JPH0952049A - リン−バナジウム系複合酸化物触媒前駆体の製造方法 - Google Patents
リン−バナジウム系複合酸化物触媒前駆体の製造方法Info
- Publication number
- JPH0952049A JPH0952049A JP7209513A JP20951395A JPH0952049A JP H0952049 A JPH0952049 A JP H0952049A JP 7209513 A JP7209513 A JP 7209513A JP 20951395 A JP20951395 A JP 20951395A JP H0952049 A JPH0952049 A JP H0952049A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- catalyst
- precursor
- compound
- phosphorus
- organic solvent
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Catalysts (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
- Furan Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 炭化水素、特にn−ブタンの気相接触酸化反
応により無水マレイン酸を製造するための、高性能のリ
ン−バナジウム系複合酸化物触媒を与える前駆体を製造
する。 【解決手段】 5価のバナジウム化合物の少くとも一部
を4価に還元できる有機溶媒中で、アルキルシラノール
の存在下に、5価のバナジウム化合物とリン酸とを反応
させる。
応により無水マレイン酸を製造するための、高性能のリ
ン−バナジウム系複合酸化物触媒を与える前駆体を製造
する。 【解決手段】 5価のバナジウム化合物の少くとも一部
を4価に還元できる有機溶媒中で、アルキルシラノール
の存在下に、5価のバナジウム化合物とリン酸とを反応
させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリン−バナジウム系
複合酸化物触媒前駆体の製造方法に関するものである。
本発明により得られる前駆体から調製される触媒は、n
−ブタンの気相接触酸化に際し高収率で無水マレイン酸
を生成する。
複合酸化物触媒前駆体の製造方法に関するものである。
本発明により得られる前駆体から調製される触媒は、n
−ブタンの気相接触酸化に際し高収率で無水マレイン酸
を生成する。
【0002】
【従来の技術】n−ブタン、n−ブテン、ブタジエン等
の炭素数4の炭化水素を気相接触酸化して無水マレイン
酸を製造することは公知であり、又、その際の触媒とし
てリンとバナジウムを主成分とするものを用いることも
公知である。最近では原料として主にn−ブタンが用い
られるようになっており、触媒としては結晶性の複合酸
化物であるピロリン酸バナジル((VO)2 P2 O7 )
またはそれを他の金属で修飾したものが好んで用いられ
ている。
の炭素数4の炭化水素を気相接触酸化して無水マレイン
酸を製造することは公知であり、又、その際の触媒とし
てリンとバナジウムを主成分とするものを用いることも
公知である。最近では原料として主にn−ブタンが用い
られるようになっており、触媒としては結晶性の複合酸
化物であるピロリン酸バナジル((VO)2 P2 O7 )
またはそれを他の金属で修飾したものが好んで用いられ
ている。
【0003】ピロリン酸バナジルに関しては多くの発表
がなされている〔例えば、Chem.Rev.88,P
55〜80(1988)及びその引用文献であるCat
alysis Today,16,P1〜153(19
33)〕が、その製造法としては、その前駆体であるリ
ン酸水素バナジル・1/2水塩(VOHPO4 ・1/2
H2 O)を加熱して転移させる方法が一般的である。ま
た、リン酸水素バナジル1/2水塩の製造方法として
は、有機溶媒中でバナジウム源とリン源とから合成する
方法が多数報告されている。これらの方法は、基本的に
は、有機溶媒中で5価のバナジウム化合物を還元して、
5価のリン化合物と反応させる方法である。例えば特開
昭53−91100号公報には、実質的に無水の有機溶
媒中で、五酸化バナジウムをバナジウムの価数が4.0
〜4.6になるまで還元したのち、オルトリン酸と反応
させる方法が開示されており、有機溶媒としては2−メ
チルプロパノール又は2−メチルプロパノールとベンジ
ルアルコールとの混合物が用いられている。
がなされている〔例えば、Chem.Rev.88,P
55〜80(1988)及びその引用文献であるCat
alysis Today,16,P1〜153(19
33)〕が、その製造法としては、その前駆体であるリ
ン酸水素バナジル・1/2水塩(VOHPO4 ・1/2
H2 O)を加熱して転移させる方法が一般的である。ま
た、リン酸水素バナジル1/2水塩の製造方法として
は、有機溶媒中でバナジウム源とリン源とから合成する
方法が多数報告されている。これらの方法は、基本的に
は、有機溶媒中で5価のバナジウム化合物を還元して、
5価のリン化合物と反応させる方法である。例えば特開
昭53−91100号公報には、実質的に無水の有機溶
媒中で、五酸化バナジウムをバナジウムの価数が4.0
〜4.6になるまで還元したのち、オルトリン酸と反応
させる方法が開示されており、有機溶媒としては2−メ
チルプロパノール又は2−メチルプロパノールとベンジ
ルアルコールとの混合物が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】リン酸水素バナジル・
1/2水塩を加熱・転移させて調製したリン−バナジウ
ム系複合酸化物を活性成分とする触媒は、概して、良好
な触媒活性を示すが、反応温度及び反応収率さらには触
媒寿命などの点で更なる改良が望まれている。
1/2水塩を加熱・転移させて調製したリン−バナジウ
ム系複合酸化物を活性成分とする触媒は、概して、良好
な触媒活性を示すが、反応温度及び反応収率さらには触
媒寿命などの点で更なる改良が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、5価のバ
ナジウム化合物の少くとも一部を4価に還元できる有機
溶媒中で、一般式(1)
ナジウム化合物の少くとも一部を4価に還元できる有機
溶媒中で、一般式(1)
【0006】
【化2】R4-n Si(OR′)n …(1)
【0007】(式中、Rは炭化水素基を示し、R′は水
素又はアルキル基を示す。nは1≦n≦3の整数を示
す)で表わされる有機ケイ素化合物の存在下に、5価の
バナジウム化合物とリン酸を反応させて得た前駆体を加
熱・転移させて調製した触媒が、従来のものに優る優れ
た触媒性能を有していることを見出し、本発明を完成し
た。
素又はアルキル基を示す。nは1≦n≦3の整数を示
す)で表わされる有機ケイ素化合物の存在下に、5価の
バナジウム化合物とリン酸を反応させて得た前駆体を加
熱・転移させて調製した触媒が、従来のものに優る優れ
た触媒性能を有していることを見出し、本発明を完成し
た。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明について詳細に説明する
に、本発明で前駆体調製の原料として用いる5価のバナ
ジウム化合物としては、五酸化バナジウムが最も一般的
であるが、メタバナジン酸アンモニウム、オキシ三ハロ
ゲン化バナジウムなどのバナジウム塩を用いることもで
きる。リン酸としては一般的に容易に入手しうる85%
リン酸または99%リン酸が用いられるが、他の濃度の
リン酸、例えば89%リン酸や105%リン酸を用いる
こともできる。5価のバナジウム化合物とリン酸との使
用比率は、バナジウムに対するリンの原子比(P/V)
として通常1.0〜1.5、好ましくは1.1〜1.3
である。
に、本発明で前駆体調製の原料として用いる5価のバナ
ジウム化合物としては、五酸化バナジウムが最も一般的
であるが、メタバナジン酸アンモニウム、オキシ三ハロ
ゲン化バナジウムなどのバナジウム塩を用いることもで
きる。リン酸としては一般的に容易に入手しうる85%
リン酸または99%リン酸が用いられるが、他の濃度の
リン酸、例えば89%リン酸や105%リン酸を用いる
こともできる。5価のバナジウム化合物とリン酸との使
用比率は、バナジウムに対するリンの原子比(P/V)
として通常1.0〜1.5、好ましくは1.1〜1.3
である。
【0009】有機溶媒としては、それ自身が還元力を有
するもの、例えばアルコール性水酸基のような酸化され
やすい官能基を有するものが用いられる。通常は2−プ
ロパノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノー
ル、n−ヘキサノール等の炭素数3〜6の脂肪族アルコ
ールやベンジルアルコールが用いられる。これらの有機
溶媒は単独でも混合物としても用いることができ、例え
ば上述の脂肪族アルコールに還元力の大きいベンジルア
ルコールを混合して用いることは、本発明の好ましい態
様の一つである。なお、これらの還元力を有する溶媒
に、さらにヒドラジンやシュウ酸などの還元剤を添加し
て反応に用いることもできる。有機ケイ素化合物として
は、下記式(1)で表わされるシラノール又はそのアル
キル誘導体が用いられる。
するもの、例えばアルコール性水酸基のような酸化され
やすい官能基を有するものが用いられる。通常は2−プ
ロパノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノー
ル、n−ヘキサノール等の炭素数3〜6の脂肪族アルコ
ールやベンジルアルコールが用いられる。これらの有機
溶媒は単独でも混合物としても用いることができ、例え
ば上述の脂肪族アルコールに還元力の大きいベンジルア
ルコールを混合して用いることは、本発明の好ましい態
様の一つである。なお、これらの還元力を有する溶媒
に、さらにヒドラジンやシュウ酸などの還元剤を添加し
て反応に用いることもできる。有機ケイ素化合物として
は、下記式(1)で表わされるシラノール又はそのアル
キル誘導体が用いられる。
【0010】
【化3】R4-n Si(OR′)n …(1)
【0011】(式中、Rは炭化水素基を示し、R′は水
素又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。nは1≦n≦
3の整数を示す)
素又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。nは1≦n≦
3の整数を示す)
【0012】好ましくは、Rがメチル基、エチル基など
の炭素数1〜7のアルキル基であるシラノールが用いら
れる。特にトリアルキルシラノールを用いるのが好まし
い。なお、3個のアルキル基は相互に異っていてもよ
い。有機ケイ素化合物の使用量はバナジウムに対する原
子比(Si/V)で通常0.1〜10であり、好ましく
は0.2〜5である。なお、上記の一般式(1)で示さ
れる有機ケイ素化合物には、常温で液状のものから固体
状のものまで種々のものが存在するが、常温で液状のも
のを用いるのが好ましい。少くとも反応条件下において
有機溶媒に可溶であることが、本発明における有機ケイ
素化合物の作用を発揮するのに必要であると考えられ
る。
の炭素数1〜7のアルキル基であるシラノールが用いら
れる。特にトリアルキルシラノールを用いるのが好まし
い。なお、3個のアルキル基は相互に異っていてもよ
い。有機ケイ素化合物の使用量はバナジウムに対する原
子比(Si/V)で通常0.1〜10であり、好ましく
は0.2〜5である。なお、上記の一般式(1)で示さ
れる有機ケイ素化合物には、常温で液状のものから固体
状のものまで種々のものが存在するが、常温で液状のも
のを用いるのが好ましい。少くとも反応条件下において
有機溶媒に可溶であることが、本発明における有機ケイ
素化合物の作用を発揮するのに必要であると考えられ
る。
【0013】リン及びバナジウムを含む酸化物系触媒の
調製に際してのケイ素化合物の利用法としては、従来か
ら主にシリカが触媒調製の最終工程で触媒強度を向上さ
せるべく添加されている。本発明は、このような触媒の
物理的強度を向上させるために、触媒活性成分に支持体
としてのケイ素化合物を添加するのとは異なり、触媒の
活性成分の前駆体の調製工程でケイ素化合物を存在させ
ることにより、高性能の活性成分を与える前駆体を調製
せんとするものである。前駆体合成の段階でケイ素化合
物を添加する例としては、特開昭58−150437に
オルトシリケートを用いることが開示されているが、本
発明の如くケイ素に直接結合する炭化水素基を有するケ
イ素化合物を用いることは知られていない。本発明者ら
は、このような有機ケイ素化合物を前駆体の合成反応時
に存在させると、オルトシリケートの場合よりも更に優
れた性能の触媒を与える前駆体が得られることを見出し
たものである。有機ケイ素化合物がどのような作用機序
で効果を発揮するのかは不明であるが、有機ケイ素化合
物の存在下に合成した前駆体を電子顕微鏡で観察する
と、薄片状の結晶片から成る特徴的な形状を有している
ので、この結晶構造が最終的に得られる触媒活性成分の
性能に有利に影響しているものと考えられる。
調製に際してのケイ素化合物の利用法としては、従来か
ら主にシリカが触媒調製の最終工程で触媒強度を向上さ
せるべく添加されている。本発明は、このような触媒の
物理的強度を向上させるために、触媒活性成分に支持体
としてのケイ素化合物を添加するのとは異なり、触媒の
活性成分の前駆体の調製工程でケイ素化合物を存在させ
ることにより、高性能の活性成分を与える前駆体を調製
せんとするものである。前駆体合成の段階でケイ素化合
物を添加する例としては、特開昭58−150437に
オルトシリケートを用いることが開示されているが、本
発明の如くケイ素に直接結合する炭化水素基を有するケ
イ素化合物を用いることは知られていない。本発明者ら
は、このような有機ケイ素化合物を前駆体の合成反応時
に存在させると、オルトシリケートの場合よりも更に優
れた性能の触媒を与える前駆体が得られることを見出し
たものである。有機ケイ素化合物がどのような作用機序
で効果を発揮するのかは不明であるが、有機ケイ素化合
物の存在下に合成した前駆体を電子顕微鏡で観察する
と、薄片状の結晶片から成る特徴的な形状を有している
ので、この結晶構造が最終的に得られる触媒活性成分の
性能に有利に影響しているものと考えられる。
【0014】本発明に従い、有機溶媒中で有機ケイ素化
合物の存在下に5価のバナジウム化合物とリン酸とを反
応させるに際しては、さらに最終的に得られる触媒の助
触媒となるような金属化合物を共存させてもよい。この
ような助触媒となる金属としては、例えば鉄、コバル
ト、亜鉛、ジルコニウム等があるが、なかでも鉄が好ま
しい。これらの金属は通常は塩として添加され、例えば
鉄であれば塩化鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄などが用いられ
る。これらの金属成分は、バナジウムと添加金属の合計
に対する添加金属の原子比で、通常0.005〜0.
3、好ましくは0.02〜0.2となるように添加され
る。これらの金属の存在下に前駆体の合成反応を行なう
と、これらの金属が前駆体の結晶構造中に取り込まれる
と考えられ、最終的にこれらの金属で修飾された触媒が
得られる。
合物の存在下に5価のバナジウム化合物とリン酸とを反
応させるに際しては、さらに最終的に得られる触媒の助
触媒となるような金属化合物を共存させてもよい。この
ような助触媒となる金属としては、例えば鉄、コバル
ト、亜鉛、ジルコニウム等があるが、なかでも鉄が好ま
しい。これらの金属は通常は塩として添加され、例えば
鉄であれば塩化鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄などが用いられ
る。これらの金属成分は、バナジウムと添加金属の合計
に対する添加金属の原子比で、通常0.005〜0.
3、好ましくは0.02〜0.2となるように添加され
る。これらの金属の存在下に前駆体の合成反応を行なう
と、これらの金属が前駆体の結晶構造中に取り込まれる
と考えられ、最終的にこれらの金属で修飾された触媒が
得られる。
【0015】本発明における前駆体の製造は、最も簡単
には、有機溶媒中に5価のバナジウム化合物、リン酸お
よび前記一般式(1)で表わされる有機ケイ素化合物、
並びに所望により最終的に得られる触媒の助触媒成分と
なる金属化合物を添加して、攪拌しつつ加熱して反応さ
せればよい。また、別法として、有機溶媒中で5価のバ
ナジウム化合物を加熱・還元してその一部を4価のバナ
ジウムとしてから、リン酸及び有機ケイ素化合物並びに
助触媒成分となる金属化合物を添加して反応させてもよ
い。また、更なる別法として、有機溶媒中で5価のバナ
ジウム化合物とリン酸とを反応させ、その反応の途中で
これに有機ケイ素化合物や助触媒成分となる金属化合物
を添加してもよい。
には、有機溶媒中に5価のバナジウム化合物、リン酸お
よび前記一般式(1)で表わされる有機ケイ素化合物、
並びに所望により最終的に得られる触媒の助触媒成分と
なる金属化合物を添加して、攪拌しつつ加熱して反応さ
せればよい。また、別法として、有機溶媒中で5価のバ
ナジウム化合物を加熱・還元してその一部を4価のバナ
ジウムとしてから、リン酸及び有機ケイ素化合物並びに
助触媒成分となる金属化合物を添加して反応させてもよ
い。また、更なる別法として、有機溶媒中で5価のバナ
ジウム化合物とリン酸とを反応させ、その反応の途中で
これに有機ケイ素化合物や助触媒成分となる金属化合物
を添加してもよい。
【0016】反応は通常80〜200℃で行なわれ、特
に溶媒の沸点付近の温度範囲で還流下に反応させるのが
好ましい。反応に要する時間は反応条件により異なる
が、有機溶媒中に5価のバナジウム化合物とリン酸とを
添加してから、通常1〜20時間である。優れた性能の
触媒活性成分を与える前駆体を調製するには、反応系中
の水は少量であるのが好ましく、有機溶媒やリン酸に同
伴する水が相当量ある場合には還流下に水を除去しなが
ら反応させるのが好ましい。
に溶媒の沸点付近の温度範囲で還流下に反応させるのが
好ましい。反応に要する時間は反応条件により異なる
が、有機溶媒中に5価のバナジウム化合物とリン酸とを
添加してから、通常1〜20時間である。優れた性能の
触媒活性成分を与える前駆体を調製するには、反応系中
の水は少量であるのが好ましく、有機溶媒やリン酸に同
伴する水が相当量ある場合には還流下に水を除去しなが
ら反応させるのが好ましい。
【0017】反応終了後は、常法により濾過して前駆体
を回収し、アルコール等の溶媒で洗浄したのち乾燥す
る。この前駆体は次いで常法により350〜700℃、
好ましくは450〜650℃に0.1〜20時間加熱し
て触媒活性成分であるリン−バナジウム複合酸化物に転
移させる。加熱は窒素などの不活性ガス雰囲気中で行な
うのが好ましい。空気中で加熱する場合には、450〜
500℃程度の比較的低温で加熱するか、又はブタン、
ブテン等の有機物を共存させるのが好ましい。
を回収し、アルコール等の溶媒で洗浄したのち乾燥す
る。この前駆体は次いで常法により350〜700℃、
好ましくは450〜650℃に0.1〜20時間加熱し
て触媒活性成分であるリン−バナジウム複合酸化物に転
移させる。加熱は窒素などの不活性ガス雰囲気中で行な
うのが好ましい。空気中で加熱する場合には、450〜
500℃程度の比較的低温で加熱するか、又はブタン、
ブテン等の有機物を共存させるのが好ましい。
【0018】このようにして得られた触媒活性成分は、
そのままで又はバインダーと混合して適宜の形状に成形
し、触媒とする。また別法として上述の前駆体をバイン
ダーと混合して適宜の形状に成形し、次いで加熱・活性
化して触媒とすることもできる。この触媒を用いる気相
酸化反応は常法により行なうことができる。反応形式は
流動床、輸送床、固定床のいずれを採用することもでき
る。反応原料としては炭素数4の炭化水素、特にn−ブ
タンが用いられ、酸化剤としては空気その他の分子状酸
素含有ガスが用いられる。反応は通常、原料炭化水素濃
度0.1〜10容量%、好ましくは1〜5容量%、酸素
濃度10〜30容量%で行なわれる。反応温度は通常3
00〜500℃、好ましくは350〜450℃であり、
反応圧力は常圧又は0.05〜10kg/cm2 Gの加
圧が好ましい。以下に実施例により本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるも
のではない。
そのままで又はバインダーと混合して適宜の形状に成形
し、触媒とする。また別法として上述の前駆体をバイン
ダーと混合して適宜の形状に成形し、次いで加熱・活性
化して触媒とすることもできる。この触媒を用いる気相
酸化反応は常法により行なうことができる。反応形式は
流動床、輸送床、固定床のいずれを採用することもでき
る。反応原料としては炭素数4の炭化水素、特にn−ブ
タンが用いられ、酸化剤としては空気その他の分子状酸
素含有ガスが用いられる。反応は通常、原料炭化水素濃
度0.1〜10容量%、好ましくは1〜5容量%、酸素
濃度10〜30容量%で行なわれる。反応温度は通常3
00〜500℃、好ましくは350〜450℃であり、
反応圧力は常圧又は0.05〜10kg/cm2 Gの加
圧が好ましい。以下に実施例により本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるも
のではない。
【0019】〔実施例1〕内容積500mlの反応器
に、2−メチルプロパノール300ml、五酸化バナジ
ウム18.19g、99%リン酸23.76g及びトリ
エチルシラノール(Et3 SiOH)26.46gを仕
込み、加熱して7時間還流したのち冷却した。濾過して
生成した前駆体を濾取し、これを2−メチルプロパノー
ルに懸濁させたのち濾過する洗浄操作を2回行ない、次
いで2−メチルプロパノールの代りにアセトンを用いて
同様の洗浄操作を1回行なったのち乾燥した。
に、2−メチルプロパノール300ml、五酸化バナジ
ウム18.19g、99%リン酸23.76g及びトリ
エチルシラノール(Et3 SiOH)26.46gを仕
込み、加熱して7時間還流したのち冷却した。濾過して
生成した前駆体を濾取し、これを2−メチルプロパノー
ルに懸濁させたのち濾過する洗浄操作を2回行ない、次
いで2−メチルプロパノールの代りにアセトンを用いて
同様の洗浄操作を1回行なったのち乾燥した。
【0020】〔比較例1〕実施例1において、トリエチ
ルシラノールを添加しなかった以外は、実施例1と全く
同様にして前駆体を製造した。 〔比較例2〕特開昭58−150437号の実施例1に
従い、オルトシリケートとインジウムの存在下に前駆体
を調製した。内容積500mlの反応器に、2−メチル
プロパノール360ml、ベンジルアルコール36m
l、五酸化バナジウム36gを仕込み、加熱して還流し
た。これに14時間後にテトラエチルシリケートSi
(OEt)4 11.52g、18時間後に1.14g
のインジウムを酢酸に溶解した溶液、20時間後に3
2.4gのテトラエチルシリケート、34時間後に85
%リン酸54gをそれぞれ添加した。リン酸は4.5m
l/分の速度で添加した。合計で56時間還流したのち
冷却して生成した前駆体を濾取し、実施例1と同様に後
処理した。
ルシラノールを添加しなかった以外は、実施例1と全く
同様にして前駆体を製造した。 〔比較例2〕特開昭58−150437号の実施例1に
従い、オルトシリケートとインジウムの存在下に前駆体
を調製した。内容積500mlの反応器に、2−メチル
プロパノール360ml、ベンジルアルコール36m
l、五酸化バナジウム36gを仕込み、加熱して還流し
た。これに14時間後にテトラエチルシリケートSi
(OEt)4 11.52g、18時間後に1.14g
のインジウムを酢酸に溶解した溶液、20時間後に3
2.4gのテトラエチルシリケート、34時間後に85
%リン酸54gをそれぞれ添加した。リン酸は4.5m
l/分の速度で添加した。合計で56時間還流したのち
冷却して生成した前駆体を濾取し、実施例1と同様に後
処理した。
【0021】反応例 触媒の調製 上述の実施例及び比較例で調製した前駆体を、窒素雰囲
気下で加熱して1時間で550℃に到達させ、更に55
0〜600℃で30分間保持したのち冷却した。これを
乳鉢で擂りつぶしたのち打錠成形機で成形した。成形物
を破砕し、篩分して24〜60メッシュの部分を取得し
て触媒とした。
気下で加熱して1時間で550℃に到達させ、更に55
0〜600℃で30分間保持したのち冷却した。これを
乳鉢で擂りつぶしたのち打錠成形機で成形した。成形物
を破砕し、篩分して24〜60メッシュの部分を取得し
て触媒とした。
【0022】反応 石英製反応管に上記で調製した触媒1gを充填し、これ
にn−ブタン−空気混合ガス(n−ブタン濃度4モル
%)をGHSV=1000hr-1で通過させた。出口ガ
スはガスクロマトグラフにより分析した。結果を第1表
に示す。なお、第1表において反応温度はn−ブタン転
換率90%のときの温度であり、無水マレイン酸収率は
最高収率を与える反応温度での収率である。
にn−ブタン−空気混合ガス(n−ブタン濃度4モル
%)をGHSV=1000hr-1で通過させた。出口ガ
スはガスクロマトグラフにより分析した。結果を第1表
に示す。なお、第1表において反応温度はn−ブタン転
換率90%のときの温度であり、無水マレイン酸収率は
最高収率を与える反応温度での収率である。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】本発明方法により調製した前駆体を焼成
して得た触媒は、著るしく高い無水マレイン酸収率を与
える。
して得た触媒は、著るしく高い無水マレイン酸収率を与
える。
Claims (3)
- 【請求項1】 5価のバナジウム化合物の少くとも一部
を4価に還元できる有機溶媒中で、一般式(1) 【化1】R4-n Si(OR′)n …(1) (式中、Rは炭化水素基を示し、R′は水素又はアルキ
ル基を示す。nは1≦n≦3の整数を示す)で表わされ
る有機ケイ素化合物の存在下に、5価のバナジウム化合
物とリン酸を反応させることを特徴とする炭化水素の気
相酸化反応用リン−バナジウム系複合酸化物触媒前駆体
の製造方法。 - 【請求項2】 有機溶媒の少くとも一部として炭素数3
〜6の脂肪族アルコールを用いることを特徴とする請求
項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 有機溶媒中に、一般式(1)で示される
有機ケイ素化合物に加えて、さらに鉄、コバルト、亜鉛
及びジルコニウムの化合物から選ばれた少くとも1種を
存在させることを特徴とする請求項1又は2記載の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7209513A JPH0952049A (ja) | 1995-08-17 | 1995-08-17 | リン−バナジウム系複合酸化物触媒前駆体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7209513A JPH0952049A (ja) | 1995-08-17 | 1995-08-17 | リン−バナジウム系複合酸化物触媒前駆体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0952049A true JPH0952049A (ja) | 1997-02-25 |
Family
ID=16574045
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7209513A Pending JPH0952049A (ja) | 1995-08-17 | 1995-08-17 | リン−バナジウム系複合酸化物触媒前駆体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0952049A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004080131A1 (fr) * | 2003-03-05 | 2004-09-16 | Alexei Dmitrievich Kanareikin | Accelerateur de faisceaux de particules chargees |
CN100341620C (zh) * | 2003-01-30 | 2007-10-10 | 天津市新天进科技开发有限公司 | 用于丁烷氧化制顺丁烯二酸酐的V-P-Si复合氧化物催化剂前驱体 |
WO2010047405A1 (ja) | 2008-10-24 | 2010-04-29 | 日本化薬株式会社 | グリセリンの脱水反応によるアクロレイン及びアクリル酸の製造用触媒と、その製造法 |
JP2017509483A (ja) * | 2014-12-05 | 2017-04-06 | エルジー・ケム・リミテッド | ブタジエン製造用複合酸化物触媒及びその製造方法 |
-
1995
- 1995-08-17 JP JP7209513A patent/JPH0952049A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100341620C (zh) * | 2003-01-30 | 2007-10-10 | 天津市新天进科技开发有限公司 | 用于丁烷氧化制顺丁烯二酸酐的V-P-Si复合氧化物催化剂前驱体 |
US7547655B2 (en) | 2003-01-30 | 2009-06-16 | New Tianjin T. & D. Co., Ltd. | V-P-Si composite oxide catalyst precursor used for producing maleic anhydride from butance |
WO2004080131A1 (fr) * | 2003-03-05 | 2004-09-16 | Alexei Dmitrievich Kanareikin | Accelerateur de faisceaux de particules chargees |
WO2010047405A1 (ja) | 2008-10-24 | 2010-04-29 | 日本化薬株式会社 | グリセリンの脱水反応によるアクロレイン及びアクリル酸の製造用触媒と、その製造法 |
JP2017509483A (ja) * | 2014-12-05 | 2017-04-06 | エルジー・ケム・リミテッド | ブタジエン製造用複合酸化物触媒及びその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR20090108121A (ko) | 포화 및 불포화 알데히드의 불포화 카복실산으로의 산화 촉매, 이의 제조방법 및 사용방법 | |
AU2004240910B8 (en) | Phosphorus/vanadium catalyst preparation | |
US5959124A (en) | Method of preparing maleic anhydride by vapor phase oxidation of hydrocarbon | |
RU2233830C2 (ru) | Способ получения смесей спиртов с кетонами | |
EP3980180A1 (en) | Supported oxide nh3-scr catalysts with dual site surface species and synthesis processes | |
US5155235A (en) | Catalyst for producing maleic anhydride from butane and process for preparing same | |
JPH08269029A (ja) | プロピレンオキシドの製造方法 | |
JPH07206847A (ja) | アルキレンカーボネートの製造方法 | |
JP4081824B2 (ja) | アクリル酸の製造方法 | |
JPH0952049A (ja) | リン−バナジウム系複合酸化物触媒前駆体の製造方法 | |
JP2001233608A (ja) | Vpo触媒の合成法 | |
US5922637A (en) | Phosphorus/vanadium catalyst preparation | |
JP4816505B2 (ja) | ケトン化合物の製造方法 | |
JPH0952050A (ja) | リン−バナジウム系複合酸化物触媒前駆体の製造方法 | |
JPH0517392A (ja) | アクリル酸の製造方法 | |
JP3555205B2 (ja) | リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法 | |
JP3500676B2 (ja) | リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法 | |
JP3759847B2 (ja) | バナジウム−リン触媒の活性化方法 | |
JPS629099B2 (ja) | ||
JP2002316055A (ja) | エポキシ化合物の製造方法および製造用触媒 | |
JP4023255B2 (ja) | ジカルボン酸の製造方法とそれに用いる触媒の製造方法 | |
JP3927835B2 (ja) | ヨウ化芳香族化合物ジアセテートの製造方法 | |
JP2002088002A (ja) | オルト位アルキル化ヒドロキシ芳香族化合物の製造方法 | |
JP3320627B2 (ja) | 新規金属イオン交換リン−バナジウム化合物および該化合物を用いた固体酸触媒 | |
JP3646351B2 (ja) | リン−バナジウム化合物の製造方法 |