JP4225739B2 - 赤色色素抽出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、藻類からの赤色色素抽出液中の赤色色素を不純分を含まない抽出液として得る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紅藻類、藍藻類又はクリプト藻類のような藻類中には、赤色色素の1種であるフィコエリスリンが含まれている。このものは、565nmに最大吸収を有し、分子量20000程度のα,β2種のサブユニットからなることが知られ、藻類のフィコビリソームとよばれるオルガネラに局在し、光合成で光のエネルギーをクロロフィルaに伝達する役割を果している。
【0003】
これまで、藻類からフィコエリスリンを抽出する方法としては、藻類から水又は塩類溶液を用いて色素を抽出したのち、この抽出液から硫安塩析法、カラムクロマトグラフィー法、溶媒分別法、等電点沈降法などにより、緑色色素や青色色素のようなきょう雑物を分離除去し、赤色色素を回収する方法や、板状に乾燥した藻類をpH6.5のリン酸緩衝液に浸漬し、ミキサーで破砕したのち遠心分離し、この上清を加熱処理し、赤色色素を回収する方法(特開平7−118555号公報)などが知られているが、これらの方法は操作が煩雑な上に、共存する青色色素のフィコシアニンの除去が十分に行われず、良質の赤色色素を得ることができなかった。
【0004】
ところで、本発明者は先に、紅藻類、藍藻類又はクリプト藻類の乾燥粉末に、その質量に基づき5〜300倍量の緩衝液を加えて、pH6.5〜8.0、温度30〜50℃の条件下で溶出し、565nmの吸収が620nmの吸収よりも5倍以上高い画分を採取することによりフィコエリスリンの含有率の高い赤色色素を得る方法を提案した(特願2002−33832号)。
しかしながら、この方法により得られる赤色色素含有画分中には、不純分例えばフィコシアニンが残存し、これを除去するには煩雑な操作を行うことが必要であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、紅藻類、藍藻類又はクリプト藻類のような赤色色素、特にフィコエリスリンを含有する藻類からの抽出液からフィコシアニンのような不純分を除去して純度の高い赤色色素を得ることを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、紅藻類、藍藻類又はクリプト藻類からの赤色色素抽出液中に存在するフィコシアニンのような不純分を除去し、純度の高い赤色色素を得る方法について鋭意研究を重ねた結果、この抽出液中に長鎖アルキル基をもつ第四級アンモニウム塩を加え、反応させると、フィコシアニンのみが選択的に沈殿し、抽出液から除かれることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、紅藻類、藍藻類又はクリプト藻類の乾燥粉末を弱酸性ないし弱アルカリ性の緩衝液に分散させて赤色色素を抽出し、次いで得られた抽出液に長鎖アルキル基をもつ第四級アンモニウム塩を加え、反応させてフィコシアニンを選択的に沈殿させたのち、これを分離しフィコエリスリンを含む溶液を回収することを特徴とする赤色色素抽出方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明方法においては、原料として紅藻類、藍藻類又はクリプト藻類の乾燥粉末を用いるが、この乾燥粉末は、例えば藻類を乾燥したのち粉砕して粉末化するか、あるいは藻類を摩砕機、例えば遠心ミルやホモジナイザーで摩砕してペースト状とし、凍結乾燥、噴霧乾燥、減圧乾燥などにより粉末化することによって調製される。
この粉末の粒径としては、後続の抽出を効率よく行うためにできるだけ小さいのが好ましいが、0.5mm以下であれば十分である。
【0009】
次に、この藻類の乾燥粉末から赤色色素を抽出する溶媒としては水又は緩衝液が用いられる。この緩衝液としては酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、ホウ酸緩衝液など慣用されている緩衝液を用いることができるが、特にリン酸緩衝液及びトリス−塩酸緩衝液が好ましい。
【0010】
本発明方法においては、この緩衝液のpHを弱酸性ないし弱アルカリ性の範囲、例えば6.5〜8.0の範囲内に調整して用いることが必要である。この緩衝液は藻類の乾燥粉末の質量に基づき5〜300倍、好ましくは10〜200倍の量で用いられる。これよりも少ない量では抽出が不十分になるし、またこれよりも多い量では抽出後の抽出液が取り扱いにくくなる。
【0011】
抽出温度としては、30〜60℃の範囲内で選ばれるが、必要ならばさらに高い温度にすることができる。
この抽出に際しては、抽出時間を短縮し、あるいは抽出効率を高めるために、所望に応じ撹拌することもできる。
このようにして5〜15時間緩衝液に浸漬することにより、高いフィコエリスリン含有率の赤色色素が得られる。
【0012】
このフィコエリスリンの含有率は、得られた赤色色素溶液の620nmの吸収に対する565nmの吸収の比率(A565/A620)を計算することによって求められる。
【0013】
本発明方法においては、次いでこのようにして得られた抽出液に、長鎖アルキル基をもつ第四級アンモニウム塩を加え、反応させる。この第四級アンモニウム塩がもつ長鎖アルキル基としては、炭素数10〜18のアルキル基が好ましく、このアルキル基は不飽和結合を有するものであってもよい。このようなアルキル基としては、例えばデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オクタデセニル基などがある。
【0014】
本発明方法においては、このような長鎖アルキル基を1個含む第四級アンモニウム塩が用いられるが、所望ならば2個含む第四級アンモニウム塩を用いることもできる。この第四級アンモニウム塩は4個のアルキル基を有するが、長鎖アルキル基以外のアルキル基は、メチル基、エチル基のような低級アルキル基である。
また、第四級アンモニウム塩中の陰イオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨードイオンのようなハロゲンイオン、硫酸イオン、スルホン酸イオンなどがある。
【0015】
したがって、本発明方法において用いられる第四級アンモニウム塩の例としては、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクタデシルジメチルエチルアンモニウムブロミド、オクタデセニルトリメチルアンモニウムブロミドなどを挙げることができる。これらの第四級アンモニウム塩は、0.01〜1.0質量%、好ましくは0.05〜0.3質量%の割合で抽出液中に添加される。この添加量が少ないと、不純分の沈殿形成が不十分になるし、またこの添加量が多くなりすぎると、赤色色素も沈殿してくるため、A565/A620の比率が低下する。
【0016】
抽出液に第四級アンモニウム塩を添加し、必要に応じかきまぜたのち静置すると、不純分例えばフィコシアニンが選択的に反応して沈殿してくる。この際の反応温度としては、30〜60℃の範囲が用いられる。反応時間としては、少なくとも10分を必要とするが、50〜60分でほぼ完全に不純分が除去される。
【0017】
本発明方法は、A565/A620の比率が8以上、好ましくは10以上になるまで行うのがよい。
このようにして、不純分をほとんど含まない赤色色素抽出液が得られるが、このようにして得られた抽出液は所望に応じ凍結乾燥、真空乾燥により粉末として回収することもできる。
【0018】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお各例中の赤色色素の565nmの吸収及び620nmの吸収は、日本分光社製吸光度計「製品名V−550」により、長さ1cmのセルを用いて測定した。
【0019】
実施例1
ノリの乾燥物を、超遠心粉砕機(レッツ社製、商品名「ZM−100」)により、0.25mmのスクリーンを使用して粉砕した。
このようにして調製したノリ乾燥粉末0.5gを蒸留水100ml中に浸漬し、20℃において12時間静置又は500rpmで撹拌しながら抽出した。
次いで得られた抽出液を遠心分離(5000×g)したのち、上清を0.45μmのフィルターで濾過した。
このようにして得た抽出液の565nmにおける吸光度は0.824、620nmにおける吸光度は0.274であり、A565/A620の比率は3.010であった。
【0020】
次に、この抽出液に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(I)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(II)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(III)を、表1に示す濃度になるように添加し、25℃で1時間放置したのち、濾過し、562nm及び620nmにおける吸光度を測定した。その結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
Figure 0004225739
【0022】
実施例2
実施例1における蒸留水の代りに同量の0.05M酢酸緩衝液(pH4.5)、リン酸緩衝液(pH6.5)又はトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)を用いて赤色色素を抽出し、これらの抽出液にヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドを0.1質量%の濃度になるような量で添加したのち、40℃又は50℃において1時間反応させたのち、実施例1と同様にして吸光度を測定した。その結果を表2示す。
【0023】
【表2】
Figure 0004225739
【0024】
実施例3
実施例1で得た蒸留水による抽出液に対し、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドを0.05質量%の濃度になるように添加したのち、25℃に保ち、その吸光度を経時的に測定した。その結果を表3に示す。
【0025】
【表3】
Figure 0004225739
【0026】
この表から分るように、時間の経過とともにA565/A620の比率は増大するが50分を経過すると減少しはじめる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、簡単な処理で不純分を含まない赤色色素抽出液を得ることができる。

Claims (3)

  1. 紅藻類、藍藻類又はクリプト藻類の乾燥粉末を弱酸性ないし弱アルカリ性の緩衝液に分散させて赤色色素を抽出し、次いで得られた抽出液に長鎖アルキル基をもつ第四級アンモニウム塩を加え、反応させてフィコシアニンを選択的に沈殿させたのち、これを分離しフィコエリスリンを含む溶液を回収することを特徴とする赤色色素抽出方法。
  2. 長鎖アルキル基をもつ第四級アンモニウム塩が炭素数10〜18の長鎖アルキル基をもつ第四級アンモニウム塩である請求項1記載の赤色色素抽出方法。
  3. 長鎖アルキル基をもつ第四級アンモニウム塩がドデシルトリメチルアンモニウム塩又はヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩である請求項2記載の赤色色素抽出方法。
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