JP4225670B2 - プロピレンオキシド及び他のアルケンオキシドの連続製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルケンオキシドの製造分野に関しまたかゝる製造に用いるための過酸化物の生成に関する。更に詳しく言えば本発明は、第1の反応では有機溶液中に過酸化水素を生成し、この反応混合物を、また有機溶液中に維持されるオレフィンのエポキシ化に用いる、アルケンオキシドの集成した、連続的な液相製造方法に関する。過酸化水素を開示した条件下で生成する時且つ諸反応を本発明により組合せる時は、反応混合物を第2の反応用の反応剤として直接用いることができる。即ち第1の工程後に過酸化水素を抽出又は分離する必要性はなくまたこの第1の反応の生成物例えばケトンを取出す必要性はない。第2の反応は適当な温度及び圧力条件と組合せて有機溶剤の使用によって液相中に維持する。このエポキシ化反応では、本発明の一部を成すものとして以下に記載されるチタン含浸済みの無定形シリカ触媒の存在をも必要とする。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの如きオレフィン性エポキシドは有機溶剤に可溶であるが水溶液には不溶である。オレフィンからエポキシドを製造すると、プラスチック及び化学工業の分野で多数の用途がある工業上価値のある生成物が得られる。原料として利用できる広範囲のオレフィンは、広範囲の化学化合物の製造に中間体として役立つエポキシドを生成しうるものである。
【0003】
オレフィンの工業的なエポキシ化はオレフィンを過酸化物試薬と反応させることにより行なう。過酸化水素又は有機過酸化物の何れも使用し得るが、適当な反応条件、達成しうる反応効率及びこれらの試薬の安定性は実質的に変化する。オレフィンエポキシ化の集成法の一部分として過酸化物試薬を有機前駆体から生成させるならば、これらの薬剤の取扱い及び貯蔵を減少させることにより経済性を実現できる。
【0004】
集成(integrated)方法は2つの反応を組合せねばならず、即ち有機液体媒質内で過酸化物を有効に生成する第1の反応と、加圧下に溶剤により液相に維持したオレフィンに過酸化物の生成物を導入する第2の反応とを組合せねばならない。2つの反応を成功裡に組込むには、第1の反応の生成物が第2の反応の物理的及び化学的条件と相溶性であるように各々の反応条件を選択することを必要とする。温度及び溶解度における極性及び安定性の均り合せ作用に加えて、反応条件は過酸化物と、集成方法で用いた種々の有機基剤、生成物及び溶剤との望ましくない副反応を最小としなければならない。これは過酸化水素を反応剤又は中間生成物として用いるならば固有の問題であり、一般に過酸化水素をエポキシ化反応に用い得る前に過酸化水素を反応剤及び共生成物から単離することを必要とする。従来、これらの反応を組合せ且つ集成する実施法は、技術的に既知の有機反応から得られる比較的低収率の過酸化水素と、過酸化水素の激しい酸化特性とによって妥協を受けており、70重量%の濃度で水溶液中で市販されて入手し得るけれども、過酸化水素は不安定でしかも有機材料と爆発的に反応し得るものである。
【0005】
それにも拘らず、過酸化水素はオレフィンからエポキシドを製造するための酸化剤として用い得るが、危険な取扱い及び貯蔵操作を最小とするためには過酸化水素を必要とする時間及び場所でこの反応剤を発生させるのが特に望ましい。更には、過酸化水素をエポキシ化反応に用いることによりこの反応剤の強力な酸化特性の動的な利点を利用しようとするならば、反応混合物の別成分との副反応を受ける過酸化水素の能力を制限しなければならない。即ち組合せた反応過程中に過酸化水素の製造とオレフィンエポキシ化にその利用とを組込むことにより実質的な利点が得られる。尚かゝる方法が生ずる不利な複雑化例えば過酸化水素が関与し得る副反応に対する追加の可能性にもとりかからねばならない。
【0006】
有機溶液中で有機反応剤(reagent)から過酸化水素を生成することにより別の利点が得られ;該反応剤は次いでオレフィン及び溶剤と迅速に且つ有効に混合でき、エポキシ化の反応速度を正確に調節し得る。この発熱反応の速度に亘って微細な調節を果たす能力はオレフィンエポキシ化の連続方法を実現するための前提条件であり、特に集成した製造方法と組合せた時に増大した効率によって追加の経済的利点の可能性を提供する。
【0007】
エポキシ化触媒の性状も集成方法の成功にはまた重要である。固体触媒は再生前に例えば濾過により簡単に回収される利点を与える。エポキシ化反応の遷移金属触媒用の担持構造体は2つの範囲に分類され、「モレキュラーシーブ」の追加の特性を有する多孔質の結晶性ゼオライト又はシリカライト(silicalite)構造を有するかあるいは固体の無定形シリカ又はアルミナの構造を有するかの何れかである。前者の群の触媒は高価であってしかも該触媒を用い得る有用な範囲のオレフィンを制限する。何故ならば支持体中の細孔の直径が触媒の活性中心への接近を制限するからである。後者の群の触媒は酸化剤として余り反応性でない有機過酸化物と共に用いていたが、過酸化水素が酸化剤であるならば、特に反応を連続して組合せるならば生起するかなりの副反応の範囲を拡大させることにより該触媒は選択率を低下させる。実質的に低下した効率と汚染した生成物がその結果である。
【0008】
工業的なエポキシ化方法は、オレフィンを有機溶剤に溶解させながら過酸化水素又は有機過酸化物をオレフィンに導入することにより一般に行なう。過酸化物反応剤(reagent)をその場で製造する集成方法の発展は前述した技術的支障によって思い止まらせられた。
【0009】
然しながら、集成方法の一部分として過酸化物反応剤をエポキシ化反応直前に生成する工業的なオレフィンエポキシ化方法の開示があった。これらの方法は、本発明がとりかかる技術的問題の1つ又はそれ以上に対して十分な解決がないかあるいは以下に詳細に示した通り別の欠点がある。
【0010】
米国特許第5,214,168号はアリール置換した第2級アルコールを空気酸化し続いて結晶質チタンシリカライト触媒の存在下にオレフインのエポキシ化に酸化生成物を用いる集成方法を記載している。
【0011】
欧州特許第EP 0526945号は、その場で生成する過酸化水素を用いるオレフィンエポキシ化の集成方法を記載している。過酸化水素は酸素又は空気とアルキルアントラハイドロキノンとの間のレドックス反応から製造される。次いで過酸化水素はチタンシリカライト触媒及び有機溶剤の特定混合物の存在下にオレフィンと反応し、該有機溶剤は芳香族炭化水素の1種又はそれ以上と、高沸点の極性有機化合物の1種又はそれ以上と低分子量のアルコール(メタノール)とを包含してなる。この複雑な溶剤混合物を用いる正確な理由は該欧州特許には開示されていない。尚原理は、一緒に溶解した時アルキルアントロキノンとアルキルアントラハイドロキノンとにより示される低い溶解度に関連でき;この特性は何れか明記した容量の反応器により生成し得る過酸化水素の最大量を制限する。
【0012】
欧州特許第0549013号は就中、チタンシリカライトの存在下に過酸化水素によりオレフィンをエポキシ化する方法を記載しており、該方法はアルキルアントラハイドロキノンレドックス系で生成した過酸化水素を抽出する溶剤としてアルコールの水性混合物を用いている。然しながら、反応に用いた溶剤にアルキルアントラハイドロキノンが溶解する溶解度が低いことにより、この方法の工業的利用がかなり制限される。
【0013】
米国特許第5,463,090号は、スルホン酸置換したアントラハイドロキノンのアルキルアンモニウム塩の分子状酸素による酸化に基づいたエポキシドの集成製造方法を記載している。酸化からの反応生成物は過酸化水素を含有し、これをチタンシリカライト触媒の存在下にオレフィンエポキシ化に用いる。酸化及びエポキシ化は同時に行ない得るけれども、スルホン酸置換アントラキノンアルキルアンモニウム塩は水及び低級アルコールの如き極性のプロトン媒質に高度に溶解性である。従って、種々の当該溶剤におけるこれらの反応剤とオレフィン反応剤との間の溶解度差は、反応速度及び反応の程度を実質的に低下させると予期されるであろう。示差蒸留を用いて脂肪族エポキシド生成物を回収する。
【0014】
米国特許第5,384,418号、欧州特許出願公開第EP 0568336号及び欧州特許出願公開第EP 0732327号は、酸素又は空気により第2級アルコールを酸化することによって過酸化水素及び対応のケトンが生成される、オレフィンのエポキシ化方法を記載している。中間の処理に続いて、得られる過酸化水素溶液は、溶剤として作用するメタノールと共に結晶質のチタンシリカライト触媒の存在下にオレフィンのエポキシ化に用いる。
【0015】
オレフィンオキシドを製造する集成方法に組入れられる2つの反応の記載に続いて、エポキシ化触媒に関する技術的議論を以下に示す。
【0016】
組合せた方法の第1の反応に伴なう技術を検討するに、過酸化水素は分子状酸素による第2級アルコールの酸化から生成し得ることは知られている:
Figure 0004225670
第2級アルコールから過酸化水素の製造を最適とする時、好ましい生成物は、過酸化水素それ自体に加えて、対応のケトンである。即ち、最も普通に用いたアルコールはイソプロパノールであり、その際アセトンが主要な有機生成物となり:触媒を用い得るが、工業的方法には必要とされない。尚実際には高収率の過酸化水素を得ようと試みる時は副反応が主たる支障を生起し、有機過酸化物が典型的な副生物として生成される。
【0017】
イソプロパノールを酸化すると、有機過酸化物と過酸化水素との混合物が得られる;米国特許第2,869,989号;米国特許第3,156,531号;米国特許第3,294,266号及び英国特許第758,907号参照。過酸化水素の製造に原料として用いた他の第2級アルコールには1−フェニルエタノール及びシクロヘキサノールがある:米国特許第2,871,102号乃至第2,871,104号参照。1−フェニルエタノールを分子状酸素で液相酸化により過酸化水素を製造し、この過酸化水素を有機溶液中に回収することは米国特許第5,254,326号、第4,975,266号及び第4,897,252号に記載されている。ジアリールメタノールの如き高沸点の第2級アルコールを酸化し、その際過酸化水素を蒸気形で単離することは米国特許第4,303,632号に記載されている。
【0018】
工業上適当な温度及び圧力の条件下に、液相分子状酸素で第2級アルコールの酸化により過酸化水素を製造することは、第1級アルコール及び/又はエーテルを第2級アルコールと混合することにより促進される。反応速度が増大するのみならず過酸化水素に対する反応の選択率も向上する。過酸化水素の熱分解は減少し、他の反応剤との副反応も低下する。(過酸化水素は原料として用いた第2級アルコールと酸化反応中に生成したケトンとの両方と反応し得るものである。)過酸化水素への選択率を保持しながら同時に高い反応速度を達成するというこの問題解決方策は欧州特許出願公開第EP 0839760号に記載されている。
【0019】
組合せた方法の第2の反応に関する技術を検討するに、不飽和オレフィン系化合物のエポキシ化は広範囲の反応剤を用いて達成し得ることは知られている。有機ハイドロパーオキシドを用いて液相中にオレフィンエポキシドを得ることができ;工業的な方法としてはこれによって共生成物として当初の有機ハイドロパーオキシドのアルコール誘導体が生成される。過酸化水素を用いて不飽和オレフィン系化合物をエポキシ化することは別の周知の反応であり、工業的方法として経済的に実施するには触媒の使用を必要とする;
Figure 0004225670
この反応に現在開発された触媒の多数は合成ゼオライト:遷移金属及びそれらの酸化物を組入れた結晶質のシリカライト及び/又はアルミナ構造体を包含する。チタンを結晶格子中に組入れるように結晶質シリカにチタン塩を含浸させる。これらのチタンシリカライト(titanim silicalite)触媒は、活性中心に酸化チタンを生成するのに高温で酸化性雰囲気中で焼成することにより賦活化を必要とし得る。オレフィンのエポキシ化反応の効率を向上するのに意図した触媒は、例えば米国特許第4,441,501号、第4,666,692号、第4,701,428号、第4,824,976号及び第4,833,260号に記載されている。
【0020】
これらの結晶質チタンシリカライト触媒を用いた時エポキシドの選択率は比較的高いけれども、エポキシドのオキシラン環の非選択的な開環も反応中に生起する。エポキシドの選択率は、望ましくない開環過程の原因となる触媒表面の酸中心を中和するのに触媒をアルカリ剤で処理することにより増大させ得る:欧州特許第0230949号参照。塩化リチウム、硝酸ナトリウム及び硫酸カリウムの如き非塩基性の塩はオキシラン環の開裂機構を抑制し、オレフィンエポキシドの選択率を向上させる:欧州特許第0712852号参照。
【0021】
メタノールは、プロトン供与体として作用するその能力の故にオレフィンエポキシ化反応用の溶剤として一般に有利であるので、メタノールは助触媒であるとも考えられる:M.G.ClericiらのJ.Catal. 129; 159(1991)参照。然しながら、この溶剤の使用はプロピレンのエポキシ化には、特に生成物を精製する後段階で、メタノールの沸点がプロピレンオキシドのそれと接近している故に問題となる。欧州特許第0673935号に記載される如く、示差蒸留を可能とする別の反応剤及び溶剤を用い得る。
【0022】
結晶質シリカライト(silicalite)の如きゼオライト同族体の合成チタン誘導体も技術的に知られており、過酸化水素を用いる有機酸化反応に用いることが多い。然しながら、結晶質のチタンシリカライトの限定的な細孔直径(5.6×5.3Å)は多数のより大きなオレフィン分子によるかかる触媒の活性中心への接近を拒否し、従ってこれらのオレフィン例えばノルボルネンのエポキシ化はかかる触媒を用いては有効に進行しないものである。
【0023】
更には、過酸化水素を用いてオレフィンのエポキシ化に用いた時には、結晶質のチタンシリカライトの触媒活性は、本発明のエポキシ化反応で用いた如きチタンを無定形の固体シリカ構造体上に担持させた触媒の触媒活性よりもオレフィンのエポキシ化に対してかなりより選択的である。オレフィンのエポキシ化の集成方法に特に関連している文献のうちでは、米国特許第4,480,135号の記載は第1級アルコールと第2級アルコールとの両方が結晶質チタンシリカライト触媒の存在下で過酸化水素により容易に酸化されると教示している。かかる望ましくない反応が米国特許第5,124,168号の制限的なエポキシ化条件下では見られないことは、結晶質のチタンシリカライト触媒が選択率において有意な程に変化し得ることを示している。
【0024】
技術的に記載されしかも前記で検討したオレフィンエポキシ化の集成方法の全ては、エポキシ化反応に結晶質のチタンシリカライト触媒を用いている。モレキュラーシーブとしてゼオライト同族体の活性に伴なう欠点及びそれらの明らかに変化しうる選択率に加えて、かかる触媒を合成する複雑さは上昇した価格を該触媒が命ずることになる。チタン触媒がエポキシ化反応媒質中で迅速な失活を受けることは、エポキシ化触媒を不活性な凝集支持体上に配置するか(例えば欧州特許第0200260号)あるいはその製造方法を改良する(例えば欧州特許第0638362号)ことにより簡単で工業的な規模の方法で再生し得るエポキシ化触媒の発展から得られる利点を示している。別法は長期間活性のままである触媒を開発するものである。
【0025】
チタンを固体の無定形シリカに担持させたエポキシ化触媒は、例えば米国特許第3,642,833号、第3,923,843号、第4,021,454号及び第4,637,342号に開示される如く、有機ハイドロパーオキシドによるオレフィンのエポキシ化に有効であると知られている。然しながら、工業的応用についてはこれらの触媒は酸化剤として過酸化水素を用いるオレフィンのエポキシ化には効果的でないと判明した。何故ならば、該触媒は所望のオレフィンエポキシドに対する所要の特異性と選択性とを有しないからである。然しながら、国際特許(WO)第94/23834号は特定の実験条件下でシリカとフッ化チタンとの生成物の合成を記載しており、該生成物は有機過酸化物又は過酸化水素の何れかでの酸化によりオレフィンのエポキシ化を含めて種々広範囲の化学的な酸化反応を触媒させる。予期される通り、この触媒はエポキシドに対して中位の選択率を与える。然しながら、驚くべきことには、本発明のチタン含浸した無定形シリカ触媒によりオレフィンのエポキシ化反応を触媒させる時は、望ましくない副反応は見出されない。集成方法のエポキシ化工程で存在し得る広範囲の第1級及び第2級アルコール、ケトン及び溶剤が与えられるならば、本発明の触媒によって示されるエポキシドに対する選択率は特に予期されない。この高度に選択的な触媒活性は、固体の無定形シリカ上に担持したチタンのこの丈夫な触媒を製造する本発明の特定の方法を用いることにより得られ、この事実はかゝる触媒を製造するのに選択した方法は触媒の構造とその触媒活性の選択率との両方に影響し得ることを示唆している。
【0026】
別の触媒構造体はアルミナを組込むことができ、該アルミナはアンモニウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオンで置換して触媒の活性中心への接近容易性を増大するか又はオキシラン環の開裂副反応を低下させ得るが、エポキシドに対する選択性は妥協を受ける:米国特許第5,412,122号、第5,374,747号及び第5,621,122号、欧州特許第0659685号参照。
【0027】
2つの構成反応の一方又は他方を液相で実施し得る個々の方法が既知であるけれども、かゝる液相方法の組合せは高度に望ましいと認められ;即ち分子状酸素により第2級アルコールを酸化して過酸化水素を生成する第1の液相段階に続いて、液体のまゝであるように有機溶剤に通常溶解しなければならないオレフィンに対して過酸化水素を反応させる第2の液相段階を組合せる。組合せた2工程法は、特に過酸化水素の化学的不安定性及びその潜在的に危険な性質から見て、中間反応剤の取扱い及び貯蔵を低下させるという経済的で策略的な利点を与えるものである。
【0028】
尚かゝる組合せた方法が工業的規模で有効に且つ経済的に操作されるためには、個々の構成反応の各々からの適当な生成物の収率が最大となるように該反応から最適な効率が必要とされるであろう。何れかの反応を最適以下の条件下で実施するならば、第1工程からの副生物の発生が次後の反応を汚染し且つ第2工程から得られる産出物を実質的に低下させるのみならず、第2工程における不十分な効率は組合せた方法の工業的応用性をもまた危くするものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明は、過酸化水素の生成及び供給をオレフィンエポキシ化用にその利用とに一体とさせる連続法の実施に伴なう支障に対する解決策を提供することにより、アルケンからオレフィンエポキシドを生成する好都合の安全で効果的で経済的な方法の要件にとりかゝるものである。
【0030】
本発明は、過酸化水素を有機溶液中で高濃度で生成する都合の良い、有効で経済的な方法である第1の工程と、選択した反応剤及び溶剤と共にエポキシドの高度の選択性を可能とする丈夫な触媒を利用するエポキシ化反応である第2の工程とを単独の相溶性の方法中に組合せる。両者の反応の物理的条件は合した方法を全部が液相で操作し得るように選択する。
【0031】
これらの反応を単一の集成方法に組合せることにより、本発明は次の諸問題を克服しなければならない:
a.反応剤の溶解度差;種々の反応剤間の極性の差及び生成物を溶液中に維持するのに要する有機溶剤;
b.過酸化物製造の選択率;有機基剤の酸化を伴ない且つ有機溶剤を用いる反応から高割合(%)の過酸化水素を溶液中に得る際の支障;
c.過酸化水素の反応性及び存在する有機反応剤、生成物及び溶剤との多数の副反応に関与する過酸化水素の傾向;
d.エポキシ化反応による過酸化物を用いる前に汚染しているアルコール試薬及びケトン生成物から過酸化物試薬を単離する非能率及び経費;
e.エポキシ化工程の選択的な触媒反応;集成したエポキシ化反応混合物に存在する多数の有機成分と過酸化水素との間の別の酸化反応の促進を最低としながら有機溶剤中で過酸化水素によりオレフィンのエポキシ化を触媒反応させ得る触媒の要件。
【0032】
即ちオレフィンのエポキシ化に必要とされる反応を単独の方法に組合せるためには、本発明は就中次の構成要件にとりかゝる:
i.第1工程では、第2級アルコールの如き有機反応剤から過酸化水素を生成する時増大した収率及び反応速度を得る必要性;
ii.相互に混和性でありしかも全ての反応剤を混和性溶液中に維持する2つの反応用の溶剤系の選択;及び
iii.第2工程においては、過酸化水素の望ましくない副反応を有意な程の大きな程度にまで触媒反応させることなくエポキシ化反応それ自体を促進させる触媒の必要性。
【0033】
第1の反応の速度及び選択率を向上させると、オレフィン反応剤を液体状態に維持するのに必要とされる有機溶剤と過酸化水素が混和性である形で第2の反応即ちエポキシ化中に過酸化水素を直接導入するのに、得られる有機溶液を用いることができる。更には、2つの反応を明記した相溶性の組合せた条件下で実施する時は中間の精製工程は必要としない。第2のエポキシ化反応用に過酸化水素の供給源として直接第1の工程から有機反応混合物を用い得る能力は、第1の反応混合物の添加と共に導入される成分を含めて存在する別の反応剤及び反応生成物と過酸化水素との反応を最小とする適度に選択性の触媒の開発を必要とする。簡素化及び経費実効性の製造及び再生はかゝる触媒には追加の有利な特性である。
【0034】
連続的な集成方法に、組合せた反応を適合させることは本明細書に記載される工業技術的開発によって達成され、しかも組合せた反応を単一の順次組織化した且つ相溶性の方法に組入れることは該工業技術的開発によって達成される。
【0035】
本発明は、2つの部分の液相方法でアルケンオキシドを製造し得る反応の組合せを提供する。中間体の精製又は富化の必要なしに又は副生物の除去の必要なしに、全体の方法を液相で実施することにより、本発明はこの統合したオレフィンエポキシ化方法を連続的な工業製造方法に適合させるのを容易とする。
【0036】
本発明は次の工程:即ち
(i)第1級アルコール及び/又はエーテル(試液D)の存在下で分子状酸素又は空気により第2級アルコール(試液A)の酸化;
(ii)50℃〜140℃の温度でチタン含浸済み無定形シリカ媒の存在下に有機溶剤(試液B)中のオレフィンの溶液に対して工程(i)の反応混合物を混合することによるオレフィンのエポキシ化、
を包含してなり、その際チタン含浸済み無定形シリカ触媒は50m2/g〜900m2/gの表面積のシリカに、酸素添加した(oxygenated)有機溶剤(試液C)中のチタンアルコキシド及び/又はチタノセンの溶液を含浸させることにより得られ、しかも場合によっては該シリカにゲルマニウム又はバナジウムの化合物を含浸させるものである、有機エポキシドの連続的で集成した製造方法を提供する。
【0037】
別の具体例においては、本発明は、過酸化水素に対する選択率を大幅に向上させる、第1級アルコール及び/又はエーテルの存在により促進される第1の反応速度を提供する。これらの条件下では該反応は有機溶剤の存在下に中温及び中圧下に有効に実施できる。この溶剤は過酸化水素を溶液中に維持する。何故ならば過酸化水素は、エポキシ化反応が生起する有機溶液と迅速に且つ有効に混合し得るように生成されるからである。
【0038】
第2の反応は有機溶剤の存在下に加圧下で且つ適度に上昇した温度で行なう。本発明は、チタン含浸した固体の無定形シリカからなる、エポキシ化用の限定した触媒の使用を提供し、該触媒によってこのエポキシ化反応をオレフィンエポキシドに対して所望の効率及び選択率で進行させ得る。チタン触媒は50m2/g〜 900m2/gの表面積のシリカに、酸素添加した(oxygenated)有機溶剤中のチタンアルコキシド及び/又はチタノセンの溶液を含浸させることにより得られる。追加的に、ゲルマニウム、バナジウム等の如き別成分をシリカに添加できる。これらの成分はチタンでの含浸とは別個に前工程でシリカ上に配合でき、あるいはシリカは合した溶液を用いて全ての成分で互いに含浸させることができあるいは次後にチタンでの含浸後に別個の工程でシリカに配合できる。得られるチタン含浸シリカは丈夫な固体の無定形(amorphous)残渣として単離され、しかも使用前にあるいはエポキシ化反応混合物からの回収後に使用済み触媒を再生する目的のためにの何れかで焼成によりあるいは溶剤での処理により賦活化できる。
【0039】
特に本発明は2種の有機溶液からプロピレンオキシドを製造する安全で有効な且つ効率的な手段を提供し、該有機溶液の一方はプロピレンを含有し、他方は過酸化水素を包含する反応剤の有機溶液である。後者の溶液は分子状酸素又は空気により1−フェニルエタノールの如き第2級アルコールの酸化から生成する。これらの2つの反応を、連続的で全体が液相の方法で組合せる。
【0040】
図1は本発明の連続的な集成方法の好ましい具体例の図解図を示す。第2級アルコールと分子状酸素又は空気とから有機溶液中で生成した過酸化水素を用いるオレフィンのエポキシ化の反応図式は図1に例示してある。第1の工程では、過酸化水素の製造に対する選択率を向上させる第1級アルコールの存在下に第2級アルコールを酸化する。エーテルを、第1級アルコールに加えて又はその代りに用い得る。この第1の工程から得られる反応混合物を、本法の第2工程でエポキシ化を受けるオレフィンに導入する。反応条件及びこの反応に必要とされる触媒は本明細書のどこか他に記載してある。
【0041】
第2工程からの反応混合物は次いで示差蒸留の如き技術的に標準である多数の手段の何れかにより分別される。分別の結果として、未反応のオレフィンは精製でき且つエポキシ化用に再循環できる。分別過程はまた反応剤、生成物又は溶剤としてエポキシ化反応混合物に存在するアルコール及び/又はケトンの単離を提供し得る。かゝる分別は第2の過程としてあるいはエポキシド精製の一体部分として用い得る(図1に例示した通り)。分別過程で単離される適当なアルコールは更なる使用に再循環できる。ケトンは技術的に周知の方法により対応のアルコールに水添できしかもこれらのアルコールは適宜反応工程に再循環できる。
【0042】
図面は箱内に反応剤を表現し、楕円内に反応を表現している。矢印は反応方法の個々の工程により必要とされる及び/又は発生する成分を示す。太字の矢印が反応方法の個々の工程に伴なう主要な添加(必要成分)及び生成物(生成した成分)を表記するように、主要な反応剤及び反応は太字で示してある。
【0043】
本発明は、全体を液相で行ない得る組合せた2つの反応方法により有機エポキシドを得る有効な方法を提供する。第1の反応の反応溶液は第2の反応用の試液として直接用い得る。中間体の精製又は富化も必要とせずあるいは過酸化水素の製造からの副生物の除去又は当初の試液又は別の生成物との過酸化水素の次後の反応からの副生物の除去も必要としない。第2の反応は第1の反応の生成物を用いて、中度に上昇した温度及び圧力で有機溶剤により溶解して維持したアルケンを酸化する。このエポキシ化反応は、明記した指示書により調製したチタン含浸済の無定形シリカ触媒の存在下に行なう。
【0044】
本発明によると、過酸化物生成反応とエポキシ化反応との組合せは、第1の区室における第1の反応からの過酸化物含有反応混合物を第2の区室への調節添加を可能とする適当な反応器:例えば2個区室のタンク反応器を用いて連続的な要領で行ない得る。この第2の区室では、内容物を強制混合しながら且つ触媒粒子の懸濁物を攪拌しながらエポキシ化反応を行なう。反応剤溶液は組合せて又は順次添加できる。例えば、過酸化水素を生成する反応混合物又はオレフィンの何れか一方あるいはこれら反応剤の両方を増大して反応器に添加できる。
【0045】
オレフィンのエポキシド生成物は、液−液抽出、蒸留による抽出及び分別蒸留の如き技術的に知られる標準方法によりエポキシ化反応混合物から分離できる。これらの操作は反応混合物全体について行なうことができ、続いて懸濁した触媒を除去できる。別法として、エポキシド生成物は周期的な予定により反応混合物の一部から又は全部から分離できあるいは連続操作の一成分として反応の一部から分離できる。
【0046】
エポキシ化反応混合物の別成分は、オレフィンエポキシドの精製方法の一部としてあるいはエポキシドの取出しに先立って又は続いて別個の分別方法としての何れかで、示差蒸留の如き分別の認知手段により単離できる。ケトン生成物は、対応のアルコールを形成するために水添手法前に又は水添に続いての何れかで更に分別し得る。未反応のアルコール及び副反応から又はケトン生成物の水添から生成したアルコールは更に分別し得る。即ち精製したアルコールは第1又は第2の反応における試液、添加剤又は溶剤として再循環するのに得られる。固体触媒は濾過の如き周知の方法により再生用にエポキシ化反応混合物から分離できる。触媒の再生は以下により詳細に記載する。
【0047】
本発明により提供されるオレフィンエポキシドの集成した工業的製造方法は、前記の如く従来技術に開示される集成したオレフィンエポキシ化方法に一部はとりかゝる問題と同様な問題を解決する。更には、本発明は、反応速度、選択率及び相溶性を増大して集成方法を全体として有意な程に促進させる集成方法の構成反応に対する改良を伴なう。これらの改良の或るもの、例えば第1級アルコール及び/又はエーテル添加剤の過酸化物生成反応への配合は、個々の反応で並びに集成した方法で実現し得る利益を提供する。本発明の方法により提供される別の利益は集成方法で用いた反応の組合せに固有であり、1例は本明細書に記載したチタン含浸済み無定形シリカ触媒のエポキシ化反応への利用である。この触媒は溶液中で行なうオレフィンエポキシ化反応のエポキシドに対する反応速度及び選択率を増進させるのみならず、集成方法の一部分としてのエポキシ化段階の選択率をもまた大幅に増進させる。本発明のチタン含浸済み無定形シリカ触媒により与えられる増大した選択率は、包含した実施例に開示されるデータから明白である。エポキシドに対する見出された選択率は、本発明の第1の反応からの反応混合物をエポキシ化混合物に添加した時上昇した濃度の過酸化水素を含有するのみならず、オレフィンと競合して過酸化水素と反応する能力のある追加の有機反応剤(即ち第2級アルコール試液、第2級ケトン生成物及び場合によっては第1級アルコール添加剤)にも寄与する点で驚くべきものである。
【0048】
即ち本発明のチタン含浸済み無定形シリカ触媒はオレフィンエポキシドに対して高度の選択率を与えるように要求され、これは本発明の推奨したエポキシ化条件下で達成される。これらの条件には、有機溶剤中に高濃度の過酸化水素を製造するために第1級アルコールと第2級アルコールとの両方を成分として好ましくは含有する第1の、過酸化物生成反応混合物がある。この強い酸化性溶液が過酸化水素と反応し得る試液、生成物及び溶剤を含有するとしても、該酸化性溶液を次いで触媒促進エポキシ化反応における反応剤として用いる。
【0049】
特に、オレフィンエポキシドの集成した製造方法を開示する米国特許第5,214,168号から本発明を区別する差異は本発明の有意な利点を説明する:
i.過酸化物生成反応の選択率を改良することにより、本発明は第1の反応混合物中により高濃度の過酸化水素を生成でき、次いで該反応混合物をエポキシ化反応用の酸化剤溶液として用いる。それ故これらの高濃度の過酸化水素を選択した有機溶剤によって溶液中に維持できしかも集成方法を仕上げる諸反応の別成分と反応しないように防止できるならば、本法の全収率及び効率を増大させ得る。本発明はこれらの要件の各々に成功裡にとりかゝるものである。
【0050】
ii.本明細書に記載した明らかな手法により調製し得るチタン含浸済み無定形シリカ触媒を用いることにより、丈夫で安価に製造されしかも容易に再生される固体触媒を用いる利点は、より大きな分子構造を有するオレフィンのエポキシ化を除外しない特に有利な触媒特性と組合せられる。本発明の触媒は、過酸化水素が場合によっては反応するかもしれない多数の別種の基剤の存在下でもオレフィンのエポキシ化反応を選択的に促進させることができ、この促進は集成方法の遂行によって提供され即ち精製工程を介在させることなく第2のエポキシ化反応用の酸化剤溶液として第1の反応からの反応混合物を用いることにより提供される。
【0051】
工程I:
集成方法の第1の反応は、分子状酸素又は空気により第2級アルコールを酸化して有機溶液中に過酸化水素を製造することであり、しかも好ましくは全体を液相で行なう。この工程で酸化されて過酸化水素+ケトンになり得る第2級アルコールはまた本明細書では「試液A」(reagent A;反応剤A)とも呼ばれる。
【0052】
過酸化水素は大体30%の濃度で水溶液中に標準の工業製品として入手し得る。然しながら、高度に反応性の酸化剤の安全性及び貯蔵に伴なう経費に加えて、比較的高価であるという欠点がある。従って、本発明の方法は、過酸化水素の好ましい濃度を1%〜15%としながら有機溶剤に溶解した過酸化水素を用いる方法を提供する。有機溶剤中の過酸化水素の希釈溶液は、例えば分子状酸素による第2級アルコール(例えばイソプロパノール、1−フェニルエタノール及びアルキルアントラハイドロキノン)の酸化により、低経費で得られる。
【0053】
本発明者は、過酸化水素に対する選択率を増大させるために第1級アルコール及び/又はエステルを反応混合物に添加する液相方法を他に開示した:欧州特許出願公開第EP 0839760号。この方法は、高温又は高圧を用いることなく副生物の発生と過酸化水素の低収率との問題を克服する。比較的高い選択率でしかも有機溶剤に溶解した過酸化水素生成物を提供することにより、第1の反応に推奨される条件下で生成した生成物混合物は第2の反応用の酸化剤として用いるのに適当であると決定された。(溶液が混和性であるのみならず、以下に記載した如く推奨されるエポキシ化条件下で第2の反応の触媒はオレフィンエポキシド生成物に高度に選択性でもある。この選択率は、集成した第2工程の反応混合物で入手し得る種々の有機反応剤、生成物及び溶剤が与えられるならば、過酸化水素が関与し得る種々の潜在的な副反応にも拘らず存在する。)
第1の反応即ち第2級アルコール(反応剤A)の酸化を行なうのに好ましい反応条件は、中位の温度(大体60℃〜160℃の間、好ましくは80℃と140℃との間の温度)及び適当な反応速度が達成されるのに十分な程に高い酸素分圧(大体0.1kgcm-2〜15kgcm-2の供給ガス中のpO2、好ましくは0.2kgcm-2〜5kgcm-2のpO2)であるが、反応容器中の全圧は反応混合物を液相に維持するのに十分でなければならない(一般に1kgcm-2〜40kgcm-2、好ましくは2kgcm-2〜15kgcm-2)。これらの条件下では、第2級アルコール(試液A)を分子状酸素又は空気により酸化した有機溶液内に1〜15重量%の濃度の過酸化水素が生成される。反応は発熱反応であり、反応混合物の成分の部分的蒸発及び凝縮を含めて当業者に周知の適当な方法の何れかにより反応熱の除去を必要とする。過酸化物の分解を促進する金属汚染物及び他の生成物は反応混合物から厳しく排除しなければならない。過酸化物の安定剤も配合でき、その例はアルカリ金属塩及び水酸化物、錫酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、有機ホスホネート、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジピコリン酸、安息香酸、アミノトリ(メチレンホスホン)酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸、ピロ燐酸及びそれらの塩及び誘導体である。
【0054】
この工程で過酸化水素+ケトンに酸化し得る第2級アルコール(試液A)には次式:
R1.CH(OH)R2
〔式中R1及びR2は同じでも異なっても良く、各々アルキル、アラルキル(即ちアリール基で置換したアルキル基)及び/又はアリール基から選ばれる〕で表わされしかも1個の水素原子、1個のヒドロキシ基及び2個の有機基に結合した少なくとも1個の炭素原子を含有する有機化合物がある。好ましいアルキル基のうちには、C1〜C6のアルキル基があり、その例はメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル及びイソヘキシル基である。好ましいアリール基のうちにはC6〜C18のアリール基があり、その例はフェニル、ニトロフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル及びビフェニル基である。好ましいアラルキル基にはベンジル及びフェニルエチル基の如きC7〜C20アラルキル基がある。R1及びR2置換基はそれらが酸化反応において分子状酸素を妨害しないように選択しなければならず、第3級炭素原子を含有しないのが好ましい。
【0055】
本発明により過酸化水素及びケトンを生成する第1段階の酸化反応用の反応剤として好ましい第2級アルコール(試液A)は脂肪族アルコールの2−プロパノール、2−ブタノール、2−及び3−ペンタノール、2−及び3−ヘキサノール、2−,3−及び4−オクタノール及び3,3′−ジメチルブタン−2−オール及びまた芳香族アルコールのジフェニルメタノール、1−フェニルエタノール、1−フェニルプロパノール、1−フェニルプロパン−2−オール、1−フェニルブタノール、1−フェニルブタン−2−オール及び4−フェニルブタン−2−オールである。
【0056】
過酸化水素に対する第1の反応の選択率を改良するために、分子状酸素又は空気による第2級アルコール(試液A)の酸化は添加剤:第1級アルコール及び/又はエーテルの存在下に実施できる。第1の反応で用いた第1級アルコール及び/又はエーテル「添加剤」は本明細書では「試液D」とも記載する。この目的に用い得る第1級アルコールは次式:
R.CH2OH
を有し且つ2個の水素原子と1個のヒドロキシ基と1個の有機基とに結合した少なくとも1個の炭素原子を含有する有機化合物である。かゝる第1級アルコールの例はC2〜C16第1級脂肪族モノアルコール(例えばエタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール及び1−ヘキサデカノール)、分枝したC4〜C16第1級脂肪族モノアルコール(例えば2−メチルペンタノール、2,2−ジメチルプロパノール、3−メチルブタノール、2−エチルヘキサノール及び2,2,4−トリメチルペンタノール)、芳香族アルコール(例えば2−フェニルエタノール、2−及び3−フェニルプロパノール)及びジオール及びポリオール(例えば1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,1,1−トリス〔ヒドロキシメチル〕プロパン)である。
【0057】
過酸化水素に対する第1の反応の選択率を改良する添加剤として用い得るエーテルには次式:
R.O.R
を有し且つ2個の有機基に結合した少なくとも1個の酸素原子を含有する有機化合物がある。かゝるエーテルの例は脂肪族エーテル(例えばジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル)、エチレングリコールエーテル(例えばエチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジヘキシルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル)、ジエチレングリコールエーテル(例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル)、トリエチレングリコールエーテル(例えばトリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル)、プロピレングリコールエーテル(例えばプロピレングリコールジフェニルエーテル)、ジプロピレングリコールエーテル(例えばジプロピレングリコールジエチルエーテル)及びトリプロピレングリコールエーテル(例えばトリプロピレングリコールジメチルエーテル)である。別のエーテルの例は環式エーテル例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、クラウンエーテル、芳香族エーテル(例えばジベンジルエーテル)、重合体状エーテル(例えばポリ〔エチレンオキシド〕、ポリ〔プロピレンオキシド〕、ポリ〔エチレンオキシド−コー−プロピレンオキシド〕)及びこれらの型式のエーテルの各々のアルキル及びアリール誘導体である。尚別のエーテルの例には別の官能性部分を含有し且つ第2級アルコール酸化の反応条件下で安定であるエーテルがあり:この群のエーテルには第1級アルコール部分(例えば2−オキシエタノール、2−〔2−エトキシエトキシ〕エタノール)を有するエーテル分子及びエステル部分(例えばジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノアセテール、トリエチレングリコールベンゾエート)を包含するエーテル分子がある。
【0058】
第2級アルコール(試液A)の酸化中に場合によっては存在する第1級アルコール及び/又はエーテル(試液D)は第3級炭素原子又はベンジルの炭素原子に結合した水素原子を含有しないのが好ましい。第2級アルコールと添加剤との重量比(試液Aと試液Dとの重量比)は何れか特定の酸化反応で過酸化水素に対する改良した選択率を得るには制限を受けない。個々の場合の最適な重量比は選択したアルコール及び/又はエーテルの性状に応じて且つ反応条件に応じて決まるものであり:当業者ならば選択した添加剤の量の定常的変化により特定の条件に対する最適比を決定し得るであろう。一般に、第2級アルコール(試液A)と第1級アルコール及び/又はエーテル(試液D)との適当な重量比は90:10〜10:90の間であり、好ましくは85:15〜30:70の間である。
【0059】
工程II:
工程Iからの過酸化水素含有反応混合物は工程IIの酸化剤として用い、工程IIでは不飽和オレフィン化合物は、固体のシリカ上に担持したチタン触媒の存在下に過酸化水素によりエポキシ化を受ける。第2の反応の1成分として直接第1の工程からの反応混合物を用いてエポキシ化用の過酸化物を提供し得ることは、効率及び経費有効性に多大の利点を与える。何故ならば過酸化物を精製するために中間の工程を必要としないからである。
【0060】
チタン含浸済みの無定形シリカの触媒は、50〜900m2/gの比表面積を有するシリカに、酸素添加した有機溶剤中のチタンアルコキシド及び/又はチタノセンの溶液を含浸させ、続いて過剰の溶質及び溶媒を固相残渣から分離することにより製造し得る。場合によっては、シリカにゲルマニウム又はバナジウムの如き元素の化合物を追加的に含浸させる。これらの元素は、チタンを含浸させるのとは別個の先立つ工程でシリカ上に配合できあるいは選択した酸素添加した有機溶剤(試液C)中の合した溶液を用いて全ての成分を互いにシリカに含浸させることができ、あるいはチタンを含浸させた後の別個の工程で次後に配合できる。この酸素添加した(oxygenated)有機溶剤はまた本明細書では「試液C」と記載する。
【0061】
シリカの含浸に供給されるチタンの形態は、チタンのアルコキシド(アルコキシド基は1〜8個の炭素原子を有するものとする)あるいは0.05〜2モル/リットルのチタン濃度で有機溶剤(試液C)中のチタノセンの溶液(シクロペンタジエニル基又は置換シクロペンタジエニル基は5〜10個の炭素原子を有するものとする)であるのが好ましい。溶液中のチタンは大体0.1〜10重量%の触媒中のチタン最終濃度を与えるように調節すべきである。含浸は、乾燥及び焼成の既知技術により単一の工程として又は多数の工程として行ない得る。
【0062】
触媒を製造するための含浸媒質は、チタンアルコキシド及び/又はチタノセンに加えて、酸素添加した有機溶剤(試液C)を含有する。この酸素添加した有機溶剤(試液C)は分子内に酸素原子を含有し;アルコール、ケトン、グリコール、エーテル及びエステルの群から選択される。この溶剤(試液C)は常温、常圧下で液体のまゝであるのが好ましく;即ち8個以下の炭素原子を有する脂肪族及び芳香族アルコール、ケトン、グリコール、エーテル又はエステルが一般に好ましく、特にアルコール例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール及びメチルシクロヘキサノール及びジメチルシクロヘキサノールが好ましく;シクロヘキサノールの使用が特に推奨される。グリコール(例えばエチレングリコール及びプロピレングリコール)、ケトン(例えばジメチルケトン及びメチルエチルケトン)、エーテル(例えばジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル及びテトラヒドロフラン)及びエステル(例えばメチルアセテート及びブチルアセテート)が含浸工程用の溶剤として用い得る。
【0063】
アルカリ金属の塩又はアルカリ土類金属の塩は所望の触媒作用の促進剤として機能し得る。即ちリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム又はカルシウムの塩をエポキシ化触媒生成用の含浸媒質に包含させ得る。かゝるエポキシ化触媒は、大体0.01〜0.1重量%(100gのシリカ当りのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の重量)でアルカリ金属の塩又はアルカリ土類金属の塩を追加的に含有する媒質をシリカに含浸させることにより得られる。促進剤はチタンでの含浸前の別個の工程でシリカに配合でき、あるいは選択した、酸素添加済み有機溶剤(試液C)中の合した溶液を用いて、シリカにこれらの成分を互いに含浸させ得る。促進剤は、触媒表面上の酸性中心の個数を低下させることによりエポキシ化反応中のオキシラン開環反応が行われるのを低下させ、これによってエポキシドの製造に対する反応の選択率を改変する。本発明により製造した触媒は、過酸化水素含有有機溶液により液相中でのオレフィン化合物の炭素−炭素二重結合のエポキシ化に特に適当である。
【0064】
触媒は、反応速度が最低の許容し得る程度にまで下降したならば除去又は置換できる。反応混合物から触媒を分離することは、技術的に既知の種々の方法によって達成でき、例えば触媒が反応混合物に懸濁しているならば、濾過により行い得る。活性と選択率との最適値を維持するためには、周期的基準又は連続的基準で反応器に存在する触媒の全部又は一部を置換及び再生するのが望ましくあり得る。本法で用いたチタン触媒を再生し得る容易さは本発明の追加の利点である。かゝる触媒を再生する適当な技術は既知であり、焼成及び溶剤での処理がある。
【0065】
本発明の集成方法でエポキシ化を受けるオレフィン化合物の炭素−炭素二重結合は次式:
Figure 0004225670
(式中R1,R2,R3及びR4は水素又はハロゲン原子、アルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル基又はカルボキシレート、エステル、アンヒドロ、スルホネート、ニトリル又はエーテル基であり得る)に合致する。該アルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル基はまたカルボキシレート基、エステル、スルホン酸、ニトリル、ハロゲン、ヒドロキシル基又はケトン部分を含有しうるものである。本発明のエポキシ化反応は一般に、過酸化水素の溶液を用いて、非芳香族炭素−炭素二重結合を含有する全てのオレフィン化合物のエポキシドを生成しうるものである。
【0066】
本発明により組合せた反応で過酸化水素によりエポキシ化を受ける主要な群のオレフィン化合物は2〜18個の炭素原子を含有するアルケン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−オクテン及び1−ヘキサデセンである。本発明の方法は特にプロピレン及びC4オレフィンのエポキシ化に適当である。
【0067】
シクロアルケン及び置換シクロアルケンは本発明によりエポキシ化を受け得る別種のオレフィン化合物を成す。適当なシクロアルケンにはシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン及びシクロドデセンがある。同様に、炭素−炭素二重結合を有する別の環式オレフィン化合物(例えばジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン及びビニルシクロヘキセン)は、アリール置換を有するアルケン(例えばスチレン及ジビニルベンゼン)及びゼオライトの如き微細多孔質の触媒によって触媒される反応でエポキシ化を受けることができないオレフィン化合物の多数と同様に、本発明の方法でエポキシ化を受けることができる。前記のエポキシ化を受けることができないオレフィン化合物(例えばノルボルネン)は余りにも嵩高であって内部の触媒中心に接近できないからである。
【0068】
本発明によりエポキシ化を受け得るオレフィン化合物はまた炭素−炭素二重結合に隣接するか又はこれから離れた別の官能基例えばアルコール部分をも有することができ;例えばアリルアルコール及びそのエステル、アリルクロライド及びブロマイド、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのエステル、フマル酸、マレイン酸又はこれらのエステル又は無水物である。
【0069】
エポキシ化は、反応剤を溶解又は分散させしかも反応温度の調節を容易とする適当な能力のある溶剤の存在下に行わねばならない。このエポキシ化溶剤は本明細書では「試液B」とも記載される。この溶剤は、集成方法の一部としてエポキシ化混合物に添加される濃度で第1の反応からの溶剤及び反応剤の全てと混和性でなければならず:第1の反応の成分の各々は、第2のエポキシ化反応のオレフィン反応剤又はエポキシド生成物の何れかよりも一般に実質的に大きい極性を有するものであることに注目されたい。エポキシ化反応用の好ましい有機溶剤(試液B)はC6〜C8芳香族アルコール(例えば1−フェニルエタノール及び2−フェニルエタノール)又はC1〜C8脂肪族アルコール(例えばメタノール、エタノール、n−ブタノール及びヘキサノール)であり、そのうち2−メチル−2−プロパノール(tert−ブタノール)が最も好ましい。
【0070】
エポキシ化反応の温度を30℃〜140℃に維持し、好ましくは60℃〜100℃に維持し、この温度は過酸化水素の非選択的分解を最小としながら短かい反応時間でオレフィンをエポキシドに選択的に転化するのに適当である。過酸化水素の高い酸化活性の故に、エポキシ化反応中に及びまたオレフィンエポキシドの富化及び精製中にエポキシ化生成物及び溶剤との副反応に過酸化水素が関与するのを防止する用心が必要である。従って、存在する過酸化水素の最大の転化率を得るように反応条件を調節するのが好ましい。それ故転化率は少なくとも90%であり、好ましくは少なくとも95%である。エポキシ化反応の最適温度は、他の因子のうちでも、触媒の濃度、オレフィン化合物反応性及びその濃度によってしかも用いた溶剤の種類によって決定される。一般に、10〜300分の滞留時間が適当であり、この時間は前記因子の1関数である。反応は大気圧で行なうかあるいは反応混合物の成分を液相に維持するために高圧(典型的には0.1MPa〜10MPa)で行ない得る。即ち大気圧でエポキシ化反応の温度以下の沸点を有するオレフィンのエポキシ化を行なう時は、オレフィンを液相に維持するのに十分な圧力を印加せねばならず:プロピレンがかゝるオレフィンの例である。
【0071】
【実施例】
本発明の特性をより十分に例証するため且つ本発明を実施しようとする要領を例証するために、次に実施例を提示する。
【0072】
実施例1
欧州特許出願公開第0839760A2号に記載される如く、2−メトキシエチルエーテル(試液D)を含有し且つ大気圧で液相の1−フェニルエタノール(試液A)を酸化することにより、酸化剤溶液を調製した。反応後に、酸化剤溶液は過酸化水素に対して80%の選択率で大体4重量%のH2O2を含有した。
【0073】
実施例2
エポキシ化触媒は次の方法により製造した。テトライソプロピルオルトチタネート(5.85g)を900mlのシクロヘキサノール(試液C)に撹拌しながら添加し、該混合物を150℃に加熱した。この溶液に粉末シリカ(30g;グレース(Grace)シリカ SP9−10214、300m2/gの比表面積)を添加し:温度及び撹拌を更に2時間維持した。次いで懸濁液を濾過し、固体残渣を900mlのシクロヘキサノールで洗浄し、最後に500℃で5時間空気下に焼成した。この製剤を直後に記載した如きプロピレンのエポキシ化用触媒として用いた。
【0074】
攪拌した半連続式のタンク反応器に次の成分を装入した:ガラス小粒で希釈されしかも多孔質のバスケット内に配置したペレット形の触媒12g、192gのtert−ブタノール(試液B)及び147gのプロピレン。該化合物を攪拌しながら70℃に加熱し、次いで加圧した窒素ガスを装入して反応器の圧力を36バールに上昇させた。次いで酸化剤溶液(86g;実施例1の如く調製した、3.2重量%のH2O2)を、攪拌した反応混合物に30分の期間に亘って添加した。酸化剤溶液の添加を開始してから2時間後には、過酸化水素の90%が転化され、エポキシ化反応は、添加した過酸化水素に基いてプロピレンオキシドに対して90%の選択率を例証している。
【0075】
実施例3
エポキシ化触媒は次の如くシリカにチタン化合物を含浸させることにより製造した。攪拌しながら且つ150℃に加熱しながらテトライソプロピルチタネート(1.43g)を300mlのシクロヘキサノール(試液C)と混合した。この溶液に9gのシリカ(グレースシリカ、比表面積300m2/g、細孔容積1.65cm3/g)を添加した。温度及び攪拌を更に2時間維持した。該化合物を続いて室温に冷却した後に、液体を濾過により除去し、残渣をシクロヘキサノールで洗浄した。得られる固体を空気下に500℃で5時間焼成した。
【0076】
実施例4
酸化剤溶液(5.45g;実施例1の如く製造した、4重量%のH2O2含有)を、70℃に維持され、しかもチタン含浸シリ(1g;実施例3の如く製造した)と11gのtert−ブタノール(試液B)及び0.2モルのノルボルニレンの混合物とを含有する撹拌した反応器に滴下して添加した。酸化剤溶液の添加を開始してから2時間後には、過酸化水素の98%が転化され、該エポキシ化反応はエポキシドに対して83%の選択率を例証している。
【0077】
実施例5
酸化剤溶液(5.02g;実施例1の如く製造した、4重量%のH2O2含有)を、70℃に維持されしかもチタンシリ(1g、実施例3の如く製造した)と、11gのtert−ブタノール(試液B)及び0.2モルのシクロヘキセンの混合物とを含有する撹拌した反応器に滴下して添加した。酸化剤溶液の添加を開始してから2時間後には、過酸化水素の98%が転化され、該エポキシ化反応はエポキシドに対して75%の選択率を例証している。
【0078】
実施例6
酸化剤溶液(6.06g;実施例1の如く製造した、4重量%のH2O2含有)を、70℃に維持されしかもチタンシリ(1g;実施例3の如く製造した)と11gのtert−ブタノール(試液B)及び0.2モルの1−オクテンの混合物とを含有する撹拌した反応器に滴下して添加した。酸化剤溶液の添加を開始してから1時間後には過酸化水素の96%が転化され、エポキシ化反応はエポキシドに対して85%の選択率を例証している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルケンオキシドを製造する連続的な集成方法を実施する説明図である。箱内は反応剤を示し、楕円内は反応を示す。

Claims (12)

  1. 次の工程;即ち
    (i) 1 級アルコール及び/又はエーテル(試液D)の存在下に分子状酸素又は空気により第2級アルコール(試液A)を酸化する工程と:
    (ii)50℃〜140℃の温度で、チタン含浸済み無定形シリカ媒の存在下に有機溶剤(試液B)中のオレフィンの溶液と前記工程(i)の反応混合物とを混合することによりオレフィンをエポキシ化する工程とよりなり、
    その際チタン含浸済み無定形シリカ触媒は、酸素添加した有機溶剤(試液C)中のチタンアルコキシド及び/又はチタノセンの溶液を、50m2/g〜900m2/gの表面積のシリカに含浸させることにより得られ、しかも場合によっては該シリカに更にゲルマニウム又はバナジウムの合物を含浸させるものである、有機エポキシドの連続した集成製造方法。
  2. 酸素添加した有機溶剤(試液C)はアルコール、ケトン、グリコール、エーテル及びエステルよりなる群から選ばれる請求項1記載の方法。
  3. 酸素添加した有機溶剤(試液C)は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール及びジメチルシクロヘキサノールよりなる群から選ばれる請求項2記載の方法。
  4. エポキシ化触媒は、シリカ100g当り0.01 0.1 重量%のアルカリ金属の塩又はアルカリ土類金属の塩を追加的に含有する媒質をシリカに含浸させることにより得られる請求項1〜3の何れかに記載の方法。
  5. 分子状酸素又は空気による第2級アルコール(試液A)の酸化は完全に液相中で行なう請求項1〜4の何れかに記載の方法。
  6. 第2級アルコール(試液A)の酸化中に存在する第1級アルコール及び/又はエーテル(試液D)は、第3級又はベンジル炭素原子に結合した水素原子を含有しない請求項記載の方法。
  7. 第1級アルコール及び/又はエーテル(試液D)の存在下に分子状酸素又は空気により第2級アルコール(試液A)を酸化させる際の有機溶液は、90:10〜10:90の第2級アルコール(試液A)と第1級アルコール及び/又はエーテル(試液D)との重量比を含有する請求項記載の方法。
  8. 第2級アルコール(試液A)の酸化は、
    (i)60℃〜160℃の温度しかも
    (ii)1kgcm 2〜40kgcm 2の全圧で行なう請求項1〜の何れかに記載の方法。
  9. 第2級アルコール(試液A)を分子状酸素又は空気により酸化させる有機溶液内に、1〜15重量%の濃度の過酸化水素を発生させる請求項1〜の何れかに記載の方法。
  10. 第2級アルコール(試液A)は1−フェニルエタノールである請求項1〜の何れかに記載の方法。
  11. エポキシ化反応における有機溶剤(試液B)はメタノール、エタノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、ヘキサノール、1−フェニルエタノール又は2−フェニルエタノールの群の1員よりなる請求項1〜10の何れかに記載の方法。
  12. オレフィンはプロピレンである請求項1〜11の何れかに記載の方法。
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