JP4231591B2 - アミンで官能化されたエラストマー及びマレイン酸で官能化されたポリオレフィンから誘導される反応生成物 - Google Patents
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Description
【発明の分野】
1個またはそれより多い側鎖(pendant)カルボキシル基またはカルボキシル基から誘導される無水物で官能化された第一重合体をアミンで官能化された第二重合体と反応させることにより重合体ブレンドを製造する。そのような第一重合体の例はマレイン酸で官能化されたポリオレフィン(maleated polyolefin)である。アミンで官能化された重合体は陰イオン的に重合され、そしてアミン基で官能化される。これらの反応生成物の特性は第一重合体の重量パーセント並びに第一及び第二重合体の型により決まる。また、重合体の分子量並びに重合体当たりのカルボキシル及びアミン基の数も特性に影響があると予想される。反応生成物は改質熱可塑性樹脂からエラストマーまで多岐に及ぶことができ、そして重合体ブレンドとしてまたは別の組成物の添加剤として用いることができる。側鎖カルボキシルまたは無水物で官能化された重合体は望ましくはポリエチレンまたはポリプロピレンである。
【0002】
【発明の背景】
マレイン酸で官能化されたポリオレフィンの製造は知られている。ポリプロピレンをマレイン酸で官能化する3つの基本的方法は、(1)高温で遊離ラジカル源の存在下でポリオレフィンを無水マレイン酸と反応させること、(2)無水マレイン酸をポリ(αオレフィン)と共重合させること及び(3)ポリオレフィン上に無水コハク酸(一般にマレエート(maleate)と呼ばれる)末端基を形成するための無水マレイン酸の存在下での予備成形したポリオレフィン重合体の鎖分断である。
【0003】
アミンで官能化されたエラストマーは引用することにより本明細書に組み込まれる米国特許5,153,159;5,268,413;及び5,066,729中に教示されるようなタイヤのような製品においてヒステリシスを減少するために製造されている。一般的に、これらは高分子量重合体であり、減少したヒステリシスを有するタイヤ中に架橋された。
【0004】
【発明の要約】
リビング陰イオン重合体を官能化及び停止させるためにN−ブチリデンベンジルアミンのようなイミン化合物を用いることができる。エラストマーの陰イオン重合のための商業的反応条件下でこれらのイミン化合物を用いて第二級アミンを含有する末端基を有する制御された分子量及び微細構造の重合体を製造することができる。少なくとも50、60または70パーセントの重合体鎖が少なくとも1個の末端官能第二級アミン基を有する重合体を製造する能力により、マレイン酸で官能化されたポリオレフィンまたは他のカルボン酸もしくはその無水物で官能化された重合体のような第一重合体とそれらの反応生成物(2つまたはそれより多い重合体の相溶化ブレンド)を製造することが可能になる。カルボン酸または無水物で官能化された重合体、例えばマレイン酸で官能化されたポリオレフィンは様々な微細構造で、そして重合体の反復単位、例えばオレフィンに対するカルボキシルまたは無水物、例えばマレエート基(より正しくは無水コハク酸またはスクシネート(succinate))基)の様々な割合で利用できる。
【0005】
多数の陰イオン的に重合された重合体及びマレイン酸で官能化された重合体は本来相溶性ではないが、反応生成物中の第一重合体、例えばマレイン酸で官能化された重合体と第二重合体、すなわちアミンで官能化された重合体の間の化学的相互作用により、エラストマー中のポリオレフィンの分散、ポリオレフィン中のエラストマーの分散を初めとする2つの重合体の有用な分散系、共連続(cocontinuous)ポリオレフィン及びエラストマー相、並びに少なくとも1つのポリオレフィン及び少なくとも1つのエラストマーの均質組成物またはブレンド等を初めとする様々なブレンドを製造する可能性が開かれる。好ましい態様として、ポリオレフィンは熱可塑性樹脂であり、それはアミンで官能化されたゴム状重合体と適切な割合でブレンドされた場合に熱可塑性エラストマーをもたらすことができる。
【0006】
第一重合体にはマレイン酸で官能化されたポリオレフィンが好ましいが、マレイン酸で官能化された他の重合体または他のカルボキシル基で官能化された重合体を用いることができる。望ましくは、第一重合体の少なくとも大部分は少なくとも1個のスクシネート、無水コハク酸、他のポリカルボン酸もしくはその無水物、または他のカルボン酸基またはそれらの組み合わせを含む。第二重合体には少なくとも1つの共役ジエン及び場合によりビニル芳香族単量体からのアミンを末端基とするエラストマーが好ましい。第一または第二重合体はエラストマーもしくは熱可塑性樹脂であってもよく、または両方の重合体がエラストマーであってもよく、または両方が熱可塑性樹脂であってもよい。1個またはそれより多い生長末端を有する陰イオン的に重合された(第二)重合体を製造することができる。1個またはそれより多いアミン含有末端基を有するように重合体を官能化することができる。カルボキシルまたは無水物またはイソシアネート官能基を有する二官能価または多官能価の重合体と反応させるために2個のアミン含有末端基を有するものを用いることができ、一官能価のアミンを末端基とする重合体を用いる場合と異なる特性を生じる。
【0007】
【詳細な説明】
様々な方法により(無水マレイン酸から誘導される)スクシネートまたは無水コハク酸基のようなカルボキシル基を有する重合体、例えばポリオレフィンを製造することができる。一つの方法はアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸もしくは無水マレイン酸のようなオレフィン(不飽和)カルボキシルを含有する単量体またはカルボキシルを含有する単量体のブレンドとオレフィン単量体を共重合させることである。これらの官能基を含有する単量体は、官能化剤でもあることができ、望ましくは少なくとも1個のカルボキシル基及び少なくとも1個の二重結合を有する。通例、それらは約3個から約10までの炭素原子を有する。望ましくは、それらは約1個から約2または3個までのカルボキシル基及び約3個から約6個までの炭素原子を有する。それらはポリカルボン酸の不飽和無水物を含むことができる。
【0008】
第二の方法は上記のようなオレフィンカルボキシルを含有する単量体(例えば、カルボン酸無水物)を重合体にグラフトすることである。ジカルボン酸の無水物は望ましくは1個のジカルボン酸無水物及び無水物を第一重合体に結合することに用いられる1個の炭素−炭素二重結合を有する。すでに形成されたポリオレフィン上にジカルボン酸無水物、例えば無水マレイン酸をグラフトすることにより(スクシネート基のような)カルボキシル基を有する重合体、例えばポリオレフィンを形成することができる。通常、遊離ラジカル源の存在下で高温でこれを実施する。
【0009】
これらの方法により製造される末端及び/または側鎖カルボキシルまたは無水物基を有するポリオレフィンは市販されている。これらの重合体は望ましくは約0.01から約10重量パーセントまでのカルボン酸またはカルボン酸無水物を含有する反復単位を有する。より望ましくは、それらは約0.01から約5重量パーセントまで、好ましくは約0.01または0.02から約2または3重量パーセントまでのそのような単位を有する。
【0010】
マレイン酸で官能化された重合体を形成する第三の方法は、先に製造した重合体、例えばポリオレフィンを高温での混合操作中に高い応力に供する鎖分断法である。少なくとも1個の炭素−炭素二重結合(不飽和)を有する(上記のような)無水マレイン酸または別のオレフィンカルボキシルを含有する単量体を混合物に添加する。望ましくは、無水マレイン酸または他の単量体をポリオレフィンまたは他の重合体の鎖分断部位上にグラフトする。
【0011】
本願のための好ましいポリオレフィンは反復単位当たり約2個から約6個までの炭素原子を有するα−モノオレフィン単量体からである。これらの重合体は単独重合体または重合体が共重合体及び3つまたはそれより多い異なる単量体からの反復単位を有する重合体を含む共重合体であってもよい。三元共重合体の例はEPDMであり、それはエチレン、プロピレン及び通例1,4−ヘキサジエンまたはメチレンノルボルネンのような非共役ジエンの重合から誘導される。共重合体の例はエチレンプロピレン共重合体(EPM)である。好ましいポリオレフィンはポリエチレンまたはポリプロピレンである。望ましくは、ポリオレフィンは2個から6個までの炭素原子を有する少なくとも1つのα−モノオレフィン単量体の重合からの少なくとも80重量パーセントの反復単位、望ましくは、少なくとも80重量パーセントのエチレンもしくはプロピレンのいずれかまたはそれらの組み合わせを有する。望ましくは、ポリオレフィンは熱可塑性重合体であり、それが25℃より上のTgを有するかまたは24℃で非常に結晶質であるのでその結晶化度のために重合体がゴム弾性、例えば、張力下で100パーセントの伸び率まで伸ばされた後に架橋された形態でそのほぼ最初の寸法に回復することができるエラストマーであることが妨げられるかのいずれかを意味する。
【0012】
別の態様として、カルボキシル化された、例えばマレイン酸で官能化された重合体はモノオレフィンから製造されるポリオレフィンである必要はない。ある態様として、マレイン酸で官能化された重合体は約4個から約8個までの炭素原子を有する共役ジエンからの少なくとも40、50、60または70重量パーセントの反復単位を有するもののような弾性重合体であってもよい。これらの重合体はそのようなジエンに基づく重合体及びそのようなジエンと8個から20個までの炭素原子を有するビニル芳香族単量体の重合体を含む。これらの重合体を遊離ラジカル法により重合することができ、そしてそれらはアクリロニトリル、アクリレート、二酸等のような様々なコモノマーを含むことができる。ポリオレフィンに対して特定したようにカルボキシル基を付加することができる。EPMまたはEPDMはカルボン酸またはジカルボン酸の無水物で官能化することができる他の弾性型の重合体である。これらのマレイン酸で官能化された弾性重合体は空気入りタイヤでのような熱可塑性特性が通例所望されない場合にポリ(α−モノオレフィン)の代わりに有用である。
【0013】
上に記載したような慣例の修飾によりジオレフィンからのようなオレフィン重合体またはジオレフィンとオレフィンの共重合体(例えば、上記の弾性重合体:ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴムまたはポリ(スチレンブタジエン))に無水マレイン酸をグラフトすることができる。また、大きいパーセンテージの残存している二重結合を除くために上記の弾性重合体を部分的に水素化することもできる。そのような部分的に水素化された重合体に無水マレイン酸のような不飽和カルボキシルを含有する単量体をグラフトすることができる。
【0014】
ブレンドの第二重合体は陰イオン重合により製造されるアミンを末端基とする重合体である。好ましい一群の重合体は4個から8個までの炭素原子を有する少なくとも1つの共役ジエン、または少なくとも1つの該共役ジエンと8個から20個までの炭素原子を有する少なくとも1つのビニル芳香族単量体の組み合わせから重合される重合体である。ある態様として、共役ジエンから製造される重合体は少なくとも1つの共役ジエンからの少なくとも40重量パーセントの反復単位、より望ましくは少なくとも1つの共役ジエンからの少なくとも50、65、70または80重量パーセントの反復単位を含んでなる。これらの重合体が共重合体または3つもしくはそれより多い単量体の重合体である場合、それらは場合により該ビニル芳香族単量体からの少なくとも20重量パーセントの反復単位を含んでなることができる。弾性重合体中のビニル芳香族単量体からの反復単位の好ましい範囲は得られる重合体の約20重量から約35重量パーセントまでである。弾性特性が所望されない場合の別の態様として、少なくとも1つのビニル芳香族単量体からの反復単位は重合体の少なくとも40、50、60、70または80重量パーセントであってもよい。重合される単量体の分子量及び特定の反復単位により、上記の単量体からの重合体は24℃で粘性のある液体から固体まで変わることができる。数平均分子量は約1,000から約500,000またはそれより多くまで変わることができ、より望ましくは約1,000から約250,000または300,000まで、好ましくは一つの態様として約1,000から約30,000または50,000まで、そして別の態様として約30,000または50,000から約250,000または300,000までである。
【0015】
アミンを末端基とする重合体は陰イオン重合をイミン分子で停止させることに由来する1個のアミン含有末端基を有することができ、またはそれらはそのような停止反応からの複数のアミン基を含有することができる。1を超えるさらなるアミン基をアミンもしくはイミンを含有する開始剤からまたは重合体当たり2個もしくはそれより多いアミン含有末端基を有する重合体から誘導することができる。陰イオン重合において重合体は1個より多い生長する陰イオン鎖末端を有することができるので、複数のアミン含有末端基を有する可能性が存在する。2個の生長末端を誘導する二官能価開始剤が利用でき、またはすでに生長している重合体の側鎖もしくは主鎖セグメント上にさらなる陰イオン生長末端を生成する方法がある。従って、同じ分子上に複数の陰イオン鎖末端を生成するあらゆる方法が単一重合体上に複数のアミン含有末端基を形成するために許容できる。
【0016】
単一重合体上に2個またはそれより多いアミン反応性基を有する可能性は、重合体の複数のアミン含有基を2個の別個のカルボキシルを含有する重合体またはマレイン酸で官能化された重合体と反応させる(化学的もしくは物理的に会合させるかまたは他の方法)可能性を生み出す。
【0017】
場合によりビニル芳香族単量体と、共役ジエンからのアミンを末端基とする重合体の陰イオン重合を通常の陰イオン開始剤で通常の陰イオン重合条件下で実施することができる。二官能価重合体が所望される場合、場合により、適当にブロックまたは予備反応させたアミン、イミン、ヒドロキシル等のような他の官能基を含有する陰イオン開始剤を用いることができる。そのような二官能価重合体の少なくとも1つの末端をアミンで官能化し、そして他の1つまたはそれより多い末端はアミン、ヒドロキシルまたは他の官能もしくは非官能基であってもよい。通例、官能基は別の分子または重合体の別の官能基と会合して架橋またはより相溶性のブレンドを形成することができるアルキル基以外の基として定義される。好ましい官能基はアミド、アミン、カルボキシル、カルボニル、ジカルボン酸の無水物、ヒドロキシル、エポキシ等を含む。非官能基は通例アルキル基として定義される。もちろん、相互によく反応する官能基は重合中またはその後に同時に存在する場合に鎖伸長またはカップリングを引き起こすことができる。
【0018】
これらの陰イオン重合のための溶媒は重合される単量体、連鎖移動反応(または他の重合停止事象)を防ぐ必要性及び得られる重合体を可溶化する必要性により決まる。通例、陰イオン重合には炭化水素溶媒、例えばヘキサンを用いる。単量体の共重合を促進するためまたは共役ジエンからの反復単位を鎖につなぐ無作為性に影響を与えるためにエーテルのようなより極性の溶媒を用いるかまたは炭化水素溶媒と混合することができる。
【0019】
生じる陰イオン的に形成された重合体の数平均分子量は、通例、活性開始剤の全モルで割った単量体の全グラムに関係がある。従って、単量体のモル数を増加するかまたは重合を開始することに活性がある開始剤のモル数を減少することにより一般的に分子量を増加することができる。同様に、反対の修飾により分子量を減少することができる。また、鎖カップリングによっても分子量は影響を受けるが、アミン末端基をもたらす本開示の官能化法によりカップリングは最小限に抑えられる。
【0020】
陰イオン重合のためのある好ましい官能化剤は式:
【0021】
【化1】
式中、R1及びR2は独立してH、1個から20個までの炭素原子のアルキル、3個から12個までの炭素原子のシクロアルキル、6個から20個までの炭素原子のアリール、8個から20個までの炭素原子のジアルキルアミノアリール、7個から20個までの炭素原子のアラルキル並びに上に記述したものと同じ範囲の炭素原子を有する非プロトン性のO、N及びSを含有するアルキル、シクロアルキル、アリール及びアラルキル基であり;式中、R3はR3がHであることができないことを除いてR1及びR2と同じ
基から選択される
を有するイミンである。非プロトン性基はプロトンを与えない基として定義される。通例、非プロトン性物質は陰イオン開始剤及び生長する陰イオン的に重合された重合体鎖と非反応性であり、副反応を最小限に抑えるので、本明細書では非プロトン性の限定が挿入される。
【0022】
式
【0023】
【化2】
のアルデヒドまたはケトンを式H2NR3のアミンと反応させることによりイミンを製造することができ、ここで、R1、R2及びR3はイミンに対して上に定義したとおりである。アミンと反応したアルデヒドはアルジミンを生成し、そしてアミンと反応したケトンはケチミンを生成する。本明細書の目的のために、イミンはアルジミン及びケチミンの両方を含む。
【0024】
本開示のイミン分子は単量体として作用し、そして以下に示すように重合体の生長する陰イオン鎖末端に付加する。重合体を「P」で示し、陰イオンを−で示し、そして例示目的のための対イオンはLi+である。
【0025】
【化3】
従って、生長鎖はイミン結合の炭素への結合を形成し、そしてイミン結合の窒素は負の電荷を帯びる。窒素上の陰イオン電荷は、単量体が利用できる場合、そして陰イオン電荷のまわりの立体束縛が活性陰イオン鎖末端への他の単量体の接近を制限しない場合に、もう一つの単量体を付加することができる。もう一つの単量体が付加されない場合、窒素原子はプロトン性物質の水素または他の部分に結合することができ、陰イオン電荷を失い、そしてその重合体を停止させる。
【0026】
全ての生長する陰イオン鎖末端のかなりの部分を(イミン分子と鎖末端の反応から)アミンで官能化した後、それらを水またはアルコールのような通常のプロトン性停止剤で停止させることができる。プロトン性物質は陰イオン重合を停止させるために十分な量で用いられる。望ましくは、上記の官能化及び停止反応はイミンから誘導される少なくとも1個の第二級アミン含有末端基で停止されている少なくとも50、より望ましくは少なくとも60、好ましくは少なくとも70パーセントの生長陰イオン鎖末端をもたらす。
【0027】
従って、陰イオン的に重合された重合体上の末端基は望ましくは−C(R1)(R2)−N(H)R3であり、ここで、R1、R2及びR3は先に定義したとおりである。
【0028】
第一重合体及び第二重合体の反応生成物(相溶化ブレンド)は望ましくは機械的混合機中で第一重合体及び第二重合体をそれらの軟化温度より上の温度で混合することにより形成される。混合機は内部混合機、例えばBrabenderTM(商標)または多ロール混合機のような混合機、例えばゴム用二本ロール機であってもよい。混合機はバッチ混合機、例えばBanburyTM(商標)型または連続混合機、例えば多軸スクリューまたは他の混合押出機であってもよい。望ましい混合温度は約50℃から約250℃まで、より望ましくは約100℃から約240℃まで、好ましくは約150℃から約230℃までである。滞留時間は混合の強さと共に変わることができる。通例、混合時間は数秒から数分または1時間の一部(fractions)まで変わることができる。好ましい混合時間は約20秒から約20分までである。
【0029】
第一重合体のカルボン酸基または2個のカルボン酸基の無水物と第二重合体のアミン含有基の間の化学的相互作用は確かめられていないので、反応生成物は相溶化ブレンドとして定義される。それは弱塩基と弱酸の相互作用である可能性がある。それはアミン基の付加により2つの重合体の相互分散性を向上するために十分なように第二重合体の極性がちょうど改変されることである可能性がある。いずれの事象においても、第一及び第二重合体のブレンドの物理的性質の測定可能な向上は、イミン反応体からの該アミン含有末端基を有する第二重合体を用いることの結果として見られる。従って、反応生成物という用語は、2つまたはそれより多い重合体の相溶性または混合性(blendability)に影響がある第一及び第二重合体間の化学的または物理的相互作用を有する物理的ブレンドを含むことを意味する。望ましくは、それらの変化は弾性率、破断点引張強さ等の増加のようなブレンドの物理的性質の向上をもたらす。
【0030】
第一及び第二重合体の反応生成物は成形材料、成形品等として有用である。それらの生成物はかなりの量の柔軟性または制振作用を有する成形品が所望される場合に特に有用である。
【0031】
以下の実施例はアミンを含有する停止剤の製造方法、ポリブタジエニルリチウムのアミノ化方法、マレイン酸で官能化された重合体とアミン基を末端基とするポリブタジエンの反応生成物の製造方法及び得られる反応生成物の物理的性質の評価を示す。
1).ブチリデンベンジルアミン(V)の製造
この物質は標準的な方法で製造される既知の化合物である。約100mLのトルエンに28mLのブチルアルデヒド、34mLのベンジルアミン及び数グラムの3Aモレキュラーシーブを添加した。数分間静置した後に混合物は温かくなり濁った。数時間静置した後、混合物は無色で透明であった。真空下での蒸留によりイミン生成物を単離し、NMR分光分析法により特性決定した。
2).グラフト実験のためのアミンを末端基とするエラストマーの製造
試験1:大きい飲料瓶をオーブン中で一晩焼き、窒素パージ下で冷却させた。瓶に約24.9重量%のブタジエン(1.20モルのBd)を含む約271gのヘキサン溶液及びn−ブチルリチウム(1.30ミリ当量)の1.6Mヘキサン溶液約0.81mLを装填した。瓶を50℃の水浴中で約5時間回転させ、次に、0.33mLのN−ブチリデンベンジルアミンを添加し、瓶を浴中でさらに約2時間回転させた。5mLのイソプロパノールで重合を停止させ、重合体をBHTで安定化し、そしてセメント(重合体)をドラム乾燥することにより重合体(実施例エラストマー1)を単離した。N−ブチリデンベンジルアミンを添加しないことを除いて、同じようにコントロール重合体(コントロールエラストマーA)を製造した。
3).重合体ブレンドの製造
約135,000の重量平均分子量並びに約0.4重量パーセントのコハク酸及び/またはスクシネートで官能化されたプロピレン反復単位の市販のマレイン酸で官能化されたポリプロピレンを窒素の気流下で50g容量のBrabenderTM混合機中に入れた。混合速度を60RPMに設定し、混合頭部温度を230℃に設定した。混合機が225−230℃まで温まると、混合機中の(コハク酸またはスクシネートを有する)マレイン酸で官能化されたポリプロピレンにN−ブチリデンベンジルアミンで官能化されたポリブタジエンのサンプルを添加し、混合速度を90RPMまで上げた。混合機の温度が再び225−230℃に達すると、発熱体を止め、混合物を約170℃まで冷却させた。撹拌を止め、重合体を混合機から取り出した。マレイン酸で官能化されたポリプロピレン及び官能化されたポリブタジエンの量は、マレイン酸で官能化されたポリプロピレンが最終生成物の重量で35%を構成するようであった。コントロールの官能化されていないポリブタジエン(上記のコントロールエラストマーA)も同じようにマレイン酸で官能化されたポリプロピレンと混合した。
【0032】
サンプルを適当なダイにプレスすることにより重合体ブレンドをブレンドすることからの反応生成物をシートに成形した。実施例エラストマー1(官能化されたポリブタジエン)からの重合体ブレンドは約170℃未満の温度で成形できなかったが、コントロールエラストマーAからの重合体ブレンドは約100℃の温度で容易に成形された。成形温度のこの70℃の違いは実施例エラストマー1ブレンド中のマレイン酸で官能化されたポリプロピレンとアミンを末端基とするポリブタジエンの物理的相互作用等を示すと考えられる。引張測定のために重合体ブレンドのサンプルをこれらのシートから切断した。結果を表1に示す。重合体ブレンドの全ての加工性からそれらが多く架橋されていないことが示される。
【0033】
測定から、アミンで官能化されたポリブタジエンから誘導される重合体ブレンドがコントロールからの重合体ブレンドより強く且つ硬い(より高い歪レベルまで伸ばすことができ、そして破損を引き起こすためにより大きい応力を必要とする)ことが示され、マレイン酸で官能化されたポリプロピレンとN−ブチリデンベンジルアミンを末端基とする(官能化された)ポリブタジエンの間の会合または相互作用の証拠を与える。
【0034】
【表1】
a ダンベルでの引張強さ測定から
マレイン酸で官能化されたポリプロピレンと試験1に記述したようなアミンを末端基とするポリブタジエンのブレンドを同様にであるが50:50の重量比で混合した。マレイン酸で官能化されたポリプロピレンとポリブタジエンの50:50の重量比を有するコントロールを同じ混合方法で調製した。両方のサンプルを極低温で粉砕し、ソックスレー抽出器を用いてヘキサンで24時間抽出した。コントロールからは約39重量パーセントのポリブタジエンが抽出され、一方、アミンを末端基とするポリ(ブタジエン)より出発したサンプルからは21重量パーセントのみのポリブタジエンが抽出された。抽出できるポリブタジエンの50%の減少により、これはポリブタジエンのアミン官能化がポリブタジエン及びマレイン酸で官能化されたポリプロピレン間の相互作用をもたらすことをさらに示す。
【0035】
特許法に従って最善の方法及び好ましい態様を記述したが、本発明の範囲はそれらに限定されず、むしろ付加した請求項の範囲により限定される。
【0036】
本発明の特徴及び態様を示せば以下のとおりである。
【0037】
1. a)1個またはそれより多い側鎖または末端官能基を含んでなる熱可塑性重合体、該1個またはそれより多い官能基がカルボン酸部分または酸無水物部分を含んでなる;及び
b)少なくとも1つのC4−C8共役ジエン及び場合により少なくとも1つのC8−C20ビニル芳香族単量体から誘導されるモノマー単位を含んでなり、そしてアミン基を含んでなる少なくとも1個の末端単位を含んでなる弾性重合体
の反応生成物を含んでなる組成物。
【0038】
2. 該熱可塑性重合体の該1個またはそれより多い官能基がマレイン酸または無水マレイン酸から誘導される上記1の組成物。
【0039】
3. 該熱可塑性重合体が1つまたはそれより多いC2−C6 α−オレフィンから誘導される少なくとも80重量パーセントのモノマー単位を含んでなる上記1ないし2のいずれかの組成物。
【0040】
4. 該1つまたはそれより多いC2−C6 α−オレフィンがエチレンまたはプロピレンを含んでなる上記3の組成物。
【0041】
5. 該弾性重合体が少なくとも1つのC4−C8共役ジエンから誘導される少なくとも40重量パーセントのモノマー単位を含んでなる上記1ないし5のいずれかの組成物。
【0042】
6. 該弾性重合体のアミン基を含んでなる少なくとも1個の末端単位が陰イオン的に重合されたエラストマーの末端単位とイミンの反応から誘導される上記1ないし6のいずれかの組成物。
【0043】
7. 該イミンがN−ブチリデンベンジルアミンである上記6の組成物。
【0044】
8. a)i)1個またはそれより多い側鎖または末端官能基を含んでなる熱可塑性重合体、該1個またはそれより多い官能基がカルボン酸部分または酸無水物部分を含んでなる、及び(ii)少なくとも1つのC4−C8共役ジエン及び場合により少なくとも1つのC8−C20ビニル芳香族単量体から誘導されるモノマー単位を含んでなり、そしてアミン基を含んでなる少なくとも1個の末端単位を含んでなる弾性重合体をブレンドし、
b)該熱可塑性重合体の該1個またはそれより多い官能基を該弾性重合体の該アミン基と反応または相互作用させて該重合反応生成物を形成する
ことを含んでなる、熱可塑性及び弾性部分を有する重合反応生成物の製造方法。
【0045】
9. 該熱可塑性重合体の該1個またはそれより多い官能基がマレイン酸または無水マレイン酸から誘導される上記8の方法。
【0046】
10. 該熱可塑性重合体が1つまたはそれより多いC2−C6 α−オレフィンから誘導される少なくとも80重量パーセントのモノマー単位を含んでなる上記8ないし9のいずれかの方法。
Claims (4)
- a)1個またはそれより多い側鎖または末端官能基を含んでなる熱可塑性重合体であって、該1個またはそれより多い官能基がカルボン酸部分または酸無水物部分を含んでなる熱可塑性重合体;及び
b)少なくとも1つのC4−C8共役ジエンから誘導されるモノマー単位を含んでなり、そしてアミン基を含んでなる少なくとも1個の末端単位を含んでなる弾性重合体
の反応生成物を含み、ここで、
該熱可塑性重合体の1個またはそれより多い官能基がマレイン酸またはマレイン酸無水物から誘導され、
該熱可塑性重合体がC 2 −C 6 α−オレフィンを含み、
該弾性重合体の少なくとも1個の末端単位がN−ブチリデンベンジルアミン由来である
組成物。 - a)i)1個またはそれより多い側鎖または末端官能基を含んでなる熱可塑性重合体であって、該1個またはそれより多い官能基がカルボン酸部分または酸無水物部分を含んでなる熱可塑性重合体、及びii)少なくとも1つのC4−C8共役ジエンから誘導されるモノマー単位を含んでなり、そしてアミン基を含んでなる少なくとも1個の末端単位を含んでなる弾性重合体を
ブレンドし、
b)該熱可塑性重合体の該1個またはそれより多い官能基を該弾性重合体の該アミン基と反応または相互作用させて該重合反応性生物を形成することを含んでなり、ここで、
該熱可塑性重合体の1個またはそれより多い官能基がマレイン酸またはマレイン酸無水物から誘導され、
該熱可塑性重合体がC 2 −C 6 α−オレフィンを含み、
該弾性重合体の少なくとも1個の末端単位がN−ブチリデンベンジルアミン由来である
熱可塑性部分及び弾性部分を有する重合反応生成物の製造方法。 - C2−C6 α−オレフィンがプロピレンであり、C4−C8共役ジエンがブタジエンである請求項1に記載の組成物。
- C2−C6 α−オレフィンがプロピレンであり、C4−C8共役ジエンがブタジエンである請求項2に記載の方法。
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