JP3500676B2 - リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法 - Google Patents
リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法Info
- Publication number
- JP3500676B2 JP3500676B2 JP31830093A JP31830093A JP3500676B2 JP 3500676 B2 JP3500676 B2 JP 3500676B2 JP 31830093 A JP31830093 A JP 31830093A JP 31830093 A JP31830093 A JP 31830093A JP 3500676 B2 JP3500676 B2 JP 3500676B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vanadium
- iron
- catalyst
- phosphoric acid
- catalyst precursor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Catalysts (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
- Furan Compounds (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は気相反応に適した複合酸
化物触媒の製造方法に関するものである。より詳しく
は、炭素数4のブタン、ブテン、ブタジエン等の炭化水
素を気相酸化により無水マレイン酸を製造するに適した
リン−バナジウム酸化物からなる触媒前駆体の改良され
た製造方法に関する。
化物触媒の製造方法に関するものである。より詳しく
は、炭素数4のブタン、ブテン、ブタジエン等の炭化水
素を気相酸化により無水マレイン酸を製造するに適した
リン−バナジウム酸化物からなる触媒前駆体の改良され
た製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ブタン、ブテン、ブタジエン等の
炭素数4の炭化水素、特に飽和炭化水素のn−ブタン
を、気相にて選択的に酸化して無水マレイン酸を製造す
るための触媒として、4価のバナジウムと5価のリンか
ら成る触媒が用いられている。この触媒としては、特
に、触媒特性の優れた結晶性の複合酸化物触媒として、
ピロリン酸ジバナジル((VO)2 P2 O7 )が知られ
ており、この化合物に係る文献が多く知られている(例
えば、Chem.Rev.88,P.55〜80(19
88)及びその引用文献)。このピロリン酸ジバナジル
の合成方法として、その前駆体(プレカーサー)である
リン−バナジウム酸化物、即ち、リン酸水素バナジル・
1/2水塩(VOHPO4 ・1/2H2 O)を焼成する
方法が一般的であり、この前駆体を加熱焼成することに
より、その構造を保持しながらピロリン酸ジバナジルに
転移させることができることが報告されている。
炭素数4の炭化水素、特に飽和炭化水素のn−ブタン
を、気相にて選択的に酸化して無水マレイン酸を製造す
るための触媒として、4価のバナジウムと5価のリンか
ら成る触媒が用いられている。この触媒としては、特
に、触媒特性の優れた結晶性の複合酸化物触媒として、
ピロリン酸ジバナジル((VO)2 P2 O7 )が知られ
ており、この化合物に係る文献が多く知られている(例
えば、Chem.Rev.88,P.55〜80(19
88)及びその引用文献)。このピロリン酸ジバナジル
の合成方法として、その前駆体(プレカーサー)である
リン−バナジウム酸化物、即ち、リン酸水素バナジル・
1/2水塩(VOHPO4 ・1/2H2 O)を焼成する
方法が一般的であり、この前駆体を加熱焼成することに
より、その構造を保持しながらピロリン酸ジバナジルに
転移させることができることが報告されている。
【0003】前駆体であるリン酸水素バナジル・1/2
水塩の製造方法としては、いくつかの提案がある。中で
も、有機溶媒中にて前駆物質を製造する方法が数多く報
告されているが、基本的には、5価のバナジウム化合物
の少なくとも一部を有機溶媒中で還元して、5価のリン
化合物と反応させて5価のリンと4価のバナジウムの複
合酸化物を得る方法である。例えば、特公昭57−87
61号には、実質的に無水の有機溶媒中で五酸化バナジ
ウムをバナジウムの価数を4.0〜4.6に還元させた
後、オルトリン酸と反応させる方法が示されている。該
公報の実施例で使用されているオルトリン酸は、具体的
には85%及び100%リン酸である。有機溶媒として
は、イソブタノ−ル単独あるいはイソブタノ−ルとベン
ジルアルコ−ルの混合溶媒が用いられている。ベンジル
アルコ−ルの使用量はベンジルアルコ−ル/五酸化バナ
ジウムモル比で2.2以上である。添加する助触媒成分
元素として周期律表のV族元素が好ましく、特にタンタ
ルとビスマスが好ましいことが記載されている。
水塩の製造方法としては、いくつかの提案がある。中で
も、有機溶媒中にて前駆物質を製造する方法が数多く報
告されているが、基本的には、5価のバナジウム化合物
の少なくとも一部を有機溶媒中で還元して、5価のリン
化合物と反応させて5価のリンと4価のバナジウムの複
合酸化物を得る方法である。例えば、特公昭57−87
61号には、実質的に無水の有機溶媒中で五酸化バナジ
ウムをバナジウムの価数を4.0〜4.6に還元させた
後、オルトリン酸と反応させる方法が示されている。該
公報の実施例で使用されているオルトリン酸は、具体的
には85%及び100%リン酸である。有機溶媒として
は、イソブタノ−ル単独あるいはイソブタノ−ルとベン
ジルアルコ−ルの混合溶媒が用いられている。ベンジル
アルコ−ルの使用量はベンジルアルコ−ル/五酸化バナ
ジウムモル比で2.2以上である。添加する助触媒成分
元素として周期律表のV族元素が好ましく、特にタンタ
ルとビスマスが好ましいことが記載されている。
【0004】また、特公平2−97号及び特公平2−9
8号には、混合リン酸を使用することを特徴としたリン
−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法が記載されて
いる。混合リン酸とは、オルトリン酸とピロリン酸及び
少量のトリリン酸の混合物であり、例えば、75〜90
重量%のオルトリン酸と10〜25%のピロリン酸の混
合物である。更に、特開昭62−102832号には、
リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法として、
イソブチルアルコール溶媒中、100%リン酸、還元剤
として塩化水素ガス、助触媒成分元素としてバナジウム
に対して原子比で0.0025〜0.008の鉄及びリ
チウムを使用する方法が開示されている。
8号には、混合リン酸を使用することを特徴としたリン
−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法が記載されて
いる。混合リン酸とは、オルトリン酸とピロリン酸及び
少量のトリリン酸の混合物であり、例えば、75〜90
重量%のオルトリン酸と10〜25%のピロリン酸の混
合物である。更に、特開昭62−102832号には、
リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法として、
イソブチルアルコール溶媒中、100%リン酸、還元剤
として塩化水素ガス、助触媒成分元素としてバナジウム
に対して原子比で0.0025〜0.008の鉄及びリ
チウムを使用する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記の
例を含めた公知の方法で製造したリン−バナジウム酸化
物前駆体より得た触媒では,1)無水マレイン酸が高収
率であること,2)触媒がより低い反応温度で良好に働
いて長寿命であること,3)製造方法が再現性の良好な
こと,等の全てを兼ね備えた製造方法としてはなお不十
分であった。
例を含めた公知の方法で製造したリン−バナジウム酸化
物前駆体より得た触媒では,1)無水マレイン酸が高収
率であること,2)触媒がより低い反応温度で良好に働
いて長寿命であること,3)製造方法が再現性の良好な
こと,等の全てを兼ね備えた製造方法としてはなお不十
分であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記従来
の実情に鑑み鋭意検討を進めた結果、工業的にも著しい
改良が期待できる特定の方法、条件を見出し、本発明に
到達した。本発明は、5価のリン化合物及び5価のバナ
ジウム化合物を有機溶媒中で反応させて、炭素数4の炭
化水素を気相酸化して無水マレイン酸を製造するための
触媒前駆体を製造する方法において、有機溶媒として
炭素数3〜6の脂肪族アルコ−ルとベンジルアルコ−ル
の混合物を使用し、5価のリン化合物として98〜1
00%のリン酸を使用し、更に、助触媒成分として鉄
を使用する、ことを特徴とするリン−バナジウム酸化物
触媒前駆体の製造方法に存する。
の実情に鑑み鋭意検討を進めた結果、工業的にも著しい
改良が期待できる特定の方法、条件を見出し、本発明に
到達した。本発明は、5価のリン化合物及び5価のバナ
ジウム化合物を有機溶媒中で反応させて、炭素数4の炭
化水素を気相酸化して無水マレイン酸を製造するための
触媒前駆体を製造する方法において、有機溶媒として
炭素数3〜6の脂肪族アルコ−ルとベンジルアルコ−ル
の混合物を使用し、5価のリン化合物として98〜1
00%のリン酸を使用し、更に、助触媒成分として鉄
を使用する、ことを特徴とするリン−バナジウム酸化物
触媒前駆体の製造方法に存する。
【0007】以下,本発明を詳細に説明する。本発明の
触媒前駆体の原料として使用する5価のバナジウム化合
物としては、五酸化バナジウム、またはメタバナジウム
酸アンモニウム、オキシ三ハロゲン化バナジウムなどの
バナジウム塩が例示されるが、最も一般的な原料は五酸
化バナジウムである。五酸化バナジウムは市販品をその
まま、あるいは、粉砕して用いる。また、本発明の触媒
前駆体の原料として使用する5価のリン化合物として
は、オルトリン酸換算で98〜100%のリン酸を使用
する(重量%表示)。98〜100%のリン酸として
は、市販の99%リン酸をそのまま使用すればよいが、
その他のリン酸を希釈あるいは濃縮して調製してもよ
い。
触媒前駆体の原料として使用する5価のバナジウム化合
物としては、五酸化バナジウム、またはメタバナジウム
酸アンモニウム、オキシ三ハロゲン化バナジウムなどの
バナジウム塩が例示されるが、最も一般的な原料は五酸
化バナジウムである。五酸化バナジウムは市販品をその
まま、あるいは、粉砕して用いる。また、本発明の触媒
前駆体の原料として使用する5価のリン化合物として
は、オルトリン酸換算で98〜100%のリン酸を使用
する(重量%表示)。98〜100%のリン酸として
は、市販の99%リン酸をそのまま使用すればよいが、
その他のリン酸を希釈あるいは濃縮して調製してもよ
い。
【0008】溶媒として使用する炭素数3〜6の脂肪族
アルコ−ルとしては、プロパノ−ル、ブタノ−ル、ヘキ
サノ−ル、2−メチルプロパノ−ル等が挙げられ、特に
2−メチルプロパノ−ルが好適である。また、ベンジル
アルコ−ルは、溶媒としての役割とともに5価のバナジ
ウムの還元剤として働くものと推定され、通常、市販品
をそのまま使用することができる。助触媒として反応系
に添加し、触媒前駆体に含有させる鉄の化合物として
は、塩化鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄等が例示される。原料
の使用割合とは、リンとバナジウムの原子比として、リ
ンに対するバナジウム及び鉄の合計量の原子比で、通常
1.0〜1.3が適当である。助触媒金属の鉄の使用量
としては、バナジウムと鉄の合計に対する鉄の原子比
で、通常0.005〜0.3、好ましくは0.02〜
0.2である。ベンジルアルコ−ルは、ベンジルアルコ
−ル/5価のバナジウム化合物のモル比で通常0.02
〜2、好ましくは0.5〜1.5である。以上の原料の
使用割合の範囲において特に活性の高い触媒が得られ
る。
アルコ−ルとしては、プロパノ−ル、ブタノ−ル、ヘキ
サノ−ル、2−メチルプロパノ−ル等が挙げられ、特に
2−メチルプロパノ−ルが好適である。また、ベンジル
アルコ−ルは、溶媒としての役割とともに5価のバナジ
ウムの還元剤として働くものと推定され、通常、市販品
をそのまま使用することができる。助触媒として反応系
に添加し、触媒前駆体に含有させる鉄の化合物として
は、塩化鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄等が例示される。原料
の使用割合とは、リンとバナジウムの原子比として、リ
ンに対するバナジウム及び鉄の合計量の原子比で、通常
1.0〜1.3が適当である。助触媒金属の鉄の使用量
としては、バナジウムと鉄の合計に対する鉄の原子比
で、通常0.005〜0.3、好ましくは0.02〜
0.2である。ベンジルアルコ−ルは、ベンジルアルコ
−ル/5価のバナジウム化合物のモル比で通常0.02
〜2、好ましくは0.5〜1.5である。以上の原料の
使用割合の範囲において特に活性の高い触媒が得られ
る。
【0009】本発明では以上の原料からなるスラリ−状
態の溶液を、加熱・還流下で反応させる。具体的には、
バナジウムを還元するとともに、リン酸及び鉄化合物と
反応させ、4価のバナジウム及びリンを含有する複合酸
化物に鉄を含有した粒子を得る。得られる複合酸化物粒
子は、必ずしも結晶性は良好ではないが、リン酸水素バ
ナジル・1/2水塩を含有するものである。該粒子は、
固液分離の一般的手法により分離され、必要に応じてア
ルコ−ル等の溶媒で洗浄した後、乾燥する。本発明の方
法においては、5価のバナジウム化合物を炭素数3〜6
の脂肪族アルコ−ルとベンジルアルコ−ルの混合溶媒中
で、あらかじめ加熱・還流してバナジウムの一部を4価
に還元した後でリン酸を添加する方法、あるいは五酸化
バナジウムとリン酸を初めから混合して反応させる方法
のいずれも採用することができるが、好ましくは前者の
方法である。
態の溶液を、加熱・還流下で反応させる。具体的には、
バナジウムを還元するとともに、リン酸及び鉄化合物と
反応させ、4価のバナジウム及びリンを含有する複合酸
化物に鉄を含有した粒子を得る。得られる複合酸化物粒
子は、必ずしも結晶性は良好ではないが、リン酸水素バ
ナジル・1/2水塩を含有するものである。該粒子は、
固液分離の一般的手法により分離され、必要に応じてア
ルコ−ル等の溶媒で洗浄した後、乾燥する。本発明の方
法においては、5価のバナジウム化合物を炭素数3〜6
の脂肪族アルコ−ルとベンジルアルコ−ルの混合溶媒中
で、あらかじめ加熱・還流してバナジウムの一部を4価
に還元した後でリン酸を添加する方法、あるいは五酸化
バナジウムとリン酸を初めから混合して反応させる方法
のいずれも採用することができるが、好ましくは前者の
方法である。
【0010】また、鉄化合物も、反応の最初から添加す
る方法、リン酸を添加した後に加える方法のどちらでも
よい。原料を混合したスラリ−の加熱温度としては、用
いる有機溶媒の種類によるが、通常80〜200℃の範
囲で実施し、溶媒の沸点付近の温度範囲で還流させる方
法が特に好ましい。加熱時間は、合成条件により変動す
るが、反応系にリン酸を添加してから、通常1〜20時
間が好適である。以上述べた方法で得た酸化物触媒の前
駆体は、通常は、最終的に400〜700℃で加熱する
ことにより活性化させ、前駆体酸化物の少なくとも一部
をピロリン酸ジバナジルに転換させて触媒として使用す
る。この加熱条件の例としては、窒素雰囲気や窒素と空
気を適当な割合で混合した雰囲気での焼成、炭素数4の
炭化水素を含有した反応ガス雰囲気での加熱が挙げられ
る。
る方法、リン酸を添加した後に加える方法のどちらでも
よい。原料を混合したスラリ−の加熱温度としては、用
いる有機溶媒の種類によるが、通常80〜200℃の範
囲で実施し、溶媒の沸点付近の温度範囲で還流させる方
法が特に好ましい。加熱時間は、合成条件により変動す
るが、反応系にリン酸を添加してから、通常1〜20時
間が好適である。以上述べた方法で得た酸化物触媒の前
駆体は、通常は、最終的に400〜700℃で加熱する
ことにより活性化させ、前駆体酸化物の少なくとも一部
をピロリン酸ジバナジルに転換させて触媒として使用す
る。この加熱条件の例としては、窒素雰囲気や窒素と空
気を適当な割合で混合した雰囲気での焼成、炭素数4の
炭化水素を含有した反応ガス雰囲気での加熱が挙げられ
る。
【0011】また、本発明の酸化物触媒の前駆体は、そ
のままバインダ−成分あるいは担体成分と混合し、乾
燥、加熱活性化するか、あるいは、前駆体を予め加熱し
て活性化後でバインダ−成分あるいは担体成分と混合
し、乾燥するなどした後、反応器の形態により必要に応
じて成型し、工業的な触媒とする。以上の触媒は、炭化
水素又はカルボン酸の部分酸化反応、特にn−ブタン、
1−ブテン、2−ブテン、1,3−ブタジエン等の炭素
数4の炭化水素の気相酸化による無水マレイン酸の製造
に好適に利用される。炭化水素原料として特に経済的に
有利なのはn−ブタン及びブテンであり、これらは天然
ガスからの分離、或いはナフサクラッキング生成物から
の分離などによって容易に得ることができる。 酸化反
応の形式は流動床でも固定床でもよい。酸化剤としては
空気あるいは分子状酸素含有ガスが用いられる。原料炭
化水素は通常0.1〜10容量%、好ましくは1〜5容
量%、酸素濃度は10〜30容量%で行われる。反応温
度は通常300〜450℃、好ましくは350〜400
℃であり、反応圧力は、通常、常圧もしくは0.05〜
10kg/cm2 Gの加圧下で行われる。
のままバインダ−成分あるいは担体成分と混合し、乾
燥、加熱活性化するか、あるいは、前駆体を予め加熱し
て活性化後でバインダ−成分あるいは担体成分と混合
し、乾燥するなどした後、反応器の形態により必要に応
じて成型し、工業的な触媒とする。以上の触媒は、炭化
水素又はカルボン酸の部分酸化反応、特にn−ブタン、
1−ブテン、2−ブテン、1,3−ブタジエン等の炭素
数4の炭化水素の気相酸化による無水マレイン酸の製造
に好適に利用される。炭化水素原料として特に経済的に
有利なのはn−ブタン及びブテンであり、これらは天然
ガスからの分離、或いはナフサクラッキング生成物から
の分離などによって容易に得ることができる。 酸化反
応の形式は流動床でも固定床でもよい。酸化剤としては
空気あるいは分子状酸素含有ガスが用いられる。原料炭
化水素は通常0.1〜10容量%、好ましくは1〜5容
量%、酸素濃度は10〜30容量%で行われる。反応温
度は通常300〜450℃、好ましくは350〜400
℃であり、反応圧力は、通常、常圧もしくは0.05〜
10kg/cm2 Gの加圧下で行われる。
【0012】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが,本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例により限定されるものではない。なお、特に断り
がない限り「%」は、「重量%」を示す。 実施例1 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2195
g、ベンジルアルコ−ル205.4g、五酸化バナジウ
ム347.5g、シュウ酸鉄・2水物36.0gを入れ
てスラリー状態で3時間、加熱・還流した。このスラリ
−に、99%リン酸475.2gを2−メチルプロパノ
−ル1.0リットルに溶解した溶液を添加し、次いで、
2−メチルプロパノ−ル2.4リットルを入れた。この
スラリ−溶液を更に7時間、加熱・還流した後、冷却し
た。2−メチルプロパノ−ルにより生成物を洗浄、濾過
し、130℃にて10時間乾燥した。
説明するが,本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例により限定されるものではない。なお、特に断り
がない限り「%」は、「重量%」を示す。 実施例1 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2195
g、ベンジルアルコ−ル205.4g、五酸化バナジウ
ム347.5g、シュウ酸鉄・2水物36.0gを入れ
てスラリー状態で3時間、加熱・還流した。このスラリ
−に、99%リン酸475.2gを2−メチルプロパノ
−ル1.0リットルに溶解した溶液を添加し、次いで、
2−メチルプロパノ−ル2.4リットルを入れた。この
スラリ−溶液を更に7時間、加熱・還流した後、冷却し
た。2−メチルプロパノ−ルにより生成物を洗浄、濾過
し、130℃にて10時間乾燥した。
【0013】実施例2
最初の還流時間を1時間とした以外は実施例1と同様に
合成反応を行った。 実施例3 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2205
g、ベンジルアルコ−ル194.6g、五酸化バナジウ
ム329.2g、シュウ酸鉄・2水物72.0gを入れ
てスラリー状態で3時間、加熱・還流した。このスラリ
−に、99%リン酸475.2gを2−メチルプロパノ
−ル1.0リットルに溶解した溶液を添加し、次いで、
2−メチルプロパノ−ル2.4リットルを入れた。この
スラリ−溶液につき、実施例1と同様に合成反応を行っ
た。
合成反応を行った。 実施例3 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2205
g、ベンジルアルコ−ル194.6g、五酸化バナジウ
ム329.2g、シュウ酸鉄・2水物72.0gを入れ
てスラリー状態で3時間、加熱・還流した。このスラリ
−に、99%リン酸475.2gを2−メチルプロパノ
−ル1.0リットルに溶解した溶液を添加し、次いで、
2−メチルプロパノ−ル2.4リットルを入れた。この
スラリ−溶液につき、実施例1と同様に合成反応を行っ
た。
【0014】比較例1
10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2400
g、五酸化バナジウム365.8gを入れてスラリー状
態で3時間、加熱、還流した。このスラリ−に99%リ
ン酸475.2gを2−メチルプロパノ−ル1.0リッ
トルに溶解した溶液を添加し、次いで、2−メチルプロ
パノ−ル2.4リットルを入れた。このスラリ−溶液を
実施例1と同様に合成反応を行った。
g、五酸化バナジウム365.8gを入れてスラリー状
態で3時間、加熱、還流した。このスラリ−に99%リ
ン酸475.2gを2−メチルプロパノ−ル1.0リッ
トルに溶解した溶液を添加し、次いで、2−メチルプロ
パノ−ル2.4リットルを入れた。このスラリ−溶液を
実施例1と同様に合成反応を行った。
【0015】比較例2
10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル4904
g、ベンジルアルコ−ル216.2g、五酸化バナジウ
ム365.8g,99%リン酸475.2gを入れてス
ラリー状態で7時間、加熱・、還流した。冷却後、2−
メチルプロパノ−ルにより生成物を洗浄、濾過し、13
0℃にて10時間乾燥した。
g、ベンジルアルコ−ル216.2g、五酸化バナジウ
ム365.8g,99%リン酸475.2gを入れてス
ラリー状態で7時間、加熱・、還流した。冷却後、2−
メチルプロパノ−ルにより生成物を洗浄、濾過し、13
0℃にて10時間乾燥した。
【0016】比較例3
10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2400
g、五酸化バナジウム347.5g,99%リン酸47
5.2gを入れてスラリー状態とし、次いで、還流が開
始した所で、シュウ酸鉄・2水和物36.0gを2−メ
チルプロパノ−ル3.4リットルに懸濁した溶液を添加
し、7時間、加熱、還流した。冷却後、2−メチルプロ
パノ−ルにより生成物を洗浄、濾過し、130℃にて1
0時間乾燥した。
g、五酸化バナジウム347.5g,99%リン酸47
5.2gを入れてスラリー状態とし、次いで、還流が開
始した所で、シュウ酸鉄・2水和物36.0gを2−メ
チルプロパノ−ル3.4リットルに懸濁した溶液を添加
し、7時間、加熱、還流した。冷却後、2−メチルプロ
パノ−ルにより生成物を洗浄、濾過し、130℃にて1
0時間乾燥した。
【0017】比較例4
10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2400
g、五酸化バナジウム347.5g、シュウ酸鉄・2水
物36.0gを入れてスラリー状態で3時間、還流撹拌
した。このスラリ−に99%リン酸475.2gを2−
メチルプロパノ−ル1.0リットルに溶解した溶液を添
加後し、次いで、2−メチルプロパノ−ル2.4リット
ルを入れた。このスラリ−溶液を7時間、加熱・還流し
た後、冷却した。2−メチルプロパノ−ルにより、生成
物を洗浄、濾過し、130℃にて10時間乾燥した。
g、五酸化バナジウム347.5g、シュウ酸鉄・2水
物36.0gを入れてスラリー状態で3時間、還流撹拌
した。このスラリ−に99%リン酸475.2gを2−
メチルプロパノ−ル1.0リットルに溶解した溶液を添
加後し、次いで、2−メチルプロパノ−ル2.4リット
ルを入れた。このスラリ−溶液を7時間、加熱・還流し
た後、冷却した。2−メチルプロパノ−ルにより、生成
物を洗浄、濾過し、130℃にて10時間乾燥した。
【0018】比較例5
10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2400
g、五酸化バナジウム329.2g、シュウ酸鉄・2水
物72.0gを入れてスラリー状態で3時間、加熱・還
流した。このスラリ−に99%リン酸475.2gを2
−メチルプロパノ−ル1.0リットルに溶解した溶液を
添加し、次いで、2−メチルプロパノ−ル2.4リット
ルを入れた。このスラリ−溶液を7時間、加熱・還流し
た後、冷却した。2−メチルプロパノ−ルにより、生成
物を洗浄、濾過し、130℃にて10時間乾燥した。
g、五酸化バナジウム329.2g、シュウ酸鉄・2水
物72.0gを入れてスラリー状態で3時間、加熱・還
流した。このスラリ−に99%リン酸475.2gを2
−メチルプロパノ−ル1.0リットルに溶解した溶液を
添加し、次いで、2−メチルプロパノ−ル2.4リット
ルを入れた。このスラリ−溶液を7時間、加熱・還流し
た後、冷却した。2−メチルプロパノ−ルにより、生成
物を洗浄、濾過し、130℃にて10時間乾燥した。
【0019】反応試験例
実施例1〜3、比較例1〜5にて得られた酸化物触媒の
前駆体を窒素雰囲気下,550℃焼成後,14〜24メ
ッシュの粒径に成型した触媒を用いて,触媒活性を試験
した。石英製反応管に触媒を1cc充填し、n−ブタン
濃度4モル%の空気混合ガスを,GHSV1000Hr
-1の速度で通過させて400℃で反応を実施した。約2
0時間経過後、反応管内の温度を350〜500℃の範
囲で調整し、反応状態を調べた。反応管出口ガスをサン
プリングして,オンライン接続したガスクロマトグラフ
により生成物の分析を実施した。得られた結果を表−1
に示す。比較例に比べて実施例の触媒は、無水マレイン
酸収率が高く、かつ反応温度が低く、反応成績が良好な
ことが理解される。
前駆体を窒素雰囲気下,550℃焼成後,14〜24メ
ッシュの粒径に成型した触媒を用いて,触媒活性を試験
した。石英製反応管に触媒を1cc充填し、n−ブタン
濃度4モル%の空気混合ガスを,GHSV1000Hr
-1の速度で通過させて400℃で反応を実施した。約2
0時間経過後、反応管内の温度を350〜500℃の範
囲で調整し、反応状態を調べた。反応管出口ガスをサン
プリングして,オンライン接続したガスクロマトグラフ
により生成物の分析を実施した。得られた結果を表−1
に示す。比較例に比べて実施例の触媒は、無水マレイン
酸収率が高く、かつ反応温度が低く、反応成績が良好な
ことが理解される。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】本発明により得られる前駆体を活性化し
た酸化物触媒は、炭素数4の炭化水素、特に飽和のブタ
ンを選択的に酸化して無水マレイン酸を製造する反応に
おいて、比較的低い温度範囲においても収率が高く、長
期に渡り反応成績が良好である。そのため、触媒当たり
の無水マレイン酸の製造量が大きく、触媒原単位の低減
が可能である。また、工業的な触媒製造条件にて再現性
よく製造することができる。
た酸化物触媒は、炭素数4の炭化水素、特に飽和のブタ
ンを選択的に酸化して無水マレイン酸を製造する反応に
おいて、比較的低い温度範囲においても収率が高く、長
期に渡り反応成績が良好である。そのため、触媒当たり
の無水マレイン酸の製造量が大きく、触媒原単位の低減
が可能である。また、工業的な触媒製造条件にて再現性
よく製造することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 伊藤 ますみ
神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地
三菱化成株式会社総合研究所内
(56)参考文献 特開 昭58−30341(JP,A)
特開 平1−239007(JP,A)
特開 昭56−141840(JP,A)
特開 昭59−87049(JP,A)
特開 平5−262754(JP,A)
西独国特許出願公開2700635(DE,
A1)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
Claims (3)
- 【請求項1】 5価のリン化合物及び5価のバナジウム
化合物を有機溶媒中で反応させて、炭素数4の炭化水素
を気相酸化して無水マレイン酸を製造するための触媒前
駆体を製造する方法において、有機溶媒として炭素数
3〜6の脂肪族アルコ−ルとベンジルアルコ−ルの混合
物を使用し、5価のリン化合物として98〜100%
のリン酸を使用し、更に、助触媒成分として鉄を使用
する、ことを特徴とするリン−バナジウム酸化物触媒前
駆体の製造方法。 - 【請求項2】 ベンジルアルコ−ルの使用量が、ベンジ
ルアルコ−ル/5価のバナジウム化合物のモル比で0.
02〜2であることを特徴とする請求項1の製造方法。 - 【請求項3】 鉄の使用量が、バナジウムと鉄の合計に
対する鉄の原子比が0.005〜0.3である請求項1
又は請求項2の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31830093A JP3500676B2 (ja) | 1993-12-17 | 1993-12-17 | リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31830093A JP3500676B2 (ja) | 1993-12-17 | 1993-12-17 | リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07171398A JPH07171398A (ja) | 1995-07-11 |
JP3500676B2 true JP3500676B2 (ja) | 2004-02-23 |
Family
ID=18097667
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31830093A Expired - Fee Related JP3500676B2 (ja) | 1993-12-17 | 1993-12-17 | リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3500676B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TW469271B (en) | 1998-02-18 | 2001-12-21 | Nippon Catalytic Chem Ind | Method for production of maleic anhydride |
JP2010099596A (ja) | 2008-10-24 | 2010-05-06 | Arkema France | グリセリンの脱水反応によるアクロレイン及びアクリル酸の製造用触媒と、その製造法 |
-
1993
- 1993-12-17 JP JP31830093A patent/JP3500676B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07171398A (ja) | 1995-07-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4568790A (en) | Process for oxydehydrogenation of ethane to ethylene | |
US4524236A (en) | Process for oxydehydrogenation of ethane to ethylene | |
US4147661A (en) | Production of maleic anhydride and catalysts therefor | |
JP3500682B2 (ja) | アルカンよりニトリルを製造するための触媒 | |
US4100106A (en) | Process for the production of a mixed-oxide oxidation catalyst containing vanadium and pentavalent phosphorus | |
CA2524218C (en) | Phosphorus/vanadium catalyst preparation | |
KR100237976B1 (ko) | 바나듐-인계 산화물과 그 제조방법, 상기 산화물로 이루어지는 기상산화용촉매 및 탄화수소류의 부분기상산화방법 | |
US3905914A (en) | V-P-Zr catalysts and method of preparation thereof | |
JPH1017523A (ja) | 酢酸の製造方法 | |
JP4081824B2 (ja) | アクリル酸の製造方法 | |
US4845241A (en) | Process for the manufacture of maleic | |
CA1305180C (en) | Organic acids from alkanols | |
US5922637A (en) | Phosphorus/vanadium catalyst preparation | |
US4085122A (en) | Production of maleic anhydride using a mixed-oxide oxidation catalyst containing vanadium and pentavalent phosphorus | |
JP2558036B2 (ja) | メタクロレインおよび/またはメタクリル酸の製造方法 | |
JPH11169716A (ja) | 不飽和ニトリルおよび/または不飽和カルボン酸を製造するための触媒 | |
JP3500676B2 (ja) | リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法 | |
JP3555205B2 (ja) | リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法 | |
US4218382A (en) | Production of maleic anhydride from four-carbon hydrocarbons using catalysts prepared by water reflux techniques | |
JP3482476B2 (ja) | メタクリル酸製造用触媒の製造方法およびメタクリル酸の製造方法 | |
JP3603352B2 (ja) | リン−バナジウム酸化物触媒の製造方法 | |
US3546139A (en) | Molybdenum,niobium,tantalum,arsenic in catalysts for vapor phase production of alpha,beta-unsaturated acids | |
JPH07227544A (ja) | リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法 | |
JPH0686932A (ja) | メタクリル酸製造用触媒の製造方法 | |
JPH06234524A (ja) | 錫を基材とした物質組成物、これらの物質組成物を基剤とする触媒及び不飽和カルボン酸の製造に対するそれらの使用 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081212 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091212 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |