JP4254009B2 - 芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香族化合物のヒドロキシル化用触媒を用いる芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法、特にフェノール類を過酸化水素でヒドロキシル化し、対応する芳香族ヒドロキシ化合物を製造する方法に関する。本発明の製造方法により得られるヒドロキノンやカテコールなどの芳香族ヒドロキシ化合物は種々の有機合成中間体または原料物質として有用であり、還元剤、ゴム添加剤、染料、医薬、農薬、重合禁止剤および酸化抑制剤などの分野に利用される。
【0002】
【従来の技術】
フェノール類を過酸化水素を用いてヒドロキシル化する方法には、古くから2価の鉄イオンの存在下に反応させる方法 [Nature, 165, 401(1950)]、またはフッ化水素酸を用いる方法[J. Org. Chem., 35, 4028 (1970)]などが知られている。また、ピロリン酸と過塩素酸またはそのアルカリ土類塩を組み合せて用いる方法が工業的に有用であることが報告さている[特開平3−240743号(対応USP No. 5245086)]。
しかし、これら従来の方法は、用いる触媒が均一に反応液に溶解しているため、反応生成物から触媒を分離して目的物を単離するのが煩雑であったり、腐食性の高い酸を用いるため高価な材質の反応装置が必要であったり、さらに触媒である酸を廃棄する際には中和のための塩基が必要であるなどの問題点がある。
【0003】
その後、反応系から触媒を容易に分離できる不均一系の触媒、例えば結晶性チタノシリケートを用いる方法が提案された[特開平1−149744号(対応EPNo. 314582A, USP No. 5254746)、特開平2−298350号、特開平4−66546号]。これらの方法において、MFI構造の結晶性チタノシリケートを用いる方法が記載されており、反応後の生成物から単に触媒を物理的に分離すれば良く、工業的には有利な方法である。しかしながら、いずれの方法もヒドロキノンとカテコールがほぼ等量ずつ生成し、選択率が低いという問題点がある。
【0004】
これらの問題点を解決するため、ジオキサン等の環状エーテル化合物および結晶性チタノシリケートの存在下にフェノール類を過酸化水素でヒドロキシル化する方法がある[特開平5−170684号(対応USP No. 5426244)、特開平6−263670号(対応USP No. 5426244)、特開平7−2714号]。これらの公報には、環状エーテル化合物の添加によりヒドロキノンの選択率が向上することが記載されている。しかし、これら従来の方法においてもヒドロキノン/カテコール比は7程度であり、さらなるカテコール副生の抑制が望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、芳香環に置換したヒドロキシル基またはアルコキシル基のパラ位に高い選択性で直接ヒドロキシル基を導入することができる芳香族化合物のヒドロキシル化用触媒により、芳香環に置換したヒドロキシル基またはアルコキシル基のパラ位にヒドロキシル基が導入された芳香族ヒドロキシ化合物を簡単に、かつ高収率および高選択率で製造することができる芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法を提案することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法である。
(1) 結晶性チタノシリケートを有機シロキサンで親油化した親油化結晶性チタノシリケートを含む芳香族化合物のヒドロキシル化用触媒の存在下に、フェノール、アルコキシベンゼンおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種を過酸化水素と反応させて、芳香環に置換したヒドロキシル基またはアルコキシル基のパラ位に高い選択性で直接ヒドロキシル基を導入することにより、パラ位にヒドロキシル基が導入された芳香族ヒドロキシ化合物を選択的に製造することを特徴とする芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法。
(2) 結晶性チタノシリケートを有機シロキサンで親油化した親油化結晶性チタノシリケートを含む芳香族化合物のヒドロキシル化用触媒およびエーテル結合を有する化合物の存在下に、フェノール、アルコキシベンゼンおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種を過酸化水素と反応させて、芳香環に置換したヒドロキシル基またはアルコキシル基のパラ位に高い選択性で直接ヒドロキシル基を導入することにより、パラ位にヒドロキシル基が導入された芳香族ヒドロキシ化合物を選択的に製造することを特徴とする芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法。
(3) 有機シロキサンがジアルキルシロキサンオリゴマーである上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 結晶性チタノシリケートがMFI構造を有するものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
【0007】
・芳香族化合物のヒドロキシル化用触媒
本発明の芳香族化合物のヒドロキシル化用触媒(以下、単に触媒という場合がある)は公知の結晶性チタノシリケートを親油化した親油化結晶性チタノシリケートを含む触媒である。
親油化する前の結晶性チタノシリケートとしては、組成が(SiO2)x・(TiO2)1-xで示されるものが制限なく使用できる。結晶性チタノシリケートのx/(1−x)の値、すなわちSi/Tiの原子比は特に限定されないが、通常1〜10000、好ましくは5〜1000、さらに好ましくは10〜500のものが望ましい。結晶性チタノシリケートはMFI構造を有するMFI型結晶性チタノシリケートが好ましい。
【0008】
結晶性チタノシリケートは公知の方法により製造することができる。例えば、ケイ素源、チタン源、窒素源、および水からなる反応混合物を調製して、水熱合成により製造することができる。前記ケイ素源としては、ケイ素のアルコキシド、コロイド状シリカなどがあげられる。前記チタン源としては、チタンのアルコキシド、ハロゲン化チタン、チタン酸、硫化チタンなどがあげられる。前記窒素源としてはテトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などの4級アンモニウム塩などの含窒素化合物があげられる。
【0009】
結晶性チタノシリケートの具体的な製造方法として、次の方法が例示できる。前記ケイ素源、チタン源、窒素源、および水を、pHを適当に調整しながら混合し、ゲル状の沈殿物を得る。この沈殿物を100〜250℃の加熱下に1〜100時間水熱合成し、固体生成物を得る。この固体生成物をイオン交換水で洗浄し、続いて乾燥した後、空気中で400〜600℃の温度で焼成することにより結晶性チタノシリケートを得ることができる。このような製造方法において、窒素源としてテトラプロピルアンモニウム塩を用いた場合、MFI構造の結晶性チタノシリケートを容易に得ることができる。
【0010】
結晶性チタノシリケートの製造方法は、特開昭56−96720号(対応USP No. 4410501)、特開平4−66546号などに記載されており、これらの方法に従って製造した結晶性チタノシリケートを用いることもできる。また結晶性チタノシリケートとしては市販品を使用することもできる。なおMFI型結晶性チタノシリケートも市販品を使用することができる。
【0011】
結晶性チタノシリケートの親油化方法としては、前記結晶性チタノシリケートを、親油基を有する化合物で処理し、結晶性チタノシリケートに親油基を有する化合物を担持する方法などがあげられる。
上記親油基としては、アルキル基等の鎖状炭化水素基;フェニル基等の芳香族炭化水素基;ハロゲン化アルキル基等のハロゲン化炭化水素基(トリフルオロメチル基等のフッ化炭素基を含む)などがあげられる。
【0012】
親油基を有する化合物としては、前記親油基を有する化合物であれば制限なく使用できる。親油基は一種類であってもよいし、二種類以上であってもよい。親油基を有する化合物としては、前記親油基を有する有機シロキサンが好ましく、特に分子内の一部にSi−H結合を有し、かつ前記親油基を有する有機シロキサンが好ましい。ここでシロキサンとはSi−O結合を有する化合物を意味する。このような有機シロキサンとしては、分子内の一部にSi−H結合を有する直鎖状のジアルキルシロキサンオリゴマー、具体的にはジメチルシロキサンオリゴマーなどをあげることができる。ジアルキルシロキサンオリゴマーは市販品を使用することもできる。例えば、信越化学社のKF−99(商標)およびGeneral Electric社のRTV−615(商標)などがあげられる。親油基を有する化合物は一種単独で使用することもできるし、二種以上を組み合せて使用することもできる。
【0013】
親油基を有する化合物の担持量は、親油化する前の結晶性チタノシリケート100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部の割合であることが望ましい。1〜30重量部の範囲にある場合、触媒の効果が発揮されやすい、触媒の反応活性が低下しにくい、過酸化水素の消失速度が低下しにくい等の利点がある。
【0014】
結晶性チタノシリケートに有機シロキサンを担持させて親油化する方法としては、有機シロキサンを前記結晶性チタノシリケートと接触させた後、酸素分子による架橋などの処理を施すことにより高分子量化させて、結晶性チタノシリケート表面に有機シロキサンを固定化する方法などがあげられる。接触処理は、有機シロキサンを溶媒に溶解し、この溶液に結晶性チタノシリケートを添加して混合するなどの方法で行うことができる。また、架橋および固定化は、前記のようにして接触処理した結晶性チタノシリケートを空気中で加熱、焼成するなどの方法で行うことができる。
【0015】
結晶性チタノシリケートを有機シロキサン化合物で親油化処理する方法について、ジアルキルシロキサンオリゴマーを用いた場合を例にして具体的に説明する。まず、ジアルキルシロキサンオリゴマーを室温でn−ヘキサンに溶解する。この溶液に前記結晶性チタノシリケートを添加し、空気雰囲気中、室温で0.1〜48時間撹拌混合する。この時の混合割合は結晶性チタノシリケート100重量部に対してジアルキルシロキサンオリゴマー1〜30重量部であるのが好ましい。次に、混合液からn−ヘキサンを減圧留去した後、20〜150℃で真空乾燥する。その後、100〜300℃で1〜24時間空気中で焼成し、結晶性チタノシリケートにジアルキルシロキサンオリゴマーを結合させる。これにより、ジアルキルシロキサンオリゴマーで親油化された結晶性チタノシリケートが得られる。ジアルキルシロキサンオリゴマーの代わりに他の有機シロキサン化合物を使用することもできるし、n−ヘキサンの代わりに他の溶媒を使用することもできる。
【0016】
有機シロキサン化合物で結晶性チタノシリケートを親油化処理する方法は、J. Chem. Soc., Chem. Commn., 1997, 137.などに記載されており、本発明においてもこれらに記載された方法により結晶性チタノシリケートを親油化することもできる。
【0017】
本発明の触媒は、芳香族化合物の芳香環を直接ヒドロキシル化する、すなわち核ヒドロキシル化する触媒作用を有する触媒である。本発明の触媒によれば、原料となる芳香族化合物の芳香環に通常一個のヒドロキシル基が導入された反応生成物、特に原料となる芳香族化合物の芳香族環のヒドロキシル基またはアルコキシル基のパラ位にヒドロキシル基が導入された反応生成物が得られる。本発明の触媒は不均一触媒であり、反応終了後は反応系から濾過などの方法により容易に分離できる。
【0018】
ヒドロキシル化される芳香族化合物(以下、原料化合物という場合がある)は芳香環を有していれば制限されないが、芳香環にヒドロキシル基またはアルコキシル基が結合した、好ましくは一個結合した単環の芳香族化合物が好ましい。具体的には、フェノール、アルコキシベンゼンおよびこれらの誘導体、例えばアルキル誘導体などが好ましい。この場合、反応生成物として2価フェノール、アルコキシフェノールまたはこれらの誘導体、例えばアルキル誘導体などが得られる。
【0019】
原料化合物となるフェノールおよびこの誘導体の具体的なものとしては、フェノール、クレゾール、キシレノールおよびレゾルシンなどがあげられる。またアルコキシベンゼンおよびこの誘導体の具体的なものとしては、アニソール、ジフェニルエーテルおよびイソプロピルフェニルエーテルなどがあげられる。
【0020】
反応生成物の具体的なものとしては、ヒドロキノン、4−メトキシフェノール、2−メチルヒドロキノン、3−メチルヒドロキノン、2,3−ジメチルヒドロキノン、1,2,4−ベンゼントリオール、イソプロピル4−ヒドロキシフェニルエーテルなどをあげることができる。
【0021】
原料化合物としてフェノール、アルコキシベンゼンおよびこれらの誘導体を用いた場合、ヒドロキシル基またはアルコキシル基のパラ位に高い選択性でかつ高収率で直接ヒドロキシル基を導入することができる。
原料化合物としてはフェノールが最も好ましく、この場合カテコールの副生が抑制され、反応生成物としてヒドロキノンを高選択率かつ高収率で得ることができる。
【0022】
・芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法
本発明の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法は、前記の本発明の触媒の存在下に、フェノール、アルコキシベンゼンおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種を過酸化水素と反応させて芳香族ヒドロキシ化合物を製造する方法である。この時使用される原料化合物および反応生成物は前記の通りである。
【0023】
本発明の製造方法によれば、ヒドロキシル基またはアルコキシル基のパラ位にヒドロキシル基が導入された芳香族ヒドロキシ化合物を簡単に、しかも高選択率かつ高収率で得ることができる。原料化合物としてはフェノールが好ましく、この場合カテコールの副生が抑制され、ヒドロキノンを高選択率かつ高収率で得ることができる。
【0024】
本発明の触媒の使用量は原料化合物100重量部に対して0.5〜50重量部、好ましくは2〜30重量部であるのが望ましい。0.5〜50重量部の範囲で用いると、添加した過酸化水素が消失して反応が完結するまでの時間が短く、生産性が高い。
【0025】
過酸化水素の使用量は原料化合物1モル対して0.02〜0.5モル、好ましくは0.05〜0.3モルの割合とするのが望ましい。過酸化水素は通常過酸化水素水として用いられるが、その濃度は特に限定されず、通常の30重量%程度の水溶液を用いても良いし、また高濃度の過酸化水素水を反応系において不活性な媒体で希釈して用いても良い。
【0026】
反応温度は50〜130℃、好ましくは60〜100℃の範囲であるのが望ましい。50〜130℃の範囲にある場合、添加した過酸化水素が消失して反応が完結するまでの時間が短く、生産性が高くなる。また、反応生成物の収率が高くなる傾向がある。反応時間は0.2〜30時間、好ましくは0.5〜10時間であるのが望ましい。反応圧力は特に制限されない。
【0027】
反応は過酸化水素水中の水を反応媒体として行うこともできるし、反応系において不活性な反応媒体をさらに添加して行うこともできる。反応媒体としては、アセトニトリル、エタノール、メタノールおよび水などがあげられる。反応媒体を用いる場合、その使用量は特に制限されないが、原料化合物100重量部に対して通常10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部とするのが望ましい。
【0028】
本発明の製造方法においては、エーテル結合を有する化合物の共存下に反応を行うのが好ましい。エーテル結合を有する化合物の共存下に反応を行うと、ヒドロキシル基またはアルコキシル基のパラ位に、より高い選択性でヒドロキシル基を導入することができる。
【0029】
エーテル結合を有する化合物としては、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の炭素数4〜10程度の鎖状のポリエーテルなどをあげることができる。
【0030】
エーテル結合を有する化合物の使用量は、原料化合物100重量部に対して1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部であるのが望ましい。1〜100重量部の範囲で用いると添加効果が大きく、またエーテル結合を有する化合物の回収量が少なくて済むので好ましい。
【0031】
反応は回分式で行っても良く、また連続的に反応を行っても良い。連続的に行う場合は、懸濁式の均一混合槽で行っても良く、固定床流通式のプラグフロー形式で行っても良い。また反応生成物をリサイクルし、再度反応原料として用いても良い。
【0032】
このようにして得られるヒドロキノンなどの芳香族ヒドロキシ化合物は種々の有機合成中間体または原料物質として有用であり、還元剤、ゴム添加剤、染料、医薬、農薬、重合禁止剤および酸化抑制剤などの分野に利用される。
【0033】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、芳香環に置換したヒドロキシル基またはアルコキシル基のパラ位に高い選択性で直接ヒドロキシル基を導入することができるヒドロキシル化用触媒を用いて、フェノール、アルコキシベンゼンおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種を過酸化水素と反応させることにより、ヒドロキシル基またはアルコキシル基のパラ位にヒドロキシル基が導入された芳香族ヒドロキシ化合物を簡単に、かつ高収率および高選択率で製造することができる。この際、エーテル結合を有する化合物を併用することにより、選択率をさらに向上させることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に具体例によってさらに本発明を説明する。
実施例1
100mlのガラス製ナス型フラスコに、結晶性チタノシリケートとして2gのN. E. Chemcat社製TS−1(Si/Tiの原子比=25)、有機シロキサンとして0.05gの信越化学社製ジメチルシロキサンオリゴマー(KF−99、商標)、および20mlのn−ヘキサンを入れ、空気雰囲気中、室温で1h撹拌した。次に、減圧下で溶媒を留去した後、100℃で1h真空乾燥し、さらに空気中で200℃で1h焼成することによりジメチルシロキサンオリゴマー処理TS−1を得た。この触媒のジメチルシロキサンオリゴマーの担持量は、結晶性チタノシリケート100重量部に対して2.5重量部であった。
【0035】
実施例2
100mlのガラス製ナス型フラスコに、2gの前記TS−1、0.10gの前記KF−99、および20mlのn−ヘキサンを入れ、空気雰囲気中、室温で1h撹拌した。次に減圧下で溶媒を留去した後、100℃で1h真空乾燥し、さらに空気中で200℃で1h焼成することによりジメチルシロキサンオリゴマー処理TS−1を得た。この触媒のジメチルシロキサンオリゴマーの担持量は、結晶性チタノシリケート100重量部に対して5重量部であった。
【0036】
実施例3
ジムロート冷却器を備えた25mlの二口ナスフラスコに、6.50gの試薬特級フェノール、3.0gの蒸留水、2.0gの1,4−ジオキサンおよび0.65gの実施例1で調製したジメチルシロキサンオリゴマー処理TS−1を加え、窒素雰囲気下において85℃のオイルバス中で、マグネチックスターラーによる撹拌を行った。ここへ、0.5mlの30重量%濃度の過酸化水素水をシリンジで加えた後、加熱撹拌を継続した。さらに、40分後、および80分後各々0.5mlの過酸化水素水を加え、さらに2時間加熱撹拌を行った。反応終了後、室温まで放冷し、少量の1,4−ジオキサンを加えながら、触媒を桐山ロートで分離し、赤褐色の反応混合物を得た。
【0037】
反応混合物中のフェノール、ヒドロキノンおよびカテコールの量をガスクロマトグラフィーによって定量した。原料として用いたフェノールの消失量から転化率を計算し、生成したヒドロキノンおよびカテコールの量をから選択率を計算した。その結果、フェノールの転化率は19.0モル%であり、ヒドロキノンおよびカテコールの選択率は各々67.1モル%および6.0モル%であった。
【0038】
実施例4
実施例3において、実施例1で得られた触媒の代わりに実施例2で得られた触媒を用いた以外は同じ方法で反応を行った。その結果、フェノールの転化率は19.8モル%であり、ヒドロキノンおよびカテコールの選択率は各々66.3モル%および6.3モル%であった。
【0039】
比較例1
実施例3において、結晶性チタノシリケートとして前記TS−1を何ら表面処理を施さずにそのまま用いた以外は同じ方法で反応を行った。その結果、フェノールの転化率は19.0モル%であり、ヒドロキノンおよびカテコールの選択率は各々62.3モル%および6.7モル%であった。
Claims (4)
- 結晶性チタノシリケートを有機シロキサンで親油化した親油化結晶性チタノシリケートを含む芳香族化合物のヒドロキシル化用触媒の存在下に、フェノール、アルコキシベンゼンおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種を過酸化水素と反応させて、芳香環に置換したヒドロキシル基またはアルコキシル基のパラ位に高い選択性で直接ヒドロキシル基を導入することにより、パラ位にヒドロキシル基が導入された芳香族ヒドロキシ化合物を選択的に製造することを特徴とする芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法。
- 結晶性チタノシリケートを有機シロキサンで親油化した親油化結晶性チタノシリケートを含む芳香族化合物のヒドロキシル化用触媒およびエーテル結合を有する化合物の存在下に、フェノール、アルコキシベンゼンおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種を過酸化水素と反応させて、芳香環に置換したヒドロキシル基またはアルコキシル基のパラ位に高い選択性で直接ヒドロキシル基を導入することにより、パラ位にヒドロキシル基が導入された芳香族ヒドロキシ化合物を選択的に製造することを特徴とする芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法。
- 有機シロキサンがジアルキルシロキサンオリゴマーである請求項1または2記載の方法。
- 結晶性チタノシリケートがMFI構造を有するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
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