JP4238915B2 - アンテナ装置及び無線通信機 - Google Patents
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Description
しかし、アンテナ装置を狭い領域に装着するには、アンテナ装置を小型化及び薄型化しなければならず、アンテナ特性の劣化を招くおそれがある。
そこで、例えば、特許文献1〜特許文献4に開示されているように、アンテナ特性を劣化させずに、アンテナ装置の小型化及び薄型化を図った各種のアンテナ装置が提案されている。また、周波数可変技術や増幅器を一体化したアクティブアンテナが考えられている。
特許文献3に開示のアンテナ装置は、コイルアンテナである。コイルアンテナの特性はその厚み(具体的には巻線コアの直径)に大きく依存する。そのため、このアンテナ装置では、基板に開けた孔内に、コイルアンテナを落とし込むことにより、アンテナ特性を劣化させることなく、アンテナ装置全体の薄型化を図っている。
その他、これらの技術に類似するアンテナ装置として、特許文献5及び特許文献6に開示されたものもある。
特許文献1に開示のアンテナ装置では、 ループアンテナであるので、ループ径を大きくとると、デットスペースが大きくなる。しかも、基板の上面と下面とに形成した放射電極でループアンテナを形成しているので、デットスペースが基板の片面だけでなく両面にも及ぶ。このため、通常の倍以上のデットスペースが必要となってしまう。また、無線通信機の筐体等の設計を変えた場合には、アンテナの放射電極もすべて設計しなおす必要がある。
これらのアンテナは互いに干渉し合い、複数の共振周波数を発生させるもので、複数の異なる周波数の信号を送受信することができる。また、アンテナ素子の補助素子を、非グランド領域の表面及び裏面の一方又は双方に配設するので、デットスペースを小さくすることができると共に、アンテナ装置全体の小型化と特性改善とを図ることができる。
かかる構成により、アンテナ素子の補助素子が、立体型電極であるので、電極を平面方向だけでなく空間方向にも有効に広げることができる。
請求項7の発明は、請求項5に記載のアンテナ装置において、補助素子の平行部は、平板状をなす構成とした。
かかる構成により、補助素子が形成される基体を、波長短縮効果を有する誘電体等で形成することで、アンテナ素子の共振周波数を調整することができる。
特に、アンテナ素子の補助素子を非グランド領域の裏面に配設することで、第1及び第2のチップアンテナとアンテナ素子とを含めたアンテナ装置全体のアンテナ体積を効率よく増大させることができる。すなわち、電極形状やサイズによる制約がほとんどない非グランド領域の裏面に、補助素子を配設することで、従来技術と比較して大きなアンテナ体積を取得できる。
また、アンテナ装置の合わせ込みも容易で、その設計作業も短時間でできる。
図1に示すように、アンテナ装置1は、第1のチップアンテナとしてのチップアンテナ2と、アンテナ素子3と、第2のチップアンテナとしてのチップアンテナ4とを備えている。
すなわち、基板100の両面に、グランド領域101と非グランド領域102とが形成されており、チップアンテナ2の誘電体基体20が、非グランド領域102の表面102aに装着されている。具体的には、図2に示すように、誘電体基体20は、直方体を成して、正面20aと上面20bと両側面20c,20dと背面20eと下面20fとを有している。
すなわち、図1及び図2に示すように、チップアンテナ2の放射電極21は、正面電極部21aが導体パターン111を介して給電部110に接続し、上面電極部21b及び先端電極部21cがこの正面電極部21aに連結し、周波数可変回路22が上面電極部21bに組み付けられた構成になっている。
図4は、一部破断して示すアンテナ装置の側面図であり、図5は、アンテナ素子3の補助素子全体の形状を示すための斜視図である。
追加放射電極30は、図2に示すように、誘電体基体20の上面20b上で放射電極21の正面電極部21aと分岐した上面電極30bと、この上面電極30bと連続するように側面20cと下面20f上に形成された側面電極30c,接続電極30fとで形成されている。
具体的には、図4及び図5に示すように、補助素子31は、支持部としての金属製支柱31aと平行部としての板金31bとで構成された立体型電極である。スルーホール102cは、非グランド領域102であって且つ追加放射電極30の接続電極30fに対応した箇所に穿設されている。棒状の金属製支柱31aはこのスルーホール102c内に挿入された状態で、非グランド領域102の裏面102b側に立設されている。そして、板金31bが、金属製支柱31aの先端部に連結されて、基板100と略平行になるように保持されている。このような板金31bは、長方形状の金属平板であり、その大きさは、非グランド領域102よりも小さく設定され、非グランド領域102からはみ出ないようになっている。また、板金31bのいずれの部分もグランド領域101と接触しておらず、いずれの縁部も開放端となっている。
図6は、チップアンテナ4の展開図であり、図7は、導体パターンを示すための斜視図である。
すなわち、図6に示すように、誘電体基体40は直方体を成して、正面40aと上面40bと両側面40c,40dと背面40eと下面40fとを有している。
また、放射電極41は、正面電極部41aとL字状の上面電極部41bと側面電極部41cとを有している。そして、正面電極部41aの一方端部が、図1に示すように、導体パターン41gを通じて導体パターン111に接続されている。つまり、図7に示すように、導体パターン41gを非グランド領域102の裏面102bにパターン形成し、導体パターン41gの両端を、スルーホール102d,102eを通じて、正面電極部41a,導体パターン111にそれぞれ接続した。
このように、チップアンテナ4の放射電極41は、導体パターン41gと導体パターン111とを通じて給電部110に接続し、チップアンテナ4全体としての固定した電気長を有する。
図8は、チップアンテナ2全体の形状を示すための斜視図であり、図9は、アンテナ素子3全体の形状を示すための斜視図であり、図10は、チップアンテナ4全体の形状を示すための斜視図であり、図11は、複共振状態を説明するための線図であり、図12は、折り畳み型の無線通信機における基板収納状態を示した概略平面図である。
また、図9に示すように、アンテナ素子3は、追加放射電極30と補助素子31と導体パターン111の長さと形状に対応した電気長を有する。アンテナ素子3による実際の共振周波数は、チップアンテナ2やチップアンテナ4との結合により、アンテナ素子3単独の共振周波数と異なる。この実際の共振周波数をf2とすると、この共振周波数f2はほぼ固定的であるが、チップアンテナ2の周波数可変回路22で共振周波数f1を大きく変化させると、共振周波数f2も追従して若干変化する。
また、図10に示すように、チップアンテナ4は、放射電極41と導体パターン41gと導体パターン111の長さと形状に対応した電気長を有する。チップアンテナ4による実際の共振周波数は、チップアンテナ2やアンテナ素子3との結合により、チップアンテナ4単独の共振周波数と異なる。この実際の共振周波数をf3とすると、この共振周波数f3はほぼ固定的であるが、チップアンテナ2の周波数可変回路22で共振周波数f1を大きく変化させると、共振周波数f3も追従して若干変化する。
したがって、このアンテナ装置1は、図11に示すように、3つの共振周波数f1〜f3を有し、矢印で示すように、共振周波数f1を大きく変化させることができ、また、共振周波数f2,f3を小さく変化させることができる。
この実施例のアンテナ装置では、図13〜図15に示すように、アンテナ素子3の補助素子31を金属製支柱31aと帯形状の板金31bとで構成した。
具体的には、帯形状の板金31bを全体として略コ形に形成し、その一方端部を金属製支柱31aの先端部に連結させ、板金31b全体を非グランド領域102の裏面102b上方に位置させた。
かかる構成により、アンテナ素子3によってアンテナ装置1の特性改善と共に別の共振を立てることが可能となる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
図16に示すように、この実施例のアンテナ装置では、アンテナ素子3の補助素子31を平面型電極で形成した。
すなわち、図17及び図18に示すように、引出しパターン31aと帯形状で互いに逆方向を向く鉤形の導体パターン31bとを有する補助素子31を非グランド領域102の裏面102bに形成した。具体的には、補助素子31の引出しパターン31aをスルーホール102cを通じて追加放射電極30の接続電極30fに連結させた。
かかる構成により、アンテナ装置1の特性改善と薄型化とを図ることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
上記第3実施例では、アンテナ素子3の補助素子31を導体パターンで非グランド領域102上に直に形成したが、図19〜図21に示すように、この実施例では、アンテナ素子3の補助素子31を誘電体基体7に形成した。
具体的には、図21に示すように、補助素子31を、直方体状の誘電体基体7の下面,背面及び上面に渡ってパターン形成する。そして、誘電体基体7上面の端部31aを非グランド領域102の裏面102b側からスルーホール102cに当接させた状態で、誘電体基体7を裏面102bに装着することにより、補助素子31を追加放射電極30に接続した。
これにより、誘電体基体7による波長短縮効果を得ることができ、アンテナ素子3のさらなる小型化を図ることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
上記実施例では、チップアンテナ4を非グランド領域102の表面102aに形成し、導体パターン41gを通じて、チップアンテナ2の給電部110を共用する構成としたが、この実施例では、チップアンテナ4が、チップアンテナ2とは給電部を異にする構成にした。
かかる構成により、給電部110,120を設け、給電点を分割することにより、チップアンテナ2とチップアンテナ4という複数のシステムのアイソレーションを確保することで、共振周波数を独立に制御することができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第4実施例と同様であるので、その記載は省略する。
上記各実施例では、チップアンテナ2とアンテナ素子3とチップアンテナ4とによる3共振のアンテナ装置について説明したが、共振数は限定されない。この実施例の如く、上記各実施例の装置にさらに別体のアンテナ素子9を組み付けて、4共振のアンテナ装置とすることも実現可能である。そして、そのように多共振にしてもアンテナ装置の小型性及び薄型性を維持することができる。
この結果、この実施例のアンテナ装置では、チップアンテナ2とアンテナ素子3とチップアンテナ4とアンテナ素子9とによる異なった4つ共振周波数f1,f2,f3,f4の信号を送受信することができるので、図26に示すように、4つの異なる周波数f1,f2,f3,f4においてリターンロスが最小となるリターンロス曲線S′を得ることができ、他種類のアプリケーションに対応したマルチバンドの送受信が可能となる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第2実施例と同様であるので、その記載は省略する。
例えば、上記実施例では、アンテナ素子の補助素子を非グランド領域の裏面に配設したが、非グランド領域の表面に配設しても良いことは勿論である。すなわち、チップアンテナやアンテナ素子の配設位置,形状や大きさ及びその個数等は、上記実施例に限定されるものでなく、任意である。
また、上記実施例では、基体として誘電体基体を用いたが、磁性体基体をチップアンテナ等の基体として用いても良いことは勿論である。
Claims (12)
- 基板の非グランド領域の表面に装着された誘電体又は磁性体の基体に第1の放射電極及び電圧印加によってこの第1の放射電極の電気長を可変とする周波数可変回路を有する第1のチップアンテナと、
上記第1のチップアンテナを構成する上記基体に設けた追加放射電極,及び上記基板の非グランド領域の表面又は裏面に配された状態で上記追加放射電極に連結された補助素子で形成される所定電気長の一以上のアンテナ素子と、
上記基板の非グランド領域の表面又は裏面に装着された誘電体又は磁性体の基体に第2の放射電極を形成して成る所定電気長の第2のチップアンテナとを具備するアンテナ装置であって、
少なくとも、上記第1のチップアンテナの第1の放射電極と上記アンテナ素子の追加放射電極と上記第2のチップアンテナの第2の放射電極とを、互いに電磁界結合可能に近接させることにより、
上記第1のチップアンテナに設けられた上記周波数可変回路に上記電圧印加を行うことで、当該第1のチップアンテナが有する電気長を変化させてその共振周波数を所望量だけ変化させると同時に、当該第1のチップアンテナと電磁界結合で結合している上記アンテナ素子及び第2のチップアンテナの共振周波数をその電磁界結合量に対応した量だけ変化させることを可能とした、
ことを特徴とするアンテナ。 - 上記非グランド領域の裏面に配設した上記補助素子を、当該非グランド領域に穿設したスルーホールを通じて上記追加放射電極に連結することにより、上記アンテナ素子を形成した、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。 - 上記アンテナ素子を複数形成し、これら複数のアンテナ素子の共振周波数を全て異ならしめた、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置。 - 上記アンテナ素子の補助素子は、導体パターンを上記非グランド領域に形成してなる平面型電極である、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のアンテナ装置。 - 上記アンテナ素子の補助素子は、上記追加放射電極と接続した状態で上記非グランド領域に立設された支持部とこの支持部の先端部から上記基板に略平行に延びる平行部とでなる立体型電極である、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のアンテナ装置。 - 上記補助素子の平行部は、帯形状をなす、
ことを特徴とする請求項5に記載のアンテナ装置。 - 上記補助素子の平行部は、平板状をなす、
ことを特徴とする請求項5に記載のアンテナ装置。 - 上記補助素子の平行部の大きさを、非グランド領域からはみ出ない大きさに設定した、
ことを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれかに記載のアンテナ装置。 - 上記補助素子の平行部の先端を、開放端とした、
ことを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれかに記載のアンテナ装置。 - 上記非グランド領域の裏面に配設した上記補助素子を、当該裏面に装着した誘電体又は磁性体の基体上に形成した、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のアンテナ装置。 - 上記第2のチップアンテナは、上記第1のチップアンテナとは給電手段を異にする、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のアンテナ装置。 - 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のアンテナ装置を備える
ことを特徴とする無線通信機。
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