JP4225003B2 - 高分子分離膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種気体混合物の分離に利用される気体分離膜に関する。さらに詳しくは、本発明の気体分離膜は特に二酸化炭素ガスあるいは各種炭化水素ガスの透過性に優れている。したがって、本発明の気体分離膜は、二酸化炭素ガスと他のガス(例えば、窒素ガスおよび/または空気および/または水素ガスなど)からなる二酸化炭素含有混合気体から二酸化炭素ガスを分離する気体分離膜として、あるいは炭化水素ガスと他のガス(例えば、窒素ガスおよび/または空気および/または水素ガスなど)からなる炭化水素含有混合気体から炭化水素ガスを分離する高分子気体分離膜として好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、気体分離膜としては酢酸セルロース、シリコンゴム、ポリスルホン、ポリアミドなどの種々の高分子を素材としたものが知られている。これら公知の気体分離膜は種々の分野で実用化されているが、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素ガスの分離膜としては二酸化炭素と窒素の分離係数が10以下と小さいさらに二酸化炭素で可塑化され分離係数が低下するために実用性のある分離膜とはいえない。また気体分離膜として芳香族ポリイミドを用いたものも知られている(特開昭60−150806号公報;特開昭61−133106号公報;特開昭63−123420号公報;特開平8−332362号公報)。これらのポリイミド系気体分離膜の二酸化炭素と窒素の分離係数は20から40と比較的高いものの、未だ効率の高い二酸化炭素分離膜とはいえない。またその膜原料が高価な芳香族ポリイミドであるため経済性にも問題がある。
【0003】
またこれらとは別にポリエチレングリコールを多孔膜に含侵させたり他のポリマーとブレンドあるいは共重合させた気体分離膜の提案がある(日本化学会誌、p.847−853、1983年; 特開平6−71148号公報;特開平8−24602号公報)。これらの分離膜は50から100の高い分離係数を示すものの、透過係数が小さい、膜の製膜性が悪いあるいは膜の安定性が悪く徐々に膜性能が低下するなどの欠点を有し実用化に至っていない。水素ガス中の二酸化炭素ガスを分離する膜としてシリコンゴムが提案されているが、分離係数は5程度であり、分離効率が悪い。さらに炭化水素ガスの分離膜としては従来の高分子膜は膜の可塑化のために化学的安定性に難点がある。
【0004】
またポリエピクロロヒドリンからなる分離膜も提案されている(Progress in Polymer Science, 13, 339-441 (1988))。しかし、ポリエピクロロヒドリンは結晶性が高く、分離膜の透過係数が低いという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、気体の透過係数が高く、また分離係数比が高い分離膜を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、オキシラン化合物から得られるポリエーテル重合体が気体分離膜として有用なことを見出して本発明を完成させた。本発明の気体分離膜は、少なくとも2種の気体からなる気体混合物から1種の気体を分離するのに好適である。本発明の高分子気体分離膜は選択性、特にCO2ガスと炭化水素ガスの選択透過性が高く、長期安定性に優れた気体分離膜を提供することができる。
【0007】
本発明は、
式:
【化9】
[上記式において、Rは、水素原子;
アルキル基、ハロゲン原子を含むアルキル基、または-CH2O(CH2CH2O)k-R’(但し、R’は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基より選ばれる基であり、kは0〜12である。);または
エチレン性不飽和基、反応性ケイ素含有基、メチルエポキシ含有基である。]
で示されるオキシラン化合物を重合して得られる重量平均分子量104〜107のポリエーテル重合体からなる分離膜を提供する。
【0008】
本発明は、
【化10】
[上記において、Rは水素原子;アルキル基、ハロゲン原子を含むアルキル基、または-CH2O(CH2CH2O)k-R’(但し、R’は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基より選ばれる基であり、kは0〜12である。);またはエチレン性不飽和基、反応性ケイ素含有基、メチルエポキシ含有基である。]
で示されるオキシラン化合物を重合して得られる重量平均分子量104〜107のポリエーテル重合体と、常温で液体性質を示す、式(i)、(ii)、および(iii)からなる群より選ばれた分岐状エーテル化合物からなる分離膜をも提供する。
【0009】
【化11】
[R11、R12、R13は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基より選ばれる基である。l、m、nは0〜12である。但し、l、m、nの全てが同時に0であることはない。]
【化12】
[R14、R15、R16、R17は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基より選ばれる基である。o、p、q、rは0〜12である。但し、o、p、q、rの全てが同時に0であることはない。]
【化13】
[R18、R19、R20、R21は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基より選ばれる基である。s、t、u、vは0〜12である。但し、s、t、u、vの全てが同時に0であることはない。R22はメチレン基または-(OCH2CH2)x- (但し、xは0〜12である。)である。wは0もしくは1である。]
【0010】
本発明の分離膜は、2種以上のオキシラン化合物(a)からなる共重合体であってよい。
【0011】
更に詳しくは、オキシラン化合物(a)は、下記のモノマー(1)、モノマー(2)およびモノマー(3)に分類できる。
【0012】
【化14】
【化15】
【化16】
【0013】
上記において、(2)式中、R1はアルキル基、ハロゲン原子を含むアルキル基、または-CH2O(CH2CH2O)k-R’である。アルキル基またはハロゲン原子を含むアルキル基の炭素数は、1〜12、例えば1〜8、特に1〜3であることが好ましい。R’は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基より選ばれる基であり、kは0〜12、例えば0〜6である。
【0014】
(3)式中、R2はエチレン性不飽和基、反応性ケイ素含有基、メチルエポキシ含有基またはハロゲン原子を含むアルキル基を表す。
モノマー(2)とモノマー(3)を同時に含む共重合体において、モノマー(2)とモノマー(3)が同じ化合物であることはない。
【0015】
ポリエーテル重合体を構成するモノマーは、
(i)モノマー(1)と(2)の組み合わせ、
(ii)モノマー(1)と(3)の組み合わせ、
(iii)モノマー(1)と(2)と(3)の組み合わせ、または
(iv)モノマー(2)と(3)の組み合わせ
であることが好ましい。
【0016】
ポリエーテル重合体は、モノマー(1)、(2)および(3)のそれぞれから誘導される以下の式(4)、(5)および(6)で示される繰り返し構造単位から構成される。
【化17】
【化18】
【化19】
【0017】
(1)式のエチレンオキシドと(2)式で表されるオリゴオキシエチレン基を有するオキシラン化合物のポリエーテル共重合体(特開平 9−324114号公報)や、該共重合性モノマーと架橋が可能な(3)式で表される不飽和部分を有するオキシラン化合物、反応ケイ素基を有するオキシラン化合物又はエポキシ基を有するオキシラン化合物から成るポリエーテル共重合体の架橋体(特開昭59−182844号公報;特開平11−345628号公報)は電解質と組み合わせることで、高分子固体電解質として有用なことは既に知られているが、これら公開特許公報には気体の透過や分離に関する記載はまったくない。
【0018】
〔(2)式の成分〕
式(2)で示されるハロゲン原子を含有するオキシラン化合物の例は、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンおよびエピヨードヒドリンである。
【0019】
〔(3)式の成分〕
式(3)における反応性官能基が、(a)エチレン性不飽和基、(b)反応性ケイ素基または(c)メチルエポキシ基であることが好ましい。
エチレン性不飽和基を含有するオキシラン化合物の例としては、アリルグリシジルエーテル、4-ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、α-テルピニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルフェニルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、2-ビニロキシエチルグリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、4,5-エポキシ-2-ペンテン、1,2-エポキシ-5,9-シクロドデカジエン、3,4-エポキシ-1-ビニルシクロヘキセン、1,2-エポキシ-5-シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジル、ケイ皮酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、グリシジル-4-ヘキセノエートが用いられる。好ましくは、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルがある。
【0020】
反応性ケイ素基を含有するオキシラン化合物の例としては、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4-グリシドキシブチルメチルトリメトキシシラン、3-(1,2-エポキシ)プロピルトリメトキシシラン、4-(1,2-エポキシ)ブチルトリメトキシシラン、5-(1,2-エポキシ)ペンチルトリメトキシシラン、1-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランがある。
【0021】
末端にメチルエポキシ基を含有するオキシラン化合物の例としては、2,3-エポキシプロピル-2’,3’-エポキシ-2’-メチルプロピルエーテル、エチレングリコール-2,3-エポキシプロピル-2’,3’-エポキシ-2’-メチルプロピルエーテル、及びジエチレングリコール-2,3-エポキシプロピル-2’,3’-エポキシ-2’-メチルプロピルエーテル、2-メチル-1,2,3,4-ジエポキシブタン、2-メチル-1,2,4,5-ジエポキシペンタン、2-メチル-1,2,5,6-ジエポキシヘキサン、ヒドロキノン-2,3-エポキシプロピル-2’,3’-エポキシ-2’-メチルプロピルエーテル、及びカテコール-2,3-エポキシプロピル-2’,3’-エポキシ-2’-メチルプロピルエーテルなどがある。
【0022】
ポリエーテル重合体(すなわち、架橋が可能な反応性基を含む側鎖を有するかまたは有しないポリエーテル重合体)の重合法は、特開昭 63−154736号公報に記載されているように、開環重合用触媒として有機アルミニウムを主体とする触媒系、有機亜鉛を主体とする触媒系、有機錫−リン酸エステル縮合物触媒系などを用いて、各モノマーを溶媒の存在下又は不存在下、反応温度10〜80℃、撹拌下で反応させることによって得られる。なかでも、重合度、あるいは作られるポリエーテル重合体の性質などの点から、有機錫−リン酸エステル縮合物触媒系が特に好ましい。
【0023】
本発明のポリエーテル重合体において、モノマー成分である(1)式のエチレンオキシドを含んでよい。一般にポリエチレンオキシドの結晶性を低下させることにより気体透過性が向上することは知られているが、本発明のポリエーテル重合体の場合は気体透過性の向上効果は格段に大きい。エチレンオキシドの量は、使用モノマー全体に対して、98モル%以下、例えば90モル%以下、特に80モル%以下であってよい。エチレンオキシドが98モル%(使用モノマー全体に対して)以下である場合に、ガラス転移温度は低く、オキシエチレン鎖が非晶質であり、結果的に気体透過性が良好である。
ポリエーテル重合体においてモノマー(2)とモノマー(3)のモル比は、限定されないが、80:20〜100:0、例えば90:10〜100:0であってよい。
【0024】
(2)式で表されるオリゴオキシエチレンを含むモノマー成分のオキシエチレン単位の重合度kは0〜12、例えば0〜6が好ましい。12以下である場合に、オリゴオキシエチレン鎖の結晶化が生じないので好ましい。
ポリエーテル重合体の分子量は、加工性、成形性、機械的強度、柔軟性を得るためには重量平均分子量104〜107、好ましくは105〜5x106の範囲のものが適する。重量平均分子量が上記の範囲であると、得られた気体分離膜の透過性が高く、加工性および成形性が良好である。重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン換算にて測定したものである。
【0025】
ポリエーテル重合体のガラス転移温度は−50℃以下が好ましく、結晶の融解熱量は90J/g以下が好ましい。ガラス転移温度及び融解熱量は示差走査熱量計(DSC)により測定したものである。
本発明に用いられるポリエーテル共重合体は、ブロック共重合、ランダム共重合何れの共重合タイプでも良いが、ランダム共重合体の方がよりポリエチレンオキシドの結晶性を低下させる効果が大きいので好ましい。
【0026】
〔架橋〕
本発明において用いられるエチレン性不飽和基を有するポリエーテル重合体は、有機過酸化物、アゾ化合物等から選ばれるラジカル開始剤を用いた熱架橋や、紫外線、電子線等の活性エネルギー線を用いた架橋、更には、水素化ケイ素を有する架橋剤を用いたヒドロシリル化反応を利用して架橋することができる。
【0027】
有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、等が挙げられる。有機過酸化物の添加量は有機過酸化物の種類により異なるが、通常、(分岐状エーテル化合物を除く)分離膜全体の0.1〜10重量%の範囲内である。
【0028】
アゾ化合物としてはアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2’-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。アゾ化合物の添加量はアゾ化合物の種類により異なるが、通常、(分岐状エーテル化合物を除く)分離膜全体の0.1〜10重量%の範囲内である。
【0029】
紫外線、電子線等による架橋に適する(3)式で表されるモノマー成分には、アクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、ケイ皮酸グリシジルエステルが特に好ましい。また、増感助剤を併用することが特に好ましい。増感助剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、フェニルケトン等のアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン等のチオキサントン類、3-スルホニルアジド安息香酸、4-スルホニルアジド安息香酸等のアジド類等をを例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
これらの架橋反応に架橋助剤を併用することができる。架橋助剤としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプパントリアクリレート、トリメチロールプパントリメタクリレート、アリルメタリクレート、アリルアクリレート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイミド、フェニルマレイミド、無水マレイン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
水素化ケイ素を有する架橋剤として好ましくは、少なくとも2個の水素化ケイ素を有する化合物である。特に鎖状、又は環状のポリシロキサン化合物またはポリシラン化合物が好ましい。
【0032】
ヒドロシリル化反応の触媒の例としては、パラジウム、白金などの遷移金属あるいはそれらの化合物、錯体が挙げられる。また、過酸化物、アミン、ホスフィンも用いられる。最も一般的な触媒はジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、塩化白金酸が挙げられる。
【0033】
本発明において用いられる反応性ケイ素基含有のポリエーテル重合体は、反応性ケイ素基と水との反応によって架橋することができる。反応性を高めるために、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ジブチルスズアセチルアセトナート等のスズ化合物、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン化合物、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等のアルミニウム化合物などの有機金属化合物、あるいは、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、グアニン、ジフェニルグアニン等のアミン系化合物などを触媒として用いても良い。
【0034】
本発明において用いられる側鎖にエポキシ基含有のポリエーテル重合体は、ポリアミン類、酸無水物類との反応によって架橋することができる。
ポリアミン類としては、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、N-アミノエチルピペラジン、ビス-アミノプロピルピペラジン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸ジヒドラジドなどの脂肪族ポリアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、2,4-トルイレンジアミン、m-トルイレンジアミン、o-トルイレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミン等が挙げられる。その添加量はポリアミンの種類により異なるが、通常、(分岐状エーテル化合物を除く)分離膜全体の0.1〜10重量%の範囲である。
【0035】
酸無水物類としては、無水マレイン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水クロレンデック酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。その添加量は酸無水物の種類により異なるが、通常、(分岐状エーテル化合物を除く)分離膜全体の0.1〜10重量%の範囲である。これらの架橋には促進剤を用いても良く、ポリアミン類の架橋反応にはフェノール、クレゾール、レゾルシン、ピロガロール、ノニルフェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどがあり、酸無水物類の架橋反応にはベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2-(ジメチルアミノエチル)フェノール、ジメチルアニリン、2-エチル-4-メチルイミダゾールなどがある。その添加量は促進剤により異なるが、通常、架橋剤の0.1〜10重量%の範囲である。
【0036】
本発明において用いられるハロゲン原子含有アルキル基を含有するポリエーテル重合体は、ポリアミン類、メルカプトイミダゾリン類、メルカプトピリミジン類、チオウレア類、ポリメルカプタン類等との反応によって架橋することができる。
【0037】
ポリアミン類としては、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。メルカプトイミダゾリン類としては2-メルカプトイミダゾリン、4-メチル-2-メルカプトイミダゾリン等が挙げられる。メルカプトピリミジン類としては2-メルカプトピリミジン、4,6-ジメチル-2-メルカプトピリミジン、等が挙げられる。チオウレア類としてはエチレンチオウレア、ジブチルチオウレアなどが挙げられる。ポリメルカプタン類としては2-ジブチルアミノ-4,6-ジメチルカプト-s-トリアジン、2-フェニルアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、等が挙げられる。架橋剤の添加量は架橋剤の種類により異なるが、通常、(分岐状エーテル化合物を除く)分離膜全体の0.1〜30重量%の範囲である。
【0038】
一般的には膜の機械的強度、ハンドリング性、耐熱性、耐久性、耐溶媒性の観点から架橋体の使用が好ましいが、必ずしも架橋体に限定されるものではない。例えば、金属製、無機材料系あるいは有機高分子系多孔性基材と複合化させて用いるような、高分子分離膜に高い強度が要求されない場合、或いは水や低級アルコール、アセトニトリル、N-メチル-2-ピロリドン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど極性溶媒が混合気体中にごく少量しか含まれない場合には未架橋体を用いることが可能である。
【0039】
また、本発明の分離膜に更に受酸剤となる金属化合物を添加することは、ハロゲン含有ポリマーの熱安定性の見地から有効である。このような受酸剤となる金属酸化物としては、周期律表第II族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期律表VIa族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等がある。具体的な例としては、マグネシア、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜鉛華、酸化錫、リサージ、鉛丹、鉛白、二塩基性フタル酸鉛、二塩基性炭酸鉛、ステアリン酸錫、塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜リン酸錫、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛等を挙げることができる。上記酸受酸剤となる金属化合物の配合量は種類により異なるが、通常、(分岐状エーテル化合物を除く)分離膜全体の0.1〜30重量%の範囲である。
【0040】
本発明の分離膜の可とう性を上げるため液体成分や電解質塩化合物等を添加することができる。電解質塩化合物としては、本発明の重合体又は該重合体の架橋体に可溶のものならば何でもよいが、以下に挙げるものが好ましい。
【0041】
即ち、金属陽イオン、アンモニウムイオン、アミジニウムイオン、及びグアニジウムイオンから選ばれた陽イオンと、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、硝酸イオン、AsF6 −、PF6 −、ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ドデシルナフタレンスルホン酸イオン、7,7,8,8-テトラシアノ-p-キノジメタンイオン、X1SO3 −、[(X1SO2)(X2SO2)N]−、[(X1SO2)(X2SO2)(X3SO2)C]−、及び[(X1SO2)(X2SO2)YC]− から選ばれた陰イオンとからなる化合物が挙げられる。但し、X1、X2、X3、及びYは電子吸引性基である。更に好ましくはX1、X2、及びX3は各々独立して炭素数が1から6迄のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアリール基であり、Yはニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、又はトリアルキルアンモニウム基である。電解質塩化合物の使用量はポリエーテル重合体の主鎖及び側鎖を含めたエーテルの酸素原子および分岐状エーテル化合物の酸素原子の総モル数に対する割合、即ちモル比:(電解質塩化合物のモル数)/(ポリエーテル重合体のエーテルの酸素原子と分岐状エーテル化合物の酸素原子の総モル数)の値は0.0001〜5、好ましくは0.001〜1.0の範囲がよい。この範囲にあると、加工性、成形性及び得られた気体分離膜の機械的強度や柔軟性が良好である。
【0042】
ポリエーテル重合体と混合する分岐状エーテル化合物は、汎用の直鎖状エーテルであるジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等に比べて揮発性が低い。また、揮発性の低い分子量500以上の直鎖状のポリエチレングリコールは、60℃付近に結晶の融点をもつため、この温度以下では熱履歴による膜構造の変化が起こりやすく、これを用いた分離膜は安定性が低い。一方、分岐状エーテル化合物は、同じ分子量の直鎖状のエーテル化合物と比べると、揮発性は同等であるが結晶化しにくいという特徴を有するため、分岐状エーテル化合物を用いると溶媒保持性が格段に向上し、長期安定性に優れるようになる。
【0043】
分離膜が分岐状エーテル化合物を含む場合に、ポリエーテル重合体と分岐状エーテル化合物の配合割合は任意であるが、分離膜の機械的強度と安定性の面から、通常、ポリエーテル重合体100重量部に対して、分岐状エーテル化合物が1〜400重量部、例えば5〜50重量部であることが好ましい。
【0044】
本発明の気体分離膜の製造方法は特に制約はないが、通常(A)ポリエーテル重合体、(B)要すれば存在する電解質塩化合物を機械的に混合すればよい。架橋を必要とする重合体の場合には夫々の成分を機械的に混合した後、架橋させるなどの方法によって製造される。又は、ポリエーテル重合体(A)を架橋後、電解質塩化合物(B)を含む有機溶媒に長時間浸漬して電解質塩化合物(B)を含浸させても良い。機械的に混合する手段としては、各種ニーダー類、オープンロール、押出機などを任意に使用できる。エチレン性不飽和基の架橋反応において、ラジカル開始剤を利用した場合、10℃〜200℃の温度条件下1分〜20時間で架橋反応が終了する。また、紫外線等のエネルギー線を利用する場合、一般には増感剤が用いられる。通常、10℃〜150℃の温度条件下0.1秒〜1時間で架橋反応が終了する。反応性ケイ素含有基の架橋反応では、反応は湿気によっても容易に起こるので、反応に用いられる水の量は特に制限されない。また、エポキシ基の架橋反応では、ポリアミン又は酸無水物を利用した場合、10〜200℃の温度の条件下10分〜20時間で架橋反応が終了する。
【0045】
電解質塩化合物(B)をポリエーテル重合体(A)に混合する方法は特に制約されないが、電解質塩化合物(B)を含む有機溶媒にポリエーテル重合体を長時間浸漬して含浸させる方法、電解質塩化合物(B)をポリエーテル重合体(A)へ機械的に混合させる方法、ポリエーテル化合物(A)および電解質化合物(B)を有機溶媒に溶かして混合させる方法、ポリエーテル重合体(A)を一度他の溶剤に溶かした後、電解質塩化合物(B)を混合させる方法などがある。混合に使用した有機溶媒は製膜の後に除去する。
【0046】
分岐状エーテル化合物を含む気体分離膜の製造方法は特に制約はないが、通常、(A)ポリエーテル重合体、(B)要すれば存在する電解質塩化合物、(C)分岐状エーテル化合物を機械的に混合すればよい。架橋を必要とする重合体の場合には夫々の成分を機械的に混合した後、架橋させるなどの方法によって製造される。又は、ポリエーテル重合体(A)を架橋後、分岐状エーテル化合物(C)と電解質塩化合物(B)を含む有機溶媒に長時間浸漬して分岐状エーテル化合物(C)と電解質塩化合物(B)を含浸させても良い。機械的に混合する手段としては、各種ニーダー類、オープンロール、押出機などを任意に使用できる。エチレン性不飽和基の架橋反応において、ラジカル開始剤を利用した場合、10℃〜200℃の温度条件下1分〜20時間で架橋反応が終了する。また、紫外線等のエネルギー線を利用する場合、一般には増感剤が用いられる。通常、10℃〜150℃の温度条件下0.1秒〜1時間で架橋反応が終了する。反応性ケイ素含有基の架橋反応では、反応は湿気によっても容易に起こるので、反応に用いられる水の量は特に制限されない。また、エポキシ基の架橋反応では、ポリアミン又は酸無水物を利用した場合、10〜200℃の温度の条件下10分〜20時間で架橋反応が終了する。
【0047】
(B)要すれば存在する電解質塩化合物、および(C)分岐状エーテル化合物、をポリエーテル重合体(A)に混合する方法は特に制約されないが、電解質塩化合物(B)と分岐状エーテル化合物(C)を含む有機溶媒にポリエーテル重合体を長時間浸漬して含浸させる方法、電解質塩化合物(B)と分岐状エーテル化合物(C)をポリエーテル重合体(A)へ機械的に混合させる方法、ポリエーテル重合体(A)、電解質塩化合物(B)および分岐状エーテル化合物(C)を有機溶媒に溶かして混合させる方法、ポリエーテル重合体(A)を一度他の溶剤に溶かした後、電解質塩化合物(B)と分岐状エーテル化合物(C)を混合させる方法などがある。混合に使用した有機溶媒は製膜の後に除去する。
【0048】
本発明の気体分離膜の厚さは、例えば、0.1〜500μm、特に0.5〜100μmである。
【0049】
本発明の気体分離膜は特に二酸化炭素ガスあるいは各種炭化水素ガスの透過性に優れているので、二酸化炭素含有気体混合物、例えば二酸化炭素ガスと窒素ガスまたは空気などを含む混合気体から、あるいは二酸化炭素ガスと水素ガス等を含む混合気体から二酸化炭素ガスを分離する気体分離膜として、あるいは炭化水素ガスを含む混合気体から炭化水素ガスを分離する高分子気体分離膜として好適である。
本発明の気体分離膜は機械的強度と柔軟性に優れており、薄膜形状の気体分離膜が容易に得られる。本発明の分離膜は、従来の分離膜に比べて、透過係数および透過係数比が高いので、極めて効率的に目的の気体を分離回収できる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0051】
合成例1
<ポリエーテル共重合体(I)の合成>
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒としてトリブチル錫クロライド0.1gとトリブチルホスフェート0.3gを250℃で20分間加熱して得られた有機錫−リン酸エステル縮合物と、水分10ppm以下に調整した2-(2-メトキシエトキシ)エチルグリシジルエーテル(EM-2)45g、アリルグリシジルエーテル(AGE)25gおよび溶媒としてヘキサン2,000gを仕込み、エチレンオキシド(EO)330gはグリシジルエーテル化合物の重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションにより生成物を取り出した後、減圧下40℃で24時間乾燥することによって、ポリエーテル共重合体(VI)340gを得た。1H-NMRスペクトルから求めたこの共重合体のモノマー換算組成は、EO:EM-2:AGE=94:4:2モル%、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で240万、またDSC測定による結晶の融解熱は78J/gであった。
【0052】
合成例2
<ポリエーテル共重合体(II)の合成>
合成例1において、EM−2 45gとEO 330gに代えて、プロピレンオキシド(PO)100gとEO 275gを用いること以外は、合成例1と同様に処理して、ポリエーテル共重合体(II)を370g得た。この共重合体のモノマー換算組成は、EO:PO:AGE=83:16:1モル%、重量平均分子量は270万、結晶の融解熱量は25J/gであった。
【0053】
合成例3
<ポリエーテル共重合体(III)の合成>
合成例1において、EM-2 45g、 AGE 25gおよびEO 330gに代えて、エピクロロヒドリン(EP)150g、 AGE 30gおよびEO 220gを用いること以外は、合成例1と同様に処理して、ポリエーテル共重合体(II)370gを得た。この共重合体のモノマー換算組成は、EO:EP:AGE=56:39:5モル%、重量平均分子量は140万、結晶の融解熱量は2J/gであった。
【0054】
合成例4〜9
<ポリエーテル共重合体(IV〜IX)の合成>
EO、EM-2、PO、EP、AGEおよび3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)から選択されたモノマーを用いて、合成例1と同様にして、ポリエーテル共重合体(IV〜IX)を得た。
【0055】
ポリエーテル共重合体(IV〜IX)のモノマー換算組成は、次のとおりであった。
ポリエーテル共重合体(IV) PO/EP/GPTMS=35/63/2
ポリエーテル共重合体(V) EO/AGE=92/8
ポリエーテル共重合体(VI) EP/AGE=94/6
ポリエーテル共重合体(VII) EO/GPTMS=95/5
ポリエーテル共重合体(VIII) EO/PO=90/10
ポリエーテル共重合体(IX) EO/EM-2=78/22
ポリエーテル共重合体(IV〜IX)の重量平均分子量は45〜255万、結晶の融解熱量は11〜85J/gであった。
【0056】
実施例1
<気体分離膜の作製>
ポリエーテル共重合体(I)20g、架橋剤としてジエチレングリコールジメタクリレート(日本油脂株式会社製 ブレンマーPDE-100)1.0g、ベンゾイルパーオキシド0.20gおよびアセトニトリル100gを混合し均一とした。この混合液を10分間真空脱気し、ポリテトラフルオロエチレン製モールド上にキャストし、溶媒を除去した後、不活性ガス雰囲気中、80℃で3時間加熱して、厚み約0.050mmの膜を得た。この膜を直径60mmの円盤状に打ち抜き、気体透過性能測定用セルに装着し、水素ガス(H2)、二酸化炭素ガス(CO2)、窒素ガス(N2)、プロパンガス(C3H8)および1,3−ブタジエンガス(C4H6)のそれぞれの透過係数を測定した。
【0057】
気体透過係数は、膜面積18.86cm2のステンレス製のセルに膜を装着し、気体を1〜5kg/cm2の圧力で供給し透過側を減圧して25℃あるいは35℃で膜を透過してくる気体量を圧力センサーで検出し、各気体の透過係数を次の式で算出した。また透過係数比は各気体の透過係数の比で表した。
気体透過係数={(気体の透過量)×(膜厚)}/{(膜面積)×(透過時間)×(圧力差)}
また、二酸化炭素ガスと窒素ガスの混合気体の透過性能の測定は膜を透過してくる気体の組成をガスクロマトグラフにより分析して求めた。
ポリエーテル共重合体(I)から作製した膜を用いて測定した気体透過係数と透過係数比、また、一週間連続して気体透過を行った後の透過係数比を表1に示す。
【0058】
実施例2
実施例1において、ポリエーテル共重合体(I)に代えて、ポリエーテル共重合体(II)を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、膜を得た。作製した膜を用いて測定した気体透過係数と透過係数比を表1に示す。
【0059】
実施例3
実施例1において、ポリエーテル共重合体(I)に代えて、ポリエーテル共重合体(III)を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、膜を得た。作製した膜を用いて測定した気体透過係数と透過係数比を表1に示す。
【0060】
実施例4〜7
実施例1において、ポリエーテル共重合体(I)に代えて、ポリエーテル共重合体(IV〜VII)を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、膜を得た。作製した膜を用いて測定した気体透過係数と透過係数比を表1に示す。
【0061】
実施例8
ポリエーテル共重合体(VIII)20g、およびアセトニトリル100gを混合し均一とした。この混合液を10分間真空脱気し、厚み20μmのポリエチレンの多孔質フィルム上にキャストし、溶媒を除去して、膜を得た。この膜を直径60mmの円盤状に打ち抜き、気体透過性能測定用セルに装着し、各種気体の透過係数を測定した。作製した膜を用いて測定した気体透過係数と透過係数比を表1に示す。
【0062】
実施例9
実施例8において、ポリエーテル共重合体(VIII)に代えて、ポリエーテル共重合体(IX)を用いること以外は、実施例8と同様に処理して、膜を得た。作製した膜を用いて測定した気体透過係数と透過係数比を表1に示す。
【0063】
比較例1
実施例8において、ポリエーテル共重合体(VIII)に代えて、重量平均分子量350万、融解熱量172J/gのポリエチレンオキシド(PEO)を用いること以外は、実施例8と同様に処理して、膜を得た。作製した膜を用いて測定した気体透過係数と透過係数比を表1に示す。
【0064】
比較例2
実施例8において、ポリエーテル共重合体(VIII)に代えて、重量平均分子量4000、融解熱量180J/gのPEOを用いること以外は、実施例1と同様に処理して、膜を得た。作製した膜を用いて測定した気体透過係数と透過係数比を表1に示す。一週間後の測定では、含浸膜が機械的に不安定であったため測定できなかった。
【0065】
比較例3
実施例1において、ポリエーテル共重合体(I)膜に代えて、ポリスルホン樹脂(PSR)膜を用いて測定した気体透過係数と透過係数比を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
透過係数単位;10―10cm3(STP)cmcm−2s−1cmHg−1
透過係数比; ( )内は混合気体の結果を示す。
*一週間連続して気体透過を行った後の透過係数比
**測定不能
【0068】
合成例10
<ポリエーテル共重合体(A)の合成>
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒としてトリブチル錫クロライド0.1gとトリブチルホスフェート0.3gを250℃で20分間加熱して得られた有機錫−リン酸エステル縮合物と、水分10ppm以下に調整した2-(2-メトキシエトキシ)エチルグリシジルエーテル(EM-2)130g、アリルグリシジルエーテル(AGE)15gおよび溶媒としてヘキサン2,000gを仕込み、エチレンオキシド(EO)190gはグリシジルエーテル化合物の重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションにより生成物を取り出した後、減圧下40℃で24時間乾燥することによって、ポリエーテル共重合体(A)320gを得た。1H-NMRスペクトルから求めたこの共重合体のモノマー換算組成は、EO:EM-2:AGE=84:14:2モル%、ゲルパーミュエションクロマトグラフィーによる重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で220万、またDSC測定による結晶の融解熱は6J/gであった。
【0069】
合成例11
<ポリエーテル共重合体(B)の合成>
合成例10において、EM-2 130g、 AGE 15gおよびEO 190gに代えて、エピクロロヒドリン(EP)80g、 AGE 40gおよびEO 260gを用いること以外は、合成例10と同様に処理して、ポリエーテル共重合体(C)370gを得た。この共重合体のモノマー換算組成は、EO:EP:AGE=83:12:5モル%、重量平均分子量は140万、結晶の融解熱量は12J/gであった。
【0070】
合成例12〜14
<ポリエーテル共重合体(C)、(D)の合成>
EO、EM-2、およびAGEから選択されたモノマーを用いて、合成例10と同様にして、ポリエーテル共重合体(C)、(D)を得た。
ポリエーテル共重合体(C) EO/AGE=92/8
ポリエーテル共重合体(D) EO/EM-2=78/22
ポリエーテル共重合体(C)、(D)の重量平均分子量はそれぞれ220万、80万、結晶の融解熱量はそれぞれ85、8J/gであった。
【0071】
合成例15
<分岐状エーテル化合物(E)の合成>
(Step1)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 360g(3.0モル)にペレット状のNaOH 44.0g(1.1モル)を加え、70℃で攪拌しながら、2−(2−メトキシエトキシ)エチルグリシジルエーテル 176g(1.0モル)を少量ずつ滴下した。滴下終了後、約1時間攪拌した後室温で放冷した。その後、塩酸で中和し、析出した塩をろ過し、濃縮した後、減圧蒸留により精製し、1,3−ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−2−プロパノール 222g(収率75%)を得た。蒸留温度は171〜175℃/0.8mmHgであった。
【0072】
(Step2)
Step1で得られた1,3−ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−2−プロパノール 100g(0.34モル)にペレット状のNaOH 20.4g(0.51モル)を加え、60℃で攪拌しながら、2−クロロエチルメチルエーテル 48.2g(0.51モル)を少量ずつ滴下した。滴下終了後、約2時間攪拌し、析出した塩をろ過し、濃縮した後、減圧蒸留により精製し、1,3−ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−2−(2−メトキシエトキシ)プロパン(E)102g(収率 85%)を得た。蒸留温度は155〜161℃/0.2mmHgであった。
【化20】
【0073】
合成例16
<分岐状エーテル化合物(F)の合成>
ペンタエリスリトール 69g(0.5モル)にペレット状のNaOH 96g(2.4モル)を加え、70℃で攪拌しながら2−クロロエチルメチルエーテル189g(2.0モル)を少量ずつ滴下した。滴下終了後、約2時間攪拌した後、室温で放冷した。その後、析出した塩をろ過し、濃縮した後、減圧蒸留により精製し、(F)式の化合物35.4g(収率24%)を得た。蒸留温度は140℃/0.2mmHgであった。
【化21】
【0074】
合成例17
<分岐状エーテル化合物(G)の合成>
合成例10のStep1と同様の方法で合成した1,3−ビス(2−メトキシエトキシ)−2−プロパノール 100g(0.48モル)にペレット状のNaOH 9.6g(0.24モル)を加え、70℃で攪拌しながら2−クロロエチルエーテル11.4g(0.08モル)を少量ずつ滴下した。滴下終了後、約2時間攪拌した後、室温で放冷した。その後、析出した塩をろ過し、濃縮した後、減圧下(180℃/0.1mmHg)で低沸物を除いて、(G)式の化合物 31.2g(収率80%)を得た。
【化22】
【0075】
実施例10
<気体分離膜の作製>
ポリエーテル共重合体(A)20g、分岐状エーテル化合物(E)5g、架橋剤としてジエチレングリコールジメタクリレート(日本油脂株式会社製 ブレンマーPDE-100)1.0g、ベンゾイルパーオキシド0.20gおよびアセトニトリル100gを混合し均一とした。この混合液を10分間真空脱気し、ポリテトラフルオロエチレン製モールド上にキャストし、溶媒を除去した後、不活性ガス雰囲気中、80℃で3時間加熱して、厚み約60μmの膜を得た。この膜を直径60mmの円盤状に打ち抜き、気体透過性能測定用セルに装着し、水素ガス(H2)、二酸化炭素ガス(CO2)、窒素ガス(N2)、プロパンガス(C3H8)および1,3−ブタジエンガス(C4H6)のそれぞれの透過係数を測定した。
【0076】
気体透過係数は、膜面積18.86cm2のステンレス製のセルに膜を装着し、気体を1〜5kg/cm2の圧力で供給し透過側を減圧して、35℃で膜を透過してくる気体量を圧力センサーで検出し、各気体の透過係数を次の式で算出した。また透過係数比は各気体の透過係数の比で表した。
【0077】
実施例11
実施例10において、分岐状エーテル化合物(E)に代えて、分岐状エーテル化合物(F)を用いること以外は、実施例10と同様に処理して、膜を得た。作製した膜を用いて測定した気体透過係数と透過係数比を表2に示す。
【0078】
実施例12
実施例10において、分岐状エーテル化合物(E)に代えて、分岐状エーテル化合物(G)を用いること以外は、実施例10と同様に処理して、膜を得た。作製した膜を用いて測定した気体透過係数と透過係数比を表2に示す。
【0079】
実施例13〜21
ポリエーテル共重合体(B)、(C)、(D)と分岐状エーテル化合物(E)〜(G)を用いて、実施例10と同様に処理して、膜を得た。未架橋の場合には、架橋剤およびパーオキシドを用いなかった。
作製した膜を用いて測定した気体透過係数と透過係数比を表2に示す。
【0080】
【表2】
注) C4H6: 1,3―ブタジエン
【0081】
【発明の効果】
本発明の気体分離膜は加工性、成形性、機械的強度、柔軟性や耐熱性などに優れており、かつその分離性能は著しく改善されている。従って、特に効率よく二酸化炭素ガスや炭化水素ガスを分離することが必要な、気体分離膜に応用することが出来るものである。
本発明の気体分離膜は、二酸化炭素含有気体混合物、例えば二酸化炭素ガスと窒素ガスおよび/または空気および/または水素ガスなどを含む混合気体から二酸化炭素ガスを分離でき、さらに、炭化水素含有気体混合物、すなわち、炭化水素ガスと他のガス(例えば、窒素ガスおよび/または空気および/または水素ガスなど)を含む混合気体から炭化水素ガスを分離できる。
Claims (5)
- オキシラン化合物を重合して得られる重量平均分子量104〜107のポリエーテル重合体からなる分離膜であって、
ポリエーテル重合体を構成するモノマーが、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンおよびエピヨードヒドリンより選ばれる化合物と、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グリシジルより選ばれる化合物の組み合わせである分離膜。 - ポリエーテル重合体の重量平均分子量が、105〜5×106の範囲内である請求項1に記載の分離膜。
- 二酸化炭素ガスを含む混合気体より二酸化炭素ガスを分離する、あるいは炭化水素ガスを含む混合気体より炭化水素ガスを分離する請求項1〜2のいずれかに記載の分離膜。
- 窒素ガスと二酸化炭素ガスを含む混合気体または水素ガスと二酸化炭素ガスを含む混合気体より二酸化炭素ガスを分離する請求項1〜2のいずれかに記載の分離膜。
- エチレンオキシドと、式:
で示される少なくとも1種のオキシラン化合物とを重合して得られる重量平均分子量104〜107のポリエーテル重合体と、常温で液体性質を示す、式(i)、(ii)、および(iii)からなる群より選ばれる分岐状エーテル化合物からなる分離膜。
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