JP4231567B2 - 包装用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は包装用容器に関する。さらに詳しくは、例えば合成樹脂シートを熱成形して製造したワンウェイ食品包装用容器等の容器本体に蓋体を被せ、容器のコーナー部を嵌着するための嵌合構造を有する包装用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成樹脂シートから熱成形した包装用容器の本体に蓋体を被せて相互に嵌着するのは、容器本体または蓋体もしくは両方の全周またはコーナー部に嵌合を可能にする凸部や凹部を形成することによって行なわれている。
【0003】
このような容器本体と蓋体を嵌着できるようにした包装用容器は、例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケット等で総菜や弁当を陳列販売するための食品包装用容器として大量に生産され消費されており、総菜や弁当の製造業者においては簡便かつ確実に蓋体を容器本体に嵌着しつつ施蓋できることが望まれ、この総菜や弁当を購入した消費者においては、容器の蓋を開封する際に簡便に無理なく安全に開封できることが望まれている。
【0004】
これらの食品包装容器を製造する場合、これらの要望にできるだけ応えるために容器本体と蓋体を互いに対応して嵌着機能を持つ凸部や凹部を形成して、容器本体に蓋体を被せた後上方から押さえ込むことで容器本体と蓋体の嵌合可能部が互いにはまり込んで嵌着する様な機構を設けているものが多い。
【0005】
具体的な例として、図4に従来の包装用容器の一例を示す。同図(a)はそのコーナー部の拡大平面図、同図(b)は(a)のBーB線断面図である。図4においては、略方形の容器蓋体42のフランジ部43の全周に垂下させた周側垂下部46のコーナー部に内側に凸部45を設け、対応する容器本体のコーナー部に形成した略水平の突縁47と嵌着する様に構成されている。なお図には省略したが、略方形の容器蓋体の全周に垂下させた周縁の全周に亘って凹溝を設け、対応する容器本体周縁部に設けた凸条と嵌着可能としたもの等もある。
【0006】
上記のような蓋体は、熱成形により賦型された後に、形成した凸部が金型と強固に噛み合い、金型から簡便且つ効率的に離型することが困難となる場合も多く、良好な離型特性を得るためにやむを得ず凸部を希望する高さよりも低く設定しなければならない場合が多かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
合成樹脂シートから熱成形された包装用容器は、合成樹脂の特性により熱成形した後数時間から数十時間かかって収縮を起こしてわずかに小さく変形する場合がある(以後「後収縮」という)。これは使用する合成樹脂シートの製造時に形成された凍結配向等の延伸特性を決める要素、つまり使用した原料樹脂の種類や熱成形時の加熱状況、また賦型後の冷却タイミングや冷却時間等の諸条件によって後収縮が様々な方向に且つ様々な程度に発生する。
【0008】
この成形品の収縮は全体からみれば極めて小さいものではあるが、嵌合強度に対する影響は大きく、具体的にいうと例えば蓋体の後収縮の程度が大きい場合は嵌合がきつくなりすぎ、蓋体を容器本体に嵌着する際にはめ込むための操作が困難になる場合がある。また反対に、蓋体に予定した量の後収縮が起きない場合は嵌合が緩くなりすぎ、十分な嵌合強度を得られなくなる場合がある。
【0009】
このように、嵌合強度が強過ぎたり弱過ぎたりして、嵌着の過剰な強弱の発生を生じることは、食品を入れて陳列販売を行う食品包装用容器としては好ましくない。例えば食品を収納して商品とし、その容器を用いた弁当を製造して陳列販売する場合や、消費者が弁当等の商品を購入して開封する際に蓋が不用意にはずれてしまったり、逆に蓋が開けにくかったりする等の問題を生ずる。また、後収縮による上記の問題点を防止するために蓋体を大きめに成形し、嵌着を行うための凸部を高く成形して嵌合可能範囲を大きくしようとした場合、成形金型から嵌合する凸部がはずれにくくなり、離型作業に手間取ったり、離型時に蓋体の一部に折れスジや傷を生じさせたりしてしまう等の問題を生ずる場合がある。また大量生産する際に、金型の嵌合部成形部位と成形品が離型時にこすれて、樹脂粉を生じて成形品に付着することを防止する処置を必要とする場合もある。
【0010】
以上述べたところを整理すれば問題点は以下のようになる。
【0011】
1、安定した嵌合を求めた嵌合構造(嵌合部を深くする)を設けようとすると離型性が不良となったり、大量生産時に樹脂粉の発生を防止する処置を必要とする場合がある。
【0012】
2、容器本体や蓋体は、熱成形後、経時的に収縮を発生し、その収縮量のばらつきにより容器本体と蓋体の嵌合が不安定になる場合がある。
【0013】
3、嵌合を深くしすぎると、容器本体と蓋体の嵌合が強くなりすぎ、強い力を加えて開封する必要が生じ、そのため開封の瞬間に一気に蓋体がはずれてしまい、反動で容器内の食品をこぼしてしまう等の問題を生じる場合もある。
【0014】
本発明は、上記の事情を背景としてなされたもので、成形品の離型性や、後収縮の収縮率の変動等によって発生する問題点を解決し、安定した嵌合構造を有する包装用容器を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究の結果、嵌合機能を生じさせるための凸部を蓋体のコーナー部に設けるにあたって、該凸部を断続した突起を連設した構造にすることにより上記問題点を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
【0016】
すなわち本発明に係る包装用容器は、合成樹脂シートから熱成形された容器本体に蓋体を被せて嵌合固定する平面多角形の包装用容器であって、上記蓋体のコーナー部に、上記容器本体のコーナー部におけるフランジ部の先端に嵌合する嵌合用突部を設け、該嵌合用突部が、隣り合う突起の間に谷部を形成して横断面波形に連設された複数の突起からなり、その突起の高さを0.3mm以上、3.5mm以下の範囲となるようにしたことを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、後収縮むらがあっても嵌合がきつくなりすぎない程度のサイズの余裕を持たせて容器本体や蓋体を成形するとともに、容器本体や蓋体が後収縮むらを生じても十分な引っかかりを持つことのできる程度に高く成形した凸部を、合成樹脂シートから成形する例えば方形の蓋体のコーナー部に、連設した突起として形成することにより上記の問題点を解決することができる。そしてこの包装用容器の平面形状は実質的に三角形から五角形までの多角形に成形することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の包装用容器について具体的に説明する。図1は本発明による包装用容器の1例を示す図で、図1(a)は平面図、(b)はそのAーA線断面図である。図2の(a)は図1(a)のコーナー部の拡大平面図、(b)は(a)のBーB線断面図である。また、図3は本発明の包装用容器の他の1例である。図3(a)はそのコーナー部の拡大平面図、(b)は(a)のBーB線断面図である。
【0019】
図1乃至図3において、1は容器本体、2は蓋体、5は嵌合用突起、6は谷部である。この嵌合用突起5は、上から押さえれば図2(b)に示すように容器本体1のフランジ部4の先端(以下「突縁」と記す)7と嵌合し、その結果蓋体2が容器本体1に嵌着する。
【0020】
図の実施形態は、容器本体1の上に被せる蓋体2の4つのコーナー部に嵌合用突起5を設けたものである。その嵌合用突起として図の場合は横断面波形に形成して、コーナー部半径方向内向きに突出する嵌合用突起5を容器本体のコーナー部の外向き突縁7に係合させるようにしたものである。図2においては、上記波形の谷部6は突縁7よりもコーナー部半径方向外方に位置する。従って谷部6と突縁7との間に隙間10があり、容器本体1と蓋体2との係合がやや緩めとなる。図3は谷部6を外向き突縁7が略同じ位置になるように構成した実施形態で、両者の間に隙間がなく、図2の構成に比べて容器本体1と蓋体2との係合がやや強めになる。
【0021】
本発明による包装用容器の嵌合用突起5は、複数の連設された突起が蓋体2の各コーナー部9に形成されており、隣り合う突起5の間に谷部6が設けられ、該谷部6は0.5個/cm〜4個/cm、好ましくは1.5個/cm〜3個/cm、さらに好ましくは2個/cm〜2.5個/cmに形成されている。谷部6が0.5個/cmより少ないと、嵌合突起間に谷部を設けることによる離型性や施蓋、開封のし易さ等の効果を十分に得ることが難しくなり、また、谷部の数が4個/cmを越えると、突起の先端の厚みが薄くなって十分な高さの突起を形成することが難しくなったり、凹凸が細かくなり過ぎて突起が金型の形状通りに成形できなくなったりして好ましくない。
【0023】
また、突起の高さは、容器の形状やサイズによって適切な値が異なるが、0.3mm以上、3.5mm以下、好ましくは0.8mm以上2.0mm以下の範囲が実際上適切な値の範囲となる。突起の高さが3.5mmを越えると成形完了後の離型作業が困難となり、0.3mmより小さくなると安定した嵌合を実現することが難しくなる。
【0024】
連設した突起部間に設ける谷部6は通常は突起5が立ち上がる基底部と同じ位置を最深部とすることを基本とするが、必要により基底部より高い位置としたり、基底部より深い位置としてもかまわない。ここで基底部とは、容器本体の突縁との嵌合の基準となる蓋体の周側垂下部8の外面である。谷部の最深部を突起の立ち上がり基底部より高い位置に設けると、嵌合強度が高くなる傾向となるが、同時に成形後の離型性が低下する傾向となる、逆に谷部の最深部を低くしていくと、成形後の離型性は良い傾向となるが、嵌合強度が低下する傾向となる。この場合谷部の最深部を突起の立ち上がり基底部よりも低くすることによって、更に良好な離型性及び開封し易さを得ることができる。
【0025】
本発明による包装用容器は熱可塑性合成樹脂を主原料として使用し、例えば厚さ0.15mm以上1.8mm以下の無発泡、または発泡倍率が5倍以下好ましくは3倍以下の単層または積層した合成樹脂シートを押出成形したり、あるいは前記のシートを各種フィルムとラミネートし、このシートを真空成形や圧空成形、真空圧空成形等の熱成形法により容器本体と蓋体とを成形する。使用する合成樹脂としては、現在多量に製造されているワンウェイ食品包装用容器の製造に用いられているものは問題なく使用することが可能で、この合成樹脂原料に充填材や相溶化剤、添加剤、着色料等を混合したり、5倍以下の低発泡を生じさせたものも適宜使用することができる。
【0026】
使用可能な合成樹脂原料の例をあげれば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、等を単独または任意比率で複数混合した熱可塑性樹脂を用いることができ、更に樹脂特性を調整するためのゴム特性を賦与する配合原料素材を使用することも可能である。もちろんシートを押出成形できて、そのシートを上記熱成形法で食品包装容器に成形できる条件を満たす樹脂原料であれば、結晶性やポリマーの分岐性、他の樹脂特性は特に問わないし、シート製造や現在同類の食品包装容器の製造に使用されている各種特性を調整したり、向上させるために一般的に用いられている添加剤等の使用も任意である。
【0027】
また、原料合成樹脂に充填材を混合したものを原料として製造したシートを用いて成形したものでもよく、使用可能な充填材としては無機タイプのものでも有機タイプのものでも特にシートや容器の製造を阻害しない範囲で、制限無く適宜用いることができる。
【0028】
発泡剤に関しても化学発泡剤、充填ガス発泡剤等の発泡剤を、製品の最終発砲倍率が5倍以下となる範囲で任意に添加が可能である。ここで、発泡倍率が5倍を越えると、嵌合突起の所要の成形形状が得られなかったり、安定した突起の高さが得られなかったりする場合があるので発泡倍率を上げすぎることは避けた方がよい。
【0029】
成形品を製造するシートの厚さとしては、0.15mm以上1.8mm以下、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下、更に好ましくは0.25mm以上0.5mm以下のものがよい。シートの厚さが0.15mmを下回ると、通常ワンウェイ食品包装容器として用いられる容器本体や蓋体としての基本的な強度を保ちにくくなると同時に、成形品の全体及び部分的な変形が必要以上に起こりやすくなるため、必要な嵌合強度を得ることができなくなり、嵌合構造を設ける意味が無くなる。また、1.8mmを上回ると、通常ワンウェイ食品包装容器としての必要性を越える樹脂使用量及び、容器本体や蓋体の過剰な強度が発現してしまい、資源を無駄にするだけでなく、その厚さのために嵌合凸部の形状が正確に出にくくなり、嵌合強度の安定性を得にくくなったり、嵌合強度が強くなりすぎて開封が困難となる等の問題を生じ易くしてしまう。
【0031】
【実施例】
〔実施例〕
押し出し成形した無機粉体充填ポリプロピレンシート(中央化学株式会社製CTシート、厚さ0.5mm)を真空成形法で成形することにより前記図1に示すような略方形の食品包装用容器本体1(縦230mm、横200mm、深さ24mm、コーナー部アール18.5mm)を形成した。この包装用容器本体1に嵌合する蓋体2を二軸延伸ポリスチレン樹脂シート(大日本インキ株式会社製ディックシートSB、厚さ0.25mm)を用いて圧空成形法で成形した。この蓋体2のコーナー部9(図1)の周側垂下部8に、45mm幅に亘って円錐台形状の嵌合用突起5を9個(図2)即ち(9個/4.5cm=)2個/cmの割合で連設した。
【0032】
上記嵌合用突起5の高さは、前記の基底部を基準として、突起を0.9mm、谷を突起と逆方向すなわち半径方向外方に0.5mmとし、実質的に突起と谷との差を1.4mmとした。この容器本体と蓋体を20組作成しつつ成形時の離型性を観察し、更に成形後48時間室温で放置した後嵌合強度の測定を行った。
【0033】
測定方法は底面を固定した容器本体に嵌合させた蓋体のコーナー部に、万能試験機(島津オートグラフAGS 500S型)に連結したコ字状金具の先端を引っ掛けて上方に引っ張り(引っ張り速度:50mm/min.)、蓋体が外れたときの力(ピーク値)(単位:g)を嵌合強度とする。その結果を表1および表2に示した。
【0034】
成形時における蓋体の金型からの離型にあっては嵌合突起部が金型に引っかかることなく極めて良好に行うことができると共に離型不良による折れスジや傷の発生は全く生じなかった。この結果から製品の大量生産時にも樹脂粉の発生は起こり難いと推測される。また、上記表1の数値から嵌合を解除する嵌合強度のばらつきは、嵌合強度の平均値において低い値を示すと共に、その不偏分散値において比較例に比べ有意に低い値を示し、安定且つ良好な嵌合特性を示した。
【0035】
〔比較例〕
前記図1乃至図3の嵌合用突起5の代わりに前記図4に示すような断面が蒲鉾型類似の従来型の嵌合凸部45を蓋体のコーナー部に設けた。その嵌合凸部のコーナー部周方向の長さ45mm、高さを0.6mmとした。それ以外は上記実施例1と同様とし、同様の観察及び測定を行った。その結果、蓋体の金型からの離型において、嵌合凸部が金型からはずれる際に強い離型に伴う衝撃音を生じ、折れスジまでは生じなかったものの蓋体コーナー部の一部に微細な擦り傷の発生がみられた。また、嵌合を解除する嵌合強度のばらつきは、その不偏分散値において実施例に比べ有意に高い値を示した。測定結果を表1および表2に上記実施例と併記して示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】
本発明の包装用容器は上記の構成であるので、前記従来の包装用容器の諸問題を解決し、以下の効果を奏するものである。
【0039】
1、容器本体や蓋体に後収縮むらが生じても嵌合がきつくなりすぎない程度のサイズの余裕を持たせると共に嵌合用突起が従来より高く成形されているので、後収縮を生じても十分な引っかかりを持つことのできるので安定な嵌合が得られる。
【0040】
2、嵌合用突起と谷部が交互に形成されているので、離型性不良を起こさず、樹脂粉の発生を生ずることがない。
【0041】
3、嵌合固定と開封が容易で、容器内の食品をこぼしたりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明による包装用容器の1例を示す平面図
(b)は(a)のAーA線断面図
【図2】(a)は図1(a)のコーナー部の拡大平面図
(b)は(a)のBーB線断面図
【図3】(a)は本発明による包装用容器の他の一例のコーナー部の拡大平面図
(b)は(a)のBーB線断面図
【図4】(a)は従来の包装用容器の一例のコーナー部の拡大平面図
(b)は(a)のBーB線断面図
【符号の説明】
1、41 容器本体
2、42 蓋体
3、43 蓋体のフランジ部
4、44 容器本体のフランジ部
5 嵌合用突起
6 谷部
7、47 突縁
8、46 周側垂下部
9 コーナー部
10 隙間
45 凸部
Claims (1)
- 合成樹脂シートから熱成形された容器本体に蓋体を被せて嵌合固定する平面多角形の包装用容器であって、上記蓋体のコーナー部に、上記容器本体のコーナー部におけるフランジ部の先端に嵌合する嵌合用突部を設け、該嵌合用突部が、隣り合う突起の間に谷部を形成して横断面波形に連設された複数の突起からなり、その突起の高さを0.3mm以上、3.5mm以下の範囲となるようにしたことを特徴とする包装用容器。
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