JP4254143B2 - ロータリーエンジンの吸気構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータリーエンジンの作動室に吸気を導入する吸気系の構造に関し、特に、燃料噴射弁により吸気ポートに直接、燃料を噴射するようにしたものに係る。
【0002】
【従来の技術】
従来より、吸気ポートに燃料を直接、噴射するようにしたエンジンとしては、例えば特開2001−263144号公報に開示されるように、レシプロエンジンの各気筒毎の吸気ポートにインジェクタにより燃料を直接、噴射するようにしたものが知られている。このものでは、前記インジェクタによる燃料噴霧の貫徹力をエンジンの運転状態に応じて変更し、低負荷低回転時には燃料噴霧貫徹力を相対的に小さくするとともに、インジェクタの上流側の吸気通路を開閉弁により絞って吸気の流速を高めることにより、吸気ポート壁面への燃料の付着を抑制しながら、気筒への燃料の輸送遅れを軽減するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、ロータリーエンジンは、ロータの回転に連れて作動室が移動するという特有の構造の故に、吸気ポート周辺の温度がレシプロエンジンのように高くはならない。このため、一旦、ポート壁面に付着した燃料が蒸発し難く、液状のままポート壁面に沿って作動室に吸入されることが多い。そして、このことが、作動室における混合気の分布を不均一なものとする要因となり、当該作動室の扁平な形状とも相俟って、特にアイドリング時や軽負荷時等における燃焼安定性の確保が難しいきらいがある。
【0004】
さらに、そのように吸気ポート壁面に沿って流れる燃料は、吸気ポートを閉じようとするロータの側面に付着してクエンチングゾーンへ引き込まれることになるので、このことも混合気分布の偏りを助長する一因となる。
【0005】
つまり、ロータリーエンジンでは、レシプロエンジンと比べて吸気ポート壁面への燃料の付着量が多くなりやすく、しかもそのことに起因する不具合が大きいので、前記従来例のように燃料噴霧の貫徹力を弱めたり、吸気の流速を全体的に高めたりするだけでは、吸気ポート壁面への燃料の付着を効果的に抑制できるとは言い難い。
【0006】
加えて、前記従来例のように吸気ポートの上流側に開閉弁を配設すると、これ自体が吸気の流れを乱すことになり、特に高負荷乃至高回転時に吸気抵抗の増大することが避けられないので、エンジンの出力特性に悪い影響を及ぼすという不具合もある。
【0007】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吸気ポート壁面への燃料付着に起因するロータリーエンジンに特有の不具合に着目し、主に吸気ポートの構造に工夫を凝らすことにより、吸気抵抗の増大を招くことなく吸気ポート壁面への燃料の付着を効果的に抑制し、作動室における混合気分布の偏りを是正して、燃焼安定性を向上することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明では、燃料噴霧が衝突する吸気ポート壁面の所定位置(燃料被噴射位置)に向かって高速の空気流を吹出す空気吹出し通路を設けて、その燃料被噴射位置への燃料の付着を抑制するとともに、一旦、付着した燃料を剥離しその蒸発を促すようにした。
【0009】
具体的に、請求項1の発明では、ハウジング内にロータを収容してその外周側に複数の作動室を区画し、該ロータの回転に連れて各作動室がそれぞれ周方向に移動しながら、順に吸気、圧縮、膨張及び排気の各行程を行うようにしたロータリーエンジンの吸気構造を前提とする。
【0010】
そして、前記ハウジングは、ロータの外周を囲むロータハウジングと、内壁面が該ロータの側面に摺接するサイドハウジングとからなるものであり、前記吸気行程にある作動室に連通するようにサイドハウジングの内壁面に吸気ポートが開口されていて、この吸気ポート壁面の所定の燃料被噴射位置に向かって燃料を直接、噴射するように燃料噴射弁が配設されている場合に、その燃料被噴射位置よりも上流の吸気ポート壁に、燃料被噴射位置に向かって吸気ポート内の吸気よりも高速の空気を吹出すように、空気吹出し通路を設けるとともに、当該吸気ポートの下流端には、作動室へ流入する吸気の流れをロータの回転する向きに指向させるように突出する突出壁部を形成する構成とする。
【0011】
前記の構成により、ロータリーエンジンの運転中にはロータの回転に伴い吸気行程にある作動室が吸気ポートに連通し、その容積の増大によって吸気が作動室に吸入される。また、前記吸気ポートに臨む燃料噴射弁から所定のタイミングで燃料被噴射位置に向かって燃料が噴射されるとともに、その燃料被噴射位置に向かって上流側の空気吹出し通路から高速の空気流が吹出される。このことで、燃料噴射弁からの燃料噴霧が吸気ポート壁面に付着することが抑制され、また一旦、付着した燃料の蒸発等が促進される。この際、前記空気吹出し通路は、開閉弁のように吸気抵抗を増大させることがなく、しかも、高速の空気流を正確に燃料被噴射位置の付近に集中させて、極めて効果的に燃料の付着を抑制することができる。これにより、作動室における混合気分布の偏りが是正されて、燃焼安定性の向上が図られる。
【0012】
ここで、前記吸気ポートの下流端をサイドハウジングの内壁面に開口させた場合、この開口部から空気とともに作動室に流入する燃料が、当該開口部を閉じようとするロータの側面に付着する虞れがあるが、前記構成によると、吸気ポートの下流端に設けた突出壁部によって吸気の流れがロータの回転する向きに指向されるようになり、この吸気の流れはロータを避けるようにして作動室内に吸い込まれることになるから、ロータ側面への燃料の付着を抑制することができる。これにより、作動室における混合気分布の偏りをさらに是正することができる。
【0013】
請求項2の発明では、前記請求項1の発明における突出壁部を、燃料被噴射位置に近接して設けるものとする。こうすれば、空気吹出し通路から燃料被噴射位置に向けて吹き出された高速の空気流が突出壁部に衝突して、ロータの回転する向きを指向する強い流れになり、この強い流れが作動室に流入する空気流全体に影響を与えて、これを効果的に指向させることができる。よって、前記請求項1の発明の作用効果をさらに高めることができる。
【0014】
請求項3の発明では、前記請求項2の発明において、スロットル弁よりも上流の吸気通路に臨んで、ブローバイガスを導入するための導入口が開口されている場合に、空気吹出し通路の上流端を前記ブローバイガスの導入口よりも下流側の吸気通路に接続するものとする。
【0015】
すなわち、一般的に、ブローバイガスはスロットル弁よりも上流の吸気通路に導入され、そこから吸気の流れに乗ってエンジンの作動室に導入されるようになっている。このため、仮に空気吹出し通路の上流端をブローバイガスの導入口よりも上流側の吸気通路に接続すると、そのことによって吸気通路の空気の流量が減る分だけブローバイガスの導入量も減少してしまい、エンジンの運転状態によってはブローバイガスの導入量を十分に確保できなくなる虞れがある。
【0016】
これに対し、この発明では、空気吹出し通路の上流端を前記ブローバイガスの導入口よ りも下流側の吸気通路に接続することで、ブローバイガスの導入量を容易に確保できるものである。
【0017】
請求項4の発明では、空気吹出し通路の上流端をスロットル弁よりも上流側の吸気通路に接続するものとする。こうすることで、スロットル弁の上流側及び下流側の差圧によって空気吹出し通路を空気が流れるようになり、このことで請求項1の発明の作用効果がより確実なものとなる。
【0018】
請求項5の発明では、前記請求項1の発明と同じ前提構成において、吸気行程にある作動室に連通するようにハウジングの内壁面に吸気ポートが開口されていて、この吸気ポート壁面の所定の燃料被噴射位置に向かって燃料を直接、噴射するように燃料噴射弁が配設されている場合に、その燃料被噴射位置よりも上流の吸気ポート壁に、燃料被噴射位置に向かって吸気ポート内の吸気よりも高速の空気を吹出すように、空気吹出し通路を設けるとともに、この空気吹出し通路の上流端をスロットル弁よりも上流側の吸気通路に接続し、さらに、アクチュエータにより駆動されて前記空気吹出し通路を開閉する開閉弁と、前記燃料噴射弁による燃料の噴射期間に対応して前記開閉弁が開くようにアクチュエータの作動を制御するコントローラとを備える構成とする。
【0019】
すなわち、前記請求項4の発明のように、スロットル弁の上流側から取り出した吸気の一部を空気吹出し通路によってスロットル弁の下流の燃料被噴射位置に吹き出させるようにした場合、例えばエンジンのアイドリング時のようにスロットル弁を全閉としたときにも空気吹出し通路を空気が流れることになるから、作動室への吸気を十分に絞ることができなくなり、無駄な燃料消費が多くなる虞れがある。また、吸気ポート開口部がロータ側面によって閉じられているときに燃料被噴射位置に向かって高速の空気流が吹きつけられると、吸気ポート壁面に残っている燃料が飛散して、ロータ側壁へ付着する虞れもある。
【0020】
そこで、この発明では、前記空気吹出し通路を開閉する開閉弁を備え、この開閉弁を燃料の噴射期間に対応して開く一方、それ以外の時には閉じるようにしたことで、前記の不具合の発生を未然に防止することができる。
【0021】
請求項6の発明では、前記請求項5の発明におけるコントローラを、吸気ポート壁面への燃料の付着量が多いときほど開閉弁の開く期間が長くなるようにアクチュエータを制御するものとする。
【0022】
すなわち、例えばエンジンの未暖機時のように吸気ポートの温度が特に低くて燃料が蒸発し難いときや、さらに、それにも拘わらず燃料噴射量が多いとき等に開閉弁の開く期間を長くして、空気吹出し通路から相対的に長い時間、高速の空気流を燃料被噴射位置に吹きつけるようにする。こうすることで、燃料の付着量に応じて空気吹出し通路から過不足なく、空気を吹き出させることができるので、前記請求項5の発明の作用効果を一層、高めることができる。尚、吸気ポート壁面への燃料の付着量が多いことは、例えばエンジン水温や燃料噴射量に基づいて判定するようにすればよい。
【0023】
請求項7の発明では、前記請求項4〜6のいずれか1つの発明における空気吹出し通路の下流端側に、絞りを設けるものとする。こうすれば、絞り部において空気の流速を高めることができるので、前記各発明の作用効果がさらに高くなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0025】
(エンジンの全体構成)
図2は、本発明の実施形態に係るロータリーエンジン1の要部の構成を示し、トロコイド内周面2aを有する繭状のロータハウジング2とサイドハウジング3とに囲まれたロータ収容室4(気筒)には概略三角形状のロータ6が収容されていて、その外周側に3つの作動室5,5,5が区画されている。このロータリーエンジン1は、図示は省略するが、2つのロータハウジング2,2を3つのサイドハウジング3,3,3の間に挟み込むようにして一体化し、その間に形成される2つの気筒4,4にそれぞれロータ6,6を収容した2ロータタイプのものである。以下、この実施形態では、2つのロータハウジング2,2の中間に位置するサイドハウジング3(図2に示すもの)を両端側のものと区別して、インターミディエイトハウジング3と呼ぶものとする。
【0026】
前記ロータ6の内側には、図示しないが内歯車が形成されていて、この内歯車とサイドハウジング側の外歯車とが噛合するとともに、ロータ6は、インターミディエイトハウジング3及びサイドハウジング3を貫通する出力軸7に対して、遊星回転運動をするように支持されている。すなわち、前記ロータ6の回転運動は内歯車と外歯車との噛み合いによって規定され、ロータ6は、外周の3つの頂部にそれぞれ配設されたシール部が各々ロータハウジング2のトロコイド内周面2aに当接した状態で前記出力軸7の偏心輪7aの周りを自転しながら、該出力軸7の軸心Xの周りに公転する。そして、ロータ6が1回転する間に、該ロータ6の各頂部間にそれぞれ形成された作動室5,5,…が周方向に移動しながら、吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の各行程を行い、これにより発生する回転力がロータ6を介して出力軸7から出力される。
【0027】
より具体的に、図2に示すように出力軸7の軸心Xの方向に見ると、各気筒4の左右方向の一側(図例では左側)が概ね吸気及び排気行程の領域になり、その反対側(図例では右側)が概ね圧縮及び膨張行程の領域になる。そして、図示の如く第1吸気ポート11(後述)等に連通する作動室5(図の左上側の作動室)は吸気行程の後半にあり、この作動室5がロータ6の回転に連れて図の時計回りに移動して圧縮行程になると、その内部に吸入された混合気が圧縮され、その後、図の右側に示す作動室5のように圧縮行程の終盤から膨張行程にかけて所定のタイミングにて点火プラグ9,10により混合気に点火されて、燃焼が行われるものである。
【0028】
図3は、2つの気筒4,4のうちの一方(図では手前側のもの)を模式的に2つに分けて、エンジン1の吸排気系の構成を示したものであり、図の左側には、図2と同様にインターミディエイトハウジング3の側が、また、図の右側にはサイドハウジング3の側が示されている。そして、前記インターミディエイトハウジング3には、両側の2つの気筒4,4においてそれぞれ吸気行程にある作動室5に連通するように一対の第1吸気ポート11,11(図には1つのみ示す)が形成され、同様に、排気行程にある作動室5,5にそれぞれ連通するように一対の第1排気ポート12,12(図には1つのみ示す)が形成されている。一方、前記サイドハウジング3には、吸気行程にある作動室5にそれぞれ連通するように第2及び第3の2つの吸気ポート13,14が形成され、また、排気行程にある作動室5に連通するように第2排気ポート15が形成されている。
【0029】
そして、前記第1、第2及び第3吸気ポート11,13,14が、それぞれ、各気筒4の吸気行程にある作動室5に吸気を供給する吸気通路16の下流端部を構成している。すなわち、吸気通路16の上流側にはエアクリーナ17とエアフローセンサ18とが順に配設されていて、その下流側で吸気通路16は2つの独立吸気通路19,20に分かれている。第1の独立吸気通路19は前記第1吸気ポート11に連通しており、一方、第2の独立吸気通路20の下流側はさらに2つに分岐していて、その各分岐路21,22がそれぞれ前記第2吸気ポート13及び第3吸気ポート14に連通している
前記第1独立吸気通路19には、ステッピングモータ等により駆動されて通路の断面積を調節する第1の電気式スロットル弁23と、吸気マニホルド24内に燃料を噴射する比較的大容量のマニホルド噴射用インジェクタ24とが、上流側から順に配設されている。また、図2にも示すように、第1吸気ポート11に臨んで当該ポート11内に燃料を直接、噴射するように比較的容量の小さなポート噴射用インジェクタ26(燃料噴射弁)が配設されている。このポート噴射用インジェクタ26は、図1に拡大して示すように、第1吸気ポート11の下流端開口部11aの近傍に設定した所定箇所P(以下、燃料被噴射位置という)に向かって燃料を噴射するように配置されている。
【0030】
また、詳しくは後述するが、前記第1スロットル弁23よりも上流側の第1独立吸気通路19から分岐して該第1独立吸気通路19を流れる吸気の一部を取り出し、これを第1吸気ポート11まで導いて前記燃料被噴射位置Pに向かって吹き出させる(噴射する)空気吹出し通路27と、アクチュエータにより駆動されて前記空気吹出し通路27を開閉する電磁式の開閉弁28とが設けられている。前記空気吹出し通路27の上流端は、第1独立吸気通路19にキャッチタンク29からブローバイガスを導入するブローバイガス通路30の下流端30a(ブローバイガス導入口)よりも下流側で第1独立吸気通路19に接続されている。
【0031】
一方、前記第2独立吸気通路20における上流側の部位には前記第1独立吸気通路19と同様の電気式スロットル弁31(第2スロットル弁)が配設されており、その下流側で分岐した第1分岐路21には前記第1独立吸気通路19のものと同様のマニホルド噴射用インジェクタ32が配設されている。また、図示しないが、第3分岐路22の下端部には、アクチュエータにより駆動されて該第3分岐路22を開閉する電磁式のロータリーバルブが配設されている。
【0032】
上述の如き構成の吸気系に対し、エンジン1の排気系は、前記第1及び第2排気ポート11,15がそれぞれ排気マニホルド33に接続し、この排気マニホルド31において2つの気筒4,4からの排気が集合されて、下流側の排気管34に流通するようになっている。そして、前記排気マニホルド33には、排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサ35が配設され、また、排気管34には排気を浄化するための2つの触媒コンバータ36,37が直列に配設されている。前記リニアO2センサ35は、理論空燃比を含む所定の空燃比範囲において酸素濃度に対しリニアな信号を出力するものであり、前記インジェクタ25,26,32による燃料噴射量のフィードバック制御のために用いられる。
【0033】
尚、同図に示す符号38は、ロータリーエンジン1の出力軸7の一端側に配設されてその回転角度を検出する電磁式のクランク角センサである。また、符号39は、ロータハウジング2の内部に形成されたウォータジャケット(図示せず)に臨んで冷却水の温度状態(エンジン水温)を検出する水温センサである。
【0034】
前記点火プラグ9,10の点火回路、スロットル弁23,31のモータ、インジェクタ25,26,32等は、コントロールユニット40(以下、ECUと略称する)により作動制御されるようになっている。このECU40には少なくとも前記エアフローセンサ18の出力信号と、リニアO2センサ35の出力信号と、クランク角センサ38の出力信号と、水温センサ39の出力信号とが入力され、さらに、アクセル開度センサ41からの信号と、エンジン回転数センサ42からの信号とが入力されるようになっている。そして、このECU40においてエンジン1の運転状態を判定するとともに、その運転状態に応じて各気筒4の点火時期、前記スロットル弁23,31の開度、インジェクタ25,26,32による燃料噴射量及び燃料噴射タイミングの制御が行われる。
【0035】
すなわち、例えばエンジン1が低負荷低回転の運転状態のときには、第2スロットル弁31が全閉とされ、第1独立吸気通路19のみから気筒4に供給される吸気の流量が第1スロットル弁23により調整される。このときにはポート噴射用インジェクタ26のみが作動して、混合気の空燃比が略理論空燃比(A/F=14.7)になるように第1吸気ポート11内に燃料を噴射する。このように比較的小容量のインジェクタ26のみによって第1吸気ポート11の下流端近傍に燃料を噴射供給することで、優れた制御性が得られる。
【0036】
また、エンジン1が中負荷中回転の運転状態のときには、第1及び第2スロットル弁23,31の開度が制御されて、第1及び第2独立吸気通路19,20により吸気が供給される。このとき、第3分岐路22のロータリーバルブは全閉とされていて、吸気は、第1独立吸気通路19及び第1吸気ポート11と第1分岐路21及び第2吸気ポート13とから、気筒4内に供給される。また、このときにはポート噴射用インジェクタ26だけでなく、2つのマニホルド噴射用インジェクタ25,32により燃料が吸気マニホルド24に噴射されるようになる。さらに、エンジン1が高負荷乃至高回転の運転状態のときには前記ロータリーバルブが開放されて、気筒4には第3分岐路22及び第3吸気ポート14からも吸気が供給されるようになり、この際、特に負荷の高い所定領域では空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように、3つのインジェクタ25,26,32による燃料噴射量が制御される。
【0037】
(第1吸気ポートの吸気構造)
本発明の特徴は、主に前記した第1吸気ポート11における吸気構造にある。すなわち、図1に示すように、第1吸気ポート11の下流側の端部はインターミディエイトハウジング3の内壁面に開口して、気筒4内の作動室5に連通するようになっており、その開口部11aに隣接する第1吸気ポート11の壁面に燃料被噴射位置Pが設定されている。従って、ポート噴射用インジェクタ26からの燃料噴霧は一旦、燃料被噴射位置Pに衝突しても殆ど直に作動室5に供給されるようになり、燃料の輸送遅れが可及的に短縮されて制御性が向上するのであるが、一方で、ポート壁面への燃料の付着に起因する不具合がある。
【0038】
すなわち、ロータリーエンジン1では、ロータ6の回転に連れて作動室5が移動するという特有の構造により、第1吸気ポート11の温度がレシプロエンジンのように高くはならないので、一旦、ポート壁面に付着した燃料が蒸発し難く、ポート壁面に沿って作動室5に流入する液状の燃料の割合が多くなる。このため、作動室5における混合気の分布が不均一なものになり易く、また、その液状燃料の一部はポート開口部11aを閉じようとするロータ6の側面に付着して、クエンチングゾーンへ引き込まれることになり、このことが混合気分布の偏りを助長する。そして、そのような混合気分布の不均一化は特にアイドリング時や軽負荷時等において燃焼安定性を損なう原因となっていた。
【0039】
これに対し、この実施形態では、上述したように、スロットル弁23の上流側から吸気の一部を取り出して第1吸気ポート11に供給する空気吹出し通路27を設けて、インジェクタ26からの燃料噴霧が衝突するポート壁面の燃料被噴射位置Pに向かって、高速の空気流を吹きつけるようにしている。この実施形態では、空気吹出し通路27の下流端側は金属製のパイプ44により構成されており(以下、これを空気噴射管44という)、この空気噴射管44は、燃料被噴射位置Pよりも上流側で吸気マニホルド24の外壁を貫通し、そこから下流側に連通する第1吸気ポート11に向かって延びるとともに、先端側に向かって徐々にすぼんだ形状とされている。
【0040】
このことで、第1スロットル弁23の上流側及び下流側の差圧によって該第1スロットル弁23よりも上流側の第1独立吸気通路19から空気吹出し通路27に吸い出された空気は、この空気吹出し通路27の下流端側、即ち空気噴射管44の内部を流通する間に徐々に絞られてその流速が高まり、第1吸気ポート11を流れる空気の流れよりも高速の流れとなって、該第1吸気ポート11の壁面の燃料被噴射位置Pに向かい集中して吹き出される。これにより、インジェクタ26からの燃料噴霧がポート壁面に付着することが効果的に抑制され、また一旦、付着した燃料の剥離及び蒸発が効果的に促進される。
【0041】
また、この実施形態では、前記燃料被噴射位置Pに隣接する第1吸気ポート11の開口部11aの周縁に、その内方に突出するように突出壁部45が設けられている。この突出壁部45は、図示の如く略小判形のポート開口部11aをその開口断面に略直交する方向から見て、燃料噴霧の衝突するポート壁面の範囲を含むように設けられており、換言すれば、突出壁部45は、ポート開口部11aにおけるロータハウジング2内周側の周縁部から、図に仮想線で示すようにポート開口部11aを閉ざそうとするロータ6に近い側の周縁部に亘って、形成されている。
【0042】
このことで、第1吸気ポート11から作動室5へ流入する吸気の流れは、ロータ6の回転する向きに、即ち図の上方に向かうように前記突出壁部45によって指向されて、上昇してくるロータ6を避けるようにして作動室5内に吸い込まれることになる。しかも、その際、上述の如く空気噴射管44の先端から燃料被噴射位置Pに向かって噴射された高速の空気流が突出壁部45に衝突して、図の上方を指向する強い流れを形成し、この強い流れが作動室5に流入する吸気の流れ全体に影響を与えて、その流れ全体が効果的に上方を指向するようになる。これにより、吸気流とともに作動室5へ流入する燃料のロータ6側面への付着が可及的に抑制できる。
【0043】
図4は、前記した空気噴射管44の作用及び効果を確かめるために、吸気マニホルド24内の通路と第1吸気ポート11との間をガスケットGで塞ぎ、そのガスケットGの空気噴射管44に対応する位置に連通孔g1を空けて、燃料被噴射位置Pに向けて高速の空気流を噴射するようにしたものについてのCFD解析の結果を示す図である。同図は、第1吸気ポート11の縦方向の断面における流れ場の様子を示し、連通孔g1を通った高速の気流が燃料被噴射位置Pに向かって集中する様子が見て取れる。
【0044】
また、図5は、ポート開口部11aに突出壁部45を設けたものと設けないものとを比較して、該ポート開口部11aから作動室5に流入する空気流を第1吸気ポート11の横方向の断面において示したものである。同図(a)によれば、突出壁部45を設けないときには、前記したように燃料被噴射位置Pに集中する強い流れがそのまま図の横方向に移動して、作動室5へ流入することが分かる。一方、同図(b)のように突出壁部45を設けた場合には、燃料被噴射位置Pに集中する強い流れが突出壁部45に衝突して図の上方、即ちロータ6の回転する向きに指向され、上昇するロータ6を避けるようにして作動室5内に流入することが分かる。
【0045】
ところで、上述したように、第1スロットル弁23の上流側から吸気の一部を取り出して、空気吹出し通路27により第1吸気ポート11に供給するようにした場合、例えばエンジン1のアイドリング時のように第1スロットル弁23を全閉としたときにも、空気吹出し通路27を介してエンジン1の各気筒4に空気が流れることになるから、該各気筒4への吸気を十分に絞ることができなくなって、無駄な燃料消費が多くなる虞れがある。また、第1吸気ポート11の下流端開口部11aがロータ6によって閉じられているときに、空気噴射管44から高速の空気流が吹き出されると、この空気流によってポート壁面に残っている燃料が飛散されて、ロータ6の側壁へ付着する虞れもある。
【0046】
そこで、この実施形態では、前記空気吹出し通路27の途中に設けた開閉弁28を、ポート噴射用インジェクタ26の開作動に対応して開く一方、それ以外のときには閉じるようにして、前記の不具合を防止するようにしている。すなわち、この実施形態では、図6に模式的に示すように、ECU40においてポート噴射用インジェクタ26へ出力する制御信号(燃料噴射パルス)に対応するように、開閉弁28へ制御信号(空気噴射パルス)を出力するようにしている。
【0047】
以下に、ECU40による前記開閉弁28の制御の手順を図7に示すフローチャート図に基づいて具体的に説明する。この制御は、各気筒4の作動室5,5,…毎のポート噴射用インジェクタ26による燃料噴射のタイミングに同期して、行われる。
【0048】
まず、スタート後のステップS1では、クランク角センサ38や水温センサ39等からの信号を入力するとともに、ECU40のメモリに一時的に記憶している次回の目標燃料噴射時間等のデータを入力する。続いて、ステップS2において、前記目標燃料噴射時間に基づいて、基本的な空気噴射時間、即ち空気吹出し通路27の開閉弁28の開作動時間を演算する。これは、前記図6に示すように、開閉弁28の開いている時間(空気噴射パルス幅)がインジェクタ26の開いている時間(燃料噴射パルス幅)を含むように、予め設定した時間を目標燃料噴射時間に加えて、基本的な空気噴射時間を演算するものである。
【0049】
続いて、ステップS3において水温センサ39からの信号に応じて、空気噴射時間を補正するための補正係数kを求め、続くステップS4において該補正係数kを基本的な空気噴射時間に乗算して、目標空気噴射時間を求める。ここで、前記補正係数kの値は、エンジン水温に対する最適な値を予め実験等により求めてマップとして設定し、このマップをECU40のメモリに電子的に格納している。このマップによれば、例えば図8に示すように、エンジン水温thwが設定値thw0よりも低いエンジン未暖機時には、エンジン水温thwが低いほど補正係数kを大きくして、空気噴射の時間を長くするようになっており、一方、エンジン1の暖機後(thw≧thw0)はk=1としている。
【0050】
すなわち、エンジン1の未暖機時には第1吸気ポート11の温度も低いので、ポート噴射用インジェクタ26により噴射した燃料が蒸発し難く、ポート壁面への燃料の付着による悪影響が大きくなり易い。そこで、この場合には、温度の低い分だけ開閉弁28を開く時間を長くして、空気噴射管44から相対的に長い時間、高速の空気流を燃料被噴射位置Pに向けて噴射するようにするのである。このように、ポート壁面への燃料の付着量に応じて開閉弁28の開く時間を調整することで、空気噴射管44からの空気の噴射量を過不足なく、適切なものとすることができる。
【0051】
続いて、ステップS5において、ポート噴射用インジェクタ26による次回の燃料噴射タイミングに応じて、それよりも所定期間、前に開閉弁28を開作動させて、空気噴射管44による空気流の噴射を開始する。これは、主として、開閉弁28が開かれた後に空気噴射管44から実際に空気が吹き出されるまでの遅れを考慮して、ポート噴射用インジェクタ26が実際に開くよりも所定時間前に開閉弁28を開くようにするものである。また、同時にCPUの内部カウンタを前記目標空気噴射時間に対応する値T1に設定して、カウントダウンにより空気吹出し時間の経過を測定する。すなわち、ステップS6において前記タイマ値Tを1つカウントダウンし(T=T−1)、続くステップS7においてタイマ値が零になったかどうか判定する(T=0?)。
【0052】
前記の判定がNOであれば前記ステップS6に戻って再びタイマ値Tをカウントダウンする(T=T−1)。一方、判定がYESで目標空気噴射時間が経過したのであれば(T=0)、ステップS8に進んで開閉弁28を閉じ、空気噴射管44による空気流の噴射を終了して、しかる後にリターンする。
【0053】
前記の制御フローは、ポート噴射用インジェクタ26による燃料の噴射期間に対応して、空気吹出し通路27の開閉弁28を開作動させ、また、この開閉弁28の開いている時間を、第1吸気ポート11の壁面への燃料付着量が多いときほどを長くなるように制御する、というECU40の制御手順に対応している。
【0054】
したがって、この実施形態に係るロータリーエンジン1の吸気構造によれば、エンジン1の運転中に吸気行程にある作動室5に連通する第1吸気ポート11においてポート噴射用インジェクタ26が作動して、その噴口から燃料被噴射位置Pに向かって燃料が噴射されるときに、その燃料噴射のタイミングよりも所定時間前に空気吹出し通路27の開閉弁28が開作動され、第1スロットル弁23の上流側から空気の一部が取り出されて、実際に燃料が噴射されるよりも以前に空気噴射管44から前記燃料被噴射位置Pに向かって、高速の空気流が集中して吹きつけられる。
【0055】
このことで、前記インジェクタ26からの燃料噴霧が高速の空気流によって吹き飛ばされて、ポート壁面への付着が抑制されるとともに、一旦、ポート壁面に付着した燃料の剥離及び蒸発が効果的に促進される。しかも、空気噴射管44はバタフライバルブのように吸気ポート11の通気抵抗を増大させることがなく、その上さらに、高速の空気流を正確に燃料被噴射位置Pの付近に集中させることができるから、前記の効果が極めて高いものとなり、これにより、ポート壁面への燃料の付着に起因する混合気分布の不均一化を抑制して、エンジン1の燃焼安定性を向上することができる。
【0056】
しかも、前記第1吸気ポート11の下流端開口部11aの周縁には、作動室5に流入する空気の流れをロータ6の回転する向きに指向させる突出壁部45が設けられている。この突出壁部45に対し前記空気噴射管44からの高速の空気流が衝突することによって、第1吸気ポート11から作動室5に流入する吸気の流れ全体が効果的に上向きに指向され、上昇してくるロータ6を避けるようにして作動室5内に吸い込まれるようになる。このことで、ロータ6側面への燃料の付着も効果的に抑制することができ、これにより混合気分布の不均一化をさらに軽減することができる。
【0057】
また、この実施形態では、前記開閉弁28の作動をECU40により制御し、第1吸気ポート11のインジェクタ26による燃料の噴射期間に対応して、空気噴射管44から空気流を吹き出させるようにしており、その上さらに、エンジン水温thw等に応じて燃料のポート壁面への付着量が多いときほど、開閉弁28の開く期間を長くするようにしている。このことで、前記したように高速の空気流によってポート壁面への燃料の付着を十分に抑制できるとともに、そのための吸気の流通量自体は必要最小限度に抑えることができ、これにより、例えばアイドリング時にエンジン1の各気筒4への吸気を十分に絞ることができるので、無駄な燃料の消費が抑えられる。
【0058】
さらに、この実施形態では、前記空気吹出し通路27の上流端を、ブローバイガス通路30の下流端よりも下流側で第1独立吸気通路19に接続しており、このことで、第1独立吸気通路19を流れる吸気の一部を空気吹出し通路27に吸い出すようにしていても、ブローバイガスの導入量は十分に確保することができる。
【0059】
(他の実施形態)
本発明は、前記実施形態の構成に限定されることなく、その他の種々の構成を包含するものである。すなわち、前記実施形態では、図6に模式的に示すように、空気噴射管44から高速の空気流を吹き出させる期間をインジェクタ26による燃料の噴射期間と大体、同じくらいの長さにしているが、これに限るものではない。具体的には、例えば図9に模式的に示すように、燃料の噴射が終了した後も第1吸気ポート11が閉じられるまで継続して、前記空気噴射管44からの空気流を吹き出させるように、空気噴射パルスを設定してもよい。こうすれば、インジェクタ26の噴口が閉じた後にそこから放出される燃料の後垂れを吹き飛ばして、ポート壁面に付着することなく作動室5に吸入させることができる。
【0060】
或いは、例えば図10に模式的に示すように、前記空気噴射管44によって、第1吸気ポート11が開かれる少し前から空気流を吹き出させるように、空気噴射パルスを設定してもよい。すなわち、第1吸気ポート11が開かれるときには、この吸気ポート11に向かって作動室5内の残留既燃ガスが逆流することがあり(いわゆるバックフロー)、これにより第1吸気ポート11内の燃料も逆流する虞れがあるが、前記のように吸気ポート11が開かれる少し前から空気噴射管44によって空気流を吹き出させるようにすれば、その空気流によって燃料の逆流を防止することができる。
【0061】
さらにまた、前記実施形態では、空気吹出し通路27の途中に開閉弁28を設け、この開閉弁28の開閉作動をECU40によって制御するようにしているが、該開閉弁28を設けないことも可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1の発明に係るロータリーエンジンの吸気構造によると、作動室がロータの回転に連れて移動し、吸気ポート周辺の温度が上昇し難いというロータリーエンジンの特徴に着目して、燃料噴霧が衝突する吸気ポート壁面の所定位置(燃料被噴射位置)に向かって高速の空気流を吹き出す空気吹出し通路を設けたことで、バタフライバルブのように吸気抵抗の増大を招くことなく、前記燃料被噴射位置への燃料の付着を抑制し、これにより作動室における混合気分布の偏りを是正して、燃焼安定性を向上できる。
【0063】
また、サイドハウジングの内壁面に開口する吸気ポートの下流端開口部に突出壁部を設けて、作動室へ流入する吸気の流れをロータの回転する向きに指向させることで、ロータ側面への燃料の付着を抑制することができる。これにより、作動室における混合気分布の偏りをさらに軽減することができる。
【0064】
請求項2の発明によると、前記請求項1の発明における突出壁部を燃料被噴射位置に近接して設けたことで、空気吹出し通路からの高速の空気流を突出壁部に衝突させて、ロータの回転する向きを指向する強い流れを形成することができ、これにより、前記請求項2の発明の効果をさらに高めることができる。
【0065】
請求項3の発明によると、空気吹出し通路の上流端をブローバイガスの導入口よりも下流側で吸気通路に接続することで、吸気通路へのブローバイガスの導入量を容易に確保することができる。
【0066】
請求項4の発明によると、空気吹出し通路の上流端をスロットル弁よりも上流側の吸気通路に接続したことで、該空気吹出し通路にスロットル弁の上下差圧によって空気を流通させることができる。
【0067】
請求項5の発明によると、前記請求項1の発明と同じく、燃料被噴射位置に向かって高速の空気流を吹き出す空気吹出し通路を設けたことで、吸気抵抗の増大を招くことなく、前記燃料被噴射位置への燃料の付着を抑制して、燃焼安定性を向上できる上に、前記空気吹出し通路を開閉する開閉弁を備え、この開閉弁を燃料の噴射期間に対応して開く一方、それ以外では閉じるようにすることで、例えばエンジンのアイドリング時に作動室への吸気を十分に絞って、燃料消費率を低減することができる。また、ロータ側壁への燃料付着を抑制できる。
【0068】
請求項6の発明によると、コントローラにより開閉弁を開く期間を、例えばエンジンの未暖機時のように吸気ポート壁面への燃料付着量が多いときほど長くなるようにすることで、燃料の付着量に応じて空気吹出し通路から過不足なく、空気を吹き出させることができ、これにより請求項5の発明の効果を一層、高めることができる。
【0069】
請求項7の発明によると、前記空気吹出し通路の下流端側に絞りを設けたことで、空気の流速を高めて、発明の効果をさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るロータリーエンジンの吸気構造を拡大して示す第1吸気ポートの部分切り欠き図である。
【図2】 エンジンの要部構成を示す図である。
【図3】 エンジンの吸排気系及び制御システムの概略構成図である。
【図4】 吸気ポートの縦断面で見て吸気流のCFD解析結果を示す図である。
【図5】 吸気ポートの横断面で見た図4相当図である。
【図6】 燃料噴射パルスと空気噴射パルスとの対応関係を示す説明図である。
【図7】 空気噴射の制御手順を示すフローチャート図である。
【図8】 エンジン水温の変化に対して空気噴射時間の補正係数を設定したマップの一例を示す図である。
【図9】 燃料噴射の終了後も空気噴射を行うようにした他の実施形態に係る図6相当図である。
【図10】 吸気ポートが開かれる前から空気噴射を行うようにした他の実施形態に係る図6相当図である。
【符号の説明】
P 燃料被噴射位置
1 ロータリーエンジン
2 ロータハウジング
3 サイドハウジング、インターミディエイトハウジング
5 作動室
6 ロータ
11 第1吸気ポート(吸気ポート)
11a 吸気ポート開口部
19 第1独立吸気通路
23 第1スロットル弁
26 ポート噴射用インジェクタ(燃料噴射弁)
27 空気吹出し通路
28 開閉弁
30 ブローバイガス通路
30a ブローバイガス導入口
40 コントロールユニット(ECU)
44 空気噴射管
45 突出壁部
Claims (7)
- ハウジング内にロータを収容してその外周側に複数の作動室を区画し、該ロータの回転に連れて各作動室がそれぞれ周方向に移動しながら、順に吸気、圧縮、膨張及び排気の各行程を行うようにしたロータリーエンジンの吸気構造であって、
前記ハウジングは、ロータの外周を囲むロータハウジングと、内壁面が該ロータの側面に摺接するサイドハウジングとからなり、
前記吸気行程にある作動室に連通するように前記サイドハウジングの内壁面に吸気ポートが開口され、
前記吸気ポート壁面の所定の燃料被噴射位置に向かって燃料を直接、噴射するように燃料噴射弁が配設され、
前記燃料被噴射位置よりも上流の吸気ポート壁には、その燃料被噴射位置に向かって吸気ポート内の吸気よりも高速の空気を吹出すように空気吹出し通路が設けられる一方、当該吸気ポートの下流端には、作動室へ流入する吸気の流れをロータの回転する向きに指向させるように突出する突出壁部が形成されていることを特徴とするロータリーエンジンの吸気構造。 - 請求項1において、
吸気ポート下流端の突出壁部は、燃料被噴射位置に近接して設けられていることを特徴とするロータリーエンジンの吸気構造。 - 請求項2において、
スロットル弁よりも上流の吸気通路に臨んでブローバイガスを導入するための導入口が開口され、
空気吹出し通路の上流端が前記ブローバイガスの導入口よりも下流側の吸気通路に接続されていることを特徴とするロータリーエンジンの吸気構造。 - 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
空気吹出し通路の上流端がスロットル弁よりも上流側の吸気通路に接続されていることを特徴とするロータリーエンジンの吸気構造。 - ハウジング内にロータを収容してその外周側に複数の作動室を区画し、該ロータの回転に連れて各作動室がそれぞれ周方向に移動しながら、順に吸気、圧縮、膨張及び排気の各行程を行うようにしたロータリーエンジンの吸気構造であって、
前記吸気行程にある作動室に連通するようにハウジングの内壁面に吸気ポートが開口され、
前記吸気ポート壁面の所定の燃料被噴射位置に向かって燃料を直接、噴射するように燃料噴射弁が配設され、
前記燃料被噴射位置よりも上流の吸気ポート壁には、その燃料被噴射位置に向かって吸気ポート内の吸気よりも高速の空気を吹出すように空気吹出し通路が設けられ、この空気吹出し通路の上流端がスロットル弁よりも上流側の吸気通路に接続されており、
さらに、アクチュエータにより駆動されて前記空気吹出し通路を開閉する開閉弁と、
前記燃料噴射弁による燃料の噴射期間に対応して前記開閉弁が開くようにアクチュエータの作動を制御するコントローラとを備えることを特徴とするロータリーエンジンの吸気構造。 - 請求項5において、
コントローラは、吸気ポート壁面への燃料の付着量が多いときほど開閉弁の開く期間が長くなるようにアクチュエータを制御するものであることを特徴とするロータリーエンジンの吸気構造。 - 請求項4〜6のいずれか1つにおいて、
空気吹出し通路の下流端側に絞りが設けられていることを特徴とするロータリーエンジンの吸気構造。
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