JP4759956B2 - 光学表示装置 - Google Patents
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Description
光学表示装置のなかでも、液晶プロジェクタ、DLPプロジェクタといった投射型表示装置は、大画面表示が可能であり、表示画像のリアリティさや迫力を再現する上で効果的な装置である。この分野では、上記の課題を解決するために、次のような提案がなされている。
非特許文献1および特許文献2記載の発明とも、第1光変調素子としてLCDを、第2光変調素子としてLEDまたは蛍光灯等の変調可能な照明を用いている。
Helge Seetzen, Lorne A. Whitehead, Greg Ward, "A High Dynamic Range Display Using Low and High Resolution Modulators", SID Symposium 2003, pp.1450-1453 (2003)
Rp = Tp×Rs …(1)
Tp = T1×T2×G …(2)
ただし、上式(1),(2)において、Rsは光源の輝度、Gはゲインであり、いずれも定数である。また、Tpは、光変調率である。
非特許文献1記載の発明にあっては、2つの光変調素子を用いた場合に高い輝度ダイナミックレンジを実現できることを概念的に説明するにとどまり、HDR表示データに基づいて第1光変調素子および第2光変調素子の各画素の制御値をどのように決定するかについてまでは開示されていない。したがって、各画素の制御値における決定の仕方によっては画質が劣化するという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、各々の変調素子の階調特性を最適に設定することで、輝度ダイナミックレンジおよび階調数の拡大し、画質の向上を実現できる光学表示装置、光学表示方法、及び光学表示装置の制御用データ構造を提供することを目的とする。
具体的に図22を参照して説明すると、図22(a)に示すように第1及び第2光変調素子の各々の透過率が1以下であるため、その1以下の特性系列を掛け合わせた結果の特性系列、即ち、2変調系は、図22(b)に示すように元の特性系列よりも低い値が多く出現する系列となってしまう。従って、本発明者らは、2変調系による諧調数の増加が殆ど暗表示に集中してしまい、暗表示の階調数は多いが、明表示の階調数が減少することを見出した。
また、第1及び第2光変調素子の階調特性を増やすために、各々の階調数を8ビットに増やした場合では、2変調系としては16ビットとなり、あまり狭い範囲の階調数が増えても人間の知覚能力を超えてしまい、更に意味のない階調増加となりかねない。
そこで、本発明者らは、上記に基づいて以下の手段を有する本発明を想到した。
また、前記第4ステップにおいて、前記輝度変調ライトバルブの各画素の光伝搬率を算出する際に、算出しようとする前記輝度変調ライトバルブの画素と重なり合う前記色変調ライトバルブの複数の画素に対応する前記第3ステップで算出した複数の前記光伝搬率の面積比による重み付け平均値を算出することが望ましい。
また、前記第6ステップにおいて、前記色変調ライトバルブの各画素の光伝搬率を算出する際に、算出しようとする前記色変調ライトバルブの画素と重なり合う前記輝度変調ライトバルブの複数の画素に対応する前記第4ステップで算出した複数の前記光伝搬率の面積比による重み付け平均値を算出することが望ましい。
ここで、光伝搬特性とは、輝度変調ライトバルブ又は色変調ライトバルブに光が入射した後に、透過又は反射する光学特性を意味している。また、光伝搬率とは入射光の光量に対する透過光の光量又は反射光の光量の割合を意味し、透過率又は反射率を意味している。
また、第1光変調素子と第2光変調素子の各々において、光伝搬率が低い側の階調数が、光伝搬率が高い側の階調数よりも多い場合では、両者の光伝搬率を掛け合わせた2変調系の光伝搬率は、1変調系の場合よりも低い値が多く出現してしまう。これに対して、本発明によれば、明表示の階調数が増加するので、2変調系による諧調数が暗表示に集中するのを抑制できる。
このように、第1光変調素子及び第2光変調素子の各々において、光変調素子の取り得る光伝搬率の平均値が、光伝搬率の最大値と最小値とによって決定される中間値より大きくなるように設定されていることにより、第1光変調素子及び第2光変調素子の両者を通じた2変調系の光伝搬率が、光伝搬率の低い側に集中することがない。これにより、光伝搬率が低い側の階調数を減少させて、光伝搬率が高い側の階調数を増加させることができる。即ち、暗表示の階調が集中することなく、明表示の階調数を増加させることができる。
このようなガンマカーブに基づいて、第1光変調素子又は第2光変調素子の光伝搬特性が規定されることにより、各光伝搬特性における光伝搬率を各々規定する必要がないので、容易に各光伝搬特性を規定して光伝搬率を設定することができる。また、ガンマ値が1以下では、暗表示の階調数が減少して明表示の階調を増加するので、換言すれば、光伝搬率の低い側の階調数が減少し、光伝搬率の高い側の階調数が増加するので、上記の光学表示装置と同様の効果が得られる。
ここで、第1光変調素子及び第2光変調素子の両方において、光伝搬率の取り得る光伝搬率の平均値が、光伝搬率の最大値と最小値とによって決定される中間値より大きくなるように設定されることで、画像の種類によっては明表示における明るさの度合いが大きくなってしまい、表示特性が低下してしまう場合がある。また、この場合では、暗表示をしても、明るさが残る暗表示となってしまい、鮮やかな黒色を実現するのが困難となる。
そこで、本発明のように、一方の光変調素子の取り得る光伝搬率の平均値が光伝搬率の最大値と最小値とによって決定される中間値より大きく、かつ、前記取り得る光伝搬率のうち一の光伝搬率が固定値として設定され、他方の光変調素子の取り得る光伝搬率の平均値が、光伝搬率の最大値と最小値とによって決定される中間値以下になるように設定されていることで、明表示と暗表示のバランスの取れた表示を実現することができる。
ここで、特定波長領域輝度変調素子とは、具体的には、赤色、緑色及び青色の各々における色波長の輝度を変調するものである。
このようにすれば、赤色、緑色及び青色の各々の色波長において、2変調系の光伝搬率が、光伝搬率の低い側に集中することがない。これにより、各色波長を2変調系で表示した際に、光伝搬率が低い側の階調数を減少させて、光伝搬率が高い側の階調数を増加させることができる。換言すれば、各色波長の光学特性において、暗表示の階調が集中することなく、明表示の階調数を増加させることができる。
また、第1光変調素子と第2光変調素子の各々において、光伝搬率が低い側の階調数が、光伝搬率が高い側の階調数よりも多い場合では、両者の光伝搬率を掛け合わせた2変調系の光伝搬率は、1変調系の場合よりも低い値が多く出現してしまう。これに対して、本発明によれば、明表示の階調数が増加するので、2変調系による諧調数が暗表示に集中するのを抑制できる。
また、第1光変調素子と第2光変調素子の各々において、光伝搬率が低い側の階調数が、光伝搬率が高い側の階調数よりも多い場合では、両者の光伝搬率を掛け合わせた2変調系の光伝搬率は、1変調系の場合よりも低い値が多く出現してしまう。これに対して、本発明によれば、明表示の階調数が増加するので、2変調系による諧調数が暗表示に集中するのを抑制できる。
このようにすれば、赤色、緑色及び青色の色波長の光学特性において、光伝搬率の低い側の階調数が集中することがなく、光伝搬率の高い側の階調数を増加させることができる。換言すれば、赤色、緑色及び青色の色波長の光学特性における暗表示の階調が集中することなく、明表示の階調数を増加させることができる。
本実施形態は、本発明に係る光学表示装置、光学表示方法、及び光学表示装置の制御用データ構造を、図1に示すように、投射型表示装置100に適用したものである。
まず、投射型表示装置100の構成を図1を参照しながら説明する。
図1は、投射型表示装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
投射型表示装置100は、図1に示すように、光源10と、光源10から入射した光の全波長領域の輝度を変調する輝度変調部12と、輝度変調部12から入射した光の波長領域のうちRGB3原色の輝度をそれぞれ変調する色変調部14と、色変調部14から入射した光をスクリーン(不図示)に投射する投射部16とで構成されている。
色変調部14は、透過率を独立に制御可能な複数の画素をマトリクス状に配列しかつ液晶ライトバルブ30よりも高い解像度を有する3枚の液晶ライトバルブ40R,40G,40Bと、5枚のフィールドレンズ42R,42G,42B1〜42B3と、2枚のダイクロイックミラー44a,44bと、3枚のミラー46a,46b,46cと、ダイクロイックプリズム48とで構成されている。まず、輝度変調部12からの光をダイクロイックミラー44a,44bにより赤色、緑色および青色のRGB3原色に分光するとともに、フィールドレンズ42R,42G,42B1〜42B3およびミラー46a〜46cを介して液晶ライトバルブ40R〜40Bに入射する。そして、分光したRGB3原色の光の輝度を液晶ライトバルブ40R〜40Bによりそれぞれ変調し、変調したRGB3原色の光をダイクロイックプリズム48により集光して投射部16に出射する。
また、本実施形態では、色変調ライトバルブが表示解像度(投射型表示装置100の表示画像を観測者が見たときに観測者が知覚する解像度をいう。)を決定する。
図2は、表示制御装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。
表示制御装置200は、図2に示すように、制御プログラムに基づいて演算およびシステム全体を制御するCPU70と、所定領域にあらかじめCPU70の制御プログラム等を格納しているROM72と、ROM72等から読み出したデータやCPU70の演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM74と、外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F78とで構成されており、これらは、データを転送するための信号線であるバス79で相互にかつデータ授受可能に接続されている。
記憶装置82は、HDR表示データを記憶している。
HDR表示データは、従来のsRGB等の画像フォーマットでは実現できない高い輝度ダイナミックレンジを実現することができる画像データであり、画素の輝度レベルを示す画素値を画像の全画素について格納している。現在は、特にCGの世界において、CGオブジェクトを実際の風景に合成するために用いられている。画像形式としては様々なものが存在するが、従来のsRGB等の画像フォーマットよりも高い輝度ダイナミックレンジを実現するために浮動小数点形式で画素値を格納する形式が多い。また、格納する値としては、人間の視覚特性を考慮しない物理的な放射輝度(Radiance=W/(sr・m2))や、人間の視覚特性を考慮した輝度(luminance=cd/m2)に関する値であるという点も特徴である。本実施形態では、HDR表示データとして、1つの画素についてRGB3原色毎に放射輝度レベルを示す画素値を浮動小数点値として格納した形式を用いる。例えば、1つの画素の画素値として(1.2,5.4,2.3)という値が格納されている。
図3は制御値登録テーブル400のデータ構造を示す図であり、図4は制御値登録テーブル420Rのデータ構造を示す図である。
なお、本実施形態においては、説明を簡単にするために、輝度変調ライトバルブ及び色変調ライトバルブの各々が4階調(2ビット階調)である場合を例に取り上げて説明する。また、このような4階調の変調素子を直列に配置することにより、2変調系としては、4×4=16階調(4ビット階調)が得られる。
以下に、輝度変調ライトバルブ及び色変調ライトバルブの各々を4階調で駆動させるための制御値登録テーブルについて説明する。
図3の例では、第1段目のレコードには、制御値(第1制御値)として「0」が、透過率として「0.10」が登録されている。これは、輝度変調ライトバルブに対して制御値「0」を出力すると、輝度変調ライトバルブの透過率が10%となることを示している。
また、同様に、制御値(第1制御値)「1」〜「3」の各々に応じて、透過率「0.35」、「0.55」、「0.70」が登録されている。
図4の例では、第1段目のレコードには、制御値(第2制御値)として「0」が、透過率として「0.10」が各々登録されている。これは、液晶ライトバルブ40Rに対して制御値「0」を出力すると、液晶ライトバルブ40Rの透過率が10%となることを示している。
また、同様に、制御値(第2制御値)「1」〜「3」の各々に応じて、透過率「0.35」、「0.55」、「0.70」が登録されている。
(0.10+0.35+0.55+0.70)/4=0.425 …(A)
となる。また、最大値と最小値とによって決定される中間値は、
(0.70−0.10)/2+0.10=0.4 …(B)
となる。従って、制御値登録テーブル400、420Rに設定された透過率は、平均値(A)>中間値(B)の関係を満たすように設定された値となっている。
なお、本実施形態においては、図3及び図4に示すように、輝度変調ライトバルブ及び色変調ライトバルブの各々の階調数が2ビット(0〜3値)である場合の例を示したが、実際には各ライトバルブの階調数に相当するレコードが登録される。例えば、階調数が4ビットである場合は16個のレコードが登録され、階調数が8ビットである場合は256個のレコードが登録される。
図5は、上記の制御値登録テーブル400、420Rを利用した2変調系の透過率特性(光伝搬特性)を示す図である。また、図6は、図5に示した本実施形態の透過率特性と比較するための比較図である。
透過率 : 0.10 0.35 0.55 0.70 …(C)
であるので、この特性の2つの変調素子を直列に配置することにより、以下のような16の透過率が得られる。
0.01 0.035 0.035 0.055 0.055 0.07 0.07 0.1225
0.1925 0.1925 0.245 0.245 0.3025 0.385 0.385 0.49
ここで、同じ系列の掛け算となるため、実質的には以下の10の透過率値となる。
0.01 0.035 0.055 0.07 0.1225
0.1925 0.245 0.3025 0.385 0.49
従って、図5に示すような透過率特性が得られる。
透過率 : 0.10 0.30 0.50 0.70 …(D)
となっている。ここで、4つの透過率「0.10」、「0.30」、「0.50」、「0.70」において、平均値は、
(0.10+0.30+0.50+0.70)/4=0.40 …(E)
となり、最大値と最小値とによって決定される中間値は、
(0.70−0.10)/2+0.10=0.4 …(F)
となる。従って、(D)に示した透過率は、平均値(E)=中間値(F)となっており、平均値(E)>中間値(F)の関係を満たしていない。
0.01 0.03 0.03 0.05 0.05 0.07 0.07 0.09
0.15 0.15 0.21 0.21 0.25 0.35 0.35 0.49
ここで、同じ系列の掛け算となるため、実質的には以下の10の透過率値となる。
0.01 0.03 0.05 0.07 0.09
0.15 0.21 0.25 0.35 0.49
従って、図6に示すような透過率特性が得られる。
また、例えば透過率が
透過率 : 0.10 0.25 0.50 0.70 …(G)
となっている場合においては、4つの透過率「0.10」、「0.25」、「0.50」、「0.70」の平均値は、
(0.10+0.25+0.50+0.70)/4=0.3875 …(H)
となり、最大値と最小値とによって決定される中間値は、
(0.70−0.10)/2+0.10=0.4 …(I)
となる。従って、(G)に示した透過率は、平均値(H)<中間値(I)となっており、平均値(H)>中間値(I)の関係を満たしていない。
このような透過率(G)に基づく2変調系の透過率特性は、図5と比較して暗部の階調が多く、明部の階調が少なってしまう。
透過率 : 0.20 0.50 0.60 0.67 …(J)
となっている場合においては、4つの透過率「0.20」、「0.50」、「0.60」、「0.67」の平均値は、
(0.20+0.50+0.60+0.67)/4=0.4925 …(K)
となり、最大値と最小値とによって決定される中間値は、
(0.67−0.20)/2+0.20=0.435 …(L)
となる。従って、(J)に示した透過率は、平均値(K)>中間値(L)の関係を満たしている。
このような透過率(J)に基づく2変調系の透過率特性は、図6と比較して明部の階調を多くし、暗部の階調を少なくすることができる。
CPU70は、マイクロプロセッシングユニット(MPU)等からなり、ROM72の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、図7のフローチャートに示す表示制御処理を実行するようになっている。
図7は、表示制御処理を示すフローチャートである。
表示制御処理は、HDR表示データに基づいて輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブの制御値をそれぞれ決定し、決定した制御値に基づいて輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブを駆動する処理であって、CPU70において実行されると、図7に示すように、まず、ステップS100に移行するようになっている。
次いで、ステップS102に移行して、読み出したHDR表示データを解析し、画素値のヒストグラムや、輝度レベルの最大値、最小値および平均値等を算出する。この解析結果は、暗めのシーンを明るくしたり、明るすぎるシーンを暗くしたり、中間部コントラストを協調するなどの自動画像補正に使用したり、トーンマッピングに使用したりするためである。
図8は、トーンマッピング処理を説明するための図である。
HDR表示データを解析した結果、HDR表示データに含まれる輝度レベルの最小値がSminで、最大値がSmaxであるとする。また、投射型表示装置100の輝度ダイナミックレンジの最小値がDminで、最大値がDmaxであるとする。図8の例では、SminがDminよりも小さく、SmaxがDmaxよりも大きいので、このままでは、HDR表示データを適切に表示することができない。そこで、Smin〜SmaxのヒストグラムがDmin〜Dmaxのレンジに収まるように正規化する。
次いで、ステップS106に移行して、色変調ライトバルブの解像度に合わせてHDR画像をリサイズ(拡大または縮小)する。このとき、HDR画像のアスペクト比を保持したままHDR画像をリサイズする。リサイズ方法としては、例えば、平均値法、中間値法、ニアレストネイバー法(最近傍法)が挙げられる。
次いで、ステップS110に移行して、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2として初期値(例えば、0.2)を与え、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2を仮決定する。
次いで、ステップS116(第1制御値決定手段)に移行して、輝度変調ライトバルブの画素毎に、その画素について算出した透過率T1に対応する制御値(第1制御値)を制御値登録テーブル400から読み出し、読み出した制御値をその画素の制御値として決定する。制御値の読出では、算出した透過率T1に最も近似する透過率を制御値登録テーブル400のなかから検索し、検索により索出した透過率に対応する制御値を読み出す。この検索は、例えば、2分探索法を用いて行うことにより高速な検索を実現する。
以下では、色変調ライトバルブはいずれも、横18画素×縦12画素の解像度および4ビットの階調数を有し、輝度変調ライトバルブは、横15画素×縦10画素の解像度および4ビットの階調数を有する場合を例にとって説明を行う。
次いで、ステップS110を経て、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2が仮決定される。色変調ライトバルブの左上4区画の画素をp21(左上)、p22(右上)、p23(左下)、p24(右下)とした場合、画素p21〜p24の透過率T2には、図9に示すように、初期値T20が与えられる。
次いで、ステップS112を経て、色変調ライトバルブの画素単位で輝度変調ライトバルブの透過率T1’が算出される。画素p21〜p24に着目した場合、これに対応する輝度変調ライトバルブの透過率T11〜T14は、図10に示すように、画素p21〜p24の光変調率をTp1〜Tp4、ゲインGを「1」とすると、下式(3)〜(6)により算出することができる。
T11 = Tp1/T20 …(3)
T12 = Tp2/T20 …(4)
T13 = Tp3/T20 …(5)
T14 = Tp4/T20 …(6)
図11は、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1を決定する場合を示す図である。
T15=(T11×25+T12×5+T13×5+T14×1)/36 …(7)
画素p12〜p14の透過率T16〜T18についても、画素p11と同様に、面積比による重み付け平均値を算出することにより求めることができる。
次いで、ステップS118を経て、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2が決定される。画素p24は、図12(a)に示すように、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブの解像度が異なることから、画素p11〜画素p14と光路上で重なり合う。色変調ライトバルブの解像度が18×12で、輝度変調ライトバルブの解像度が15×10であるので、画素p24は、その最小公倍数から5×5の矩形領域に区分することができる。そして、画素p24と画素p11〜p14との重なり合う面積比は、図12(b)に示すように、1:4:4:16となる。したがって、画素p24に着目した場合、これに対応する輝度変調ライトバルブの透過率T19は、下式(8)により算出することができる。そして、画素p24の透過率T24は、ゲインGを「1」とすると、図12(c)に示すように、下式(9)により算出することができる。
T19=(T15×1+T16×4+T17×4+T18×16)/25 …(8)
T24=Tp4/T19 …(9)
画素p21〜p23の透過率T21〜T23についても、画素p24と同様に、面積比による重み付け平均値を算出することにより求めることができる。
このようにして、本実施形態では、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2を仮決定し、仮決定した透過率T2およびHDR表示データに基づいて輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1を決定し、決定した透過率T1に基づいて輝度変調ライトバルブの各画素の制御値を決定し、決定した透過率T1およびHDR表示データに基づいて色変調ライトバルブの各画素の透過率T2を決定し、決定した透過率T2に基づいて色変調ライトバルブの各画素の制御値を決定するようになっている。
また、制御値登録テーブルにおける透過率の平均値が、透過率の最大値と最小値とによって決定される中間値より大きくなるように設定されていることにより、輝度変調素子及び色変調素子の両者を通じた2変調系の透過率が、透過率の低い側に集中することがない。これにより、透過率が低い側の階調数を減少させて、透過率が高い側の階調数を増加させることができる。即ち、暗表示の階調が集中することなく、明表示の階調数を増加させることができる。
また、輝度変調素子と色変調素子の各々において、透過率の平均値が、透過率の最大値と最小値とによって決定される中間値より大きくなるように設定されていない場合では、両者の透過率を掛け合わせた2変調系の透過率は、1変調系の場合よりも低い値が多く出現してしまう。これに対して、本実施形態においては、明表示の階調数が増加するので、2変調系による諧調数が暗表示に集中するのを抑制できる。
また、2変調制御においては、画像の種類によって明表示における明るさの度合いが大きくなることで表示特性が低下し、暗表示をしても明るさが残る暗表示となってしまい、鮮やかな黒色を実現するのが困難となる場合があるが、上記のように輝度変調ライトバルブの透過率を固定することにより、明表示と暗表示のバランスの取れた表示を実現することができる。
輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブがそれぞれ異なる解像度を有する場合は、仮決定された透過率T2に基づいて輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1を直接算出するよりも、一旦、仮決定された透過率T2に基づいて色変調ライトバルブの画素単位で輝度変調ライトバルブの透過率T1’を算出してから、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1を算出した方が処理が簡単になる。したがって、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブがそれぞれ異なる解像度を有する場合に、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1を比較的簡単に算出することができる。
これにより、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブがそれぞれ異なる解像度を有する場合に、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1が、その画素と光路上で重なり合う色変調ライトバルブの画素の透過率T2に対して比較的適切な値となるので、画質が劣化する可能性を更に低減することができる。また、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1を更に簡単に算出することができる。
これにより、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブがそれぞれ異なる解像度を有する場合に、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1が、その画素と光路上で重なり合う色変調ライトバルブの画素の透過率T2に対して更に適切な値となるので、画質が劣化する可能性を更に低減することができる。また、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1を更に簡単に算出することができる。
これにより、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブがそれぞれ異なる解像度を有する場合に、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2が、その画素と光路上で重なり合う輝度変調ライトバルブの画素の透過率T1に対して比較的適切な値となるので、画質が劣化する可能性を更に低減することができる。また、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2を比較的簡単に算出することができる。
これにより、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブがそれぞれ異なる解像度を有する場合に、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2が、その画素と光路上で重なり合う輝度変調ライトバルブの画素の透過率T1に対して更に適切な値となるので、画質が劣化する可能性を更に低減することができる。また、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2を更に簡単に算出することができる。
これにより、従来の投射型表示装置に光変調素子を1つだけ追加すればよいので、投射型表示装置100を比較的容易に構成することができる。
これにより、RGB3原色毎の輝度を独立に2段階で変調することができるので、画質が劣化する可能性を更に低減することができる。
この場合、表示解像度を決定する光変調部は、輝度変調部12および色変調部14のいずれであってもよい。
これにより、輝度変調ライトバルブの画像を精度よく色変調ライトバルブに写像することができるので、結像精度を向上することができる。
また、上記実施形態において、投射型表示装置100は、輝度変調部12の出射側に色変調部14を設けて構成したが、これに限らず、図15に示すように、色変調部14の出射側に輝度変調部12を設けて構成することもできる。この場合、結像精度を向上させるため、色変調部14および輝度変調部12の間にリレーレンズ50を設けるのが好ましい。また、表示解像度を決定する光変調部は、色変調部14および輝度変調部12のいずれであってもよい。
また、上記実施形態において、投射型表示装置100は、色変調部14を3板式(3つの液晶ライトバルブ40R〜40Bにより色変調を行う方式)として構成したが、これに限らず、図16に示すように、色変調部14を単板式(1つの液晶ライトバルブ40により色変調を行う方式)として構成することもできる。単板式の色変調ライトバルブは、例えば、液晶ライトバルブにカラーフィルターを設けることにより構成することができる。この場合、結像精度を向上させるため、輝度変調部12および色変調部14の間にリレーレンズ50を設けるのが好ましい。また、表示解像度を決定する光変調部は、輝度変調部12および色変調部14のいずれであってもよい。
また、上記実施形態において、投射型表示装置100は、輝度変調部12および色変調部14を内蔵して構成したが、これに限らず、図17に示すように、光の全波長領域の輝度を変調する単板式投射型表示装置310と、単板式投射型表示装置310からの投影光を受ける投光性のフレネルレンズ312と、フレネルレンズ312の出射側に設けかつRGB3原色毎に光の輝度を変調する色変調パネル314とからなる投射型表示システム300として構成することもできる。この場合、表示解像度を決定する光変調部は、単板式投射型表示装置310および色変調パネル314のいずれであってもよい。
また、上記実施形態において、投射型表示装置100は、輝度変調部12および色変調部14を内蔵して構成したが、これに限らず、図18に示すように、RGB3原色毎に光の輝度を変調する3板式投射型表示装置320と、3板式投射型表示装置320からの投影光を受ける投光性のフレネルレンズ312と、フレネルレンズ312の出射側に設けかつ光の全波長領域の輝度を変調する輝度変調パネル324とからなる投射型表示システム300として構成することもできる。この場合、表示解像度を決定する光変調部は、3板式投射型表示装置320および輝度変調パネル324のいずれであってもよい。
また、上記実施形態において、投射型表示装置100は、輝度変調部12および色変調部14を内蔵して構成したが、これに限らず、図19に示すように、バックライト410と、バックライト410の出射側に設けかつ光の全波長領域の輝度を変調する輝度変調パネル412と、輝度変調パネル412の出射側に設けかつRGB3原色毎に光の輝度を変調する色変調パネル414とからなるディスプレイ400として構成することもできる。この場合、表示解像度を決定する光変調部は、輝度変調パネル412および色変調パネル414のいずれであってもよい。
このように、第1光変調素子および第2光変調素子の構成としては様々なバリエーションが考えられる。図1、図13ないし図19の構成も含め、第1光変調素子および第2光変調素子の構成のバリエーションをまとめると次の通りである。なお、第2光変調素子が表示解像度を決定しかつ高解像度であるものとする。
そのために、図20の入力値登録テーブル440を用いれば、通常のRGB画像の0〜255という入力値から物理的な透過率Tpへの変換を行うことができ、かつ、このテーブルの透過率Tpの設定の仕方によって簡単に通常のRGB画像に対する表示の見た目(階調特性)を変更することが可能となる。このテーブルにおける透過率Tpは、上式(2)におけるTpであるため、この値が決定されれば後は、上記実施形態と同様の処理を行うことにより、複数の光変調素子の透過率T1,T2が決定され表示が行える。
図21の入力値登録テーブル460は、透過率Tpの代わりに輝度Rpを用いたものである。このテーブルにおける輝度Rpは、上式(1)におけるRpであるため、この値が決定されれば後は、上記実施形態と同様の処理を行うことにより、複数の光変調素子の透過率T1,T2が決定され表示が行える。
また、上記実施形態においては、液晶ライトバルブ30,40R〜40Bとしてアクティブマトリックス型の液晶表示素子を用いて構成したが、これに限らず、液晶ライトバルブ30,40R〜40Bとしてパッシブマトリックス型の液晶表示素子およびセグメント型の液晶表示素子を用いて構成することもできる。アクティブマトリックス型の液晶表示は、精密な階調表示ができるという利点があり、パッシブマトリックス型の液晶表示素子およびセグメント型の液晶表示素子は、安価に製造できるという利点を有する。
また、上記実施形態においては、説明を簡単にするため、画素数および階調数が小さい光変調素子を用いているが、画素数および階調数が大きい光変調素子を用いる場合においても上記実施形態と同様に処理することができる。
また、上記実施形態において、図7のフローチャートに示す処理を実行するにあたっては、ROM72にあらかじめ格納されている制御プログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM74に読み込んで実行するようにしてもよい。
Claims (3)
- 光源と、
光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有し、前記光源からの光の全波長領域の輝度を変調する輝度変調ライトバルブと、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有し、前記輝度変調ライトバルブから入射した光のうち各色光毎の輝度を変調する色変調ライトバルブと、を備え、前記輝度変調ライトバルブ及び前記色変調ライトバルブを介して前記光源からの光を変調して画像を表示する光学表示装置であって、
表示データに基づいて前記輝度変調ライトバルブ及び前記色変調ライトバルブの制御値をそれぞれ決定し、決定した制御値に基づいて前記輝度変調ライトバルブ及び前記色変調ライトバルブを駆動する表示制御処理を行う表示制御装置を備え、
前記輝度変調ライトバルブの解像度と前記色変調ライトバルブの解像度とが異なり、前記色変調ライトバルブの解像度が表示解像度であり、
前記表示制御処理が、
前記表示データの各画素の輝度レベルと前記光源の輝度とに基づいて、表示画像の各画素の光変調率を算出する第1ステップと、
前記色変調ライトバルブの各画素の光伝搬率を仮決定する第2ステップと、
前記第1ステップで算出した前記光変調率と前記第2ステップで仮決定した前記光伝搬率とに基づいて、前記色変調ライトバルブの画素単位で前記輝度変調ライトバルブの光伝搬率を算出する第3ステップと、
前記第3ステップで算出した前記光伝搬率に基づいて、前記輝度変調ライトバルブの各画素の光伝搬率を算出する第4ステップと、
前記第4ステップで算出した前記光伝搬率に基づいて、前記輝度変調ライトバルブの各画素の制御値を決定する第5ステップと、
前記第4ステップで算出した前記光伝搬率と前記第1ステップで算出した前記光変調率とに基づいて、前記色変調ライトバルブの各画素の光伝搬率を算出する第6ステップと、
前記第6ステップで算出した前記光伝搬率に基づいて、前記色変調ライトバルブの各画素の制御値を決定する第7ステップと、
前記第5ステップで決定した前記制御値と前記第7ステップで決定した前記制御値とに基づいて、前記輝度変調ライトバルブ及び前記色変調ライトバルブを駆動する第8ステップと、を備え、
前記輝度変調ライトバルブ及び前記色変調ライトバルブの少なくともいずれか一方のライトバルブの取り得る光伝搬率の平均値が、光伝搬率の最大値と最小値とによって決定される中間値以下になるように設定されていることを特徴とする光学表示装置。 - 前記第4ステップにおいて、前記輝度変調ライトバルブの各画素の光伝搬率を算出する際に、算出しようとする前記輝度変調ライトバルブの画素と重なり合う前記色変調ライトバルブの複数の画素に対応する前記第3ステップで算出した複数の前記光伝搬率の面積比による重み付け平均値を算出することを特徴とする請求項1に記載の光学表示装置。
- 前記第6ステップにおいて、前記色変調ライトバルブの各画素の光伝搬率を算出する際に、算出しようとする前記色変調ライトバルブの画素と重なり合う前記輝度変調ライトバルブの複数の画素に対応する前記第4ステップで算出した複数の前記光伝搬率の面積比による重み付け平均値を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の光学表示装置。
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