JP4251604B2 - 樹脂管の固定構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建物の空間部に配設され、水を水栓金具等に供給する樹脂管の固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に集合住宅,戸建住宅等において、洗面台,流し台,浴室,トイレ,洗濯機等の水栓金具へ給水,給湯配管の施工を行なう場合、建物の躯体工事の際に水用又は湯用のヘッダーと水栓金具とを、床板下部の空間部で樹脂管により接続する工法が行なわれている。この場合、北海道等の寒冷地では冬季などにおいて、水栓金具を使用しない場合に、樹脂管内部の水が凍結して水が出なくなる恐れがあるため、予め水抜きを行なう必要がある。
【0003】
そこで、樹脂管内の水抜きを良好に行なうようにしたものとして公知のものに、図4のものがある。この図4について簡単に説明すると、土間30に固定されたヘッダー31と壁板32に固定された水栓金具33とを接続している樹脂管34は、土間30と床板35との間の空間部36で複数のバンド37によって支持されており、複数のバンド37を等間隔で固定する高さ位置を、水栓金具33からヘッダー31に向けて低くなるようにすることで、樹脂管34をヘッダー31側が低く、水栓金具33側が高くなるように傾斜させ、水抜きの際にはヘッダー31に装着された水抜栓38の操作で、樹脂管34内の水は良好に水抜栓38から外部へ排水されるようにしたものである。
【0004】
前記樹脂管の固定構造では、樹脂管は一定の角度で傾斜させた状態で支持され、樹脂管内の水がヘッダーに装着された水抜栓に向かうようにして、凍結の恐れがある場合は水抜きを良好に行なうようにしているが、樹脂管を支持するための複数のバンドを、一定の傾斜角度となるように固定するには、土間からバンドを固定する位置までの寸法をそれぞれ測定する必要があり、作業性が極めて悪いという問題がある。また、樹脂管は柔軟な材料で形成されているので、金属管と比較して施工が容易であるが撓みやすく、この撓みが原因で水抜きを行なっても樹脂管内の水を良好に排水させることができず残ってしまい、この残った水が凍結して水が出なくなる恐れがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、建物の空間部に配設される樹脂管が一定の傾斜をなすようにする作業が容易であり、さらに樹脂管内の水抜きを確実に行なうことのできる樹脂管の固定構造を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は請求項1では、建物の空間部に配設される樹脂管と、該樹脂管の外周面に等間隔で結合される複数個のリングと、各リング同士を結合するワイヤとを備え、該ワイヤは熱源器と接続し、該ワイヤの一端と他端は高さが異なる位置に固定することで樹脂管を上下に傾斜させ、該樹脂管の低い側に水抜栓を装着し、ワイヤ自体の発熱により樹脂管内の水を解凍し、前記水抜栓の操作により樹脂管内の水が排水されるようにしたものである。
【0007】
請求項2では、前記ワイヤの一端にはターンバックルを結合し、該ターンバックルを介してワイヤを固定することで、ワイヤが撓まないように各リング同士を結合したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施例は図1に示すように、住宅等の建物の土間1と床板2との間には空間部3が形成され、該空間部3でヘッダー4が土間1に固定されている。また、ヘッダー4から距離を設けて前記土間1から垂直方向に立設している壁板5には、床板2より高い位置に流し台用の水栓金具6が固定されている。
【0010】
前記ヘッダー4は、壁板5に固定された流し台用の水栓金具6だけでなく、建物の洗面台,浴室,その他の給水を必要とする複数個の水栓金具に分岐して水を供給するために、複数個の管継手7がタコ足状に接続されており、水栓金具6と管継手7とは、空間部3内に配設される樹脂管8により接続されるものである。なお、水という語は、水だけでなく湯を含むものとして用いる。樹脂管8は柔軟性を有する材質であり、例えば耐熱性の優れた架橋ポリエチレン管又はポリブテン管等が用いられ、土間1と床板2との間の空間部3に配置されて、ヘッダー4から水栓金具6へ水を供給するものである。
【0011】
前記ヘッダー4には、寒冷地等で温度の低い冬季に樹脂管8内の水が凍結するのを防止するため、予め樹脂管8内の水を外部へ排水することのできる水抜栓9が装着されており、該水抜栓9は上端にハンドル9aを備え、該ハンドル9aの開閉操作により、樹脂管8内部の水を水抜栓9の下部に配置された排水路10へ排水させることのできるものである。
【0012】
前記樹脂管8は、ヘッダー4と水栓金具6との間で外周面にリング11が固定されている。該リング11は樹脂管8の外周面に等間隔で複数個固定され、図2に示すように周面に穿設された各挿通孔11aには所定の長さのワイヤ12が挿通され、各リング11同士はワイヤ12により等間隔で連結されるものである。該ワイヤ12は各リング11の挿通孔11aに挿通されるものであり、両端には結び目12a,12bが形成されている。
【0013】
図3に示すように、前記管継手7の下部では土間1に第1ボルト13が固定され、該第1ボルト13の上部先端に形成されたリング部13aには、前記ワイヤ12の一方の結び目12aが引掛けられるものである。
【0014】
ターンバックル14は前記ワイヤ12を牽引して樹脂管8の撓みを解消し、樹脂管8内の水抜きを良好に行なうために使用されるものであり、両端に支持金具14a,14aが回転自在に結合され、ワイヤ12は結び目12bを支持金具14aの先端に形成されたリング部14bに引掛けることで、ターンバックル14に結合している。
【0015】
従って、ワイヤ12は一方の結び目12aを土間1に固定された第1ボルト13に結合させておき、壁板5側でヘッダー4より高い位置からターンバックル14を牽引すれば、ワイヤ12と共に樹脂管8を壁板5側が高い位置で、ヘッダー4側が低い位置となるように緩やかな傾斜角度で固定することができるものである。
【0016】
第2ボルト15は土間1と床板2との間で、ヘッダー4より高い位置で壁板5に固定されるものであり、前記ターンバックル14の他端に結合した支持金具14aのリング部14bは、第2ボルト15のリング部15aに引掛けることで、ワイヤ12を固定することができる。従って、ワイヤ12は壁板5と土間1との間で、撓みが発生しないように牽引されるものである。
【0017】
そして、前記ワイヤ12は適宜の位置で発熱線16を介して熱源器17と接続しており、該熱源器17には始動用のスイッチ17aが設けられている。従って、冬季に気温が低下して樹脂管8内の水が凍結した場合は、スイッチ17aを操作すれば、熱源器17によりワイヤ12が発熱し、ワイヤ12の熱が樹脂管8に伝達して、樹脂管8内の凍結した水の温度を上昇させて解凍することができるものである。
【0018】
本発明による樹脂管の固定について説明する。図1に示すように、樹脂管8はヘッダー4に接続する前に、予め外周面に等間隔で複数個のリング11を固定しておく。次に樹脂管8を、管継手7を介してヘッダー4に接続した後に、各リング11の挿通孔11aにはワイヤ12を挿通し、各リング11同士をワイヤ12により連結する。
【0019】
そして第1ボルト13は土間1に固定しておき、ワイヤ12の一端は、結び目12aをヘッダー4側で第1ボルト13のリング部13aに引掛ける。ワイヤ12の他端は、結び目12bをターンバックル14に結合した支持金具14aのリング部14bに挿通し、そしてターンバックル14のリング部14bを、ヘッダー4より高い位置で壁板5に固定された第2ボルト15のリング部15aに引掛ける。次にターンバックル14を回転させることで、ワイヤ12が撓まないように牽引する
【0020】
すると樹脂管8は、ワイヤ12の牽引により一端と他端の高さが異なるように上下に傾斜した状態となる。従って水抜栓9のハンドル9aの操作で水抜きを行なう場合に、樹脂管8内の水は、該樹脂管8の高い側から低い側の水抜栓9に向けて良好に流れてゆき、樹脂管8内の水を水抜栓9から排水路10へ排水させることができる。
【0021】
次に万一樹脂管8内の水が凍結して、水栓金具6から水を吐水させることができない場合は、熱源器17のスイッチ17aを操作すれば、発熱線16を介してワイヤ12は発熱し、このワイヤ12の熱は樹脂管8に伝達して該樹脂管8内の凍結した水を解凍し、水を水栓金具6から通常に吐水させることができるようにすることができる。
【0022】
以上、本発明の実施の形態を図に基づいて説明したが、具体的な実施の形態はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
【0023】
例えば、本発明の実施例ではワイヤにターンバックルを結合しているが、ターンバックルに代えてウインチを用いることもできる。また、ターンバックルは壁板に固定したが、床板に固定してもよい。さらに、水抜栓はヘッダーに装着しているが、管継手に装着したり、ヘッダーと管継手の間に装着してもよい。
【0024】
【発明の効果】
請求項1によると、建物の空間部に配設される樹脂管と、該樹脂管の外周面に等間隔で結合される複数個のリングと、各リング同士を結合するワイヤとを備え、該ワイヤは熱源器と接続し、該ワイヤの一端と他端は高さが異なる位置に固定することで樹脂管を上下に傾斜させ、該樹脂管の低い側に水抜栓を装着し、ワイヤ自体の発熱により樹脂管内の水を解凍し、前記水抜栓の操作により樹脂管内の水が排水されるようにしたので、樹脂管はワイヤの牽引により上下に傾斜させた状態で固定することができ、作業性が大幅に向上し、工期を短縮させることができる。
また、ワイヤは熱源器と接続し、ワイヤ自体の発熱により樹脂管内の水を解凍できるようにしたので、樹脂管内の凍結した水をワイヤにより解凍して通常に使用することができる。
【0025】
請求項2によると、ワイヤの一端にはターンバックルを結合し、該ターンバックルを介してワイヤを固定することで、ワイヤが撓まないように各リング同士を結合したので、樹脂管は撓むことがなく、水抜きを確実に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による樹脂管の固定構造の説明図である。
【図2】樹脂管とワイヤの結合状態の説明図である。
【図3】ワイヤと第1ボルトの結合状態の説明図である。
【図4】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
3 空間部
8 樹脂管
9 水抜栓
11 リング
12 ワイヤ
14 ターンバックル
17 熱源器

Claims (2)

  1. 建物の空間部に配設される樹脂管と、該樹脂管の外周面に等間隔で結合される複数個のリングと、各リング同士を結合するワイヤとを備え、該ワイヤは熱源器と接続し、該ワイヤの一端と他端は高さが異なる位置に固定することで樹脂管を上下に傾斜させ、該樹脂管の低い側に水抜栓を装着し、ワイヤ自体の発熱により樹脂管内の水を解凍し、前記水抜栓の操作により樹脂管内の水が排水されるようにしたことを特徴とする樹脂管の固定構造。
  2. 前記ワイヤの一端にはターンバックルを結合し、該ターンバックルを介してワイヤを固定することで、ワイヤが撓まないように各リング同士を結合したことを特徴とする請求項1記載の樹脂管の固定構造。
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