JP4232026B2 - 複合アンテナ装置及びそれを備えた移動体 - Google Patents

Description

本発明は、衛星ラジオ信号の受信を可能にするアンテナ装置に関するものである。

近時、衛星ラジオ信号の受信を可能にしたデジタルラジオ受信機が開発され、米国において実用化されている。このデジタルラジオ受信機は、自動車等の移動体に搭載され、周波数が２．３ＧＨｚ帯の電波を受信することが可能である。すなわち、デジタルラジオ受信機は、モバイル放送を聴取することが可能なラジオ受信機である。受信電波の周波数が２．３ＧＨｚ帯なので、そのときの受信波長（共振波長）λは約１２８．３ｍｍである。尚、衛星ラジオ信号は、衛星波として送信される他に、衛星波を一旦地球局で受信した後、周波数を若干シフトし、直線偏波で再送信される地上波の場合もあり得る。

この衛星ラジオ信号の送信には２．３ＧＨｚ帯の周波数の電波が使用されるので、それを受信するアンテナは室外に設置しなければならない。デジタルラジオ受信機を自動車に搭載する場合には、通常、そのアンテナは自動車の屋根に取り付けられる。一方、レシーバなどの受信装置は自動車の車内に設置され、アンテナにリード線を介して接続される。

通常の自動車はＦＭ帯域のラジオ信号を受信するＦＭ受信機を搭載している。このため、衛星ラジオ信号を受信可能にするには、ＦＭ受信機に加えて独立したデジタルラジオ受信機をも備えることが必要である。さらには、スピーカの増設が必要になる場合も想定される。したがって、自動車に搭載される受信設備が全体として複雑となりかつ費用の高騰を招く。

それ故に本発明の課題は、簡単な構成で衛星ラジオ信号の受信を可能にするアンテナ装置を提供することにある。

本発明の他の課題は、ＦＭ受信機を利用して衛星ラジオ信号の受信を可能にするアンテナ装置を提供することにある。

本発明のさらに他の課題は、ＦＭ信号及び衛星ラジオ信号の両方を受信可能な簡素な受信設備を備えた移動体を提供することにある。

本発明の一態様によれば、基板（３４）、前記基板の上面に機械的に結合されたアンテナ基体（３５）、衛星信号を受信するための第１のアンテナ素子（１５）と、前記第１のアンテナ素子に接続され、前記衛星信号に応じて受信信号を生成する受信回路（１６）とを有する受信系（１１）、及び前記受信信号に基づいて生成された送信信号に応じてＦＭ信号を生成する送信回路（２５）と、前記送信回路に接続され、前記ＦＭ信号を放射する第２のアンテナ素子（２５）とを有する送信系（１２）を含み、前記第１のアンテナ素子は、前記アンテナ基体の上面に備えられ、前記第２のアンテナ素子は、前記アンテナ基体の側面に形成された第１の導体部（４１）と、前記基板の上面にグランド用導体（４４）とともにパターン形成された第２の導体部（４２）とを有し、前記第２の導体部は、前記グランド用導体から絶縁されて、前記第１の導体部に接続されていることを特徴とする複合アンテナ装置（１０）が得られる。

前記受信回路は、前記第１のアンテナ素子に接続された低雑音増幅回路（１７）と、前記低雑音増幅回路に接続され、前記受信信号を生成するハイパスフィルタ（１９）とを含み、前記送信回路は、前記送信信号を入力として前記ＦＭ信号を生成する、前記第２のアンテナ素子に接続されたローパスフィルタ（２８）を含んでもよい。

前記第１の導体部は前記アンテナ基体の表面に沿ってループ状にのびていてもよい。

前記受信回路及び前記送信回路は前記基板に搭載されていてもよい。

前記第２の導体部は、前記基板に沿ってループ状にのびていてもよい。

前記基板は、前記グランド用導体を形成したグランド面を有し、前記第２の導体部は、前記グランド面に形成されていてもよい。

さらに、前記基板を載置するボトムプレート（３７）と、前記ボトムプレートに結合され、前記ボトムプレートと協働して前記基板及び前記アンテナ基体を囲むトップカバー（３８）とを含んでもよい。

本発明の他の態様によれば、上述した複合アンテナ装置（１０）と、前記受信信号に基づいて前記送信信号を生成する信号変換装置（１４）と、前記ＦＭ信号を受信するためのＦＭ帯受信アンテナ素子（３１）と、前記ＦＭ帯受信アンテナ素子に接続されたＦＭ受信機（３２）とを備えたことを特徴とする移動体が得られる。

上記括弧内の符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、これらに限定されない。

本発明のアンテナ装置は、ＦＭ受信機を利用して簡単な構成で衛星ラジオ信号の受信を可能にする。また、本発明による移動体は、簡素な受信設備によってＦＭ信号及び衛星ラジオ信号の両方を受信することが可能になるという利点がある。

図１を参照して、本発明の実施の形態に係る複合アンテナ装置について説明する。

図示の複合アンテナ装置は全体を参照符号１０で示され、受信系１１と送信系１２とを含んでいる。受信系１１及び送信系１２はケーブル１３を介して、後文にて機能が明らかになる信号変換装置１４に接続されている。

受信系１１は、衛星ラジオ信号を受信するための衛星ラジオ受信用アンテナである第１のアンテナ素子１５と、第１のアンテナ素子１１に接続され、衛星ラジオ信号に応じて受信信号を生成する受信回路１６とを有している。第１のアンテナ素子１５は、周波数が２．３ＧＨｚ帯の電波を衛星ラジオ信号として受信するものである。受信回路１６は、第１のアンテナ素子１５に接続された低雑音増幅（Low Noise Amplifier：ＬＮＡ）回路１７と、低雑音増幅回路１７にコンデンサ１８を介して接続され、受信信号を生成するハイパスフィルタ１９とを含んでいる。低雑音増幅回路１７は、直列に接続された第１、第２、及び第３のＬＮＡ２１，２２，２３と、第１及び第２のＬＮＡ２１，２２の間に挿入された１個のバンドパスフィルタ２４とを含んでいる。

ハイパスフィルタ１９から出力される比較的高周波の受信信号は、ケーブル１３を通して信号変換装置１４に送られる。信号変換装置１４は、受信信号に基づいて比較的低周波の送信信号を生成するものである。送信信号は送信系１２に供給される。

送信系１２は、送信信号に応じてＦＭ信号を生成す送信回路２５と、送信回路２５に接続され、ＦＭ信号を放射するためのＦＭ帯放射アンテナである第２のアンテナ素子２６とを有している。送信回路２５は、信号変換装置１４にコンデンサ２７を介して接続されたローパスフィルタ２８を有している。ローパスフィルタ２８は、送信信号に応じてＦＭ信号を生成する。第２のアンテナ素子２６はローパスフィルタ２８に接続され、ＦＭ信号を放射する。

即ち、図１の複合アンテナ装置１０は、衛星ラジオ信号などの２．３ＧＨｚ帯の電波を第１のアンテナ素子１５で受信し、それに対応したＦＭ帯の電波を第２のアンテナ素子２６から放射する。

図１とともに図２を参照して、図１の複合アンテナ装置１０を自動車などの移動体に備える場合について説明する。

図示の自動車３０は、一般的なＦＭ放送などのＦＭ帯の電波を受信するためのＦＭ帯受信アンテナ素子３１と、これに接続されたＦＭ受信機３２と、これに接続されたスピーカ（図示せず）を備え、これによりＦＭ信号を受信して再生できるように構成されている。したがって、自動車３０の内部において通常のＦＭ放送を聴取することができる。

さらに、自動車３０の天井外面に上述した複合アンテナ装置１０を設置する。上述した信号変換装置１４としては、ＦＭ受信機３２に備えたレシーバを利用することもできる。

衛星ラジオ信号が第１のアンテナ素子１５で受信されると、それに対応したＦＭ帯の電波を第２のアンテナ素子２６から放射する。このＦＭ帯の電波はＦＭ帯受信アンテナ素子３１にて受信され、ＦＭ受信機３２に送られる。したがって、衛星ラジオ信号も一般的なＦＭ放送と同様にＦＭ受信機３２にて処理される。

この結果、自動車３０の内部において、通常のＦＭ放送に加えて衛星ラジオ信号に基づく放送も聴取することが可能になる。この場合、衛星ラジオ信号をそれに対応したＦＭ帯の電波に変換し、通常のＦＭ放送のための受信設備にて受信するようにしているので、受信設備全体の複雑化や費用の高騰を避けることができる。

図３をも参照して、複合アンテナ装置１０の構造の一例について説明する。

図示の複合アンテナ装置１０は、受信回路１６及び送信回路２５を搭載した基板３４と、基板３４の上面に機械的に結合されたアンテナ基体３５とを含んでいる。第１のアンテナ素子１５はアンテナ基体３５の上面に備えられている。アンテナ基体３５の上面に第１のアンテナ素子１５を備えたものを、パッチアンテナと呼ぶこともある。

第２のアンテナ素子２６はアンテナ基体３５の側面に備えられている。基板３４からはケーブル３６が引き出されている。なお、基板３４には低雑音増幅回路１７のみが搭載されることもあり、その場合には基板３４はＬＮＡ回路板と呼ばれてもよい。

複合アンテナ装置１０は、さらに、基板３４を載置するボトムプレート３７と、ボトムプレート３７に結合され、ボトムプレート３７と協働して基板３４及びアンテナ基体３５などを囲むトップカバー３８とを含んでいる。

図４をも参照して、複合アンテナ装置１０の内部構造について説明する。

第１のアンテナ素子１５はアンテナ基体３５の軸方向一端、即ち、上面に機械的に結合されている。第１のアンテナ素子１５としては、公知のものを用い得るので、ここでの説明は省略する。

第２のアンテナ素子２６は、アンテナ基体３５の表面にテープ材３９を介して貼り付けられた銅テープからなる第１の導体部４１と、基板３４に形成されかつ第１の導体部４１に電気的に直列に接続された第２の導体部４２とを有している。第１の導体部４１は、アンテナ基体３５の軸周面、即ち、４つの側面に沿ってループ状にのびている。第１の導体部４２としては、バネ性もった金属構造体やワイヤーなどが用いられてもよい。

第２の導体部４２は、基板３４の上面にグランド用導体４４とともにパターン形成されたものである。第２の導体部４２は、基板３４の上面に沿ってループ状にのびかつグランド用導体４４から絶縁されている。

第２のアンテナ素子２６が第１の導体部４１と第２の導体部４２とからなるため、アンテナの実効長を長く設計することが容易である。

第２のアンテナ素子２６は、図５に示すように、アンテナ基体３５にのみ備えられた第１の導体部４１のみで構成されてもよい。

なお、上述した複合アンテナ装置が自動車以外の移動体に搭載することができることは言うまでもない。

本発明の実施の形態に係る複合アンテナ装置のブロック図である。 図１の複合アンテナ装置を備えた自動車の概略図である。 図１の複合アンテナ装置の構造の一例を示す分解図である。 図３の複合アンテナ装置の内部構造を示す斜視図（ａ）とそこで使用された基板の平面図（ｂ）とである。 複合アンテナ装置の内部構造の他例を示す斜視図である。

符号の説明

１０ 複合アンテナ装置
１１ 受信系
１２ 送信系
１３ ケーブル
１４ 信号変換装置
１５ 第１のアンテナ素子
１６ 受信回路
１７ 低雑音増幅（ＬＮＡ）回路
１８ コンデンサ
１９ ハイパスフィルタ
２１ 第１のＬＮＡ
２２ 第２のＬＮＡ
２３ 第３のＬＮＡ
２４ バンドパスフィルタ
２５ 送信回路
２６ 第２のアンテナ素子
２７ コンデンサ
２８ ローパスフィルタ
３０ 自動車
３１ ＦＭ帯受信アンテナ素子
３２ ＦＭ受信機
３４ 基板
３５ アンテナ基体
３６ ケーブル
３７ ボトムプレート
３８ トップカバー
３９ テープ材
４１ 第１の導体部
４２ 第２の導体部
４４ グランド用導体

Claims (8)

1. 基板、
   前記基板の上面に機械的に結合されたアンテナ基体、
   衛星信号を受信するための第１のアンテナ素子と、前記第１のアンテナ素子に接続され、前記衛星信号に応じて受信信号を生成する受信回路とを有する受信系、及び
   前記受信信号に基づいて生成された送信信号に応じてＦＭ信号を生成する送信回路と、前記送信回路に接続され、前記ＦＭ信号を放射する第２のアンテナ素子とを有する送信系
   を含み、
   前記第１のアンテナ素子は、前記アンテナ基体の上面に備えられ、
   前記第２のアンテナ素子は、前記アンテナ基体の側面に形成された第１の導体部と、前記基板の上面にグランド用導体とともにパターン形成された第２の導体部とを有し、
   前記第２の導体部は、前記グランド用導体から絶縁されて、前記第１の導体部に接続されている
   ことを特徴とする複合アンテナ装置。
2. 前記受信回路は、前記第１のアンテナ素子に接続された低雑音増幅回路と、前記低雑音増幅回路に接続され、前記受信信号を生成するハイパスフィルタとを含み、前記送信回路は、前記送信信号を入力として前記ＦＭ信号を生成する、前記第２のアンテナ素子に接続されたローパスフィルタを含む、請求項１に記載の複合アンテナ装置。
3. 前記第１の導体部は前記アンテナ基体の表面に沿ってループ状にのびている、請求項１又は２に記載の複合アンテナ装置。
4. 前記受信回路及び前記送信回路は前記基板に搭載されている、請求項１−３のいずれかに記載の複合アンテナ装置。
5. 前記第２の導体部は、前記基板に沿ってループ状にのびている、請求項１−４のいずれかに記載の複合アンテナ装置。
6. 前記基板は、前記グランド用導体を形成したグランド面を有し、前記第２の導体部は、前記グランド面に形成されている、請求項１−５のいずれかに記載の複合アンテナ装置。
7. さらに、前記基板を載置するボトムプレートと、前記ボトムプレートに結合され、前記ボトムプレートと協働して前記基板及び前記アンテナ基体を囲むトップカバーとを含む、請求項１−６のいずれかに記載の複合アンテナ装置。
8. 請求項１−７のいずれかに記載の複合アンテナ装置と、前記受信信号に基づいて前記送信信号を生成する信号変換装置と、前記ＦＭ信号を受信するためのＦＭ帯受信アンテナ素子と、前記ＦＭ帯受信アンテナ素子に接続されたＦＭ受信機とを備えたことを特徴とする移動体。

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