JP4237872B2 - 耐久性の改善された制電性布帛の製造方法 - Google Patents
耐久性の改善された制電性布帛の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性の改善された制電性布帛の製造方法に関する。更に、詳しくは本発明は布帛に、その風合いを損なうことなく、耐久性の改善された制電効果を付与する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、布帛特に合成繊維からなる布帛に、カチオン型、アニオン型、ノニオン型あるいはベタイン型などの帯電防止剤を付着させて、制電性を付与するこがとは行われてきた。この制電加工は、帯電防止を含む溶液を布帛に付着してから、加熱・固化する、いわゆる後加工方式が採用されてきた。
この後加工方式は、布帛に散布法、浸漬法、塗布法、または被覆法により単に帯電防止剤を付着させるものであるため、加工上がりの段階では所望の摩擦帯電圧(通常、1000V以下)を呈するものの、洗濯回数が3〜10回になると、摩擦帯電圧が急激に上昇し、実用性が消失する、という欠点を有していた。
勿論、制電性を維持するには、帯電防止剤の付着量を上げればよいが、この付着量の増加は、布帛本来の風合いを損なう、という別の問題を招来する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、被処理物である布帛の風合いを損ねることなく、耐洗濯性すなわち耐久性の改善された制電性布帛を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、架橋結合性を有する帯電防止剤を、ミクロには布帛に未加工部分を残存させ得、したがって風合いを極力維持できるグラビアコーティング法を介して布帛に適用することにより、上記の課題を解決するに至った。
【0005】
かくして、本発明によれば、
ポリアルキレングリコール残基を含むポリカチオン化合物、エポキシ化合物および水を含む、粘度が1,000cps〜6,000の範囲にある処理液を、
グラビアロールを介して塗布した後、
加熱処理して両化合物を架橋結合させる
ことを特徴とする耐久性の改善された制電性布帛の製造方法が提供される。
【0006】
本発明で言う布帛は特に制限はないが、特に合成繊維その中でも衣料用として汎用されているポリエステル繊維で構成されるものが好ましい。勿論、この布帛には、当業界で慣用されている、予め制電性の糸が配されたものであってもよい。
【0007】
このような布帛に付着される帯電防止剤の一方の成分であるポリカチオン化合物は、エポキシ化合物と架橋性を有するものであれば特に制限されないが、好ましくは下記式で表わされるような、ポリアルキレングリコール残基を含むものが採用される。
【0008】
【化3】
【0009】
(式中、nは2〜20の正の整数、mは1〜20の正の整数、そしてPAGはポリアルキレングリコール残基である)
【0010】
ここで、PAGは、一般にポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの残基であることが好ましい。
【0011】
一方、エポキシ化合物としても、当業界で架橋成分として採用されているもので充分であるが、好ましくは下記式で表わされるような、ポリアルキレングリコール残基を含むものがが採用される。
【0012】
【化4】
【0013】
(式中、pは1〜4の正の整数である)
【0014】
以上の2種の化合物を含む溶液は一般には作業環境、安全性および取扱性の面から水溶液の形で用いられる。この場合、本発明では、該溶液の付着手段として従来とは違ってグラビアコーティングを採用するため、溶液の粘度が重要視な因子となり、これを1,000cps〜6,000cpsの範囲で適宜調整することが肝要である。そして、この粘度調整のためには、例えばメチルメタクリ酸の共重合体のような増粘剤を配合すればよい。上記の処理液を構成する各成分の配合割合は、通常はポリカチオン化合物が1〜5重量%、エポキシ化合物が0.2〜1.5重量%、増粘剤が1〜5重量%、そして水が残余を占めるように調整すればよい。
【0015】
そして、本発明によれば、このような処理液はグラビアロールを介して布帛に塗布されるが、その際処理液は布帛1m2当たり、30g〜60gの範囲で塗布すればよい。グラビアロールの仕様としては、彫刻メッシュ深度が、100〜200ミクロンの範囲に、メッシュ密度が、10〜40個/インチの範囲に、そしてメッシュ先端部すなわち布帛に接する部分の横幅が60〜140ミクロンの範囲にあるものを用いればよい。
【0016】
処理液が塗布された後の布帛は、熱処理、すなわちポリカチオン化合物とエポキシ化合物とを架橋結合させて耐久性のある帯電防止剤の皮膜を形成する。この時の、熱処理条件は、温度140〜170℃、処理時間10〜50秒間程度であれば十分である。
【0017】
【発明の作用】
本発明によれば、帯電防止剤としてポリカチオン化合物とエポキシ化合物とを採用し且つこれらをグラビアコーティング方式にて薄膜状でふはくに塗布してから、両化合物間に架橋結合を形成するように構成したので、耐久性のある帯電防止剤の皮膜が布帛本来の風合いを損ねる懸念なく形成される。この架橋結合の状態は、下記式のようになる。
【0018】
【化5】
【0019】
したがって、このような布帛は、加工上がりは勿論3〜10回あるいはそれ以上の洗濯を重ねても、摩擦帯電圧が1000Vを超えるようなことはなく、風合いと恒久的制電効果を兼備した製品を与える。
【0020】
【実施例】
[実施例1]
経糸としてポリエチレンテレフタレートのフィラメント糸75de/36filを、緯糸中に導電糸(「メタリアン」)22de(2×107Ωの表面抵抗値)をポリエチレンテレフタレートの仮撚加工糸100de/48filと5cm間隔で併列させて、3/2ツイルに製織した生機を通常の染色加工した織物に、以下の処理液を適用した。
<処理液>
・ポリカチオンPEG化合物 7.0%
([化1]において、n=12、m=6)
・エポキシ化合物 0.7%
([化2]において、p=3)
・増粘剤 3.0%
・水 89.3%
・粘度 1500cps
上記処理液は、グラビア方式にて(彫刻メッシュ150ミクロン深度、32斜線/インチ)、薄膜状で布帛の面に塗布後、170℃×30秒のキュアリングを行い、架橋反応にて布帛に固着させた。その結果、摩擦帯電圧は次のように低く、静電性並びに洗濯耐久性は、以下の表1に示すように充分なものであった。
【0021】
【表1】
【0022】
[実施例2]
経糸、緯糸共に実施例1で用いた仮撚加工糸を用いて、3/2のベネシャン組織にて製織した生機を実施例1と同様に処理した。このとき、経糸はS1500T/Mの撚糸を用い、緯糸にはS1500T/Mの撚糸とZ1500T/Mの撚糸を交互に配列した。
また、処理液は、配合割合を変更した以外は実施例1と同じものである。
<処理液>
・ポリカチオンPEG化合物 8.0%
([化1]において、n=12、m=6)
・エポキシ化合物 0.8%
([化2]において、p=3)
・増粘剤 3.0%
・水 88.2%
・粘度 1600cps
上記処理液は、グラビアロールで布帛の片側面に点状に(非連続に)塗布後、170℃×30秒の熱セットでキュアリングを行い、架橋反応を完了させた。その結果、得られた布帛の風合いはソフトで、静電性も良好であり、表2に示すように洗濯耐久性も充分であった。
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、帯電防止剤が薄膜状の架橋結合をもって布帛上に形成されているので、布帛本来の風合いを損ねる懸念なく耐久性のある帯電防止効果が奏される。したがって、このような布帛は、3〜10回あるいはそれ以上の洗濯を重ねても、摩擦帯電圧が1000Vを超えるようなことはなく、風合悪化の問題を惹起することなく恒久的制電効果を具備した製品が提供される。
Claims (12)
- 布帛表面に、
ポリアルキレングリコール残基を含むポリカチオン化合物、エポキシ化合物および水を含む、粘度が1,000cps〜6,000の範囲にある処理液を、
グラビアロールを介して塗布した後、
加熱処理して両化合物を架橋結合させる
ことを特徴とする耐久性の改善された制電性布帛の製造方法。 - 布帛が、ポリエステル繊維で構成される、請求項1記載の耐久性の改善された制電性布帛の製造方法。
- 布帛が、ポリエステル繊維で構成され且つ導電性繊維が配されている、請求項2記載の耐久性の改善された制電性布帛の製造方法。
- ポリアルキレングリコール残基がポリエチレングリコール残基である、請求項1に記載の耐久性の改善された制電性布帛の製造方法。
- 水溶液が増粘剤を含む、請求項1に記載の耐久性の改善された制電性布帛の製造方法。
- グラビアロールの彫刻メッシュ深度が、100〜200ミクロンの範囲にある、請求項1に記載の耐久性の改善された制電性布帛の製造方法。
- グラビアロールのメッシュ密度が、10〜40個/インチの範囲にある、請求項8に記載の耐久性の改善された制電性布帛の製造方法。
- グラビアロールのメッシュ先端の横幅が、60〜140ミクロンの範囲にある、請求項8又は9に記載の耐久性の改善された制電性布帛の製造方法。
- 処理液を30g/m2〜60g/m2(布帛)の範囲で塗布する、請求項1に記載の耐久性の改善された制電性布帛の製造方法。
- 処理液を塗布した後、140〜170℃の温度で10〜50秒間で熱処理する、請求項1または11のいずれかに記載の耐久性の改善された制電性布帛の製造方法。
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1999
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