JP4257385B2 - 切断装置のワーククランプ構造 - Google Patents

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本発明は比較的細長いワークを短く切断(輪切り)する為の切断装置のワーククランプ構造に関するものである。
縦・横及び高さが所定の寸法に仕上げられたワークを複数本の細い角棒に切断することが行われているが、この場合、ワークはカーボンやセラミックで出来ているトレイ(受け台)に接着・固定される。すなわち、トレイにワーク底面を固定し、この状態で該トレイを切断機のテーブル面に位置決めして切断加工が行われる。ところで、ワークをトレイに接着・固定する場合、ホットプレートの上に該トレイとワークを置いて温め、接着剤(ワックス)を接着面に塗布して該ワークをトレイ上面に位置決め・固定する。
この際にワークを接着する力加減やワックスの塗布方法、ワックスの塗布厚さによってワークの位置決め精度が左右される。ワークを固定したトレイはマグネットテーブルに載せて位置決め・固定されるが、マグネットが効かないセラミックトレイなどはテーブル面に固定するに際して特別な治具が必要となる。又、磁気を嫌うワークであれば、マグネットテーブルの利用は出来ないので、治具を用いての位置決め・固定方法が採用される。
そして、ワークが切断された後はトレイから取り除かなくてはならず、その為に高温に加熱して行われ、切断された部材からワックスが洗浄される。一方、トレイにワークを固着して切断する場合、トレイ面にもカッターの切断溝が形成され、該トレイの寿命も短くて、新たなトレイと度々交換しなくてはならない。このように、従来の切断加工には加工前の準備工程並びに加工後の後処理工程が必要となり、コスト高になってしまう。
又、細い棒状のワークを細かく輪切りする切断加工を行う場合にも、該棒状ワークをトレイに接着・固定して該トレイと共に切断することは可能である。しかし、非能率的であると同時に接着する平坦な面を有す角棒であればトレイに接着・固定することも出来るが、丸棒や楕円棒のように湾曲した側面を有す棒状のワークの場合にはトレイ面に接着・固定することが出来ない。
コンピュータや複写機、さらには家電製品などには、小さな部品が数多く使用されている。これら小さな部品は色々な方法で加工され、大半は塑性加工されるが一部は切削加工されている。本発明が対象とする切断加工はその1つであり、具体的な部品を対象とするものではないが、前以て外形を加工した棒状のワークを高精度で効率よく切断することが望まれている。
このように、従来の切断加工には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、棒状のワークをトレイに接着・固定することなく、両クランプ部にて挟み込んで高精度で効率よく切断することが出来る切断装置のワーククランプ構造を提供する。
本発明が対象とする切断装置は所定の寸法に仕上げられた棒状のワークを切断することが出来るように構成され、中央には主軸に取付けた複数枚の円盤カッターが配置されている。そして、円盤カッターは高速回転しながらテーブルに固定されているワークを輪切りすることが出来る。ところで、棒状のワークは両側がクランプされて所定の位置に安定して固定される。
本発明に係るクランプ構造はワークに直接接してクランプするクランプ部が取着部に取付けられ、該クランプ部はワーク形状に応じて交換可能としている。そして上記取着部はクランプシリンダーのピストンロッド先端に設けている。ところで、ワークは円盤カッターにて切断されるが、クランプ部の一部も同時に切込まれ、その為に適当な時期に交換することが出来る取付け構造としている。しかし、クランプ部が取着される取着部は円盤カッターにて切込まれない位置関係にある。
このように、本発明ではワークを両クランプ部にてクランプし、該ワークを細かく輪切りすることが出来、従来のようにワークをトレイに接着・固定する必要はなく、効率的に切断作業を行うことが出来る。そして、該ワークの断面形状は四角形に限らず、円形や楕円形のような湾曲した側面を有すワークであっても適当な形状のクランプ部を取付けることで正しくクランプして切断を行い得る。
従って、従来のようなトレイに接着・固定する方法に比較して効率よく切断でき、準備作業及び後処理作業は不要となる。その為に、切断に要する作業工数は極端に少なくなり、切断されるワークは安くなる。又、ワークをクランプするクランプ部の一部はワークと共に切断されるが、複数回使用出来る。そして、ワックスの塗布量や塗布方法が切断精度に影響されることもなく、高精度の切断が効率よく行われる。
図1は本発明が対象とするワーク1a,1bを表しており、(a)に示すワーク1aは正方形断面の棒材であり、その一辺は10mmで長さは20mm〜50mmとしている。この棒材ワーク1aを点線で示す箇所を切断して細かいピース2a,2a・・に輪切りされる。そして、(b)に示すワーク1bは円形断面の棒材であり、その直径は10mmで長さは20mm〜50mmとし、点線で示す箇所が切断されて細かい複数のピース2b,2b・・に輪切りされる。
このように細い棒材ワーク1a,1bをさらに小さなピース2a,2a・・、及び2b,2b・・に切断するに際して、両側面がクランプされる。そして、クランプされた状態で複数の円盤状ダイヤモンドカッターにて切断される。図2はワーク1aがクランプされた状態を表しているが、ワーク1aの側面はクランプ部3,3にて挟み込まれてクランプ・固定される。
ワーク1aの上方にはダイヤモンドカッター4が配置され、このダイヤモンドカッター4は高速で回転すると共に降下する。従って、ワーク1aは該ダイヤモンドカッター4,4・・・にて細かく切断される。ダイヤモンドカッター4は主軸5に取付けられ、この場合、複数枚のダイヤモンドカッター4,4・・が主軸5に取付けられることで、ワーク1aは複数のピース2a,2a・・に一度に輪切りされる。ここで、ワーク1aの横寸法が30mm、40mm・・と大きくなって長方形断面の棒材の場合には、ダイヤモンドカッター4を回転しながら降下するだけでは切残しが発生する。この場合には、ワーク1aを取付けているテーブル又はダイヤモンドカッター4を水平移動させることが出来る。
以下、本発明の切断方法を説明する。
(1)ワークの供給
ワーク1はダイヤモンドカッター4の下方に設けているテーブルに供給される。ここで、該テーブルへの具体的な供給方法は限定しないことにする。例えば、図3に示す供給方法はワーク1の両側面6,6を挟み込み、ダイヤモンドカッター4の真下と成る矢印方向へ移動する。(b)のように所定の位置へ移動したワーク1は挟まれた状態に保たれる。そして、(c)に示すように、両側からピストンロッド9,9が伸びて、ワーク1はクランプされる。ここで、テーブル中央には載置板8が固定され、供給されるワーク1は該載置板8の上に載置される。
(2)クランプ
ピストンロッド9,9の先端には取着部10,10が取付けられ、この取着部10,10にはワーク1を直接掴むクランプ部3,3が固定されている。クランプ部3,3の高さはワーク1より低くなっている為に、供給装置のクランパーが邪魔にならないようにワーク1をクランプ・固定する。クランプ部3,3にてクランプされたところで供給装置のクランプは解除され、ワーク1は(c)に示すように載置板8に載ってダイヤモンドカッター4の真下に固定される。
(3)切断
図3(c)のようにクランプされたワーク1は前記図2に示すダイヤモンドカッター4にて切断される。該ダイヤモンドカッター4は高速で回転しながら降下し、降下に伴ってワーク1は切断される。この際、ワーク1をクランプしている両クランプ部3,3の一部にはダイヤモンドカーター4が切り込まれ、テーブル7に取付けられている載置板8の表面も一部切込まれるがテーブル面が切断されることはない。
本発明のダイヤモンドカッター4は回転しながら真下へ降下することでワーク1は切断されるが、その切断精度は高くなる。すなわち、定位置にあるダイヤモンドカッター4に対してテーブルに固定したワークを水平移動させる場合には、切断箇所がダイヤモンドカッター中心から偏心する為に切断精度は低下するが、真下へ降下して切断することで切断箇所がダイヤモンドカッターの中心軸線上にある為に高い切断精度が得られる。
(4)排出
ワーク1の切断が完了したところでダイヤモンドカッター4は上昇し、そして切断されたピース2,2・・はクランプが解除されると同時に排出される。
勿論、排出手段は存在する。例えば、供給時に使用したクランパーにて再びクランプして排出することが出来、又はクランプを解除してテーブルの載置板8に置かれたピースを、押し出し具にてテーブルの外へ排出することも可能となる。
図4、図5、図6は本発明に係るクランプ構造を備えた切断装置の外観を表している実施例である。同図の1はワーク、4は円盤状ダイヤモンドカッター、3はクランプ部、11,12はクランプシリンダーをそれぞれ表している。切断装置の本体フレーム14には駆動モータ15を備え、該駆動モータ15の主軸5に複数枚のダイヤモンドカッター4,4・・が取付けられている。
そして、本体フレーム14の上部正面側にはテーブルフレーム16が取付けられ、該テーブルフレーム16の上端にはテーブル7が設けられている。同図に示す切断装置のテーブル7は定位置に固定した構造であって、上記駆動モータ15が上下動することが出来る構造と成っている。すなわち、ダイヤモンドカッター4は回転しながら降下して真下にクランプされているワーク1が切断される。
一方、駆動モータ15を降下させる代わりに、テーブル7を上昇させることも可能であり、定位置で回転しているダイヤモンドカッター4に対してテーブル7を上昇させることでワーク1を切断できる。何れの場合であっても、ワーク1は図3(c)のようにクランプされている。
図4に示す正面図から明らかなように、両側にはクランプシリンダー11,12を備え、ワーク1を供給装置のプッシャーにて正面から押圧してスライドさせ、後方に設けたストッパーに当接する。この状態で両側の上記クランプシリンダー11,12が作動して両クランプ部3,3にてワーク1はクランプされる。ダイヤモンドカッター4は駆動モータ15にて高速回転すると共に下方へ降下し、ワーク1が細かく切断される。テーブル7には載置板8を取付けている為に、ダイヤモンドカッター4にて載置板8の一部は切込まれるが、テーブル面をキズ付けることなくワーク1を切断できる。
ワーク1はクランプ部3,3にて強固にクランプされている為に、所定の寸法に精確に切断される。そして、切断されたピース2,2・・は排出手段にてテーブルから排出され、再び別のワーク1が供給される。ここで、排出手段としては特に限定しないことにするが、最も汎用的な方法としてはロボットのアームにて摘み出すことが出来る。
図7は円形断面のワーク1をクランプ部3,3にクランプした場合を示している。ワーク1は円形断面の棒材である為に、クランプ部3,3の先端面はV形を成し、ワーク1は位置ズレすることなく固定される。クランプ部3はクランプシリンダー11,12のピストンロッド先端に設けた取着部10に取付けられている。取付け構造は色々あって限定しないが、ネジ止めや接着剤が使用される。
ダイヤモンドカッター4にてワーク1を切断する場合、ワーク1を固定しているクランプ部3,3の一部も切り込まれて切り込み溝が形成される。同じく、ワーク1を載置している載置板8の表面も切込まれる。従って、クランプ部3,3、及び載置板8は定期的に交換しなくてはならない。その為に、取着部10、及びテーブル7への着脱が簡単に行える取付け構造としている。ここで、クランプ部3及び載置板8の材質はダイヤモンドカッター4の寿命に影響の少ない材質でクランプした際のワーク1の位置決め精度の低下をもたらさない材質、例えばカーボンなどが使用される。
このように、クランプ部3,3に挟まれてクランプされたワーク1は回転しながら降下するダイヤモンドカッターにて切断される。切断開始時はワーク1との切断域は僅かであるが、降下するにしたがって拡大し、その結果、切断抵抗が増大する。切断抵抗の増大にて非常に薄いダイヤモンドカッター4を変形し、発熱も増大する。その影響としてワーク1の切断精度が低下してしまう。
本発明では、この切断抵抗が一定以上に大きくならないように制御している。すなわち、切断抵抗の増大は駆動モータ15が回転するに必要な電流の増加を招く為に、該電流が一定以上にならないようにダイヤモンドカッター4の切込み速度(降下速度)を制御することが出来る。
本発明に係る切断装置にて切断されるワーク形状。 クランプされたワークを切断する場合。 テーブルにワークをセッティングする工程。 切断装置の正面図。 切断装置の平面図。 切断装置の側面図。 円形断面のワークをクランプした場合。
符号の説明
1 ワーク
2 ピース
3 クランプ部
4 ダイヤモンドカッター
5 主軸
6 側面
7 テーブル
8 載置板
9 ピストンロッド
10 取着部
11 クランプシリンダー
12 クランプシリンダー
14 本体フレーム
15 駆動モータ
16 テーブルフレーム

Claims (1)

  1. 所定の寸法に仕上げた棒状ワークを挟み込みこんで、主軸に取付けた複数枚の円盤カッターにて上記ワークを輪切りする切断装置のクランプ構造において、クランプシリンダーのピストンロッド先端に設けた取着部には上記ワークに直接接してクランプするクランプ部を着脱可能に取付け、上記円盤カッターに対するクランプ部の位置は、ワークの切断に伴って該クランプ部の一部は切断されるが取着部は切断されることがない位置関係にあることを特徴とする切断装置のワーククランプ構造。
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