JP7022453B2 - フィコシアニンの精製方法 - Google Patents

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Description

関連出願との相互参照
本願は、2017年8月18日付で提出された英国特許出願第1713293.7号に基づく優先権を主張するものであり、この出願を引用により本明細書に援用する。
発明の分野
本発明は、バイオマスからのフィコシアニンの精製方法に関する。
発明の背景
植物、藻類、シアノバクテリア、細菌、または真菌などの生物源から抽出されるフィコシアニンは、食品用および化粧品用の天然着色料として使用できる数少ない色素のひとつである。フィコシアニンはさらに、免疫増強特性、抗炎症特性、および抗酸化特性を有していることから栄養面での利点もあり、また、より純粋なフィコシアニンは、蛍光特性があるために、免疫診断および分析用途に使用される。フィコシアニンの食品添加物としての承認が米国(証明書が免除)およびEU(食品添加物の証明書に通常必要とされるE番号が不要)においてなされたのは、比較的近年のことである。また、この色素は、比較的安定であり、易溶解性である。フィコシアニン市場は相当な規模であり、今後も著しい成長が予期されている。そのため、この市場規模と、予期される市場成長とに見合うよう、フィコシアニンの効果的な製造プロセスの設計が強く望まれている。
バイオマスからフィコシアニンを抽出および精製するための現行の方法には、減圧蒸留、硫酸アンモニウム沈殿、限外ろ過、吸着、および多様なクロマトグラフィー精製法が含まれる。こうした現行の加工法が有する問題としては、加工工程に時間がかかること、多数の加工工程が必要であること、スケールアップのコスト、および、生物学的基体に由来する細菌などによる汚染が最終製造物に及ぼす影響などがある。
非常に多くの先行技術文献に、シアノバクテリアからのフィコシアニンの抽出における水性2相分離(ATPS)の使用が記載されている。これらの文献のほぼ全てがポリエチレングリコール(PEG)-塩のATPS系について記載しており、この系は、フィコシアニンがPEG上部相に分配されるように選択される。こうしたプロセスでは、PEG-タンパク質複合体が形成され、タンパク質の回収が困難であるために、PEG相からのフィコシアニンの回収はほぼ例外なく限外ろ過によって行なう。こうしたプロセスのうち一部においては、吸着、透析、および硫酸アンモニウム沈殿を、単独で、または限外ろ過と組み合わせて行なうことも考慮される。こうしたプロセスは、多くの場合、加工工程に時間がかかること、スケールアップに費用がかかること、および製造物の純度が低いことが特徴とされる。
そのため、上述される問題に少なくともある程度対処できる、生物源からのフィコシアニンの単離方法が必要とされている。
本明細書中において、用語「バイオマス」は、その最も広い意味を有するものとし、この用語は、天然または加工された状態であってよく、植物、藻類、シアノバクテリア、細菌、または真菌などの生物源から得ることができる有機物を指す。
さらに、特に記載のない限り、「含む(comprise)」という語およびその派生語である「comprises」または「comprising」などは、明示された整数または整数の群が含まれることを示唆するものであるが、それ以外の任意の整数または整数の群が除外されることを示唆するものではない、ということが理解される。
発明の背景に関する上記記述は、本発明についての理解を促すことのみを意図している。この記述は、言及される内容が本出願優先日の時点において当技術分野での一般常識の一部であったということを認めるものでも許可するものでもない、ということが理解される。
発明の概要
本発明によれば、フィコシアニンを含有する溶液からのフィコシアニンの精製方法であって、上記溶液と、ポリエチレングリコール(PEG)含有相および炭水化物含有相を含む水性2相混合物とを接触させる工程であって、その条件は、フィコシアニンが炭水化物含有相に分配され得るように選択される、工程と、炭水化物含有相をPEG含有相から分離する工程と、炭水化物含有相を硫酸アンモニウムで処理することにより、フィコシアニンが沈殿している沈殿溶液を得る工程と、沈殿したフィコシアニンを回収する工程とを含む方法が提供される。
沈殿溶液の硫酸アンモニウム濃度は、14~36重量%であってよい。
上記方法は、沈殿したフィコシアニンを溶解して溶液とする工程と、上記溶液を硫酸アンモニウムで処理することにより、フィコシアニンが再沈殿している第2の沈殿溶液を得る工程と、再沈殿したフィコシアニンを回収する工程とをさらに含んでよい。
第2の沈殿溶液の硫酸アンモニウム濃度は、25~34重量%であってよい。
上記方法は、再沈殿したフィコシアニンを第2の溶液中に再溶解する工程と、再溶解したフィコシアニンを硫酸アンモニウムで処理することにより、フィコシアニンが再沈殿している第3の沈殿溶液を得る工程と、再沈殿したフィコシアニンを回収する工程とをさらに含んでよい。
第3の沈殿溶液の硫酸アンモニウム濃度は、16~28重量%であってよい。
PEGは、平均分子量が、少なくとも6000g/mol、または少なくとも10,000g/molであってよく、PEG含有相中に約3~15重量%の濃度で存在してよい。
炭水化物は、炭水化物含有相中に約15~40重量%の濃度で存在してよく、炭水化物は、デキストロース当量が10~20であってよく、炭水化物は、マルトデキストリン、フィコール、デキストラン、デンプン、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、スクロース、セロビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、マルツロース、アラビノース、リボース、キシロース、およびトレハロースからなる群より選択されてよい。
2相混合物は、全体として、炭水化物含有相を15~40重量%、好ましくは約30重量%、PEG含有相を3~15重量%、好ましくは約5重量%、およびフィコシアニンを含有する溶液を45~82重量%含んでよい。
フィコシアニンを含有する溶液は、湿潤または乾燥バイオマスから細胞抽出物として調製されてよく、バイオマスは、植物、藻類、シアノバクテリア、細菌、または真菌から得られてよく、バイオマスは、スピルリナから得られてよい。
フィコシアニンは、C-フィコシアニンであってよい。
以下に、本発明の一実施形態が、例示のみを目的として、添付の図面を参照して記載される。
上記方法の一実施形態を例示するフロー図である。 硫酸アンモニウム沈殿段階が、製造されるフィコシアニンの純度に及ぼす効果を、E番号として示すグラフである。 硫酸アンモニウム沈殿が、上記方法によって単離される乾燥フィコシアニン粉末の微生物汚染に及ぼす効果を示すグラフである。 硫酸アンモニウム沈殿段階が620/280純度比に及ぼす効果を示すグラフである。 硫酸アンモニウム沈殿段階が650/620純度比に及ぼす効果を示すグラフである。
発明の詳細な説明
フィコシアニンを含有する溶液からのフィコシアニンの精製方法が提供される。フィコシアニンは、C-フィコシアニン、R-フィコシアニン、またはアロフィコシアニンであってよいが、好ましくはC-フィコシアニンである。
上記方法は、フィコシアニンを含有する溶液を、水性2相系(ATPS)を形成する水性2相混合物と接触させる工程を含み、この水性2相混合物はポリエチレングリコール(PEG)含有水性相および炭水化物含有水性相を含み、接触させる条件は、フィコシアニンが炭水化物含有相に分配され得るように選択される。上述される条件は、各相の温度、濃度、およびpHから選択できる。上記2つの相を混合し、次いで、遠心分離または重力沈降またはそれ以外の任意の好適な方法によって、沈降させるもしくは沈降可能とする。炭水化物含有水性相をPEG含有水性相から分離し、硫酸アンモニウムで処理して、フィコシアニンが沈殿している沈殿溶液を得る。次いで、沈殿したフィコシアニンを回収する。
PEG含有水性相中のPEGの平均分子量は、少なくとも6000g/mol、7000g/mol、8000g/mol、9000g/mol、または少なくとも10,000g/molであってよい。PEGは、PEG含有水性相中に約3~15重量%の濃度で存在してよい。本開示において、本段落および他の段落中に記載される重量パーセント(重量%)単位は、水100ミリリットルあたりの溶質(文脈に応じて、硫酸アンモニウム、PEG、炭水化物、またはフィコシアニンであり得る)の重量(グラム)を示す。
炭水化物は、炭水化物含有相中に約15~40重量%の濃度で存在してよく、炭水化物は、マルトデキストリン、フィコール、デキストラン、デンプン、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、スクロース、セロビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、マルツロース、アラビノース、リボース、キシロース、およびトレハロースからなる群より選択できる。いくつかの実施形態において、炭水化物のデキストロース当量は10~20である。
2相混合物は、全体として、炭水化物含有相を15~40重量%、好ましくは約30重量%、PEG含有相を3~15重量%、好ましくは約5重量%、およびフィコシアニンを含有する溶液を45~82重量%含んでよい。本明細書中において、重量パーセント(重量%)単位は、相の重量を、2相混合物の総重量に対する百分率として指すものである。炭水化物含有相、PEG含有相、およびフィコシアニンを含有する溶液の重量百分率の合計は、約100パーセントである。
上記方法は、フィコシアニンを含有する任意の好適な溶液、典型的には細胞抽出物に対して実施できる。細胞抽出物は、植物、藻類、シアノバクテリア、細菌、または真菌から得られる湿潤または乾燥バイオマスから調製できる。細胞抽出物は、好ましくは、藻類もしくはシアノバクテリア由来のバイオマスの新鮮なもの、またはその乾燥物を水で戻したものから調製される。スピルリナは、フィコシアニン含有量が高く人間に対する毒性がないために、特に好適なバイオマス種である。このことは、人間用途の食品または化粧品用の添加剤としてフィコシアニンが使用される場合に重要である。細胞抽出物は、好ましくは、水性2相混合物またはATPSと接触させる前に清澄化する。いくつかの実施形態において、細胞を、pH約4~8、好ましくはpH約6の水溶液中、ビーズ粉砕によって破壊してよいが、任意の好適な細胞破砕法を使用してよい。さらに好適な細胞破砕法には、とりわけ、物理的細胞破砕、高圧ホモジナイズ、超音波処理、または凍結粉砕が含まれる。次いで、破砕された細胞を放置して浸漬させ、フィコシアニンを溶液中に浸出させてよい。
得られる粗製混合物を、遠心分離、ろ過、接線流ろ過(tangential filtration)、または他の任意の好適な手段によって清澄化してよく、水性抽出物を、ATPSにおける水性相2つと接触させてよい。ATPSにより、抽出物中のバイオマス残渣からフィコシアニンが分離され、原材料中に存在し得る微生物およびタンパク質汚染が除去される。上記方法の全体を、好都合な温度(約25℃)において、著しい収量減少を伴うことなく実施できるが、上記方法は、任意の周囲温度(約4℃~約50℃)においても同様に実施できる。
沈殿溶液の最終の硫酸アンモニウム濃度は、約14~36重量%、典型的には約23重量%であってよく、これは、25~80%飽和硫酸アンモニウム溶液と同等である。明確さを期して、かつ、曖昧さを回避するために、「%飽和」濃度は、硫酸アンモニウム溶液とフィコシアニン含有相との組合せ溶液の総体積に基づくものであり、上記組合せ溶液の飽和の程度を、100%飽和硫酸アンモニウム溶液に基づいて示すものである。硫酸アンモニウムを、水溶液状にて沈殿溶液に添加してよい。代替的には、硫酸アンモニウムを、固体状にて添加した後溶解させてもよい。沈殿したフィコシアニンは、遠心分離、重力沈降、ろ過、または接線流ろ過によって集めることができる。
図1中に示すように、上記方法は、単離されるフィコシアニンの純度を高めるために、1つ以上のさらなる硫酸アンモニウム沈殿工程を含んでよい。第2の硫酸アンモニウム沈殿を、沈殿したフィコシアニンを溶解して溶液とし、上記溶液を硫酸アンモニウムで処理することにより、フィコシアニンが再沈殿している第2の沈殿溶液を得て、再沈殿したフィコシアニンを回収することによって実施できる。第2の沈殿溶液の硫酸アンモニウム濃度は、25~34重量%、典型的には約29重量%であってよく、これは、55~75%飽和硫酸アンモニウム溶液と同等である。再沈殿したフィコシアニンを、遠心分離、重力沈降、ろ過、または接線流ろ過によって回収してよい。
第3の硫酸アンモニウム沈殿を、再沈殿したフィコシアニンを再溶解して溶液とし、上記溶液を硫酸アンモニウムで処理することにより、フィコシアニンが再沈殿している第3の沈殿溶液を得て、再沈殿したフィコシアニンが精製されたものを単離することによって実施できる。第3の沈殿溶液の硫酸アンモニウム濃度は、約16~28重量%、典型的には約18重量%であってよく、これは、35~60%飽和硫酸アンモニウム溶液と同等である。沈殿したフィコシアニンを、遠心分離、重力沈降、ろ過、または接線流ろ過によって回収した後、乾燥させてよい。溶液中の炭水化物は、フィコシアニンを安定化するものであり、フィコシアニンタンパク質を著しく変性させることなく噴霧乾燥または凍結乾燥することを可能とする。他の乾燥法を使用してもよい。
添付の図面に例示されるように、本発明の方法により製造されるフィコシアニンの純度は、硫酸アンモニウム沈殿段階の回数が増えるにつれて高くなる。沈殿段階によって、混入タンパク質が除去されると同時に微生物汚染が除去されることにより、フィコシアニンが精製される。ATPSを行わない硫酸アンモニウム沈殿では、製造物の純度グレードが必要な程度にならないが、ATPS実施直後にフィコシアニンを抽出すると、微生物汚染が十分に低減されない。望ましい純度の程度は、ATPSと硫酸アンモニウム沈殿とを組み合わせた場合にのみ実現できる。
図2中、フィコシアニン純度の改善を、沈殿を連続して行なう毎に1(食品グレードより低い)から5超(食品グレード)で増加するE番号の増加として表す。精製の文脈において、E番号は、フィコシアニンの純度を示し、1重量%溶液の618nmにおける吸光度にて測定される。沈殿を連続して行なう毎に生じる微生物汚染の低減を図3中に示すが、これは、乾燥粉末1グラムあたりのコロニー形成単位数(CFU/g)にて測定される。沈殿を連続して行なう毎に生じる620/280nm(フィコシアニン対総タンパク質)純度比の改善を図4中に示すが、第1の沈殿は低質の食品グレードのフィコシアニンを生じ、第3の沈殿は比率が1.5より大きく、この比率は化粧品用グレードのフィコシアニンと一致する。650/620nm比における改善を図5中に示すが、これは、沈殿を連続して行なう毎に製造物が精製されて、アロフィコシアニンよりもC-フィコシアニンの比率の方が大きくなることを表している。3回沈殿させた後に得られる0.3未満という650/620比は、化粧品グレード、さらには試薬グレードのフィコシアニンと一致する。本発明の方法により、食品グレードまたはそれより高いグレードのフィコシアニンが、最小限の微生物汚染にて製造され、当技術分野において一般的に使用されるクロマトグラフィーおよび減圧蒸留装置などの高価な機器を有利にも不要とすることができる。また、この方法は、フィコシアニンの抽出に使用される従来のクロマトグラフィー、蒸留、またはATPS法よりも著しく短い時間で実施できる。
次に、以下の非制限的な実施例を用いて、本発明をさらに詳細に記載する。
実施例
3Lの容器に1mmのガラスビーズを1kg詰め、オーバーヘッドスターラーにより180RPMにて撹拌した。シアノバクテリア由来の原材料(本実施形態においてはスピルリナ、乾燥物100gまたは湿潤物900g)を入れ、クエン酸塩の混合物(クエン酸ナトリウム92%、クエン酸8%)を添加して、pH6での緩衝能力を5g/Lとし、水を加えて1Lとした。シアノバクテリアを15分間粉砕し、次いで48時間浸漬させて、フィコシアニンを溶液中に浸出させることによって、フィコシアニンを最適に回収した。フィコシアニンの抽出を最適とするためにはpHが重要であることが分かり、pH4未満およびpH8超では収率が減少した。したがって、pH6での緩衝が重要であった。シアノバクテリアの添加およびビーズの材料(ガラスまたはスチール)によるフィコシアニン製造への影響は確認されなかった。1mmのビーズを使用したところ、これより大きなものと比較して、抽出が最良となった。
バッチ式遠心分離機を7000gにおいて20分間使用して、廃棄バイオマスを除去した。遠心分離後、上清を慎重に出して、バイオマスのペレットを廃棄した。このバッチ式遠心分離の手法は、実験室規模での操作に用いるのに非常に好適であった。遠心分離に代えて接線流ろ過を用いることもできるが、デッドエンドろ過は、バイオマスの残骸が急速に堆積するため、効果的でないことが分かった。
マルトデキストリン含有水性相を15~40重量%含み(いくつかの実施例ではマルトデキストリンを30重量%含有)、かつPEG含有水溶液を3~15重量%含む(いくつかの実施例ではPEGを5重量%含有する)水性2相系(ATPS)を使用して、分離を行なった。PEG含有水溶液の平均PEG分子量は10000g/mol以上であった。残り(重量%)はバイオマス粉砕物に由来するフィコシアニン含有水性上清であった。2相混合物およびフィコシアニン含有上清を激しく撹拌して完全に混合した後、遠心分離または重力沈降によって2相を分離した。次いで、さらなる加工のために、フィコシアニンに富むマルトデキストリン下層を除去した。
ATPSは、周囲温度約25℃において都合よく行なった。pHは、粉砕および廃棄バイオマス除去段階から変化せず、pH約6において行なった。
PEGの分子量を用いることにより、フィコシアニンがマルトデキストリンまたはPEG層のいずれに分配されたかを選択した。調べたところ、PEG6000、PEG7000、PEG8000、およびPEG9000をこの方法に好適に使用できるが、PEG10,000またはそれ以上のPEGを使用するとフィコシアニンがマルトデキストリン層に最も良好に回収された。その結果、次工程のフィコシアニンの回収を困難にするPEG-タンパク質複合体(水性2相系で生じる場合がある)は生成されなかった。マルトデキストリンはフィコシアニンと複合体を形成するが、この複合体は結合が弱いため、PEG-フィコシアニン複合体よりも容易にフィコシアニンが沈殿し得る。マルトデキストリンを30重量%およびPEG10,000を5重量%含有するATPSが、フィコシアニンの回収に最適であることが分かった。
ATPSからのフィコシアニン溶液を硫酸アンモニウム(14~36重量%)で処理し、混合物を最低1時間静置した後、7000gで遠心分離した。続いて、透明な上清液を吸引によって除去した。次いで、残った細胞ペレットを水に再溶解して、最初の体積の80%とし、25~34重量%の硫酸アンモニウムで処理した。混合物を最低1時間静置した後、7000gで遠心分離した。透明な上清を吸引によって除去し、ペレットを水に再溶解して、最初の体積の80%とした。この溶液を硫酸アンモニウム(16~28重量%)で再度処理し、少なくとも1時間静置した後、7000gで遠心分離した。透明な上清を除去した後、沈殿を噴霧乾燥または凍結乾燥させて、高度に精製されたフィコシアニン製造物を得た。

Claims (15)

  1. フィコシアニンを含有する溶液からのフィコシアニンの精製方法であって、
    前記溶液と、ポリエチレングリコール(PEG)含有相および炭水化物含有相を含む水性2相混合物とを接触させる工程と
    前記炭水化物含有相を前記PEG含有相から分離する工程と、
    前記炭水化物含有相を硫酸アンモニウムで処理することにより、前記フィコシアニンが沈殿している沈殿溶液を得る工程と、
    前記沈殿したフィコシアニンを回収する工程とを含み、
    前記炭水化物含有相は、マルトデキストリン、フィコール、デキストラン、デンプン、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、スクロース、セロビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、マルツロース、アラビノース、リボース、キシロース、およびトレハロースからなる群より選択される炭水化物を含む、方法。
  2. 前記沈殿溶液の硫酸アンモニウム濃度は14~36重量%である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記沈殿したフィコシアニンを溶解して溶液とする工程と、前記溶液を硫酸アンモニウムで処理することにより、前記フィコシアニンが再沈殿している第2の沈殿溶液を得る工程と、前記再沈殿したフィコシアニンを回収する工程とをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第2の沈殿溶液の硫酸アンモニウム濃度は25~34重量%である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記再沈殿したフィコシアニンを再溶解して溶液とする工程と、前記溶液を硫酸アンモニウムで処理することにより、前記フィコシアニンが再沈殿している第3の沈殿溶液を得る工程と、前記再沈殿したフィコシアニンを回収する工程とをさらに含む、請求項3または4に記載の方法。
  6. 前記第3の沈殿溶液の硫酸アンモニウム濃度は16~28重量%である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記PEGは平均分子量が少なくとも6000g/molであり、より具体的には前記PEGは平均分子量が少なくとも10,000g/molである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記PEGは前記PEG含有水性相中に約3~15重量%の濃度で存在する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記炭水化物は前記炭水化物含有相中に約15~40重量%の濃度で存在する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記2相混合物は、全体として、前記炭水化物含有相を15~40重量%、前記PEG含有相を3~15重量%、および前記フィコシアニンを含有する溶液を45~82重量%
    含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記フィコシアニンを含有する溶液は細胞抽出物である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記細胞抽出物は湿潤バイオマスから調製される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記細胞抽出物は乾燥バイオマスから調製される、請求項11に記載の方法。
  14. 前記バイオマスは植物、藻類、シアノバクテリア、細菌、または真菌から得られ、より具体的には前記バイオマスはスピルリナから得られる、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記フィコシアニンはC-フィコシアニンである、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
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