JP4252151B2 - 触媒金属コロイド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた排気ガス浄化用触媒の基礎原料である触媒金属コロイドに関する。特に自動車用排気ガスに有用な浄化用触媒の製造に用いることが有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来のリーンバーン自動車排ガス浄化用触媒は、特開平5−261287にみられるように、多孔質体である担体と当該担体に担持させたバリウム酸化物、ランタン酸化物及び白金とからなることを特徴とする排気ガス浄化用触媒が知られている。
【0003】
この触媒の作り方は、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液と酢酸バリウム又は硝酸バリウムの水溶液と硝酸ランタン水溶液との混合溶液にアルミナをコートした担体を浸漬して乾燥後、焼成して製造していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のリーンバーン自動車排ガス浄化用触媒は、耐熱性に弱く、連続した高温環境下では、白金はシンタリング(凝集)して排気ガス浄化率、特にNOX吸蔵量が低下するという現象が発生していた。
【0005】
この白金のシンタリングに関しては、本件発明者等は、ポリビニルピロリドン(PVPと称する。)−白金/ロジウムバイメタルコロイドを用いた触媒により解決することを提唱してきた。
【0006】
ところが、PVP−白金/ロジウム複合コロイドを用いた触媒にアルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類金属、例えばバリウムを担持し、NOX吸蔵量を調べてみると、NOX吸蔵量が当初の予測通りの性能を発揮し得ないことが分かった。
【0007】
この原因がどこにあるのかを詳細に検討した結果、本発明者等は、触媒の担持された際の形態に問題があることが判明した。即ち、触媒担体にバリウムを担持した際の、バリウムの分散性に問題があるとの結論を得るに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、白金のシンタリングを、白金−ロジウム等の複合金属コロイドを用いることにより抑制し、かつ白金の近傍にアルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類(以下、「アルカリ金属等」と称する。)のいずれかに属する元素の1種又は2種以上を高分散に担持することにより、従来より優れたNOX吸蔵能を有する自動車用排ガス浄化用触媒を得ることの出来る触媒製造に適した触媒金属コロイドとして、以下のアルカリ金属等の分散性を向上させた自動車用排ガス浄化用触媒の触媒金属担持に用いる触媒金属コロイドを開発したのである。
【0009】
しかも、本件発明に係る触媒金属コロイドを用いると、複合金属コロイドだけでなく単一金属コロイドであっても、自動車用の排ガス触媒として使用可能なアルカリ金属等担持型の触媒を得ることが可能となる。なお、ここでいうシンタリングとは、触媒粒子と触媒粒子とが凝集し粗粒化する現象を言う。触媒粒子が粗粒化すると、触媒粒子と排気ガスとの接触反応界面面積の低下を引き起こし、排気ガスの浄化性能を低下させる結果となるのである。
【0010】
即ち、本願発明は、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類担持型触媒の触媒担持プロセスであって、担体として、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、チタニア、セリア、ジルコニアのいずれか1種又は2種以上からなる多孔質体を用い、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類のいずれかに属する元素の1種又は2種以上を担持するAプロセスと、その他のキレート化させた白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、金、オスミウム、レニウムの1種又は2種以上からなる触媒金属を担持するBプロセスと、を別個のプロセスとして行う触媒担持プロセスの、前記Bプロセスで用いられる触媒金属コロイドにおいて、前記触媒金属をキレート結合させコロイド化させる際に用いる高分子キレート化剤はポリアクリル酸であり、更に、触媒金属(M)とキレート化剤(P)との重量比(M/P)が1/3〜1/1の範囲であることを特徴とする触媒金属コロイドとしている。
【0011】
ここでいう触媒金属コロイドとは、アルミナ等の多孔質体へのアルカリ金属等の担持と、その他の触媒元素との担持を別個に行う、触媒担持プロセスで用いられるものである。請求項1には、「アルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類のいずれかに属する元素の1種又は2種以上を担持するAプロセスと、その他のキレート化させた触媒金属を担持するBプロセスとを別個のプロセスとして行う」と記載しているが、AプロセスとBプロセスとの多孔質体に対する担持の順序は問題とはならない。
【0012】
即ち、最初に担体である多孔質体に、1種の金属又は複合金属を担持し、その後アルカリ金属等のいずれかに属する元素の1種又は2種以上を担持するものであってもよい。これに対し、最初に担体である多孔質体に、アルカリ金属等のいずれかに属する元素の1種又は2種以上を担持し、その後単一金属又は複合金属を担持するものであり、担持する順序が異なっていても構わない。このようにアルカリ金属等を担持するAプロセスと、単一金属又は複合金属を担持するBプロセスとの順序を入れ変えても、上述したキレート化剤を用いた本発明に係る触媒金属コロイドを用いれば貴金属類、アルカリ金属等を高分散な状態で担持する事が可能となる。
【0013】
ここでいうキレート化剤には、ポリアクリル酸を用いるものとしている。
【0014】
このキレート化剤は、キレート化効果に優れ、触媒担持を行った後の、焼成プロセスで除去することが容易であり、触媒性能に影響を与えることが極めて少ないものである。中でも、これらのキレート化剤を用いるメリットとして大きいのは、キレート化した触媒金属を多孔質体へ担持する際の吸着速度が極めて大きくなると言う点にある。吸着速度が速く、触媒担持時間を短縮化することが出来れば、触媒体の製造時間を短縮化することができ、時間的生産コストを削減でき、より安価な製品として供給できることになる。
【0015】
このときのキレート化剤の使用量については、触媒金属(M)とキレート化剤(P)と の重量比(M/P)=1/3〜1/1の範囲である。このような範囲として定めた理由については後述する。
【0016】
そして、触媒金属には白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、金、オスミウム、レニウムのいずれか1種又は2種以上を選択的に組み合わせて用いることができる。2種以上を選択的に組み合わせて用いる場合には、少なくとも1種の触媒金属の粒子は、他の金属コロイド粒子の周囲を覆い、保護コロイドとしての役割を果たすものとなり、長期にわたって高い触媒性能を維持することができる。例えば、白金とロジウムとの組み合わせであれば、白金コロイドの表面をロジウムコロイドが覆い、白金コロイドを保護する役割を果たすものとなるのである。
【0017】
上述の触媒金属の供給源となる化合物には種々のものがある。単一触媒金属コロイドの場合は、1種の触媒金属を含む化合物を目的に適宜合わせて選択的に使用すれば足りる。ところが、例えば、白金−ロジウム複合金属コロイドを得るためには、白金化合物として、ジニトロジアンミン白金を用いることが好ましく、ロジウム化合物として硝酸ロジウムを用いることが好ましいというように、最適の組み合わせが幾通りも存在する。最適な組み合わせとは、コロイドの品質の長期安定性に優れているか否か、担持が容易に行えるか否か、現実の使用に際して高い触媒性能を確保できるか否かの諸特性を考慮して定められるべきものである。いずれにしても、使用するキレート化剤との相性を考慮し、上述の触媒金属を含有する適当な化合物を、適宜選択的に用いることができる。
【0018】
ここでいう多孔質体には、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、モルデナイト、チタニア、セリア、ジルコニアを用いることができる。経済的な面を考慮すれば、アルミナを用いることが有益であり、多孔質径を考慮する必要性があれば選択の幅のあるモルデナイトを使用する等、最終的触媒の使用目的に合わせての選択的使用が可能である。
【0019】
担持方法は、所定量の多孔質体と触媒金属コロイドとを水溶液中で所定時間撹拌し、吸着させることにより行われる。アルカリ金属等の担持処理は、この触媒金属コロイド担持の前プロセス若しくは後プロセスとして行われる。
【0020】
アルカリ金属等の担持には、目的元素を含むアルカリ金属等の化合物が用いられる。中でも、アルカリ土類金属の内、バリウムを担持する際に用いるに適したバリウム化合物とは、酢酸バリウム、EDTAバリウム、CyDTAバリウム、硝酸バリウム、テトラニトロ白金酸バリウム、塩化白金酸バリウムである。これらのバリウム化合物を用いることで、微細で均一に分散した分散度の高いバリウムの粒子として結合させることが可能となるのである。
【0021】
触媒元素の担持プロセスであるAプロセス及びBプロセスが終了すると、その後、水分を蒸発乾固させ、乾燥処理を行い、所定温度で数時間焼成し、高分子キレート金属触媒の製造が完了するのである。この高分子キレート金属触媒は、アルカリ金属等の分散度が高く、触媒金属のシンタリングの進行をくい止め、優れたNOX吸蔵能を維持することが可能となる。
【0022】
前述したように、本発明に係る触媒金属コロイドを用いて調整した自動車の排ガス浄化触媒は、従来の触媒では得ることのできなかったNOXの安定吸蔵が可能となり、優れたLEV自動車の実現が可能となるのである。
【0023】
以上に述べた触媒金属コロイドは、微細粒、即ち、粉体である多孔質体へ直接的に触媒を担持する方法における使用方法である。ところが、触媒体の構成材料であるモノリスの表面を、予め微細粒である多孔質体でコートし、その後、多孔質体に触媒金属を担持するアルカリ金属等担持型触媒の製造過程で本件発明に係る高分子キレート金属触媒コロイドを用いることが有用である。以上及び以下において、モノリスとは、金属製波形フォイル及び金属製スペーサフォイル等の巻き上げ触媒及び角形積層触媒の製造に用いる材料、セラミックハニカムの構成材料及び一体成形したセラミックハニカム等触媒体を構成する部材の全てを含む概念として用いている。
【0024】
本件発明に係る触媒金属コロイドは、触媒金属を担持する際の、触媒金属の吸着性を向上させることが可能となる。触媒金属を担持する際、触媒金属を微細粒である多孔質体に担持するのに比べ、一旦、モノリスにコートした微細粒である多孔質体に担持することは困難であり、触媒金属の吸着速度が著しく悪くなるのである。
【0025】
この問題を解決する手段として、本願発明のキレート化剤を用いた触媒金属を用いることにより、吸着速度を向上させ、アルカリ金属等及びその他の触媒金属が均一に微細に分散した状態を得ることが出来るのである。
【0026】
ここで、微細粒である多孔質体とは、前述と同様にアルミナ、シリカ、シリカアルミナ、チタニア、セリア、ジルコニアの1種又は2種以上である。この多孔質体の、モノリスへのコートは、多孔質体を懸濁させた水溶液中にモノリスを浸漬し、乾燥させるプロセスを複数回繰り返し、目的量の多孔質体のコートするものである。
【0027】
本件発明に係る触媒金属コロイドを用いれば、モノリスへコートした状態の多孔質体への担持は、吸着速度が速く、担持プロセスに要する時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0028】
このことをより分かりやすく説明するため、キレート化剤にポリアクリル酸(以下、PAAと称する。)を用いた単一触媒金属コロイドである白金コロイドに、アルミナをコートしたハニカムを浸漬した場合と、本願発明とは異なるキレート化剤であるポリビニルピロリドン(以下、PVPと称する。)を用いた白金コロイドの場合との触媒金属である白金の吸着担持速度を比較してみる。図1には、白金コロイド中に残留した白金濃度と吸着(担持)時間との関係を示している。
【0029】
この図1によれば、PVPを用いた場合に比べ、PAAをキレート化剤として用いたものは、残留白金量が経時的に急激に減少しており、PVPを用いた場合が、触媒元素である白金が吸着担持する速度が極めて速いことが分かる。吸着性と安定性を考慮すると、図1に示すように触媒金属(M)とキレート化剤(P)との重量比(M/P)=1/4〜1/0.2の範囲が最も良好な吸着速度となる。この範囲の中でも、重量比(M/P)=1/3〜1/1の範囲がピーク的に速い吸着速度を示す。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関する最良と考えられる実施の形態について説明する。第1実施形態に関しては、単一金属コロイドを用いてバリウムを結合させたものである。第2実施形態及び第3実施形態は、複合金属コロイドを用いてバリウムを結合させたものである。
【0031】
第1実施形態: 最初にジニトロジアンミン白金(白金濃度 4.604%)8.688gと分子量2000のポリアクリル酸2gを450mlの水に溶解混合し、112.5mlのエタノールを加え、5時間環流した。これを吸引濾過して濃縮し、0.5623重量%白金のポリアクリル酸−白金コロイドとして触媒金属コロイドを得た。得られたコロイドは2nmから4nmの粒径を示す。
【0032】
次に、担体となるアルミナ4gを、前述の0.5623重量%白金のポリアクリル酸−白金コロイド40ml中に加え、30分間撹拌し、Bプロセスである白金担持を行った。更に、Aプロセスとして、酢酸バリウム3.40gを加え、16時間撹拌して、アルカリ土類金属であるバリウムを結合させた。
【0033】
バリウムの結合が完了すると、蒸発乾固し、110℃×2時間の乾燥後、600℃×2時間の条件で焼成し、触媒を調整した。結果、白金2g、バリウム0.2mol、アルミナ(Al2O3)120gの組成を持つ触媒が得られた。
【0034】
この触媒を用いてNOXを含んだ混合ガスと接触させ、飽和するまでガス吸蔵を行わせ、NOXの吸蔵及び放出の確認はFT−IRのNO3 −ピークの波数を測定することで行い、吸蔵量はTG−DTAにて放出NOX量を測定し、NOX吸蔵量とした。この方法は、以下同様である。このときのNOX吸蔵量24.7(mg/g)、バリウム利用率19.9%であった。ここで言う、混合ガスとは、NO
1000ppm、O2 5%、N2 バランスの組成を持つものである。バリウム利用率とは、理論吸蔵量に対する実測吸蔵量の割合のことである。
【0035】
第2実施形態: 最初にジニトロジアンミン白金(白金濃度 4.578%)41.2844gと、硝酸ロジウム(ロジウム濃度10.00%)1.108gと、分子量32400のポリアクリル酸8gとを2000mlの水に溶解混合し、500mlのエタノールを加え、7時間環流した。これを吸引濾過で濃縮し、1.195重量%白金、0.069重量%ロジウムのポリアクリル酸−白金/ロジウム複合金属コロイドとして触媒金属コロイドを得た。
【0036】
次に、Bプロセスとして、担体となるアルミナ12gと、前述の1.195重量%白金、0.069重量%ロジウムのポリアクリル酸−白金/ロジウム複合金属コロイド16.74gを水80ml中に加え、30分間撹拌し、白金−ロジウム担持を行った。更に、Aプロセスとして、酢酸バリウム5.11gを水40mlに溶解させた溶液を加え、16時間撹拌して、バリウムを結合させた。
【0037】
バリウムの結合が完了すると、ロータリエバポレータにより蒸発乾固し、110℃×2時間の乾燥後、600℃×2時間の条件で焼成し、触媒を調整した。結果、白金1.8g、ロジウム0.2g、バリウム0.2mol、アルミナ(Al2O3)120gの組成を持つ触媒となった。
【0038】
この触媒を用いてNOXを含んだ混合ガスと接触させ、NOX吸蔵を行わせると、NOX吸蔵量30.2(mg/g)、バリウム利用率26.5%であった。ここで言う、混合ガス、バリウム利用率とは、第1実施形態と同じであるため重複した記載は省略する。
【0039】
第3実施形態: 最初にジニトロジアンミン白金(白金濃度 4.578%)41.2844gと、硝酸ロジウム(ロジウム濃度10.00%)1.108gと、分子量50000のポリアリルアミン8gとを2000mlの水に溶解混合し、500mlのエタノールを加え、7時間環流した。これを吸引濾過し濃縮し、1.195重量%白金、0.069重量%ロジウムのポリアリルアミン−白金/ロジウム複合金属コロイドを触媒金属コロイドとして得た。
【0040】
担体への担持は、最初にAプロセスとして、担体となるアルミナ12gにEDTAバリウム6gを水40mlに溶解させた溶液を加え、1時間撹拌吸着させた後に、蒸発乾固し、110℃×2時間の条件で乾燥し、600℃×2時間の条件で焼成した。続いて、Bプロセスとして、焼成後の担体に前述の1.195重量%白金、0.069重量%ロジウムのポリアリルアミン−白金/ロジウムコロイド16.74gを水80ml中に加えたものを添加し、30分間撹拌し、白金−ロジウム担持を行った。
【0041】
担持が完了すると、ロータリエバポレータにより蒸発乾固し、110℃×2時間の乾燥後、450℃×2時間の条件で焼成し、触媒を調整した。結果、白金1.8g、ロジウム0.2g、バリウム0.2mol、アルミナ(Al2O3)120gの組成を持つ触媒となった。
【0042】
この触媒を用いてNOXを含んだ混合ガスと接触させ、NOX吸蔵を行わせると、NOX吸蔵量30.0(mg/g)、バリウム利用率25.0%であった。ここで言う、混合ガス、バリウム利用率とは、第1実施形態と同じであるため重複した記載は省略する。
【0043】
比較試料1:ここで、上述の第1実施形態との比較試料として、ジニトロジアンミン白金(白金濃度 4.604%)8.688gを450mlの水に溶解混合し、担体となるアルミナ12.0gを加え、30分間撹拌し、吸着担持した。そして、これを濾取し、水洗して、110℃×2時間の乾燥後、450℃×2時間の条件で焼成し、白金−アルミナ触媒を調整した。
【0044】
次に、この白金−アルミナ触媒9.15gに、1.7g酢酸バリウムを水20mlに溶解させたものを加え、16時間撹拌して、バリウムを結合させた。
【0045】
バリウムの結合が完了すると、ロータリエバポレータにより蒸発乾固し、110℃×2時間の乾燥後、600℃×2時間の条件で焼成し、触媒を調整した。結果、白金2g、バリウム0.2mol、アルミナ(Al2O3)120gの組成を持つ触媒が得られた。これを比較試料1とした。
【0046】
この比較試料1を用いてNOXを含んだ混合ガスと接触させ、NOX吸蔵を行わせると、NOX吸蔵量18.5(mg/g)、バリウム利用率14.9%であった。ここで言う、混合ガスとは、第1実施形態と同じであるため重複した記載は省略する。
【0047】
比較試料2: 更に、第2実施形態及び第3実施形態との比較試料として、ジニトロジアンミン白金(白金濃度4.578%)41.2844g、硝酸ロジウム(ロジウム濃度10.00%)1.108gと、分子量25000のポリビニルピロリドン8gとを溶解混合し、担体であるアルミナ12gを加え、30分間撹拌し、吸着担持後、450℃×2時間焼成した。
【0048】
焼成後、酢酸バリウム5.11gを加え、16時間撹拌して、バリウムを結合させた。バリウムの結合が完了すると、ロータリエバポレータにより蒸発乾固し、110℃×2時間の乾燥後、600℃×2時間の条件で焼成し、触媒を調整した。結果、白金1.8g、ロジウム0.2g、バリウム0.2mol、アルミナ(Al2O3)120gの組成を持つ触媒が得られた。これを比較試料2とした。
【0049】
この比較試料2を用いてNOXを含んだ混合ガスと接触させ、NOX吸蔵を行わせると、NOX吸蔵量27.7(mg/g)、バリウム利用率22.4%であった。ここで言う、混合ガス、バリウム利用率とは、第1実施形態と同じであるため重複した記載は省略する。
【0050】
表1に、第1実施形態で得られた触媒の性能と、比較試料1とした触媒の性能とを比較して掲載した。表2には、第2実施形態及び第3実施形態で得られた触媒の性能と、比較試料2とした触媒の性能とを比較して掲載した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1及び表2から分かるように、第1実施形態である単一金属コロイドを用いた触媒と比較試料1に相当する触媒とを比較した場合でも、第2実施形態及び第3実施形態である複合金属コロイドを用いた触媒と比較試料2に相当する触媒とを比較した場合でも、いずれの場合も本発明に係る触媒のNOX吸蔵量及びバリウム利用率が非常に優れた値となっている。
【0054】
【発明の効果】
本発明に係る高分子キレート金属触媒コロイドを用いることで、アルカリ金属類の分散度が高く、高温環境下でも触媒性能の劣化はなく、優れた触媒性能を持つ触媒の供給を可能とする。この高分子キレート金属触媒コロイドを用いて自動車の排ガス浄化触媒を製造すると、従来の触媒では得ることのできなかったNOXの安定吸蔵が可能となり、内燃機関を用いたローエミッションビーグルの実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 白金コロイド中の白金濃度と吸着時間との関係を表す図。
Claims (1)
- アルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類担持型触媒の触媒担持プロセスであって、担体として、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、チタニア、セリア、ジルコニアのいずれか1種又は2種以上からなる多孔質体を用い、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類のいずれかに属する元素の1種又は2種以上を担持するAプロセスと、その他のキレート化させた白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、金、オスミウム、レニウムの1種又は2種以上からなる触媒金属を担持するBプロセスと、を別個のプロセスとして行う触媒担持プロセスの、前記Bプロセスで用いられる触媒金属コロイドにおいて、
前記触媒金属をキレート結合させコロイド化させる際に用いる高分子キレート化剤はポリアクリル酸であり、更に、触媒金属(M)とキレート化剤(P)との重量比(M/P)が1/3〜1/1の範囲であることを特徴とする触媒金属コロイド。
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