JP4258861B2 - 固体電解コンデンサとその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサとその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解コンデンサとその製造方法に係り、特に、高温寿命特性の向上を図るべく改良を施した固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
【0003】
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
【0004】
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)に着目した技術(特開平2−15611号公報)が存在している。
【0005】
このような固体電解質層を有する固体電解コンデンサは、化成→素子形成→固体電解質層形成→樹脂封止→エージングという製造工程によって作製される。以下には、このような固体電解コンデンサの一例として、巻回型のコンデンサ素子にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサの製造工程について、簡単に説明する。
【0006】
まず、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔の表面に、塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して多数のエッチングピットを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化成)。この陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。また、陽極箔及び陰極箔には、それぞれの電極を外部に接続するためのリード線を、ステッチ、超音波溶接等の公知の手段により接続する。
【0007】
次に、以上のようにして表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する(素子形成)。そして、このコンデンサ素子にエチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)と酸化剤を含浸し、加熱して、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDT)からなる固体電解質層を形成する(固体電解質層形成)。
【0008】
この後、コンデンサ素子の表面に、酸無水物系の硬化剤を用いたエポキシ樹脂系の熱硬化性樹脂を付着して熱硬化させることによって、コンデンサ素子の外周に外装樹脂を被覆し(樹脂封止)、固体電解コンデンサを完成する。なお、このように樹脂封止を行うと、陽極箔の表面に形成した酸化皮膜層が損傷して漏れ電流特性が低下するため、樹脂封止後に、コンデンサ定格電圧に応じた電圧を印加して高温のエージングを行うことにより酸化皮膜層を修復し、特性の向上を図っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような固体電解質としてPEDTを用い、封止材として酸無水物系の硬化剤を用いたエポキシ樹脂を用いた固体電解コンデンサについて高温寿命試験を行ったところ、105℃を超える高温寿命試験においては特性が劣化するため、最高使用温度は105℃が限界であった。
【0010】
このように、固体電解質としてPEDTを用い、封止材として酸無水物系の硬化剤を用いたエポキシ樹脂を用いた固体電解コンデンサにおいて、105℃を超える高温寿命試験において特性が劣化するのは、以下の理由によると考えられる。
すなわち、コンデンサ素子の外周を被覆する外装樹脂として従来から用いられている酸無水物系硬化剤を用いたエポキシ樹脂は、硬化過程で吸湿する性質があるが、この樹脂を含浸、硬化させる前の工程で、コンデンサ素子にはある程度の水分が吸着されているため、たとえ、硬化過程でコンデンサ素子中の水分がこの樹脂に吸収されたとしても、コンデンサ素子中にはまだ水分が残存している。そのため、105℃以下の温度においては、この残存した水分によって酸化皮膜の性能が良好に保たれ、耐電圧特性、漏れ電流特性等の初期特性は良好に保たれていると考えられる。しかしながら、105℃以上の高温においては、コンデンサ素子中に残存した水分が酸化皮膜の水和劣化や、PEDTの電導度低下に働くため、特性が劣化すると考えられる。
【0011】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、PEDTを電解質とし、最高使用温度が105℃以上の固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく、最高使用温度の上昇を可能とすることができる固体電解コンデンサ及びその製造方法について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明者は、130℃の寿命試験において、コンデンサ素子に残存する水分がある程度除去されれば、特性の劣化が抑制できるのではないかと考え、コンデンサ素子を乾燥させた後、外装ケース内に収納し、種々の封口手段及び封口方法について検討した。
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明は、電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の外装ケースと、外装ケースの開口部に装着される封口手段とを備えた固体電解コンデンサにおいて、前記封口手段が、封口ゴムから構成され、この封口ゴムに形成された貫通孔内に前記電極引き出し手段が挿通され、前記外装ケースの開口部に加締め加工が施されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明を方法の観点から捉えたものであって、電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口する固体電解コンデンサの製造方法において、前記コンデンサ素子に乾燥処理を施した後、前記電極引き出し手段を前記外装ケースの開口部に装填される封口ゴムに形成された貫通孔内に挿通し、このコンデンサ素子を前記外装ケース内に収納し、外装ケースの開口部に加締め加工を施すことを特徴とするものである。
【0015】
上記の構成を有する請求項1あるいは請求項7に記載の発明によれば、電解質層としてPEDT層を形成したコンデンサ素子を外装ケースに収納する前に乾燥させているので、この乾燥処理後にはコンデンサ素子内には結晶水レベルの水分が残存し、この残存した結晶水レベルの水分によって酸化皮膜の性能が良好に保たれるため、初期特性は良好に保たれる。一方、この程度の水分が残存していても、この水分が酸化皮膜の水和劣化や、PEDTの電導度低下に働いて特性が劣化するということはないので、高温寿命特性も良好に保たれる。
【0016】
また、外装ケースの開口部を封口ゴムで封口し、その後、ケースの開口部に加締め加工を施しているため、電極引き出し手段が封口ゴムに設けられた貫通孔と密着する。その結果、外装ケース内のコンデンサ素子が吸湿することを防止できるので、高温寿命特性が低下することもない。
【0017】
さらに、電極引き出し手段を封口ゴムに設けた貫通孔に挿入した後、コンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納し、さらに、外装ケースの開口部を加締め加工によって封口しているので、電極引き出し手段は封口ゴムに設けられた貫通孔と密着し、強固に固定される。その結果、電極引き出し手段に横からの力が加わっても、電極箔に力が加わって、電極箔が損傷することもない。
【0018】
請求項2に記載の発明は、電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の外装ケースと、外装ケースの開口部に装着される封口手段とを備えた固体電解コンデンサにおいて、前記封口手段が、封口ゴムの上面あるいは下面の少なくともいずれか一方にフッ素樹脂を貼り付けたフッ素樹脂貼りゴムから構成され、このフッ素樹脂貼りゴムに形成された貫通孔内に前記電極引き出し手段が挿通され、前記外装ケースの開口部に加締め加工が施されていることを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項2に記載の発明を方法の観点から捉えたものであって、電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口する固体電解コンデンサの製造方法において、前記コンデンサ素子に乾燥処理を施した後、前記電極引き出し手段を、封口ゴムの上面あるいは下面の少なくともいずれか一方にフッ素樹脂を貼り付けたフッ素樹脂貼りゴムに形成された貫通孔内に挿通し、このコンデンサ素子を前記外装ケース内に収納し、外装ケースの開口部に加締め加工を施すことを特徴とするものである。
【0020】
上記の構成を有する請求項2あるいは請求項8に記載の発明によれば、請求項1あるいは請求項7の発明による作用・効果の他に、以下の効果が得られる。すなわち、封口ゴムに硬度の高いフッ素樹脂を貼り付けているので、このフッ素樹脂部分によって、電極引き出し手段がより強固に固定される。その結果、電極引き出し手段に横からの力が加わっても、この力が電極箔に伝わることが抑制されるので、酸化皮膜の損傷が少なくなる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の外装ケースと、外装ケースの開口部に装着される封口手段とを備えた固体電解コンデンサにおいて、前記封口手段が、その上面に凹部が設けられ、この凹部にエポキシ樹脂層が形成された封口ゴムから構成され、この封口ゴムに形成された貫通孔内に前記電極引き出し手段が挿通され、前記外装ケースの開口部に加締め加工が施されていることを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項9に記載の発明は、請求項3に記載の発明を方法の観点から捉えたものであって、電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口する固体電解コンデンサの製造方法において、前記コンデンサ素子に乾燥処理を施した後、前記電極引き出し手段を、上面に凹部を設けた封口ゴムに形成された貫通孔内に挿通し、このコンデンサ素子を前記外装ケース内に収納し、この外装ケースの開口部を加締め加工した後、前記凹部にエポキシ樹脂を充填し、加熱して、前記エポキシ樹脂を硬化させることを特徴とするものである。
【0023】
上記の構成を有する請求項3あるいは請求項9に記載の発明によれば、請求項1あるいは請求項7の発明による作用・効果の他に、以下の効果が得られる。すなわち、封口ゴムの凹部に形成されたエポキシ樹脂層は、封口ゴムより固いので、このエポキシ樹脂層部分によって、電極引き出し手段がより強固に固定される。その結果、電極引き出し手段に横からの力が加わっても、この力が電極箔に伝わることが抑制されるので、酸化皮膜の損傷が少なくなる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の外装ケースと、外装ケースの開口部に装着される封口手段とを備えた固体電解コンデンサにおいて、前記封口手段が、半硬化したエポキシ樹脂板から構成され、前記外装ケースの開口部に加締め加工が施されていることを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項10に記載の発明は、請求項4に記載の発明を方法の観点から捉えたものであって、電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口する固体電解コンデンサの製造方法において、前記コンデンサ素子に乾燥処理を施した後、前記電極引き出し手段を、半硬化したエポキシ樹脂板に形成された貫通孔内に挿通し、このコンデンサ素子を前記外装ケース内に収納し、この外装ケースの開口部を加締め加工した後、加熱して、前記半硬化したエポキシ樹脂板を硬化させることを特徴とするものである。
【0026】
上記の構成を有する請求項4あるいは請求項10に記載の発明によれば、請求項1あるいは請求項7の発明による作用・効果の他に、以下の効果が得られる。すなわち、封口材として半硬化したエポキシ樹脂板を用いているので、封口処理が容易となり、また、硬化した後は硬度の高いエポキシ樹脂で封止したのと同じ効果が得られるので、このエポキシ樹脂層部分によって、電極引き出し手段がより強固に固定される。その結果、電極引き出し手段に横からの力が加わっても、この力が電極箔に伝わることが抑制されるので、酸化皮膜の損傷が少なくなる。
【0027】
請求項5に記載の発明は、電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の外装ケースと、外装ケースの開口部に装着される封口手段とを備えた固体電解コンデンサにおいて、前記封口手段が、封口ゴムとその上に形成されたエポキシ樹脂層から構成され、前記外装ケースの開口部に横加締め加工が施されていることを特徴とするものである。
【0028】
また、請求項11に記載の発明は、請求項5に記載の発明を方法の観点から捉えたものであって、電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口する固体電解コンデンサの製造方法において、前記コンデンサ素子に乾燥処理を施した後、前記電極引き出し手段を、封口ゴムに形成された貫通孔内に挿通し、このコンデンサ素子を前記外装ケース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口ゴムによって封口した後、横加締め加工を施し、封口ゴムの上面と外装ケースの側面に囲まれた空間部にエポキシ樹脂を充填し、加熱して、前記エポキシ樹脂を硬化させることを特徴とするものである。
【0029】
上記の構成を有する請求項5あるいは請求項11に記載の発明によれば、請求項1あるいは請求項7の発明による作用・効果の他に、以下の効果が得られる。すなわち、封口ゴムの上面に形成されたエポキシ樹脂層は、封口ゴムより固いので、このエポキシ樹脂層部分によって、リード線がより強固に固定される。その結果、電極引き出し手段に横からの力が加わっても、この力が電極箔に伝わることが抑制されるので、酸化皮膜の損傷が少なくなる。
【0030】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の固体電解コンデンサにおいて、前記封口ゴムが、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)、イソブチレンイソプロピレンゴム(IIR)、スチレンブタジエンゴム、ニトリルプロピレンゴム、の中から選択された材料であることを特徴とするものである。すなわち、封口ゴムの材料は適宜選択可能であるが、特に請求項6に記載の材料を用いることによって、より良好な効果を奏する。
【0031】
特に、前記請求項1〜11の発明において共通する構成は、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した後に、乾燥処理を施し、結晶水レベルの水分を残存させたコンデンサ素子をその構成要件とする点にある。すなわち、本発明においては、電解質層としてPEDT層を形成したコンデンサ素子を樹脂封止前に乾燥するが、この乾燥処理後にもコンデンサ素子内には結晶水レベルの水分が残存する。そのため、この残存した結晶水レベルの水分によって酸化皮膜の性能が良好に保たれ、耐電圧特性、漏れ電流特性等の初期特性が良好に保たれると考えられる。一方、130℃の高温寿命試験においては、この程度の水分が残存していても、酸化皮膜の水和劣化等に働いて特性が劣化するということはないので、特性は良好に保たれると考えられる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下には、本発明による固体電解コンデンサとその製造方法の実施の形態(以下、実施形態という)について、図面を参照して具体的に説明する。
【0033】
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1は、本発明に係る固体電解コンデンサの第1実施形態の構成を示す断面図である。
すなわち、図1に示すように、電極引き出し手段であるリード線4が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回したコンデンサ素子1は、アルミニウム等からなる有底筒状の外装ケース2内に収納されている。また、リード線4は、外装ケース2の開口部に取り付けられる封口部材である封口ゴム3に設けられた貫通孔5に挿入され、外部に引き出されている。そして、外装ケース2の開口部は、前記封口ゴム3によって封口され、外装ケースの上端部には加締め加工が施されている。
【0034】
[1−2.製造方法]
続いて、本実施形態による固体電解コンデンサの製造方法について説明する。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。そして、このコンデンサ素子にEDTモノマーを含浸し、さらに40〜60%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を含浸して、20〜180℃、30分以上加熱し、PEDTからなる固体電解質層を生成する。そして、このコンデンサ素子を、15〜120℃の恒温槽内に5〜30分放置して乾燥させる。その後、このコンデンサ素子のリード端子を封口ゴムに設けた貫通孔に挿入し、次いで、コンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納し、最後に外装ケースの開口部を加締め加工によって封口して固体電解コンデンサを形成する。
【0035】
前記封口ゴムとしては、従来から電解コンデンサの封口ゴムとして用いられているエチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)、イソブチレンイソプロピレンゴム(IIR)、スチレンブタジエンゴム、ニトリルプロピレンゴム等を用いることができる。なかでも、過酸化物架橋によるEPM、EPDM、IIR、樹脂架橋によるIIRが好ましいが、特に高い硬度を有する樹脂架橋によるIIRが好ましい。
また、この封口ゴムは、上記のポリマー、架橋剤とアルミナ、シリカ、カーボン等の充填剤を混練し、これを成形プレス等によって所定の形状に成形してなるものである。
【0036】
さらに、加締め加工は、封口ゴムに設けられた貫通孔内にコンデンサ素子のリード線を挿入して、この封口ゴムとコンデンサ素子を、開口部を有する有底筒状の外装ケースに収納し、封口ゴムを装填したケースの開口部を、回転する円盤状の治具を押し当てる等の方法により、横及び上から絞り加工するものである。
【0037】
また、コンデンサ素子を乾燥する方法としては、恒温槽内にコンデンサ素子を放置する方法、コンデンサ素子に熱風を当てる方法、減圧槽内にコンデンサ素子を放置する方法等、コンデンサ素子内の水分を除去できるものであれば種々の方法を適用することができる。なお、乾燥温度は15〜120℃、乾燥時間は5〜30分が望ましい。
【0038】
[1−3.作用・効果]
以上のような本実施形態の作用・効果は次の通りである。
すなわち、本実施形態においては、電解質層としてPEDT層を形成したコンデンサ素子を外装ケースに収納する前に乾燥させているので、この乾燥処理後にはコンデンサ素子内には結晶水レベルの水分が残存している。この残存した結晶水レベルの水分によって酸化皮膜の性能が良好に保たれるため、耐電圧特性、漏れ電流特性等の初期特性は良好に保たれる。
一方、高温寿命特性については、この程度の水分が残存していても、この水分が酸化皮膜の水和劣化等に働いて特性が劣化するということはないので、高温寿命特性も良好に保たれる。
【0039】
また、コンデンサ素子を外装ケースに収納した後の封止特性が悪いと、コンデンサ素子が吸湿し、105℃以上の高温において、コンデンサ素子中に残存した水分が酸化皮膜の水和劣化等に働くため、特性が劣化すると考えられるが、本実施形態においては、外装ケースの開口部を封口ゴムで封口し、その後、ケースの開口部に加締め加工を施しているため、リード線が封口ゴムに設けられた貫通孔と密着する。その結果、外装ケース内のコンデンサ素子が吸湿することを防止できるので、高温寿命特性が低下することもない。
【0040】
また、一般に、固体電解コンデンサにおいては、リード線に横からの力が加わると、リード線と電極箔との接続部分を介して電極箔に力が加わって、電極箔が損傷する。そのため、リード線は強固に固定されていることが望ましいが、本実施形態の固体電解コンデンサによれば、リード線を封口ゴムに設けた貫通孔に挿入した後、コンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納し、さらに、外装ケースの開口部を加締め加工によって封口しているので、リード線は、封口ゴムに設けられた貫通孔と密着し、強固に固定される。
【0041】
さらに、本実施形態においては、封口ゴムによって外装ケースを封止し、さらに、外装ケースの開口部の先端を加締め加工によって封口ゴムに当接させているため、封口ゴムの押さえが強固になっており、熱ストレスによって封口ゴムが外装ケースから飛び出すことを防止することができる。
【0042】
[2.第2実施形態]
本実施形態は、上記第1実施形態における外装ケースの封口構造の変形例であり、具体的には、第1実施形態の封口ゴムに代えて、封口ゴムにテフロン(商標名)等のフッ素樹脂を貼ったフッ素樹脂貼りゴム用いたものである。以下、第1実施形態と相違する部分について説明する。
【0043】
[2−1.構成]
図2は、本発明に係る固体電解コンデンサの第2実施形態の構成を示す断面図である。
すなわち、図2に示すように、本実施形態においては、封口ゴム13の下面全面にテフロン等のフッ素樹脂10が貼り付けられ、このフッ素樹脂貼りゴムによって、外装ケース2の開口部が封口されている。
【0044】
なお、フッ素樹脂を貼り付ける部位は、封口ゴム13の上面あるいは上下両面であっても良い。また、封口ゴム13としては、第1実施形態に示したと同様の材料を用いることができる。
また、封口ゴム13に貼り付けるフッ素樹脂の厚さは適宜設定できるが、フッ素樹脂貼りゴムの厚さと加締め部分の関係によって決定される。すなわち、フッ素樹脂は硬度が高いので、フッ素樹脂部分に加締め加工を施すことはできない。従って、加締め加工を施す部分は封口ゴムでなければならないが、それ以外の部分はフッ素樹脂とすることができる。従って、フッ素樹脂貼りゴムの厚さが厚ければ、フッ素樹脂の厚さを厚くすることができ、薄ければ、フッ素樹脂の厚さも薄くしなければならない。
【0045】
なお、封口ゴムに貼り付けるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:テフロン)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTTE)等を用いることができる。なかでも、PTFE(テフロン)、PFA、FEP、ETFEが好ましく、PTFE(テフロン)がより好ましい。
【0046】
また、フッ素樹脂を封口ゴムに貼り付ける方法は、以下の通りである。すなわち、フッ素樹脂の表面を紫外線照射、溶剤等によって粗面化し、この面を架橋前のゴムに接触させ、その後、ゴムの架橋を行うことによって、フッ素樹脂とゴムを接合する。
【0047】
[2−2.作用・効果]
以上のような本実施形態においては、上記第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。また、本実施形態に特有の作用・効果は次の通りである。 すなわち、本実施形態においては、封口ゴム13に硬度の高いテフロン等のフッ素樹脂を貼り付けているので、このフッ素樹脂部分によって、リード線がより強固に固定される。その結果、リード線に横からの力が加わっても、この力が電極箔に伝わることが抑制されるので、酸化皮膜の損傷が少なくなる。
【0048】
[3.第3実施形態]
本実施形態は、上記第1実施形態における外装ケースの封口構造の変形例であり、具体的には、第1実施形態の封口ゴムに凹部を設け、この凹部にエポキシ樹脂層を形成したものである。以下、第1実施形態と相違する部分について説明する。
【0049】
[3−1.構成]
図3は、本発明に係る固体電解コンデンサの第3実施形態の構成を示す断面図である。
すなわち、図3に示すように、本実施形態においては、封口ゴム23の上面の、貫通孔5を含む空間に凹部20が形成され、この凹部20内にエポキシ樹脂層21が形成されている。なお、封口ゴム23に形成する凹部20の位置は、図3に限定されず、凹部に形成されるエポキシ樹脂層21がリード線4を固定できる部位であれば良い。
【0050】
[3−2.製造方法]
以下、上記凹部20にエポキシ樹脂層21を形成する工程について説明する。すなわち、第1実施形態に示した固体電解コンデンサの製造工程において、コンデンサ素子1を外装ケース2内に収納して、封口ゴム23を加締め加工した後、エポキシ樹脂を凹部20に充填し、その後に20〜200℃、30分〜48時間加熱して硬化する。
【0051】
[3−3.作用・効果]
以上のような本実施形態においては、上記第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。また、本実施形態に特有の作用・効果は次の通りである。
すなわち、本実施形態においては、封口ゴム23の凹部20に形成されたエポキシ樹脂層21は、封口ゴム23より固いので、このエポキシ樹脂層部分によって、リード線がより強固に固定される。その結果、リード線に横からの力が加わっても、この力が電極箔に伝わることが抑制されるので、酸化皮膜の損傷が少なくなる。
【0052】
[4.第4実施形態]
本実施形態は、上記第1実施形態における外装ケースの封口構造の変形例であり、具体的には、半硬化したエポキシ樹脂板を封口部材として用い、加締め加工した後に、加熱して硬化したものである。以下、第1実施形態と相違する部分について説明する。
【0053】
[4−1.構成]
図4は、本発明に係る固体電解コンデンサの第4実施形態の構成を示す断面図である。
すなわち、図4に示すように、本実施形態においては、封口部材として半硬化したエポキシ樹脂板30を用い、第1実施形態の封口ゴムと同様にして外装ケースの開口部を封口し、加締め加工した後に加熱して硬化する。
【0054】
なお、半硬化したエポキシ樹脂板とは、液状のエポキシ樹脂を板状になるように金型等に充填し、完全には硬化させずにゴム板状にし、その後に第1実施形態の封口ゴムと同様の形に切り取ったものであり、封口ゴムと同様にして封口材として使用することができるものである。また、半硬化の状態としては、ゴム状であって、加締め加工によって封口材として用いることができる状態でなければならない。
また、硬化方法は、第3実施形態と同様に、20〜200℃、30分〜48時間加熱して硬化する。
【0055】
[4−2.作用・効果]
以上のような本実施形態においては、上記第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。また、本実施形態に特有の作用・効果は次の通りである。 すなわち、本実施形態においては、封口材として半硬化したエポキシ樹脂板を用いているので、封口処理が容易となり、また、硬化した後は硬度の高いエポキシ樹脂で封止したのと同じ効果が得られるので、このエポキシ樹脂層部分によって、リード線がより強固に固定される。その結果、リード線に横からの力が加わっても、この力が電極箔に伝わることが抑制されるので、酸化皮膜の損傷が少なくなる。
【0056】
[5.第5実施形態]
本実施形態は、上記第1実施形態における外装ケースの封口構造の変形例であり、具体的には、加締め加工として横加締めのみを行い、封口ゴムの上にエポキシ樹脂層を形成したものである。以下、第1実施形態と相違する部分について説明する。
【0057】
[5−1.構成]
図5は、本発明に係る固体電解コンデンサの第5実施形態の構成を示す断面図である。
すなわち、図5に示すように、本実施形態は、第1実施形態と同様にして封口ゴム43によって外装ケース2の開口部を封口した後、加締め加工として横加締めのみを行い、封口ゴム43の上にケースの側面に囲まれた空間部を形成し、この空間部にエポキシ樹脂を充填し、加熱・硬化してエポキシ樹脂層40を形成したものである。
【0058】
なお、横加締めとは、封口ゴムを装填したケースの開口部を、回転する円盤状の治具を押し当てる等の方法により、横から絞り加工するものである。また、エポキシ樹脂は、第3実施形態と同様に、20〜200℃、30分〜48時間加熱して硬化する。
【0059】
[5−2.作用・効果]
以上のような本実施形態においては、上記第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。また、本実施形態に特有の作用・効果は次の通りである。 すなわち、本実施形態においては、封口ゴム43の上面に形成されたエポキシ樹脂層40は、封口ゴム43より固いので、このエポキシ樹脂層部分によって、リード線がより強固に固定される。その結果、リード線に横からの力が加わっても、この力が電極箔に伝わることが抑制されるので、酸化皮膜の損傷が少なくなる。
【0060】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
【0061】
本発明に係る固体電解コンデンサは、以下の実施例のように作成した。また、従来例として、上述した従来技術に従って、酸無水物系硬化剤を用いたエポキシ樹脂で樹脂封止を施した固体電解コンデンサを用いた。
また、試験条件は、29V、1000サイクルの充放電試験の後に、130℃、500時間の高温負荷試験を行った。
【0062】
(実施例)
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。そして、このコンデンサ素子にEDTモノマーを含浸し、さらに酸化剤溶液として45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を含浸して、100℃、1時間加熱して、PEDTからなる固体電解質層を生成した。このコンデンサ素子を100℃の恒温槽内に20分放置して乾燥した後、このコンデンサ素子の電極引き出し手段を、樹脂架橋によるIIRからなる封口ゴムに設けた貫通孔に挿入し、次いで、コンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納し、最後に外装ケースの開口部を加締め加工によって封口して固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は15μFである。
【0063】
(従来例)
コンデンサ素子の外装樹脂として、酸無水物系硬化剤を用いたエポキシ樹脂を用い、上述した従来技術に従って固体電解コンデンサを形成した。
【0064】
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例、従来例の固体電解コンデンサについて、29V、1000サイクルの充放電試験の後に、130℃、500時間の高温負荷試験を行ったところ、次の表1に示すような結果が得られた。
【0065】
【表1】
Figure 0004258861
【0066】
表1から明らかなように、130℃で500時間の高温負荷試験を行った場合、従来例においては、Capが初期値と比較して16%も減少し、tanδは初期値の約2.2倍に上昇した。また、等価直列抵抗(ESR)は初期値の3倍に上昇した。
これに対して、実施例においては、その初期特性は、Cap、tanδ、ESR共、従来例とほぼ等しくなった。また、130℃で500時間の高温負荷試験を行った場合には、Capが初期値と比較して9.7%減少し、tanδは初期値の約1.2倍に上昇したにすぎなかった。また、ESRは初期値の約1.7倍に上昇したにすぎなかった。
【0067】
このように、コンデンサ素子を酸無水物系硬化剤を用いたエポキシ樹脂で封止した従来例において、高温寿命試験後のESRが初期値の3倍となったのは、以下の理由によると考えられる。
すなわち、コンデンサ素子の外周を被覆する外装樹脂として従来から用いられている酸無水物系硬化剤を用いたエポキシ樹脂は、硬化過程で吸湿する性質があるが、この樹脂を含浸、硬化させる前の工程で、コンデンサ素子にはある程度の水分が吸着されているため、たとえ、硬化過程でコンデンサ素子中の水分がこの樹脂に吸収されたとしても、コンデンサ素子中にはまだ水分が残存している。そのため、105℃以下の温度においては、この残存した水分によって酸化皮膜の性能が良好に保たれ、耐電圧特性、漏れ電流特性等の初期特性は良好に保たれていると考えられる。しかしながら、105℃以上の高温においては、コンデンサ素子中に残存した水分が酸化皮膜の水和劣化等に働くため、特性が劣化したものと考えられる。
【0068】
一方、本発明に係る外装手段を用いた実施例においては、130℃の高温寿命試験においてもその特性を保持できるのは、以下の理由によると考えられる。 すなわち、本実施例においては、電解質層としてPEDT層を形成したコンデンサ素子を樹脂封止前に乾燥するが、この乾燥処理後にもコンデンサ素子内には結晶水レベルの水分が残存する。そのため、この残存した結晶水レベルの水分によって酸化皮膜の性能が良好に保たれ、耐電圧特性、漏れ電流特性等の初期特性が良好に保たれると考えられる。
一方、130℃の高温寿命試験においては、この程度の水分が残存していても、酸化皮膜の水和劣化等に働いて特性が劣化するということはないので、特性は良好に保たれると考えられる。
【0069】
また、コンデンサ素子を外装ケースに収納した後の封止特性が悪いと、コンデンサ素子が吸湿し、従来例と同様に、105℃以上の高温において、コンデンサ素子中に残存した水分が酸化皮膜の水和劣化等に働くため、特性が劣化すると考えられるが、本実施例においては、130℃の高温寿命試験においても良好な結果が得られた。このことは、本発明の構成を採用することにより、優れた封止特性が得られることを示している。
【0070】
このように、本実施例においては、従来例と同様の初期特性を得ることができ、また、130℃で500時間の高温負荷試験を行った場合でも、ESRは初期値の2倍以内、静電容量も−10%以内と、安定した特性を示しており、本発明によって、高温寿命特性が向上することが判明した。また、130℃の高温寿命特性が良好であることから、本発明の封口手段による密閉性も良好であるということができる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上記の各実施形態の構成を採用することにより、PEDTを電解質とし、最高使用温度が105℃以上の固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体電解コンデンサの第1実施形態の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る固体電解コンデンサの第2実施形態の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る固体電解コンデンサの第3実施形態の構成を示す断面図である。
【図4】本発明に係る固体電解コンデンサの第4実施形態の構成を示す断面図である。
【図5】本発明に係る固体電解コンデンサの第5実施形態の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1…コンデンサ素子
2…外装ケース
3、13,23,43…封口ゴム
4…リード端子
5…貫通孔
10…フッ素樹脂
20…凹部
21…エポキシ樹脂
30…半硬化エポキシ樹脂
40…エポキシ樹脂層

Claims (11)

  1. 電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した後に、乾燥処理を施し、結晶水レベルの水分を残存させたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の外装ケースと、外装ケースの開口部に装着される封口手段とを備えた固体電解コンデンサにおいて、
    前記封口手段が、封口ゴムから構成され、この封口ゴムに形成された貫通孔内に前記電極引き出し手段が挿通され、前記外装ケースの開口部に加締め加工が施されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した後に、乾燥処理を施し、結晶水レベルの水分を残存させたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の外装ケースと、外装ケースの開口部に装着される封口手段とを備えた固体電解コンデンサにおいて、
    前記封口手段が、封口ゴムの上面あるいは下面の少なくともいずれか一方にフッ素樹脂を貼り付けたフッ素樹脂貼りゴムから構成され、このフッ素樹脂貼りゴムに形成された貫通孔内に前記電極引き出し手段が挿通され、前記外装ケースの開口部に加締め加工が施されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  3. 電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した後に、乾燥処理を施し、結晶水レベルの水分を残存させたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の外装ケースと、外装ケースの開口部に装着される封口手段とを備えた固体電解コンデンサにおいて、
    前記封口手段が、その上面に凹部が設けられ、この凹部にエポキシ樹脂層が形成された封口ゴムから構成され、この封口ゴムに形成された貫通孔内に前記電極引き出し手段が挿通され、前記外装ケースの開口部に加締め加工が施されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  4. 電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した後に、乾燥処理を施し、結晶水レベルの水分を残存させたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の外装ケースと、外装ケースの開口部に装着される封口手段とを備えた固体電解コンデンサにおいて、
    前記封口手段が、半硬化したエポキシ樹脂板から構成され、前記外装ケースの開口部に加締め加工が施されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  5. 電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した後に、乾燥処理を施し、結晶水レベルの水分を残存させたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の外装ケースと、外装ケースの開口部に装着される封口手段とを備えた固体電解コンデンサにおいて、
    前記封口手段が、封口ゴムとその上に形成されたエポキシ樹脂層から構成され、前記外装ケースの開口部に横加締め加工が施されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  6. 前記封口ゴムが、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)、イソブチレンイソプロピレンゴム(IIR)、スチレンブタジエンゴム、ニトリルプロピレンゴム、の中から選択された材料であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の固体電解コンデンサ。
  7. 電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した後に、乾燥処理を施し、結晶水レベルの水分を残存させたコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記コンデンサ素子に乾燥処理を施した後、前記電極引き出し手段を前記外装ケースの開口部に装填される封口ゴムに形成された貫通孔内に挿通し、このコンデンサ素子を前記外装ケース内に収納し、外装ケースの開口部に加締め加工を施すことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した後に、乾燥処理を施し、結晶水レベルの水分を残存させたコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記コンデンサ素子に乾燥処理を施した後、前記電極引き出し手段を、封口ゴムの上面あるいは下面の少なくともいずれか一方にフッ素樹脂を貼り付けたフッ素樹脂貼りゴムに形成された貫通孔内に挿通し、このコンデンサ素子を前記外装ケース内に収納し、外装ケースの開口部に加締め加工を施すことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した後に、乾燥処理を施し、結晶水レベルの水分を残存させたコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記コンデンサ素子に乾燥処理を施した後、前記電極引き出し手段を、上面に凹部を設けた封口ゴムに形成された貫通孔内に挿通し、このコンデンサ素子を前記外装ケース内に収納し、この外装ケースの開口部を加締め加工した後、前記凹部にエポキシ樹脂を充填し、加熱して、前記エポキシ樹脂を硬化させることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した後に、乾燥処理を施し、結晶水レベルの水分を残存させたコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記コンデンサ素子に乾燥処理を施した後、前記電極引き出し手段を、半硬化したエポキシ樹脂板に形成された貫通孔内に挿通し、このコンデンサ素子を前記外装ケース内に収納し、この外装ケースの開口部を加締め加工した後、加熱して、前記半硬化したエポキシ樹脂板を硬化させることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  11. 電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回し、両極電極箔間にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した後に、乾燥処理を施し、結晶水レベルの水分を残存させたコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記コンデンサ素子に乾燥処理を施した後、前記電極引き出し手段を、封口ゴムに形成された貫通孔内に挿通し、このコンデンサ素子を前記外装ケース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口ゴムによって封口した後、横加締め加工を施し、封口ゴムの上面と外装ケースの側面に囲まれた空間部にエポキシ樹脂を充填し、加熱して、前記エポキシ樹脂を硬化させることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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