JP4244904B2 - 光学系の光伝搬構造および光学表示装置、並びに光学系の光伝搬方法および光学表示装置の表示方法 - Google Patents
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Description
光学表示装置のなかでも、液晶プロジェクタ、DLPプロジェクタといった投射型表示装置は、大画面表示が可能であり、表示画像のリアリティさや迫力を再現する上で効果的な装置である。この分野では、上記の課題を解決するために、次のような提案がなされている。
特許文献2記載の発明は、光源と、第1光変調素子と、第1光変調素子からの光をRGB3原色の光に分離する光分離部と、光分離部で分離した光をそれぞれ入射する複数の第2光変調素子と、各第2光変調素子からの光を合成するクロスプリズムとを備え、第1光変調素子および各第2光変調素子を介して光源からの光を変調して画像を表示するようになっている。特許文献2記載の発明においては、第1光変調素子は照明光学系を構成する光学レンズによって第2光変調素子上に結像されるようになっている。
図21の光学系では、フライアイレンズ112a,112bを挟んで光源側に輝度変調用の第1光変調素子130を配置し、フライアイレンズ112a,112bを挟んで光源の反対側に色変調用の第2光変調素子140を配置している。この光学系では、第1光変調素子130から近いフライアイレンズ112aを構成する各要素レンズに対応する範囲毎の第1光変調素子130の部分の光学像が第2光変調素子140の画素面に重なって結像されている。そのため、所望の輝度分布を得るためには、各要素レンズに対応する範囲ごとに、この輝度分布を形成しなければならない。ところで、フライアイレンズ112a,112bは、輝度分布を均一化する目的で使用される光学素子であり、その目的においては、要素レンズの数が多いことが望まれる。すると、必然的に各要素レンズのサイズは、第2光変調素子140の各画素サイズに比して小さいものとなる。具体的には、1/3〜1/5程度の大きさのものが用いられる。いま、第2光変調素子140の画素と第1光変調素子130の画素を1対1に対応させることを考えると、第1光変調素子130の画素密度は、第2光変調素子140の画素密度の3〜5倍必要になる。しかしながら、現在の光変調素子(例えば、液晶ライトバルブ)は、高精細化のために微細加工技術の上限に近い画素密度を有しており、その点を考慮すると、第1光変調素子130で3〜5倍の画素密度を実現しようとすることは困難である。したがって、第1光変調素子130で形成可能な輝度分布の精度は、第2光変調素子140の画素密度の3〜5倍粗いものとならざるを得ない。さらに、各要素レンズの光学像は、第1光変調素子130から遠いフライアイレンズ112bと集光レンズ12dのたかだか2枚のレンズで第2光変調素子140の画素面に結像されるため、十分な収差補正ができず、かなりぼけの伴ったものとならざるを得ない。よって、従来の投射型表示装置にあっては、高精度な輝度調整を行うのが困難であるという問題もあった。
光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、前記第1光変調素子からの光を異なる複数の特定波長領域の光に分離する光分離手段と、前記光分離手段で分離した光をそれぞれ入射しかつ光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する複数の第2光変調素子とを備え、前記第1光変調素子および前記各第2光変調素子を介して光源からの光を変調する光学系に適用される構造であって、
前記第1光変調素子と前記光分離手段の光路上に、前記第1光変調素子の光学像を前記各第2光変調素子の画素面に結像するリレー光学系を設けたことを特徴とする。
また、リレー光学系は、両側テレセントリック性を有する構成とすることができる。この構成では、第2光変調素子の画素面上に結像される像の、明るさ、色味、コントラスト等の均一化が確実に図られ、画像表示品質が良好なものとなる。さらに、この構成では、第2光変調素子の光軸方向の配置位置に関する許容誤差範囲を比較的広く取ることが可能となり、設計や構成の簡素化、製造コストの低減化が図られる。
また、光源は、光を発生する媒体であればどのようなものを利用することもでき、例えば、ランプのような光学系に内蔵の光源であってもよいし、太陽や室内灯のような外界の光源であってもよい。以下、発明9の光学系の光伝搬方法において同じである。
光源と、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、前記第1光変調素子からの光を異なる複数の特定波長領域の光に分離する光分離手段と、前記光分離手段で分離した光をそれぞれ入射しかつ光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する複数の第2光変調素子と、前記各第2光変調素子からの光を合成する光合成手段とを備え、前記第1光変調素子および前記各第2光変調素子を介して前記光源からの光を変調して画像を表示する装置であって、
前記第1光変調素子と前記光分離手段の光路上に、前記第1光変調素子の光学像を前記各第2光変調素子の画素面に結像するリレー光学系を設けたことを特徴とする。
前記リレー光学系は、両側テレセントリック性を有することを特徴とする。
このような構成であれば、第2光変調素子の画素面上に結像される像の、明るさ、色味、コントラスト等の均一化が確実に図られ、画像表示品質が良好なものとなる。
また、上記構成により、第2光変調素子の光軸方向の配置位置に関する許容誤差範囲を比較的広く取ることが可能となり、設計や構成の簡素化、製造コストの低減化が図られる。
前記光分離手段から前記各第2光変調素子までの複数の光路のうち特定光路よりも光路長が大きい少なくとも1つの光路上に、前記第1光変調素子の光学像を当該光路に対応する前記第2光変調素子の画素面に結像する第2リレー光学系を設けたことを特徴とする。
このような構成であれば、光分離手段から各第2光変調素子までの複数の光路のうち特定光路よりも光路長が大きい少なくとも1つの光路において、第2リレー光学系を介して第1光変調素子の光学像がその光路に対応する第2光変調素子の画素面に結像される。
〔発明5〕 さらに、発明5の光学表示装置は、発明4の光学表示装置において、
前記第2リレー光学系は、第1サブリレーレンズと、前記第1サブリレーレンズよりも前記第2光変調素子側に配置される第2サブリレーレンズと、前記第1サブリレーレンズおよび前記第2サブリレーレンズの間に配置されるフィールドレンズとを有し、
前記第1サブリレーレンズを介して前記フィールドレンズ上またはその近傍に結像される前記第1光変調素子の正立光学像が前記第2サブリレーレンズを介して前記第2光変調素子の画素面に倒立光学像として結像されるように、前記第1サブリレーレンズ、前記第2サブリレーレンズおよび前記フィールドレンズを配置したことを特徴とする。
これにより、第1光変調素子の光学像をほぼ同一の輝度分布で各第2光変調素子の画素面に結像することができるという効果が得られる。
前記第1光変調素子および前記第2光変調素子は、液晶ライトバルブであることを特徴とする。
このような構成であれば、既存の光学部品を利用することができるので、コストの上昇をさらに抑えることができるという効果が得られる。
前記光源と前記第1光変調素子との光路上に、前記光源からの光の輝度分布を均一化する輝度分布均一化手段を設けたことを特徴とする。
このような構成であれば、輝度分布均一化手段により、光源からの光の輝度分布が均一化されて第1光変調素子に入射される。
〔発明8〕 さらに、発明8の光学表示装置は、発明7の光学表示装置において、
前記輝度分布均一化手段は、前記光源からの光を第1光変調素子の入射可能偏光方向に応じて偏光する偏光変換素子を有することを特徴とする。
このような構成であれば、偏光変換素子により、光源からの光が第1光変調素子の入射可能偏光方向に応じて偏光され、偏光された光が第1光変調素子に入射される。
〔発明9〕 一方、上記目的を達成するために、発明9の光学系の光伝搬方法は、
光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、前記第1光変調素子からの光を異なる複数の特定波長領域の光に分離する光分離手段と、前記光分離手段で分離した光をそれぞれ入射しかつ光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する複数の第2光変調素子とを備え、前記第1光変調素子および前記各第2光変調素子を介して光源からの光を変調する光学系に適用される方法であって、
前記第1光変調素子と前記光分離手段の光路において、リレー光学系を介して前記第1光変調素子の光学像を前記各第2光変調素子の画素面に結像することを特徴とする。
なお、リレー光学系は、透過型の光学素子(レンズなど)、及び反射型の光学素子(ミラーなど)のいずれか一方を用いて構成してもよく、双方を用いて構成してもよい。
また、リレー光学系は、両側テレセントリック性を有する構成とすることができる。この構成では、第2光変調素子の画素面上に結像される像の、明るさ、色味、コントラスト等の均一化が確実に図られ、画像表示品質が良好なものとなる。さらに、この構成では、第2光変調素子の光軸方向の配置位置に関する許容誤差範囲を比較的広く取ることが可能となり、設計や構成の簡素化、製造コストの低減化が図られる。
光源と、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、前記第1光変調素子からの光を異なる複数の特定波長領域の光に分離する光分離手段と、前記光分離手段で分離した光をそれぞれ入射しかつ光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する複数の第2光変調素子と、前記各第2光変調素子からの光を合成する光合成手段とを備え、前記第1光変調素子および前記各第2光変調素子を介して前記光源からの光を変調して画像を表示する光学表示装置の表示方法であって、
前記第1光変調素子と前記光分離手段の光路において、リレー光学系を介して前記第1光変調素子の光学像を前記各第2光変調素子の画素面に結像することを特徴とする。
〔発明11〕 さらに、発明11の光学表示装置の表示方法は、発明10の光学表示装置の表示方法において、
前記光分離手段から前記各第2光変調素子までの複数の光路のうち特定光路よりも光路長が大きい少なくとも1つの光路において、第2リレー光学系を介して前記第1光変調素子の光学像を当該光路に対応する前記第2光変調素子の画素面に結像することを特徴とする。
〔発明12〕 さらに、発明12の光学表示装置の表示方法は、発明11の光学表示装置の表示方法において、
前記第2リレー光学系は、第1サブリレーレンズと、前記第1サブリレーレンズよりも前記第2光変調素子側に配置される第2サブリレーレンズと、前記第1サブリレーレンズおよび前記第2サブリレーレンズの間に配置されるフィールドレンズとを有し、
前記第1サブリレーレンズを介して前記フィールドレンズ上またはその近傍に結像される前記第1光変調素子の正立光学像を、前記第2サブリレーレンズを介して前記第2光変調素子の画素面に倒立光学像として結像することを特徴とする。
〔発明13〕 さらに、発明13の光学表示装置の表示方法は、発明9ないし12のいずれかの光学表示装置の表示方法において、
前記第1光変調素子および前記第2光変調素子は、液晶ライトバルブであることを特徴とする。
〔発明14〕 さらに、発明14の光学表示装置の表示方法は、発明9ないし13のいずれかの光学表示装置の表示方法において、
前記光源と前記第1光変調素子との光路において、輝度分布均一化手段を介して前記光源からの光の輝度分布を均一化することを特徴とする。
〔発明15〕 さらに、発明15の光学表示装置の表示方法は、発明14の光学表示装置の表示方法において、
前記光源と前記第1光変調素子との光路において、偏光変換素子を介して前記光源からの光を第1光変調素子の入射可能偏光方向に応じて偏光することを特徴とする。
本実施の形態は、本発明に係る光学系の光伝搬構造および光学表示装置、並びに光学系の光伝搬方法および光学表示装置の表示方法を、図1に示すように、投射型表示装置100に適用したものである。
図1は、投射型表示装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
投射型表示装置100は、図1に示すように、光源10と、光源10から入射した光の輝度分布を均一化する輝度分布均一化部12と、輝度分布均一化部12から入射した光の全波長領域の輝度を変調する輝度変調部14と、輝度変調部14から入射した光をリレーするリレーレンズ16と、リレーレンズ16から入射した光の波長領域のうちRGB3原色の輝度をそれぞれ変調する色変調部18と、色変調部18から入射した光をスクリーン(不図示)に投射する投射部20とで構成されている。
輝度変調部14は、透過率を独立に制御可能な複数の画素をマトリクス状に配列した液晶ライトバルブ30と、フィールドレンズ32aと、集光レンズ32bとで構成されている。そして、輝度分布均一化部12からの光をフィールドレンズ32aを介して入射し、入射した光の全波長領域の輝度を液晶ライトバルブ30により変調し、変調した光を集光レンズ32bにより集光してリレーレンズ16に出射する。リレーレンズ16は、液晶ライトバルブ30の光学像を後述するダイクロイックミラー、フィールドレンズ、リレーレンズ等を介して液晶ライトバルブ40R,40G,40B上に結像する。
リレーレンズ16は、液晶ライトバルブ30の光学像を各液晶ライトバルブ40R〜40Bの画素面に結像するものであって、図2に示すように、開口絞りに対してほぼ対称に配置された前段レンズ群および後段レンズ群からなる等倍結像レンズである。前段レンズ群および後段レンズ群は、複数の凸レンズと、1枚の凹レンズとで構成されている。ただし、レンズの形状、大きさ、配置間隔および枚数、テレセントリック性、倍率その他のレンズ特性は、要求される特性によって適宜変更され得るものであり、図2の例に限定されるものではない。なお、リレーレンズ16を両側テレセントリックに構成する場合は、集光レンズ32b、フィールドレンズ42R、42G、42B3を省略することが可能である。また、図2のレンズ構成は、サブリレーレンズ50a,50bの構成にも同様に適用することができる。
リレーレンズ16は、図3に示すように、典型的には等倍結像のものが用いられるので、液晶ライトバルブ30および液晶ライトバルブ40R〜40Bの画素密度を同一としても、液晶ライトバルブ30の画素と液晶ライトバルブ40R〜40Bの画素を1対1に対応させることができる。また、リレーレンズ16は、多数枚のレンズから構成されるので、収差補正が良く、液晶ライトバルブ30で形成される輝度分布を正確に液晶ライトバルブ40R〜40Bに伝達することができる。
図6は、表示制御装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。
表示制御装置200は、図6に示すように、制御プログラムに基づいて演算およびシステム全体を制御するCPU70と、所定領域にあらかじめCPU70の制御プログラム等を格納しているROM72と、ROM72等から読み出したデータやCPU70の演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM74と、外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F78とで構成されており、これらは、データを転送するための信号線であるバス79で相互にかつデータ授受可能に接続されている。
記憶装置82は、HDR表示データを記憶している。
HDR表示データは、従来のsRGB等の画像フォーマットでは実現できない高い輝度ダイナミックレンジを実現することができる画像データであり、画素の輝度レベルを示す画素値を画像の全画素について格納している。現在は、特にCGの世界において、CGオブジェクトを実際の風景に合成するために用いられている。画像形式としては様々なものが存在するが、従来のsRGB等の画像フォーマットよりも高い輝度ダイナミックレンジを実現するために浮動小数点形式で画素値を格納する形式が多い。また、格納する値としては、人間の視覚特性を考慮しない物理的な放射輝度(Radiance=W/(sr・m2))や、人間の視覚特性を考慮した輝度(luminance=cd/m2)に関する値であるという点も特徴である。本実施の形態では、HDR表示データとして、1つの画素についてRGB3原色ごとに放射輝度レベルを示す画素値を浮動小数点値として格納した形式を用いる。例えば、1つの画素の画素値として(1.2,5.4,2.3)という値が格納されている。
Rp = Tp×Rs …(1)
Tp = T1×T2×G …(2)
ただし、上式(1),(2)において、Rsは光源10の輝度、Gはゲインであり、いずれも定数である。また、Tpは、光変調率である。
輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブがそれぞれ異なる解像度を有する場合、輝度変調ライトバルブの1つの画素p1について画素p1が色変調ライトバルブの複数の画素にまたがって結像されたり、また逆に、色変調ライトバルブの1つの画素p2について画素p2上に輝度変調ライトバルブの複数の画素が重なって結像されたりする。ここで、輝度変調ライトバルブの画素p1について透過率T1を算出する場合、色変調ライトバルブの重なり合う複数の画素の透過率T2が決定されていれば、それら透過率T2の平均値等を算出し、算出した平均値等を色変調ライトバルブの画素p1に対応する画素の透過率T2と見立てて、上式(1),(2)により透過率T1を算出することが考えられる。しかしながら、あくまで平均値等を色変調ライトバルブの透過率T2と見立てているので、そこにはどうしても誤差が生じる。この誤差は、輝度変調ライトバルブの透過率T1の方を先に決定する場合でも、色変調ライトバルブの透過率T2の方を先に決定する場合でも、決定順序にかかわらず発生するが、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブのうち表示解像度を決定するものについては、視覚的な影響力が大きいので誤差を極力小さくした方がよい。
以上のことから、画質を向上する観点からは、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブのうち表示解像度を決定するものの透過率の方を後に決定する方が誤差の影響が少なくてよいという結論が得られる。本実施の形態では、色変調ライトバルブが表示解像度を決定するので、色変調ライトバルブの透過率T2の方を後に決定する。
図7は、制御値登録テーブル400のデータ構造を示す図である。
制御値登録テーブル400には、図7に示すように、輝度変調ライトバルブの各制御値ごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、輝度変調ライトバルブの制御値を登録したフィールドと、輝度変調ライトバルブの透過率を登録したフィールドとを含んで構成されている。
図8は、制御値登録テーブル420Rのデータ構造を示す図である。
制御値登録テーブル420Rには、図8に示すように、液晶ライトバルブ40Rの各制御値ごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、液晶ライトバルブ40Rの制御値を登録したフィールドと、液晶ライトバルブ40Rの透過率を登録したフィールドとを含んで構成されている。
次に、CPU70の構成およびCPU70で実行される処理を説明する。
CPU70は、マイクロプロセッシングユニット(MPU)等からなり、ROM72の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、図9のフローチャートに示す表示制御処理を実行するようになっている。
表示制御処理は、HDR表示データに基づいて輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブの制御値をそれぞれ決定し、決定した制御値に基づいて輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブを駆動する処理であって、CPU70において実行されると、図9に示すように、まず、ステップS100に移行するようになっている。
次いで、ステップS102に移行して、読み出したHDR表示データを解析し、画素値のヒストグラムや、輝度レベルの最大値、最小値および平均値等を算出する。この解析結果は、暗めのシーンを明るくしたり、明るすぎるシーンを暗くしたり、中間部コントラストを協調するなどの自動画像補正に使用したり、トーンマッピングに使用したりするためである。
図10は、トーンマッピング処理を説明するための図である。
HDR表示データを解析した結果、HDR表示データに含まれる輝度レベルの最小値がSminで、最大値がSmaxであるとする。また、投射型表示装置100の輝度ダイナミックレンジの最小値がDminで、最大値がDmaxであるとする。図10の例では、SminがDminよりも小さく、SmaxがDmaxよりも大きいので、このままでは、HDR表示データを適切に表示することができない。そこで、Smin〜SmaxのヒストグラムがDmin〜Dmaxのレンジに収まるように正規化する。
次いで、ステップS106に移行して、色変調ライトバルブの解像度に合わせてHDR画像をリサイズ(拡大または縮小)する。このとき、HDR画像のアスペクト比を保持したままHDR画像をリサイズする。リサイズ方法としては、例えば、平均値法、中間値法、ニアレストネイバー法(最近傍法)が挙げられる。
次いで、ステップS110に移行して、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2として初期値(例えば、0.2)を与え、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2を仮決定する。
次いで、ステップS116に移行して、輝度変調ライトバルブの各画素ごとに、その画素について算出した透過率T1に対応する制御値を制御値登録テーブル400から読み出し、読み出した制御値をその画素の制御値として決定する。制御値の読出では、算出した透過率T1に最も近似する透過率を制御値登録テーブル400のなかから検索し、検索により索出した透過率に対応する制御値を読み出す。この検索は、例えば、2分探索法を用いて行うことにより高速な検索を実現する。
次に、本実施の形態の動作を図11ないし図14を参照しながら説明する。
以下では、色変調ライトバルブはいずれも、横18画素×縦12画素の解像度および4ビットの階調数を有し、輝度変調ライトバルブは、横15画素×縦10画素の解像度および4ビットの階調数を有する場合を例にとって説明を行う。
次いで、ステップS110を経て、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2が仮決定される。色変調ライトバルブの左上4区画の画素をp21(左上)、p22(右上)、p23(左下)、p24(右下)とした場合、画素p21〜p24の透過率T2には、図11に示すように、初期値T20が与えられる。
次いで、ステップS112を経て、色変調ライトバルブの画素単位で輝度変調ライトバルブの透過率T1’が算出される。画素p21〜p24に着目した場合、これに対応する輝度変調ライトバルブの透過率T11〜T14は、図12に示すように、画素p21〜p24の光変調率をTp1〜Tp4、ゲインGを「1」とすると、下式(3)〜(6)により算出することができる。
T11 = Tp1/T20 …(3)
T12 = Tp2/T20 …(4)
T13 = Tp3/T20 …(5)
T14 = Tp4/T20 …(6)
図13は、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1を決定する場合を示す図である。
T15=(T11×25+T12×5+T13×5+T14×1)/36 …(7)
画素p12〜p14の透過率T16〜T18についても、画素p11と同様に、面積比による重み付け平均値を算出することにより求めることができる。
次いで、ステップS118を経て、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2が決定される。画素p24は、図14(a)に示すように、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブの解像度が異なることから、画素p11〜画素p14と光路上で重なり合う。色変調ライトバルブの解像度が18×12で、輝度変調ライトバルブの解像度が15×10であるので、画素p24は、その最小公倍数から5×5の矩形領域に区分することができる。そして、画素p24と画素p11〜p14との重なり合う面積比は、図14(b)に示すように、1:4:4:16となる。したがって、画素p24に着目した場合、これに対応する輝度変調ライトバルブの透過率T19は、下式(8)により算出することができる。そして、画素p24の透過率T24は、ゲインGを「1」とすると、図14(c)に示すように、下式(9)により算出することができる。
T19=(T15×1+T16×4+T17×4+T18×16)/25 …(8)
T24=Tp4/T19 …(9)
画素p21〜p23の透過率T21〜T23についても、画素p24と同様に、面積比による重み付け平均値を算出することにより求めることができる。
投射型表示装置100では、輝度変調ライトバルブにより、光源10からの光が1次変調され、ダイクロイックミラー44a,44bにより、輝度変調ライトバルブからの光がRGB3原色の光に分離され、分離された光がそれぞれ各色変調ライトバルブに入射される。このとき、輝度変調ライトバルブの光学像は、リレーレンズ16を介して各色変調ライトバルブの画素面に結像される。そして、各色変調ライトバルブにより、リレーレンズ16からの光がそれぞれ2次変調され、ダイクロイックプリズム48により、各色変調ライトバルブからの光が合成されて画像が表示される。
これにより、図1に示すように、各色変調ライトバルブまでの光路長が異なる構造を採用しても、輝度変調ライトバルブの光学像を色変調ライトバルブの画素面に比較的精度よく結像することができる。
これにより、輝度変調ライトバルブの光学像をほぼ同一の輝度分布で各色変調ライトバルブの画素面に結像することができる。
これにより、既存の光学部品を利用することができるので、コストの上昇をさらに抑えることができる。
さらに、本実施の形態では、光源10と輝度変調部14との光路上に、光源10からの光の輝度分布を均一化する輝度分布均一化部12を設けた。
さらに、本実施の形態では、輝度分布均一化部12は、光源10からの光を輝度変調ライトバルブの入射可能偏光方向に偏光する偏光変換素子12cを有する。
これにより、光源10からの光量の多くが輝度変調ライトバルブの変調対象となるので、表示画像の輝度を向上することができる。
さらに、本実施の形態では、仮決定した透過率T2およびHDR表示データに基づいて、色変調ライトバルブの画素単位で輝度変調ライトバルブの透過率T1’を算出し、算出した透過率T1’に基づいて輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1を算出するようになっている。
これにより、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブがそれぞれ異なる解像度を有する場合に、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1が、その画素と光路上で重なり合う色変調ライトバルブの画素の透過率T2に対して比較的適切な値となるので、画質が劣化する可能性をさらに低減することができる。また、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1をさらに簡単に算出することができる。
これにより、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブがそれぞれ異なる解像度を有する場合に、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1が、その画素と光路上で重なり合う色変調ライトバルブの画素の透過率T2に対してさらに適切な値となるので、画質が劣化する可能性をさらに低減することができる。また、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1をさらに簡単に算出することができる。
これにより、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブがそれぞれ異なる解像度を有する場合に、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2が、その画素と光路上で重なり合う輝度変調ライトバルブの画素の透過率T1に対して比較的適切な値となるので、画質が劣化する可能性をさらに低減することができる。また、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2を比較的簡単に算出することができる。
これにより、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブがそれぞれ異なる解像度を有する場合に、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2が、その画素と光路上で重なり合う輝度変調ライトバルブの画素の透過率T1に対してさらに適切な値となるので、画質が劣化する可能性をさらに低減することができる。また、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2をさらに簡単に算出することができる。
これにより、従来の投射型表示装置に光変調素子を1つだけ追加すればよいので、投射型表示装置100を比較的容易に構成することができる。
上記実施の形態において、輝度変調ライトバルブは、発明1ないし14の第1光変調素子に対応し、色変調ライトバルブは、発明1ないし5、8ないし12の第2光変調素子に対応し、輝度分布均一化部12は、発明6、7または13の輝度分布均一化手段に対応している。また、ダイクロイックミラー44a,44bは、発明1ないし3、8ないし10の光分離手段に対応し、ダイクロイックプリズム48は、発明2または9の光合成手段に対応し、サブリレーレンズ50a,50bおよびフィールドレンズ42B2は、発明3、4、10または11の第2リレーレンズに対応している。
なお、上記実施の形態においては、輝度変調ライトバルブからの光をRGB3原色の光に分離する構成を採用したため、ダイクロイックミラー42bから液晶ライトバルブ40Bまでの光路上に、サブリレーレンズ50a,50bおよびフィールドレンズ42B2を設けて構成したが、これに限らず、図15に示すように、輝度変調ライトバルブからの光をRGB3原色のうち2原色の光に分離する構成を採用した場合は、サブリレーレンズ50a,50bおよびフィールドレンズ42B2を設ける必要はない。
投射型表示装置100は、図15に示すように、光源10、輝度分布均一化部12、輝度変調部14、リレーレンズ16、色変調部18および投射部20で構成されている。
色変調部18は、2枚の液晶ライトバルブ40RB,40Gと、2枚のフィールドレンズ42RB,42Gと、1枚のダイクロイックミラー44aと、2枚のミラー46a,46bと、ダイクロイックプリズム48とで構成されている。まず、リレーレンズ16からの光をダイクロイックミラー44aによりRGB2原色(赤色および青色)とRGB単原色(緑色)に分光するとともに、フィールドレンズ42RB,42Gおよびミラー46a,46bを介して液晶ライトバルブ40RB,40Gに入射する。そして、分光したRGB2原色および単原色の光の輝度を各液晶ライトバルブ40RB,40Gにより変調し、変調したRGB3原色の光をダイクロイックプリズム48により集光して投射部20に出射する。
また、上記実施の形態においては、液晶ライトバルブ30,40R〜40Bとしてアクティブマトリックス型の液晶表示素子を用いて構成したが、これに限らず、液晶ライトバルブ30,40R〜40Bとしてパッシブマトリックス型の液晶表示素子およびセグメント型の液晶表示素子を用いて構成することもできる。アクティブマトリックス型の液晶表示は、精密な階調表示ができるという利点があり、パッシブマトリックス型の液晶表示素子およびセグメント型の液晶表示素子は、安価に製造できるという利点を有する。
また、上記実施の形態においては、色変調ライトバルブを、表示解像度を決定する光変調素子として構成したが、これに限らず、輝度変調ライトバルブを、表示解像度を決定する光変調素子として構成することもできる。この場合、色変調ライトバルブの各画素の透過率T1(先に決定される光変調素子の透過率をT1とする。)を決定してから、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T2(後に決定される光変調素子の透過率をT2とする。)を決定する。また、上記と同様に、RGB3原色ごとに制御値登録テーブル400R〜400Bを用意し、制御値登録テーブル400R〜400Bに基づいて輝度変調ライトバルブの各画素の制御値を決定するように構成することもできる。
また、上記実施の形態においては、HDR表示データに基づいて輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブの制御値を決定するように構成したが、通常の各色8ビットRGB画像データを利用する場合、通常のRGB画像データの0〜255という値は、輝度の物理量ではなくあくまで相対的な0〜255という値である。そのため、通常のRGB画像データに基づいて本発明の表示装置の表示を行うためには、通常のRGB画像から、表示すべき物理的な輝度Rpまたは表示装置全体の透過率Tpを決めなければいけない。
そのために、図16の入力値登録テーブル440を用いれば、通常のRGB画像の0〜255という入力値から物理的な透過率Tpへの変換を行うことができ、かつ、このテーブルの透過率Tpの設定の仕方によって簡単に通常のRGB画像に対する表示の見た目(階調特性)を変更することが可能となる。このテーブルにおける透過率Tpは、上式(2)におけるTpであるため、この値が決定されれば後は、上記実施の形態と同様の処理を行うことにより、複数の光変調素子の透過率T1,T2が決定され表示が行える。
図17の入力値登録テーブル460は、透過率Tpの代わりに輝度Rpを用いたものである。このテーブルにおける輝度Rpは、上式(1)におけるRpであるため、この値が決定されれば後は、上記実施の形態と同様の処理を行うことにより、複数の光変調素子の透過率T1,T2が決定され表示が行える。
また、上記実施の形態においては、説明を簡単にするため、画素数および階調数が小さい光変調素子を用いているが、画素数および階調数が大きい光変調素子を用いる場合においても上記実施の形態と同様に処理することができる。
また、上記実施の形態において、図9のフローチャートに示す処理を実行するにあたっては、ROM72にあらかじめ格納されている制御プログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM74に読み込んで実行するようにしてもよい。
図18のリレー光学系は、1つの凹面ミラー500を介して、前段ライトバルブ501の光学像を後段ライトバルブ502上に結像させる構成からなる。すなわち、このリレー光学系では、1回の反射によって結像関係(2つのライトバルブ501,502がほぼ共役となる関係)を完成させている。凹面ミラー500は、球面ミラーでもよく、軸対称性のない非球面ミラーでもよい。
Claims (9)
- 光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、前記第1光変調素子からの光を異なる複数の特定波長領域の光に分離する光分離手段と、前記光分離手段で分離した光をそれぞれ入射しかつ光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する複数の第2光変調素子とを備え、前記第1光変調素子および前記各第2光変調素子を介して光源からの光を変調する光学系に適用される構造であって、
前記第1光変調素子と前記光分離手段の光路上に、前記第1光変調素子の光学像を前記各第2光変調素子の画素面に結像するリレー光学系が設けられ、
前記リレー光学系は、両側テレセントリック性を有し、
前記第1光変調素子の前記複数の画素が前記第2光変調素子の前記複数の画素に一対一対応している、ことを特徴とする光学系の光伝搬構造。 - 光源と、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、前記第1光変調素子からの光を異なる複数の特定波長領域の光に分離する光分離手段と、前記光分離手段で分離した光をそれぞれ入射しかつ光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する複数の第2光変調素子と、前記各第2光変調素子からの光を合成する光合成手段とを備え、前記第1光変調素子および前記各第2光変調素子を介して前記光源からの光を変調して画像を表示する装置であって、
前記第1光変調素子と前記光分離手段の光路上に、前記第1光変調素子の光学像を前記各第2光変調素子の画素面に結像するリレー光学系が設けられ、
前記リレー光学系は、両側テレセントリック性を有し、
前記第1光変調素子の前記複数の画素が前記第2光変調素子の前記複数の画素に一対一対応している、ことを特徴とする光学表示装置。 - 請求項2において、
前記光分離手段から前記各第2光変調素子までの複数の光路のうち特定光路よりも光路長が大きい少なくとも1つの光路上に、前記第1光変調素子の光学像を当該光路に対応する前記第2光変調素子の画素面に結像する第2リレー光学系を設けたことを特徴とする光学表示装置。 - 請求項3において、
前記第2リレー光学系は、第1サブリレーレンズと、前記第1サブリレーレンズよりも前記第2光変調素子側に配置される第2サブリレーレンズと、前記第1サブリレーレンズおよび前記第2サブリレーレンズの間に配置されるフィールドレンズとを有し、
前記第1サブリレーレンズを介して前記フィールドレンズ上またはその近傍に結像される前記第1光変調素子の正立光学像が前記第2サブリレーレンズを介して前記第2光変調素子の画素面に倒立光学像として結像されるように、前記第1サブリレーレンズ、前記第2サブリレーレンズおよび前記フィールドレンズを配置したことを特徴とする光学表示装置。 - 請求項2ないし4のいずれかにおいて、
前記第1光変調素子および前記第2光変調素子は、液晶ライトバルブであることを特徴とする光学表示装置。 - 請求項2ないし5のいずれかにおいて、
前記光源と前記第1光変調素子との光路上に、前記光源からの光の輝度分布を均一化する輝度分布均一化手段を設けたことを特徴とする光学表示装置。 - 請求項6において、
前記輝度分布均一化手段は、前記光源からの光を第1光変調素子の入射可能偏光方向に応じて偏光する偏光変換素子を有することを特徴とする光学表示装置。 - 光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、前記第1光変調素子からの光を異なる複数の特定波長領域の光に分離する光分離手段と、前記光分離手段で分離した光をそれぞれ入射しかつ光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する複数の第2光変調素子とを備え、前記第1光変調素子および前記各第2光変調素子を介して光源からの光を変調する光学系に適用される方法であって、
前記第1光変調素子の前記複数の画素が前記第2光変調素子の前記複数の画素に一対一対応し、
前記第1光変調素子と前記光分離手段の光路において、両側テレセントリック性を有するリレー光学系を介して前記第1光変調素子の光学像を前記各第2光変調素子の画素面に結像することを特徴とする光学系の光伝搬方法。 - 光源と、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、前記第1光変調素子からの光を異なる複数の特定波長領域の光に分離する光分離手段と、前記光分離手段で分離した光をそれぞれ入射しかつ光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する複数の第2光変調素子と、前記各第2光変調素子からの光を合成する光合成手段とを備え、前記第1光変調素子および前記各第2光変調素子を介して前記光源からの光を変調して画像を表示する光学表示装置の表示方法であって、
前記第1光変調素子の前記複数の画素が前記第2光変調素子の前記複数の画素に一対一対応し、
前記第1光変調素子と前記光分離手段の光路において、両側テレセントリック性を有するリレー光学系を介して前記第1光変調素子の光学像を前記各第2光変調素子の画素面に結像することを特徴とする光学表示装置の表示方法。
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