JP4245134B2 - 実装工程シミュレーション装置および実装工程シミュレーション方法 - Google Patents

実装工程シミュレーション装置および実装工程シミュレーション方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の工程によって構成される実装過程のシミュレーションを実行するコンピュータで実行される実装工程シミュレーションプログラムおよびその方法、並びにその装置に関し、より特定的には、複数の工程を連続的にシミュレーションするコンピュータで実行される実装工程シミュレーションプログラムおよびその方法、並びにその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、様々な電子部品を回路基板上へ実装する製造過程のシミュレーションは、各工程に対してCAE(Computer Aided Engineering)ツールを用いた解析や、実験的に実際の製造を行うことによって個別に実施されている。例えば、上記実装は、リフロー半田付け処理によって行われることがある。このリフロー半田付け処理は、所定の回路パターンが形成された回路基板において実装する電子部品との電気的な接続をするための電極部に半田を印刷する半田印刷工程と、印刷された半田上に上記電子部品の電極が位置するように電子部品を配置する部品装着工程と、印刷された半田を溶融させ電子部品と基板とを固着させるリフロー工程とによって構成され、処理される回路基板は、一般的にそれぞれの工程が連続して行われる。このようなリフロー半田付け処理に対して上記シミュレーションを行う場合、それぞれの工程毎に行われる。
【0003】
上記リフロー工程に対しては、半田を溶融させるために回路基板および電子部品を加熱する必要があり、その加熱における熱加熱方法や加熱条件演算方法を解析するシミュレーションが行われる(例えば特許文献1参照。)。このシミュレーションでは、加熱される回路基板および電子部品の物性値等の条件やリフロー炉の温度設定によって、加熱時の当該回路基板および電子部品の温度変化が解析される。その結果を用いて、上記回路基板および電子部品の温度変化と目標温度とを比較して、リフロー炉の温度設定を検証することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−232131号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上述した実装におけるシミュレーションにおいては、最終工程の挙動解析や完成された回路基板の信頼性評価も要求され、最終的な回路基板に対する電子部品の位置解析も重要である。しかしながら、上述した加熱における熱加熱方法や加熱条件演算方法を解析するシミュレーションでは、リフロー炉の温度が解析されるため、リフロー工程による電子部品の位置解析はできない。
【0006】
また、図13に示すように、実装工程における各工程を個別にシミュレーションすることもできる。例えば、各工程の製造条件を格納した条件DB(データベース)102a〜102cに基づいて、それぞれCAEツール101a〜101cを用いて各工程を解析した場合、それぞれシミュレーション結果103a〜103cが得られる。このような解析方法においては、各工程のシミュレーション結果103a〜103cがそれぞれ独立して解析され、前工程の製造条件等は、標準的なモデル(例えば、前工程の評価基準に対する中央値および上下限値)が使用される。つまり、最終的な回路基板に対する電子部品の位置解析を行う場合、一般的に、実装の途中工程(例えば、半田印刷工程や部品装着工程)における位置ばらつき等の前工程における製造条件が考慮されず標準的なモデルを用いて行われる。このため、各工程の連続したシミュレーションができず、各工程での製造ばらつきや製造条件の変更が複合的に作用した場合、結果として最終工程の挙動や完成された回路基板にどのような影響を及ぼすかを事前に予測することが困難であった。つまり、各工程における製造条件は、工程毎に部分最適的に求めることができるが、全実装過程を通した最適条件を求めることが困難であった。
【0007】
それ故に、本発明の目的は、初期設計条件や実装過程を構成する各工程の製造条件が及ぼす実装過程全体への影響度を事前解析し、実装過程を構成する各工程を連続してシミュレーションするコンピュータに実行させる実装工程シミュレーションプログラムおよびその方法、並びにその装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べるような特徴を有している。
本発明の実装工程シミュレーションプログラムは、コンピュータに、複数の工程によって構成される実装過程のシミュレーションを実行させる。実装工程シミュレーションプログラムは、第1および第2のシミュレーション実行ステップとシミュレーション条件決定ステップとをコンピュータに実行させる。第1のシミュレーション実行ステップは、第1の工程に対して選択された第1の条件に基づいてシミュレーションする。シミュレーション条件決定ステップは、第1のシミュレーション実行ステップでシミュレーションされた結果を、第1の工程の後に位置する第2の工程に対するシミュレーション条件として決定する。第2のシミュレーション実行ステップは、第2の工程に対して、少なくとも上記シミュレーション条件を含んだ第2の条件に基づいてシミュレーションする。
【0009】
上記した本発明の構成によれば、前工程のシミュレーション結果を用いて後工程のシミュレーションを行うことによって、実装過程を構成する各工程を連続してシミュレーションした結果を得ることができるため、初期設計条件や各工程別の製造条件が実装過程全体にどのような影響を及ぼすか事前に確認することができ、適切な回路基板設計や工法開発が可能となる。
【0010】
上記工程毎に予め複数の条件に基づいてシミュレーションされた解析結果データが生成されていてもかまわない。この場合、一例として、第2のシミュレーション実行ステップは、第2の条件に基づいてシミュレーションされた解析結果データを抽出することによって第2の工程に対するシミュレーションを実行する。これによって、予めシミュレーションされた解析結果データを用いて実装過程を構成する各工程を連続してシミュレーションした結果を得ることができる。他の例として、第2のシミュレーション実行ステップは、第2の条件に対する前後の条件に基づいてシミュレーションされた解析結果データを用いて補間演算することによって第2の工程に対するシミュレーションを実行する。これによって、第2の条件と一致する条件に基づいてシミュレーションされた解析結果データがない場合も、予め解析された解析結果データを用いて適切なシミュレーションを行うことができる。
【0011】
また、上記解析結果データは、コンピュータの外部に設けられた他の装置で生成されたものでもよい。この場合、第2のシミュレーション実行ステップは、他の装置で生成された解析結果データを所定のデータ書式に変換して第2の工程に対するシミュレーションを実行する。上記解析結果データは、第1の例として工程毎にCAEツールを用いて予めシミュレーションされたデータである。上記解析結果データは、第2の例として実装現場において工程毎に設置された実装装置の製造実績データである。上記解析結果データは、第3の例として工程毎の動作を想定した実験によって得られた実験データである。他の装置でシミュレーションされた解析結果データがいずれの構成であっても、共通の書式に変換することによって、CAEツールによる詳細な解析結果、実際の実装設備の製造実績データ、および工程毎の動作を想定した実験によって得られた実験データ等、外部の装置による様々な解析結果を用いてシミュレーションすることができる。
【0012】
また、アニメーション表示ステップをさらにコンピュータに実行させてもかまわない。アニメーション表示ステップは、予め格納されたアニメーション要素を工程別に動作順序が定義された定義ファイルに基づいて読み出すことによって、第2のシミュレーション実行ステップでシミュレーションされた結果を示すためのアニメーションを表示装置に3次元表示する。これによって、ユーザは、アニメーションで表示された第2の工程に対するシミュレーション結果を視認することができるため、視覚によってシミュレーション結果を確認することができる。また、ユーザは、上記アニメーションが3次元表示されるため、より現実的なシミュレーション結果を視認することができる。さらに、アニメーション表示ステップは、容易に工程に対する動作を含めたアニメーションを表示することができ、新規の工程に対するアニメーション表現へも容易に対応できる。
【0013】
また、第2のシミュレーション実行ステップは、条件取得ステップを含んでもかまわない。条件取得ステップは、複数の条件が組合わせで予め格納された条件データベースからの入力に対応して選択された条件を読み出し、さらに第2の条件に加える。さらに、条件取得ステップは、CADシステムからのデータを入力に対応して読み出し、さらに第2の条件に加えてもかまわない。これらによって、入力に対応した指示によって第2の条件に新たな条件を加えることが可能であり、入力するシミュレーション条件多数の場合、条件データベースあるいはCADシステムのデータによって補充されるため、ユーザの入力作業負荷を大幅に軽減することができる。
【0014】
上記第1および/または第2のシミュレーション実行ステップでシミュレーションされた結果を用いた実施例は、以下に述べるような種々のものが考えられる。第1の例では、第1のシミュレーション実行ステップは、第1の工程における製造ばらつきを含んだシミュレーションを実行する。この場合、シミュレーション条件決定ステップは、上記製造ばらつきを含んだ第1のシミュレーション実行ステップでシミュレーションされた結果を、シミュレーション条件として決定する。そして、第2のシミュレーション実行ステップは、少なくとも上記製造ばらつきを含んだ第2の条件に基づいて第2の工程に対するシミュレーションを実行する。これによって、第1の工程の製造ばらつきを反映して後工程の第2の工程をシミュレーションすることが可能であり、より現実的なシミュレーションができる。第2の例では、第1のシミュレーション実行ステップは、第1の工程で設定される制御項目の変更を第1の条件としてシミュレーションを実行する。この場合、シミュレーション条件決定ステップは、第1のシミュレーション実行ステップで上記制御項目の変更に基づいてシミュレーションされた結果を、シミュレーション条件として決定する。そして、第2のシミュレーション実行ステップは、少なくとも上記制御項目の変更に基づいてシミュレーションされた結果を含んだ第2の条件に基づいて第2の工程に対するシミュレーションを実行する。これによって、第1の工程に設定されている制御項目を変更した場合、後工程の第2の工程への影響度を評価することができる。第3の例では、さらに信頼性評価ステップをコンピュータに実行させる。信頼性評価ステップは、第2のシミュレーション実行ステップでシミュレーションされた結果を用いて、実装過程で製造された製品の信頼性評価を行う。これによって、初期設計条件や各工程別の製造条件による製品の信頼性評価へ与える影響を推測することができる。第4の例では、さらに不良率演算ステップをコンピュータに実行させる。不良率演算ステップは、第1および第2のシミュレーション実行ステップでシミュレーションした結果を用いて、第1および第2の工程で製造される製品の不良率を演算する。これによって、最終的な評価基準に対する各工程の評価基準を実製造に応じて適切に評価することができるため、歩留まりの低減や不良率の低減を容易に行うことができる。
【0015】
なお、本発明は、上述した実装工程シミュレーションプログラムがコンピュータに実行させるそれぞれのステップを実行する機能を有する実装工程シミュレーション装置としても実現することができる。また、本発明は、上述した実装工程シミュレーションプログラムがコンピュータに実行させるそれぞれのステップを実行する実装工程シミュレーション方法としても実現することが可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る実装工程シミュレーション装置について説明する。なお、本実施形態では、シミュレーションする実装工程としてリフロー半田付け処理を一例として説明する。このリフロー半田付け処理は、所定の回路パターンが形成された回路基板において実装する電子部品との電気的な接続をするための電極部に半田を印刷する半田印刷工程と、印刷された半田上に上記電子部品の電極が位置するように電子部品を配置する部品装着工程と、印刷された半田を溶融させ電子部品と基板とを固着させるリフロー工程とによって構成され、処理される回路基板は、一般的にそれぞれの工程が連続して行われる。
【0017】
図1において、実装工程シミュレーション装置1は、一般的なコンピュータシステムで構成され、中央演算装置(CPU)2、入力装置3、表示装置4、外部記憶装置5、および内部記憶装置6を備えている。CPU2は、後述する外部から取得するデータ、ユーザが入力装置3を用いて入力するデータ、外部記憶装置5に格納されたデータ、および内部記憶装置6に格納されたデータを用いて所定の処理を行い、その処理結果を表示装置4に出力する。入力装置3は、キーボードやマウス等で構成され、実装工程シミュレーション装置1のユーザからの指示が入力される。表示装置4は、液晶ディスプレイあるいはCRT等のディスプレイや印刷装置等で構成され、典型的にはCPU2の処理結果が表示あるいは印刷される。外部記憶装置5は、サーバ等の大容量記憶媒体等で構成され、記憶する容量に応じて上記コンピュータシステムのハードディスクやDVD等の再生装置で構成されることもあり得る。内部記憶装置6は、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置で構成され、外部記憶装置5の構成に応じて上記ハードディスク等で構成されてもかまわない。
【0018】
実装工程シミュレーション装置1のCPU2には、外部からのデータが入力される。それらのデータは、シミュレーションする工程毎のCAE(Computer Aided Engineering)ツール11a〜11nでそれぞれ解析されたCAEデータCAEa〜CAEn、その工程に設置されているそれぞれの実装設備12における不良率や製造実績等の実績データ記憶部15に格納された実装実績データMD、最終工程等に設置された外観、導通、性能検査等を行う検査設備13における不良率や製造実績等の実績データ記憶部16に格納された検査実績データID、あるいはシミュレーションする工程をそれぞれ実験設備14によって実験的に行った実験データ記憶部17に格納された実験データEDである。CAEツール11a〜11nは、それぞれシミュレーションする工程毎に設定されている設計データ、工程毎の製造条件等が格納された条件データベース(DB)10a〜10nを用いて解析する。そして、条件DB10a〜10nは、それぞれ前工程に設定されている評価基準(例えば、中央値および上下限値)も格納されている。なお、これらのデータは、実装工程シミュレーション装置1内部でCAE解析やデータの格納等が可能である場合、実装工程シミュレーション装置1によってCAE解析を行い、CAEデータCAEa〜CAEn、実装実績データMD、検査実績データID、および実験データEDを外部記憶装置5や内部記憶装置6に格納してもかまわない。
【0019】
次に、図2を参照して、実装工程シミュレーション装置1の構成について説明する。なお、図2は、実装工程シミュレーション装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【0020】
図2において、実装工程シミュレーション装置1が有するCPU2は、絞り込み部21、結果テーブル作成部22、条件設定部23、抽出演算部24、およびアニメーション変換処理部25を有している。外部記憶装置5は、共通条件DB51、基本表示処理ライブラリ52、および工程別アニメーション定義ファイル53を有している。内部記憶装置6は、結果テーブル記憶部61および条件テーブル記憶部62を有している。
【0021】
絞り込み部21は、実装工程シミュレーション装置1の外部に設けられたCAEツール11a〜11nによってそれぞれ解析されたCAEデータCAEa〜CAEnや、実装実績データMD、検査実績データID、あるいは実験データED等のデータから、処理に必要なデータを絞り込んでシミュレーションを実行し、結果テーブル作成部22に出力する。具体的には、絞り込み部21は、処理対象の工程に関するデータを取得する。例えば、絞り込み部21は、半田印刷工程を対象に処理を行う場合、半田印刷工程を対象にCAE解析を行ったCAEツールからのデータを取得し、半田印刷を行う実装設備における実績データや半田印刷を対象にした実験設備における実験データを取得する。なお、取得するCAEデータCAEa〜CAEn、実装実績データMD、検査実績データID、あるいは実験データEDのデータ書式が、後述する処理に用いる書式と異なる場合は、その処理に用いる書式(共通書式)に変換して出力する。この共通書式は、XML等の階層化データで表現されてもかまわない。このように、共通書式に変換することによって、実装工程シミュレーション装置1は、外部装置による様々な解析結果を用いてシミュレーションすることができる。
【0022】
結果テーブル作成部22は、絞り込み部21が取得した各種データを用いて、処理対象の工程における結果テーブルを作成して、結果テーブル記憶部61に格納する。結果テーブルは、絞り込み部21が取得したデータをそれぞれ項目別に関連つけてマトリックスで表される離散的なデータであり、条件データおよび結果データが記載される。例えば、半田印刷工程をCAE解析したデータの場合、結果テーブル作成部22は、そのCAE解析に用いた条件データ(半田条件、印刷マスク条件等)に対してCAE解析の結果データ(半田サイズ等の印刷結果)がそれぞれ関連付けて結果テーブルを作成する。なお、この結果テーブルの具体例については、後述する。
【0023】
一方、条件設定部23は、入力装置3を用いてユーザから入力される処理条件データに基づいて、実装工程シミュレーション装置1でシミュレーション処理する条件を設定し条件テーブルを作成する。例えば半田印刷工程の条件の場合、ユーザは、シミュレーションしたい設備の製造条件(半田条件、印刷マスク条件、印刷装置条件等)等を上記処理条件データとして入力する。ここで、処理するシミュレーションを詳細に実施する場合、ユーザは、多数の処理条件データを入力する必要がある。このような入力作業を簡単にするために、共通する処理条件データや他のデータと連動して決定される処理条件データを予め共通条件DB51に格納し、条件設定部23がユーザからの入力に応じて共通条件DB51に格納された処理条件データを補充して条件テーブルを作成する。なお、上述した共通する処理条件データや他のデータと連動して決定される処理条件データは、共通条件DB51に格納されたデータに加えて、外部に設けられたCADシステム(図示せず)が部品の配置データや基板サイズ等のデータを処理条件データの一部として生成してもかまわない。また、条件設定部23は、ユーザが全ての処理条件データを示す識別子を入力することによって、その識別子に対応する処理条件データを共通条件DB51あるいは上記CADシステムから読み出してもかまわない。そして、条件設定部23で作成された条件テーブルは、条件テーブル記憶部62に格納される。なお、この条件テーブルの具体例についても、後述する。
【0024】
抽出演算部24は、結果テーブル記憶部61に格納された結果テーブルの条件および結果データと、条件テーブル記憶部62に格納された条件テーブルに記載された処理条件データを用いて対象となっている工程に対する演算結果データを抽出する。抽出演算部24は、上記条件テーブルに記載された処理条件データに基づいて、その処理条件データに相当する上記結果テーブルに記載された結果データを演算結果データとして抽出するが、一致するデータがない場合、補間演算等を行うことによって結果テーブルに記載された上記結果データの近傍のデータを演算結果データとして演算する。そして、抽出演算部24は、抽出あるいは演算した演算結果データを条件テーブル記憶部62、アニメーション変換処理部25、および表示装置4に出力する。
【0025】
条件テーブル記憶部62は、条件設定部23から出力される条件テーブルを記憶するが、さらに、上述した抽出演算部24から出力される演算結果データも、条件テーブルに記載する。そして、抽出演算部24によって記載された演算結果データは、次工程のシミュレーション処理まで記憶され、その処理時に抽出演算部24に前工程の演算結果データとして出力する。つまり、抽出演算部24は、処理対象工程における結果テーブルに記載された条件データおよび結果データとユーザの入力によって設定された処理条件データとに加えて、当該処理対象工程に対する前工程の演算結果データも用いて演算をすることになる。
【0026】
アニメーション変換処理部25は、抽出演算部24から出力される演算結果データに基づいて3次元のアニメーションを構成し表示装置4に出力する。アニメーション変換処理部25は、抽出演算部24から出力されるデータに基づいて、工程別動作順序が定義された工程別アニメーション定義ファイル53を用いて処理対象の工程の動作をアニメーションで出力する。上記3次元のアニメーションを構成する物体の移動や変形等の個々のアニメーション要素は、予め基本表示処理ライブラリ52に格納されており、アニメーション変換処理部25は、適時工程別アニメーション定義ファイル53に基づいて基本表示処理ライブラリ52に格納されたアニメーション要素を呼び出すことによって、上記演算結果データに対応したアニメーションを構成する。ここで、具体的には、基本表示処理ライブラリ52に格納されるアニメーション要素は、電子部品、基板、および設備ユニット等の基本形状や、固体、流体、および粘性流体に対する移動、変形、および重ね合わせ等の基本表示動作である。また、アニメーション変換処理部25が呼び出す条件としてのパラメータは、対象物体、物体の移動距離、変形量、あるいは変形前後の形状等であり、これらのパラメータに基づいて基本表示処理ライブラリ52からアニメーション要素が呼び出される。このように、アニメーション変換処理部25は、容易に工程に対する動作を含めたアニメーションを表示することができ、基本表示処理ライブラリ52および工程別アニメーション定義ファイル53を更新することによって新規の工程に対するアニメーション表現へも容易に対応できる。
【0027】
表示装置4は、アニメーション変換処理部25から出力された演算結果データを示すアニメーションを表示あるいは印刷することによって、そのアニメーションをユーザに掲示する。また、抽出演算部24から直接演算結果データが出力された場合、表示装置4は、その演算結果データをそのまま数値等の文字画像として表示あるいは印刷してもかまわない。
【0028】
次に、図3を参照して、実装工程シミュレーション装置1の動作について説明する。なお、図3は、実装工程シミュレーション装置1の動作を示すフローチャートである。後述する実装工程シミュレーション装置1の動作は、当該装置が実装工程シミュレーションプログラムを実行することによって行われる。この実装工程シミュレーションプログラムは、外部記憶装置5および内部記憶装置6に格納され、CPU2内で実行される。なお、上記実装工程シミュレーションプログラムは、CPU2がそれを読み出して実行可能である限りにおいて、外部記憶装置5および内部記憶装置6以外の他の記憶媒体に格納されていてもかまわない。
【0029】
図3において、CPU2は、当該フローチャートに基づく処理動作の一時変数Pを1に設定する(ステップS1)。そして、処理を次のステップに進める。
【0030】
次に、CPU2は、CAEデータCAEa〜CAEn、実装実績データMD、検査実績データID、あるいは実験データED等のデータから、絞り込み部21によって処理に必要な工程Pに関するデータを絞り込んで取得する(ステップS2)。例えば、絞り込み部21は、リフロー半田付け処理をシミュレーションする場合、半田印刷工程、部品装着工程、およびリフロー工程等の内、工程Pに相当する工程に対してその工程に関連するデータを取得する。ここで、CAEツール11a〜11n、実装設備12、および実験設備14は、それぞれ上記工程毎に解析を行っているため、絞り込み部21は、工程Pが指定されることによってその工程Pを解析した装置を対象にしてデータを取得することにもなる。なお、上述したように、取得するCAEデータCAEa〜CAEn、実装実績データMD、検査実績データID、あるいは実験データEDのデータ書式が、処理に用いる書式と異なる場合は、上記共通書式に変換して取得する。
【0031】
次に、CPU2の結果テーブル作成部22は、上記ステップS2で絞り込み部21が取得したデータを用いて、結果テーブルを作成する(ステップS3)。このステップS3で作成される結果テーブルについて、図4を参照して上記半田印刷工程を対象にした一例を説明する。
【0032】
上記結果テーブルは、CAEツール11の解析に用いられた解析条件や実験設備14の実験条件等を示す条件データと、それらの解析や実験等の結果を示す結果データとに分類されて作成される。上記半田印刷工程を対象とする場合、上記条件データとしては、半田条件(粘度、粒径、フラックス、材質等)、印刷マスク条件(開口部サイズ、厚み等)、印刷装置条件(印刷圧力、スキージ角度、スキージ速度等)、および対象基板(パットサイズ、印刷マスクとの隙間等)等の項目がある。また、上記結果データは、それらの条件データを基に半田印刷された結果であり、印刷結果(半田サイズ、厚み、位置ばらつき等)等の項目がある。
【0033】
上記結果テーブルは、それぞれ項目別に関連つけてマトリックスで表される離散的なデータであり、図4の一例は、半田条件における粘度のみを粘度20Pa・s〜100Pa・sの範囲で20Pa・s毎に変えることによって表される結果テーブルの一部を示している。例えば、条件データが半田条件(粘度60Pa・s、粒径30μm、フラックス10%、材質SnAgCu)、印刷マスク条件(開口部サイズ0.5mm*0.5mm、厚み0.15mm)印刷装置条件(印刷圧力25000Pa、スキージ角度70°、スキージ速度40mm/s)、および対象基板(パットサイズ0.6mm*0.6mm、印刷マスクとの隙間40μm)の場合、結果データが半田印刷結果(半田サイズ0.6mm*0.6mm、厚み0.1mm、位置ばらつき(標準偏差)0.05mm)で互いに関連付けられて表される。また、上述した条件データの内、条件データの半田条件を粘度80Pa・sに変え、他の条件データを共通にした場合、結果データが半田印刷結果(半田サイズ0.5mm*0.5mm、厚み0.15mm、位置ばらつき(標準偏差)0.05mm)で互いに関連付けられて表される。このように作成された結果テーブルは、CPU2から内部記憶装置6に出力され、結果テーブル記憶部61に格納される(ステップS4)。
【0034】
一方、ユーザは、入力装置3を用いて、現在処理対象となっている工程Pに対して処理したい条件を処理条件データとして入力する(ステップS5)。この処理条件データは、上記結果テーブルに設定されている条件データと同様の項目を有している。そして、入力装置3から入力された処理条件データは、CPU2の条件設定部23によって条件テーブルに書き込まれて内部記憶装置6の条件テーブル記憶部62に格納される(ステップS6)。
【0035】
このステップS6で作成される条件テーブルについて、図5を参照して上記半田印刷工程を対象にした一例を説明する。上記条件テーブルには、上記ステップS5で入力された処理条件データと前工程(つまり工程P−1)の演算結果データとに分類されて作成される。上記半田印刷工程を対象とする場合、上記処理条件データとしては、半田条件(粘度、粒径、フラックス、材質等)、印刷マスク条件(開口部サイズ、厚み等)、印刷装置条件(印刷圧力、スキージ角度、スキージ速度等)、および対象基板(パットサイズ、印刷マスクとの隙間等)等の項目がある。例えば、処理条件データとして、半田条件(粘度70Pa・s、粒径30μm、フラックス10%、材質SnAgCu)、印刷マスク条件(開口部サイズ0.5mm*0.5mm、厚み0.15mm)印刷装置条件(印刷圧力25000Pa、スキージ角度70°、スキージ速度40mm/s)、および対象基板(パットサイズ0.6mm*0.6mm、印刷マスクとの隙間40μm)が書き込まれる。
【0036】
このように、ユーザは、多数の処理条件データを入力する必要がある。このような入力作業を簡単にするために、共通する処理条件データや他のデータと連動して決定される処理条件データを予め共通条件DB51に格納し、条件設定部23がユーザからの入力に応じて共通条件DB51に格納された処理条件データを補充して条件テーブルを作成してもかまわない。また、条件設定部23は、ユーザが全ての処理条件データを示す識別子を入力することによって、その識別子に対応する処理条件データを読み出してもかまわない。なお、上記半田印刷工程がリフロー半田付け処理の先頭工程である場合、上記前工程の演算結果データにはデータが書き込まれていない。
【0037】
次に、CPU2の抽出演算部24は、結果テーブル記憶部61に格納された結果テーブルおよび条件テーブル記憶部62に格納された条件テーブルを用いてシミュレーション演算を行い、演算結果データとして出力する(ステップS7)。抽出演算部24は、上記条件テーブルに記載された処理条件データに基づいて、その処理条件データに相当する上記結果テーブルに記載された結果データを演算結果データとして抽出するが、一致するデータがない場合、補間演算等を行うことによって結果テーブルに記載された上記結果データの近傍のデータを演算結果データとして演算する。以下、抽出演算部24が補間演算を行うことによって演算結果データを演算する一例を説明する。
【0038】
例えば、抽出演算部24は、上述した半田印刷工程に対する結果テーブル(図4参照)および条件テーブル(図5参照)を用いて、演算結果データを演算する場合、上記条件テーブルにおける処理条件データに対して上記結果テーブルにおける一致する条件データがないため、補間演算によって演算結果データを演算する。ここで、上記処理条件データおよび上記条件データを比較すると、不一致の項目は半田条件における粘度である。抽出演算部24は、上記粘度以外の条件データが共通する結果データを抽出し、それぞれの上記粘度に対する結果データをスプライン関数(区分多項式)等を用いて離散的な結果を補間する。例えば、図4で示した結果テーブルを用いて、図5で示した条件テーブルの処理条件データに対する半田印刷結果として半田厚みを求める場合、抽出演算部24は、図6に示すように、当該結果テーブルから上記粘度以外の条件データが共通する半田厚みデータを抽出し、半田粘度X1〜X6に対する半田厚みY1〜Y6をスプライン関数等で近似する。そして、抽出演算部24は、半田粘度Xnに対する半田厚みYnの補間式を生成し、その補間式に処理条件データで示される半田粘度aを代入して半田粘度aに対する半田厚みbを演算する。抽出演算部24は、他の結果データについても同様の補間演算を行うことによって処理条件データに対する演算結果データを演算し、具体的には、半田印刷結果(半田サイズ0.55mm*0.55mm、厚み0.125mm、位置ばらつき(標準偏差)0.05mm)が演算結果データとして演算される。
【0039】
また、抽出演算部24が補間演算を行うことによって演算結果データを演算する他の例を説明する。まず、抽出演算部24は、不一致の項目における処理条件データ(つまり、半田条件における粘度70Pa・s)に対して、近傍の条件データ(つまり、半田条件における粘度60Pa・sおよび粘度80Pa・sで他の条件データは共通)を抽出する。そして、抽出演算部24は、上記不一致の項目におけるそれぞれの処理条件データおよび条件データに基づいて、不一致項目に対して予め設定された補間式を用いて補間演算を行う。抽出演算部24は、図4および図5で示されたデータの場合、上記条件データで示された半田条件における粘度60Pa・sおよび粘度80Pa・sに対して、上記処理条件データで示された半田条件における粘度70Pa・sを予め設定された補間式による補間演算を行って半田印刷結果を演算結果データとして演算する。具体的には、図7に示すように、結果テーブルの半田条件における粘度60Pa・sと関連付けられた半田印刷結果(半田サイズ0.6mm*0.6mm、厚み0.1mm、位置ばらつき(標準偏差)0.05mm)と、結果テーブルの半田条件における粘度80Pa・sと関連付けられた半田印刷結果(半田サイズ0.5mm*0.5mm、厚み0.15mm、位置ばらつき(標準偏差)0.05mm)との間がそれぞれ上記粘度によって補間演算され、半田印刷結果(半田サイズ0.55mm*0.55mm、厚み0.125mm、位置ばらつき(標準偏差)0.05mm)が演算結果データとして演算される。つまり、この演算例では、予め上記補間式を設定しておくことによって補間演算の処理工数が少なくなる。このように、実装工程シミュレーション装置1は、予め解析のために用いられた条件に対して、異なった処理条件によるシミュレーションをする場合も、予め解析された結果を用いて適切なシミュレーションを行うことができる。
【0040】
さらに、抽出演算部24は、補間演算せずに抽出する次工程の演算に必要な所定の項目(例えば、半田条件における粘度および材質)も演算結果データとして抽出する。
【0041】
次に、CPU2は、現在演算している工程Pが最終工程か否かを判断する(ステップS8)。例えば、CPU2は、上述したリフロー半田付け処理をシミュレーションしている場合、工程Pが最終工程のリフロー工程であるか否かを判断する。そして、CPU2は、工程Pが最終工程である場合、処理を次のステップS14に進め、工程Pが最終工程でない場合、処理を次のステップS9に進める。
【0042】
ステップS9において、CPU2は、現在演算している工程Pにおける演算結果データを表示装置4に表示するか否かを判断する。そして、CPU2は、上記演算結果データを表示装置4に表示する場合、処理を次のステップS10に進め、上記演算結果データを表示装置4に表示しない場合、処理を次のステップS11に進める。
【0043】
ステップS11において、CPU2は、現在行っているシミュレーション処理を終了するか否かを判断する。そして、CPU2は、シミュレーション処理を終了する場合、当該フローチャートによる処理を終了し、シミュレーション処理を継続する場合、処理を次のステップS12に進める。
【0044】
ステップS12において、CPU2の抽出演算部24は、上記ステップS7で演算した演算結果データを条件テーブル記憶部62の条件テーブルに書き込む。この演算結果データは、条件テーブルにおける前工程演算結果データとして書き込まれる。例えば、抽出演算部24は、図7で示した演算結果データを条件テーブル記憶部62が記憶している図5で示した条件テーブルの前工程演算結果データに書き込む。そして、処理を次のステップに進める。
【0045】
次に、CPU2は、当該フローチャートに基づく処理動作の上記一時変数Pを+1して新たな一時変数Pを設定する(ステップS13)。そして、上記ステップS2に戻って処理を継続する。
【0046】
CPU2は、上記ステップS13で新たな一時変数Pを設定した後、上述したステップS2〜S7と同様の処理によって、新たな工程Pにおけるシミュレーションを行う。この新たな工程Pは、典型的には既にシミュレーションした工程に対する次工程であり、上述したようにリフロー半田付け処理をシミュレーションし既に半田印刷工程をシミュレーションした場合、次工程の部品装着工程が新たな工程Pとしてシミュレーションされる。以下、図8および図9を参照して、CPU2が、上記次工程の部品装着工程を新たな工程Pとしてシミュレーションする際のデータ例について説明する。なお、図8は上記部品装着工程に対して作成される結果テーブルの一例であり、図9は上記部品装着工程に対して作成される条件テーブルの一例である。
【0047】
図8において、CPU2の結果テーブル作成部22は、上記ステップS2で絞り込み部21が取得した部品装着工程に関するデータを用いて、結果テーブルを作成する。上記ステップS2では、絞り込み部21が同様に部品装着工程に関するデータを、CAEデータCAEa〜CAEn、実装実績データMD、検査実績データID、あるいは実験データED等から取得するが、同様の処理であるため詳細な説明を省略する。
【0048】
上記部品装着工程に関する結果テーブルも、CAEツール11の解析に用いられた解析条件や実験設備14の実験条件等を示す条件データと、それらの解析や実験等の結果を示す結果データとに分類されて作成される。上記部品装着工程を対象とする場合、上記条件データとしては、部品条件(部品サイズ、部品重量等)、装着装置条件(部品吸着位置、ノズル種別、吸着高さ、装着速度等)、半田印刷条件(半田サイズ、厚み、位置ばらつき、粘度、材質等)等の項目がある。また、上記結果データは、それらの条件データを基に部品装着された結果であり、装着結果(位置ばらつき等)等の項目がある。
【0049】
上記結果テーブルは、それぞれ項目別に関連つけてマトリックスで表される離散的なデータであり、図8の一例は、部品条件における部品サイズのみをそれぞれ変えることによって表される結果テーブルの一部を示している。例えば、条件データが部品条件(部品サイズ1.0mm*0.5mm*0.4mm、部品重量0.1g)、装着装置条件(部品吸着位置(0mm、0mm)、ノズル種別A、吸着高さ50mm、装着速度(種別)a)、半田印刷条件(半田サイズ0.55mm*0.55mm、厚み0.125mm、位置ばらつき(標準偏差)0.05mm、粘度70Pa・s、材質SnAgCu)の場合、結果データが装着結果(位置ばらつき(標準偏差0.1mm)で互いに関連つけられて表される。また、上述した条件データの内、条件データの部品条件を部品サイズ1.0mm*0.5mm*0.8mmに変え、他の条件データを共通にした場合、結果データが装着結果(位置ばらつき(標準偏差0.08mm)で互いに関連つけられて表される。このように作成された結果テーブルは、上記ステップS4において、CPU2から内部記憶装置6に出力され、結果テーブル記憶部61に格納される。なお、結果テーブル記憶部61には、前工程(つまり、半田印刷工程)の結果テーブルが格納されているが、前工程の結果テーブルはこのステップS4で全て消去してもかまわない。
【0050】
一方、図9において、上記ステップS5でユーザが部品装着工程に関する処理条件データを入力することによって、条件テーブルが作成される。この処理条件データは、上記結果テーブルに設定されている条件データと同様の項目を有している。そして、上記ステップS6によって処理条件データが、条件設定部23によって条件テーブルに書き込まれて内部記憶装置6の条件テーブル記憶部62に格納される。
【0051】
上記部品装着工程に関する条件テーブルには、上記ステップS5で入力された処理条件データと前工程(つまり工程P−1)の演算結果データとが書き込まれる。上述したように部品装着工程の前工程である半田印刷工程のシミュレーション処理では、上記ステップS12において、既に半田印刷工程における半田印刷結果(半田サイズ0.55mm*0.55mm、厚み0.125mm、位置ばらつき(標準偏差)0.05mm、粘度70Pa・s、材質SnAgCu)が前工程演算結果データとして条件テーブルに書き込まれている。そして、上記処理条件データとしては、部品条件(部品サイズ、部品重量等)、装着装置条件(部品吸着位置、ノズル種別、吸着高さ、装着速度等)等の項目がある。例えば、処理条件データとして、部品条件(部品サイズ1.0mm*0.5mm*0.4mm、部品重量0.1g)、装着装置条件(部品吸着位置(0mm、0mm)、ノズル種別A、吸着高さ50mm、装着速度(種別)a)が新たに書き込まれる。なお、条件テーブル記憶部62には、前工程(つまり、半田印刷工程)の処理条件データが記述されており、このステップS4で全て消去してもかまわないが、後述する表示処理においてシミュレーションに用いた条件を表示するために継続して記憶するのが好ましい。
【0052】
次に、上記ステップS7において、CPU2の抽出演算部24は、上述した部品装着工程に対する結果テーブル(図8参照)および条件テーブル(図9参照)を用いてシミュレーション演算を行い、演算結果データとして出力する。抽出演算部24は、上記条件テーブルに記載された処理条件データおよび前工程演算結果データに基づいて、それらのデータに相当する上記結果テーブルに記載された結果データを演算結果データとして抽出する。図8に示した結果テーブルには、図9に示した条件テーブルに記載されたデータに相当する条件データが存在するため、抽出演算部24は、その条件データに関連付けられた結果データを部品装着工程の演算結果データとして抽出する。つまり、抽出演算部24は、前工程におけるシミュレーション処理結果を含めて部品装着工程のシミュレーションを行うことになり、装着結果(位置ばらつき0.1mm)を演算結果データとして抽出する。さらに、抽出演算部24は、次工程の演算に必要な所定の項目(例えば、部品条件における部品サイズおよび部品重量)も演算結果データとして抽出する。なお、抽出演算部24は、部品装着工程においても上記条件テーブルと一致するデータが結果テーブルの条件データにない場合、補間演算等を行うことによって結果テーブルに記載された上記結果データの近傍のデータを演算結果データとして演算することは言うまでもない。
【0053】
上記ステップS12において、CPU2の抽出演算部24は、上記ステップS7で演算した部品装着工程に関する演算結果データを条件テーブル記憶部62の条件テーブルに書き込む。この演算結果データも、条件テーブルにおける前工程演算結果データとして書き込まれる。例えば、抽出演算部24は、部品装着工程に関する演算結果データを条件テーブル記憶部62が記憶している図9で示した条件テーブルの前工程演算結果データに書き込む。つまり、条件テーブルの前工程演算結果データには、半田印刷工程および部品装着工程に関する演算結果データが書き込まれることになる。
【0054】
さらに、上記ステップS13において、CPU2が当該フローチャートに基づく処理動作の上記一時変数Pを+1して新たな一時変数Pを設定した場合、上述したステップS2〜S7と同様の処理によって、新たな工程Pにおけるシミュレーションを行う。この新たな工程Pは、典型的には既にシミュレーションした工程に対する次工程であり、上述したようにリフロー半田付け処理をシミュレーションし既に部品装着工程をシミュレーションした場合、次工程のリフロー工程が新たな工程Pとしてシミュレーションされる。以下、図10および図11を参照して、CPU2が、上記次工程のリフロー工程を新たな工程Pとしてシミュレーションする際のデータ例について説明する。なお、図10は上記リフロー工程に対して作成される結果テーブルの一例であり、図11は上記リフロー工程に対して作成される条件テーブルの一例である。
【0055】
図10において、CPU2の結果テーブル作成部22は、上記ステップS2で絞り込み部21が取得したリフロー工程に関するデータを用いて、結果テーブルを作成する。上記ステップS2では、絞り込み部21が同様にリフロー工程に関するデータを、CAEデータCAEa〜CAEn、実装実績データMD、検査実績データID、あるいは実験データED等から取得するが、同様の処理であるため詳細な説明を省略する。
【0056】
上記リフロー工程に関する結果テーブルも、CAEツール11の解析に用いられた解析条件や実験設備14の実験条件等を示す条件データと、それらの解析や実験等の結果を示す結果データとに分類されて作成される。上記リフロー工程を対象とする場合、上記条件データとしては、リフロー炉条件(ゾーン温度、搬送速度等)、半田印刷条件(半田サイズ、厚み、位置ばらつき、粘度、材質等)、部品条件(部品サイズ、部品重量、位置ばらつき等)等の項目がある。また、上記結果データは、それらの条件データを基にリフローされた結果であり、リフロー結果(位置ばらつき、プロファイル種別等)等の項目がある。
【0057】
上記結果テーブルも、それぞれ項目別に関連つけてマトリックスで表される離散的なデータであり、図10の一例は、リフロー炉条件におけるゾーン温度のみをそれぞれ変えることによって表される結果テーブルの一部を示している。例えば、条件データがリフロー炉条件(ゾーン1上部温度180℃、ゾーン1下部温度165℃、ゾーン2上部温度165℃、ゾーン2下部温度165℃、ゾーン3上部温度170℃、ゾーン3下部温度170℃、ゾーン4上部温度205℃、ゾーン4下部温度215℃、ゾーン5上部温度255℃、ゾーン5下部温度265℃、搬送速度1.3m/min)、半田印刷条件(半田サイズ0.55mm*0.55mm、厚み0.125mm、位置ばらつき(標準偏差)0.05mm、粘度70Pa・s、材質SnAgCu)、部品条件(部品サイズ1.0mm*0.5mm*0.4mm、部品重量0.1g、位置ばらつき(標準偏差)0.1mm)の場合、結果データがリフロー結果(位置ばらつき(標準偏差)0.04mm、温度プロファイルγ)で互いに関連つけられて表される。また、上述した条件データの内、条件データのリフロー炉条件をゾーン1上部温度185℃、ゾーン1下部温度170℃、ゾーン2上部温度170℃、ゾーン2下部温度170℃、ゾーン3上部温度175℃、ゾーン3下部温度175℃、ゾーン4上部温度210℃、ゾーン4下部温度220℃、ゾーン5上部温度260℃、ゾーン5下部温度270℃に変え、他の条件データを共通にした場合、結果データがリフロー結果(位置ばらつき(標準偏差)0.03mm、温度プロファイルβ)で互いに関連つけられて表される。なお、上記温度プロファイルについては、各温度プロファイルの種別(βあるいはγ等)に対応した時間経過に伴う温度変化データが結果テーブル内に格納されている。このように作成された結果テーブルは、上記ステップS4において、CPU2から内部記憶装置6に出力され、結果テーブル記憶部61に格納される。なお、結果テーブル記憶部61には、前工程(つまり、部品装着工程)の結果テーブルが格納されており、このステップS4で全て消去してもかまわない。
【0058】
一方、図11において、上記ステップS5でユーザがリフロー工程に関する処理条件データを入力することによって、条件テーブルが作成される。この処理条件データは、上記結果テーブルに設定されている条件データと同様の項目を有している。そして、上記ステップS6によって処理条件データが、条件設定部23によって条件テーブルに書き込まれて内部記憶装置6の条件テーブル記憶部62に格納される。
【0059】
上記部品装着工程に関する条件テーブルには、上記ステップS5で入力された処理条件データと前工程(つまり工程P−2およびP−1)の演算結果データとが書き込まれる。上述したようにリフロー工程の前工程である半田印刷工程および部品装着工程のシミュレーション処理では、上記ステップS12において、既に半田印刷工程における半田印刷結果(半田サイズ0.55mm*0.55mm、厚み0.125mm、位置ばらつき(標準偏差)0.05mm、粘度70Pa・s、材質SnAgCu)と、部品装着工程における部品条件(部品サイズ1.0mm*0.5mm*0.4mm、部品重量0.1g、位置ばらつき(標準偏差)0.1mm)が前工程演算結果データとして条件テーブルに書き込まれている。そして、上記処理条件データとしては、リフロー炉条件(ゾーン温度、搬送速度等)等の項目がある。例えば、処理条件データとして、リフロー炉条件(ゾーン1上部温度185℃、ゾーン1下部温度170℃、ゾーン2上部温度170℃、ゾーン2下部温度170℃、ゾーン3上部温度175℃、ゾーン3下部温度175℃、ゾーン4上部温度210℃、ゾーン4下部温度220℃、ゾーン5上部温度260℃、ゾーン5下部温度270℃、搬送速度1.3m/min)が新たに書き込まれる。なお、条件テーブル記憶部62には、前工程(つまり、部品装着工程)の処理条件データが記述されており、このステップS4で全て消去してもかまわないが、後述する表示処理においてシミュレーションに用いた条件を表示するために継続して記憶するのが好ましい。
【0060】
次に、上記ステップS7において、CPU2の抽出演算部24は、上述したリフロー工程に対する結果テーブル(図10参照)および条件テーブル(図11参照)を用いてシミュレーション演算を行い、演算結果データとして出力する。抽出演算部24は、上記条件テーブルに記載された処理条件データおよび前工程演算結果データに基づいて、それらのデータに相当する上記結果テーブルに記載された結果データを演算結果データとして抽出する。図10に示した結果テーブルには、図11に示した条件テーブルに記載されたデータに相当する条件データが存在するため、抽出演算部24は、その条件データに関連付けられた結果データをリフロー工程の演算結果データとして抽出する。つまり、抽出演算部24は、前工程におけるシミュレーション処理結果を含めてリフロー工程のシミュレーションを行うことになり、リフロー結果(位置ばらつき(標準偏差)0.03mm、温度プロファイルβ)を演算結果データとして抽出する。さらに、抽出演算部24は、後述する表示処理に必要な所定の項目(例えば、対象部品の最高温度250℃、最高温度持続時間4sec等)も演算結果データとして演算する。なお、抽出演算部24は、リフロー工程においても上記条件テーブルと一致するデータが結果テーブルの条件データにない場合、補間演算等を行うことによって結果テーブルに記載された上記結果データの近傍のデータを演算結果データとして演算することは言うまでもない。
【0061】
このように、実装工程シミュレーション装置1は、前工程のシミュレーション結果を用いることによって、実装の製造過程を構成する各工程を連続してシミュレーションできるので、初期設計条件および各工程の製造条件や製造ばらつきの当該製造過程全体への影響度を事前に評価することができる。例えば、最終的な基板に対する部品の位置精度は、半田印刷の位置ばらつきやリフロー工程の製造条件によって半田の表面張力等の影響によって、部品装着工程における部品の位置ばらつきが軽減されることもある。また、上記最終的な位置精度は、バンプの大きさや半田印刷厚みによっても影響される。つまり、部品位置等の設計条件およびメタルマスクの厚みや開口部の大きさ等の工程毎の制御項目が、リフロー後の半田付け不良にどの程度影響しているのか影響度を評価する必要がある。実装工程シミュレーション装置1は、このような各工程毎の影響を評価項目毎にそれぞれ事前に総合的に評価できるため、より実製造に応じた最終的な結果を事前に評価することができる。これは、各工程の評価基準と最終的な評価基準とを実製造に応じて適切に評価できることになり、各工程毎の不良率および最終工程後の不良率の低減につながる。
【0062】
図3に戻り、上述したようにCPU2は、上記ステップS8で現在演算している工程Pが最終工程である場合、あるいは、上記ステップS9で現在演算している工程Pにおける演算結果データを表示装置4に表示する場合、それぞれステップS14あるいはS10に処理を進めて表示処理を行う。以下、これらステップS10およびS14における表示処理について説明する。
【0063】
上記ステップS10およびS14において、CPU2の抽出演算部24は、演算した演算結果データ、条件テーブル記憶部62に格納されている前工程演算結果データ、およびそれらの演算に用いた処理条件データを、アニメーション変換処理部25を介して、あるいは直接表示装置4に出力することによって、それらのデータを表示装置4に表示あるいは印刷する表示処理を行う。アニメーション変換処理部25は、抽出演算部24から出力される上記データと、工程別アニメーション定義ファイル53で定義された処理対象の工程の動作記述とに基づいて、3次元のアニメーションを構成して表示装置4に出力する。上記3次元のアニメーションを構成する物体の移動や変形等の個々のアニメーション要素は、予め基本表示処理ライブラリ52に格納されており、アニメーション変換処理部25は、適時基本表示処理ライブラリ52に格納されたアニメーション要素を呼び出すことによって上記データに対応したアニメーションを構成する。そして、表示装置4は、アニメーション変換処理部25から出力された上記データを示すアニメーションを表示あるいは印刷することによって、そのアニメーションをユーザに掲示する。また、抽出演算部24から直接上記データが出力された場合、表示装置4は、その演算結果データをそのまま数値等の文字画像として表示あるいは印刷する。
【0064】
図12は、上述したリフロー工程において、表示装置4がアニメーション変換処理部25から出力された上記データを示すアニメーションを表示した一例である。図12において、表示装置4に表示されるデータは、表示するデータの種別に応じて各表示領域41〜44に表示される。
【0065】
例えば、表示領域41には、CPU2で処理対象の工程に対するシミュレーション処理に用いた条件テーブルの処理条件データおよび前工程演算結果データがシミュレーション条件の文字データとして表示される。上述したリフロー工程を対象として表示領域41に表示する場合、リフロー工程のシミュレーション処理に用いた条件テーブル(図11参照)に記載されたデータが表示される。つまり、上記条件テーブルの前工程演算結果データである半田印刷工程における半田印刷結果(半田サイズ0.55mm*0.55mm、厚み0.125mm、位置ばらつき(標準偏差)0.05mm、粘度70Pa・s、材質SnAgCu)と、部品装着工程における部品条件(部品サイズ1.0mm*0.5mm*0.4mm、部品重量0.1g、位置ばらつき(標準偏差)0.1mm)とが表示される。また、上記条件テーブルの処理条件データであるリフロー炉条件(ゾーン1上部温度185℃、ゾーン1下部温度170℃、ゾーン2上部温度170℃、ゾーン2下部温度170℃、ゾーン3上部温度175℃、ゾーン3下部温度175℃、ゾーン4上部温度210℃、ゾーン4下部温度220℃、ゾーン5上部温度260℃、ゾーン5下部温度270℃、搬送速度1.3m/min)が表示される。さらに、半田印刷工程の演算に用いられた基板条件(パットサイズ0.6mm*0.6mm)がシミュレーション処理条件として表示される。なお、表示領域41に表示されるこれらのデータは、任意に設定すればよい。
【0066】
表示領域42には、処理対象工程の動作記述とに基づいて、3次元のアニメーションを構成して表示される。上述したように、アニメーション変換処理部25は、抽出演算部24から出力されるデータに基づいて、工程別動作順序が定義された工程別アニメーション定義ファイル53を用いて処理対象の工程の動作をアニメーションで出力する。上記3次元のアニメーションを構成する物体の移動や変形等の個々のアニメーション要素は、予め基本表示処理ライブラリ52に格納されており、アニメーション変換処理部25は、適時工程別アニメーション定義ファイル53に基づいて基本表示処理ライブラリ52に格納されたアニメーション要素を呼び出すことによって、上記演算結果データに対応したアニメーションを構成する。例えば、上述したシミュレーション処理の結果として、半田付け結果がアニメーション表示される。このアニメーション表示では、シミュレーション処理の対象となった部品および基板(パット)に対してその半田付け結果が示され、部品42a、パット42b、および半田42cが表示される。半田42cの形状は、上記シミュレーションによって演算されるフィレット形状の各主要部の寸法に基づいてアニメーション表示される。各主要部の寸法は、部品42aの下面から半田42cの最上部までの高さH、部品42aの下面からパット42bの上面までの高さh、パット42b上面に形成される半田42cのサイズWおよびD、部品42aの一方端に対するパット42b上面に形成される半田42cのサイズd等である。これらの主要部の寸法は、CAEツール11、実装設備12、検査設備13、あるいは実験設備14によって予め解析し、上記結果テーブル作成時に上記主要部の寸法を含めて結果テーブルに取り込んでもかまわないし、CPU2がCAE機能を有している場合、リフロー工程におけるシミュレーション処理時に条件テーブルに記載された各データを用いてCPU2が演算してもかまわない。アニメーション変換処理部25では、これらの主要部の寸法と、シミュレーション処理の対象となった部品および基板(パット)のサイズや位置ばらつきとに基づいて、アニメーション表示を行う。このように、実装工程シミュレーション装置1は、各工程の挙動をアニメーションで表現する場合、共通要素を抽出して標準ライブラリ化することで、アニメーション表現に容易に対応できる。
【0067】
なお、これらのアニメーションは、他のシミュレーション結果を表示したり、3次元視点移動や断面図、あるいは透視図で表示してもかまわない。例えば、リフロー工程後の基板の変形(反り)をリフロー炉内熱解析によってアニメーション表示してもかまわない。半田印刷工程や部品装着工程等の途中工程をアニメーション表示する場合、それぞれのシミュレーション結果を3次元表示することによって、ユーザは、半田印刷形状や部品の干渉がより視認しやすくなる。また、基本表示処理ライブラリ52に格納された設備ユニットのアニメーション要素を用いて、対象部品や基板等と共に部品装着装置の吸着ノズル等の設備ユニットの動作も含めてアニメーション表示してもかまわない。
【0068】
表示領域43には、処理対象となっている工程に対して演算された演算結果データがシミュレーション結果の文字データとして表示される。上述したリフロー工程を対象として表示領域43に表示する場合、リフロー工程のシミュレーション処理で演算された演算結果データが表示される。つまり、リフロー結果(位置ばらつき(標準偏差)0.03mm、温度プロファイルβ、最高温度250℃、最高温度持続時間4sec)が表示される。さらに、上述したフィレット形状についてもその主要部の寸法が表示される。例えば、高さH:0.3mm、高さh:0.1mm、サイズW:0.6mm、サイズD:0.4mm、サイズd:0.1mm等である。
【0069】
表示領域44には、リフロー工程のシミュレーション処理で演算されたプロファイル種別に基づいて、その温度プロファイルが図示される。この温度プロファイルは、対象部品に対する温度推移が、横軸:時間(sec)、縦軸:温度(℃)のグラフで示される。
【0070】
CPU2は、上述したような表示処理を上記ステップS10で行った場合、上記ステップS11に処理を進め、上記ステップS14で行った場合、当該フローチャートによる処理を終了する。
【0071】
このように、実装工程シミュレーション装置1では、実装の各工程を連続してシミュレーションするため、初期設計条件や各工程別の製造条件が実装過程全体にどのような影響を及ぼすか事前に確認することができ、適切な回路基板設計や工法開発が可能となる。また、製造現場での重要な管理項目とその適正値とを抽出することが容易になる。また、上記シミュレーション結果は、3次元アニメーションで仮想表示することができるため、現実的な視認が容易である。
【0072】
なお、上述ではリフロー半田付け処理を一例に実装工程シミュレーション装置を説明したが、本発明の実装工程シミュレーション装置は、他の製造工程についてもシミュレーション処理が可能である。例えば、上述したリフロー半田付け処理の工程途中に接着剤塗布工程を追加しても適用が可能であるし、バンプ形成工程、接着剤転写/ICマウント工程、および封止工程等によって構成される半導体製造工程等の様々な製造工程におけるシミュレーション処理に適用が可能である。
【0073】
また、上述したシミュレーション結果は、シミュレーションされた回路基板に対して寿命予測等の信頼性評価にも利用することができる。例えば、上記シミュレーション結果に含まれる半田組成、半田接合部形状、および半田量等に基づいて、各種実験や解析によるデータベースを参照して回路基板の信頼性や高周波特性等の性能を評価することによって、事前に信頼性評価のシミュレーションが可能となる。
【0074】
また、上述したシミュレーション結果は、各工程で演算された演算結果データを用いてそれぞれその工程に設定された評価基準で評価することによって、それぞれの工程の不良率を事前に算出することができる。さらに、最終完成品等の最終的な評価基準に対する各工程の評価基準を実製造に応じて適切に評価することができるため、歩留まりの低減や不良率の低減を容易に行うことができる。また、これらのシミュレーション結果や不良率の評価結果は、基板設計にフィードバックすることができるため、容易に回路基板の設計修正につなげることができる。
【0075】
また、上述したシミュレーション結果は、実装製造過程に設けられる検査工程に対してその検査性の検証に用いることができる。例えば、回路基板に狭隣接状態で装着される複数の部品の位置や多層基板における部品の位置に対して、その間隔や位置の検査をどのように(例えば、レーザ測定やX線検査)行うかを事前に検証することができる。
【0076】
また、上述では、実装工程シミュレーション装置1が単一のコンピュータシステムで構成される例を説明したが、実装工程シミュレーション装置1は、シミュレーションする各工程毎に対応して設けられている実装設備に付属させて、それぞれ別に設けてもかまわない。この場合、上述した外部記憶装置5のみを共通に設置し、CPU2、入力装置3、表示装置4、および内部記憶装置6を一組にして、それぞれ実装装置に付属させる。そして、それぞれのCPU2は、前工程および次工程に設置されたCPU2と所定の通信機器を介してデータ送受信可能に接続し、それぞれ自工程に対して演算した演算結果データを含んだ上記条件テーブルを次工程のCPU2に出力するようにする。これによって、各工程の実装設備に設けられた実装工程シミュレーション装置は、前工程の条件テーブルを用いて上述と同様のシミュレーションが可能となる。そして、上記実装設備毎に設けられた実装工程シミュレーション装置は、製造中でも容易に利用することができ、例えば、製造条件を変更することによって自工程の製造精度および後工程への影響を容易に検証することができる。また、自工程の不良率が悪化した場合等、シミュレーション結果と異なった傾向が認められたとき、直ちに実装設備の実績データを用いて再シミュレーションすることが可能であり、要因の検証を行うことができる。
【0077】
【発明の効果】
このように、実装の各工程を連続してシミュレーションすることによって、初期設計条件や各工程別の製造条件が実装過程全体にどのような影響を及ぼすか事前に確認することができ、適切な回路基板設計や工法開発が可能となる。また、製造現場での重要な管理項目とその適正値とを抽出することが容易になる。また、上記シミュレーション結果は、3次元アニメーションで仮想表示することができるため、現実的な視認が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る実装工程シミュレーション装置1および周辺機器のハード構成を示す図である。
【図2】図1の実装工程シミュレーション装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1の実装工程シミュレーション装置1の動作を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS3で半田印刷工程を対象に作成される結果テーブルの一例である。
【図5】図3のステップS6で半田印刷工程を対象に作成される条件テーブルの一例である。
【図6】図3のステップS7で行われる補正処理の一例を説明するためのグラフである。
【図7】図3のステップS7で半田印刷工程を対象に演算される演算結果データの一例である。
【図8】図3のステップS3で部品装着工程を対象に作成される結果テーブルの一例である。
【図9】図3のステップS6で部品装着工程を対象に作成される条件テーブルの一例である。
【図10】図3のステップS3でリフロー工程を対象に作成される結果テーブルの一例である。
【図11】図3のステップS6でリフロー工程を対象に作成される条件テーブルの一例である。
【図12】図1の表示装置4がアニメーション表示する一例である。
【図13】従来の実装工程における各工程を個別にシミュレーションする方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1…実装工程シミュレーション装置
2…CPU
21…絞り込み部
22…結果テーブル作成部
23…条件設定部
24…抽出演算部
25…アニメーション変換処理部
3…入力装置
4…表示装置
41〜44…表示領域
5…外部記憶装置
51…共通条件DB
52…基本表示処理ライブラリ
53…工程別アニメーション定義ファイル
6…内部記憶装置
61…結果テーブル記憶部
62…条件テーブル記憶部
10…条件DB
11…CAEツール
12…実装設備
13…検査設備
14…実験設備
15、16…実績データ記憶部
17…実験データ記憶部

Claims (14)

  1. 回路基板への電子部品の実装過程であって連続する複数の工程によって構成される実装過程のシミュレーションを実行する実装工程シミュレーション装置であって、
    シミュレーションする条件の入力を受け付ける入力部と、
    前記入力部で受け付けられた条件に基づいてシミュレーションする実行部とを備え、
    前記複数の工程は、
    所定の回路パターンが形成された前記回路基板において、前記電子部品との電気的な接続をするための電極部に半田を印刷する半田印刷工程と、
    前記半田印刷工程で印刷された半田上に前記電子部品の電極が位置するように前記電子部品を配置する部品装着工程と、
    前記部品装着工程で配置された前記電子部品を、前記半田印刷工程で印刷された半田を溶融させることによって前記回路基板と固着させるリフロー工程とからなり、
    前記実行部は、
    前記半田印刷工程に対して前記入力部で受け付けられた条件を含んだ半田印刷条件に基づいてシミュレーションする半田印刷シミュレーション処理と、
    前記半田印刷シミュレーション処理でシミュレーションされた結果を、前記部品装着工程に対する部品装着シミュレーション条件として決定する部品装着シミュレーション条件決定処理と、
    前記部品装着工程に対して前記入力部で受け付けられた条件と前記部品装着シミュレーション条件を含んだ部品装着条件に基づいてシミュレーションする部品装着シミュレーション処理
    前記部品装着シミュレーション処理でシミュレーションされた結果を、前記リフロー工程に対するリフローシミュレーション条件として決定するリフローシミュレーション条件決定処理と、
    前記リフロー工程に対して前記入力部で受け付けられた条件と、前記部品装着シミュレーション条件と、前記リフローシミュレーション条件とを含んだリフロー条件に基づいてシミュレーションするリフローシミュレーション処理と実行し、
    複数の条件に基づいて解析された解析結果データが工程毎に予め生成されており、
    前記半田印刷シミュレーション処理では、前記半田印刷条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データが生成されている場合、当該生成されている前記解析結果データを抽出することによって前記半田印刷工程に対するシミュレーションが行われ、
    前記部品装着シミュレーション処理では、前記部品装着条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データが生成されている場合、当該生成されている前記解析結果データを抽出することによって前記部品装着工程に対するシミュレーションが行われ、
    前記リフローシミュレーション処理では、前記リフロー条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データが生成されている場合、当該生成されている前記解析結果データを抽出することによって前記リフロー工程に対するシミュレーションが行われる、実装工程シミュレーション装置
  2. 前記半田印刷シミュレーション処理では、前記半田印刷条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データが生成されていない場合、当該相当する条件に対する前後の条件に基づいて解析された前記解析結果データを用いて補間演算することによって前記半田印刷工程に対するシミュレーションが行われ、
    前記部品装着シミュレーション処理では、前記部品装着条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データが生成されていない場合、前記部品装着条件に相当する条件に対する前後の条件に基づいて解析された前記解析結果データを用いて補間演算することによって前記部品装着工程に対するシミュレーションが行われ、
    前記リフローシミュレーション処理では、前記リフロー条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データが生成されていない場合、前記リフロー条件に相当する条件に対する前後の条件に基づいて解析された前記解析結果データを用いて補間演算するこ とによって前記リフロー工程に対するシミュレーションが行われる、請求項1に記載の実装工程シミュレーション装置
  3. 前記解析結果データは、工程毎にCAEツールを用いて予めシミュレーションされたデータ、解析によって得られる、実装現場において工程毎に設置された実装装置の製造実績データ、および工程毎の動作を想定した実験によって解析された実験データのうちから少なくとも1つが選ばれることを特徴とする、請求項に記載の実装工程シミュレーション装置
  4. 予め格納されたアニメーション要素を工程別に動作順序が定義された定義ファイルに基づいて読み出すことによって、前記実行部でシミュレーションされた結果を示すためのアニメーションを表示装置に3次元表示するアニメーション処理部をさらに備える、請求項1に記載の実装工程シミュレーション装置
  5. 数の条件が組合わせで予め格納された条件データベースから、前記半田印刷工程に対して前記入力部で受け付けられた条件に対応する条件を読み出し、読み出した条件を前記半田印刷条件にさらに加える処理と、前記条件データベースから、前記部品装着工程に対して前記入力部で受け付けられた条件に対応する条件を読み出し、読み出した条件を前記部品装着条件にさらに加える処理と、前記条件データベースから、前記リフロー工程に対して前記入力部で受け付けられた条件に対応する条件を読み出し、読み出した条件を前記リフロー条件にさらに加える処理とを実行する条件取得さらに備える、請求項1に記載の実装工程シミュレーション装置
  6. 前記半田印刷シミュレーション処理では、前記半田印刷工程における製造ばらつきを含んだ前記解析結果データを抽出することによって前記半田印刷工程に対するシミュレーションが行われ、
    前記部品装着シミュレーション条件決定処理では、前記製造ばらつきを含んだ前記半田印刷シミュレーション処理でシミュレーションされた結果が前記部品装着シミュレーション条件として決定され、
    前記部品装着シミュレーション処理では、前記部品装着工程に対して前記入力部で受け付けられた条件と前記製造ばらつきを含んだ前記部品装着シミュレーション条件とを含んだ前記部品装着条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データを抽出することによって前記部品装着工程に対するシミュレーションが行われ、
    前記リフローシミュレーション条件決定処理では、前記製造ばらつきに基づいて前記部品装着シミュレーション処理でシミュレーションされた結果が前記リフローシミュレーション条件として決定され、
    前記リフローシミュレーション処理では、前記リフロー工程に対して前記入力部で受け付けられた条件と、前記製造ばらつきを含んだ前記部品装着シミュレーション条件と、前記製造ばらつきに基づく前記リフローシミュレーション条件とを含んだ前記リフロー条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データを抽出することによって前記リフロー工程に対するシミュレーションが行われる、請求項1に記載の実装工程シミュレーション装置
  7. 前記半田印刷シミュレーション処理では、前記半田印刷工程に対して前記入力部で受け付けられた制御項目を含んだ前記半田印刷条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データを抽出することによって前記半田印刷工程に対するシミュレーションが行われ、
    前記部品装着シミュレーション条件決定処理では、前記制御項目に基づいて前記半田印刷シミュレーション処理でシミュレーションされた結果が前記部品装着シミュレーション条件として決定され、
    前記部品装着シミュレーション処理では、前記部品装着工程に対して前記入力部で受け付けられた条件と前記制御項目に基づく前記部品装着シミュレーション条件とを含んだ前記部品装着条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データを抽出することによって前記部品装着工程に対するシミュレーションが行われ、
    前記リフローシミュレーション条件決定処理では、前記制御項目に基づいて前記部品装 着シミュレーション処理でシミュレーションされた結果が前記リフローシミュレーション条件として決定され、
    前記リフローシミュレーション処理では、前記リフロー工程に対して前記入力部で受け付けられた条件と、前記制御項目に基づく前記部品装着シミュレーション条件と、前記制御項目に基づく前記リフローシミュレーション条件とを含んだ前記リフロー条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データを抽出することによって前記リフロー工程に対するシミュレーションが行われる、請求項1に記載の実装工程シミュレーション装置。
  8. 前記実行部は、前記リフローシミュレーション処理でシミュレーションされた結果を用いて、前記実装過程で製造された製品の信頼性評価を行う信頼性評価処理をさらに実行する、請求項1に記載の実装工程シミュレーション装置
  9. 前記実行部は、前記半田印刷シミュレーション処理、前記部品装着シミュレーション処理、および前記リフローシミュレーション処理でシミュレーションされた結果を用いて、前記半田印刷工程、前記部品装着工程、および前記リフロー工程で製造される製品の不良率を演算する不良率演算処理をさらに実行する、請求項1に記載の実装工程シミュレーション装置
  10. 回路基板への電子部品の実装過程であって連続する複数の工程によって構成される実装過程のシミュレーションを実行する実装工程シミュレーション装置によって実行される実装工程シミュレーション方法であって、
    シミュレーションする条件の入力を受け付ける入力ステップと、
    前記入力ステップで受け付けられた条件に基づいてシミュレーションする実行ステップとを含み、
    前記複数の工程は、
    所定の回路パターンが形成された前記回路基板において、前記電子部品との電気的な接続をするための電極部に半田を印刷する半田印刷工程と、
    前記半田印刷工程で印刷された半田上に前記電子部品の電極が位置するように前記電子部品を配置する部品装着工程と、
    前記部品装着工程で配置された前記電子部品を、前記半田印刷工程で印刷された半田を溶融させることによって前記回路基板と固着させるリフロー工程とからなり、
    前記実行ステップは、
    前記半田印刷工程に対して前記入力ステップで受け付けられた条件を含んだ半田印刷条件に基づいてシミュレーションする半田印刷シミュレーションステップと、
    前記半田印刷シミュレーションステップでシミュレーションされた結果を、前記部品装着工程に対する部品装着シミュレーション条件として決定する部品装着シミュレーション条件決定ステップと、
    前記部品装着工程に対して前記入力ステップで受け付けられた条件と前記部品装着シミュレーション条件とを含んだ部品装着条件に基づいてシミュレーションする部品装着シミュレーションステップと、
    前記部品装着シミュレーションステップでシミュレーションされた結果を、前記リフロー工程に対するリフローシミュレーション条件として決定するリフローシミュレーション条件決定ステップと、
    前記リフロー工程に対して前記入力ステップで受け付けられた条件と、前記部品装着シミュレーション条件と、前記リフローシミュレーション条件とを含んだリフロー条件に基づいてシミュレーションするリフローシミュレーションステップとを有し、
    複数の条件に基づいて解析された解析結果データが工程毎に予め生成されており、
    前記半田印刷シミュレーションステップでは、前記半田印刷条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データが生成されている場合、当該生成されている前記解析結果データを抽出することによって前記半田印刷工程に対するシミュレーションが行われ、
    前記部品装着シミュレーションステップでは、前記部品装着条件に相当する条件に基づ いて解析された前記解析結果データが生成されている場合、当該生成されている前記解析結果データを抽出することによって前記部品装着工程に対するシミュレーションが行われ、
    前記リフローシミュレーションステップでは、前記リフロー条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データが生成されている場合、当該生成されている前記解析結果データを抽出することによって前記リフロー工程に対するシミュレーションが行われる、実装工程シミュレーション方法。
  11. 前記半田印刷シミュレーションステップでは、前記半田印刷条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データが生成されていない場合、当該相当する条件に対する前後の条件に基づいて解析された前記解析結果データを用いて補間演算することによって前記半田印刷工程に対するシミュレーションが行われ、
    前記部品装着シミュレーションステップでは、前記部品装着条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データが生成されていない場合、前記部品装着条件に相当する条件に対する前後の条件に基づいて解析された前記解析結果データを用いて補間演算することによって前記部品装着工程に対するシミュレーションが行われ、
    前記リフローシミュレーションステップでは、前記リフロー条件に相当する条件に基づいて解析された前記解析結果データが生成されていない場合、前記リフロー条件に相当する条件に対する前後の条件に基づいて解析された前記解析結果データを用いて補間演算することによって前記リフロー工程に対するシミュレーションが行われる、請求項10に記載の実装工程シミュレーション方法。
  12. 前記解析結果データは、工程毎にCAEツールを用いて予めシミュレーションされたデータ、解析によって得られる、実装現場において工程毎に設置された実装装置の製造実績データ、および工程毎の動作を想定した実験によって解析された実験データのうちから少なくとも1つが選ばれることを特徴とする、請求項10に記載の実装工程シミュレーション方法。
  13. 予め格納されたアニメーション要素を工程別に動作順序が定義された定義ファイルに基づいて読み出すことによって、前記実行ステップでシミュレーションされた結果を示すためのアニメーションを表示装置に3次元表示するアニメーション処理ステップをさらに含む、請求項10に記載の実装工程シミュレーション方法。
  14. 複数の条件が組合わせで予め格納された条件データベースから、前記半田印刷工程に対して前記入力ステップで受け付けられた条件に対応する条件を読み出し、読み出した条件を前記半田印刷条件にさらに加えるステップと、
    前記条件データベースから、前記部品装着工程に対して前記入力ステップで受け付けられた条件に対応する条件を読み出し、読み出した条件を前記部品装着条件にさらに加えるステップと、
    前記条件データベースから、前記リフロー工程に対して前記入力ステップで受け付けられた条件に対応する条件を読み出し、読み出した条件を前記リフロー条件にさらに加えるステップとをさらに含む、請求項10に記載の実装工程シミュレーション方法。
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