口の存在しない遮
蔽領域を設けることにより、攪拌子に遮蔽板としての機
能をもたせることも可能である。
【0042】攪拌子104は、絶縁性材料から構成して
もよく、導電性材料から構成してもよい。導電性材料か
ら構成すれば攪拌子104の全面が等電位となるため、
攪拌子104面内の電位分布によるイオン移動への影響
を防ぐことができ、大面積にわたって一様なめっき層を
得やすくなる。導電性材料から構成する場合、攪拌子1
04を電気的に浮いた状態としてもよく、攪拌子104
の電位を積極的に制御してもよい。例えば、攪拌子10
4にイオン移動を抑制する電位を印加し、その電位を制
御すれば、めっき速度を制御することができる。攪拌子
104を構成する絶縁性材料としては、例えば塩化ビニ
ル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの各種樹脂が挙
げられ、導電性材料としては、例えばステンレス(SU
S304、SUS316等)、Ti、Ptなどが挙げら
れる。なお、攪拌子104は、芯材の表面に異種材料を
被覆した構成としてもよい。例えば、絶縁性芯材の表面
に導電性被覆を設けたり、Ti芯材の表面にPt被覆を
設けた構成としてもよい。
【0043】攪拌子104の構造は特に限定されず、通
常の格子のほか、板状体を穿孔したものなどのいずれで
あってもよい。
【0044】次に、電気めっきの際の具体的条件を説明
する。
【0045】コイル導体線条4、スルーホール導体41
およびランド部導体42の材質は下地層3Aと同じとす
ることが好ましいが、必要に応じ別の材料を用いてもよ
い。コイル導体線条4の形成に用いるめっき浴の組成例
としては、銅めっき用の場合、CuSO4・5H2O 1
00〜200g/lおよびH2SO4 30〜300g/lから
なる硫酸銅浴、Cu(BF42 250〜400g/lお
よびHBF4 1〜5g/lからなるホウフッ化銅浴、Cu
CN 60〜80g/l、NaCN 70〜90g/lおよび
KOH 20g/lからなるシアン化物浴を、亜鉛めっき
用の場合、ZnSO4・7H2O 350〜450g/l、
AlCl3・6H2O 10〜30g/l、CH 3COONa
10〜20g/lおよびブドウ糖 100〜120g/lか
らなる酸性浴、Zn(CN)2 50〜70g/l、NaC
N 30〜50g/lおよびNaOH70〜90g/lからな
るアルカリ性浴を、スズめっき用の場合、SnSO4
80〜120g/l、H2SO4 80〜120g/l、クレゾ
ールスルホン酸 80〜120g/lおよびゼラチン 1
〜5g/lからなる硫酸浴、Sn(BF42 150〜2
50g/l、HBF4 80〜120g/l、H3BO3 20
〜30g/lおよびゼラチン 3〜8g/lからなるホウフッ
化浴などをそれぞれ挙げることができる。電気めっきの
際の条件としては、一般に浴温25〜65℃、電流密度
0.5〜10A/dm2とすればよい。
【0046】めっき浴中には、光沢剤を含有させること
が好ましい。無光沢めっき浴を用いると、コイル導体線
条4間を狭くした場合に短絡が生じてしまう。用いる光
沢剤は特に限定されないが、好ましくはポリエーテル系
光沢剤を用いる。
【0047】次いで、コイル導体線条等の導体の露出面
を、保護層5で被覆する。この保護層5は必須ではない
が、設けることが好ましい。保護層5は、下地層3Aを
溶解するエッチング液に対し抵抗性を有する導電性材料
から構成することが必要である。例えば、下地層3Aを
銅から構成し、かつアルカリエッチング液を使用する場
合には、保護層5はニッケル、クロム、はんだ合金、
金、銀、白金などから構成すればよい。保護層5は、電
気めっきまたは無電解めっきにより形成すればよい。保
護層5の厚さは、1〜5μmの範囲が適当であり、この
厚さは、隣り合うコイル導体線条4間の間隔に応じて適
宜調整すればよい。保護層5を電気めっきにより形成す
る場合のめっき浴の組成例としては、ニッケルめっき用
の場合、NiSO4・7H2O 100〜200g/l、N
4Cl 10〜20g/lおよびH3BO3 10〜20g/
lからなる普通浴、NiSO4・7H2O 300〜45
0g/l、NiCl2・6H2O 45〜60g/lおよびH3
BO3 35〜40g/lからなる改良ワット浴、スルファ
ミン酸ニッケル 400〜450g/l、H3BO3 30
〜35g/lおよび湿潤剤0.5〜1.0g/lからなるスル
ファミン浴を、クロムめっき用の場合、CrO3 20
0〜270g/l、H2SO4 1.0〜3.0g/lおよび場
合によりNa2SiF6 5〜10g/lからなるクロム酸
浴をそれぞれ挙げることができる。また、電気めっきの
際の条件は、一般に浴温20〜75℃、電流密度0.5
〜60A/dm2の範囲で選ばれる。また、銀めっきの場合
は、AgCN 30〜40g/l、KCN 50〜65g/l
およびK2CO3 40〜50g/lからなるシアン化物
浴、金めっきの場合、Au 1.5〜3.0g/l、KC
N 10〜20g/lおよびNa2HPO4 4〜8g/lから
なるシアン化物浴が用いられ、一般に、浴温としては前
者が20〜30℃、後者が60〜70℃、電流密度とし
ては、前者が0.3〜1.5A/dm2、後者が0.1〜
0.5A/dm2の範囲内で選ばれる。
【0048】なお、以上の説明においては、保護層5を
コイル導体線条4の頭部4Bに対し独立したものとして
記述したが、本発明における限定に用いるコイル導体線
条4の寸法は、保護層5を含んだ寸法とする。
【0049】(C)工程では、まず、(B)工程までで
得られた積層体に対し、図中上方から積層体全面にわた
って活性線を照射し、マスクパターン11の露出領域だ
けを溶剤可溶化する。次いで、現像処理を施して露光部
分を除去し、下地層3Aをこの部分だけ露出させる。
【0050】次いで、下地層3Aの露出領域を選択的に
エッチングして除去することにより、土台部3が形成さ
れる。このとき、エッチング時間を長くしてマスクパタ
ーン11の下側をオーバーエッチングし、土台部3を頭
部4Bより幅狭としてもよい。なお、このエッチングに
際しては、保護層5には損傷を与えず下地層3Aだけを
選択的に除去しうるエッチング液を用いる。
【0051】この状態で平面コイルとして使用すること
もできるが、マスクパターン11の残存する領域を、レ
ジスト剥離液によって完全に除去してもよい。
【0052】なお、図1では、(C)工程においてマス
クパターン11をエッチングする際に、コイル導体線条
4間の領域だけを除去しているが、そのエッチングの際
に、すべてのマスクパターン11を除去する構成として
もよい。この場合、フォトレジストとしてポジ型のもの
を用いる必要はない。また、この場合、下地層3Aのエ
ッチングには、例えばイオンミリングを利用すればよ
い。
【0053】上記方法は、コイル導体線条4、スルーホ
ール導体41およびランド部導体42を電気めっき法に
より同時に形成する方法である。スルーホール導体41
およびランド部導体42を無電解めっき法により形成し
た場合、スルーホール内およびスルーホール開口におい
てめっき層が等方的に成長するため、0.5≦Tt/L
t≦1.5とすることは容易である。しかし、無電解め
っき法を用いると、作業能率が大幅に低下し、また、材
料費が大きく上昇するので、現実的ではない。これに対
し電気めっき法は、成長速度が速く作業性がよいこと、
材料費が安価であること、例えば硫酸銅めっきの場合に
はめっき液が半永久的に使用でき、廃棄物の発生が比較
的少ないこと、などの利点を有する。電気めっき法では
スルーホール導体を厚くすることが難しいが、上記した
攪拌子を用いる電気めっき法を利用すれば、スルーホー
ル導体を厚くでき、かつ、コイル導体線条のアスペクト
比を高くできるので、本発明の平面コイルが容易に得ら
れる。
【0054】
【実施例】実施例1 3インチ径のガラスエポキシ基板(厚さ100μm)を
絶縁基板2として用い、その所定の位置に直径200μ
mのスルーホール21を設けたのち、絶縁基板2の片面
に、無電解銅めっき液(奥野製薬社製、商品名「ビルド
カッパー」)を用いて銅からなる下地層3Aを形成し
た。
【0055】次に、下地層3Aの上にポジ型フォトレジ
スト(東京応化工業社製、商品名「PMER P−AR
900」)をスピンコートし、常法に従って露光および
現像処理することにより、パターン幅90μm、パター
ン間隔20μmのマスクパターン11を形成した。この
ようにして得たマスクパターン11は、除去された部分
が円形スパイラル状で、最内周の半径は0.9mm、巻数
は11.5回であった。
【0056】次いで、図4に示す構成で電気めっきを行
った。アノード102には含燐銅板(100mm角、厚さ
10mm)を用い、カソード103には上記ガラスエポキ
シ基板を用いた。攪拌子104には塩化ビニル製格子
(150mm角、厚さ10mm、格子幅1mm、格子中心間距
離10mm、開口率91%)を用いた。めっき浴には、高
速硫酸銅めっき液(硫酸銅110g/l、硫酸180g/l、
ポリエーテル系光沢剤2.5ml/l)を用いた。めっき浴
温度は35℃とし、電流密度は10A/dm2とした。カソ
ード103を、厚さ5mmのSUS304板の中央に設け
られたカソードホルダに取り付け、アノード102、カ
ソード103および攪拌子104が互いに平行となるよ
うにめっき槽内に配置した。なお、SUS304板表面
のうちカソード103が覆っていない領域は電気的に絶
縁した。また、内径100mmの開口を有する補助カソー
ドを設け、カソード103をその開口内に位置させた。
アノード102とカソード103との距離は50mm、攪
拌子104とカソード103との距離は10mmとした。
また、カソード103からアノード102側に2mm離れ
た位置に、遮蔽板を配置した。この遮蔽板は、内径96
mmの開口を有する塩化ビニル板であり、その開口の中央
がカソード103の中央と重なるように配置した。次
に、めっき浴中で攪拌子104をその面内において直径
10mmの軌跡を描くように円運動させながら電気めっき
を行い、断面マッシュルーム状のコイル導体線条4、ラ
ンド部導体42およびスルーホール導体41を同時に形
成した。
【0057】続いて、NiSO4・7H2O 280グラ
ム/リットル、NiCl2・6H2O45グラム/リット
ルおよびH3BO3 40グラム/リットルを含む光沢ワ
ット浴を用い、導体の露出部全面にNiからなる膜厚2
μmの保護層5を形成した。
【0058】このようにして得たコイル基板を十分に乾
燥させたのち、保護層5で被覆したコイル導体線条4を
マスクとして紫外線の全面照射を行って、隣り合う線条
間に存在するポジ型フォトレジストのみを露光させ、次
いで現像液(東京応化工業社製、商品名「P−7G」)
により露光部分を溶解除去した。
【0059】次いで、アルカリエッチング液(メルテッ
クス社製、商品名「エープロセス」)を用いて、隣り合
う線条間に露出した下地層3Aをエッチングした。
【0060】このようにして得た平面コイルでは、 Hw=100μm、 Nw=20μm、 Gw=10μm、 Fh=80μm、 Hh=75μm、 St=100μm、 Lt=80μm、 Tt=70μm、 Td=200μm であった。したがって、 Tt/Lt=0.875、 Hh/0.5(Hw−Nw) =75/40 =1.875、 St/Td=0.5 であり、本発明の平面コイルが得られたことになる。な
お、この平面コイルでは、Td−2Tt=60(μm)
なので、スルーホール内には直径60μmの貫通孔が存
在する。
【0061】実施例2 コイル導体線条4の高さFhおよびランド部導体42の
厚さLtが120μmとなるまで電気めっきを行ったほ
かは実施例1と同様にして、平面コイルを作製した。こ
の平面コイルでは、スルーホール21内がスルーホール
導体41により完全に埋まっていた。すなわち、Tt=
100μmであった。なお、Hwは実施例1と同じであ
ったので、 Tt/Lt=0.83、 Hh/0.5(Hw−Nw) =115/40 =2.875 となる。
【0062】実施例3 下地層3Aをあらかじめスパイラル状にエッチングして
おいたほかは実施例1と同様にして、平面コイルを作製
した。ただし、下地層3Aのパターニングに伴う電気抵
抗の増大に対応させるために、電流密度は実施例1の7
0%とした。この平面コイルでは、Tt=65μm、L
t=70μmとなったので、 Tt/Lt=0.93、 Hh/0.5(Hw−Nw)=1.62 となった。
【0063】比較例 導体を形成する際に反対面を粘着テープで被覆すること
により、絶縁基板の一方の面と他方の面とで独立して電
気めっきを行い、そのほかは実施例1と同様にして平面
コイルを作製した。この平面コイルでは、電気めっきの
際にスルーホール内でのめっき液の流動が不十分であっ
たため、Lt=80μmは実施例1と変わらなかったが
Tt=15μmとなったので、Tt/Ltは0.187
5と著しく小さくなった。
【0064】
【発明の効果】本発明では、絶縁基板の両面にコイル導
体線条を有し、これらがスルーホール導体を介して直列
接続されている平面コイルにおいて、スルーホール導体
を厚く形成できるので、スルーホール導体と基板上の導
体(ランド部導体)との膜厚差を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平面コイルの製造方法の一例における
工程の流れを示す断面図である。
【図2】本発明の平面コイルの構成例を示す断面図であ
る。
【図3】本発明の平面コイルのコイル導体線条付近の断
面図である。
【図4】本発明で好ましく用いられる電気めっき方法に
おけるめっき槽内の構成を説明する図である。
【図5】図4に示す配置を、攪拌子104とカソード1
03とを結ぶ方向から見た図である。
【符号の説明】
2 絶縁基板 3 土台部 3A 下地層 4 コイル導体線条 4A 首部 4B 頭部 41 ランド部導体 42 スルーホール導体 5 保護層 11 マスクパターン

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルーホールを備える絶縁基板を有し、
    この絶縁基板の両面にそれぞれ螺旋状のコイル導体線条
    が形成されており、スルーホールの内壁面にスルーホー
    ル導体が存在し、スルーホール開口付近にランド部導体
    が存在し、コイル導体線条、スルーホール導体およびラ
    ンド部導体が電気めっき法により一体的に形成されたも
    のであり、 コイル導体線条の延びる方向に垂直な断面におけるコイ
    ル導体線条断面の形状が、矩形の首部と、この首部上に
    張り出した頭部とを有するものであり、 スルーホール内壁面から測定したスルーホール導体の厚
    さをTt、絶縁基板表面から測定したランド部導体の厚
    さをLtとしたとき、 0.5≦Tt/Lt≦1.5 であり、 スルーホールの直径をTd、絶縁基板の厚さをStとし
    たとき、 0.07≦St/Td≦2 であり、 前記断面において、前記頭部の高さをHh、幅をHwと
    し、前記首部の幅をNwとしたとき、 1.4≦Hh/0.5(Hw−Nw)≦20 である平面コイル。
  2. 【請求項2】 スルーホールがスルーホール導体により
    塞がれている請求項1の平面コイル。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の平面コイルを製造す
    る方法であって、 絶縁基板両面のコイル導体線条、スルーホール導体およ
    びランド部導体を電気めっき法により同時に形成するに
    際し、 複数の孔が設けられた板状体である攪拌子を、アノード
    とカソードとの間に配置すると共に、アノードとカソー
    ドとを結ぶ方向に対しほぼ垂直な面内で揺動させながら
    電気めっきを行う平面コイルの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2の平面コイルを複数積
    層して構成されるトランス。
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