JP4246008B2 - 変速装置のチェンジ機構及び該機構を備えた自動二輪車 - Google Patents

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Description

本願発明は、本発明は、主として自動二輪車に用いられる変速装置に組み込まれたミッションギヤの組合せをチェンジペダルの操作に連動して変えることによって、変速を行なう変速装置のチェンジ機構に関する。
一般に、自動二輪車の変速装置は、ミッションギヤの組合せを、足踏み式のチェンジペダルの操作に連動するチェンジ機構を介して変えることによって変速を行なうようになっている。
このようなチェンジ機構の一例は、図11(a)の側面図に示すように、エンジンのクランクケース(図示せず)に回転自在に支持されたチェンジシャフト101と、該チェンジシャフト101に固定され、チェンジシャフト101を支点に回動されるチェンジレバー102とを備えている。該チェンジレバー102は、その基端部がチェンジシャフト101に固着されたレバー本体102aと、その先端部(図11(a)の左端部)に一対のシフト爪102cが一体に形成され、レバー本体102aに摺動自在に保持されたスライドプレート102bとを備えている。
上記チェンジ機構は、さらに、周方向に等間隔に複数個(ここでは6個の場合を例示)形成された受動突部108がシフト爪102cで押圧されることによって間欠的に回動するシフトカム107と、このシフトカム107が軸方向の一端壁に固定されたシフトドラム113と、捩じりバネ110により矢符A方向に回転付勢されてシフトカム107の隣接する2つの受動突部108間の位置決め凹部111に位置決めローラ112が係合されるポジションレバー109とを有している(例えば、本願出願人の特許文献1及び2参照)。
上記チェンジ機構では、チェンジペダル(図示せず)の操作によってチェンジシャフト101が何れかの方向に回転されることによって変速動作が行なわれる。例えば、チェンジシャフト101が図11(a)の待機状態から矢符B方向に回転された場合には、図11(b)の側面図に示すように、チェンジシャフト101に固定されたレバー本体102aと一体回動するスライドプレート102bのシフト爪102cが受動突部108に当接した後に、これを押圧することにより、シフトカム107を介してシフトドラム113を所定角度だけ間欠的に回転する。このシフトドラム113の回転により、これの外周面に複数条形成された螺旋状のカム溝(図示せず)に自身の係合ピン(図示せず)が係合されたシフトフォーク(図示せず)が、シフトドラム113の軸心に対し平行方向に移動され、周知のように、トランスミッションのギヤ(図示せず)の組合せが変更されて変速が行なわれる。
チェンジレバー102は、これの長孔117の孔端縁に、クランクケース(図示せず)に固定されたストッパ部材114が当接した時点で回動を規制される。このとき、ポジションレバー109の位置決めローラ112は、シフトカム107の山部を乗り越えて隣接する次の位置決め凹部111に嵌まり込み、シフトカム107を変速された所定の回転位置に保持する。一方、チェンジレバー102の復帰バネ118は、チェンジレバー102の回動時に上側延出端部118aがストッパ部材114に係止され、且つ、下側延出端部118bがレバー本体102aに一体形成された係合片119を介して撓められている。従って、変速終了後には、復帰バネ118の復元力によって図11(a)に示した元の待機状態に戻る。
特開平11-115526号公報 特開2002-120585号公報
しかしながら、上述した従来のチェンジ機構にあっては、チェンジシャフト101の周囲に所定の隙間(組立性を確保するために必要)をもって巻装された捩じりバネからなる復帰バネ118は、チェンジシャフト101の軸方向の両端部からそれぞれ延設された上側延出端部118a及び下側延出端部118bにより、ストッパ部材114及び係合片119に互いに対向する方向から常に押圧することになるが、このとき、復帰バネ118には、チェンジシャフト101上で倒れる方向にモーメントが加わり、これが、本チェンジ機構の位置決め精度の向上を阻害している。
本願発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、チェンジシャフト周りに回動自在に一対の復帰レバーを設け、該一対の復帰レバーを介して捩じりバネからなる復帰バネをチェンジレバーに係合させることにより、復帰バネの傾倒による影響を受けず、位置決め精度の向上を期待できる変速装置のチェンジ機構を提供することを目的とする。
本願発明に係る変速装置のチェンジ機構は、チェンジペダルの操作に連動して、変速装置のシフトフォークを作動するシフトドラムと一体回転するシフトカムを間欠的に回転させるチェンジ機構であって、前記チェンジペダルの操作に連動して、操作量に応じた角度、回転するチェンジシャフトと、基端部を前記チェンジシャフトに固定されて該チェンジシャフトと一体回転し、先端部に前記シフトカムに設けられた受動突部に係合するシフト爪を具備し、中途部に回転方向に沿った長孔を形成されていると共に、さらに、中途部に前記チェンジシャフトの軸方向に沿った突起部を具備するチェンジレバーと、該チェンジレバーの長孔に係合し、該チェンジレバーの回動範囲を規制するストッパピンと、前記チェンジシャフト周りの回動自在に設けられ、前記チェンジペダルが操作されていないときに、前記チェンジシャフト、前記突起部、及び前記ストッパピンが一直線上に位置決めされるように、前記突起部及び前記ストッパピンを両側から挟み込むように当接する一対の復帰レバーと、前記チェンジシャフト周りに巻装され、各端部で、前記一対の復帰レバーを互いに対向する方向に付勢する捩じりバネとを備えることを特徴とする。
上記発明によれば、チェンジレバーを待機位置に復帰させる捩じりバネの付勢力は、直接ではなく、一対の復帰レバーを介して間接的にチェンジレバー及びストッパピンに加えられるので、チェンジシャフト周りに巻装された復帰バネ(捩じりバネ)の傾倒による影響を受け難く、これによって、本チェンジ機構の位置決め精度の向上が期待できる。
また、上記発明においては、一対の復帰レバーの一方は、チェンジレバーの半径方向外方へ突出し、且つ、チェンジシャフトの軸方向に延びる係止部を具備し、他方は、突起部及びストッパピンに当接する部分がチェンジシャフトの軸方向に延び、捩じりバネの各端部は、係止部と、突起部及びストッパピンに当接する部分とにそれぞれ当接される。
また、上記発明においては、チェンジレバーは、基端部をチェンジシャフトに固定されて該チェンジシャフトと一体回転するレバー本体と、該レバー本体の先端部から突出して、レバー本体の延設方向への移動自在にこのレバー本体に設けられ、突出側の端部にシフトカムに設けられた受動突部に係合するシフト爪を有するラッチ/スライドプレートとを具備するように構成することも可能である。
また、上記発明においては、レバー本体とラッチ/スライドプレートとが、それぞれ板状をなして互いに板面を当接して重ねられ、その重複した部分に、ストッパピンが係合する長孔をそれぞれ形成するように構成してもよい。この構成により、チェンジレバーを構成するレバー本体とラッチ/スライドプレートとの両方の重複部分に、ストッパピンによる力が同時に加わることになるため、チェンジレバーは、より強い力に耐えることができる。
また、上記発明においては、レバー本体は、その延設方向に離隔した2つの孔を有し、ラッチ/スライドプレートは、前記2つの孔に対応する位置に延設方向に沿った長孔をそれぞれ有し、重ねられたレバー本体とラッチ/スライドプレートとが、対応する孔及び長孔に挿通されたピンにより結合され、一方のピンが上記突起部を形成するように構成してもよい。この構成により、レバー本体及びラッチ/スライドプレートを結合する手段と、上記突起部とが共通化され、部品点数の削減と、軽量化を実現することが可能である。
以下、本願発明に係る変速装置のチェンジ機構について、大型自動二輪車を例として添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、本実施の形態において用いる方向の概念は、基本的に、当該自動二輪車の通常の向きを基準としてあり、特別な場合には、その旨記述してある。
図1は、本願発明の実施の形態に係る大型自動二輪車の左側面図である。図1に示すように、本実施の形態の自動二輪車1は、所謂「アメリカンタイプ」の大型車であり、パイプ材からなる車体フレーム2の中央部にV型2気筒4サイクルのエンジンEが搭載され、フレーム2の前部には、比較的大きなキャスター角をもって略上下方向へ延びるステアリングコラム(図示せず)が軸支されている。このステアリングコラムの上端には、操舵用のバーハンドル3が固定されている一方、前記ステアリングコラムの下部は、一対のフロントフォーク4(図1においては左側フロントフォークのみを図示)を介して、これらの間に配設された操向用の前輪5に連結されている。
これにより、フレーム2の後側上部に取り付けられたシートS上に運転者が跨ってハンドル3を握り、該ハンドル3を前記ステアリングコラム回りに回動させることによって前輪5を左右に操向することができるようになっている。
また、フレーム2の後部には、リアサスペンション6(一部のみを図示)を介して後輪7が連結されており、この後輪7は、エンジンEによって、後述する変速装置(トランスミッションギヤ),ベルト式駆動装置等を介して駆動されるようになっている。
図2は、図1に示した大型自動二輪車のチェンジペダルとチェンジシャフトとの間のリンク機構を示す拡大図であり、図3は、図2に示したリンク機構の分解斜視図である。図2に示すように、車体左側には、左側のフットステップ8がステップホルダ9を介してフレーム2の下部に支持されている。なお、右側のフットステップ(図示せず)についてもこれと同様の構成であるため、ここではその説明は省略する。
ステップホルダ9は、フットステップ8をクランクケースCから所定の間隙をもって固定していると共に、この間隙に、図3に示すように、車体内側(即ち、クランクケースC側)から、上側前方に延びる前側レバー部10を揺動自在に軸支している。より詳しくは、前側レバー部10は、その中途部に略水平方向外方(即ち、クランクケースCから離れる方向)に延びる軸10cを有し、該軸10cを、ステップホルダ9の筒状部分9cにより軸支されている。該筒状部分9cには、グリースが充填され、両側の開口をそれぞれ、リップシール9a,9bで封止されている。
また、前側レバー部10は、上側前方に延びるその先端部から、略水平方向外方に延びた棒状のチェンジペダル部10aを有し、このチェンジペダル部10aには、ゴムを含む樹脂製からなる筒状のペダルカバー10bがチェンジペダル部10aに被せられている。
また、ステップホルダ9の外側に突出する前側レバー部10の軸10cの先端部には、上側後方に延びる後ろ側レバー部11の基端部が外嵌され、この後ろ側レバー部11の基端部に螺合される取付ボルト11cにより、前側レバー部10と一体回転するように連結されている。この後ろ側レバー部11も同様に、上側後方に延びるその先端部から、略水平方向外方に延びた棒状のチェンジペダル部11aを有し、このチェンジペダル部11aには、ゴムを含む樹脂製からなる筒状のペダルカバー11bがチェンジペダル部11aに被せられている。
さらに、前側レバー部10の軸10cを越えて略下方に延設された反対側の部分10dは、その先端部に、左右方向の開孔10eが穿設され、該開孔10eには、前後方向に延びるチェンジレバーロッド12の前方端部がジョイント12aを介して略水平方向軸回りの回動自在に枢支されている。一方、このチェンジレバーロッド12の後方端部にも同様のジョイント12bが取り付けられており、チェンジレバーロッド12は、このジョイント12bを介して、略上下方向に延びるカンチレバー13の下端部に穿設された左右方向の開孔13eに、略水平方向軸回りの回動自在に枢支されている。
カンチレバー13の基端部である上端は、次に詳述する変速装置15のケース15a(図4参照)から略水平方向に外方へ突出するチェンジシャフト14の先端部に外嵌され、このカンチレバー13の基端部に螺合される取付ボルト13aにより、チェンジシャフト14と一体回転するように連結されている。
図4に平断面図を示すように、チェンジシャフト14は、変速装置ケース15aに軸受14aを介して軸回りの回動自在に支持されており、左側端部と同様に、右側端部も変速装置ケース15aから突出している。この突出するチェンジシャフト14の右側端部には、後で詳述するチェンジレバー16が設けられ、チェンジシャフト14と一体回転するようになっている。
以上の如き構成により、例えば、高速ギヤに入れるべく、運転者が、前側レバー部10を蹴り上げ操作又は後ろ側レバー部11を踏み込み操作するのに応じて、チェンジレバーロッド12が前方へ引かれ、その後端に連結されたカンチレバー13を前方(車体左側から見て時計回り)へ揺動させる。一方、例えば、運転者が、前側レバー部10を踏み込み操作するのに応じて、チェンジレバーロッド12が後方へ押され、その後端に連結されたカンチレバー13を後方(車体左側から見て反時計回り)へ揺動させる。このようなカンチレバー13の揺動により、チェンジシャフト14が何れかの方向へ回転され、同時に、チェンジレバー16も同方向に回転される。
このチェンジレバー16の間欠的な回転は、変速装置ケース15aに回動自在に支持されたシフトカム17を、対応する方向へ所定角度だけ回転させ、従って、このシフトカム17に同軸に連結されたシフトドラム18を同じ方向に同じ角度だけ回転させる。
このシフトドラム18の回転により、図5に図4のV-V断面図を示すように、該シフトドラム18の外周面に形成された複数条の螺旋状カム溝18aに、自身の係合ピン19aが係合されたシフトフォーク19が、シフトドラム18の軸心に沿って摺動され、周知のように、変速装置15のギヤ20の組合せが変更されて変速が行なわれる。
次に、本実施の形態に係るチェンジレバー16の構成について詳述する。図6に図4の右側面図を、図7に図4のチェンジレバー16の反対側からの斜視図を、さらに、図8に図7のチェンジレバー16の分解斜視図をそれぞれ示すように、チェンジレバー16は、上述したチェンジシャフト14と、該チェンジシャフト14に基端部を固定されたレバー本体161と、該レバー本体161の先端部にてレバー本体161の延設方向(又はレバー本体161の回転半径方向)への移動自在に設けられたラッチ/スライドプレート162とを備えている。
図7及び図8において各構成部品の形状がよりわかるように、板状をなすレバー本体161は、その基端部に形成された孔161cにチェンジシャフト14を挿通され、該チェンジレバー14の端部に溶接される。レバー本体161は、その延設方向の中心線に沿って、中央部に1つ、先端部に1つの計2つの孔161a,161dが形成されている。
一方、同じく板状をなすラッチ/スライドプレート162は、レバー本体161の2つの孔161a,161dに対応するそれぞれの位置に、レバー本体161の延設方向に沿って延びる長孔162d,162cを有している。
ラッチ/スライドプレート162は、チェンジシャフト14が挿通される方向(図7及び図8における上側)とは反対の方向(つまり、下側)からレバー本体161に板面同士を当接して重ねられ、ラッチ/スライドプレート162の2つの長孔162d,162cを、対応するレバー本体161の2つの孔161a,161dの位置に一致される。そして、下側から、ワッシャ169aを介してピン169が、ラッチ/スライドプレート162の長孔162d、及びレバー本体161の孔161aの順に挿通され、同様に下側から、捩じりバネ164及びワッシャ163aを介してピン163が、ラッチ/スライドプレート162の長孔162c、及びレバー本体161の孔161dの順に挿通され、それぞれ抜け止めのために先端部を加締められている。
このような構成により、ラッチ/スライドプレート162は、レバー本体161の2つの孔161a,161dに挿通されたピン169,163に沿って、自身の2つの長孔162d,162cの長さの範囲で移動可能に設けられている。また、ラッチ/スライドプレート162の先端側部分の、長孔162cの左右両側には、小径の孔162eがそれぞれ形成され、これらの孔162eには、捩じりバネ164の略左右方向に延びる両側の屈曲された端部が嵌め込まれている。これにより、ラッチ/スライドプレート162は、レバー本体161に対して最も前進した位置(つまり、レバー本体161の最も先端側の位置)に付勢されている。
また、ラッチ/スライドプレート162の先端部は、2股フォーク状に形成され、2股の各先端部は、互いに対向する方向へ若干屈曲した形状に形成され、それぞれ、シフト爪162aを構成している。
また、レバー本体161の2つの孔161a,161dの間の中間位置には、略左右方向に延びる長孔161bが形成され、これに対応するラッチ/スライドプレート162の位置にも同様の長孔162bが形成されている。これらの長孔161b,162bには、図4及び図6に示すように、変速装置ケース15aに固定され、レバー本体161及びラッチ/スライドプレート162の回動範囲を規制するストッパピン22が挿通される。
さらに、チェンジシャフト14には、レバー本体161よりも上側に、復帰レバー167,捩じりバネ168,及びいまひとつの復帰レバー166がこの順に挿通されている。
図7及び図8に示すように、レバー本体161に当接する下側の復帰レバー166は、板状をなし、その基端部に形成された孔166aにチェンジシャフト14を挿通されている。一方、上側の復帰レバー167も、板状をなし、その基端部に形成された筒状部分167a(図8参照)の内径部167bにチェンジレバー14を挿通される。これらの復帰レバー166,167は、チェンジシャフト14の周面上を回動自在にされており、それらの先端部を互いに対向するように上側に折り曲げ形成されている。これら折り曲げ形成されたピンチ部166b,167cは、図6及び図7に示すように、略同径に形成されたピン169及びストッパピン22をそれぞれ左右両側から挟み込むような大きさを有している。
復帰レバー166,167は、これらピン169及びストッパピン22を挟む態様を維持すべく、復帰レバー166,167の間の位置で、且つ、上側の復帰レバー167の筒状部分167aの外周に巻装された捩じりバネ168により付勢されている。より詳しくは、捩じりバネ168の上側端部168aは、筒状部分167aにコイル状に巻装された中間部から、半径方向外方へ約52°に折り曲げられており、この部分(上側端部168a)を、上側の復帰レバー167の上部から下方へ突出する係止部167dに係合することによって、この復帰レバー167を他方の復帰レバー166の方へ付勢している。一方、捩じりバネ168の下側端部168bは、上述の上側端部168aとは約107°異なる方向へ折り曲げられており、この部分(下側端部168b)を、下側の復帰レバー166のピンチ部166bに係合することによって、この復帰レバー166を他方の復帰レバー167の方へ付勢している。
このような捩じりバネ168は、復帰レバー167の筒状部分167aの外周との間で、組み立て上必然的に比較的クリアランスが大となり、しかも、そのコイル状の中間部の上下端が、全周で面一とならないことから、筒状部分167a上で倒れが生ずる虞があるが、本実施の形態のように、チェンジシャフト14の外径寸法に近い内径寸法でチェンジシャフト14に外嵌している復帰レバー166,167を介して、ピン169及びストッパピン22を付勢しているので、たとえ、捩じりバネ168に倒れが生じても、確実に復帰レバー166,167に付勢力を伝え続けることができる。また、捩じりバネ168は、本例では、互いに約107°異なる方向に折り曲げられているが、この角度は、比較的自由に設定することができ、バネ力の設定に自由度が生まれる。また、力点と作用点とが同一平面内ではなくオフセットされているが、筒状部分167aにより捩じりバネ168の倒れも発生し難い。
また、図11に示した従来の構成にあっては、ピン状をなしたストッパ部材114と線材からなる復帰バネ118とが点接触していたため、相互の磨耗が発生し易かったが、本実施の形態においては、ストッパピン22は、線材からなる捩じりバネ168とは直接接触せず、ピンチ部166b及び係止部167dと線乃至面接触するため、相互の磨耗は発生し難い。
図6に示すように、チェンジレバー16の延設方向には、チェンジシャフト14と平行な回転軸を有する略6角星形のシフトカム17が配設され、該シフトカム17は、各頂点部に、それぞれ、ピン状の受動突部17aを立設されている。また、シフトカム17の各辺部分は、中心方向に湾曲せしめられ、それぞれ、位置決め凹部17bを構成している。なお、本実施の形態においては、6速+ニュートラルの変速装置15を採用していることから、6角のシフトカム17を例に挙げており、1つの頂点は、ニュートラルに位置決めするために中心方向に湾曲せしめられている。
チェンジレバー16のシフト爪162aは、これらの間に2つの受動突部17aを両側から挟むように、これら受動突部17aに係合する位置に配設され、チェンジレバー16の何れかの方向への間欠的な回転により、一方の受動突部17aを押し、シフトカム17を回転せしめるようになっている。
チェンジレバー16により回転されるシフトカム17は、何れか1つの受動突部17aに、ポジションレバー21の先端部に設けられ、シフトカム17の回転軸と平行な回転軸を有する位置決めローラ21aが係合している。ポジションレバー16は、その基端部を図示しないポンプ室壁等に、シフトカム17の回転軸と平行な軸回りの揺動自在に支持され、捩じりバネ21bにより、位置決めローラ21aが受動突部17aに係合する方向へ付勢している。このような構成により、シフトカム17は、周方向に等間隔に配設された受動突部17aごとに間欠的に回転位置が決められる。
次に、本実施の形態に係るチェンジ機構の動作について、図9(a)乃至(c)及び図10(a)乃至(c)を参照しながら説明する。
まず、図9(a)に示すように、この状態においては、チェンジレバー16は、待機位置にある。この状態から、運転者の変速操作によりチェンジシャフト14が例えば図における時計回りに回転された場合には、図9(b)において矢符で示すように、チェンジレバー16は、レバー本体161及びラッチ/スライドプレート162ごと、同一方向に同一角度回転する。やがて、この回転方向とは反対側(図9(b)においては左側)のシフト爪162aが、この側の受動突部17aを押し、図9(b)において矢符で示すように、シフトカム17を反時計回りに回転させる。この回転に伴って、シフトカム17の位置決め凹部17bに嵌合していたポジションレバー21の位置決めローラ21aが、この位置決め凹部17b内を転動し、隣接する頂点部を乗り越える。
このとき、回転されるレバー本体161に固定されたピン169は、上記回転方向(図9(b)においては右側)の復帰レバー166を捩じりバネ168のバネ力に抗して押し、レバー本体161との相対回転位置は変化しない。一方、反対側(図9(b)においては左側)の復帰レバー167は、固定されたストッパピン22により、上記回転方向への回転を規制されており、回転位置は変化しない。従って、左右の復帰レバー166,167は、ピン169とストッパピン22との相対位置の変化に応じた分だけ、相互に開くようになっている。
さらに、チェンジシャフト14の回転が進むと、チェンジレバー16の回転も進み、図9(c)に示すように、ポジションレバー21の位置決めローラ21aは、次の隣接する位置決め凹部17bに嵌合し、シフトカム17をこの回転位置に位置決めする。このとき、チェンジレバー16のレバー本体161及びラッチ/スライドプレート162に形成された長孔161b,162b内を相対的に摺動するストッパピン22(固定)は、長孔161b,162bの左側端部に当接し、これ以上のチェンジレバー16の回転を阻止する。このとき、左右の復帰レバー166,167は、図9(b)のときと同様に、ピン169とストッパピン22との相対位置の変化の増大に応じた分だけ、さらに相互に開く。
続いて、運転者が変速操作を止めると、図10(a)に示すように、捩じりバネ168が、ピン169とストッパピン22との相対回転位置ずれを元の状態に戻し始め、これにより可動側のピン169が設けられたレバー本体161、さらには、図10(a)において矢符で示すように、ラッチ/スライドプレート162を含むチェンジレバー16全体を待機位置に戻すように回転させる。
このとき、ラッチ/スライドプレート162の左側のシフト爪162aは、押した後にその回転位置に来た後続の受動突部17aに、そのテーパとされた背面側が当接し、そのままでは待機位置には復帰できない。しかし、ラッチ/スライドプレート162は、レバー本体161に対して、図10(b)において矢符で示すように、捩じりバネ164に抗して後退することができ、最終的に、図10(c)に示すように、左側のシフト爪162aと、これに係合していた受動突部17aとの係合が解除された時点で、レバー本体161及びラッチ/スライドプレート162を含むチェンジレバー16は、待機位置に復帰し、そして、後退していたラッチ/スライドプレート162が捩じりバネ164により再び前進されて、図9(a)に示した元の状態に戻る。
なお、ここでは、一方向のみの動作について説明したが反対方向への動作も同様である。
以上のように、本願発明に係る変速装置のチェンジ機構によれば、チェンジシャフト周りに回動自在に一対の復帰レバーを設け、該一対の復帰レバーを介して捩じりバネからなる復帰バネをチェンジレバーに係合させることにより、復帰バネの傾倒による影響を受けず、位置決め精度の向上を期待できる等、本願発明は優れた効果を奏する。
本願発明の実施の形態に係る変速装置のチェンジ機構を具備したアメリカンタイプの大型自動二輪車の全体構成を示す左側面図である。 図1に示した大型自動二輪車のチェンジペダルとチェンジシャフトとを連動連結するリンク機構の構成を示す拡大図である。 図1に示した大型自動二輪車のチェンジペダルとチェンジシャフトとを連動連結するリンク機構の構成を示す斜視図である。 図1に示した大型自動二輪車の、特に、チェンジシャフトとシフトドラムとを連動連結するチェンジ機構の構成を示す平断面図である。 シフトドラムを具備した変速装置の内部構成を示す図4のV-V断面図である。 図5に示した、特に、チェンジ機構と、シフトドラムに同軸に配設されたシフトカムとの係合関係を示す右側面図である。 図6に示したチェンジ機構の左側からの斜視図である。 図7に示したチェンジ機構の分解斜視図である。 図6に示したチェンジ機構とシフトカムとの係合関係を示す動作図である。 図6に示したチェンジ機構とシフトカムとの係合関係を示す動作図である。 従来のチェンジ機構と、シフトドラムに同軸に配設されたシフトカムとの係合関係を示す側面図である。
符号の説明
1 自動二輪車
8 フットステップ
9 ステップホルダ
10 前側レバー部
10a,11a チェンジペダル部
10b,11b ペダルカバー
11 後ろ側レバー部
14 チェンジシャフト
15 変速装置
15a 変速装置ケース
16 チェンジレバー
17 シフトカム
17a 受動突部
17b 位置決め凹部
18 シフトドラム
19 シフトフォーク
20 ギヤ
21 ポジションレバー
22 ストッパピン
161 レバー本体
161b,162b 長孔
162 ラッチ/スライドプレート
162a シフト爪
162c,162d 長孔
163,169 ピン
164 捩じりバネ
166,167 復帰レバー
166b,167c ピンチ部
168 捩じりバネ(復帰バネ)
168a 上側端部
168b 下側端部

Claims (6)

  1. チェンジペダルの操作に連動して、変速装置のシフトフォークを作動するシフトドラムと一体回転するシフトカムを間欠的に回転させるチェンジ機構であって、
    前記チェンジペダルの操作に連動して、操作量に応じた角度、回転するチェンジシャフトと、
    基端部を前記チェンジシャフトに固定されて該チェンジシャフトと一体回転し、先端部に前記シフトカムに設けられた受動突部に係合するシフト爪を具備し、中途部に回転方向に沿った長孔を形成されていると共に、さらに、中途部に前記チェンジシャフトの軸方向に沿った突起部を具備するチェンジレバーと、
    該チェンジレバーの長孔に係合し、該チェンジレバーの回動範囲を規制するストッパピンと、
    前記チェンジシャフト周りの回動自在に設けられ、前記チェンジペダルが操作されていないときに、前記チェンジシャフト、前記突起部、及び前記ストッパピンが一直線上に位置決めされるように、前記突起部及び前記ストッパピンを両側から挟み込むように当接する一対の復帰レバーと、
    前記チェンジシャフト周りに巻装され、各端部で、前記一対の復帰レバーを互いに対向する方向に付勢する捩じりバネと
    を備えることを特徴とする変速装置のチェンジ機構。
  2. 前記一対の復帰レバーの一方は、前記チェンジレバーの半径方向外方へ突出し、且つ、前記チェンジシャフトの軸方向に延びる係止部を具備し、他方は、前記突起部及び前記ストッパピンに当接する部分が前記チェンジシャフトの軸方向に延び、
    前記捩じりバネの各端部は、前記係止部と、前記突起部及び前記ストッパピンに当接する部分とに当接される
    ことを特徴とする請求項1記載の変速装置のチェンジ機構。
  3. 前記チェンジレバーは、
    基端部を前記チェンジシャフトに固定されて該チェンジシャフトと一体回転するレバー本体と、
    該レバー本体の先端部から突出して、前記レバー本体の延設方向への移動自在にこのレバー本体に設けられ、突出側の端部に前記シフトカムに設けられた受動突部に係合するシフト爪を有するラッチ/スライドプレートと
    を具備することを特徴とする請求項1又は2記載の変速装置のチェンジ機構。
  4. 前記レバー本体と前記ラッチ/スライドプレートとは、それぞれ板状をなして互いに板面を当接して重ねられ、その重複した部分に、回転方向に沿った長孔をそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項3記載の変速装置のチェンジ機構。
  5. 前記レバー本体は、その延設方向に離隔した2つの孔を有し、前記ラッチ/スライドプレートは、前記2つの孔に対応する位置に延設方向に沿った長孔をそれぞれ有し、重ねられた前記レバー本体と前記ラッチ/スライドプレートとは、対応する孔及び長孔に挿通されたピンにより結合され、一方のピンが突起部を形成することを特徴とする請求項4記載の変速装置のチェンジ機構。
  6. 上記請求項1乃至5の何れかに記載の変速装置のチェンジ機構を備えることを特徴とする自動二輪車。
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