JP4234788B2 - 椅子の背骨支持システム - Google Patents

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Description

【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の仙骨圧を創造することによって所望の姿勢位置を確立する背骨支持システムにおける改良、及び、全体的な骨盤の安定を目的とした、仙骨、腸骨の稜を含む骨盤及び神経・筋肉支持システムの支持部を適切に位置決めすることのできる装置に関する。
【従来の技術】
背骨痛は、概念的にも実際的にも、社会的に流行しているだけでなく、調査、特許取得活動が活発に行われている分野である。背骨痛は、職場、家庭、あるいは移動中に多くの人が経験することである。背骨痛には種々の原因があるが、治癒に到るのは希である。後者の理由は試行の欠如のためではない。むしろ、種々の背骨支持装置、支持システムに関する特許があふれている。
例えば、これらの特許は、一般的に、椅子の開発、仙骨装具または腰仙装具、固定クッションまたは支持部材、及び膨張装置に関するものに分類される。
椅子に関する開発分野は、さらに内蔵型支持装置、追加型支持装置、骨格の整形、背骨支持装置、事務用椅子の設計の各分野に分類することができる。
これら従来行われてきたことについて要説する前に、非病原性の背骨痛は、通常、神経・筋肉支持システムに加わる圧力に関するストレスの存在によって生ずるものではなく、相互に関連性のある解剖組織の影響を受けることを理解しなければならない。時々、そのストレスまたは圧力は、脊髄の内部において発生する。いずれの場合でも、結果的に得られる圧力は不適切に与えられる圧力によって生ずるものであるか、あるいは、変化する期間における、ねじれによる、または損傷した脊髄によるものであって、結果的に起こる痛みはその脊髄の以前の状態によって変化する。その結果、多くの状況下において、好まない、また所望しない背骨痛から救済するため、またはこれらを防止するために神経・筋肉支持システムを支持することができる。
従来の背骨支持装置の一つが、エプスタンによる特許文献1に記載されている。この特許では、曲面を形成する一連のバネバンドを載置するため、木製のフレームが使用される。そして、垂直方向の止め金具の間を打ち付け材料によって充てんし、装置全体が織物によって覆われる。調整フックを使用することにより、この装置を患者の体型に合わせて調整することができる。この装置の幅は、患者の背と略々同じであって、広い範囲にわたって均一に支持するために位置決めするように指示されている。
内蔵型支持装置の例としては、ソプコジュニアによる特許文献2、バートンによる特許文献3等がある。ソプコの特許は、背面に圧力を加えることのできる、体型に合わせた空気圧クッションを組み入れ、仙腰関節において、使用者の背骨支持空気圧クッションに対する前後の動きに合わせてその圧力を変化させることのできる可搬式椅子に関するものである。
バートンは、骨盤帯の座骨結節粗面が押し込まれる背部・座部結合部への身体の動きを制限することを試み、剛性を有する背部・座部結合部材を椅子に組み入れ、上記押し込みを防止した。
追加設備には種々のものがあるが、例えば、ワインリッヒの特許文献4、クイントン等の特許文献5、バクスター等の特許文献6、スコットの特許文献7、パスカレリの特許文献8が存在する。
これらの装置のそれぞれには、椅子に腰掛けた際に人の背面全体にわたって延びる部分が含まれている。ワインリッヒの装置では、この支持部材は一対の管状のクッションである。クイントン等は、腰椎を支持するためのクッションの位置を標準化することは困難であることが判明したことを示唆するとともに、そのために垂直方向に調整することのできる腰椎支持クッションを開発した。バクスター等は、側部及び中央部を含む多室空気嚢を開示し、これによって、人体の腰椎及び仙腰関節の選択された領域に空気圧を付加することができる。スコットはまた、垂直に移動することのできる背骨支持部を開示しているが、この背骨支持部はクイントン等のものよりも大きい。パスカレリは、人体の背面の幅方向全体にわたって圧力を加える延長されたクッションの形式を有する平面腰椎曲面支持部の使用を開示している。
腰仙止め金具には、ローエの特許文献9、ブルックス等の特許文献10、ハイマン等の特許文献11、カラベリの特許文献12、ランパートの特許文献13が存在する。
固定クッションを開示した特許もいくつか存在する。これらの特許には、例えば、パリッシュの特許文献14、スナイダー等の特許文献15、メアーズの特許文献16が存在する。パリッシュによって使用されるクッションは、文字「Iの形状を有し、頸部、胸部、腰椎領域を支持する。スナイダー等は、座面及び背骨支持面の両方に逆比例する支持を提供するため、圧力が最も大きくなる領域に最も柔軟な材料を設けると共に、弾性係数を変化させることのできるセグメントを有するフォームクッションを設計した。
メアーズは、完全な仙骨圧力を提供する整形外科用装置の意匠を示している。この意匠特許は、この装置がどのように動作し、機能するかは説明されていない。しかし、これに関係する指示書によって、この装置が、主に、水平状態に置かれた人によって使用されることが示されている。この装置は、柔軟なフォームラバー状態にあるゴムによって構成されるが、内部が中空に形成され、この中空内部を囲む側壁の存在によって縁部は堅く形成されている。すなわち、メアーズの装置によって提供されるこの抵抗は均一ではない。中心は、周囲の縁部より柔軟に構成されている。
床に横たわりながらこの装置を使用するため、この装置は床に載置され、使用者はこの装置の上に転がりながら横たわる。指示書によって、この装置には広い端部、及びこの広い端部が頭の方向を向くように位置決めされる狭い端部が存在することが解る。人がこの装置に最初に座った場合には、ひざが曲げられ、尾骨が床に向かって下に振動することが説明されている。この動きによって、この装置に形成されたわん曲部すなわち揺りかご状の受け台に仙骨(尾骨)のわん曲部を位置決めしやすくなると述べられている。
該意匠特許に示されているように、この装置には、前面上、及び裏の平面上、すなわち背面上に二つの持上部が形成されている。この装置は、柔軟ゴムを成形して構成され、内部に中空部を有するため、前記二つの持上領域の間に、より広い揺りかご状の受け台の領域を形成することができる。
メアーズの装置は、長さが7.25インチであって、幅が頂上部において2.75インチ、底部で約1インチである。上方の持上部は約2インチにわたって延長され、下方の持上部が約0.75インチ延長された状態において、前記揺りかご状の受け台がさらに2インチ延長されている。その後、この装置は狭い端部に向かって傾斜している。この装置はしっかりとした面上で使用しなければならず、使用者がベッド上に横たわっているときには一冊の本を使用すること、または、しっかりと固定された感じを与えるために臀部の下に一片の合板を位置決めすることが指示書によって示唆されている。
メアーズの指示書等によってまた、この装置が車、トラックまたは背面が真っ直ぐな椅子においても使用できることが述べられている。そのような状況下でメアーズの装置を使用するには、曲線状にゴム装置を曲げ、そして、それを使用者の下及び若干背面側の両方に置く。この指示書によってまた、椅子のクッションが柔軟であって、リフトを増加させるため、曲げることが可能な本状のものをゴム装置の下に挿入することができることが述べられている。曲げ部材は、この装置が床上で使用された場合には、仙骨を支持する必要がある。
このように、メアーズによって、適用される圧力の強さを調節することのできる完全な仙骨圧が実質的に必要であることが示唆されている。メアーズは、使用者が後ろにより掛かった位置にある場合に均一な圧力を提供することを選択したものである。
メアーズが、仙骨の全長さにわたって圧力を分離していることに注意することもまた重要である。これは、主に梨状筋や腸腰筋に注意しながら、筋肉の傷ついた部位を手当することを意図したものである。メアーズの所望するのは、仙骨全体を上方に向けて垂直に移動させることにある(横たわった場合には前方への移動を意味する)。仙骨をその方向に移動させるとともに、臀部を反対方向に移動することができれば、すなわち、ある意味では、彼の装置の側面の上を下方向に落下させることができれば、梨状筋や腸腰筋が伸ばされ、筋肉の痙攣を和らげることができるであろう。
【特許文献1】
米国特許第1667626号
【特許文献2】
米国特許第3145054号
【特許文献3】
米国特許第3501197号
【特許文献4】
米国特許第4753478号
【特許文献5】
米国特許第4718724号
【特許文献6】
米国特許第4516568号
【特許文献7】
米国特許第4634176号
【特許文献8】
米国特許第2831533号
【特許文献9】
米国特許第4930499号
【特許文献10】
米国特許第4475543号
【特許文献11】
米国特許第4576154号
【特許文献12】
米国意匠特許第296930号
【特許文献13】
米国特許第2554337号
【特許文献14】
米国特許第4876755号
【特許文献15】
米国特許第4552447号
【特許文献16】
米国意匠特許第277316号
【特許文献17】
米国特許第3740096号
【特許文献18】
米国特許第4489982号
【特許文献19】
米国特許第5114209号
【発明が解決しようとする課題】
本発明の実用性及び効果を適切に理解するためには、最初に、人体の骨格上の特徴を理解することが重要であるとともに、いかにしてその特徴を互いに相互に関係付け、影響させるかが重要である。そのため、人間の組織の完全な神経・筋肉・骨格システムだけでなく、この組織上のシステム間の相互関係についても言及しなければならない。
通常の人間は、前方から見た場合、背骨は、好適には相対的に真っ直ぐな鉛直線を形成する。背骨は、腰から上の部分を支持しているのであるから、機械的な強度を与えることがその機能の一つであり、また、背骨は、中枢神経及び脊髄を収容して保護しているのであるから保護機能も有する。背骨には、7個の頸部脊椎骨と、12個の胸部脊椎骨と、5個の腰椎脊椎骨が存在する。腰椎の脊椎骨の下には、仙骨があり、その下には尾骨を形成する複数の骨が存在する。この仙骨の上方の3分の1は仙骨基部となるべき領域である。
背骨の頸部すなわち上方背部は、一般的に、前方に曲がり、滑らかかつ柔軟で、文字「C」を形成するような部材となり、頭部と人体の一部を支えている。この上部は、柔軟性が大きいため、回動可能であるとともに、前後にも移動することができる。
背骨の胸部は、中央背部と呼ばれることがあるが、この部分は反対方向に曲がっている。すなわち、後方に曲がるとともに、その後また前方に曲がっている。この胸部は、肋骨とその領域の上方にある人体部分を支持している。肋骨は胸部と結合しているため、肋骨自体によって胸部背骨領域が頸部のように柔軟になることが妨げられ、実際には、胸部の剛性を比較的高くしている。
背骨の次の部分である腰椎領域、すなわち下方背部はまた胸部とは反対の方向に曲がっている。この仙骨部及び尾骨部はそれから下方に延び、その後再び前方に曲がっている。この下方背部は上半身の大半を支持する。従って、この部分は、背骨の他の部分に比較してより大きな圧縮応力を受ける。
背骨の最も通常の曲部は、人間が垂直に立った場合に発現し、最も良い姿勢となる。着座しよとする時及び着座している間は、人体が変化に曝されるので、特に椅子に座っているときに何らかの仕事をしようとするときにはより大きな変化に曝されるため、背骨の通常の曲部は一般的にねじれることとなる。これは、ほとんどと言って言い過ぎで有れば、多くの場合、椅子が背骨にとって好適な支持を提供していないという事実によって生ずるものである。従って、背骨痛またはストレスは、着座している際、特に着座を継続している際に発生する。このような着座の継続によって痛み、苦痛、機能障害が生ずる。
通常の人のみならず、例えば、レースドライバーのように、同じ姿勢で長時間座席にとどまっていなければならないような特別な職業に従事する人にとって上記のことが当てはまる。
そこで、本発明の重要な目的の一つは、通常の立ち姿勢にある場合と類似の形体に背骨の脊柱前わんを支持することにあるとともに、その人が着座した際に、この支持部を提供することにある。本発明のもう一つの目的は、主に、仙骨の基部を支えることである。この目標が達成されると、支持部の提供により、筋肉の痙攣が防止されるとともに、筋肉の疲労が低減される。
ブリッジャによる特許文献17において、使用者の体重が、背骨のディスク及び脊椎骨に均一に分配されたならば、関連して相反する筋肉グループ及び靭帯間に機械的なバランスが創造され、背骨の異常な緊張が低減されうることが認められている。一方、マロウによる特許文献18及びダンによる特許文献19号において、着座した際の姿勢の矯正の重要性が認められ、背の幅方向を完全に賄うことのできる背面支持部または腰椎支持部を使用すべきことが示唆されている。彼らのいずれもが、局部圧力、特に、仙骨の基部領域への局部圧力の重要性について認識していないとともに、これを好ましい事とさえも捉えていない。
背骨のディスクは脊椎骨を分離するが、このディスクは、体重によって生じた圧縮応力にのみ対抗する際に最小限の機械的負荷に曝される。しかし、背骨が、例えば良い姿勢で起立状態にある場合のように、その通常のわん曲状態からさらに曲げられると、新たなわん曲位置に背骨が存在する時に機械的平衡状態を保つ必要があるため、ディスクは筋肉及び靭帯によって発生したさらなる圧縮応力または引張応力、あるいはこれらの両方に耐えなければならない。神経・筋肉・骨格(NMS)システムの負担重量は、立っている状態と、横たわっている状態では大きく異なることに注意しなければならない。
これらのディスクと、脊椎骨との複合体及び相互に関係のある神経・筋肉・骨格システムに加えられる過度の応力によって背骨痛が発生することが多い。従って、着座状態を改良することにより、人が着座した際の神経・筋肉・骨格システムへのストレスを最小限にすることが必要である。これが達成されたならば、着座している者にとってより一層の快適さ、持続性し易さが得られるとともに、着座を継続している間において顕著な利点がある。
多くの人は、着座している間において、いくつかの機能を発揮しなければならない。そうでなければ、直立状態にある場合に、垂直位置から、略々背骨のわん曲位置に近接する方向に離れる方向に椅子の背面を傾斜させることによって、比較的単純に脊椎骨の複合体に対するストレスを最小限にするという目的を達成することができる。しかし、着座している間に仕事をしなければならない。このためには、どうしても身体上部の動きが必要である。そのような動きが起こったならば、神経・筋肉・骨格システムの全体にわたってストレスの程度が変化する。
身体の位置が変更された場合に動きが発生するため、上記は、身体の動きに関係する靱帯及び筋肉の動きによって引き起こされるものであることが解る。関連するストレスもまた、動きによって悪化する。特に完全に静的な着座位置にある場合のストレスと比較すると、この動きによるストレスの悪化は大きい。動きによって、上部身体がその重心から移動し、または上部身体が脊椎骨によって確立される平衡位置から移動すると、そのシステムにおける筋肉、各脊椎骨を保持している靭帯が位置を変化させ、それに応答して移動する。重心が変化し、平衡状態にある位置が変化すると、これによってまた各脊椎骨の回りの曲げモーメントが増加し、ディスクは追加的な、変化状態にあるストレスの下に置かれる。
着座中は、下部身体の主な部分、及び間違いなくその重心は、背骨の固定端部の上方に位置する。背骨の曲がりによって背骨がその柱状位置から脱し、それによって平衡状態から脱すると、第5腰椎脊椎骨と仙骨の間の結合部に動きが現れる。従って、本発明の目的の一つは、この脊椎骨と仙骨間の結合部を安定させ、正しく方向付けることにある。これは、機能的な動き及び、仙骨の基部を支持するための快適な着座位置を提供する際に重要である。そのような状態において、着座状態を長時間にわたって維持することができるのである。より具体的に言うと、仙骨、特に仙骨の基部が、背骨の平衡状態を維持するための追加的な曲げやせん断応力を必要としない状態で、かつ背骨が第5腰椎脊椎骨によって発生する重量を支持することができる角度にしっかりと位置決めされていないような状態に着座装置が配置されていれば、最適に機能的な椅子を提供するにあたって、使用者の上部身体を支えるための追加的な支持部は不要である。それはまた、より長い時間にわたって着座の際の安心感を提供するものでもない。
【課題を解決するための手段】
本発明は、通常の立ち姿勢において見られる背骨形状に類似の着座の際の背骨の形状を達成するための、背骨の腰椎の脊柱前わんを支持する方法及び装置に関する。これは、部分的には、しっかりと着座している人の骨盤を、着座中に良好な背骨姿勢を維持するための位置に配置することによって達成される。第1に、仙骨それ自体は、仙骨をその背面に沿って配置させることによって、適切に位置決めされなければならない。これは、仙骨の背面、特に仙骨の上方3分の1の領域、すなわち仙骨の基部にわたって直接圧力を加えることによってなされる。第2に、そのような装置に及ぼす仙骨圧力によって発生した力を、椅子の表面を横切って前方への、または仙骨支持部から離れる方向への、または支持力から離れる方向への人の動きを防止するため、摩擦、重力その他の機械的手段によって食い止めなければならない。
本発明にかかる仙骨支持部は、仙骨を位置決めできるように設計されているが、柔軟な組織を圧力を変化させて押圧することができるようには設計されていない。本発明においては、仙骨の基部への特定の圧力を調整することが可能であり、その領域において、平方インチ当たりの圧力を変化させることができる。すなわち、仙骨の基部に加えられる特定の圧力の強さを変化させることが可能であり、これによって、後面から前面へ向かう方向への仙骨の支持または移動、あるいはこれらの両方を達成することができる。この圧力は、例えば、仙骨に垂直な方向から±15度乃至±20度の角度をもって使用者に向けることができる。最も効率的な方向または角度は、例えば、椅子の形状、椅子の底部に対する椅子の背部の角度、使用者の身体の大きさ等の種々の要素によって決定される。しかし、本発明によって、着座状態において、椅子が傾斜角度に関してどの位置に調整されているかに拘わらず、好適な仙骨支持部が提供される。
神経・筋肉・骨格システムの負担重量は着座している場合と立ち状態にある場合では全く異なるため、着座する人の支持部は重要である。この負担荷重の差異もまた、好適な仙骨の基部の角度を維持するため、近接する柔軟な身体組織を実質的に圧縮することなしに、筋肉の機能にある種の指示を与える。仙骨の後面は比較的平面状であり、最小限の柔軟組織と筋肉によって覆われているに過ぎない。従って、仙骨を方向付けする面に近接する位置に置くことによって方向付けすることは容易である。この方向付けをする面によって、略々水平な着座面から、好適には、約20度乃至50度の所望の仙骨基部角度が維持される。しかし、この角度は、背骨の柱状形状の鉛直方向に対する傾斜角度に応じて、または背面支持部の角度に応じて補正する必要がある。
本発明の他の目的、特長及び特徴については、図面を参照しながらの添付の特許請求の範囲における以下の記述によって明確になる。これらのすべては、明細書によって裏付けされているものであって、明細書における参照番号は各図面における対応する部材または部品を示すものである。
【発明の実施の形態】
【実施例】
1には、本発明の一実施例が断面図として描かれている。本発明にかかる装置の全体は参照番号10として示されている。装置10は、座部12と背部14の間において使用されている。図面には、椅子構造を示す部分のみが描かれている。
本発明と、人体の組織の構成要素に対するその効果を相互に関係づけるため、図1には、骨盤16と、5個の腰椎脊椎骨も描かれ、これらの5個の腰椎脊椎骨には全体的に参照18が付されるとともに、それぞれ具体的にL1乃至L5の参照番号が付されている。第1の、すなわち最下部の胸部脊椎骨には番号20が付されている。仙骨は番号22で示され、その上方3分の1は仙骨基部と呼ばれる部分または領域である。仙骨22の下方には、尾骨24が位置する。この尾骨24は一連の小さな骨で構成され、これらが一つのグループを形成しているが、この尾骨24は後方に曲がる傾向がある。老人においてこの小さな尾骨は、実際には、一緒に溶け合って一つとなり仙骨の一部になると考えられる。
上述のように、仙骨22には、仙骨基部または仙骨の上方から3分の1のところに基線が存在し、これは番号26で示される。また、仙骨の底部には仙骨頂部が存在し、番号28が付されている。
本発明には、基本構造が含まれ、これは番号30で示され、鉛直方向に延びる背部止め金具32と、底部部材すなわちブラケット34で構成される。底部部材は、図1に示されるように、背部14と座部12の間に挿入され、これによって椅子に対して本発明にかかる装置を支持、位置決めする。以後示されるように、この底部部材には、支持装置、椅子等の構成によって種々の形式のものがあり、または、この底部部材は椅子に内蔵させることも可能である。背部止め金具32は、好適には、ヒンジ延長部36、38から成るヒンジ40によって底部ブラケット34に結合される。このヒンジ構造は、膠剤、エポキシ樹脂接着剤、ボルトまたはネジ等の適当な手段によって背部及び座部に取り付けることが可能である。
本発明にかかる装置には、原理的には、ブロック部材44が含まれる。このブロック部材44は支持部材として機能し、局部的な力または圧力を仙骨及び最も直接的には仙骨基部に付加することができる。ブロック部材44は好適には剛性材料によって構成され、その詳細が図2及び図3に示されている。
この剛性を有する支持ブロック44は、上述のカバーの有無及び基部の有無に拘わらず、それ自体で使用することができる点に注意が必要である。ブロック部材44はまた、これに装着することのできる種々の付属部材を含むことがある。この付属部材は着脱可能とすることも、固定させておくこともできる。例えば、前面の前方に装着可能とした場合にはパッドまたは油圧嚢、あるいはこれらの両方の形式を有するものであり、図1において番号46で示される。このパッドは、織物によって形成することが可能であり、織布、ニット織物、不織布、打付け材、泡層、ゲル入り嚢、その他の人工のものまたは合成パッドまたは合成体を形成することが可能な材料を使用することも可能である。目的は、局所的な力を提供する領域を設けることであるが、それと同時に接触部を最小限に留めることにある。ブロック部材44を使用することによって得られる好適な効果は、近接する柔軟組織に影響を与えるような圧力を加えることなしに、仙骨に対して充分な力または圧力を与えることができることであり、さらに、骨盤の回動の際に所望の制御を得ることである。ブロック部材44上のパッドまたは表面材料はまた、仙骨への振動を隔離したり、緩和させる機能をも有する。
ブロック部材44をそれ自体で使用する場合には、後方に延びる座席支持部、すなわち延長フラップ、これについては柔軟なものが好ましいが、これを、以下に示すように、ブロック部材44に設けることができる。このフラップは、座席ロックと、底部クッションとの間において摺動することができ、座部上におけるブロックの適切な位置決めをすることができるとともに、このブロックを所定の位置に保持することができる。
ブロック部材44は、それ自体好適には堅いものであって、容易にまたは実際的に曲げられたり、柔軟性を有するものではなく、座部上において所定の位置から容易に移動することもできない。ブロック部材44は、プラスチック、強化プラスチック、硬質フォーム、金属その他類似の材料を含む種々の材料によって、組み立て、製作、成形することができる。さらに、本発明は、使用者の背面に対して使用する場合には、1インチ平方あたり1ポンド乃至4ポンドの負荷の下で、仙骨の形状を平滑化、すなわち一致させる曲部部材の使用を可能とすることを意図している。
油圧嚢をパッド46として使用する場合には、それを、20℃において約0.01乃至約10000ポアズの粘性を有する不活性液体によって充てんすることが好適である。そのような材料には、流動性ゲルやチキソトロピー性ゲルがある。また、この嚢を空気式ものとし、固定容量または可変容量の空気あるいは他の不活性ガスを使用することもできる。可変容量のガスを所望の場合には、手動のものや空気システムの一部としての従来の空気ポンプを使用することができる。これらは従来から使用されているものであるため、さらに説明することを要しないと考える。
上記のような嚢または部材の使用が好ましいのは、使用者をある程度保護するように機能するからであり、これによって、鋭利な面が形成されるのを防止することができるとともに、使用中のショックを軽減することができる。また、容量可変式の嚢を使用した場合には、ブロック部材44によって提供される力の強度を調整することができる。
他の代替例として、剛性ブロックの前方、すなわち前面を「CONFOR」フォーム、すなわち、それに対して置かれた形状に一致させるように設計された形式の材料によって覆うことも可能である。嚢を、柔軟組織を保護し、移動及び振動を軽減することのできる水またはゲルによって充てんすることもできる。
剛性仙骨支持部44及びパッド46の上方には、追加支持部材48が位置する。この支持部材48は、図2に示すように略々U字型に形成され、この取り囲むように配置された支持部材48は、液体が充てんされた嚢またはフォームであって、好適には、腰椎の支持部及び筋肉の支持部を提供するように設計され、具体的には、上骨盤筋及び脊椎骨保護筋の支持部を提供する。しかし、支持部48の領域は、約100平方インチ程度の領域とすることが可能であるが、20平方インチ乃至200平方インチの間で変化させることができ、好適には、ブロック44よりも低い前方圧力を提供するものである。例えば、支持部48は10インチ高さ、12インチ幅とすることができるが、その高さを5インチ乃至20インチ、幅を6インチ乃至24インチとすることができる。支持部48に対するブロック44によって付加される前方圧力の比は、好適には約2:1であるが、約1.1:1乃至約10:1の比に変化させることができる。
組立体全体により仙骨、主に仙骨基部に付加される前方力の強さは、好適には、シートベルトを設けた車両の椅子環境において、20ポンド乃至40ポンドの範囲にある。職場で使用される椅子構造における前記付加前方力は、摩擦及び重力のみが前方力に対して抵抗として働くに過ぎないため、約10ポンド程度である。これらの力もまた、車両椅子環境の場合には10ポンド乃至50ポンドとし、固定椅子すなわち事務用椅子の場合には5ポンド乃至25ポンドの範囲とすることが可能であろう。
カバー50を剛性仙骨支持部44及びパッド46を覆うように配置することも可能である。カバー52もまた支持部48の外側に配置することも可能である。一つのカバーを、組立体全体を覆うように配置することもまた可能である。そのようなカバーは、拘束を緩やかなものとしたり、収縮ラップ型の適合カバーとすることもできる。
図1に示された装置は、底部ブラケット34を摺動させることによって、椅子の背部と座部の間の位置に容易に置くことのできる分割ユニットによって構成されているが、類似の構成によって装置10を容易に取り除くことによって、この構成もまた椅子の背部14に組み込むことも可能である。その場合には、カバー50、52もまた、そのような椅子のために使用されるメインカバーによって取って替わられるであろう。
図3に示すように、剛性仙骨支持部44には、後面54、天井面56及び全体的に番号58が付された前面すなわち前方面が含まれる。その前面58には、傾斜した、または僅かに曲がった上部60、及びブロックの底部すなわち下部に近接する、拡大されたすなわち膨出部62が含まれる。後者の膨出部62は、前方向かってブロックの下部の向こう側の前方に延びる。表面下部62もまた後方に向かって傾斜し、底面64を形成する。重要なことは、前面すなわち前方面58、仙骨領域、具体的にはその後方面に沿って、背骨に沿った較的狭いの通路に沿って圧接状態を生じさせ、これにより、仙骨に局部的に力が加えられ、最も好適な実施例では、比例的に大きな力が仙骨の仙骨基部に付加される。上記前方面が充分に延びたわん曲部を有している場合には、わん曲を一層緩くし、わん曲面全体がその底部においてもなお外方に出ている膨出部を含めることができる。こうして、仙骨全体が支持されるようになるが、ここでも支持力は仙骨基部に集中されているのである。前面58の上方部分60にはより一層傾斜すなわち斜面があるため、膨出部62が所望の下方仙骨圧力を発生させる
図1及び図3を比較して見たように、前面58は、仙骨の後方部の形状に略々一致または類似する形状を有する。
ブロック部材44は、局部的に圧力、すなわち所望の支持及び矯正力を直接仙骨に付加するため剛性構造として設計されている。最も好適な実施例においては、この力は仙骨の上方3分の1、すなわち仙骨基部に集中する。種々の実施例のそれぞれにおいては、しかし、特定の圧力すなわち力を仙骨上にまた仙骨に沿って集中させるように、すなわち、背部すなわち後方部の他の部材との関連で、特に背骨柱に近接する組織との関連で狭い通路に沿って特定の力を集中させるように、ブロック部材44が力を付加するように設計されている。
ブロック44をそれ自体で使用する場合には、このブロック44はまた、点線66で示されるような、柔軟で、後方に延びる締結部材を含むようにすることも可能である。そのような締結部材によって、嚢を追加することなく、ブロック44をそれ自体で使用することが可能となるとともに、椅子に積極的に位置決め、保持することが可能となる。ブロック及び締結部材66は、容易に位置決めすることができるため、使用者はブロック44を必要な場所に置くことができるとともに、締結部材66を座部と背部の間で摺動させることにより、その位置に保持することができる。締結部材66は、柔軟性があればいかなる材料からも製造することができ、プラスックが好ましいが、きめの細かい長尺織布、編込み合成ヤーン等の織物も使用することができる。また、締結部材66はブロック部材44とともに成形によって製造することもでき、あるいは、締結部材66を独立して製造した後ブロック部材44に適当な方法で取り付けてもい。
いくつか実施例の説明において、これまでに紹介したように、仙骨支持ブロック44は、その外側に配置されたブラダ48とともに機能し、使用者の背側に存在し、仙骨に近接する位置にある部品を、前記支持部及び仙骨ブロックによって加えられる力と一定の関係を持って支持することができる。ブラダ48の流体容量を調整することができれば、ブロック部材44によって与えられる力を調整することができる。これによって、ひいては、使用者が着座した際に、脊椎骨の内部の圧縮力、曲げ、せん断力を最小にすることができるように、骨盤及び脊椎骨の下部を適切に位置決めすることができる。
仙骨支持ブロック44は、使用者の背の幅広の部分を横切って延長されてはいない。同様に、仙骨支持ブロック44は、椅子の背部の幅広の部分を横切って延長されてはいない。むしろ、仙骨支持ブロック44によって、比較的狭い帯域に沿って圧力すなわち力が集中され、これによって、比較的狭い領域に対して所望の力が別々に適用され、支持される。必須ではないが、仙骨支持ブロック44の形状を、その上方において幅広で、底部において最も狭くすることが好ましい。これによって、略々逆三角形のブロックが得られる。
剛性仙骨ブロック44の寸法は、例えば、上面56を横切る幅を略々2.5インチとし、図2に示すように、底面64を横切る幅を約1インチとすることができる。底面64から上面56までの全高さは、例えば、約5インチとすることができる。
図3において、後面54から上面56を横切って前方の傾斜面60までの、前方から後方に向かう厚みは約0.5インチであり、一方、後面54から膨出部62の最も前方にある部分までの厚さは約1.5インチである。
仙骨支持ブロック44のこの寸法の範囲は、使用者の身長に応じて変更する。以下に示す表に概算してあるが、体の小さい大人の場合には約150ポンドのフレームを、普通の大きさの大人の場合には約150ポンド乃至190ポンドのフレームを、比較的大型の大人の場合には190ポンドのフレームを使用する。
Figure 0004234788
この剛性仙骨支持ブロックにおいて、頂部と底部の幅の比は約2.5:1であるが、1.5:1乃至3:1の範囲とすることも可能である。同様に、頂部と底部の厚さの比は、前記幅の場合とは反対に、1:2であるが、装置に延長軸からの傾斜角度に応じて、1:1乃至3:1の範囲とすることも可能である。
しかし、この距離の頂部幅は、仙骨基部において、仙骨の幅の3倍から、やはり仙骨基部のレベルにおける仙骨の後方部の幅まで変化させることができ、その幅が仙骨の幅以上となっている、ブロックの底部に向かって徐々に薄くすることができる。
上述のように、例えば図6に示すように、前面58には傾斜すなわち曲部60、及び膨出部62すなわち延長曲部が設けられている。図1において、ブロック44が座部の好適位置にあり、使用者が椅子の背部にもたれたときに、上面56は略々仙骨基線26に位置する。ブロック部材44は、その位置から下方向に座部12の頂部まで延び、前面58は徐々に、頂部から底部に向かって、前方へ曲がり延びている。これによって、それ自体背部14から離れて前方へ曲がる仙骨に対して、連続的に、徐々に前方に向かって増加する圧力を加えることができる。
ブロック部材44は、好適には水平方向に、仙骨基線26に近接する方向に、仙骨の後部の幅と略々同じ長さ乃至その2倍長さだけ延長するように設計されている。これは、例えば図7に示されている。しかし、この水平方向の距離は、仙骨基部で測定した仙骨の後部の幅の30%乃至300%にわたって変化させることができ、ブロックの底部に向かうにつれて徐々に狭くなり、ブロック44の底部において仙骨の幅の約30%乃至300%の幅になる。
上記型式の剛性仙骨支持ブロック44を事務用椅子に使用した場合には、支持装置によって、1ポンド/平方インチ乃至2ポンド/平方インチの仙骨圧が発生し、これらの圧力によって骨盤が適切に安定化することが見いだされた。ほとんどの事務用椅子の構造においては、摩擦と重力を組み合わせたメカニズムのみによって、支持ブロックに対して使用者の背が支えられている。すなわち、一般的には、1ポンド/平方インチ乃至2ポンド/平方インチより大きい力を得ることはできない。
しかし、本発明にかかる装置を自動車の座席に取り付けた場合には、摩擦と重力に対してさらに追加的なシートベルトの圧力が働くため、相当の骨盤の安定性を確保しながら、2ポンド/平方インチ乃至4ポンド/平方インチの仙骨圧が発生する。この圧力は、使用者が静的位置に着座した場合に測定される。使用者がペダルを操作している際、またはカーブを曲がる際に移動し、踏ん張っている際には、操作量や自動車の速度にもよるが、これらの圧力は変化して10ポンド/平方インチ以上にも達する。
空気ブラダ48は、一般的に、仙骨圧ブロック44によってもたらされる圧力の約50%以下の圧力で膨張している。剛性支持ブロック44によってもたらされる圧力を試験するため、空気ブラダ48が、仙骨圧ゲージの指示値の約50%以上の圧力で膨張した場合には、仙骨圧は、骨盤を安定化させる際にその効果を失うことが見いだされた。例えば、着座した際の仙骨圧の初期値を2ポンド/平方インチとした場合、0.3ポンド/平方インチまでの空気ブラダ48の膨張は、ブロック部材44によって付加される仙骨圧の値を下方に1.2ポンド/平方インチまで和らげる。この低圧においてもまだ、骨盤の安定性にとって効果的であった。しかし、空気ブラダがさらに0.5ポンド/平方インチまで膨張した場合には、仙骨圧は1ポンド/平方インチ以下に下がり、骨盤の安定性はもはや適切なものではなくなった。
図4は、本発明の第2実施例を示す。本実施例では、一貫して座部12と背部14を有する車両用椅子を取り扱う。骨盤は番号16、仙骨は22、腰椎は18で示される。一方、胸部脊椎骨は全体的に番号20で示される。
本実施例において、本発明にかかる装置は全体的に番号80で示され、この装置80は、背部支持部82、上方すなわち外側支持部84及び剛性支持ブロック86を含む。後者は必須ではないが、この剛性支持ブロック86にもまた、カバー88を取り付けることができる。このカバーはパッドの型式でも、または油圧ブラダの型式、あるいはこれらを組合わせたものであってもい。図4に示すように、カバー88は容量固定型の液体充てんブラダである。
本実施例においては、背部支持部82は、好適には成形され、略々L字型の一部品の構造の斜視図が図8に描かれている。背部支持部82には、垂直立設部90及び後方に延設された部分、すなわちつなぎ部92が含まれることがある。図示されているように、背部支持部82は一体の一部品として製造されることも可能であり、プラスチック、半硬質または硬質フォーム、または金属等の種々の材料で製造することができる。しかし、後方へ延設された部分92は柔軟性があるため、底部と背部の間に存在するように種々の形状及び曲がりを有するように製造することができる。
図5はまた、剛性支持ブロック86だけでなく、上部及び側面支持部材84の分解図でもある。
外側支持部84はまた、略々U字型に形成され、上部94と二つの側部96、98を有する。
カバー88またはブロック86もまた、直接、外側支持部84を製造する際に使用された、フォーム材料から製造することができる。そのようなカバーは、単純に追加された前面であって、そのカバー構造の底部が図5において点線101で示される開口100の内側側面に跨って間隔が開いている。あるいは、カバー88はパッド状の織物材料、または前実施例の場合のように、種々の材料またはこれらの組み合わせによって製造することも可能である。
剛性支持ブロック86は、好適には、以前ブロック部材44について説明したのと類似の形状及び構成を有する。ここでもまた、剛性支持ブロック86が、もう一つの剛性材料から形成されたプラスチックを成形したものであることが好ましい。
使用の際には、剛性支持ブロック86は、より縮小されたすなわちより小さな背部支持部82とともに使用されることがあるし、または単独で使用される場合もあるし、図4に示すように、背部支持部及び上方支持部84と組み合わせて使用することもできる。後者の場合には、分離エレメントは、背部及び腰椎支持組立体として集合的に機能する。
外側支持部84を製造する際に使用されるフォームは、腰椎領域にある使用者の支持をある程度追加的に行うために適した柔軟性と密度を有するが、ブロック86によって提供されるように要求される特定の圧力を和らげるかどうかといったような支持機能を有するものではない。例えば、外側支持部84に使用されるフォームは、ポリエタン、EVA、またはフォームラバー等が考えられる。フォームが使用される場合には、その密度は、約2ポンド/立法フィート乃至約20ポンド/立法フィートとすることが好適である。
剛性支持ブロック86の寸法は、上記ブロック部材44の場合と同様である。
組立体全体80を一体ユニットとして形成するこも可能であり、また、種々の密度のプラスックまたはフォームを成形することも可能であることを理解しなければならない。これによって、使用者にとって使用に便利な単一構造とすることができ、着座環境を変更する際にも持ち運ぶことができる。上述のように、本発明にかかる装置は、主に、職場まで及び職場からの自動車の中において使用することができるとともに、職場まで持ち込み、個人の事務用椅子として使用することも可能であり、仕事中はずっと追加的に仙骨支持部を提供することができる。仕事の後は、椅子をまた自宅への帰りに使用することができる。
本発明の他の実施例が図6及び図7に示されている。これらは、上述の実施例において示した装置の改良型であり、図6に描いた装置は、図1乃至図3に示した装置の改良型であって、図7に描いた装置は、図4乃至図5に示した装置の改良型である。例えば、描かれている基本支持部は、前記背部支持部に相当し、全体的に番号30で示されている。
描かれている装置は、座部12及び背部14との関係で使用されるが、全体的に番号10で示され、全体的に番号30で示される基本部材、空気嚢48、上方に配置される油圧ブラダ46を有する剛性仙骨支持部ロック44で構成されている。本装置と図1の実施例に示された装置の差異は、側面ボルスター110、112を使用していることにある。ボルスター112は、図6において点線で描かれ、両方のボルスター110、112が図7の上面図に描かれている。ボルスター110、112は回転可能に番号111で示される部材を介して背側止め金具32に連結されている。そのため、各ボルスターは使用者から離れるようにして、図のピボット結合部111に近接する位置に描かれた矢印によって示されるように、外側に回動することができる。このピボット結合部111による結合は、ヒンジ等の便利手段によって行われ(詳細省略)、ボルスター110、112が座部12に着座している使用者から離れる方向に回動しさえすれば足りる。
図7に示すように、各ボルスターには、上方及び内側に向かう曲部が形成され、それぞれ番号114、116によって示される。これらの上方及び内側に向かう曲部は、着座している使用者の臀部の上方に位置するように設計され、図7に示されるように、これらは図面において番号118、120で示される腰骨稜の上方に延長することが可能である。側面ボルスター110、112の前部は一緒にラップベルト122及び適当なバックル124によって連結され、これらによって、使用者にとって心地よくベルトが締められるようになっている。このベルトと、ボルスター組立体を組み合わせることによって、図6の矢印Aで示される方向に圧力を加えられる傾向になる。ベルト122は、ボルスター110、112とともに、着座している使用者の腰骨稜を捕らえ、これによって骨盤の移動が防止される。
この支持システムはまた、レースカーのような車両にも使用することができる。このシステムは、3点乃至5点制止システムであって、重力Gの大きいものへの要求に答えることができる。この状況下において、使用者としての運転者は支持エレメントを特別注文することができ、一体化され、特別注文された椅子及び支持構造の一部を構成する。これらエレメントの機能及び動作は同じであるけれども、状態、反応及び力は簡単に言うとより厳しいものがある。
図9乃至図12に、本発明の他の実施例を示す。これらは機械的に調整することができるように構成されている。
図8に示すように、支持装置は全体的には番号130によって示される。そして、この支持装置130は、二つの回動可能に設けられたネジ軸134、136が設けられた外側フレーム132で構成され、この支持装置130は回動可能となっている。軸移動組立体は、全体的に番号138で示され、軸134、136を回動させるため、この軸移動組立体138回動可能である。この動作については、さらに以下に記載する。
面板140が軸134及び136のそれぞれに、適当なネジ軸受けによって結合される。そのうちの一つが仮想線によって番号142として示されている。これによって、面板140がフレーム132の範囲内において鉛直方向に移動することができる。仙骨支持ブロック144が、上下支持部146、148のそれぞれによって、面板140に接続される。図12に示すように、これら上下支持部146、148は、ピン結合150によってブロック144に接続される。ピン結合150によって、各支持部146、148の端部が回動可能となり、これによって、ブロック144に対して相対的に移動することができる。
支持部146、148のそれぞれは、後方に向かって、面板140を介してフレーム132の範囲内で、その全体が番号152で示される適当なブロック移動組立体の中に延びている。上下支持部146、148は、ネジ軸、少なくとも内側端部にネジが切られたものによって構成されるか、またはその代わりとして、ピストンロッドによって構成することもできる。要求されているのは、ブロック144を操作できるようにすること、または移動可能にすることである。ブロック支持部146、148を、均等にまたは片方だけ、あるいはフレーム132に対して内側または外側、あるいはこれらの両方に移動させるために、ブロック移動組立体152が設けられている。このように、仙骨支持ブロック144、またはこの上部または下部はフレーム132に接離することができ、これによって図9に示すように、仙骨支持ブロック144は着座中の使用者に接離することができる。ブロック支持部146、148が互いに独立して移動することができるため、使用者に最も好適な支持部を提供するような設計となるように、ブロック144を関節でつなぐことが可能である。従って、ブロック144の頂部または底部を、ブロック自体を互いに、または面板140または背部14’によって確立される面に対して角度をずらして配置させるように位置決めすることができる。その結果、ブロック144を図9に示される位置とは異なるように位置決めすることができる。
仙骨支持ブロック移動システム152を一つ以上の電動モータ154によって構成することができ、このモータ154によって、代わる代わる適当なギヤアッセンブリを駆動し、図12の双方向矢印によって示されるように、上下ブロック支持部146、148を内側または外側に移動させることができる。そのようなギヤアッセンブリは、図11において全体的に番号156として示され、適当歯車で構成されている。そして、駆動モータ154に動作可能に結合された場合には、ブロック支持部を所望の方向に移動させることができる。この駆動システムもまた、自動車の座席を指または記憶システムを介して制御するのと類似の要領で制御することができる。これらは従来より行われているものであるから、さらに説明をする必要はないと考える。
駆動アッセンブリ138もまた、電動モータ158だけでなく、軸134、136の頂部に直接結合され、これらを時計回りまたは反時計回りに駆動するための適当なウォームギヤドライブ160を備える。
仙骨支持ブロック144は、剛性部材とすることも可能であるし、図12に示すように、支持部の下方3分の2をフォームパッドによって覆った状態で支持部の上方3分の1の部分に沿って配置される油圧ブラダ170を備えるようにすることも可能である。美観を考慮して、織物製カバー174をブラダ170とフォームパッド172の両方の上に延設してもい。この構成において、ブラダ170は相対的に非圧縮状態となり、一方、フォーム部分は下方3分の2において圧縮可能となる。前述の実施例と同様に、油圧ブラダ170の内部要領を調整可能とすることができ、これによって各使用者のために支持部全体を調整可能とすることができることもまた理解しなければならない。
この型式の支持ブロック144はそれ自体でも、またブロック44、86と組み合わせることによっても使用可能であることも理解しなければならない。また、その場合、ブロック144には、締結部材66と類似の締結部材を設けることもできる。
図9に示すように、支持組立体130にはまた、図1に示したブラダ48に類似の、より大型の流体ブラダ162を設けることができる。従って、このブラダ及び本発明における支持システムにおけるブラダの実用性についてさらに説明することは不要である。
現在のところ最も実用的で好適と考えられる実施例を通じて本発明について説明したが、本発明は実施例における記載内容に限定されるものではなく、逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載した発明の精神及び技術的範囲の範囲内において、種々の改良及び等価な構成をも包含することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる椅子の底部、背部、腰椎の脊椎骨及び仙骨を示す断面図である。
【図2】本発明の正面図である。
【図3】固定仙骨支持部の側面図である。
【図4】本発明の改良型の断面図である。
【図5】図4に示す本発明の実施例を示す分解斜視図である。
【図6】本発明のもう一つの実施例を示す断面図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】本発明のもう一つの実施例を示す正面図である。
【図9】本発明のもう一つの実施例を示す側面図であって、椅子に配置した状態で使用者との相対関係を示している。
【図10】本発明のもう一つの実施例を示す平面図である。
【図11】仙骨支持ブロックを取り外した状態を示す正面図である。
【図12】支持ブロックの縦方向一部断面図である。

Claims (19)

  1. 椅子と共に使用して特定の支持圧力を脊椎の仙骨部に対して加える脊椎支持装置であって、椅子の背部と座部が接する位置に配設されかつ着座した人体に直接作用する支持部材を有し、前記支持部材は少なくとも天井部、対向側面及び前面を有し、それらが骨盤内の腰骨稜間の仙骨の上方部分上又は上部分に沿って力を集中させることにより脊椎の仙骨部を支持し、前記支持部材は、実質的に仙骨基線のレベルにある位置から座部に向かって垂直下方に延在し、かつ実質的に仙骨部の幅け水平方向に延在して、仙骨の残りの部分を支持し安定させ、腰骨稜を含む隣接する関節組織を椅子に向かって後方に弛緩させるよう構成された、脊椎支持装置。
  2. 前記前面の少なくとも一部に亘って延在するパッド部材をさらに有する、請求項1記載の支持装置。
  3. 前記パッド部材がフォームで形成される、請求項2記載の支持装置。
  4. 前記パッド部材が流体充填室である、請求項1記載の支持装置。
  5. 前記支持部材がさらに仙骨領域における身体形状に沿った前面を有する、請求項2記載の支持装置。
  6. 背部と座部を有する椅子と共に使用する仙骨支持体であり、仙骨の後部上において、力を前方に方向付けるとともに集中させるように機能し、該仙骨支持体は支持部材を有し、
    前記支持部材は椅子に接触する後面及び底面、さらに仙骨の曲がりに追従する形状の前面を有し、
    前記前面は、実質的に仙骨基線のレベルにある位置から座部の表面まで延在するよう形成され、仙骨基線に隣接する前記仙骨の後部の幅に実質的に等しい水平方向寸法を有し、従って前記支持部材は骨盤を形成する腰骨稜間の仙骨に直接接触しかつ実質的に該腰骨稜間の仙骨の幅のみに亘って延在することにより、椅子の使用者の仙骨の上部に集中して前方方向の力を加えるよう構成され、仙骨の残りの部分は安定状態に置かれるよう構成された、仙骨支持体。
  7. 前記部材の頂部はその底部よりも大きい水平幅寸法を有する、請求項記載の仙骨支持体。
  8. 前記部材の頂部と底部の幅の比が約2.5:1である、請求項記載の仙骨支持体。
  9. 前記部材の頂部と底部の厚さの比が約1:2である、請求項記載の仙骨支持体。
  10. 前記部材がさらに、前記前面の下部から前方に向けて延在する膨張部を有する、請求項記載の仙骨支持体。
  11. 前記部材がさらに、前記前面に亘って延在するパッドを有する、請求項記載の仙骨支持体。
  12. 前記部材がフォーム材で形成される、請求項記載の仙骨支持体。
  13. 前記部材が、仙骨の分離可能な上部3分の1の部分に集中的に力を加えるよう構成された、請求項記載の仙骨支持体。
  14. 相互に接続された背部と座部を有する椅子と共に使用するための仙骨支持体であり、該仙骨支持体は支持部材を有し、
    前記支持部材は着座した人体に向けられた追従した形状の前面を有し、前記前面は上部と下部を有し、
    前記支持部材は実質的に仙骨基線のレベルにある位置から座部に向かって垂直下方に延在し、かつ実質的に仙骨の幅でかつ骨盤を形成する腰骨稜の間に水平方向に延在するよう構成され、
    前記支持部材はさらに、該支持部材を、椅子の使用者、椅子背部及び椅子底部に関して椅子の外側面の適切な位置に位置させるための椅子配置部材を有し、
    前記支持部材は骨盤を形成する腰骨稜の間において椅子使用者の仙骨の上部に局所的な圧力を加えるよう構成され、その結果仙骨の残りの部分と隣接する関節組織が安定状態に置かれるよう構成された、仙骨支持体。
  15. 前記椅子配置部材が可撓性を有する、請求項14記載の仙骨支持体。
  16. 前記椅子配置部材が前記支持部材と一体に形成される、請求項14記載の仙骨支持体。
  17. 前記支持部材と前記配置部材が一体成形されている、請求項14記載の仙骨支持体。
  18. 前記支持部材と椅子との位置関係を変化させるための、前記支持部材に作用的に結合された関節機構を有した、請求項14記載の仙骨支持体。
  19. 着座した人体の脊椎の仙骨部に支持圧力を加えるための脊椎支持装置において、前記脊椎支持装置は支持装置を有し、
    前記支持装置は、実質的に仙骨基線のレベルにある位置から座部に向かって垂直下方に延在し、かつ実質的に仙骨の幅だけ水平方向に延在するよう形成された前面を有し、該前面により仙骨の上部3分の1に集中的に力が加えられ、前記支持装置は実質的に骨盤の腰骨稜間の脊椎の仙骨の幅だけ延在しかつその部位に直接的に作用するようになっていて、それにより、仙骨の残りの部分を支持すると同時に安定させるよう構成された、脊椎支持装置。
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