JP3569256B2 - 非接触通信式半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、比較的微弱な信号を取り扱う無線通信用のアンテナを備え、リーダライタからの電力の受給とリーダライタとの間の信号の送受信とを無線によって行う非接触通信式の半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、カード形、タグ形又はコイン形などに形成された基体にICチップを搭載してなる半導体装置が知られている。この種の半導体装置は、豊富な情報量と高いセキュリティ性能を備えていることから、交通、流通及び情報通信等の各分野で普及が進んでいる。
【0003】
中でも、近年開発された非接触通信式の半導体装置は、基体に外部端子を設けず、リーダライタからICチップへの電力の受給と、リーダライタとICチップとの間の信号の送受信とを無線通信用のアンテナを利用して非接触で行うので、接触式の半導体装置のように外部端子の損壊ということが本質的になく、保存等の取り扱いが容易で長期間の使用に耐え、リーダライタのメンテナンスも容易になるという特徴を有する。またこれに加えて、データの改ざんが行われにくく一層セキュリティ性能に優れるという特徴を有しており、今後より広範囲な分野への普及が予想されている。
【0004】
従来の非接触通信式半導体装置においては、ICとして、回路形成面が平面状に形成されたICチップ、即ち、薄板状に形成されたシリコンウエハの片面に演算素子や記憶素子を含む所要の回路パターンが集積化されたICチップが用いられている。また、前記無線通信用のアンテナとしては、導線を巻回してなる巻線コイルや導体膜をエッチングしてなる平面コイルが用いられている。これらのアンテナは、基体に設けられるのが一般的であったが、近年においては、ICチップに直接平面コイルをパターン形成したものや、ICチップをコアとしてその周面に巻線コイルを巻回したものも提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シリコンウエハの片面に所要の回路パターンが集積化された薄板状のICチップは、抗折力が小さいために、基体にアンテナが備えられるものは勿論のこと、ICチップ自体にアンテナが備えられたものについても単独では非接触通信式半導体装置として使用することができず、ICチップを基体に搭載する必要がある。このため、従来の非接触通信式半導体装置は、構造が複雑でコスト高になり、かつ平面形状が大型化するという不都合がある。
【0006】
また、従来の非接触通信式半導体装置は、基体がカード形、タグ形又はコイン形などに形成され、かつ当該非接触式半導体装置に搭載されるアンテナが基体の表裏方向に指向性を有するように構成されているので、利用分野が自ずと制限され、例えば、当該非接触通信式半導体装置を流体中に投入して、その流量や流速を測定するといった利用を図ることができない。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の不備を解決するためになされたものであって、その課題とするところは、小型かつ安価に製造でき、しかもこれまで適用が困難であった分野への適用が可能な非接触通信式半導体装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するため、第1に、立体的な回路形成面を有するICと、当該ICの回路形成面上に形成された絶縁層と、当該絶縁層上に立体的に形成され、当該絶縁層に形成されたスルーホールを通して前記回路形成面に形成された回路と電気的に接続された無線通信用のアンテナとを備えるという構成にした。
【0009】
前記立体的な回路形成面を有するICとは、ウエハプロセスによって製造されるICとは異なり、特殊な方法で生成されたシリコン基の表面にプロセス技術を応用して所要の素子及び配線が形成されたものであって、輪郭表面が2以上の平面を含んで構成され、その2以上の平面に回路が形成されたもの、及び、輪郭表面が例えば球状、粒状、皿状、ヘモグロビン形状、テトラポッド形状、細長或いは扁平的回転楕円体、正四面体包摂形状、ドーナツ状、米粒状、ひょうたん型、印型、たわら形状などの曲面で構成され、当該曲面に回路が形成されたものの双方を含む。
【0010】
前記非接触通信式半導体装置は、前記絶縁層の厚さを調整することによって、当該絶縁層の表面に形成されるアンテナのサイズ、即ち周波数特性を調整することができる。
【0011】
本発明は、前記の課題を解決するため、第2に、立体的な回路形成面を有するICと、当該ICの外周部に付設され、前記回路形成面に立体的に形成された回路の入出力端子と電気的に接続された無線通信用のアンテナとを備え、当該アンテナとして、2つの導電性中空半球体からなり、これら2つの導電性中空半球体の周縁部が所定のスリットを介して対向に配置されたものを用いるという構成にした。
【0012】
本発明は、前記の課題を解決するため、第3に、立体的な回路形成面を有するICと、当該ICの外周部に付設され、前記回路形成面に立体的に形成された回路の入出力端子と電気的に接続された無線通信用のアンテナとを備え、当該アンテナとして、一部にスリットを有する導電性中空球体からなるものを用いるという構成にした。
【0013】
これらの第2及び第3の課題解決手段に係るアンテナは、高周波特性に優れるので、小型にして大きな通信距離を得ることができる。また、要求される通信距離が小さい場合には、巻線コイルからなるアンテナを用いることも可能である。
【0014】
前記アンテナとして、ICの表面にエッチングやレーザビーム加工等の微細加工技術を応用してパターン形成されたものや巻線コイルを用いる場合、そのアンテナパターンは、ループ型又はダイポール型或いはこれらの組み合わせなど、任意の形状に形成することができる。また、そのアンテナパターンは、多指向性又は無指向性を有することが好ましく、少なくとも3方向以上の特定の多方向に対して高い感度を有するように形成されることが好ましい。
【0015】
立体的な回路形成面を有するIC、例えば球状のICは、板状のICチップに比べて格段に抗折力(破壊強度)が大きい。また、かかるICの表面に無線通信用のアンテナをパターン形成するか、あるいは、かかるICの外周部に無線通信用のアンテナを付設すると、アンテナを搭載するための基体を必要としないので基体を必須の構成要素とする従来の非接触通信式半導体装置に比べてその平面形状を格段に小型化できると共に、3方向以上の特定の多方向に対して高い感度を有する多指向性のアンテナ又は無指向性のアンテナを形成することができる。したがって、IC及びアンテナのみをもって実用的な非接触通信式の半導体装置を構成することができ、小型かつ粒状であることから、例えば流体中に投入して、その流量や流速を測定するといった利用をも図ることができ、この種の非接触通信式半導体装置の用途を拡大することができる。また、ICの表面に無線通信用のアンテナをパターン形成するか、あるいは、ICの外周部に無線通信用のアンテナを付設するだけで所望の非接触通信式半導体装置を得ることができるので、基体を備えた非接触通信式半導体装置に比べて安価に製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
〈第1実施形態例〉
本発明に係る非接触通信式半導体装置の第1実施形態例を、図1乃至図3に基づいて説明する。図1は第1実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の斜視図、図2はアンテナを構成する導線の断面図、図3は第1実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の利用例とリーダライタの構成例とを示す概念説明図である。図1から明らかなように、本例の非接触通信式半導体装置11は、立方形に形成されたIC1のA面とその対向面であるA′面とにアンテナパターン2が形成され、A面及びA′面と直交するC面にアンテナの両端3が配置されている。IC1のA面及びA′面に形成されるアンテナパターン2は、いずれも電流iに関して同一方向に巻回されており、アンテナパターン2に電流iが供給されたとき、各アンテナパターン2からA面及びA′面に垂直で同一向きの磁界Hが発生する。なお、図ではアンテナパターン2が1本の線で表示されているが、コイル状に所定回数ターンさせることも勿論可能である。
【0017】
IC1は、前記したように外形が立方形に形成されており、当該立方形を構成する6平面のうちの少なくとも2平面以上に所要の回路パターン(図示省略)が形成されていて、C面のアンテナ両端3と対応する部分に入出力部を有している。このIC1は、立方体に形成されたシリコン基の表面にプロセス技術を応用して所要の素子及び配線を形成することにより作成される。
【0018】
アンテナパターン2は、IC1の周囲に導線を巻回することによって構成することもできるし、IC1の表面に絶縁層(図示省略)を介して形成された導体膜に例えばエッチング加工やレーザビーム加工等の微細加工を施すことにより構成することもできる。アンテナパターン2が導線にて形成される場合、IC1のC面のアンテナ両端3と対応する部分には、パッド部が設けられ、当該パッド部にアンテナ2の両端が接続される。これに対して、アンテナパターン2が導体膜を微細加工することによって形成される場合には、かかるパッド部は不要である。
【0019】
アンテナパターン2を導線にて形成する場合、当該導線としては、図2(a)に示すように、銅やアルミニウムなどの良導電性金属材料からなる心線2aの周囲を樹脂などの絶縁層2bで被覆された線材から成るもの、或いは図2(b)に示すように、心線2aの周囲に金やハンダなどの接合用金属層2cが被覆され、かつ当該接合用金属層2cの周囲に絶縁層2bが被覆された線材から成るものを用いることもできる。線材の直径は、必要に応じて適宜選択できるが、巻線時の断線防止及びアンテナ装置の小型化の要請から、20μm〜100μmのものが特に好適である。また、導線からなるアンテナパターン2とICパッド部との接続法法としては、ワイヤボンディング、ハンダ付け、超音波融着、異方性導電体接続等によって行うことができる。
【0020】
本例の非接触通信式半導体装置11は、立方形のIC1の表面に無線通信用のアンテナ2をパターン形成するか、巻線コイルを巻回したので、従来のようにアンテナを搭載するための基体を必要とせず、基体を必須の構成要素とする従来の非接触通信式半導体装置に比べてその平面形状を格段に小型化できる。したがって、IC1及びアンテナ2のみをもって実用的な非接触通信式の半導体装置を構成することができ、小型かつ粒状であることから、図3に示すように、管体21内を流れる流体22に投入して、リーダライタ23にてその流量や流速を測定するといった利用を図ることができる。
【0021】
即ち、リーダライタ23には、非接触通信式半導体装置11に備えられたアンテナ2と電磁結合可能なコイル24が備えられていて、このコイル24は、管体21の外周に巻回されている。本構成のリーダライタ23によると、流体22と共に管体21内を流れてきた非接触通信式半導体装置11がコイル24に接近し、非接触通信式半導体装置11に備えられたアンテナ2とコイル24とが電磁結合した段階でリーダライタ23より非接触通信式半導体装置11に電源が供給され、非接触通信式半導体装置11はその電源を利用して所要の演算を行い、所要の信号をリーダライタ23に送信する。リーダライタ23によるこの信号の受信レベルは、アンテナ2とコイル24との相対位置によって変化するから、受信レベルの変化をリーダライタ23に接続されたホストコンピュータによって検出することによって、管体21内を流れる流体22の流速、ひいては流量を演算によって求めることができる。
【0022】
さらに、前記構成の非接触通信式半導体装置は、ICの表面に無線通信用のアンテナをパターン形成するか、巻線コイルを巻回するだけで所望の非接触通信式半導体装置を得ることができるので、基体を備えた非接触通信式半導体装置に比べて安価に製造することができる。
【0023】
〈第2実施形態例〉
本発明に係る非接触通信式半導体装置の第2実施形態例を、図4に基づいて説明する。図4は第2実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の斜視図である。図4から明らかなように、本例の非接触通信式半導体装置12は、立方形に形成されたIC1のA面及びA′面並びにこれらの各面と直交するB面及びB′面にアンテナパターン2が形成され、A面、A′面、B面及びB′面と直交するC面にアンテナの両端3が配置されている。IC1のA面及びA′面に形成されるアンテナパターン2は、いずれも電流iに関して同一方向に巻回されており、アンテナパターン2に電流iが供給されたとき、各アンテナパターン2からA面及びA′面に垂直で同一向きの磁界H1を発生する。また、IC1のB面及びB′面に形成されるアンテナパターン2も、電流iに関して同一方向に巻回されており、アンテナパターン2に電流iが供給されたとき、各アンテナパターン2からB面及びB′面に垂直で同一向きの磁界H2が発生する。その他の事項については第1実施形態例に係る非接触通信式半導体装置11と同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0024】
本例の非接触通信式半導体装置12は、第1実施形態例に係る非接触通信式半導体装置11と同様の効果を奏するほか、IC1のA面及びA′面とB面及びB′面とにアンテナパターン2を形成したので、A面及びA′面に垂直な方向並びにB面及びB′面に垂直な方向の2方向に高い感度を有する多指向性のアンテナ装置を備えた非接触通信式半導体装置を得ることができる。
【0025】
〈第3実施形態例〉
本発明に係る非接触通信式半導体装置の第3実施形態例を、図5に基づいて説明する。図5は第3実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の斜視図である。図5から明らかなように、本例の非接触通信式半導体装置13は、立方形に形成されたIC1のA面及びA′面、B面及びB′面並びにC面及びC′面にそれぞれアンテナパターン2が形成され、C面にアンテナの両端3が配置されている。IC1のA面及びA′面に形成されるアンテナパターン2は、いずれも電流iに関して同一方向に巻回されており、アンテナパターン2に電流iが供給されたとき、各アンテナパターン2からA面及びA′面に垂直で同一向きの磁界H1を発生する。また、IC1のB面及びB′面に形成されるアンテナパターン2も、電流iに関して同一方向に巻回されており、アンテナパターン2に電流iが供給されたとき、各アンテナパターン2からB面及びB′面に垂直で同一向きの磁界H2が発生する。さらに、IC1のC面及びC′面に形成されるアンテナパターン2も、電流iに関して同一方向に巻回されており、アンテナパターン2に電流iが供給されたとき、各アンテナパターン2からC面及びC′面に垂直で同一向きの磁界H3が発生する。その他の事項については第1実施形態例に係る非接触通信式半導体装置11と同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0026】
本例の非接触通信式半導体装置装置13は、第1実施形態例に係る非接触通信式半導体装置11と同様の効果を奏するほか、IC1のA面及びA′面、B面及びB′面並びにC面及びC′面にアンテナパターン2を形成したので、A面及びA′面に垂直な方向、B面及びB′面に垂直な方向並びにC面及びC′面に垂直な方向の3方向に高い感度を有する多指向性のアンテナ装置を備えた非接触通信式半導体装置を得ることができる。
【0027】
〈第4実施形態例〉
本発明に係る非接触通信式半導体装置の第4実施形態例を、図6に基づいて説明する。図6は第4実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の斜視図である。
【0028】
図6から明らかなように、本例の非接触通信式半導体装置14は、立方形に形成されたIC1の3方向の周面に連続的にアンテナパターン2を形成し、いずれか1つの面、図の例ではC面にアンテナの両端3を配置したことを特徴とする。アンテナパターン2は、図2に例示したような導線を巻回することによって形成することができる。本例の非接触通信式半導体装置14は、アンテナパターン2に電流iが供給されたとき、IC1の各周面に巻回された各コイルから、互いに直交する方向に3つの磁界H1,H2,H3が発生する。その他の事項については第1実施形態例に係る非接触通信式半導体装置11と同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0029】
本例の非接触通信式半導体装置14は、第3実施形態例に係る非接触通信式半導体装置13と同様の効果を奏する。
【0030】
〈第5実施形態例〉
本発明に係る非接触通信式半導体装置の第5実施形態例を、図7に基づいて説明する。図7は第5実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の斜視図である。図7から明らかなように、本例の非接触通信式半導体装置15は、IC1として、輪郭が球形に形成されたICを用い、その表面にアンテナパターン2を形成したことを特徴とする。アンテナパターン2は、巻線をもって構成することもできるし、IC1の表面に絶縁層(図示省略)を介して形成された導体膜に例えばエッチング加工やレーザビーム加工等の微細加工を施すことにより構成することもできる。図7(a)はIC1の表面に沿ってアンテナ2を野球のボールの縫い目形状に形成した例を示し、図7(b)はIC1の表面に複数個の渦巻き型のコイルを分散した例を示す。いずれの場合にも、2方向以上の多方向に高い感度を有する多指向性のアンテナを備えた非接触通信式半導体装置とすることができる。その他の事項については第1実施形態例に係る非接触通信式半導体装置11と同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0031】
本例の非接触通信式半導体装置15も、第1乃至第4実施形態例に係る非接触通信式半導体装置11,12,13,14と同様の効果を奏する。
【0032】
〈第6実施形態例〉
本発明に係る非接触通信式半導体装置の第6実施形態例を、図8に基づいて説明する。図8は第6実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の断面図である。図8から明らかなように、本例の非接触通信式半導体装置16は、球形のIC1の外周部を当該IC1の直径と同等又はこれよりも厚い絶縁層4にて覆い、当該絶縁層4の表面にアンテナパターン2を形成したことを特徴とする。アンテナパターン2は、巻線をもって構成することもできるし、絶縁層4の表面に形成された導体膜に例えばエッチング加工やレーザビーム加工等の微細加工を施すことにより構成することもできる。アンテナパターン2とIC1の表面に形成された回路パターン9の入出力部9aとは、スルーホール5を介して接続される。その他の事項については第1実施形態例に係る非接触通信式半導体装置11と同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0033】
本例の非接触通信式半導体装置16は、第5実施形態例に係る非接触通信式半導体装置15と同様の効果を有するほか、球形のIC1の外周部を当該IC1の直径と同等又はこれよりも厚い絶縁層4にて覆い、当該絶縁層4の表面にアンテナパターン2を形成したので、IC1の表面又はその近傍にアンテナパターン2を形成する場合に比べてアンテナパターン2のサイズを大型化することができ、高周波特性に優れたアンテナを備えた非接触通信式半導体装置とすることができる。
【0034】
〈第7実施形態例〉
本発明に係る非接触通信式半導体装置の第7実施形態例を、図9に基づいて説明する。図9は第7実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の断面図である。
【0035】
図9から明らかなように、本例の非接触通信式半導体装置17は、球形のIC1の外周部を当該IC1の直径と同等又はこれよりも厚い絶縁層4にて覆い、当該絶縁層4の外面に2つの導電性中空半球体2a,2bからなるアンテナ2を被着したことを特徴とする。前記2つの導電性中空半球体2a,2bの相対向する周縁部の間には所定の間隙6が設けられ、各導電性中空半球体2a,2bとIC1の表面に形成された回路パターンとは、スルーホール5を介して接続される。その他の事項については第6実施形態例に係る非接触通信式半導体装置16と同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0036】
本例の非接触通信式半導体装置17は、第6実施形態例に係る非接触通信式半導体装置16と同様の効果を有するほか、2つの導電性中空半球体2a,2bからなるアンテナ2を用いたので、パターン形成されたアンテナ又は巻線からなるアンテナを用いる場合に比べて、より高周波特性に優れたアンテナを備えた非接触通信式半導体装置とすることができる。
【0037】
〈第8実施形態例〉
本発明に係る非接触通信式半導体装置の第8実施形態例を、図10に基づいて説明する。図10は第8実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の断面図である。
【0038】
図10から明らかなように、本例の非接触通信式半導体装置18は、アンテナ2として、一部にスリット8を有する導電性中空球体からなるものを用い、当該アンテナ2内に球形のIC1を収納して、前記アンテナ2の内面の2点とIC1の表面に形成された回路パターンとを導体7で接続したことを特徴とする。その他の事項については第6実施形態例に係る非接触通信式半導体装置16と同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0039】
本例の非接触通信式半導体装置18も、第7実施形態例に係る非接触通信式半導体装置17と同様の効果を有する。
【0040】
なお、前記各実施形態例においては、立方形のIC1又は球形のIC1を用いたが、IC1の形状についてはこれに限定されるものではなく、立体的な回路形成面を有するICであれば、例えば球状、粒状、皿状、ヘモグロビン形状、テトラポッド形状、細長或いは扁平的回転楕円体、正四面体包摂形状、ドーナツ状、米粒状、ひょうたん型、印型、たわら形状など、任意の輪郭を有するものを用いることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の非接触通信式半導体装置は、立体的な回路形成面を有するICを用い、当該ICの表面に無線通信用のアンテナをパターン形成するか、前記ICの外周部に当該ICの回路形成面に形成された回路の入出力端子と電気的に接続された無線通信用のアンテナを付設したので、アンテナを搭載するための基体を必要とせず、基体を必須の構成要素とする従来の非接触通信式半導体装置に比べてその平面形状を格段に小型化できると共に、3方向以上の特定の多方向に対して高い感度を有する多指向性のアンテナ又は無指向性のアンテナを形成することができる。したがって、IC及びアンテナのみをもって実用的な非接触通信式の半導体装置を構成することができ、小型かつ粒状であることから、例えば流体中に投入してその流量や流速を測定するなど、従来非接触通信式半導体装置の適用が困難であった分野への応用が可能になる。また、基体を有しないことから、構造が簡単であり、基体を備えた非接触通信式半導体装置に比べて安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の斜視図である。
【図2】アンテナを構成する導線の断面図である。
【図3】第1実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の利用例とリーダライタの構成例とを示す概念説明図である。
【図4】第2実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の斜視図である。
【図5】第3実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の斜視図である。
【図6】第4実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の斜視図である。
【図7】第5実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の斜視図である。
【図8】第6実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の断面図である。
【図9】第7実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の断面図である。
【図10】第8実施形態例に係る非接触通信式半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
1 IC
2 アンテナ
3 アンテナ両端
4 絶縁層
5 スルーホール
6 間隙
7 導体
8 スリット
11〜18 非接触通信式半導体装置
Claims (5)
- 立体的な回路形成面を有するICと、当該ICの回路形成面上に形成された絶縁層と、当該絶縁層上に立体的に形成され、当該絶縁層に形成されたスルーホールを通して前記回路形成面に形成された回路と電気的に接続された無線通信用のアンテナとを備えたことを特徴とする非接触通信式半導体装置。
- 請求項1に記載の非接触通信式半導体装置において、前記ICとして、輪郭表面が曲面で構成されたものを用いることを特徴とする非接触通信式半導体装置。
- 請求項2に記載の非接触通信式半導体装置において、前記ICが球形であることを特徴とする非接触通信式半導体装置。
- 請求項1に記載の非接触通信式半導体装置において、前記無線通信用のアンテナとして、2つの導電性中空半球体からなり、これら2つの導電性中空半球体の周縁部が所定のスリットを介して対向に配置されたものを用いたことを特徴とする非接触通信式半導体装置。
- 請求項1に記載の非接触通信式半導体装置において、前記無線通信用のアンテナとして、一部にスリットを有する導電性中空球体からなるものを用いたことを特徴とする非接触通信式半導体装置。
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