JP4235307B2 - 緊結装置及び緊結具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は緊結装置及び緊結具にかかり、殊にコンクリート製品同志、コンクリート製品と木材、木材同志等の二部体を、互いに緊結する緊結面の中心で、簡単にかつ外部の露出部分を無くして緊結するようにした緊結装置とこの緊結に使用される緊結具に関する。二部体の間に別の部材が介在することもある。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート製品、例えばカルバートでは、外周面又は内周面にフランジを形成し、このフランジにボルトを挿通してナットで締付けている。フランジが周面から突き出すのを嫌う場合、あるいはトンネルのセグメントのように大型の場合は、接続する端面から少し反対方向へ移動した部分の内周又は外周面に溝を形成し、これにより端部に内周又は外周面がコンクリート製品の内周又は外周面と同じ面位置の連結壁を形成し、この連結壁にボルトを挿通してナットで締付けるやり方もある。
【0003】
コンクリート製品と木材の緊結は木造建築物のコンクリート土台と根太の結合で見られるが、この場合は土台にアンカーボルトを設け、根太にボルト孔を穿ってナットで締結する。
【0004】
木材同志の場合は、ほぞとほぞ溝、ボルトとナット、特殊金物とねじによる結合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
コンクリート製品同志を肉厚の中心で緊結することは応力の偏りを防げて好ましいが、現在までのところ行われていない。コンクリート製品にフランジを形成してボルト・ナットで緊結するやり方は、当然のことながらコンクリート製品の肉厚の中心で緊結することは不可能である。また、連結壁を形成するやり方も、溝をあまり深くすると製品の緊結部が弱くなるので、溝を肉厚の中心にまで届かせることは実際上不可能である。
【0006】
根太にボルト孔を穿ってこの根太をナットで土台に締結するやり方は、双方が厚みの中心で緊結されている。しかしながら、この場合、根太のボルト孔を土台のアンカーボルトに合致させるため、どうしても余裕を持たせた大きめのボルト孔を穿たねばならず、座金も大きいものを必要とする。
【0007】
木材同志の場合のほぞとほぞ溝は加工が大変厄介である。またボルトとナットはボルト孔の穿孔作業が必要で、ボルトとナットが外部に突き出て邪魔になる。更に、特殊金物とねじによる結合はこの金物が外部に露出する。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明にかかる緊結装置は互いに緊結するべき二部体に各別に配設された能動型ユニットと受動ネジ体を有している。該能動型ユニットは、一方の部体に外部から穿った通路に挿通される操作桿により定位置回転自在のウォーム及び該ウォームと係合するウォーム歯車を備えた駆動セットと、該ウォーム歯車と同心に配置されかつ一体に回転するネジ体を有している。
該ウォームと該ウォーム歯車との係合は該ウォーム歯車をケースの収容部に収容し、該ウォームを該ケースの軸受部に支持してなされ、該軸受部は該収容部の輪郭を規制する周壁の開放部を挟む両端部を外側へ曲げて形成されている。
該能動型ユニットの該ネジ体は、一方の部体に埋設されて一端面が緊結面に露出するアンカーボックスにその抜け止め部が納まりネジ部が外部へ突出して、所定範囲内で移動できかつ回転自在となっている。
該受動ネジ体は他方の部体に埋設されてそのネジ部が緊結面に露出している。
そして、該駆動セットを該能動型ユニットのネジ体に係合し、該二部体の緊結面を相対設して両ネジ体を突き合わせ、該ウォームの回転で両ネジ体を互いに螺入することによって該二部体が緊結される。
【0009】
本発明にかかる緊結具は本発明に係る緊結装置に供される物で、それぞれの作用は緊結装置で既に述べたので、省略する。
【0010】
前記の緊結装置又は緊結具において、該ウォーム歯車は潤滑性の歯車受けに納まって該ケースの収容部に収容されている構成としてもよい。
こうすると、ウォームとウォーム歯車の回転が円滑となり、締結作業が楽にできる。
【0011】
同様に、該潤滑性の歯車受けは開閉自在に連結された一対の駒で形成され、両駒は閉合状態で完成する、一部に外部への開放口部を有する該ウォーム歯車を納めるための凹窩部と、該凹窩部と同軸線上のボルトの挿通孔部を形成するようになっていてもよい。
こうすると、ウォーム歯車を凹窩部に収容するのが容易となり、ネジ体の挿通も容易である。
【0012】
同様に、該ネジ体は自身の外周に角柱部を備え、該ウォーム歯車は軸線上に角軸孔を備え、該角柱部が該角軸孔に密接に嵌合して該ネジ体に該ウォーム歯車が同心に設けられていてもよい。
こうすると、ネジ体をウォーム歯車から外しておけるので組立前の部品の整理に場所をとらず、組立後はウォーム歯車の回転にネジ体も確実に追随して緊結が確実に行われる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明にかかる緊結装置及び緊結具を、緊結装置の具体例を示す図面を参照して説明する。
1は能動型ユニット、2は受動ネジ体で、この両者で緊結具を構成している。能動型ユニット1は互いに緊結するべき二部体3と4の内の一方の部体3に配設され、受動ネジ体2は他方の部体4に配設される。
【0014】
この能動型ユニット1は駆動セット11とネジ体12を有している。この駆動セット11は定位置回転自在のウォーム13及びこのウォーム13と係合するウォーム歯車14を備えている。ネジ体12はウォーム歯車14と同心に配置されかつこのウォーム歯車14と一体に回転する。このネジ体12は自身の軸線上で一端部に抜け止め部15を有し、他端部にネジ部16を有している。図示の例ではこのネジ部16は雄ネジとなっているが、雌ネジでもよい。この抜け止め部15は、部体3に埋設されて一端面が緊結面3′に露出する、アンカーボックス17に納まり、ネジ部16は外部へ突出する。そして、このネジ体12は所定範囲内で軸線上で移動できかつ回転自在となっている。
【0015】
受動ネジ体2は部体4に埋設され、そのネジ部21が緊結面4′に露出している。図示の例ではこのネジ部21は雌ネジとなっているが、雄ネジでもよい。
【0016】
駆動セット11を能動型ユニット1のネジ体12に係合する。そして、二部体3と4の緊結面3′と4′を相対設して両ネジ部16と21を突き合わせる。ここで、ウォーム13を回転するとウォーム歯車14が回転し、ネジ体12も回転してネジ部16と21が相対的に螺入して行く。この螺入により両部体3と4は互いに引き付けられ、最終的に緊結される。
【0017】
部体3には、ウォーム13の軸と係合する操作桿6を挿通するための通路3aが外部から穿たれている。この操作桿6を通路3aに挿通してウォーム13の軸と係合させ、軸線の周りに回転すると、ウォーム13が回転してウォーム歯車14を回転するようになっている。
【0018】
ウォーム13とウォーム歯車14との係合が、ウォーム歯車14をケース31の収容部32に収容し、ウォーム13をケース31の軸受部33に支持して、なされている。こうすると、ウォーム13とウォーム歯車14が一つのケース31にセットされるので取扱が便利で、両者の係合位置関係も確実に保たれる。
【0019】
軸受部33は収容部32の輪郭を規制する周壁34の開放部35を挟む両端部36、37を外側へ曲げて形成されている。こうすると、構成が簡単で廉価に提供できる。
【0020】
ウォーム歯車14はネジ体12と一体に設けられている。こうすると、構造が簡単となり、両者の間の遊びが無くなって緊結が安定する。
【0021】
ウォーム歯車14は潤滑性の歯車受け41に納まってケース31の収容部32に収容されている。こうすると、ウォーム13とウォーム歯車14の回転が円滑となり、締結作業が楽にできる。
【0022】
図4で、潤滑性の歯車受け41は開閉自在に連結された一対の駒42、42で形成される。両駒は閉合状態で完成する、一部に外部への開放口部43を有するウォーム歯車14を納めるための凹窩部44と、この凹窩部44と同軸線上のネジ体の挿通孔部45を形成するようになっている。こうすると、ウォーム歯車14を凹窩部44に収容するのが容易となり、ネジ体12の挿通も容易である。
【0023】
ネジ体12は自身の外周に角柱部51を備え、ウォーム歯車14は軸線上に角軸孔52を備え、角柱部51が角軸孔52に密接に嵌合してネジ体12にウォーム歯車14が同心に設けられている。こうすると、ネジ体12をウォーム歯車14から外しておけるので組立前の部品の整理に場所をとらず、組立後はウォーム歯車14の回転にネジ体12も確実に追随して緊結が確実に行われる。
【0024】
能動型ユニット1のネジ体12はボルトで、受動ネジ体2は雌ネジを切ったインサートとなっている。こうすると、通常のインサートを緊結具として利用できる。
【0025】
【発明の効果】
本発明にかかる緊結装置によれば、二つの部体をそれぞれの厚みの中心で緊結するので安定した緊結ができ、外部に対する露出部分もなくせる。
【0026】
請求項2の本発明にかかる緊結具によれば、二つの部体のそれぞれの厚みの中に配設されるので、厚みの中心に配置することも容易で、外部から見えない位置に配置できる。
【0027】
請求項3によれば、ウォーム歯車は潤滑性の歯車受けに納まって該ケースの収容部に収容されているので、ウォームとウォーム歯車の回転が円滑となり、締結作業が楽にできる。
【0028】
請求項4によれば、該潤滑性の歯車受けは開閉自在に連結された一対の駒で形成され、両駒は閉合状態で完成する、一部に外部への開放口部を有する該ウォーム歯車を納めるための凹窩部と、該凹窩部と同軸線上のボルトの挿通孔部を形成するようになっているので、ウォーム歯車を凹窩部に収容するのが容易となり、ネジ体の挿通も容易である。
【0029】
請求項5によれば、該ネジ体は自身の外周に角柱部を備え、該ウォーム歯車は軸線上に角軸孔を備え、該角柱部が該角軸孔に密接に嵌合して該ネジ体に該ウォーム歯車が同心に設けられているので、ネジ体をウォーム歯車から外しておけ、組立前の部品の整理に場所をとらず、組立後はウォーム歯車の回転にネジ体も確実に追随して緊結が確実に行われる 。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる緊結装置の能動型ユニットの具体例を示す一部切断側面図である。
【図2】 図1の一部切断右側面図である。
【図3】 本発明にかかる緊結装置の受動ネジ体の具体例を示す一部切断側面図である。
【図4】 歯車受けの展開斜面図である。
【符号の説明】
1 能動型ユニット
2 受動ネジ体
3 部体
4 部体
11 駆動セット
12 ネジ体
13 ウォーム
14 ウォーム歯車
15 抜け止め部
16 ネジ部
17 アンカーボックス
21 ネジ部
Claims (5)
- 互いに緊結するべき二部体(3,4)に各別に配設された能動型ユニット(1)と受動ネジ体(2)を有しており、
該能動型ユニット(1)は、一方の部体(3)に外部から穿った通路(3c)に挿通される操作桿(6)により定位置回転自在のウォーム(13)及び該ウォームと係合するウォーム歯車(14)を備えた駆動セット(11)と、該ウォーム歯車(14)と同心に配置されかつ一体に回転するネジ体(12)を有しており、
該ウォーム(13)と該ウォーム歯車(14)との係合は該ウォーム歯車(14)をケース(31)の収容部(32)に収容し、該ウォーム(13)を該ケース(31)の軸受部(33)に支持してなされ、該軸受部(33)は該収容部(32)の輪郭を規制する周壁(34)の開放部(35)を挟む両端部(36,37)を外側へ曲げて形成されており、
該能動型ユニット(1)の該ネジ体(12)は、該一方の部体(3)に埋設されて一端面が緊結面(3')に露出するアンカーボックス(17)にその抜け止め部(15)が納まりネジ部(16)が外部へ突出して、所定範囲内で移動できかつ回転自在で、
該受動ネジ体(2)は他方の部体(4)に埋設されてそのネジ部(21)が緊結面(4')に露出しており、
該駆動セット(11)を該能動型ユニット(1)のネジ体(12)に係合し、該二部体(3,4)の緊結面(3',4')を相対設して両ネジ体(12,2)を突き合わせ、該ウォーム(13)の回転で両ネジ体(12,2)を互いに螺入することによって該部体(3,4)を緊結することを特徴とする緊結装置。 - 能動型ユニット(1)と受動ネジ体(2)を有しており、
該能動型ユニット(1)は、定位置回転自在のウォーム(13)及び該ウォームと係合するウォーム歯車(14)を備えた駆動セット(11)と、該ウォーム歯車(14)と同心に配置されかつ一体に回転するネジ体(12)を有しており、
該ウォーム(13)と該ウォーム歯車(14)との係合は該ウォーム歯車(14)をケース(31)の収容部(32)に収容し、該ウォーム(13)を該ケース(31)の軸受部(33)に支持してなされ、該軸受部(33)は該収容部(32)の輪郭を規制する周壁34)の開放部(35)を挟む両端部(36,37)を外側へ曲げて形成されており、
該駆動セット(11)を該能動型ユニット(1)のネジ体(12)に係合し、該ネジ体(12)と該受動ネジ体(2)を突き合わせ、該ウォーム(13)の回転で両ネジ体(12,2)を互いに螺入することによって互いに緊結されることを特徴とする緊結具。 - 該ウォーム歯車(14)は潤滑性の歯車受け(41)に納まって該ケース(31)の収容部(32)に収容されている請求項1に記載の緊結装置又は請求項2に記載の緊結具。
- 該潤滑性の歯車受け(41)は開閉自在に連結された一対の駒(42)で形成され、両駒(42)は閉合状態で完成する、一部に外部への開放口部(43)を有する該ウォーム歯車(14)を納めるための凹窩部(44)と、該凹窩部と同軸線上のボルトの挿通孔部(45)を形成するようになっている請求項3に記載の緊結装置又は緊結具。
- 該ネジ体(12)は自身の外周に角柱部(51)を備え、該ウォーム歯車(14)は軸線上に角軸孔(52)を備え、該角柱部(52)が該角軸孔(52)に密接に嵌合して該ネジ体(12)に該ウォーム歯車(14)が同心に設けられている請求項1に記載の緊結装置又は請求項2に記載の緊結具。
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