JP4251196B2 - ステアリング装置用モータ - Google Patents
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Description
それぞれがコイルを有して電力が供給された際に磁気を発生する複数の磁極体が一円周に沿って並べられたステータと、
そのステータの内周面または外周面に自身の外周面または内周面が対向する状態で回転するロータと、
前記ステータの複数の磁極体に三相の電力を供給する電力供給装置と
を備え、
前記複数の磁極体が複数の磁極体グループに分けられ、それら磁極体グループの各々に属する磁極体である複数ずつのグループ磁極体がさらに互いに同じ3の倍数ずつの第1群と第2群とのグループ磁極体に分けられ、第1群のグループ磁極体が前記ステータの周方向に互いに隣接して並べられる一方、第2群のグループ磁極体の各々が第1群のグループ磁極体の各々と前記ステータの直径方向において互いに対向する状態で並べられることによって、前記複数の磁極体グループの各々に属するグループ磁極体の半数ずつの列が互いに隣接して前記周方向に並べられ、かつ、前記電力供給装置が、前記複数の磁極体グループの各々に電力を供給する、磁極体グループと同数の互いに独立した電力供給部を備え、それら電力供給部の各々が、複数の磁極体グループのうち各電力供給部に対応するものに、前記第1群のグループ磁極体と前記第2群のグループ磁極体との前記直径方向において互いに対向するものに互いに同相の電力を供給して前記直径方向において互いに逆向きの磁気力を発生させることを特徴とするステアリング装置用モータ。
上記「直径方向において互いに逆向きの磁気力を発生させる」とは、1本の直線としての直径の方向において互いに逆向きの磁気力を発生させるということ、つまり、半径方向に関しては、半径方向内向き同士、あるいは半径方向外向き同士の磁気力を発生させるというように、互いに同じ向きの磁気力を発生させることを意味する。
本項に記載のステアリング装置用モータは、例えば、いわゆるパワーステアリング装置の動力源や、いわゆるステアバイワイヤ式のステアリング装置において操舵操作に対する抵抗力や車輪を転舵する力等を発生させるための動力源や、その他の動力源として用いることができる。これらステアリング装置用モータは、車両の操舵に対する影響が大きいため、フェールセーフが考慮されることが望ましい。
本項に記載のステアリング装置用モータは、ステータが電気的に独立した複数の磁極体グループに、つまり複数の系統に分けられており、磁極体グループ別に独立して電力が供給される。複数の磁極体グループの各々に属する複数のグループ磁極体には、1つずつの電力供給部から電力が供給されるのである。その電力供給部は、例えば、それに対応する磁極体グループに属する複数のグループ磁極体と、ステアリング装置に設けられた駆動回路(例えば、インバータ)とを設定された配線で電気的に接続する導電部材を含むものとすることができる。複数の電力供給部の各々は、駆動回路と1つの磁極体グループに属する複数のグループ磁極体との間の電気的な導通が、他の電力供給部による駆動回路と別の磁極体グループに属する複数のグループ磁極体との間の電気的な導通のいかんに影響されず、互いに独立したものとされる。そのため、コイルの断線等によっていずれかの系統の電気的な導通が遮断されたとしても、それ以外の系統に電力を供給することができ、ある程度の駆動力を発揮することができる。
前記特許文献1に記載のモータは、2つの系統に個別の駆動回路(例えば、インバータ)が接続された場合に、対向する2つの磁極体に互いに異なる駆動回路から同相の電力が供給される。しかしながら、異なる2つの駆動回路から供給される電力を正確に同期させることが困難であり、正常時に互いに対向する2つの磁極体が磁気を発生させるタイミングのずれが生じる結果、ロータが直径方向に振動する。つまり、ロータとステータとがそれらの回転軸線と直交する方向に相対変位する形態の振動により、正常時であっても無視できない大きさの振動が発生するという問題がある。
それに対して、本項に記載のステアリング装置用モータは、各電力供給部に個別の駆動回路が接続されているが、直径方向において対向する第1群と第2群とのグループ磁極体に同一の電力供給部から同相の電力が供給されるため、それら対向する2群のグループ磁極体に供給される電力が正確に同期することとなる。その結果、それら対向する2群のグループ磁極体の磁気がロータに及ぼす直径方向の力が確実に互いに打ち消し合い、ロータとステータとの剛体としての相対変位に起因する振動を良好に低減し得る。そのため、上述の「正常時に無視できない大きさの振動が発生するという問題」が生じないのである。なお、互いに対向する2群のグループ磁極体の磁気の強さは、可及的に等しいことが望ましい。
本項に記載のステアリング装置用モータは三相交流によって駆動される。そして連続して並ぶ複数の磁極体の個数およびそれらと対向して並ぶ同数の磁極体の個数は、いずれも少なくとも3つとされ、それぞれU,V,W等の相が割当てられることとなる。そして、例えば、U相が供給される磁極体と直径方向において対向する磁極体にもU相が供給されるようにされる。なお、三相交流には、インバータ等によって供給される擬似的な交流も含まれるものとする。
いずれかの系統が失陥した場合には、ロータとステータとの剛体としての相対変位に起因する振動は大きくならないが、各磁極体グループの第1群および第2群がそれぞれ連続して並ぶ3の倍数のグループ磁極体を備えているため、ロータとステータとに比較的長い円弧に沿って同じ向きの半径方向力を受けるる部分と、比較的長い円弧に沿って半径方向力を受けない部分とが生じることとなって、ロータとステータとの少なくとも一方の弾性的な変形による振動が大きくなり、その弾性変形に起因する振動あるいは振動音によって、モータの異常(複数の磁極体グループの一部が失陥した状態)を運転者に報知することができる。特に、ロータあるいはステータが中空円筒状にされている場合には、弾性変形による振動が発生しやすい。
例えば、ステータがロータの外周に位置するものである場合には、概して円筒形の基体の内周部に複数の磁極体を一円周上に並べた状態で固定したものとすることができる。このような場合に、ステータとロータとの間には、周方向および半径方向の力が作用し、周方向の力はモータの回転駆動力となる。一方、半径方向の力は、ステータの複数の磁極体の各々をロータに対して接近離間させる向きに作用し、ステータを振動させる。そのような振動は、ステータの全ての系統が正常な場合にも生じるが、ステータには、一部の系統が失陥した場合のように、比較的長い円弧に沿って連続して半径方向力を受けない部分がなく、ステータはほぼ全周にわたって各磁極体とロータとの間の力によってその動きが抑制されるため、振動も抑制される。一方、いずれかの系統が失陥することによって、その系統に属する第1群および第2群のグループ磁極体に磁気が発生しなくなり、ステータのうちの失陥した系統に属する部分は他の部分に比べて自由に移動できる状態となる。そのため、ステータのうちの正常な系統に属する部分が振動しやすくなり、あるいは正常な系統に属する部分の振動によって失陥した系統に属する部分が振動させられやすくなるのである。ステータが共振する場合には、より一層大きな振動となる。なお、詳細な説明は実施例において行うこととする。
以上に述べたように、本項に記載のステアリング装置用モータは、一部の系統が失陥した場合に、ステータとロータとの少なくとも一方の振動あるいは振動音が増大するため、その振動等によって運転者がモータの異常(一部の系統が失陥した状態)に気付きやすくなる。なお、ステータやロータの振動あるいは振動音は比較的小さいものであっても、例えば、運転者が操作部材の操作の際に何かしらの異常の発生を察知できる程度であれば足りる。すなわち、どんな異常が発生しているか特定できなくとも、運転者が何らかの異常を察知することによって、例えば、比較的穏やかな運転(車速を低下させることや操舵操作を緩やかにすること等)がなされること、異常箇所を点検するきっかけとなること、インジケータを確認するきっかけとなること等のうち、1以上の効果が期待できるからである。さらに、ステアリング装置用モータの振動等は、概ね操舵操作に応じて発生するため、例えば、操舵アシスト用のモータであれば、操作抵抗が大きくなることと振動等との関連性に基づいて異常に気付く場合がある。さらにまた、例えば、転舵用のモータであれば、車輪の転舵がやや緩慢になることと振動等との関連性に基づいて、操舵反力用のモータであれば、手応えの減少と振動等との関連性に基づいて、それぞれ異常に気付く場合がある。ステータの振動等を比較的大きくすることもできるが、重大な異常が発生した状態(つまり、直ちに走行を中止すべき状態)であると運転者に勘違いさせない程度の大きさとすることが望ましい。このように、本項に記載のステアリング装置用モータにおいては、ステータの一部の系統が失陥した場合に、操舵操作に応じて知覚可能な大きさの振動が発生することにより、運転者が異常を察知しやすくなり、比較的早期にモータの異常に対する処置が取られやすくなるのである。
すなわち、本項のステアリング装置用モータは、ステータの複数の磁極体グループのうちの一部が失陥したとしてもある程度の駆動力を発生させることができるとともに、正常時には無視できる程度の小さい振動あるいは振動音が、一部の系統が失陥した場合に大きくなることで運転者が異常を察知しやすいものである。すなわち、フェールセーフ性に優れ、より実用的なステアリング装置用モータが得られるのである。
本項に記載の磁極体は、例えば、鉄心等のコアとそのコアに巻回されたコイル線とを含んで構成されるものであってもよく、また、コイルを主体としてコアを有しないようなものであってもよい。また、本項の態様において、ステータは、各磁極体が互いに密接したものであることを必ずしも要さず、互いに離間して配置されるものであってもよい。また、複数の磁極体グループの数は、3の倍数であれば、特に限定されない。さらに、ロータは、例えば、永久磁石,鉄心等の磁性体材料等を含むものとすることができる。
(2)前記複数の電力供給部が、前記複数の磁極体グループの各々の前記互いに連続して並ぶ複数の磁極体に供給される三相の電力の相の順序を互いに同じくするものである(1)項に記載のステアリング装置用モータ。
三相の電力の各相はU,V,W等の記号によって表される。複数の磁極体グループにおいて、これらの相の順序を互いに同じくすることで、モータの構成をシンプルにすることができる。
(3)前記第1群と前記第2群との各群が、U相,V相およびW相のグループ磁極体とそれらU相,V相およびW相の各逆相のグループ磁極体とを含み、それらU相,V相およびW相の各磁極体とそれらU相,V相およびW相の逆相の各磁極体とが互いに隣接して配列された(1)項または(2)項に記載のステアリング装置用モータ。
U相,V相およびW相のグループ磁極体とそれらU相,V相およびW相の各逆相のグループ磁極体とは互いに逆向きの半径方向力を発生させるため、これらを互いに隣接して配列すれば、すべての系統が正常である状態ではステータとロータとに作用する半径方向力が比較的小さな領域毎に相殺され、ステータやロータの弾性変形が特に小さくて済み、その分振動や振動音が小さくて済む。
(4)当該ステアリング装置用モータが、前記操作部材の操作力によらないで前記車輪を転舵する転舵装置に、その転舵装置の動力源として設けられた(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のステアリング装置用モータ。
本項に記載のステアリング装置用モータは、いわゆるステアバイワイヤ式のステアリング装置において車輪を転舵するための動力源として用いられる態様である。ステアバイワイヤ式のステアリング装置では、通常走行時に操作力なしに車輪を転舵するため、動力源が失陥しにくいこと、あるいは動力源の異常に気付きやすいことが重要であり、本発明が特に有効である。
(5)(1)項ないし(4)項のいずれかに記載のステアリング装置用モータを含むステアリング装置。
図3に、転舵モータ78を、それの回転軸線と垂直な面によって切断した図を示す。転舵モータ78は、いわゆるブラシレスモータであり、筒状をなして転舵ロッド64の貫通を許容するとともに回転可能なモータ軸84と、ハウジング62の中央部分に設けられた円筒状のステータ130と、そのステータ130の内周面に対向するようにモータ軸84の外周部に円筒状に設けられたロータ132と、ステータ130に電力を供給する電力供給器136A,B(図2,図4参照)とを含んでいる。ステータ130は、複数(本実施例では24である)の磁極体140を備えており、それら磁極体140は、ハウジング62の内壁面に沿って、つまり一円周に沿って、殆ど隙間なく並べられている。すなわち、ハウジング62の中央部分が、ステータ130の円筒状の基体として機能し、ステータ130は、そのハウジング62の中央部分と、複数の磁極体140とを含んで構成されているのである。
以上に述べた構成により、電力供給器136Aは、独立して系統Aに属する複数の磁極体140の各々に電力を供給するようにされている。なお、電力供給器136Bの構成は電力供給器136Aとほぼ同様である。すなわち、本実施例のステータ130は、相互に電気的に独立した2つの系統A,Bに分けられているのである。そして、2つの系統A,Bのいずれか一方の電気的な導通が無くなったとしても、他方に電力を供給することができる。そのため、2つの系統の一方が断線等によって失陥したとしても、他方の正常な系統によって車輪16を転舵する駆動力を発生させることができる。
また、系統A−1,A−2,B−1,B−2の各々に属する6つの磁極体140に供給される電力の相順序は、時計回りにV,U,Wと、互いに等しくされている。すなわち、本電力供給器136は、各磁極体グループの互いに連続して並ぶ複数の磁極体140に供給される電力の相の順序を互いに同じくするものとされているのである。そのため、電力供給器136の構成をシンプルにすることができる。なお、上記磁極体グループの互いに連続して並ぶ複数の磁極体140に供給される電力の相の順序を互いに同じにすることは必須ではなく、適宜、互いに異なる順序にすることもできる。
上記電磁クラッチ184に電力が供給されない場合には、操作部10と転舵部12とが機械的に連結されて、ステアリングホイール14に入力された操作力が転舵装置140に伝達される。また、転舵装置140からの反力がステアリングホイール14に伝達される。一方、電磁クラッチ184に電力が供給された場合には、操作部10と転舵部12とが機械的に分離されて、ステアリングホイール14に入力された操作力が転舵装置140に伝達されない状態にされる。
本ステアリング装置は、図1に示すように、自身が備える2つの電子制御ユニット200A,B(以下、単に「ECU」という場合がある)によって制御される。ECU200A,Bの各々は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されている。それらECU200A,Bの各々には、操作位置センサ26(θ),転舵位置センサ100(δ),回転位置センサ110,車速センサ210(V)等の各種センサが接続されている。また、ECU200A,Bは、それぞれ駆動電力を変化させて供給可能なインバータ220A,B、インバータ222A,B、設定された駆動電力を供給するドライバ224にも接続され、ECU200からインバータ220等,ドライバ224等に各種の制御指令が送信されると、インバータ220等からそれぞれ反力モータ30および転舵モータ78に、ドライバ224から電磁クラッチ184にそれぞれ電力が供給される。なお、インバータ220等,ドライバ224には、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)から電力が供給される。
本実施例において、ステータ130の複数の磁極体140が2系統のグループに分けられていたが、同様に、ステアリング装置の転舵系統、操舵反力系統が2系統にされている。すなわち、反力モータ30、転舵モータ78、ECU200、インバータ220,222は、それぞれ2系統分設けられており、互いに同じ構成とされ、互いに独立して同じ動作をするようにされている。なお、反力モータ30および転舵モータ78は、ステータが2系統に分けられている。
したがって、一方の系統が断線等によって失陥しても他方の系統によって操舵反力、転舵力を発生することができるようにされている。なお、図において、A系統の接続を破線で、B系統の接続を点線で示した。また、以下の説明において、特に必要のない場合には、一方の系統を代表的に説明することとする。
本ステアリング装置は、前述のようにステアバイワイヤ式とされており、通常走行時には電磁クラッチ184に電力が供給され、操作部10に入力される操作力が転舵部12に伝達されない状態にされる。そして、ECU200は、操作位置センサ26の検出信号に基づいて、転舵モータ78を駆動して車輪16を転舵するとともに、反力モータ30を制御してステアリングホイール14に操舵反力を付与して操舵操作に対する手応えを生じさせる。なお、2系統のインバータ220A,Bには、同様の指令がなされ、転舵モータ78のステータ130の2つのグループに互いに同じ大きさの電力が供給される。また、2系統のインバータ222A,Bによる反力モータ30への電力の供給についても同様である。
一方、反力モータ30の制御において、操作位置センサ26の検出信号に基づいて操作角と操作速度が取得され、操作角を減じてステアリングホイール14を中立位置に復帰させる中立位置復帰力と、操作速度を減少させる力である減衰力とを合わせた力が発生させられるように、反力モータ30に供給される電力の目標値が決定され、インバータ222に指令が送信される。なお、中立位置復帰力は、操舵角を増加させる操作がなされている場合には比較的大きく、操舵角を減少させる操作がなされている場合には比較的小さくされる。インバータ222により、ECU200の指令に応じた電力が反力モータ30に供給されると、操舵反力が発生し、運転者に操舵操作に対する手応えを感じさせることとなる。
転舵系統が1系統失陥した場合、例えば、転舵モータ78のステータ130のいずれかの磁極体140のコイル144が断線した場合や、インバータ220A,Bのいずれかが電力を供給することができなくなった場合には、失陥していない系統によって転舵が行われる。ECU200A,Bの一方が、自身と同じ系統に属する磁極体140の断線やインバータ220の失陥を検出すると、転舵モータ78の制御を停止するとともに、他方の正常な系統のECU200に転舵不能である旨を送信する。正常な系統のECU200は、転舵モータ78に供給する電力の目標値が通常よりも大きくなるように決定する(例えば、通常時の1.5倍等)。そして、走行中であれば1つの転舵系統の駆動力によって車輪16の転舵が行われる。
すなわち、ステータ130の弾性変形に起因する振動は、2系統が正常に作動する状態では小さく無視できる程度であるのに対し、1系統失陥時に大きくなるのである。
図6に、ロータ132に作用する力を模式的に示す。ロータ132の磁石150には、黒い矢印で示す半径方向の力と、白抜き矢印で示す周方向の力とが作用する。そして、ある磁石150に作用する半径方向の力は、基本的に、その磁石150の対極に位置する磁石150(回転軸線を対称軸として軸対称の位置に位置するもの)に作用する半径方向の力と相殺されることとなる。
しかしながら、例えば、互いに対向する2つの磁極体140に、それぞれ異なるインバータ220の電力が供給される場合には、対極する2つの磁石150に作用する半径方向の力が上手く相殺されない場合がある。それは、異なるインバータ220の電力供給を正確に同期させることが困難であり、電力を供給するタイミングがずれてしまうため、対向する2つの磁極体140が磁気を発生させるタイミングがずれてしまうからである。その結果、タイミングのずれに起因する半径方向の力の不釣り合いによってロータ132とステータ130とが半径方向に相対移動させられ、剛体同士として振動させられることとなる。すなわち、ロータ132とステータ130との相対変位に起因する振動が生じるのである。例えば、前述のように、複数の磁極体140を、それぞれが半円状に連続して並ぶ複数の磁極体140を含む2つのグループに分けた場合には、正常時であっても上述の電力を正確に同期させる難しさに起因して、比較的小さいが無視できないレベルの振動が生じることとなる。
それに対して、本実施例において、互いに対向する2つの磁極体140に、同一のインバータ220から同相の電力が供給されるため、必然的に電力が正確に同期し、正常時の振動、つまり、ロータ132とステータ130との剛体としての相対変位に起因する振動を無視できる程度まで小さくすることができる。
転舵系統と操舵反力系統との少なくとも一方が2系統とも失陥した場合には、電磁クラッチ184への電力供給が停止されて操作部10と転舵部12とが機械的に連結され、ステアリングホール14の操作力によって車輪16を転舵することができる状態となる。
上記実施例において、「ステアリング装置用モータ」の例として、反力モータ30と転舵モータ78とが記載されていたが、「ステアリング装置用モータ」として、操舵アシストモータをステアリング装置に設けることもできる。操舵アシストモータは、いわゆるパワーステアリング装置の動力源に使用され、運転者の操舵操作を助勢するものである。
上記実施例において、転舵モータ78のスロット数と極数とが、24スロット−28極とされていたが、例えば、12スロット−14極、12スロット−8極等、他の組合せとすることができる。しかしながら、2つの磁極体140が互いに対向するにはスロット数が偶数であることが望ましい。また、三相交流の供給を受けるには連続して並ぶ複数の磁極体が少なくとも3つあることが望ましく、その場合にスロット数は12以上となる。
Claims (4)
- 操作部材の操作に応じて車輪の向きを変えるステアリング装置に配設されるステアリング装置用モータであって、
それぞれがコイルを有して電力が供給された際に磁気を発生する複数の磁極体が一円周に沿って並べられたステータと、
そのステータの内周面または外周面に自身の外周面または内周面が対向する状態で回転するロータと、
前記ステータの複数の磁極体に三相の電力を供給する電力供給装置と
を備え、
前記複数の磁極体が複数の磁極体グループに分けられ、それら磁極体グループの各々に属する磁極体である複数ずつのグループ磁極体がさらに互いに同じ3の倍数ずつの第1群と第2群とのグループ磁極体に分けられ、第1群のグループ磁極体が前記ステータの周方向に互いに隣接して並べられる一方、第2群のグループ磁極体の各々が第1群のグループ磁極体の各々と前記ステータの直径方向において互いに対向する状態で並べられることによって、前記複数の磁極体グループに属するグループ磁極体の半数ずつの列が互いに隣接して前記周方向に並べられ、かつ、前記電力供給装置が、前記複数の磁極体グループの各々に電力を供給する、磁極体グループと同数の互いに独立した電力供給部を備え、それら電力供給部の各々が、複数の磁極体グループのうち各電力供給部に対応するものに、前記第1群のグループ磁極体と前記第2群のグループ磁極体との前記直径方向において互いに対向するものに互いに同相の電力を供給して前記直径方向において互いに逆向きの磁気力を発生させることを特徴とするステアリング装置用モータ。 - 前記複数の電力供給部が、前記複数の磁極体グループの各々の前記互いに連続して並ぶ複数のグループ磁極体に供給する三相の電力の相の順序を互いに同じくするものである請求項1に記載のステアリング装置用モータ。
- 前記第1群と前記第2群との各群が、U相,V相およびW相のグループ磁極体とそれらU相,V相およびW相の各逆相のグループ磁極体とを含み、それらU相,V相およびW相の各磁極体とそれらU相,V相およびW相の逆相の各磁極体とが互いに隣接して配列された請求項1または2に記載のステアリング装置用モータ。
- 当該ステアリング装置用モータが、前記操作部材の操作力によらないで前記車輪を転舵する転舵装置に、その転舵装置の動力源として設けられた請求項1ないし3のいずれかに記載のステアリング装置用モータ。
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