JP4233310B2 - 芯金レスゴムクロ−ラ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明が属する技術分野】
本発明は芯金レスゴムクロ−ラの新規な構造に関するもので、更に詳しくは、ラグの偏摩耗を防ぎ、更に、直進性に優れたゴムクロ−ラに係るものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、ゴムクロ−ラは比較的高速走行に供されるようになり、このため、ゴム弾性体中に芯金を埋設しない芯金レスゴムクロ−ラが出現し、その駆動方式も摩擦駆動型のゴムクロ−ラが提案されている。
【０００３】
これは特許文献１の図４にて代表されるように、無端状のゴム弾性体１の外周面にラグ２が形成され、内周面の中央には一定な間隔を持ってガイド４が点設され、かかるゴム弾性体１の長手方向にスチ−ルコ−ドにて代表される芯体５が無端状に埋設されている。このような構造のゴムクロ−ラに対し、車両に備えられた転輪６はガイドを跨いでゴム弾性体１の内表面を転動する。
【０００４】
【特許文献１】
特開平６−３４４９６１号公報
【０００５】
しかしながら、特許文献１の図４にても明らかなように、転輪６からゴムクロ−ラに伝えられる荷重は均一ではなく、どうしてもゴムクロ−ラの幅方向の中心付近に集中することになる。ゴムクロ−ラ側から言えば、折角幅の広いゴムクロ−ラであっても、ラグ２の中央近傍のみが荷重に対抗するだけで、ラグ２の左右幅端近傍では余り荷重を受けないという結果となっている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
かかるゴムクロ−ラにあっては、ラグ２に偏摩耗が生じるだけでなく、ゴムクロ−ラの直進性にも影響し、蛇行し易くなるという欠点が指摘されている。本発明は係る欠点を解決せんとするものであり、ラグ２の全幅にほぼ均等に荷重負荷をもたらすようにしたゴムクロ−ラを提供することを目的としている。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、無端状のゴム弾性体の外周面にラグが形成され、内周面の中央には一定の間隔を持ってガイドが点設され、かかるゴム弾性体の長手方向にスチ−ルコ−ドにて代表される芯体が無端状に埋設され、車両に備えた転輪が前記のガイドを跨いで内周面を転動する芯金レスゴムクロ−ラであって、少なくとも、転輪が転動する部位のゴム弾性体が中央より左右幅端に向けて徐々に厚みを増し、内向きに略Ｖ字状に傾斜面を形成したことを特徴とするものである。
【０００８】
【発明の実施の形態】
本発明は以上のような構成を有する芯金レスゴムクロ−ラであり、ゴムクロ−ラの基体をなすゴム弾性体の幅方向中央より左右端部に向けて内周表面を傾斜面とし、具体的には左右端部になるほどそのゴム弾性体の厚みを増すように傾斜面を付けたものである。その更なる具体例としては、少なくとも転輪が転動する面に傾斜面を付けたものであり、これによって転輪からの負荷をゴム弾性体の全面にて受けようとするものである。言い換えれば、傾斜面がない場合には、左右端部には負荷が掛かりにくいのに対し、本発明の構成を採用することによりゴム弾性体に対し負荷が均一化されることになるのである。
【０００９】
傾斜面の傾斜角度は車両の大きさや重量、ゴムクロ−ラの幅寸法、転輪の形状等によって適正値は異なるが、０．５〜３０度、通常は４〜２０度程度とされるものである。勿論、この傾斜角はゴム弾性体中に他の補強部材（例えば、バイアスコ−ド）が存在することによって異なってくることは当然である。尚、上記の構成に付随して或いは単独で少なくとも転輪が転動する部位に対抗するラグを左右幅端に向けて徐々に厚み（ラグ高さ）を増す構造であってもよい。
【００１０】
以上の如き構成としたゴムクロ−ラにあって、ゴム弾性体の外表面に備えられたラグには、ラグ中央域より幅端域に至るまでほぼ均一な負荷が掛かり、このため、ラグの偏摩耗が減少し、ゴムクロ−ラの直進性が向上することとなる。
【００１１】
【実施例】
以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説明する。図１は本発明のゴムクロ−ラ１の幅方向断面図であり、左半分はガイド間での断面図、右半分はガイド部における断面図である。符号２はそのガイドであり、ゴムクロ−ラ１の基体をなすゴム弾性体の内周側の中央に一定ピッチをもって備えられたゴム突起である。３はゴム弾性体の外周側に設けられたラグであり、この例ではガイド２に対応して左右幅端に向けてほぼ一直線状をなしている。このゴムクロ−ラにあって、その長手方向にメインスチ−ルコ−ド４が埋設され、その内側に一層のスチ−ルコ−ド５が、外側にバイアススチ−ルコ−ド６が２総埋設されている。
【００１２】
さて、かかるゴムクロ−ラ１にあって、ガイド２を挟んだゴム弾性体の左右幅方向の内周面を角度θ（この例では約５度）を持って傾斜面１０としたものである。
【００１３】
図２は転輪がかかる内周面を転動した際のゴムクロ−ラの状態を示す断面図である。２０はその転輪であり、ガイド２を跨いでゴムクロ−ラ１の左右の内周面を転動するものである。この転輪２０は図示しない車両に固定されているものであり、車両の重量は勿論、外から入力される力をゴムクロ−ラ１に伝達する役目をなす。
【００１４】
そして、走行時にあっては、転輪２０から負荷が加えられるが、少なくとも転輪２０の走行面（ゴムクロ−ラの内周面）が幅端に向けて略Ｖ字状の傾斜面１０となっているため、転輪２０の左右幅側も内側と同等に負荷を分担することとなったものである。
【００１５】
ゴムクロ−ラ１を構成するゴム弾性体の内周面に形成される傾斜面１０のみを取り出して述べれば、場合によっては転輪２０の走行する部位のみを傾斜面とすることによっても十分な効果が得られるものである。
【００１６】
図３は本発明のゴムクロ−ラ１の別例を示す幅方向断面図であり、左半分はガイド間での断面図、右半分はガイド部における断面図である。この例では内周面における傾斜面１０を形成すると共に、ラグ３の高さをも傾斜させたものであり、これによって更に本発明の目的を達成するための設計の自由度をもたらすものであり、場合によっては、ラグ３のみを上記のように工夫することによっても課題を解決できることにもなる。
【００１７】
【発明の効果】
本発明は以上の通りであり、転輪が転動するゴムクロ−ラの内周面を傾斜面とすることにより、負荷の均一化が図れることになったものであり、これによってラグの偏摩耗が防止され、ゴムクロ−ラとしての耐久性の向上につながると共に、ゴムクロ−ラの直進性が改善されることとなったものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は本発明のゴムクロ−ラの幅方向断面図であり、左半分はガイド間での断面図、右半分はガイド部における断面図である。
【図２】図２は図１のゴムクロ−ラと転輪との関係を示す断面図である。
【図３】図３は本発明のゴムクロ−ラの別例を示す幅方向断面図である。
【符号の説明】
１‥ゴムクロ−ラ、
２‥ガイド、
３‥ラグ、
４‥メインスチ−ルコ−ド、
１０‥傾斜面、
２０‥転輪、
θ‥傾斜角度。

Claims (1)

1. 無端状のゴム弾性体の外周面にラグが形成され、内周面の中央には一定の間隔を持ってガイドが点設され、かかるゴム弾性体の長手方向にスチ−ルコ−ドにて代表される芯体が無端状に埋設され、車両に備えた転輪が前記ガイドを跨いで内周面を転動する芯金レスゴムクロ−ラであって、少なくとも、転輪が転動する部位のゴム弾性体がその左右幅端に向けて徐々に厚みを増し、内向きに略Ｖ字状に傾斜面を形成したことを特徴とする芯金レスゴムクロ−ラ。

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