JP4255489B2 - ディスクブレーキ用のシム板 - Google Patents

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Description

本発明は、ディスクブレーキのブレーキ操作時に発生する鳴きを防止するディスクブレーキ用のシム板に関する。
車両のブレーキに用いられているディスクブレーキの一例を図6に示す。ディスクブレーキの制動時に発生する鳴きと呼ばれる異音を防止するために、パッド70とピストン62との間に金属板等のディスクブレーキ用のシム板(以下、単にシム板と呼ぶ)76が配設されている。車両用のディスクブレーキ50は車体側に支持されるキャリパボディ60を有し、キャリパボディ60は、円盤状のディスクロータ52を介して液圧室64が内部に形成された作用部60aと、作用部60aに対向して配設された反作用部60bと、を有する。液圧室64内には、ピストン62が配設されており、ピストンシール63によってブレーキ液が液密に保たれている。
作用部60aと反作用部60bとの間には、ディスクロータ52の被圧接面(側面)に圧接可能な一対のパッド70,70が対向して配設されている。パッド70は、ライニング材72が金属製の裏板74のディスクロータ52側の面に一体に設けられている。したがって、ディスクブレーキ50は、液圧室64に外部より液圧を作用させると、ピストン62が図6の矢印B方向に移動して、ピストン62側(インナー側)のパッド70をディスクロータ52の一方の被圧接面52aに押し付け、同時にキャリパボディ60がスライドピン(図示せず)を介して図6の矢印C方向にスライドして、反作用部60bによりアウター側のパッド70をディスクロータ52の他方の被圧接面52bに押し付けることで制動力を発生する。この際、パッド70とディスクロータ52との間に摩擦による摺動損失が発生し、その損失により制動力を得る構成であるが、パッド70とディスクロータ52との摩擦は、常に、制動時において両者間には細かな振動が発生する。この振動がディスクロータ52やキャリパボディ60等と共振してディスクブレーキ50の異音となり、鳴きが発生すると考えられる。
このような鳴きを防止するため、ディスクブレーキ50は、作用部60a側ではパッド70とピストン62との間にシム板76を介在させ、反作用部60b側ではパッド70と反作用部60bとの間にシム板76を介在させていた(例えば、特許文献1参照)。このようなシム板76は、複数の係止片76cによって裏板74に装着され、図7に示すように、例えば薄いステンレス製の金属板76aと、金属板76aの両面に加硫接着されたニトリルゴム(NBR:アクリロニトリル-ブタジエンゴム)等の合成ゴムに補強繊維及び酸化マグネシウム等の充填材が混合されて成るシート状のゴム部76xと、を有していた。ゴム部76xに採用されるゴム材としては、ニトリルゴム(NBR)の他、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)等が例示されているが、一般的には、ガラス転移点(Tg)が高く減衰特性(損失正接(tanδ))に優れたニトリルゴム(NBR)が用いられていた。
しかしながら、ニトリルゴム(NBR)を用いたゴム部を有するシム板は、高温例えば120℃以上での減衰特性(損失正接(tanδ))が低く、劣化開始温度が低かった。そのため、ディスクブレーキが高温になると鳴きが発生しやすく、また高温によるゴム部の劣化によって減衰特性が低下してシム板の寿命がディスクブレーキの他の部品に比べて比較的短かった。
また、一般に、カーボンナノファイバーはマトリックスに分散させにくいフィラーであった。本発明者等が先に提案した炭素繊維複合材料の製造方法によれば、これまで困難とされていたカーボンナノファイバーの分散性を改善し、エラストマーにカーボンナノファイバーを均一に分散させることができた(例えば、特許文献2参照)。このような炭素繊維複合材料の製造方法によれば、エラストマーとカーボンナノファイバーを混練し、剪断力によって凝集性の強いカーボンナノファイバーの分散性を向上させている。より具体的には、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合すると、粘性を有するエラストマーがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合し、この状態で、分子長が適度に長く、分子運動性の高い(弾性を有する)エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物に強い剪断力が作用すると、エラストマーの変形に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性によるエラストマーの復元力によって、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散していた。このように、マトリックスへのカーボンナノファイバーの分散性を向上させることで、高価なカーボンナノファイバーを効率よく複合材料のフィラーとして用いることができるようになった。
特開平6−94057号公報 特開2005−97525号公報
本発明の目的は、カーボンナノファイバーを均一に分散させることで高温における減衰特性に優れたディスクブレーキ用のシム板を提供することにある。
本発明にかかるディスクブレーキ用のシム板は、
ライニング材を含むパッドを円盤状のディスクロータに押し付けて制動力を発生させるディスクブレーキ用のシム板であって、
金属板と、該金属板の少なくとも一方の表面に形成されたゴム部と、を有し、
前記ゴム部は、ニトリルゴムに平均直径が0.5ないし500nmのカーボンナノファイバーが分散され、200℃における損失正接(tanδ)が0.05〜1.00であり、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって観測核が H、150℃で測定した、無架橋体における、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満である。
本発明にかかるディスクブレーキ用のシム板によれば、T2n及びfnnがこのような範囲にあることからゴム部のニトリルゴム中にカーボンナノファイバーが均一に分散されており、これによって劣化開始温度が高く、したがって高温においても優れた減衰特性を有することができる。本発明にかかるディスクブレーキ用のシム板によれば、ゴム部にニトリルゴムを用いても高温における剛性及び減衰特性を維持することができ、高温使用時にも鳴きの発生を効果的に抑えることができる。さらに、ディスクブレーキが高温になっても、劣化開始温度が高く耐熱性に優れるため、シム板のゴム部が劣化しにくく、シム板の長寿命化も達成できる。また、本発明にかかるシム板によれば、無架橋体であっても架橋体に近い減衰特性を得ることができるため、無架橋のシム板としても使用可能であり、使用後に再度せん断力をかけて混練し、再利用(リサイクル)することができる。
また、本発明にかかるディスクブレーキ用のシム板は、
ライニング材を含むパッドを円盤状のディスクロータに押し付けて制動力を発生させるディスクブレーキ用のシム板であって、
金属板と、該金属板の少なくとも一方の表面に形成されたゴム部と、を有し、
前記ゴム部は、ニトリルゴムに平均直径が0.5ないし500nmのカーボンナノファイバーが分散され、200℃における損失正接(tanδ)が0.05〜1.00であり、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって観測核が H、150℃で測定した、架橋体における、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし2000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満である。
本発明にかかるディスクブレーキ用のシム板によれば、T2n及びfnnがこのような範囲にあることからゴム部のニトリルゴム中にカーボンナノファイバーが均一に分散されており、これによって劣化開始温度が高く、したがって高温においても優れた減衰特性を有することができる。本発明にかかるディスクブレーキ用のシム板によれば、ゴム部にニトリルゴムを用いても高温における剛性及び減衰特性を維持することができ、高温使用時にも鳴きの発生を効果的に抑えることができる。さらに、ディスクブレーキが高温になっても、劣化開始温度が高く耐熱性に優れるため、シム板のゴム部が劣化しにくく、シム板の長寿命化も達成できる。
本発明にかかるディスクブレーキ用のシム板において、
前記ゴム部は、200℃における動的弾性率(E’)が10MPa〜1000MPaであることができる。
本発明にかかるディスクブレーキ用のシム板において、
前記ゴム部は、熱機械分析における劣化開始温度が160℃〜300℃であることができる。
本発明にかかるディスクブレーキ用のシム板において、
前記ゴム部は、前記金属板の両方の表面に形成されることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態のシム板及びパッドの組付状態を示す正面図である。図2は、図1のシム板のIII−III’縦断面図である。図3は、図2のシム板の部分拡大縦断面図である。
本実施の形態にかかるシム板76は、例えば図6に示すライニング材72を含むパッド70を円盤状のディスクロータ52に押し付けて制動力を発生させる車両のディスクブレーキ50に用いることができる。ディスクブレーキ50の作用部60a側ではパッド70とピストン62との間にシム板76を介在させ、反作用部60b側ではパッド70と反作用部60bとの間にシム板76を介在させることでディスクブレーキ50の鳴きを防止する。シム板76は、図1に示すように、複数の係止片76cによってパッド70の裏板74に装着された状態で、図6に示したディスクブレーキ50に組み付けられる。図2、3に示すように、シム板76は、例えば薄いステンレス製の金属板76aと、金属板76aの両面に加硫接着されたニトリルゴム(NBR)にカーボンナノファイバーで補強されたシート状のゴム部76bと、を有する。なお、本実施の形態においては、金属板76aの両面にゴム部76bが形成されているが、金属板76aの少なくとも一方の表面だけにゴム部76bが形成されてればよく、また、シム板76を複数枚例えば2枚重ねて裏板74に装着してもよい。また、ディスクブレーキ50の形式は、本実施の形態のピンスライド式に限らず、ピストンがディスクロータの両側に配置された対向型ディスクブレーキでもよく、ピストンの数やシム板の形状も本実施の形態に限定されない。
ゴム部36は、200℃における損失正接(tanδ)が0.05〜1.00であり、無架橋体において、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって観測核が H、150℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満である。また、ゴム部36は、200℃における損失正接(tanδ)が0.05〜1.00であり、架橋体において、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって観測核が H、150℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし2000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満である。
ゴム部76bのT2n,fnnは、マトリックスであるニトリルゴムにカーボンナノファイバーが均一に分散されていることを表すことができる。つまり、ニトリルゴムにカーボンナノファイバーが均一に分散されているということは、ニトリルゴムがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、カーボンナノファイバーによって拘束を受けたニトリルゴム分子の運動性は、カーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、本実施の形態にかかるゴム部76bの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーを含まないニトリルゴム単体の場合より短くなり、特にカーボンナノファイバーが均一に分散することでより短くなる。なお、架橋体におけるスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーの混合量に比例して変化する。
また、ニトリルゴム分子がカーボンナノファイバーによって拘束された状態では、以下の理由によって、非ネットワーク成分(非網目鎖成分)は減少すると考えられる。すなわち、カーボンナノファイバーによってニトリルゴムの分子運動性が全体的に低下すると、非ネットワーク成分は容易に運動できなくなる部分が増えて、ネットワーク成分と同等の挙動をしやすくなること、また、非ネットワーク成分(末端鎖)は動きやすいため、カーボンナノファイバーの活性点に吸着されやすくなること、などの理由によって、非ネットワーク成分は減少すると考えられる。そのため、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は、カーボンナノファイバーを含まないニトリルゴム単体の場合より小さくなる。なお、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する成分の成分分率(fn)は、fn+fnn=1であるので、カーボンナノファイバーを含まないニトリルゴム単体の場合より大きくなる。
以上のことから、本実施の形態にかかるゴム部76bは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって得られる測定値が上記の範囲にあることによってカーボンナノファイバーが均一に分散されていることがわかる。
パルス法NMRを用いた反転回復法により測定されたスピン−格子緩和時間(T1)は、スピン−スピン緩和時間(T2)とともに物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、ニトリルゴムのスピン−格子緩和時間が短いほど分子運動性が低く、ニトリルゴムは固いといえ、そしてスピン−格子緩和時間が長いほど分子運動性が高く、ニトリルゴムは柔らかいといえる。
ゴム部76bは、200℃における損失正接(tanδ)が0.05〜1.00であり、さらに好ましくは0.05〜0.5である。損失正接(tanδ)は、動的粘弾性試験を行い、動的剪断弾性率(E’、単位はdyn/cm)と動的損失弾性率(E’’、単位はdyn/cm)とを求め、損失正接(tanδ=E’’/E’)を計算して得ることができる。200℃における損失正接(tanδ)が0.05以上となることで、高温領域(200℃)における高い減衰特性を有するゴム部76bを得ることができる。
ゴム部76bは、200℃における動的弾性率(E’)が10MPa〜1000MPaであることが好ましく、さらに好ましくは10MPa〜100MPaである。
ゴム部76bは、熱機械分析における劣化開始温度が160℃〜300℃であることが好ましく、さらに好ましくは200℃〜300℃である。熱機械分析における劣化開始温度は、軟化劣化(膨張)及び硬化劣化(収縮)を含む劣化現象が開始する温度であって、熱機械分析によって得られた温度−線膨張係数微分値の特性グラフから劣化現象が開始した温度を測定して得られる。ゴム部76bの劣化開始温度が高いということは、高温においてもゴム部76bの劣化が始まらないので、シム板76を使用することのできる最高温度が高くなるため望ましい。ゴム部76bは、ニトリルゴムにカーボンナノファイバーが良好に分散されているため、ニトリルゴムがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。したがって、ニトリルゴムは、カーボンナノファイバーを含まない場合に比べて、その分子運動が小さくなり、その結果、劣化開始温度が高温側へ移動する。
次に、ゴム部76bを構成するゴム組成物の製造方法について説明する。
図4は、オープンロール法によるゴム組成物の製造方法を模式的に示す図である。
原料となるニトリルゴムは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって観測核が H、30℃で測定した、無架橋体における、ネットワーク成分の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし3000μ秒である。図4に示すように、第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、例えば0.5mm〜1.0mmの間隔で配置され、図4において矢印で示す方向に回転速度V1,V2で正転あるいは逆転で回転する。まず、第のロール20に巻き付けられたニトリルゴム30の素練りを行ない、ニトリルゴム分子鎖を適度に切断してフリーラジカルを生成する。カーボンナノファイバーは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっているため、素練りによってニトリルゴムのフリーラジカルがカーボンナノファイバーと結びつきやすい状態となる。
次に、第のロール20に巻き付けられたニトリルゴム30のバンク34に、平均直径が0.5ないし500nmのカーボンナノファイバー40を投入し、混練する。ニトリルゴム30とカーボンナノファイバー40とを混合する工程は、オープンロール法に限定されず、密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。
さらに、第1のロール10と第2のロール20とのロール間隔dを、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0ないし0.5mmの間隔に設定し、混合物をオープンロールに投入して薄通しを複数回行なう。薄通しの回数は、例えば5回〜10回程度行なうことが好ましい。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05ないし3.00であることが好ましく、さらに1.05ないし1.2であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。薄通しされたゴム組成物は、ロールで圧延されてシート状に分出しされる。この薄通しの工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ロール温度を好ましくは0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃の比較的低い温度に設定して行われ、ニトリルゴム30の実測温度も0ないし50℃に調整されることが好ましい。このようにして得られた剪断力により、ニトリルゴム30に高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノファイバー40がニトリルゴム分子に1本づつ引き抜かれるように相互に分離し、ニトリルゴム30中に分散される。特に、ニトリルゴム30は、弾性と、粘性と、カーボンナノファイバー40との化学的相互作用と、を有するため、カーボンナノファイバー40を容易に分散することができる。そして、カーボンナノファイバー40の分散性および分散安定性(カーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れたゴム組成物を得ることができる。
より具体的には、オープンロールでニトリルゴムとカーボンナノファイバーとを混合すると、粘性を有するニトリルゴムがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、ニトリルゴムの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。次に、ニトリルゴムに強い剪断力が作用すると、ニトリルゴム分子の移動に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性によるニトリルゴムの復元力によって、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、ニトリルゴム中に分散されることになる。本実施の形態によれば、ゴム組成物が狭いロール間から押し出された際に、ニトリルゴムの弾性による復元力でゴム組成物はロール間隔より厚く変形する。その変形は、強い剪断力の作用したゴム組成物をさらに複雑に流動させ、カーボンナノファイバーをニトリルゴム中に分散させると推測できる。そして、一旦分散したカーボンナノファイバーは、ニトリルゴムとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
ニトリルゴムにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、前記オープンロール法に限定されず、密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集したカーボンナノファイバーを分離できる剪断力をニトリルゴムに与えることができればよい。特に、オープンロール法は、ロール温度の管理だけでなく、混合物の実際の温度を測定し管理することができるため、好ましい。
ゴム組成物の製造方法は、薄通し後の分出しされたゴム組成物に架橋剤を混合し、架橋して架橋体のゴム組成物としてもよい。また、ゴム組成物は、架橋させずに成形してもよい。ゴム組成物は、オープンロール法によって得られたシート状のままでもよいし、得られたゴム組成物を一般に採用されるゴムの成形加工例えば、射出成形法、トランスファー成形法、プレス成形法、押出成形法、カレンダー加工法などによって所望の形状例えばシート状に成形してもよい。
本実施の形態にかかるゴム組成物の製造方法において、通常、ニトリルゴムの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。これらの配合剤は、例えばオープンロールにおけるカーボンナノファイバーの投入前にニトリルゴムに投入することができる。
このようにして得られたゴム組成物を金属板76aに重ねて架橋接着などで接着してゴム部76bを形成してもよいし、ゴム組成物を溶剤に溶かしてスプレー塗布、ローラ塗布、ディッピングなどで塗布し加熱処理してゴム部76bを形成してもよい。
ニトリルゴムは、NBRと略記することができ、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体系の合成ゴムであって、室温においてゴム状弾性を有するものであれば、比較的広範囲のものを用いることができる。ニトリルゴムは、アクリロニトリル量を約15〜50%に含めることで、その物性を変化させることができ、例えば低ニトリル24%未満、中ニトリル24〜30%、中高ニトリル30〜36%、高ニトリル36〜42%、極高ニトリル42%を越えるものというようにニトリル量で分類できる。ニトリルゴムの平均分子量は、通常5万以上のものが望ましく、より好ましくは7万以上、特に好ましくは10〜50万程度のものを用いることができる。
カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmであることが好ましく、平均直径が0.5ないし100nmであることがさらに好ましい。また、カーボンナノファイバーは、平均長さが0.01〜1000μmであることが好ましい。カーボンナノファイバーの配合量は、特に限定されず、用途や他の配合剤の種類や量などに応じて適宜設定できる。
カーボンナノファイバーとしては、例えば、いわゆるカーボンナノチューブなどが例示できる。カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラファイトの1枚面を1層に巻いた単層カーボンナノチューブ(シングルウォールカーボンナノチューブ:SWNT)、2層に巻いた2層カーボンナノチューブ(ダブルウォールカーボンナノチューブ:DWNT)、3層以上に巻いた多層カーボンナノチューブ(MWNT:マルチウォールカーボンナノチューブ)などが適宜用いられる。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブといった名称で称されることもある。また、カーボンナノファイバーは、ホウ素、炭化ホウ素、ベリリウム、アルミニウム、ケイ素等の黒鉛化触媒と共に約2300℃〜3200℃で黒鉛化処理したものを用いてもよい。
単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、気相成長法などによって望ましいサイズに製造される。アーク放電法は、大気圧よりもやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒でできた電極材料の間にアーク放電を行うことで、陰極に堆積した多層カーボンナノチューブを得る方法である。また、単層カーボンナノチューブは、前記炭素棒中にニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜてアーク放電を行い、処理容器の内側面に付着するすすから得られる。レーザーアブレーション法は、希ガス(例えばアルゴン)中で、ターゲットであるニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜた炭素表面に、YAGレーザーの強いパルスレーザー光を照射することによって炭素表面を溶融・蒸発させて、単層カーボンナノチューブを得る方法である。気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。なお、カーボンナノファイバーは、ニトリルゴムと混練される前に、あらかじめ表面処理、例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、ニトリルゴムとの接着性やぬれ性を改善することができる。
なお、本実施の形態にかかるシム板のゴム部の製造方法においては、ゴム弾性を有した状態のニトリルゴムにカーボンナノファイバーを直接混合したが、これに限らず、以下の方法を採用することもできる。まず、カーボンナノファイバーを混合する前に、ニトリルゴムを素練りしてニトリルゴムの分子量を低下させる。ニトリルゴムは、素練りによって分子量が低下すると、粘度が低下するため、凝集したカーボンナノファイバーの空隙に浸透しやすくなる。原料となるニトリルゴムは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって観測核が H、30℃で測定した、未架橋体における、ネットワーク成分の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし3000μ秒のゴム状弾性体である。この原料のニトリルゴムを素練りしてニトリルゴムの分子量を低下させ、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)が3000μ秒を越える液体状のニトリルゴムを得る。なお、素練り後の液体状のニトリルゴムの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は、素練りする前の原料のニトリルゴムの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)の5〜30倍であることが好ましい。この素練りは、ニトリルゴムが固体状態のままで行なう一般的な素練りとは異なり、強剪断力を例えばオープンロール法で与えることによってニトリルゴムの分子を切断し分子量を著しく低下させ、混練に適さない程の流動を示すまで、液体状態になるまで行なわれる。この素練りは、例えばオープンロール法を用いた場合、ロール温度20℃(素練り時間最短60分)〜150℃(素練り時間最短10分)で行なわれロール間隔dは例えば0.1mm〜1.0mmで、素練りして液体状態のニトリルゴムにカーボンナノファイバーを投入する。しかしながら、ニトリルゴムは液体状で弾性が著しく低下しているため、ニトリルゴムのフリーラジカルとカーボンナノファイバーが結びついた状態で混練しても凝集したカーボンナノファイバーはあまり分散されない。
そこで、液体状のニトリルゴムとカーボンナノファイバーとを混練して得られた混合物中におけるニトリルゴムの分子量を増大させ、ニトリルゴムの弾性を回復させてゴム状弾性体の混合物を得た後、先に説明したオープンロール法の薄通しなどを実施してカーボンナノファイバーをニトリルゴム中に均一に分散させる。ニトリルゴムの分子量が増大したゴム状弾性体の混合物は、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって観測核が H、30℃で測定した、ネットワーク成分の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)が3000μ秒以下である。また、ニトリルゴムの分子量が増大したゴム状弾性体の混合物の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は、素練りする前の原料ニトリルゴムの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)の0.5〜10倍であることが好ましい。ゴム状弾性体の混合物の弾性は、ニトリルゴムの分子形態(分子量で観測できる)や分子運動性(T2nで観測できる)によって表すことができる。ニトリルゴムの分子量を増大させる工程は、混合物を加熱処理例えば40℃〜100℃に設定された加熱炉内に混合物を配置し、10時間〜100時間行なわれることが好ましい。このような加熱処理によって、混合物中に存在するニトリルゴムのフリーラジカル同士の結合などによって分子鎖が延長され、分子量が増大する。また、ニトリルゴムの分子量の増大を短時間で実施する場合には、架橋剤を少量、例えば架橋剤の適量の1/2以下を混合させておき、混合物を加熱処理(例えばアニーリング処理)し架橋反応によって短時間で分子量を増大させることもできる。架橋反応によってニトリルゴムの分子量を増大させる場合には、この後の工程で混練が困難にならない程度に架橋剤の配合量、加熱時間及び加熱温度を設定することが好ましい。
ここで説明したシム板のゴム部の製造方法によれば、カーボンナノファイバーを投入する前にニトリルゴムの粘度を低下させることで、ニトリルゴム中にカーボンナノファイバーを従来よりも均一に分散させることができる。より詳細には、先に説明した製造方法のように分子量が大きいニトリルゴムにカーボンナノファイバーを混合するよりも、分子量が低下した液体状のニトリルゴムを用いた方が凝集したカーボンナノファイバーの空隙に侵入しやすく、薄通しの工程においてカーボンナノファイバーをより均一に分散させることができる。また、ニトリルゴムが分子切断されることで大量に生成されたニトリルゴムのフリーラジカルがカーボンナノファイバーの表面とより強固に結合することができるため、さらにカーボンナノファイバーを均一に分散させることができる。したがって、ここで説明した製造方法によれば、先の製造方法よりも少量のカーボンナノファイバーでも同等の性能を得ることができ、高価なカーボンナノファイバーを節約することで経済性も向上する。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)実施例1〜6及び比較例1〜6のサンプルの作製
6インチオープンロール(ロール温度10〜20℃、ロール間隔1.5mm)に、表1及び表2に示す所定量のニトリルゴム(100重量部(phr))を投入して、ロールに巻き付かせ、5分間素練りした後、表1に示す量のカーボンナノファイバーもしくは表2示す量のカーボンブラックを投入し、混合物をオープンロールから取り出した。そして、ロール間隔を1.5mmから0.3mmへと狭くして、混合物を再びオープンロールに投入して薄通しを繰り返し5回行なった。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。さらに、ロール間隙を1.1mmにセットして、薄通しして得られたゴム組成物を投入し、分出しした。
この分出しされたゴム組成物は90℃、5分間プレス成形し、それぞれ厚さ1mmのシート状の無架橋体のゴム組成物サンプルに成形した。また、分出しされたゴム組成物の内、実施例1、3〜6及び比較例1〜6のゴム組成物に架橋剤としてパーオキサイドを配合し、オープンロールで混合して、ロール間隙を1.1mmで分出しした。そして、分出しされたゴム組成物を175℃、20分間プレス架橋し、実施例1、3〜6及び比較例1〜6の架橋体のゴム組成物サンプルを成形した。
表1及び表2において、原料ニトリルゴムは、「NBR(高ニトリル)」、「NBR(中高ニトリル)」、「NBR(低ニトリル)」を用いた。また、表1及び表2において、「MWNT13」は平均直径が約13nmの気相成長マルチウォールカーボンナノチューブであり、「MWNT100」は平均直径が約100nmの気相成長マルチウォールカーボンナノチューブであり、「HAF」はHAFグレードのカーボンブラックである。
(2)パルス法NMRを用いた測定
実施例1〜6及び比較例1〜6の各無架橋体のゴム組成物サンプルについて、パルス法NMRを用いてハーンエコー法による測定を行った。この測定は、日本電子(株)製「JMN−MU25」を用いて行った。測定は、観測核がH、共鳴周波数が25MHz、90゜パルス幅が2μsecの条件で行い、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90゜x−Pi−180゜x)にて、Piをいろいろ変えて減衰曲線を測定した。また、サンプルは、磁場の適正範囲までサンプル管に挿入して測定した。測定温度は表1及び表2のカッコ内に示すように、30℃と150℃であった。この測定によって、原料ゴムの第1のスピンースピン緩和時間(T2n/30℃)と、各サンプルについて第1のスピン−スピン緩和時間(T2n/150℃)と第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn/150℃)を有する成分の成分分率(fnn/150℃)とを求めた。測定結果を表1及び表2に示した。
(3)熱機械分析(TMA)
実施例1、3〜6及び比較例1〜6の架橋体のゴム組成物サンプルと実施例2の無架橋体のゴム組成物サンプルを1.5mm×1.0mm×10mmに切り出した試験片について、SII社製熱機械分析機(TMASS)を用いて、側長荷重は25KPa、測定温度は−80〜350℃、昇温速度は2℃/分で線膨張係数を測定し、得られた線膨張係数の温度変化特性から軟化劣化もしくは硬化劣化が開始する劣化開始温度を測定した。これらの結果を表1及び表2に示す。劣化開始温度は、実施例4、比較例3,4について図5を用いて説明する。図5は、実施例4(図中X)、比較例3(図中Y)及び比較例4(図中Z)の微分線膨張係数の温度変化を示す、温度(℃)−微分線膨張係数(ppm/K)のグラフである。実施例4(X)は、架橋型の硬化劣化(収縮)であって、図5で線膨張係数が極端に変化している点で劣化が開始していると判断し、204℃を劣化開始温度とした。また、比較例3(Y)及び比較例4(Z)は、鎖切断型の軟化劣化(膨張)であって、それぞれ図5で線膨張係数が極端に変化している点で劣化が開始していると判断し、127℃と152℃を劣化開始温度とした。
(4)動的粘弾性試験
実施例1、3〜6及び比較例1〜6の架橋体のゴム組成物サンプルと実施例2の無架橋体のゴム組成物サンプルを短冊形(40×1×5(巾)mm)に切り出した試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、測定温度−100〜300℃、動的ひずみ±0.05%、周波数10HzでJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行い動的弾性率(E’、単位はMPa)と損失正接(tanδ)を測定した。測定温度が30℃と200℃における動的弾性率(E’)の測定結果を表1及び表2に示す。また、測定温度が−10℃、30℃及び200℃における損失正接(tanδ)の測定結果を表1及び表2に示す。さらに、ガラス転移点(Tg)付近の領域における損失正接(tanδ)のピーク温度を使用最低温度(℃)として表1及び表2に示す。使用最低温度は、これよりも低温の領域ではゴム組成物が硬くなりすぎるためクッション性を失うので、シム板用のゴム組成物としての使用限界温度である。
Figure 0004255489
Figure 0004255489
表1及び表2から、本発明の実施例1〜6によれば、以下のことが確認された。すなわち、本発明の実施例1〜6のゴム組成物サンプルの劣化開始温度は、比較例1〜6のゴム組成物サンプルの劣化開始温度よりも高く、200℃以上であった。したがって、実施例1〜6のゴム組成物をシム板のゴム部として用いた場合、シム板の使用可能な最高温度を200℃以上に設定することができる。
また、本発明の実施例1〜6によれば、200℃における動的弾性率(E’)が10MPa以上であり、高温においても高い剛性を維持していることがわかった。なお、比較例1〜6のゴム組成物は、劣化開始温度が123℃〜152℃であったので、200℃では軟化して測定できなかった。本発明の実施例1〜6によれば、常温(30℃)における動的弾性率(E’)が25MPa以上で比較例1〜6よりも高く、常温(30℃)においても高い剛性を有していた。
さらに、本発明の実施例1〜6によれば、200℃における損失正接(tanδ)が0.05以上であり、特に高温において高い減衰特性を維持していることがわかった。なお、比較例1〜6のゴム組成物は、劣化開始温度が123℃〜152℃であったので、200℃では軟化して測定できなかった。本発明の実施例1〜6によれば、低温(−10℃)における損失正接(tanδ)が0.2以上であり、常温(30℃)においても損失正接(tanδ)が0.1以上で比較的高い減衰特性を有していた。
また、本発明の実施例1〜6によれば、動的粘弾性試験によって測定された使用最低温度が−10℃以下であり、低温においても柔軟でシム板用のゴム部として使用可能であることがわかった。
本実施の形態のパッド及びシム板の組付状態を示す正面図である。 図1のシム板のIII−III’縦断面図である。 図2のシム板の部分拡大縦断面図である。 オープンロール法によるゴム組成物の製造方法を模式的に示す図である。 実施例4、比較例3及び比較例4の温度(℃)−微分線膨張係数(ppm/K)を示す図である。 車両のブレーキに用いられているディスクブレーキの一例を示す縦断面図である。 シム板の縦断面図である。
符号の説明
10 第1のロール
20 第2のロール
30 ニトリルゴム
40 カーボンナノファイバー
50 ディスクブレーキ
52 ディスクロータ
60 キャリパボディ
60a 作用部
60b 反作用部
62 ピストン
64 液圧室
70 パッド
72 ライニング材
74 裏板
76 シム板
76a 金属板
76b ゴム部
76c 係止片
d ロール間隔
V1 第1のロールの表面速度
V2 第2のロールの表面速度
X 実施例4の温度−微分線膨張係数特性
Y 比較例3の温度−微分線膨張係数特性
Z 比較例4の温度−微分線膨張係数特性

Claims (5)

  1. ライニング材を含むパッドを円盤状のディスクロータに押し付けて制動力を発生させるディスクブレーキ用のシム板であって、
    金属板と、該金属板の少なくとも一方の表面に形成されたゴム部と、を有し、
    前記ゴム部は、ニトリルゴムに平均直径が0.5ないし500nmのカーボンナノファイバーが分散され、200℃における損失正接(tanδ)が0.05〜1.00であり、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって観測核が H、150℃で測定した、無架橋体における、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満である、ディスクブレーキ用のシム板。
  2. ライニング材を含むパッドを円盤状のディスクロータに押し付けて制動力を発生させるディスクブレーキ用のシム板であって、
    金属板と、該金属板の少なくとも一方の表面に形成されたゴム部と、を有し、
    前記ゴム部は、ニトリルゴムに平均直径が0.5ないし500nmのカーボンナノファイバーが分散され、200℃における損失正接(tanδ)が0.05〜1.00であり、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって観測核が H、150℃で測定した、架橋体における、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし2000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満である、ディスクブレーキ用のシム板。
  3. 請求項1または2において、
    前記ゴム部は、200℃における動的弾性率(E’)が10MPa〜1000MPaである、ディスクブレーキ用のシム板。
  4. 請求項1または2において、
    前記ゴム部は、熱機械分析における劣化開始温度が160℃〜300℃である、ディスクブレーキ用のシム板。
  5. 請求項1〜のいずれかにおいて、
    前記ゴム部は、前記金属板の両方の表面に形成される、ディスクブレーキ用のシム板。
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