JP4260217B1 - アルカリ電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】強負荷放電性能および中負荷放電性能が従来よりも優れたアルカリ電池を提供する。
【解決手段】正極、負極、正極と負極との間に介在するセパレータおよびアルカリ電解液を具備し、正極は、二酸化マンガンおよび黒鉛を含み、二酸化マンガンにおける細孔径3〜5nmの積算細孔容積がX(cm3/g)であり、二酸化マンガンを加熱した時の150〜400℃の重量減少率がY(%)であり、0.005≦X≦0.011、3.4≦Y≦3.9、および−16.7X+3.58≦Y≦66.7X+3.17を満たし、負極は、亜鉛を含み、アルカリ電解液は、水酸化カリウム水溶液を含む、アルカリ電池。
【選択図】図3

Description

本発明は、アルカリ電池に関し、特にその正極に含まれる二酸化マンガンの改良に関する。
近年、アルカリ電池は、低負荷から強負荷までの全域の放電性能の向上が期待されており、特に中負荷での放電性能を伸ばすことが望まれている。強負荷での放電は、デジタルスチルカメラが主な用途であり、中負荷での放電はポータブル音楽機器が主な用途である。しかし、中負荷(単三型電池において0.1〜0.4A程度の電流)領域での放電性能を伸ばすことは困難であり、他の負荷領域の性能を低下させずに、中負荷放電性能を伸ばす技術が望まれている。
アルカリ電池の正極に含まれる二酸化マンガンは、その結晶構造中に構造水(または結晶水)を含む。従来、強負荷放電性能を向上させる観点から、構造水を増加させた二酸化マンガンを用いることが提案されている。
例えば、特許文献1は、加熱した際の200〜400℃の重量減少率が2.7%以上の二酸化マンガンを用いることを提案している。この場合、150〜400℃の重量減少率は3.2%以上になると考えられる。
非特許文献1は、二酸化マンガンの合成条件を制御して、二酸化マンガンの結晶構造を変化させることにより、強負荷放電性能を向上させることを提案している。
非特許文献2によると、150〜400℃付近の重量減少率は、二酸化マンガン固相内のMnの欠損量を反映するとされている。Mnの欠損が多いと、二酸化マンガン固相内での水素イオンの移動が速くなる。よって、大きな電流が流れる場合、放電分極が小さくなり、放電性能が良好になると考えられる。そこで、Mnの欠損が多くなるような合成条件が検討されている。
なお、特許文献2は、アルカリ亜鉛電池において、1Aで連続放電するときの特性を向上させる観点から、二酸化マンガンの細孔容積を0.035cm3/g〜0.050cm3/gとすることを提案している。
また、特許文献3は、電解合成の条件を制御することにより、強負荷放電に適した二酸化マンガンを製造する方法を提案している。
特開2004−186127号公報 特表2005−520290号公報 特表2002−533288号公報 第44回電池討論会講演要旨集、p.656−657 Paul Reutschi et al., J. Electrochem. Soc.,Vol. 135, No. 11 (1988), p2663-2669
従来のように、二酸化マンガン中の構造水を増加させるだけでは、強負荷放電性能と中負荷放電性能の両方を向上させることができない。アルカリ電池の強負荷放電性能と中負荷放電性能の両方の向上を実現するためには、構造水の含有量を制御するだけでなく、構造水の含有量と二酸化マンガンの他の物性との関係を制御することが必要と考えられる。
本発明は、正極、負極、正極と負極との間に介在するセパレータおよびアルカリ電解液を具備し、正極は、二酸化マンガンと黒鉛とを含み、二酸化マンガンにおける細孔径3〜5nmの積算細孔容積がX(cm3/g)であり、二酸化マンガンを加熱した時の150〜400℃の重量減少率がY(%)であり、0.005≦X≦0.011、3.4≦Y≦3.9、および−16.7X+3.58≦Y≦66.7X+3.17を満たし、負極は、亜鉛を含み、アルカリ電解液は、水酸化カリウム水溶液を含む、アルカリ電池に関する。
本発明は、特に単三型のアルカリ電池に有効である。本発明によれば、例えば、1.2Aで2秒間放電し、更に0.5Aで28秒間放電するパターン放電を、10サイクル連続で繰り返した後、55分間休止するという操作を、電池電圧が1.05Vになるまで行った場合、前記パターン放電のサイクル数が130サイクル以上である単三型のアルカリ電池を提供することができる。
また、本発明によれば、例えば0.25Aで1時間放電し、23時間休止するという操作を電池電圧が0.9Vになるまで行った場合の放電時間が9.2時間以上である単三型のアルカリ電池を提供することができる。すなわち、本発明の単三電池は、0.25Aで1時間放電し、23時間休止するという操作を9回繰り返した後、更に0.25Aで0.2時間以上の放電を行うことができる。これにより、電池の使用者にとっては大幅な性能アップを体感することができる。従来は、上記のような間欠放電の操作を繰り返すと、9回目の放電の途中で放電が不可能となり、9時間が放電時間の限界であると考えられていた。
本発明のアルカリ電池は、例えば、(i)硫酸および硫酸マンガンを含む電解浴中で、細孔径3〜5nmの積算細孔容積がX(cm3/g)であり、加熱した時の150〜400℃の重量減少率がY(%)であり、0.005≦X≦0.011、3.4≦Y≦3.9、および−16.7X+3.58≦Y≦66.7X+3.17を満たす電解二酸化マンガンを得る工程、(ii)前記二酸化マンガンと黒鉛とを含む正極合剤を調製し、正極合剤を中空円筒型に成形して正極を得る工程、(iii)亜鉛を含むゲル状の負極を得る工程、(iv)開口を有する有底の電池ケースに正極を挿入し、正極の中空にセパレータを介して負極を充填し、電池ケースの開口を封口する工程、を有する製造方法により製造することができる。
工程(i)では、電解開始時よりも電解終了時における電解浴の硫酸濃度が高くなるように制御することが好ましい。
例えば、電解開始から電解終了までの間、電解浴の水素イオン濃度を1時間あたり0.2〜1%の割合で増加させることが好ましい。
水素イオン濃度は、硫酸および硫酸マンガンを含む水溶液を、電解浴に所定速度で供給することにより、変化させることができる。
ここで、工程(i)は、(a)電解開始時に電流密度をA1に設定し、T1時間の電解を行う第1電解工程、(b)第1電解工程の後、電流密度をA1より大きいA2に設定し、T2時間の電解を行う第2電解工程、(c)第2電解工程の後、電流密度をA2より大きいA3に設定し、T3時間の電解を行う第3電解工程、を含むことが好ましい。
本発明によれば、強負荷放電性能と中負荷放電性能の両方が、従来よりも向上したアルカリ電池を得ることができる。ここで、強負荷放電性能とは、特に間欠パルス放電性能を意味し、中負荷放電性能とは、特に中負荷間欠放電性能を意味する。本発明の効果は、間欠パルス放電性能および中負荷間欠放電性能において顕著に現れる。
間欠パルス放電は、デジタルスチルカメラのフラッシュ撮影等で必要な電力を供給するものであり、通常の強負荷連続放電とは異なる特徴を有する。例えば、放電深度が大きくなると、間欠パルス放電では、分極抵抗の影響により、電圧降下が起こりやすい。これは、強負荷連続放電の場合のように、放電末期に分極緩和が起こらないためである。強負荷連続放電の場合、放電中期以降に電池内にジュール熱が蓄積され、電池内温度が上昇する。この温度上昇により、放電末期における濃度分極が緩和される。一方、間欠パルス放電の場合、休止期間が存在するため、電池内にジュール熱が蓄積されにくく、分極緩和が起こらない。よって、分極抵抗の影響が顕著となりやすい。
中負荷間欠放電は、特にポータブル音楽機器等に必要な電力を供給するものであり、単三型電池は0.1〜0.4A程度の中程度の電流値で間欠的に放電される。この場合、単三型電池は、二酸化マンガンの反応利用率が72%を超えるような放電深度まで使われるため、放電による分極抵抗が大きくなる。
二酸化マンガンの細孔径3〜5nmの積算細孔容積X(cm3/g)と、二酸化マンガンを加熱したときの150〜400℃の重量減少率Y(%)とを、適正範囲に制御することにより、強負荷放電と中負荷放電の両方において良好な放電性能を有するアルカリ電池が得られる。
強負荷放電時と中負荷放電時の両方において分極を小さくし、放電性能を伸ばすためには、二酸化マンガンを加熱したときの150〜400℃の重量減少率Y(%)を3.4%以上、3.9%以下に維持するとともに、二酸化マンガンの細孔径3〜5nmの積算細孔容積X(cm3/g)を0.005cm3/g以上、0.011cm3/g以下に制御することが有効である。
従来、電解二酸化マンガンの合成条件としては、Mnの欠損が多くなるような合成条件、すなわち150〜400℃の重量減少率が大きくなるような合成条件が有効とされてきた。そのため、電流密度を大きくしたり、酸濃度を高くしたり、電解温度を低くしたり、もしくはこれらを組み合わせたりして、電解二酸化マンガンを合成し、これをアルカリ電池の正極に用いている。しかし、強負荷放電と中負荷放電の両方の放電性能が十分に向上しない。これは、Mnの欠損量だけではなく、細孔径3〜5nmの積算細孔容積が、強負荷放電性能と中負荷放電性能に大きく影響するためである。
電解二酸化マンガンは、針状結晶子で構成されている。針状結晶子は、長さ数十〜数百nm、太さ(径)数十nm程度の大きさを有する。このような針状結晶子の隙間が、細孔径3〜5nmの積算細孔容積に相当すると考えられる。ここで、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は、図1Aおよび図1Bが示すように、針状結晶子のサイズを反映していると考えられる。
図1Aが示すように、電解二酸化マンガン粒子1を構成する結晶子2が大きい場合、細孔径3〜5nmの細孔3の量は少なくなり、その積算細孔容積は小さくなる。一方、図1Bが示すように、電解二酸化マンガン粒子1を構成する結晶子2が小さい場合、細孔径3〜5nmの細孔3の量は多くなり、その積算細孔容積は大きくなる。
以上のように、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は、二酸化マンガンの結晶性の指標となる。二酸化マンガンの結晶性については、これまでに、粉末X線回折測定で得られるミラー指数、具体的には(110)面に帰属されるピークの半価幅がこれを反映しているとの報告例がある。しかし、この半価幅は、Mnの欠損量によっても左右されるため、結晶子の状態を知るための正確な指標として用いることは困難である。一方、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は、結晶子の状態をより正確に反映している。
細孔径3〜5nmの積算細孔容積は、以下のメカニズムで放電性能に影響していると考えられる。二酸化マンガンが放電すると、結晶の膨張が起こり、結晶子の間隔が増大し、凝集の乖離などが起こると考えられる。このような現象が起こると、結晶子間の電子伝導が低下し、更に、結晶子の隙間におけるイオン伝導も不利となることから、放電分極が増大し、放電性能は低下する。特に強負荷放電においては、二酸化マンガンの反応利用率が20〜30%とそれほど大きくない場合でも、電流値が高いため、分極抵抗による電圧降下が大きくなり、放電性能の低下が著しくなる。
Mn欠損を増加させた二酸化マンガンであっても、細孔径3〜5nmの積算細孔容積が大きい場合には、結晶子サイズが小さいため、結晶子間の電子伝導および結晶子の隙間におけるイオン伝導の低下が著しくなり、十分に高い放電性能を得ることができない。一方、細孔径3〜5nmの積算細孔容積が小さい場合は、放電が進んでも、上記のような不利な状態になりにくいため、放電性能が低下しにくいと考えられる。
また、中負荷放電性能の場合には、二酸化マンガンの反応利用率が72%以上となるような場合があり、二酸化マンガンの結晶子の膨張率が大きくなる。そのため、結晶子間の電子伝導と結晶子の隙間におけるイオン伝導とが非常に困難となる。よって、分極抵抗による電圧降下が大きくなり、放電性能の低下が著しくなる。一方、Mn欠損を増加させた二酸化マンガンであって、かつ細孔径3〜5nmの積算細孔容積0.011g/cm3以下と小さい場合には、放電が進んでも、上記のような不利な状態になりにくいため、放電性能が低下しにくいと考えられる。
すなわち、150〜400℃の重量減少率に反映されるMn欠損量を増加させ、かつ細孔径3〜5nmの積算細孔容積を小さくした二酸化マンガンは、強負荷放電性能と中負荷放電性能の両方に優れたアルカリ電池を与えると考えられる。しかし、従来の電解二酸化マンガンの合成条件では、上記のようにマンガン欠損と細孔径3〜5nmの積算細孔容積とが適正範囲に制御された二酸化マンガンが得られない。その理由を以下に述べる。
電解二酸化マンガンの合成は、硫酸マンガンおよび硫酸を含む電解浴を用いて行われる。電解二酸化マンガンを合成する際、電解浴中の硫酸濃度、電解温度、電流密度等を制御することにより、Mn欠損量や結晶性が変化することが知られている。しかし、従来の電解二酸化マンガンの合成は、一定の電流値で行なわれている。また、電解浴中の硫酸濃度は、ほぼ一定になるように制御される。若干の濃度変化が見られるが、所定濃度の前後5%程度の範囲内で不規則に変化する程度である。硫酸濃度が定常的に増加したり、安定した変化率で変化したりすることはない。
電流値および電解浴中の硫酸濃度をほぼ一定に制御する場合、Mn欠損量を増加させる方向に条件を変えると、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は増える傾向がある。一方、細孔径3〜5nmの積算細孔容積を減少させる方向に条件を変えると、マンガン欠損量が減少する傾向がある。そのため、Mn欠損量と細孔径3〜5nmの積算細孔容積の両方を理想的な適正範囲に制御することはできない。なお、上記のような傾向は、本発明が達成される過程で発明者らによって発見された重要な知見である。このような知見がなければ、従来の電解二酸化マンガンの合成条件を大幅に変更する動機付けは生じないと考えられる。
一方、電解開始時よりも電解終了時における電解浴の硫酸濃度が高くなるように制御することにより、Mn欠損が多く、かつ細孔径3〜5nmの積算細孔容積の小さな二酸化マンガンを合成できる。例えば、電解開始から電解終了までの間、硫酸濃度を定常的に増加させることが好ましい。硫酸濃度の変化率は、特に限定されないが、電解浴の水素イオン濃度(硫酸濃度)を1時間あたり0.2〜1%の割合で増加させることが好ましく、0.3〜0.5%の割合で増加させることが特に好ましい。水素イオン濃度は、例えば、硫酸および硫酸マンガンを含む水溶液を、電解浴に所定速度で供給することにより制御できる。電解の進行により、電解浴中のマンガンイオンおよび水素イオンは消費される。よって、消費されるイオン量を考慮して、硫酸および硫酸マンガンを含む水溶液の供給速度を制御する。
また、電解開始時には電流密度を小さくし、次第に電流密度が大きくなるように制御することが有効である。
以下、好ましい電解二酸化マンガンの合成条件を例示する。
電解浴の硫酸マンガン濃度は、例えば20〜180g/Lの範囲であり、電解中の電解浴の温度は95℃±2℃程度が好適である。まず、電解開始時に電流密度をA1に設定し、T1時間の第1電解を行う。続いて、電流密度をA2に設定し、T2時間の第2電解を行う。その際、電流密度A2はA1より大きく設定する。例えば、2A1≦A2を満たすことが好ましく、5A1≦A2を満たすことが更に好ましい。
その後、電流密度をA3に設定し、T3時間の第3電解を行う。その際、電流密度A3はA2より大きく設定する。例えば、2A2≦A3を満たすことが好ましく、5A2≦A3を満たすことが更に好ましい。その後、更に、徐々に電流密度を大きくして所定時間の電解を行う操作を繰り返してもよいが、第1および第2電解の時間を短く設定し、その後、第3電解を一定の電流密度で連続的に行うことが効率的である。
上記のような段階的な電解を行うことにより、電解の初期においては反応が緩やかに進み、安定した結晶成長が進行する。T1、T2およびT3は、特に限定されないが、電流密度が小さい期間はそれほど長くなくてもよい。例えば、T1およびT2は、それぞれ独立に0.5〜3分間程度であることが好ましい。T3はT1およびT2と同様に短くてもよいが、その後、A3よりも更に大きな電流密度A4で、より長時間の電解を行う。
例えば、電解開始時に電流密度を0.05mA/cm2に設定し、1分間の電解を行い、続いて電流密度を0.5mA/cm2に設定し、1分間の電解を行い、その後、電流密度を最終の5mA/cm2に設定し、連続的に24時間程度の電解を行う。
電解浴の硫酸濃度は、電解開始時よりも電解終了時に高くなるように制御する。例えば、電解開始時の電解浴中の硫酸濃度は10〜100g/Lに設定し、電解期間中、ほぼ一定の増加率で最終30〜120g/Lに至るように硫酸濃度を変化させる。電解終了時の硫酸濃度(水素イオン濃度)が電解開始時の1.2〜1.7倍程度になるように制御することが好ましい。例えば、電解開始時に、電解浴中の硫酸濃度を30g/L、硫酸マンガン濃度を50g/L、電解温度を95℃±2℃に設定し、24時間の電解期間中、ほぼ一定の濃度変化で最終45g/Lまで増加させる。
電解開始時に小さな電流密度で電解を開始する場合、安定した結晶成長が進行する。また、電解浴中の硫酸濃度を徐々に増加させることにより、Mn欠損量は多いが、結晶子が大きい(結晶性の高い)二酸化マンガンが生成する。すなわち、二酸化マンガンの150〜400℃の重量減少率と、細孔径3〜5nmの積算細孔容積とを、適正範囲に制御することができる。一方、硫酸濃度が高い電解条件では、一般的に結晶核の生成頻度が高く、小さな一次粒子が多く生成するため、結晶性が低下すると考えられる。
二酸化マンガンにおける細孔径3〜5nmの積算細孔容積X(cc/g)がX>0.011の場合、二酸化マンガンの結晶性が低過ぎ、強負荷放電性能が向上しない。一方、X≦0.011であれば、結晶子が十分に大きく膨張しにくいため、分極が抑制されやすい。X値は小さい方が好ましいが、X<0.005になると、結晶性が極めて高いため、結晶子が過度に大きくなり、反応面積が減少する傾向がある。よって、X値は、0.005≦X≦0.011を満たす必要がある。
二酸化マンガンの150〜400℃の重量減少率Y(%)がY<3.4の場合、二酸化マンガンのMn欠損量が少なすぎると考えられる。よって、固相内を水素イオンが迅速に移動できないため、放電分極が低減せず、強負荷放電性能が向上しない。固相内の水素イオンの移動をより容易にする観点から、3.4≦Yとする必要がある。一方、Y値は大きい方が好ましいが、Y>3.9になると、Mn欠損量が多くなるため、放電により水素イオンが結合できるMn量が減少する傾向がある。また、Y>3.9になると、電解の進行中に水の分解反応が起こり易い。よって、Y値は、3.4≦Y≦3.9を満たす必要がある。
更に、XおよびYは、二酸化マンガン固相内のMn欠損量と細孔径3〜5nmの積算細孔容積とのバランスの観点から、また、Mn欠損量と結晶性とのバランスの観点から、−16.7X+3.58≦Y≦66.7X+3.17を満たす必要がある。
本発明を単三型のアルカリ電池に適用し、1.2Aで2秒間放電し、更に0.5Aで28秒間放電するパターン放電を、10サイクル連続で繰り返した後、55分間休止するという操作を、電池電圧が1.05Vになるまで行った場合、前記パターン放電のサイクル数は140サイクル以上を達成することができる。ただし、前記パターン放電のサイクル数が130サイクル以上であれば、十分に優れた強負荷放電性能であると言える。
また、本発明を単三型のアルカリ電池に適用し、0.25Aで1時間放電し、23時間休止するという操作を電池電圧が0.9Vになるまで行った場合、9.2時間以上の放電時間を達成することができる。
電解二酸化マンガンの合成に用いる陽極は、チタン板が好ましく、陰極は、黒鉛板または白金板が好ましい。陽極と陰極との間の距離は、例えば2〜3cmに設定する。陽極を一対の陰極で挟んだ状態で電解を行うことが効率的である。陽極および陰極の形状は、特に限定されないが、例えば矩形で板状の電極を用いることができる。
合成された二酸化マンガンは、粗粉砕後、温水による洗浄を行い、微粉砕後、NaOH水溶液で中和し、乾燥させる。二酸化マンガンの平均粒径(メジアン径)は、25〜50μmが好ましい。
なお、本発明のアルカリ電池に用いられる二酸化マンガンは、電解二酸化マンガンに限定されない。化学合成で得られた二酸化マンガンや天然の二酸化マンガンを用いることもできる。一種または複数種の二酸化マンガンを混合して用いることもできる。ただし、特に電解二酸化マンガンが好ましい。
二酸化マンガンの結晶構造は、一般的にガンマ型またはイプシロン型と呼ばれるものが好ましい。ただし、二酸化マンガンの結晶構造は複雑であり、厳密な定義はなされていないのが実状である。
正極を得る際には、まず、細孔径3〜5nmの積算細孔容積がX(cm3/g)であり、加熱した時の150〜400℃の重量減少率がY(%)であり、0.005≦X≦0.011、3.4≦Y≦3.9、および−16.7X+3.58≦Y≦66.7X+3.17を満たす電解二酸化マンガンと、黒鉛を含む導電剤と、を含む正極合剤を調製する。正極合剤は、その成形性を高めるために、ポリエチレンなどの結着剤を含んでもよい。その後、正極合剤を中空円筒型のペレットに成形することにより、正極が得られる。
正極の導電剤としては、人造黒鉛粉末を用いることが好ましいが、天然黒鉛、膨張黒鉛、繊維状黒鉛などを用いることもできる。また、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラックなど、黒鉛以外の炭素系導電剤を用いてもよい。黒鉛の量は、二酸化マンガン100重量部に対し、4〜8重量部であることが好ましい。
負極には、一般に、亜鉛を主成分とする合金粉末と、ポリアクリル酸ナトリウムなどのゲル化剤と、アルカリ電解液と、を混合して得られるゲル状負極が用いられる。負極は、合金粉末の防食性や安定性を向上させる有機または無機の添加剤を含んでもよい。合金粉末は、アルカリ水溶液中で安定であり、かつ卑な電位を示し、放電可能であればよい。合金粉末は、インジウム、ビスマス、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウムなどから選ばれる少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。
セパレータには、一般に、耐アルカリ性のレーヨン、ビニロン、パルプ等を含む不織布が用いられるが、プラスチック樹脂で構成された不織布や多孔膜などを用いてもよい。
アルカリ電解液には、一般に、水酸化カリウム(KOH)および酸化亜鉛(ZnO)を含む水溶液が用いられる。アルカリ電解液中のKOH濃度は、30〜38重量%が好適である。アルカリ電解液中のZnO濃度は、1〜5重量%が好適である。アルカリ電解液は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムおよび水酸化カルシウムから選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。
アルカリ電池は、開口を有する有底の電池ケースに正極を挿入し、正極の中空にセパレータを介して負極を充填し、電池ケースの開口を封口することで得られる。
電池のサイズ、形状は、特に限定されない。本発明は、特に単一型(Dサイズ)、単二型(Cサイズ)、単三型(AAサイズ)および単四型(AAAサイズ)の電池において有効であるが、単三型(AAサイズ)の円筒型電池において最も大きな発明の効果が得られる。電池の外装には、一般に、鉄にニッケルメッキを施したケースが用いられるが、これに限定されない。ケースの材質はプラスチック樹脂でもよい。
なお、本発明のより顕著な効果を得る観点から、単一型、単二型、単三型および単四型の電池は、それぞれ1個あたり、50g以上、21g以上、8.6g以上および3.6g以上の二酸化マンガンを含むことが好ましい。
上記条件を満たす場合には、従来に比べて飛躍的に高性能なアルカリ電池を得ることが可能となる。
以下、二酸化マンガンの物性の測定方法について説明する。
(A)二酸化マンガンを加熱した時の150〜400℃の重量減少率
測定前の二酸化マンガンの初期状態は、20〜22℃、相対湿度40℃の環境で十分に平衡に達した状態とする。
二酸化マンガンを加熱した時の重量減少率は、熱重量分析により測定することができる。測定装置には、理学電機(株式会社リガク)製のThermoPlusTG−DTA用いることができる。標準試料としてアルミナ粉末を用い、試料パンにはアルミナ製試料パンを用いる。約10mgの二酸化マンガン粉末を入れた試料パンを装置内に設置し、空気を100ml/分で流通させながら、10℃/分で室温から昇温する。得られた測定データから、400℃と150℃の重量差を求める。この重量差を二酸化マンガンの初期重量で割った値を重量減少率(補正前)とする。
二酸化マンガンを含まない空の試料パンを用いて空測定を行い、得られたデータを用いて、重量減少率(補正前)の補正を行う。補正は、装置の天秤が熱により生じる誤差を是正するために行う。
(B)細孔径3〜5nmの積算細孔容積
細孔径3〜5nmの積算細孔容積の測定には、BJH(Barrett,Joyner and Halenda)法を用いる。
測定前の処理として、試料を120℃で1時間、0.005Torrで減圧乾燥する。
測定装置には、マイクロメリテック社製のASA2010装置を用い、吸着ガスには窒素を用いる。単位重量あたりの二酸化マンガンが有する3nm以上、5nm以下の積算細孔容積(cm3/g)は、窒素の脱着時の細孔データより、以下の要領で求められる。
まず、図2に示すような細孔径分布図(積算細孔容積と細孔径との関係図)を求める。次に、3nmまでの積算細孔容積から、5nmまでの積算細孔容積を減じることにより、3nm以上、5nm以下の積算細孔容積の絶対量(cm3)を求める。得られた絶対量を二酸化マンガンの初期重量(g)で除することにより、単位重量あたりの二酸化マンガンが有する3nm以上、5nm以下の積算細孔容積(cm3/g)が算出される。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)電解二酸化マンガンの合成
2L容量の丸底セパラブルフラスコを電解槽とし、5cm×5cmで厚さ1mmのチタン板を陽極、3cm×3cmで厚さ0.2mmの白金板を陰極として用いた。陽極の両側に各2cmの距離を空けて一対の陰極を配置した。
電解開始時の電解浴の溶液には、硫酸濃度30g/L、硫酸マンガン濃度50g/Lの水溶液を用いた。硫酸マンガンおよび硫酸は、いずれも関東化学(株)製の特級試薬を用いた。
電解反応による変化を加味し、24時間の電解終了時に硫酸濃度が40g/Lに至るように、ほぼ一定の割合(1時間あたり1.4%の割合)で、水素イオン濃度(硫酸濃度)を変化させた。ここでは、硫酸、純水および硫酸マンガンの溶液を、ほぼ一定の割合で電解浴に供給した。
電解温度は、電解槽をマントルヒーターにて調温することにより、95±1℃に設定した。連続電解時間を24時間として、電流密度5mA/cm2で電解した。ただし、電解開始時から最初の1分間は0.05mA/cm2で、続く1分間は0.5mA/cm2で電解を行った。
電解終了後、二酸化マンガンをチタン板から剥し、約300μmに粗粉砕し、60℃のイオン交換中で洗浄し、デカンテーションにより水溶液のpHが6になるまで中和した。その後、二酸化マンガンを乾燥させ、平均粒径40μmまで粉砕した。この粉末10gに対し100mLのイオン交換水を入れ、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、上澄みのpHが6になるまで中和した。その後、粉末を90℃で2時間乾燥し、正極に用いる二酸化マンガンを得た。
上記評価方法(A)および(B)に基づき、得られた二酸化マンガンの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は3.5%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.005cm3/gであった。
(2)正極の作製
電解二酸化マンガンと、黒鉛とを、重量比94:6の割合で配合した。配合物100重量部あたり、水酸化カリウム濃度35重量%の水溶液を1重量部添加し、ミキサーにより混合して、正極合剤を得た。この正極合剤をローラーコンパクタと粉砕機により、平均粒径約150μmの粒子に造粒した。得られた粒子を、金型を用いて中空円筒型のペレットに加圧成型し、正極を得た。
(3)アルカリ電池の作製
図3に示すような単三型の円筒型のアルカリ電池を作製した。
正極端子を兼ねる電池ケース11には、ニッケルメッキが施された鉄製の缶状ケースを用いた。電池ケース11の内面には、黒鉛塗装膜を形成した。この電池ケースに正極合剤のペレットを複数個挿入し、正極12とした。加圧治具により正極12を再加圧して電池ケース11の内壁に密着させた。電池1個あたりの二酸化マンガンの充填量は10.24gとした。正極12の中空には、有底円筒形のセパレータ14を配置した。セパレータ14内に、アルカリ電解液として水酸化カリウム濃度33重量%の水溶液を所定量注入し、正極12とセパレータ14とを湿潤させた。アルカリ電解液の注液後、所定時間経過した後、セパレータ14の内側にゲル状負極13を充填した。
ゲル状負極13には、負極活物質である亜鉛合金粉末と、ゲル化剤であるポリアクリル酸ナトリウムと、アルカリ電解液(水酸化カリウム濃度33重量%の水溶液)とを、64.06:0.74:35.2の重量比で混合して得た。亜鉛合金粉末に含ませる亜鉛以外の金属は、インジウム0.02重量%、ビスマス0.005重量%、アルミニウム0.005重量%とした。
セパレータ14には、ポリビニルアルコール繊維およびレーヨン繊維を主体として混抄した不織布を用いた。
セパレータ14の内側に充填されたゲル状負極13の中央には、樹脂製のガスケット15および負極端子を兼ねた底板17と一体化させた負極集電体16を差し込んだ。ガスケット5と負極集電体16との密着部分には、封止剤を塗布し、乾燥させた。その後、電池ケース11の開口端部をガスケット15の端部を介して底板17の周縁部にかしめつけ、電池ケース11の開口部を封口した。電池ケース11の外表面は、外装ラベル18で被覆した。封止剤には、ポリアミド樹脂50重量部と、キシレン35重量部と、ブタノール15重量部との混合物を用いた。
電解開始時の硫酸濃度を25g/L、24時間後の電解終了時の硫酸濃度を35g/Lとしたこと以外、実施例1と同様にして、電解二酸化マンガンを合成し、これを用いてアルカリ電池を作製した。水素イオン濃度は、1時間あたり1.7%の割合で変化させた。
得られた二酸化マンガンの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は3.4%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.011cm3/gであった。
《比較例1》
電解開始時の硫酸濃度を75g/L、24時間後の電解終了時の硫酸濃度を90g/Lとしたこと以外、実施例1と同様にして、電解二酸化マンガンを合成し、これを用いてアルカリ電池を作製した。水素イオン濃度は、1時間あたり0.8%の割合で変化させた。
得られた二酸化マンガンの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は4.2%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.015cm3/gであった。
電解開始時の硫酸濃度を55g/L、24時間後の電解終了時の硫酸濃度を70g/Lとしたこと以外、実施例1と同様にして、電解二酸化マンガンを合成し、これを用いてアルカリ電池を作製した。水素イオン濃度は、1時間あたり1.1%の割合で変化させた。
得られた二酸化マンガンの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は3.7%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.011cm3/gであった。実施例3の二酸化マンガンの細孔径分布図(積算細孔容積)を図2に示す。
《比較例2》
電解開始時の硫酸濃度を35g/L、24時間後の電解終了時の硫酸濃度を50g/L、電解温度を90℃としたこと以外、実施例1と同様にして、電解二酸化マンガンを合成し、これを用いてアルカリ電池を作製した。水素イオン濃度は、1時間あたり1.8%の割合で変化させた。
得られた二酸化マンガンの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は3.3%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.012cm3/gであった。
《比較例3》
電解開始時の硫酸濃度を60g/L、24時間後の電解終了時の硫酸濃度を75g/Lとしたこと以外、実施例1と同様にして、電解二酸化マンガンを合成し、これを用いてアルカリ電池を作製した。水素イオン濃度は、1時間あたり1.0%の割合で変化させた。
得られた二酸化マンガンの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は4.0%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.013cm3/gであった。
電解開始時の硫酸濃度を45g/L、24時間後の電解終了時の硫酸濃度を60g/Lとしたこと以外、実施例1と同様にして、電解二酸化マンガンを合成し、これを用いてアルカリ電池を作製した。水素イオン濃度は、1時間あたり1.4%の割合で変化させた。
得られた二酸化マンガンの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は3.7%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.008cm3/gであった。
《比較例4》
市販の電池用電解二酸化マンガン(以下、二酸化マンガンA)を用いたこと以外、実施例1と同様にアルカリ電池を作製した。
二酸化マンガンAは、電解浴中の硫酸マンガン濃度50g/L、硫酸濃度75g/L、電解温度98±1℃、電流密度3.5mA/cm2の条件で得られた電解二酸化マンガンである。硫酸濃度は、電解開始から終了までの間、ほぼ一定とした。
二酸化マンガンAの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は3.3%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.017cm3/gであった。二酸化マンガンAの細孔径分布図を図2に示す。
《比較例5》
市販の電池用電解二酸化マンガン(以下、二酸化マンガンB)を用いたこと以外、実施例1と同様にアルカリ電池を作製した。
二酸化マンガンBは、電解浴中の硫酸マンガン濃度50g/L、硫酸濃度50g/L、電解温度90±1℃、電流密度2mA/cm2の条件で得られた電解二酸化マンガンである。硫酸濃度は、電解開始から終了までの間、ほぼ一定とした。
二酸化マンガンBの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は3.2%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.014cm3/gであった。
《比較例6》
市販の電池用電解二酸化マンガン(以下、二酸化マンガンC)を用いたこと以外、実施例1と同様にアルカリ電池を作製した。
二酸化マンガンCは、電解浴中の硫酸マンガン濃度50g/L、硫酸濃度45g/L、電解温度90±1℃、電流密度3.5mA/cm2の条件で得られた電解二酸化マンガンである。硫酸濃度は、電解開始から終了までの間、ほぼ一定とした。
二酸化マンガンCの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は3.1%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.009cm3/gであった。
《比較例7》
電解開始時の硫酸濃度を50g/Lとし、24時間後の電解終了時まで硫酸濃度を一定に維持し、電解温度を85℃としたこと以外、実施例1と同様にして、電解二酸化マンガンを合成し、これを用いてアルカリ電池を作製した。
得られた二酸化マンガンの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は3.6%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.026cm3/gであった。
電解開始時の硫酸濃度を60g/L、24時間後の電解終了時の硫酸濃度を80g/Lとしたこと以外、実施例1と同様にして、電解二酸化マンガンを合成し、これを用いてアルカリ電池を作製した。水素イオン濃度は、1時間あたり1.1%の割合で変化させた。
得られた二酸化マンガンの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は3.9%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.011cm3/gであった。
電解開始時の硫酸濃度を30g/L、24時間後の電解終了時の硫酸濃度を40g/L、電解温度を90℃としたこと以外、実施例1と同様にして、電解二酸化マンガンを合成し、これを用いてアルカリ電池を作製した。水素イオン濃度は、1時間あたり1.4%の割合で変化させた。
得られた二酸化マンガンの熱重量分析およびBJH窒素吸着法による細孔測定を行った。その結果、150〜400℃の重量減少率は3.5%、細孔径3〜5nmの積算細孔容積は0.009cm3/gであった。
(4)電池の評価
[強負荷放電性能]
実施例1〜6および比較例1〜7で作製した電池を、室温にて10日間静置した後、20℃の環境下で、以下の要領で強負荷放電性能を評価した。
1.2Aで2秒間放電し、更に0.5Aで28秒間放電するパターン放電を、10サイクル連続で繰り返した後、55分間休止するという操作を繰り返し、電池電圧が1.05Vになるまでの前記パターン放電のサイクル数を求めた。このときのサイクル数が130サイクル以上である場合には、強負荷放電性能が従来のアルカリ電池よりも向上していると言える。
[中負荷放電性能]
実施例1〜6および比較例1〜7で作製した電池を、室温にて10日間静置した後、20℃の環境下で、以下の要領で中負荷放電性能を評価した。
0.25Aで1時間放電後、23時間休止するという操作を繰り返し、電池電圧が0.9Vになるまでの放電時間を求めた。このとき放電時間が9.2時間以上である場合には、中負荷放電性能が従来のアルカリ電池よりも向上していると言える。
電解条件を表1に示し、結果を表2に示す。
Figure 0004260217
Figure 0004260217
表1、2の結果から、二酸化マンガンの細孔径3〜5nmの積算細孔容積X(cm3/g)と、二酸化マンガンを加熱した時の150〜400℃の重量減少率Y(%)とが、0.005≦X≦0.011、3.4≦X≦3.9、および−16.7X+3.58≦Y≦66.7X+3.17を満たす場合に、強負荷放電性能が優れることが理解できる。
一方、0.005≦X≦0.011および3.4≦X≦3.9の少なくとも一方を満たさない比較例1〜7の二酸化マンガンを用いた場合、強負荷放電性能が顕著に低くなっている。これは、二酸化マンガン固相内のMn欠損量と、細孔径3〜5nmの積算細孔容積とのバランスが適切でないことから、強負荷放電時の分極が十分に低減されないためと考えられる。
図4は、実施例1〜6および比較例1〜7の二酸化マンガンの細孔径3〜5nmの積算細孔容積Xと、150〜400℃の重量減少率Yとの関係を示している。図4より、従来の電解二酸化マンガンA〜Dは、いずれも直線Y=30.1X+2.8の付近に位置することがわかる。
また、図4より、実施例1、2、5の3点が形成する三角形の領域内の物性を有する二酸化マンガンを用いることにより、従来よりも強負荷放電性能の優れたアルカリ電池が得られることが理解できる。このような二酸化マンガンは、従来の製造方法では得ることが困難である。
更に、図4より、実施例1、4、5の電解二酸化マンガンは、いずれも直線Y=66.7X+3.17の付近に位置することがわかる。なお、この直線よりも上に位置する電解二酸化マンガンは、製造が困難であった。そのような二酸化マンガンを合成しようとすると、電解中の過電圧の上昇が大きくなり、更に、二酸化マンガンの陽極からの剥離が生じた。
なお、上記実施例では、電解二酸化マンガンの合成条件を改良することにより、所望の二酸化マンガンを合成したが、二酸化マンガンの製造方法は電解法に限定されるものではない。
本発明は、強負荷放電性能と中負荷放電性能の両方に優れたアルカリ電池を与えるものであり、二酸化マンガンを正極活物質として含むアルカリ一次電池に広く適用することができる。
二酸化マンガンの結晶子とその隙間との関係を説明する概念図である。 二酸化マンガンの結晶子とその隙間との関係を説明する別の概念図である。 実施例3および比較例4の二酸化マンガンの細孔径分布図(積算細孔容積)である。 アルカリ電池の一例の一部を断面にした正面図である。 実施例1〜6および比較例1〜7の二酸化マンガンの細孔径3〜5nmの積算細孔容積Xと、150〜400℃の重量減少率Yとの関係を示す図である。
符号の説明
1 二酸化マンガン粒子
2 結晶子
3 細孔径3〜5nmの細孔
11 電池ケース
12 正極
13 負極
14 セパレータ
15 ガスケット
16 負極集電体
17 底板
18 外装ラベル

Claims (3)

  1. 正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータおよびアルカリ電解液を具備し、
    前記正極は、二酸化マンガンおよび黒鉛を含み、
    前記二酸化マンガンにおける細孔径3〜5nmの積算細孔容積がX(cm3/g)であり、
    前記二酸化マンガンを加熱した時の150〜400℃の重量減少率がY(%)であり、
    0.005≦X≦0.011、
    3.4≦Y≦3.9、および
    −16.7X+3.58≦Y≦66.7X+3.17を満たし、
    前記負極は、亜鉛を含み、
    前記アルカリ電解液は、水酸化カリウム水溶液を含む、アルカリ電池。
  2. 1.2Aで2秒間放電し、更に0.5Aで28秒間放電するパターン放電を、10サイクル連続で繰り返した後、55分間休止するという操作を、電池電圧が1.05Vになるまで行った場合、前記パターン放電のサイクル数が130サイクル以上である、請求項1記載の単三型のアルカリ電池。
  3. 0.25Aで1時間放電し、23時間休止するという操作を電池電圧が0.9Vになるまで行った場合の放電時間が9.2時間以上である、請求項2記載の単三型のアルカリ電池。
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