JP4236034B2 - 電気コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、部品を係合させるためのレバー接続組立体に関し、より詳細には別体のハウジングに収容された電気コンタクトを接続するための嵌合補助組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ある種の用途の電子部品は、複数の電気コンタクトを電気的に接続するために嵌合補助組立体を必要とする。嵌合補助組立体は、複数の電気コンタクトを保持する第1コネクタハウジングと、同数の電気コンタクトを保持する第2コネクタハウジングとを有する。一方のコネクタハウジングは雄型電気コンタクトを有するが、他方のコネクタハウジングは雌型電気コンタクトを有する。第1コネクタハウジングは、第2コネクタハウジングの内側に受容されるよう構成される。接続される電気コンタクトの数が増加するにつれて、互いに嵌合する電気コンタクト間の摩擦により、互いに嵌合するコネクタハウジングを結合完了させることが困難になっている。
【0003】
従来の嵌合補助組立体は、第1コネクタハウジングの両側壁から延びると共にそれら両側壁に沿って回転する2本のレバーアーム及びハンドルを有するレバーを具備する。第2コネクタハウジングは、電気コンタクトが更に挿入されることに抵抗する点まで第1コネクタハウジング上を摺動すると共に第1コネクタハウジングを取り囲む。各レバーアームはノッチを有するカムアームを具備する。ラック歯は第2コネクタハウジング内に配置され、各ラック歯はカムアームのノッチに対応する。第1コネクタハウジングが第2コネクタハウジング内に挿入されると、レバーは固定位置で方向付けられるので、カムアームはラック歯と係合するよう整列する。
【0004】
ハンドルが第1方向に回転すると、ラック歯及びカムアームが係合して第1コネクタハウジング及びレバーを第2コネクタハウジングの方に下方へ引っ張り、電気コンタクトを嵌合させる。或いは、ハンドルが第2方向に回転すると、第1コネクタハウジングは第2コネクタハウジングから上方へ引っ張られ、電気コンタクトを嵌合解除する。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−298163号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電気コネクタはいくつかの欠点を有する。第1の欠点は、カムアームがモジュールコネクタのラック歯と係合する前に、レバー部材が長い距離を回転する。このため、レバー部材は、電気コンタクトを接続及び接続解除するために90°回転する。レバー部材が作動時に90°回転するので、レバー部材は完全に直立し、回転途中のある点では垂直軸に対して平行である。レバー部材がこのような直立方向を向くと、嵌合補助組立体は大きな空間を占有するので、空間が制約されていない特定の電気用途での使用に制限される。従って、より短い距離を回転して電気コンタクトを嵌合させ、回転に要する空間が小さいレバー部材を有する嵌合補助組立体が必要である。
【0007】
第2の欠点は、従来の電気コネクタがレバー部材を必要な固定位置に有効に維持しないことである。例えば、いくつかの電気コネクタはレバーアームに開口を有する。それら開口は、第1コネクタハウジングの両側壁から外側に延びる可撓性ラッチを受容し、可撓性ラッチにより保持される。第1コネクタハウジングが第2コネクタハウジング内に配置すると、ラッチは第1コネクタハウジングへ内方に付勢され、固定位置からレバーアームを解放する。しかし、レバーアームは、可撓性ラッチが開口と係合するために第1コネクタハウジング付近の下位置に位置しなければならない。第1コネクタハウジングを第2コネクタハウジングへ下方に配置するために、レバーは第1コネクタハウジングの上の直立位置まで上方に回転する。このため、レバーは、電気コンタクトを接続する際に、より大きな空間を占有し周囲の部品と干渉するので、電気コネクタと共に使用される部品の数が制限される。
【0008】
他の電気コネクタは、第2コネクタハウジング内への挿入に先立って固定位置にレバーを維持し、レバーアームは第1コネクタハウジングから直立して延びるので、レバーは第1コネクタハウジング付近で下方に回転して電気コンタクトを接続させる。レバーアームはカムアーム付近に開口を有する。開口は、第1コネクタハウジングの両側壁から外側に延びる突起を受容し、それら突起により保持される。第1コネクタハウジングが第2コネクタハウジング内に配置されると、レバーは、突起から開口を係合解除するのに必要な力で押圧され、固定位置からレバーを解放する。しかし、突起は小さく、レバーアームの小さな表面領域のみと係合する。このため、若干の力がレバーに印加されると、レバーアームが突起から早過ぎるタイミングで解放されるので、レバーは最早固定位置にない。また、突起は、すぐに摩耗してレバーと嵌合しなくなる。
【0009】
従って、上述の問題を克服する電気コネクタに対するニーズがある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電気コンタクトを受容するよう構成された端部を有する第1及び第2ハウジングを具備する電気コネクタを提供する。第1及び第2ハウジングは、互いに嵌合可能に構成されて対応する電気コンタクト同士を結合させ、初期位置及び最終位置間を移動可能である。また、電気コネクタは、レバー部材が回転軸の周りの所定回動範囲を回転すると、第1及び第2ハウジングを係合させると共に第1及び第2ハウジングに初期位置及び最終位置間を移動させる。レバー部材は、第1ハウジングに受容される支軸ポストを有するカムアームと、第1及び第2ハウジングにそれぞれ係合する第1及び第2ノッチとを具備する。第1ハウジングは、回転軸に対して支軸ポストを回転可能に且つ摺動可能に保持するためのポストスロットを有する。第1ハウジングは第1ノッチと係合する第1ラックを更に有し、第2ハウジングは第2ノッチと係合する第2ラックを有する。第1及び第2ラック並びに第1及び第2ノッチは、レバー部材が回転範囲に沿って回転すると、協働して第1及び第2ハウジングに初期位置及び最終位置間を移動させる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。なお、上述の課題解決手段、及び以下の実施形態の説明は、添付図面を併せて参照するとより理解されよう。それら図面及びいくつかの実施形態は、本発明の説明の目的にのみ示される。しかし、本発明は添付図面に示された構造及び手段に限定されないものと理解すべきである。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に従って形成された嵌合補助組立体10を示す斜視図である。嵌合補助組立体10は、電気コンタクト(図示せず)のグループを保持するパケットを受容するよう構成されたコンタクト収容室12を有するハーネスコネクタ18を具備する。また、嵌合補助組立体10はハーネスコネクタ18の電気コンタクトと嵌合するよう構成された電気コンタクト(図示せず)を保持するモジュールコネクタ22を具備する。図1に示されるように、ハーネスコネクタ18は、初期段階位置までモジュールコネクタ22内に部分的に挿入される。また、嵌合補助組立体10は、ハーネスコネクタ18の外部に保持されモジュールコネクタ22と係合するレバー部材14を有する。レバー部材14は、初期段階位置から最終位置(図7参照)までハーネスコネクタ18を移動させるために、矢印A方向に回転可能である。レバー部材14は、矢印A方向に回転すると、ハーネスコネクタ18及びモジュールコネクタ22の電気コンタクト同士が互いに嵌合完了するまで、モジュールコネクタ22内へ矢印B方向に下方にハーネスコネクタ18を押圧する。
【0013】
図2は、図1の嵌合補助組立体10の分解斜視図である。レバー部材14は離隔した1対のカムアーム26を有し、各カムアーム26はその両側に配置された第1ノッチ30及び第2ノッチ34を有する。また、カムアーム26は、その内面から内方に延びると共に互いに面した筒状の支軸ポスト38を有する。支軸ポスト38は共通の回転軸42に沿って整列する。図2において、レバー部材14は嵌合解除位置に方向付けられ、レバーアーム58は垂直軸24に対して単に例示であるが30°で整列する。垂直軸24は、ハーネスコネクタ18及びモジュールコネクタ22間の相対移動方向に対して平行に延びる。ハーネスコネクタ18は、両側壁56を貫通して形成された楕円ポストスロット52のそばに配置された三角形の第1ラック48を有する。モジュールコネクタ22は、切り欠かれたU字状すなわち半円状アーム捕捉部68を有する矩形の両側壁を有する。三角形の第2ラック64は、モジュールコネクタ22の開放面65近傍のアーム捕捉部68の一側に形成される。
【0014】
レバー部材14は、取外し可能に固定位置へハーネスコネクタ18内に矢印Bの方向(装填方向すなわち段階方向とも呼ばれる)に下方に挿入される。固定位置では、支軸ポスト38がポストスロット52内に受容され、第1ラック48が第1ノッチ30内に配置されるので、両レバーアーム58は垂直軸24に対して略30°で整列する。次に、ハーネスコネクタ18及びレバー部材14は、図1に示される初期段階位置に到達するまでモジュールコネクタ22内に矢印B方向に摺動可能に挿入される。初期段階位置にある場合、カムアーム26はカム捕捉部68内に位置し、第2ラック64は第2ノッチ34内に位置する。
【0015】
図3は、本発明の一実施形態に従って形成されたハーネスコネクタ18の斜視図である。ハーネスコネクタ18は、箱型をなし、対向する両側壁56及び対向する両端壁76を有する。単に例示であるが、中央壁74は、多数の矩形コンタクト収容室12を画定するために両側壁56間を延びてもよい。電気コンタクト(図示せず)は、ハーネスコネクタ18の一面75又は後端73のいずれかからコンタクト収容室12内に装填できる。ハーネスコネクタ18がモジュールコネクタ22(図2参照)内に摺動可能に挿入されると、電気コンタクトはモジュールコネクタ22内に配置された電気コンタクトと係合する。ハーネスコネクタ18の外縁は、ハーネスコネクタ18がモジュールコネクタ22内に配置できるように、モジュールコネクタ22の内縁よりも小さい。
【0016】
ポストスロット52は、一面75及び後端73間を延びる縦軸に沿った楕円形状をなし、内壁84、上壁90及び下壁88を有する。ポストスロット52の内壁84は、互いに向かって内方に延びる、逆向きに整列する保持突起80を有する。カムアーム26の支軸ポスト38(図2参照)は、ポストスロット52の保持突起80及び下壁88間のポストスロット52の下位置内に最初は保持される。保持突起80により、ハーネスコネクタ18がモジュールコネクタ22(図2参照)内の初期段階位置に挿入されるまで、支軸ポスト38が下位置に保持されながら自由に回転することができる。レバー部材(図1参照)が矢印A方向に回転すると、支軸ポスト38は、保持突起80間に割り込み保持突起80及び上壁90間のポストスロット52の上位置まで移動するまで、矢印C方向に上方へ梃子で動かされる。支軸ポスト38はポストスロット上位置内で回転自在である。
【0017】
ポストスロット52は、対向する楕円可撓穴92間に配置される。可撓穴92は両側壁56間を貫通し、可撓穴の縦軸がポストスロット52の縦軸に平行に整列して方向付けられる。狭い可撓帯片96はポストスロット52及び可撓穴92を分離する。カムアーム26の支軸ポスト38(図2参照)が下位置から上位置に矢印C方向に上方へ押圧されると、支軸ポスト38は保持突起80を相互に離れる外側へ撓める。可撓帯片96は、保持突起80が相互に離れる方向に撓むと、可撓空隙92内へ逆方向外側に曲がる。支軸ポスト38が保持突起80上の上位置89内に一旦移動すると、可撓帯片96は可撓空隙92から互いに向かってスプリングバックするので、保持突起80は支軸ポスト38の下で非偏倚状態に戻る。
【0018】
第1ラック48は、両側壁56から互いに逆方向外側に延び、ポストスロット52の一側に沿って配置される。第1ラック48は、内壁84の中間点近傍でほぼ整列する。各第1ラック48は、レバー部材14(図2参照)がハーネスコネクタ18上に実装される際にカムアーム26の第1ノッチ30(図2参照)内に受容される傾斜した上面100及び下面104を有する。上面100及び下面104は、支軸ポスト38がポストスロット52の下位置87内に位置すると第1ノッチ30と係合してレバーアーム58を固定位置に保持するが、ハーネスコネクタ18はモジュールコネクタ22内に初期段階位置まで装填される。ハーネスコネクタ18がモジュールコネクタ22内で初期段階位置から最終位置まで移動すると、第1ラック48はモジュールコネクタ22のアーム捕捉部68(図2参照)内に摺動する。
【0019】
ハーネスコネクタ18の端壁76は、垂直方向に整列する外部凹部108を有する。凹部108は、それら凹部108を横切る保持帯片112を有する。ハーネスコネクタ18がモジュールコネクタ22(図2参照)内に摺動すると、保持帯片112は、モジュールコネクタ22の端壁132の内壁に位置する上保持ラッチ116及び下保持ラッチ118(図6参照)とスナップ係合可能に係合することにより、ハーネスコネクタ18を保持する。
【0020】
図4は、本発明の一実施形態に従って形成されたレバー部材14の斜視図である。ハンドル120は、レバーアーム58と一体に形成され且つレバーアーム58間を直交して延びる。レバーアーム58にはカムアーム26が形成される。カムアーム26内の第1ノッチ30及び第2ノッチ34は、互いに反対側に配置された上ギア面124,125及び下ギア面128,129をそれぞれ有する。第1ノッチ30は、ハーネスコネクタ18の第1ラック48(図3参照)と係合し、モジュールコネクタ22内への挿入に先立って固定位置にレバー部材14を保持する。第1ノッチ30及び第2ノッチ34は、レバー部材14が初期位置及び最終位置間を回転すると、ハーネスコネクタ18の第1ラック48及びモジュールコンタクト22の第2ラック64にそれぞれ係合する。
【0021】
図5は、ハーネスコネクタ18に実装されたレバー部材14を示す斜視図である。レバー部材14は、レバーアーム58を互いに離れる外方向に撓めることによりハーネスコネクタ18に取り付けられる。この結果、支軸ポスト38(図2参照)は、ポストスロット52内の保持突起80(図3参照)及び内壁84(図3参照)間に囲まれ且つ第1ノッチ30がハーネスコネクタ18の第1ラック48を囲むまで、ハーネスコネクタ18の両側壁56に沿って摺動する。第1ノッチ30の上ギア面124及び下ギア面128は第1ラック48の上面100及び下面104にそれぞれ抵抗可能に係合するので、レバー部材14は、レバーアーム58が垂直軸24に対して略30°の角度となった状態で固定位置に維持される。
【0022】
ポストスロット52は、モジュールコネクタ22内へのハーネスコネクタ18の挿入に先立って固定位置にレバー部材14を位置するのを補助する。保持突起80(図3参照)は、ポストスロット52の下位置87(図3参照)内に支軸ポスト38(図2参照)を保持し、支軸ポスト38がポストスロット52の上位置89(図3参照)内に摺動するのを阻止するので、第1ノッチ30は第1ラック48から係合解除され、レバー部材14は固定位置から回転する。レバー部材14が固定位置にあり、ハーネスコネクタ18がモジュールコネクタ22内の初期段階位置にあると、カムアーム26は、第2ノッチ34がモジュールコネクタ22の第2ラック64(図2参照)を受容するように整列する。次に、第2ラック64及び第2ノッチ34は、レバー部材14が初期段階位置から最終位置にハーネスコネクタ18を移動させるために回転すると、互いに係合するよう整列する。
【0023】
図6は、本発明の一実施形態に従って形成されたモジュールコネクタ22の斜視図である。両側壁72は、端壁132と一体に形成され且つ端壁132に対して直交して整列する。両側壁72及び両端壁132は基部134と一体に形成され且つ基部134から延びる。基部134は、両側壁72及び両端壁132の外周よりも大きな外周を有する。基部134はラジオ等の電子部品(図示せず)に実装され、両側壁72及び両端壁132は電子部品から外側に延びる。モジュールコネクタ22内に配置された電気コンタクトは、コンタクトスロット(図示せず)を介して電子部品に接続される。ハーネスコネクタ18(図3参照)がモジュールコネクタ22内の最終位置にあると、ハーネスコネクタ18及びモジュールコネクタ22の電気コンタクト同士は嵌合完了した状態にある。
【0024】
両側壁72は、その中央に配置されたアーム捕捉部68を有する。第2ラック64は、両側壁72の上縁138に沿った第1側でアーム捕捉部68内に延びる。第2ラック64は、カムアーム26の第2ノッチ34(図4参照)と係合する傾斜した上面142及び下面146を有する。カムアーム26が回転してハーネスコネクタ18を最終位置に配置すると、第2ラック64は、後述するように第2ノッチ34と抵抗可能に係合してハーネスコネクタ18をモジュールコネクタ22内へ下方に引っ張る。この結果、カムアーム26及び第1ラック48はアーム捕捉部68内に配置される。第1ラック48及び第2ラック64はハーネスコネクタ18及びモジュールコネクタ22にそれぞれ配置されるので、ハーネスコネクタ18が最終位置に位置すると、第1ラック48及び第2ラック64は、対向する両側壁150に沿ってアーム捕捉部68内に配置される。このため、ハーネスコネクタ18及びモジュールコネクタ22内での第1ラック48及び第2ラック64の整列により、ハーネスコネクタ18が正しい方向でモジュールコネクタ22内に挿入することができる。
【0025】
両端壁132は、ハーネスコネクタ18の保持帯片112(図3参照)とスナップ可能に係合し保持帯片112を保持する上保持ラッチ116及び下保持ラッチ118を有する。ハーネスコネクタ18がモジュールコネクタ22内の初期段階位置へ下がると、保持帯片112は上保持ラッチ116上に上保持ラッチ116及び下保持ラッチ118間の空隙122内にスナップ可能に摺動する。このため、上保持ラッチ116及び下保持ラッチ118は、保持帯片112及びハーネスコネクタ18を初期段階位置に保持する。ハーネスコネクタ18が初期段階位置から最終位置に移動すると、保持帯片112は下保持ラッチ118を越えて下保持ラッチ118の下にスナップ可能に摺動する。ハーネスコネクタ18がモジュールコネクタ22から取り外されると、保持帯片112は下保持ラッチ118及び上保持ラッチ116上にスナップ可能に摺動して戻る。
【0026】
図1に戻ると、ハーネスコネクタ18は初期断簡位置にあり、レバー部材14は固定位置で直立する。第1ラック48はピッチ半径D1だけ回転軸42から離れた第1接触点156で第1ノッチ30と係合し、第2ラック64はピッチ半径D2だけ回転軸42から離れた第2接触点160で第2ノッチ34と係合する。例示ではD1はD2と等しい。
【0027】
ハーネスコネクタ18を最終位置に移動させて電気コンタクト同士を嵌合させるために、レバー部材14は、レバーアーム58が垂直軸24に直交してモジュールコネクタ22の上縁138に位置するまで、例えば約60°だけ矢印A方向に回転軸42の周りを回転する。レバー部材14が矢印A方向に回転すると、第1ノッチ30の上ギア面124は矢印J方向に第1ラック48の上面100を押圧し、第2ノッチ34の下ギア面129は矢印K方向に第2ラック64の下面146を押圧する。上ギア面124及び上面100が互いに係合すると、第2ノッチ34の下ギア面129は矢印K方向に第2ラック64の下面146を押圧する。第1ノッチ30及び第1ラック48間、及び第2ノッチ34及び第2ラック64間の2点接触により、カムアーム26をアーム捕捉部68内に引っ張るので、電気コンタクト同士が嵌合するのに十分な力でハーネスコネクタ18をモジュールコネクタ22内に引っ張る。
【0028】
図7は、電気コンタクト同士が嵌合した最終位置での嵌合補助組立体10を示す斜視図である。カムアーム26及び第1ラック48はカム捕捉部68内に位置し、第1ノッチ30の上ギア面124は第1ラック48の上面100に当接し、第2ノッチ34の下ギア面129は第2ラック64の下面146に当接する。両レバーアーム58は、垂直軸24に対して直交して整列するが、他の角度に向くことはできない。電気コンタクト同士の嵌合を解除しハーネスコネクタ18を初期段階位置に戻すために、レバー部材14は回転軸42の周りを矢印S方向に回転する。レバー部材14が矢印S方向に回転すると、第1ノッチ30の下ギア面128は矢印T方向に第1ラック48の下面104を押圧し、第2ノッチ34の上ギア面125は矢印Q方向に第2ラック64の上面142を押圧する。第1ノッチ30及び第1ラック48間、並びに第2ノッチ34及び第2ラック64間にそれぞれ及ぼされる力は、互いに嵌合した電気コンタクト同士の静摩擦力に打ち勝ち、ハーネスコネクタ18をモジュールコネクタ22から初期段階位置まで矢印C方向上方に持ち上げるのに十分である。
【0029】
図1に戻ると、ハーネスコネクタ18が初期段階位置に位置するとき、支軸ポスト38(図2参照)はポストスロット52(図3参照)内の下位置87(図3参照)に位置する。ハーネスコネクタ18が初期段階位置からモジュールコネクタ22内の最終位置に移動すると、支軸ポスト38は下位置87内で回転軸42の周りを回転する。レバー部材14が矢印A方向に回転すると、支軸ポスト38は、保持突起80(図3参照)間を矢印C方向へ垂直方向上方に上位置89(図3参照)内に摺動する。支軸ポスト38は、ハーネスコネクタ18が最終位置に到達するまで上位置89内で回転軸42の周りを回転し続ける。
【0030】
また、ハーネスコネクタ18が最終位置から初期段階位置に移動するとき、支軸ポスト38は、レバー部材14が矢印S方向に回転完了したときに上位置89から下位置87まで矢印B方向に垂直下方向へ摺動する。
【0031】
このように、第1ラック48及び楕円形ポストスロット52(図3参照)は、レバー部材14がハーネスコネクタ18を初期位置及び最終位置間で移動させるために回転する距離を著しく短縮する。例えば図1において、ハーネスコネクタ18が第1ラック48無しで垂直方向に最終位置へ移行するために、第2ノッチ34が第2ラック64と係合してハーネスコネクタ18をモジュールコネクタ22内に引っ張るので、レバー部材14は矢印A方向により長い距離を回転しなければならないであろう。さらに、支軸ポスト38(図2参照)がポストスロット52内を垂直方向に摺動することにより、第2ノッチ34が回転中を通して第2ラック64と殆ど係合するように第2ラック64がピッチ半径D2を維持できる。支軸ポスト38を上位置89(図3参照)内で摺動可能にすることでピッチ半径D2を維持することにより、回転中において第2ラック64は第2ノッチ34と抵抗接触したままであるので、第1ノッチ30は第1ラック48を下方に押圧し、ハーネスコネクタ18を最終位置に押圧する。従って、レバー部材14が短縮された距離を回転してハーネスコネクタ18を同じ垂直方向の距離だけ最終位置に移動させるように、第1ラック48及びポストスロット52が協働する。
【0032】
さらに、支軸ポスト38及び支軸スロット(ポストスロット)52の構造は、ベアリング及びトラック(truck)又は多次元リンク等の同様の多次元移動範囲を支持する別の構造に置換できる。
【0033】
図10は、本発明の別の実施形態に従って形成された嵌合補助組立体180を示す側面図である。レバー部材14のカムアーム26はポストスロット52を有する。ポストスロット52は、ハーネスコネクタ18の両側壁56から外側に延びる支軸ポスト38を受容する。ハーネスコネクタ18が初期段階位置に位置すると、支軸ポスト38は上位置89に位置してポストスロット52の上壁90と係合する。レバー部材14が回転軸42の周りを矢印A方向に回転し、第1ノッチ30及び第2ノッチ34が第1ラック48及び第2ラック64にそれぞれ係合すると、支軸ポスト38は、ポストスロット52内を下位置87まで摺動してポストスロット52の下壁88と係合する。前の実施形態において、支軸ポスト38がポストスロット52内を摺動できるので、第2ノッチ34は第2ラック64との接触状態を維持する。また、嵌合補助組立体180のカムアーム26は、図3に示されたような保持突起80及び可撓空隙92を有して支軸ポスト38を上位置89に保持し、第1ノッチ30が第1ラック48を囲んでレバー部材14を固定位置に維持することもできる。
【0034】
図8は、本発明の更に別の実施形態に従って形成された嵌合補助組立体200を示す斜視図である。嵌合補助組立体200は、第2ラック64がアーム捕捉部68の反対側に配置され且つ第1ラック48がポストスロット52の反対側に配置された点を除き、図1の嵌合補助組立体10と略同様である。従って、ハーネスコネクタ18が図示の初期段階位置に位置すると、第1ノッチ30は第2ラック64と係合し、第2ノッチ34は第1ラック48と係合するので、レバー部材14は、レバーアーム58が垂直軸24に対して直交する固定位置に維持される。レバー部材14は、回転軸42の周りを矢印S方向に回転してハーネスコネクタ18を最終位置に移動させる。レバー部材14が矢印S方向に回転すると、第2ノッチ34の上ギア面125は第1ラック48の上面100を矢印Q方向に押圧し、第1ノッチ30の下ギア面128は第2ラック64の下面146を矢印T方向に押圧するので、ハーネスコネクタ18がモジュールコネクタ22内に矢印B方向下方に引っ張られる。
【0035】
図9は、最終位置にある図8の嵌合補助組立体200を示す斜視図である。レバー部材14は回転軸42の周りを矢印S方向に回転したので、レバーアーム58は垂直軸24に対して約30°の位置にある。ハーネスコネクタ18を初期段階位置に戻すために、レバー部材14は回転軸42の周りを矢印A方向に回転する。図1の実施形態のように、第1ラック48、ポストスロット52(図3参照)及び第2ラック64は、レバー部材14の回転距離を短縮するように作動して初期位置及び最終位置間でハーネスコネクタ18を移動させる。図8及び図9の実施形態は、レバーアーム58が垂直軸24に対して直交する位置からレバーアーム58が垂直軸24に対して30°で電気コンタクト同士を接続する位置までレバー部材14を移動するように、第1ラック48及び第2ラック64を方向付ける。
【0036】
種々の嵌合補助組立体の実施形態には、いくつかの利点がある。ポストスロットの保持突起は下位置に支軸ポストを保持するので、ハーネスコネクタをモジュールコネクタ内に挿入する前に、カムアームの第1ノッチが第1ラックと係合してレバー部材を固定位置に維持する。従って、カムアームは、ハーネスコネクタがモジュールコネクタ内の初期段階位置に位置する際に、第2ラックが第2ノッチと係合するように適正に整列する。
【0037】
レバー部材の回転中に第1ラックが第1ノッチと十分に係合するようにレバー部材が回転し、ポストスロットによりカムアームが第2ノッチ及び第2ラック間の接触を維持するように垂直方向に移動すると、第1ラックは第1ノッチ内に残るように配置される。このため、レバー部材は、第1ラックがカムアームと係合せず、支軸ポストがポストスロット内に垂直方向に摺動できない場合よりも、半分の回転で電気コンタクト同士を接続する。レバー部材は電気コンタクト同士を接続するのにより短い距離だけ回転するので、嵌合補助組立体は、より小さい空間を占有し、広い範囲の電子用途に使用可能である。例えば、代表的な嵌合補助組立体が電気コンタクト同士を接続するのに必要とする90°の代わりに、レバー部材が60°回転する場合、ハーネスコネクタが垂直軸に対して平行である代わりに初期段階位置にハーネスコネクタが位置すると、垂直軸に対して30°で位置するので、占有空間がより小さい。
【0038】
いくつかの実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変形が可能であり、等価物に置換可能であることは当業者に理解されよう。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明が教示することに対して特定の状況又は材料を適用して種々の変更を加えることも可能である。従って、本発明は、開示された特定実施形態に限定するのではなく、特許請求の範囲内の全ての実施形態を含むことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に従って形成された嵌合補助組立体を示す斜視図である。
【図2】図1の嵌合補助組立体の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に従って形成されたハーネスコネクタの斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に従って形成されたレバー部材の斜視図である。
【図5】ハーネスコネクタに実装されたレバー部材を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に従って形成されたモジュールコネクタの斜視図である。
【図7】電気コンタクト同士が嵌合した最終位置での嵌合補助組立体を示す斜視図である。
【図8】本発明の別の実施形態に従って形成された嵌合補助組立体を示す斜視図である。
【図9】最終位置にある図8の嵌合補助組立体を示す斜視図である。
【図10】本発明の更に別の実施形態に従って形成された嵌合補助組立体を示す側面図である。
【符号の説明】
14 レバー部材
18 ハーネスコネクタ(第1ハウジング)
22 モジュールコネクタ(第2ハウジング)
26 カムアーム
30 第1ノッチ
34 第2ノッチ
38 支軸ポスト
42 回転軸
48 第1ラック
52 ポストスロット
64 第2ラック
80 保持突起
87 下位置
89 上位置
Claims (3)
- 電気コンタクトを受容するよう構成された 端部を有する第1及び第2ハウジングであって、該第1及び第2ハウジングは互いに嵌合可能に構成されて対応する前記電気コンタクト同士を結合させ、初期位置及び最終位置間を移動可能である第1及び第2ハウジングと、
該第1及び第2ハウジングと係合し、回転軸の周りの所定回動範囲にわたる回転によって前記第1及び第2ハウジングに前記初期位置及び最終位置間を移動させるレバー部材であって、前記第1ハウジングに受容される支軸ポストを有するカムアーム、並びに前記第1及び第2ハウジングとそれぞれ係合する第1ノッチ及び第2ノッチを有するレバー部材とを具備する電気コネクタにおいて、前記第1ハウジングは、前記回転軸に対して前記支軸ポストを回転可能に且つ摺動可能に保持するためのポストスロットと、前記第1ノッチと係合する第1ラックとを有し、
前記第2ハウジングは、前記第2ノッチと係合する第2ラックを有し、
前記第1及び第2ラック並びに前記第1及び第2ノッチは、前記レバー部材が前記回動範囲に沿って回転すると、協働して前記第1及び第2ハウジングに前記初期位置及び前記最終位置間を移動させることを特徴とする電気コネクタ。 - 前記ポストスロットは楕円形をなし、前記ポストスロットの内壁に沿って少なくとも1個の保持突起を有し、
該保持突起は、前記ポストスロット内を上位置及び下位置に分離し、
前記保持突起は、前記レバー部材が前記回動範囲にわたって移動する間、前記支軸ポストと摩擦係合して前記支軸ポストを前記下位置に保持することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。 - 電気コンタクトを受容するよう構成された 端部を有する第1及び第2ハウジングであって、該第1及び第2ハウジングは互いに嵌合可能に構成されて対応する前記電気コンタクト同士を結合させ、初期位置及び最終位置間を移動可能である第1及び第2ハウジングと、
該第1及び第2ハウジングと係合するカムアームを有するレバー部材であって、該レバー部材が回転軸の周りの所定回動範囲にわたって直線的経路に沿って回転すると、前記第1及び第2ハウジングに前記初期位置及び最終位置間を移動させるレバー部材と、
前記レバー部材及び前記第1ハウジングを相互接続する多次元リンクであって、前記レバー部材が前記回動範囲にわたって回転して前記第1及び第2ハウジングに前記初期位置及び前記最終位置間を移動させると、前記レバー部材が前記第1ハウジングに対して前記回転軸の周りに且つ前記直線的経路に沿って回転可能であることを特徴とする電気コネクタ。
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