JP4246331B2 - 金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムに関する。更に詳細には、金属光沢調の多彩な色変化を呈すると共に耐光堅牢性を向上させた金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱変色性顔料をバインダー樹脂に分散状態に含有させた熱変色層を設けた感温変色性熱収縮性プラスチックフイルム、及び該フイルムを熱収縮加工により装着させた物品に関し、幾つかの提案が開示されている(実開平1−80489号公報、実開昭60−75229号公報、実開昭62−17529号公報、実公平4−25321号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この種の感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムにおいて、金属光沢調の多彩な色変化機能を付加すると共に熱変色層の耐光性の低下を防ぐ、新たな感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムを提供し、包装材として多様な分野への適用を図ろうとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明を図面について説明する(図1〜図8参照)。
本発明は、熱収縮性プラスチックフイルム2表面の一部又は全面に、偏平ガラス片の表面を酸化チタンで被覆した金属光沢顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた金属光沢顔料層3が設けられていると共に、前記金属光沢顔料層3上に熱変色層4が積層されてなることを特徴とする金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルム1を要件とする。
更には、熱変色層4は、熱変色性顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた層であり、前記熱変色性顔料は、発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する加熱消色型、発色状態又は消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、又は、消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色状態に復する加熱発色型の何れかより選ばれること、更には、熱変色性顔料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる必須三成分を含む熱変色性組成物を内包させた、非円形断面形状のマイクロカプセル形態の顔料であること、等を要件とする。
【0005】
前記における熱収縮性プラスチックフイルム2は、従来より汎用のポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等の一軸或いは二軸延伸フイルム等を適用でき、数μm〜数mm程度の厚みのものが適宜使用できる。中でも、金属光沢色を鮮明に視認させるために、無色透明のプラスチックフイルムが好適である。
本発明は、温度変化による金色、銀色、メタリック色等の金属光沢調の多彩な色変化機能を付与すると共に、熱変色層4の耐光性の低下を防止する機能を備えることを主目的とするものである。
従来より、熱変色層の耐光性低下の抑止手段として、プラスチックフイルムと熱変色層の間に光反射、或いは光吸収層を設け、紫外線や可視光線を反射、吸収させることにより下層の熱変色層への到達を抑制しようとする試みがあるが、前記光吸収層が、無色とはいえず、若干着色(白色或いは黒味を帯びる)しており、熱変色層の視覚効果を妨げてしまう。
本発明における金属光沢顔料層3は、光吸収(或いは光反射)機能と光透過機能の両面を兼ね備えており、熱変色層の機能低下に悪影響を及ぼす紫外線や可視光線の少なくとも一部を吸収或いは反射し、これにより熱変色層の耐光性低下を抑止する役目を果たし、更に可視光線も視覚を妨げない程度の適量を透過させることができ、熱変色層の色変化も効果的に視覚させることができる。
又、前記金属光沢層3は、熱収縮性プラスチックフイルム2を透して視覚されるために、フイルム表面の光沢性と相まって特異な金属光沢顔料層を視覚させることができる。更に、収縮時においては、前記熱収縮性プラスチックフイルムの収縮と同時に、金属光沢顔料を密集化させ、より一層、光輝性を向上させる。
【0006】
次に金属光沢顔料について説明する。
前記金属光沢顔料層3中の顔料は、偏平ガラス片の表面を酸化チタンで被覆した以下に例示の金属光沢顔料が用いられる。
偏平ガラス片の表面を酸化チタンで被覆した顔料としては、日本硝子繊維(株)製の商品名「メタシャイン」品番:RCFSX−5450TS(6041)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度450±145μm、金色〕、RCFSX−5200TS(6042)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度200±70μm、銀色〕、RCFSX−5140TS(6043)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度140±45μm、銀色〕、RCFSX−5080TS(6044)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度80±30μm、銀色〕、RCFSX−2080TS(6046)〔平均厚さ2±1μm、平均粒度80±30μm、銀色〕、RCFSX−K120TS(6043)〔平均厚さ20±5μm、平均粒度120±20μm、銀色〕、RCFSX−5090RC(8052)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm、金色〕、RCFSX−5090RC(8053)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度80±30μm、メタリックグリーン〕、RCFSX−5090RC(8069)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm、メタリックブルー〕、RCFSX−5090RC(8070)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm、メタリックパープル〕、RCFSX−5090RC(8071)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm、メタリックレッド〕等を例示できる。
前記した偏平ガラス片の表面を酸化チタンで被覆した顔料は、偏平ガラス片を芯物質として用いていることから、雲母の表面を酸化チタンで被覆した顔料に比較して透明性に優れる特徴がある。
【0007】
前記金属光沢顔料を分散状態に固着させるバインダー樹脂は、透明状の膜形成樹脂であればよく、従来より汎用の樹脂、例えば、アイオノマー樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸樹脂共重合樹脂、アクリロニトリル−アクリリックスチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル塩素化ポリエチレン−スチレン共重合樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール樹脂変性アルキド樹脂、エポキシ樹脂変性アルキド樹脂、スチレン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、天然ゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリビニルアルキルエーテル、ロジン、ロジンエステル、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、油溶性フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂、シェラック、環化ゴム、酢酸ビニル系エマルジョン樹脂、スチレン−ブタジエン系エマルジョン樹脂、アクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、酢酸セルローズ、硝酸セルローズ、エチルセルローズ等を挙げることができ、水や有機溶剤等の適宜の溶剤に溶解または分散させて、金属光沢顔料を分散させるためのビヒクルを得ることができる。
【0008】
前記熱変色層4は、金属光沢顔料層3上に積層状態に形成される(図1参照)。
熱変色性顔料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)前記化合物を呈色させる電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を含む、従来より公知の加熱変色型の熱変色性組成物をマイクロカプセル化したものが有効であり、具体的には、本出願人が提案した、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載のものが利用できる。前記は所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、変色点以上の温度域で消色状態、変色点未満の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。即ち、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る。又、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔHA=1〜7℃)を有する加熱消色型(A)を挙げることができ、ΔHAが3℃以下の系〔特公平1−29398号公報に示す、3℃以下のΔT値(融点−曇点)を示す脂肪酸エステルを(ハ)成分として適用〕にあっては、変色点を境に温度変化に鋭敏に感応して高感度の加熱消色性を示し、ΔHAが4〜7℃程度の系では変色後、緩徐に元の様相に戻り、視認効果を高めることができる(図6参照)。
【0009】
又、本出願人が提案した特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔHB=8〜50℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、t1以下の低温域での発色状態、又はt4以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t2〜t3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で記憶保持できる色彩記憶保持型熱変色性組成物(B)も適用できる(図7参照)。
尚、前記実質的二相保持温度域は、常温域(例えば、15〜35℃)を含むものが汎用的であるが、前記温度範囲に特定されない。
【0010】
又、加熱発色型(C)の組成物として、消色状態からの加熱により発色する、本出願人の提案(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)による、(ロ)電子受容性化合物として、炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を適用した系を挙げることができる(図8参照)。
【0011】
本発明は、前記した熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたマイクロカプセル形態の顔料を適用するものである。
前記熱変色性組成物をカプセルに内包させる手段としては、界面重合法、界面重縮合法、インサイチュー法、コアセルベート法等、公知のカプセル化方法が適用されるが、本発明の前記した要件を満たす粒子径範囲及び外形状の熱変色性顔料を得るためには、凝集、合一化が生じ難い界面重合法又は界面重縮合法が好適に用いられる。更に、カプセル化終了後、カプセル懸濁液を所望に応じて水で希釈し、夾雑物及び粗大粒子をフィルター類を用いて濾別することにより、不要な粗大粒子が除去される。
【0012】
熱変色性顔料の平均粒子径〔(長径+短径)/2〕は、0.5μm〜30μmの範囲、好ましくは、0.5〜15μm、更に好ましくは、0.5〜10μmの範囲にあることが、変色の鋭敏性、持久性、加工適性等の面で有効である。
粒子径が30μmを越える系にあっては、均質な分散性に欠けると共に、熱収縮加工時の収縮応力の影響を受け易く、安定した品質の熱変色性機能を奏し難い。
0.5μm未満の系にあっては、水性媒体中に懸濁した状態でマイクロカプセル化した熱変色性顔料が得られるとしても、濾別又は遠心分離等の手段によるカプセル化顔料の単離に難がある上、強度的に不充分である。
【0013】
又、本発明のカプセル化された熱変色性顔料にあっては、熱変色性組成物/マイクロカプセル壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲にあることが望ましい。
熱変色性組成物の比率が前記範囲より大になると壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、内包した熱変色性組成物の保護機能の低下がみられる。
一方、壁膜の比率が前記範囲より大になると壁膜強度が向上し、保護機能は高められるが、熱変色性組成物の相対的な比率の低下により発色濃度の低下を余儀なくされ、好ましくない。
【0014】
前記熱変色性顔料は、非円形断面形態の偏平状の顔料(図2〜図5参照)であることが好ましく、前記偏平状の顔料の適用により、フイルムの熱収縮時の収縮応力に伴う熱変色層4の収縮に際し、該熱変色性顔料自体が応力に順応して弾性変形し、収縮ムラの発生を抑制し、熱変色層4の均質性が損なわれることもない。
又、変型容器類等の表面や金属性の素材等を、肉厚且つ高温収縮性のフイルムでシュリンク加工する系において、高い圧力の収縮応力や高温が負荷されたとしても、カプセル壁膜の破壊が回避される形状に適宜に弾性変形して応力を緩和でき、内包の熱変色性組成物を保護し、所期の熱変色機能を損なうことなく持続して有効に発現させる強靱なカプセル形態の熱変色性顔料として効果的に機能する。
【0015】
前記熱変色性顔料は、バインダー樹脂を含むビヒクル中に所定量を分散させてインキ又は塗料となし、従来より汎用の印刷乃至塗布手段により、熱変色層4を形成する。ここで、熱変色性顔料は、バインダー樹脂100重量部に対して、20〜400重量部の割合でブレンドされる。20重量部未満では、鮮明な熱変色性を示さない。一方、400重量部を越えると消色時における色残りが発生しがちであり、好適には50〜350重量部の範囲内で適用される。
尚、前記バインダー樹脂は、既述の金属光沢顔料に適用のバインダー樹脂から、目的に応じて適宜選択され、適用される。
【0016】
前記熱変色層4は、層中に一種又は複数の変色温度、色調、変色特性を異にする熱変色性顔料をブレンドした単層に限らず、変色点、色調、濃度等や、変色特性を異にする熱変色性顔料を用いた熱変色層を重ね刷りした多層構成のもの、熱変色層を並設したもの、更には、非熱変色性着色剤の併用により有色(1)から有色(2)へ変化させる構成、非熱変色層との重ね刷りの系が有効である。
尚、前記において、熱変色層4或いは金属光沢顔料層3は、ベタ印刷されたものに限らず、文字、記号、数字、図柄等の像を含む。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムは、熱収縮性プラスチックフイルム表面に金属光沢顔料層と熱変色層を積層して得られる。
前記した積層構成は、単一の像に限らず、色調、変色温度、変色特性等が同一、或いは異なる像を別途設けても良く、金属光沢像、熱変色像とも各々が単層である他に、色調、変色温度、変色特性等が同一、或いは異なる像をそれぞれ積層してもよい。
また、金属光沢像、熱変色像の各単層の像を前記積層構成とは別に設けてもよい。
更に、視覚効果を高める為に、非熱変色像を前記構成に積層、或いは別途設けることができる。
【0018】
【実施例】
以下に本発明の金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムの実施例を記載する。尚、実施例中の部は、重量部を示す。
【0019】
【0020】
実施例1
厚さ60μmの透明ポリスチレン樹脂製の熱収縮性フイルム上に、偏平ガラス片の表面を酸化チタンで被覆した平均の厚み5±2μm、平均粒度80±30μmの銀色金属光沢顔料60部をアクリル系樹脂(固形分40重量%)80部、消泡剤2部を含むビヒクル中に分散させた金属光沢インキにて金属光沢像を設けた後、可逆熱変色性顔料(着色18℃、消色30℃、黒色←→無色、色彩記憶保持型)100部をアクリル系樹脂(固形分40重量%)80部、消泡剤2部を含むビヒクル中に分散させた熱変色性インキにて前記金属光沢像上に熱変色像を積層して金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムを得た。
室温(25℃)で無色である前記フイルムを18℃以下に冷却するとキラキラとした光沢のある銀色を呈し、この状態は再び室温(25℃)に加温しても保持することができた。更に、銀色の呈色状態からの加温により、約30℃で無色に戻り、この状態は、再び18℃以下に冷却するまで保持することができた。前記変色は可逆的に繰り返し再現できた。
【0021】
【0022】
【0023】
実施例2
厚さ60μmの透明ポリスチレン樹脂製の熱収縮性フイルム上に、偏平ガラス片の表面を酸化チタンで被覆した平均の厚み5±2μm、平均粒度80±30μmの銀色金属光沢顔料60部をアクリル系樹脂(固形分40重量%)80部、消泡剤2部を含むビヒクル中に分散させた金属光沢インキにて金属光沢像を設けた後、可逆熱変色性顔料(着色12℃、消色15℃、黒色←→無色、加熱消色型)100部をアクリル系樹脂(固形分40重量%)80部、消泡剤2部を含むビヒクル中に分散させた熱変色性インキ、及び非熱変色性黄色インキにて、それぞれ前記金属光沢像上に熱変色像、非熱変色像を順次積層して金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムを得た。
前記フイルムは、15℃以上では黄色を呈しており、12℃以下に冷却することによりキラキラとした光沢のある銀色を呈した。前記変色は可逆的に繰り返し再現できた。
【0024】
実施例3
厚さ40μmの透明ポリエステル樹脂製の熱収縮性フイルム上に、天然雲母の表面を56重量%の酸化チタンで被覆したメタリックグリーン色金属光沢顔料20部、偏平ガラス片の表面を酸化チタンで被覆した平均の厚み5±2μm、平均粒度90±30μmのメタリックパープル色金属光沢顔料60部を、それぞれアクリル系樹脂(固形分40重量%)80部、消泡剤2部を含むビヒクル中に分散した金属光沢インキにて色調の異なる二種類の金属光沢像を設けた。
次に可逆熱変色性顔料(着色12℃、消色15℃、緑色←→無色、加熱消色型)100部、可逆熱変色性顔料(着色12℃、消色15℃、ピンク色←→無色、加熱消色型)100部を、それぞれアクリル系樹脂(固形分40重量%)80部、消泡剤2部を含むビヒクル中に分散した熱変色性インキにて、前記メタリックグリーン色金属光沢像上には緑色←→無色の熱変色像を、メタリックパープル色金属光沢像上にはピンク色←→無色の熱変色像をそれぞれ積層して金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムを得た。
前記フイルムは、15℃以上では無色であり、12℃以下に冷却すると、光沢のあるメタリックグリーン色とキラキラとした光沢のあるメタリックパープル色を呈した。前記変色は可逆的に繰り返し再現できた。
【0025】
【0026】
適用例1
厚さ60μmの透明ポリスチレン樹脂製の熱収縮性フイルム上に、偏平ガラス片の表面を酸化チタンで被覆した平均の厚み5±2μm、平均粒度80±30μmの銀色金属光沢顔料60部をアクリル系樹脂(固形分40重量%)80部、消泡剤2部を含むビヒクル中に分散させた金属光沢インキにて楕円形ベタ柄の金属光沢像をグラビア印刷にて設けた後、可逆熱変色性顔料(着色12℃、消色15℃、黒色←→無色、加熱消色型)100部をアクリル系樹脂(固形分40重量%)80部、消泡剤2部を含むビヒクル中に分散させた熱変色性インキにて前記金属光沢像上に文字「冷」の熱変色像を、更に視覚効果を高める為に非熱変色性白色インキをグラビア印刷にてそれぞれ積層して金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムを得た。
次に、前記フイルムの端部を、印刷面が内側になるように円筒状に貼り合わせた後、ポリエステル樹脂製飲料容器に装着して加熱収縮加工を施し、感温変色性飲料容器を構成した。
前記飲料容器は、室温(25℃)では白色の楕円形が視認されるのみであるが、冷蔵庫で12℃以下に冷却するとキラキラとした光沢のある銀色の「冷」の文字が現れた。室温に戻ると前記文字は消色し、元の楕円形模様のみが視認され、コールド飲料容器として使用することができる。
【0027】
適用例2
厚み1.5mmの透明ポリエチレン樹脂製の熱収縮性フイルム表面に形成したアンカーコート上に、偏平ガラス片の表面を酸化チタンで被覆した平均の厚み5±2μm、平均粒度90±30μmのメタリックブルー色金属光沢顔料80部を酢酸ビニル系エマルジョン樹脂(固形分50重量%)40部、水溶性アルキド樹脂(固形分30重量%)20部、粘度調整剤1部、消泡剤3部を含むビヒクル中に分散させた金属光沢インキにて全面ベタ柄の金属光沢像をスクリーン印刷にて設けた後、可逆熱変色顔料(着色32℃、消色35℃、青色←→無色、加熱消色型)40部と蛍光ピンク顔料3部を酢酸ビニル系エマルジョン樹脂(固形分50重量%)40部、水溶性アルキド樹脂(固形分30重量%)20部、粘度調整剤1部、消泡剤3部を含むビヒクル中に分散させた熱変色性インキにて前記金属光沢像上に同様にベタ柄の熱変色像をスクリーン印刷にて積層して金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムを得た。
前記フイルムを送液用塩化ビニル樹脂製パイプに巻付け、端部を接着した後、加熱収縮加工を施し、感温変色性パイプを得た。
前記パイプは、常態ではキラキラとした光沢のあるメタリックブルー色を呈しているが、40℃以上の湯をパイプ中に通すと蛍光ピンク色を呈し、湯の送液状態が一目で判別できた。湯の送液を止め、暫くすると、元のメタリックブルー色に復した。
【0028】
【0029】
【0030】
【発明の効果】
本発明の金属光沢調感温変色性熱収縮性フイルムは、従来の感温変色性機能に加えて、金属光沢調の多彩な色変化機能を付加すると共に、耐光堅牢性の向上が図られており、熱変色機能を低下させることなく、所期の金属光沢調感温変色性機能を持続して発現させる、新たな熱収縮性プラスチックフイルムとして実用性を満たす。
又、非円形断面形状のマイクロカプセル形態の熱変色性顔料を適用した系では、熱収縮加工時或いは使用状態で高温、高圧が負荷されたとしても、顔料自体の弾性変形により前記負荷が緩和され、マイクロカプセル膜が破壊されることがなく、所期の熱変色機能を持続して有効に発現でき、従来より汎用の各種分野、例えば、飲料容器、エアゾール缶、トイレタリー、日用雑貨品、電気製品、乾電池、電線、送液パイプ、青果物、製菓、食品、筆記具、玩具、運動具、等のラベル、被覆、包装等の用途に対し、加飾性、示温性、特異性、意匠性等を比較的簡易に付与させることができる。
又、熱変色性顔料として、ヒステリシス幅が3℃未満の系にあっては、熱変色後において、速やかに元の色彩に復帰し、ヒステリシス幅が概ね4〜8℃の系にあっては、緩徐に元の色彩に復帰して視覚効果を高め、ヒステリシス幅が8℃を超える大きな系にあっては、色彩記憶機能が発現され、変色に要した熱又は冷熱を取り去った後にあっても、変色前後の色彩を互変的に記憶保持して、常温域で択一的に視覚でき、更には、加熱発色型の系にあっては常態では不可視の像を加熱によって現出させることができる。更には、前記の相異なる変色形態の熱変色性顔料による熱変色層を重ね刷り、又は並設することにより、或いは非熱変色性着色層との組み合わせにより、更に多様な様相を視覚させる金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムとして機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルムの縦断面説明図である。
【図2】 本発明を構成する熱変色性顔料の一例を示す、(イ)外観、及び(ロ)断面の拡大説明図である。
【図3】 本発明を構成する熱変色性顔料の他の例を示す、(イ)外観、及び(ロ)断面の拡大説明図である。
【図4】 本発明を構成する熱変色性顔料の他の例を示す、(イ)外観、及び(ロ)断面の拡大説明図である。
【図5】 本発明を構成する熱変色性顔料の他の例を示す、(イ)外観、及び(ロ)断面の拡大説明図である。
【図6】 加熱消色型の熱変色性組成物の変色挙動を示すグラフである。
【図7】 色彩記憶保持型の熱変色性組成物の変色挙動を示すグラフである。
【図8】 加熱発色型の熱変色性組成物の変色挙動を示すグラフである。
【符号の説明】
1 金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルム
2 熱収縮性プラスチックフイルム
3 金属光沢顔料層
4 熱変色層
5 熱変色性顔料
51 熱変色性組成物
52 壁膜
53 窪み
t1 加熱消色型又は色彩記憶保持型可逆熱変色性組成物の完全発色温度
t2 加熱消色型又は色彩記憶保持型可逆熱変色性組成物の発色開始温度
t3 加熱消色型又は色彩記憶保持型可逆熱変色性組成物の消色開始温度
t4 加熱消色型又は色彩記憶保持型可逆熱変色性組成物の完全消色温度
T1 加熱発色型可逆熱変色性組成物の発色開始温度
T2 加熱発色型可逆熱変色性組成物の完全発色温度
T3 加熱発色型可逆熱変色性組成物の消色開始温度
T4 加熱発色型可逆熱変色性組成物の完全消色温度
ΔHA 加熱消色型可逆熱変色性組成物のヒステリシス幅
ΔHB 色彩記憶保持型可逆熱変色性組成物のヒステリシス幅
ΔHC 加熱発色型可逆熱変色性組成物のヒステリシス幅
Claims (3)
- 熱収縮性プラスチックフイルム表面の一部又は全面に、偏平ガラス片の表面を酸化チタンで被覆した金属光沢顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた金属光沢顔料層が設けられていると共に、前記金属光沢顔料層上に熱変色層が積層されてなることを特徴とする金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルム。
- 熱変色層は、熱変色性顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた層であり、前記熱変色性顔料は、発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する加熱消色型、発色状態又は消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、又は、消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色状態に復する加熱発色型の何れかより選ばれる請求項1記載の金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルム。
- 熱変色性顔料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる必須三成分を含む熱変色性組成物を内包させた、非円形断面形状のマイクロカプセル形態の顔料であることを特徴とする請求項1又は2記載の金属光沢調感温変色性熱収縮性プラスチックフイルム。
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