JP4233670B2 - 非水電解液二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液二次電池の製造方法に関し、特にその極板の製造工程に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題、あるいはエネルギー問題を解決する手段として、リチウムイオン二次電池の開発が盛んに行われている。地球環境を良好に保全しつつ電力の安定確保を図っていく方策の一つとして負荷の平準化技術の実用化が望まれているが、一般家庭などで小規模に夜間電力を貯蔵する電池電力貯蔵装置を普及させると、大きな負荷平準化効果が期待できる。また、自動車の排気ガスによる大気汚染やCO2 による温暖化防止を図るために、動力源の全部又は一部を二次電池によって得るようにした電気自動車の普及も望まれている。
【0003】
このため、家庭用の電池電力貯蔵装置や電気自動車の動力源として、単電池容量が100Ah程度の大型のリチウムイオン二次電池の開発が行われている。
【0004】
大型のリチウムイオン二次電池としては、例えば特開平8−115744号公報や、特開平10−162801号公報に開示されているように、帯状の正極板と帯状の負極板をセパレータを介して対向させた状態で円筒芯体に渦巻き状に巻回し、電解液とともに円筒型外容器内に収納したものが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、正極板や負極板の極板は、金属箔からなる集電体の両面上に正極合剤や負極合剤を塗工して合剤塗工部を形成するとともに、集電体の少なくとも一側部の片面又は両面に合剤を塗工しない非塗工部を形成し、その後塗工部の合剤密度を上げるためにプレスロールにて所定厚みに圧縮し、その後非塗工部にリードを接続して作製されているが、上記プレスロールによる圧縮成形時に塗工部と非塗工部との境界で集電体にしわや亀裂が発生するという問題がある。
【0006】
図9を参照して一例を説明すると、図9(a)、(b)に示すように、集電体31の両面にその両側に非塗工部31aを設けた状態で塗工部32を形成した極板30を、一対のプレスロール33a、33b間に通して圧縮成形している。そこで、例えば厚さ20μmのアルミ箔から成る集電体31の両面に塗工部32を形成して厚さ300μmの極板30を形成し、これをプレスロール33a、33bにて厚さ200μmに圧縮成形すると、図9(c)に示すように、プレスロール33a、33bにより塗工部32にかかる圧縮力によってその部分の集電体31が数%延伸するのに対して非塗工部31aには圧縮力がかからないために延びず、両者の境界にしわ34、あるいは亀裂が発生することになり、集電性が悪化する。
【0007】
これを防止するには、塗工部32の圧縮率を下げることが考えられるが、そうすると塗工部32の合剤密度を高くすることができないため、一定容積内の合剤充填量を多くできず、電池容量が低下するという問題が発生することになる。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、塗工部を圧縮成形して合剤密度を高くできかつ非塗工部と塗工部の境界部にしわや亀裂が発生せず、高容量でかつ集電性が良好な非水電解液二次電池の製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項 1 記載の発明の非水電解液二次電池の製造方法は、帯状の集電体の少なくとも一側縁部に非塗工部となる領域を残した状態で集電体に正極合剤又は負極合剤を塗工し、その後塗工部を圧縮成形し、非塗工部にリードを接合して正極板又は負極板又はその両者を構成し、正極板と負極板をセパレータを介して対向させた状態で電解液とともに外容器内に収納する非水電解液二次電池の製造方法において、集電体の非塗工部となる領域を、予めアニール処理することにより、塗工部となる領域よりも延伸し易い状態に形成するものであり、塗工部を圧縮成形する際にその塗工部の集電体が延伸すると、それに伴って集電体の非塗工部の領域も無理なく延伸するので、塗工部を大きく圧縮して合剤密度を高くしても塗工部と非塗工部の境界部にしわや亀裂が発生せず、高容量でかつ集電性が良好な非電解液二次電池を得ることができる。
【0010】
また、延伸し易い状態にする方法として、集電体の非塗工部となる領域をアニール処理する方法を採用している結果、材料そのものの引張強度が低下して延伸し易くなるので、簡単でかつ能率的な処理によって上記作用を得ることができ、その際に集電体の非塗工部となる領域を400℃以上で、3秒以上加熱してアニール処理することにより、アルミ箔からなる集電体の場合に安定的に適正な効果を奏することができる。なお、加熱方法は、片面又は両面からの熱風方式やシーズヒーターを用いた熱線方式などがあるが、集電体に外力が作用しない熱線方式が好適である。
【0011】
本願の請求項2記載の発明は、別の延伸し易い状態にする方法として、集電体の非塗工部となる領域に予め長手方向に沿って凹凸を形成する方法を採用したものである。この構成によると、圧縮成形時に非塗工部の凹凸が伸びることによって塗工部の伸びに円滑に追従し、安定して上記作用を奏することができる。なお、凹凸の形状は幅方向に伸びる横線状でも、斜め線状でも波状であってもよい。
【0012】
【0013】
【0014】
本願の請求項3記載の発明の非水電解液二次電池の製造方法は、帯状の集電体の少なくとも一側縁部に非塗工部となる領域を残した状態で集電体に正極合剤又は負極合剤を塗工した後、一対のプレスロールの少なくとも一方に、非塗工部に対応する部分に、非塗工部と塗工部との段差に略対応する段部を有する段付きロールを用いてなるプレスロールにて、塗工部を非塗工部も同時に加圧した状態で圧縮成形するものであり、塗工部の圧縮成形時に非塗工部も加圧されることによって塗工部も非塗工部も同じように延伸し、塗工部を大きく圧縮して合剤密度を高くしても塗工部と非塗工部の境界部にしわや亀裂が発生せず、高容量でかつ集電性が良好な非電解液二次電池を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態の大型の円筒型リチウムイオン二次電池及びその製造方法について、図1、図2を参照して説明する。
【0016】
図1において、1は正極板、2は負極板で、ポリエチレン製のセパレータ3を介して互いに対向された状態で、アルミパイプから成る円筒芯体4の外周に渦巻き状に巻回され、ステンレスパイプ製の外筒体5内に挿入され、電解液とともに収納配置されている。外筒体5の両端はステンレス製の封口板6をレーザー溶接して密封され、円筒型外容器7が構成されている。封口板6、6の中心部には、それぞれを絶縁体10を介して正極柱8と負極柱9が貫通させて装着されている。11は正極柱8と負極柱9を封口板6に固定するクランプリングである。また、円筒芯体4の両端は、絶縁材から成る絶縁キャップ12を介して正極柱8及び負極柱9の軸方向内側端面に形成された受口凹部13に嵌合固定され、これら正極柱8及び負極柱9を介して円筒型外容器7にて支持されている。
【0017】
正極板1の一側縁部からは適当間隔おきに正極リード14が延出され、負極板2の他側縁部からも適当間隔おきに負極リード15が延出されている。これらリード14、15は正極板1及び負極板2を円筒芯体4に巻回した状態で、その直径方向の2箇所に位置するように配設され、それぞれ極柱8、9の円筒型外容器7内の接続軸部16、17外周に形成されたリード接続面18、19に超音波接合されている。20は、円筒芯体4に形成された内外に貫通する複数の穴で、電解液が浸透し難い正極板1や負極板2の電極板の内周にも速やかに含浸させ、注液工程の所要時間を短縮するために設けられている。
【0018】
正極板1は、アルミ箔などの正極集電体の両面に正極活物質と結着剤を含む正極合剤層を配して構成されており、その一側縁部は正極合剤の非塗工部とされてアルミなどの正極リード14が超音波、若しくはぐざりカシメなどにより接合されている。正極活物質としては、LiCoO2 、LiMn2 O4 、LiNiO2 、若しくはこれらCo、Mn、Niの一部を他の遷移金属で置換したもの、あるいはそれ以外のリチウム含有遷移金属酸化物が用いられる。特に大型のリチウムイオン二次電池においては、地球上に豊富に存在し、低価格であるLiMn2 O4 などのMn系リチウム含有遷移金属酸化物が適している。
【0019】
負極板2は、銅箔などの負極集電体の両面に負極活物質と結着剤を含む負極合剤層を配して構成されており、正極板1とは反対側の他側縁部は負極合剤の非塗工部とされてニッケルや銅などの負極リード15が超音波、若しくはぐざりカシメなどにより接合されている。負極活物質としては、グラファイト、石油コークス類、炭素繊維、有機高分子焼成物などの炭素質材料を用いるか、リチウムを吸蔵、放出可能な金属、あるいは酸化物、若しくはこれらの複合化材料が用いられる。
【0020】
電解液は、溶質として6フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、ホウフッ化リチウム(LiBF4 )などのリチウム塩、溶媒としてエチレンカーボネイト(EC)、プロピレンカーボネイト(PC)、ジエチレンカーボネイト(DEC)、エチレンメチルカーボネイト(EMC)などの非水溶媒単独、若しくはそれらの混合溶媒を用い、この溶媒に溶質を0.5 mol/dm3 〜2 mol/dm3 の濃度に溶解したものが使用される。
【0021】
次に、以上の構成の円筒型リチウムイオン二次電池の製造工程を説明する。まず、正極板1の製造工程を説明すると、図2(a)に示すように、予め帯状のアルミ箔から成る集電体21の一側部又は両側部の正極合剤の非塗工部21aとなる領域を、400℃以上で3秒〜5秒以上加熱した後自然冷却によって徐冷することによってアニール処理を施し、塗工部22となる領域よりも材料そのものの引張強度を低下させ、延伸し易い状態にする。加熱には、片面からの熱風加熱や両面からの熱風加熱などの種々の方法を適用可能であるが、シーズヒータを用いた放射熱による加熱が、外力を負荷せずに加熱でき、集電体21であるアルミ箔の撓みが少ないので好適である。
【0022】
次に、集電体21の両面に上記組成の正極合剤22を非塗工部21aとなる領域を残して塗工し、塗工部22を形成する。この塗工時の合剤密度は2g/cm3程度以下であるため、次に図2(b)に示すように、上下一対のプレスローラ23a、23bに通して3〜3.5g/cm3 程度に圧縮成形する。この際に、アルミ箔からなる集電体21の場合には圧縮力の作用する塗工部22において、数%(1〜5%程度)の伸びが発生することになる一方、非塗工部21aには加圧ローラ23a、23bによる圧縮力が作用しないので直接延伸力は作用しない。そのため、集電体21の塗工部22となる領域と非塗工部21aとなる領域で同じ引張強度の場合、従来のようにそれらの境界部にしわや亀裂が発生する恐れがあったが、上記のように非塗工部21aに予めアニール処理を施して延伸し易い状態としているので、塗工部22の延伸に伴って無理なく延伸する。かくして、図2(c)に示すように、塗工部22を大きく圧縮して合剤密度を高くしても塗工部22と非塗工部21aの境界部にしわや亀裂が発生することはない。その後、非塗工部21aの所要箇所に正極リード14を接合することにより正極板1が得られる。
【0023】
負極板2の場合はその集電体が銅箔で引張強度が大きく、圧縮成形による伸びは小さいので、上記のような非塗工部に対する処理はしなくてもよいが、集電体の材質によって塗工部と非塗工部の境界部にしわや亀裂が発生する場合には上記と同様の処理を施せばよい。
【0024】
こうして作製された帯状の正極板1と帯状の負極板2をセパレータ3を介在させた状態で相互に対向させつつ円筒芯体4に渦巻き状に巻回する。次いで、これを外筒体5内に挿入配置した後、外筒体5の両端から電解液を充填して注液し、正極板1、負極板2及びそれらの間の隙間に電解液を含浸させる。この注液工程においては、外筒体5を真空室内に挿入して真空含浸させることにより速やかにかつ万遍なく含浸させる。また、その際に円筒芯体4に穴20を形成しているので、円筒芯体4内に流入した電解液が穴20を通して円筒芯体4の外周に巻回された正極板1や負極板2の内周に円滑に供給される。
【0025】
その後、極柱8、9にリード14、15を接続し、極柱8、9を封口板6に固定するとともに封口板6にて外筒体5の両端を封止することによって、高容量でかつ集電性が良好な非電解液二次電池が製造される。
【0026】
具体例を示すと、正極板1は、電解二酸化マンガン(EMD:MnO2 )と炭酸リチウム(Li2 CO3 )とをLi/Mn=1/2となるように混合し、800℃で20時間大気中で焼成して製造した正極活物質のLiMn2 O4 と、導電剤のアセチレンブラックと、結着剤のポリフッ化ビニリデンとを、それぞれ重量比で92:3:5の割合で混合したものを正極合剤とした。なお、正極合剤をペースト状に混練するために結着剤としてのポリフッ化ビニリデンはNメチルピロリドンディスパージョン液を用いた。上記混合比率は固形分としての割合である。この正極合剤ペーストを、厚み20μm、幅350mmのアルミ箔から成る正極集電体の両面に一側縁部に幅20mmの非塗工部を残した状態で塗工し、正極合剤層を形成した。正極合剤層の両膜厚は同じで、塗工、乾燥後の両膜厚の和は280μmで、正極板1の厚さを300μmとした。その後、合剤塗工部が幅320mm、一方の側縁部の非塗工部の幅が10mmとなるように切断するとともに、正極板1の厚みが200μmになるように直径300mmのプレスロールにより圧縮成形し、正極板長さ6000mmで切断した。このとき、合剤密度は3.0g/cm3 であった。そして、非塗工部に幅10mm、長さ50mm、厚さ200μmのアルミ製の正極リード14を全部で14本ぐざり接合した。
【0027】
負極板2は、人造黒鉛と結着剤のスチレンブタジエンゴム(SBR)とを重量比97:3の割合で混合したものを負極合剤とした。なお、負極合剤をペースト状に混練するために結着剤としてのスチレンブタジエンゴムは水溶性のディスパージョン液を用いた。上記混合比率は固形分としての割合である。この負極合剤ペーストを厚み14μm、幅350mmの銅箔から成る負極集電体の両面に一側縁部に幅15mmの非塗工部を残した状態で塗工し、負極合剤層を形成した。合剤塗工部が幅330mm、一方の側縁部の非塗工部の幅が10mmとなるように切断するとともに、負極板2の厚みが170μmになるように直径300mmのプレスロールにより圧縮成形し、負極板長さ6400mmで切断した。このとき、合剤密度は1.4g/cm3 であった。そして、非塗工部に幅10mm、長さ50mm、厚さ200μmの銅製の負極リード15を全部で14本ぐざり接合した。
【0028】
電解液は、エチレンカーボネイト(EC)とジエチレンカーボネイト(DEC)を体積比1:1の配合比で混合した混合溶媒に、溶質として6フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )を1 mol/dm3 の濃度に溶解したものを用いた。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態の製造方法について、図3、図4を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、二次電池の構成自体については第1の実施形態と同一であるためにその説明を援用して改めての説明は省略し、本発明の要部である極板の製造工程における圧縮成形時にしわや亀裂が発生するのを防止する手段についてのみ説明する。
【0030】
本実施形態では、図3に示すように、集電体21の非塗工部21aとなる領域に予め長手方向に沿って波打つ凹凸条24を例えば1mmピッチ程度で形成して延伸し、1〜5%の伸び率となるように実効長さを長くしている。
【0031】
このような構成により、プレスロール23a、23bによる塗工部22の圧縮成形時に塗工部22の集電体21が伸びると、それに伴って非塗工部21aの凹凸条24が伸展することによって塗工部22の伸びに円滑に追従し、塗工部22と非塗工部21aの境界部にしわや亀裂が発生するのを防止できる。なお、凹凸条24の形状は、図3に示したように幅方向に伸びる横線状に限らず、図4(a)に示すように斜め線状でも、図4(b)に示すように波状であってもよい。
【0032】
(参考例)
次に、本発明の参考例の製造方法について、図5、図6を参照して説明する。
【0033】
図5において、まず、集電体21の非塗工部21aとなる領域の片面上に剥離テープ25を貼り付ける(工程(a))。この剥離テープ25としては、30〜50μm程度の厚さで、500%以上の伸び率を有するポリオレフィンフィルムなどの合成樹脂フィルムに天然ゴム系などの接着層を形成したものが好適である。次に、この集電体21の両面の全面に正極合剤を塗工して塗工部22を形成した後(工程(b))、プレスロール23a、23bに通して圧縮成形する(工程(c))。その際に、剥離テープ25を貼り付けた非塗工部21aを含めて集電体21及び塗工部22の全面が一様に数%延伸することになる。
【0034】
その後、剥離テープ25を引き剥がして除去することにより(工程(d))、集電体21の一側部の片面に非塗工部21aが形成され、この非塗工部21aに正極リード14を接続することにより正極板1が製造される。
【0035】
この参考例によれば、延伸し易い剥離テープ25を非塗工部21aとなる領域に張り付けておいて全体を塗工しているので、圧縮成形時に塗工部22も非塗工部21aも同じように延伸し、塗工部22を大きく圧縮して合剤密度を高くしても塗工部22と非塗工部21aの境界部にしわや亀裂が発生せず、高容量でかつ集電性が良好な非水電解液二次電池を得ることができる。また、剥離テープ25を片面に1枚にのみ配設しているので、この剥離テープ25の延伸に対する阻害要因を少なくでき、塗工部22と非塗工部21aの境界部でのしわや亀裂の発生をより確実に防止できる。
【0036】
なお、図6に示すように、集電体21の両面に非塗工部21aを形成しても良いことは言うまでもない。図6(a)は、集電体21の両面に剥離テープ25を張り付け、両面に全面に正極合剤を塗工した状態を示し、図6(b)は、その後プレスロール23a、23bで圧縮成形した後、剥離テープ25を除去して集電体21の両面に非塗工部21aを形成した状態を示している。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態の製造方法について、図7〜図10を参照して説明する。
【0038】
図7において、一対のプレスロール23a、23bで圧縮成形する正極板1は集電体21の一側部の片面に非塗工部21aが形成されており、それに対応して一方のプレスロール23aはストレートロールにて26にて構成され、他方のプレスロール23bは非塗工部21aに対応して段部27aを有する段付きロール27にて構成されている。段部27aは圧縮形成後の塗工部22の厚さにほぼ対応する厚さに対応させて適当に設定する必要があり、正極板1の総厚さが200μm程度の場合にはその略半分の100μm程度が適正である。
【0039】
以上の構成において、集電体21の両面に、片面の非塗工部21aを除いて略全面に塗工部22を形成した正極板1を一対のプレスロール23a、23b間に通して圧縮成形すると、他方のプレスロール23bが段付きロール27であることによって非塗工部21aも確実に加圧され、塗工部22の圧縮成形時に塗工部22も非塗工部21aも同じように延伸される。かくして、塗工部22を大きく圧縮して合剤密度を高くしても塗工部22と非塗工部21aの境界部にしわや亀裂が発生せず、高容量でかつ集電性が良好な非電解液二次電池を得ることができる。
【0040】
また、図7では集電体21の一側部の片面に非塗工部21aが形成された正極板1を圧縮成形する例を示したが、図8に示すように、集電体21の一側部の両面に非塗工部21aが形成された正極板1を圧縮成形する場合には、両方のプレスロール23a、23bを段部27aを有する段付きロール27にて構成するのが好適である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の非水電解液二次電池の製造方法によれば、以上の説明から明らかなように、予め集電体の非塗工部となる領域を塗工部となる領域よりも延伸し易い状態に形成するので、塗工部を圧縮成形する際にその塗工部の集電体が延伸すると、それに伴って集電体の非塗工部の領域も無理なく延伸し、従って塗工部を大きく圧縮して合剤密度を高くしても塗工部と非塗工部の境界部にしわや亀裂が発生せず、高容量でかつ集電性が良好な非電解液二次電池を得ることができる。
【0042】
また、延伸し易い状態にする方法として、集電体の非塗工部となる領域をアニール処理すると、材料そのものの引張強度の低下により簡単でかつ能率的な処理によって上記作用を得ることができる。
【0043】
また、別の延伸し易い状態にする方法として、集電体の非塗工部となる領域に予め長手方向に沿って波打つ凹凸を形成して延伸すると、圧縮成形時に非塗工部の凹凸が伸びることによって塗工部の伸びに円滑に追従し、安定して上記作用を奏することができる。
【0044】
【0045】
【0046】
また、帯状の集電体の少なくとも一側縁部に非塗工部となる領域を残した状態で集電体に正極合剤又は負極合剤を塗工した後、一対のプレスロールの少なくとも一方に、非塗工部に対応する部分に、非塗工部と塗工部との段差に略対応する段部を有する段付きロールを用いてなるプレスロールにて、塗工部を非塗工部も同時に加圧した状態で圧縮成形すると、塗工部の圧縮成形時に非塗工部も加圧されることによって塗工部も非塗工部も同じように延伸し、塗工部を大きく圧縮して合剤密度を高くしても塗工部と非塗工部の境界部にしわや亀裂が発生せず、高容量でかつ集電性が良好な非電解液二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態における非水電解液二次電池の縦断面図である。
【図2】 同実施形態における正極板の製造工程の一部を示し、(a)は塗工部を形成した状態の平面図、(b)は圧縮成形時の状態を示す側面図、(c)は圧縮成形後の平面図である。
【図3】 本発明の第2の実施形態の正極板の一部を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA部拡大側面図である。
【図4】 同実施形態の正極板の各種変形例の一部を示す平面図である。
【図5】 本発明の参考例における正極板の製造工程の説明図である。
【図6】 同参考例の変形例の製造工程の説明図である。
【図7】 本発明の第3の実施形態における正極板の圧縮成形時の縦断面図である。
【図8】 同実施形態における第1の変形例の圧縮成形時の縦断面図である。
【図9】 従来例の正極板の製造工程の一部を示し、(a)は塗工部を形成した状態の平面図、(b)は圧縮成形時の状態を示す側面図、(c)は圧縮成形後の平面図である。
【符号の説明】
1 正極板
2 負極板
3 セパレータ
7 円筒型外容器
21 集電体
21a 非塗工部
22 塗工部
23a、23b プレスロール
24 凹凸条
25 剥離テープ
27 段付きロール
27a 段部
Claims (3)
- 帯状の集電体の少なくとも一側縁部に非塗工部となる領域を残した状態で集電体に正極合剤又は負極合剤を塗工し、その後塗工部を圧縮成形し、非塗工部にリードを接合して正極板又は負極板又はその両者を構成し、正極板と負極板をセパレータを介して対向させた状態で電解液とともに外容器内に収納する非水電解液二次電池の製造方法において、集電体の非塗工部となる領域を、予めアニール処理することにより、塗工部となる領域よりも延伸し易い状態に形成することを特徴とする非水電解液二次電池の製造方法。
- 帯状の集電体の少なくとも一側縁部に非塗工部となる領域を残した状態で集電体に正極合剤又は負極合剤を塗工し、その後塗工部を圧縮成形し、非塗工部にリードを接合して正極板又は負極板又はその両者を構成し、正極板と負極板をセパレータを介して対向させた状態で電解液とともに外容器内に収納する非水電解液二次電池の製造方法において、集電体の非塗工部となる領域を、この領域に予め長手方向に沿って凹凸を形成することにより、塗工部となる領域よりも延伸し易い状態に形成することを特徴とする非水電解液二次電池の製造方法。
- 帯状の集電体の少なくとも一側縁部に非塗工部となる領域を残した状態で集電体に正極合剤又は負極合剤を塗工した後、一対のプレスロールの少なくとも一方に、非塗工部に対応する部分に、非塗工部と塗工部との段差に略対応する段部を有する段付きロールを用いてなるプレスロールにて、塗工部を非塗工部も同時に加圧した状態で圧縮成形し、非塗工部にリードを接合して正極板又は負極板又はその両者を構成し、正極板と負極板をセパレータを介して対向させた状態で電解液とともに外容器内に収納することを特徴とする非水電解液二次電池の製造方法。
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