JP6460830B2 - 脂肪族ポリカーボネート樹脂、固体電解質、およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

脂肪族ポリカーボネート樹脂、固体電解質、およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、脂肪族ポリカーボネート樹脂、固体電解質、およびリチウムイオン二次電池に関する。
固体電解質は、液体電解質とは異なり、液漏れの心配がなく、軽量かつフレキシブルな電解質膜であるため、リチウムイオン等を用いた二次電池等への応用が期待される。代表的な固体電解質として、ポリエチレンオキシド(PEO)等のポリエーテル系電解質が多く研究されてきた。例えば、非特許文献1には、シアノエポキシドを高分子化したポリエチンレンオキシドが記載されている。
また、近年、ポリカーボネート系の電解質に関する研究が進められている。例えば、特許文献1には、ポリアルキレンカーボネートユニットを主鎖に有する有機高分子、アルカリ金属塩、並びにこれら有機高分子およびアルカリ金属塩と相溶性の有機溶媒を含有してなる高分子固体電解質が記載されている。特許文献2には、エポキシドと二酸化炭素との共重合体であるポリカーボネートおよび金属塩を含む高分子固体電解質が記載されている。特許文献3には、エーテル結合を介して置換基が結合した構造を有する側鎖を備えた脂肪族ポリカーボネートと、電解質塩化合物と、を含有する固体高分子電解質が記載されている。
特許第3384174号公報 特開2013−155213号公報 特開2010−287563号公報
Journal of Macromolecular Science, Chemistry 7 1484−1508(1973).
しかしながら、公知の脂肪族ポリカーボネート系樹脂は、電解質として使用しようとしたときに実用化レベルの耐熱性が得られない場合がある。また、得られるイオン伝導度は低かった。そのため、新たな高分子設計が必要である。
本発明は、実用化レベルの耐熱性を有し、かつ高いイオン伝導度を付与することができる脂肪族ポリカーボネート樹脂、固体電解質、およびリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂は、第一の構成単位と第二の構成単位とを有し、前記第一の構成単位が下記一般式(1)で表される基を有する構成単位である。
Figure 0006460830
(前記一般式(1)中、Rは電子吸引性基であり、Lは1または2であり、mは0または正の整数である。)
本発明の一態様に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂において、前記第一の構成単位は、下記一般式(2)で表される構成単位を含むことが好ましい。
Figure 0006460830
(前記一般式(2)中、R、L、およびmは前記と同様であり、nは正の整数であり、Rは水素原子またはアルキル基である。)
本発明の一態様に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂において、前記Rとしてのアルキル基は、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
本発明の一態様に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂において、前記Rは、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
本発明の一態様に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂において、前記第二の構成単位は、エポキシドから誘導される構成を有することが好ましい。
本発明の一態様に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂において、前記エポキシドから誘導される構成を有する第二の構成単位として、アルキレンカーボネートおよびアルキレンオキシドの少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明の一態様に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂において、前記Rは、シアノ基、環状エーテル基、および環状カーボネート基からなる群から選択されることが好ましい。
本発明の一態様に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂において、前記Rは、シアノ基、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基、2−テトラヒドロフラニル基、または3−テトラヒドロフラニル基であることが好ましい。
本発明の一態様に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂において、前記Rは、シアノ基であることが好ましい。
本発明の一態様に係る固体電解質は、前述の本発明の一態様に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂と、アルカリ金属塩とを含むことが好ましい。
本発明の一態様に係る固体電解質において、前記アルカリ金属塩は、リチウム塩であることが好ましい。
本発明の一態様に係る固体電解質において、前記リチウム塩として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドおよびリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明の一態様に係る固体電解質において、前記脂肪族ポリカーボネート樹脂中の全カーボネート基に対するアルカリ金属のモル比(アルカリ金属/全カーボネート基)が0.05以上4以下であることが好ましい。
本発明の一態様に係るリチウムイオン二次電池は、前述の本発明の一態様に係る固体電解質を含むことが好ましい。
前述の本発明の一態様によれば、実用化レベルの耐熱性を有し、かつ高いイオン伝導度を付与することができる脂肪族ポリカーボネート樹脂、固体電解質、およびリチウムイオン二次電池を提供することができる。
実施例で合成したモノマーAのH−NMRスペクトルである。 実施例で合成した脂肪族ポリカーボネート樹脂AのH−NMRスペクトルである。 実施例で合成した脂肪族ポリカーボネート樹脂BのH−NMRスペクトルである。 実施例で合成した脂肪族ポリカーボネート樹脂CのH−NMRスペクトルである。
本発明について一実施形態を例に挙げて説明する。
[脂肪族ポリカーボネート樹脂]
本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂は、下記一般式(1)で表される基を有する第一の構成単位と第二の構成単位とを有する。下記一般式(1)で表される基を脂肪族ポリカーボネート樹脂の側鎖に導入することにより、イオン伝導度を向上させることができる。また、第一の構成単位と第二の構成単位とを含む共重合体とすることで、耐熱性を向上させることができる。なお、第一の構成単位と、第二の構成単位とは、互いに異なる構造を有する。本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂は、第一の構成単位を複数種含んでいてもよく、第二の構成単位を複数種含んでいてもよい。
(第一の構成単位)
Figure 0006460830
前記一般式(1)中、Rは電子吸引性基であり、Lは1または2であり、mは0または正の整数である。
本実施形態において、mは0以上5以下の整数であることが好ましい。mが5以下であれば、モノマーの重合が進みやすくなる。さらには、エーテル鎖はカチオンと溶媒和構造をとるため、エーテル鎖が短い方が、イオン伝導がより良好となる。
本実施形態において、mは0以上3以下の整数であることがより好ましく、1または2であることがさらに好ましい。
本実施形態において、「電子吸引性基」とは、塩の解離を促進する効果を持つ置換基である。
本実施形態において、Rとしての電子吸引性基としては、例えば、シアノ基、環状エーテル基、環状カーボネート基、ハロゲン原子、およびスルホニル基等が挙げられる。前記第一の構成単位が複数存在する場合、複数のRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
本実施形態において、Rは、シアノ基、環状エーテル基、および環状カーボネート基からなる群から選択される基であることが好ましい。環状エーテル基としては、例えば、2−テトラヒドロフラニル基、3−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロピラニル基、3−テトラヒドロピラニル基、4−テトラヒドロピラニル基、2−オキセパニル基、3−オキセパニル基、および4−オキセパニル基等が挙げられる。環状カーボネート基としては、例えば、1,3−ジオキセタン−2−オン−4−イル基、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基、1,3−ジオキサン−2−オン−4−イル基、1,3−ジオキサン−2−オン−5−イル基、1,3−ジオキセパン−2−オン−4−イル基、および1,3−ジオキセパン−2−オン−5−イル基等が挙げられる。
本実施形態において、Rがシアノ基のとき、Lは2であることが好ましく、Rが環状エーテル基および環状カーボネート基からなる群から選択される基であるとき、Lは1であることが好ましい。
本実施形態において、Rは、シアノ基、2−テトラヒドロフラニル基、3−テトラヒドロフラニル基、または1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基であることがより好ましく、イオン伝導性をさらに向上させる観点から、シアノ基であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂は、前記第一の構成単位として、アルキレンカーボネートを含むことが好ましい。第一の構成単位としてのアルキレンカーボネートとしては、カーボネート基に、一般式 −(CH− で表されるメチレン鎖が結合している構造であることが好ましい。xは、1以上の整数であることが好ましく、2以上10以下の整数であることがより好ましく、2以上6以下の整数であることがさらに好ましい。具体的には、アルキレンカーボネートとしては、例えば、メチレンカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ペンタメチレンカーボネート、およびヘキサメチレンカーボネート等が挙げられる。側鎖としての前記一般式(1)で表される基は、前述のメチレン鎖のいずれかの水素原子に換えて、炭素原子に結合していることが好ましい。前述のメチレン鎖は、置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えばアルキル基等が挙げられる。
合成の容易性およびイオン伝導度向上の観点から、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂は、エチレンカーボネートを含むことが好ましく、エチレンカーボネートとして、下記一般式(2)で表される構成単位を含むことがより好ましい。すなわち、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂は、下記一般式(2)で表される構成単位を含むことが好ましい。
Figure 0006460830
前記一般式(2)中、R、L、およびmは前記と同様であり、nは正の整数であり、Rは水素原子またはアルキル基である。
本実施形態において、前記Rとしてのアルキル基は、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、炭素数1または2のアルキル基であることがより好ましい。炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。
は、好ましくは水素原子またはメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
(第二の構成単位)
本実施形態に係る第二の構成単位は、前記第一の構成単位とは互いに異なる構造を有する構成単位である。
本実施形態に係る第二の構成単位は、イオン伝導度を向上させる観点から、エポキシドから誘導される構成を有することが好ましい。
エポキシドから誘導される構成を有する第二の構成単位として、アルキレンカーボネートおよびアルキレンオキシドのうち、少なくともいずれかを含むことが、耐熱性およびイオン電導度の双方においてより好ましい。
第二の構成単位としてのアルキレンカーボネートとしては、カーボネート基に一般式 −CR−CR− で表される鎖が結合している構造であることが好ましい。R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。
第二の構成単位としてのアルキレンカーボネートとして、具体的には、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート(例えば、−O−CH−CH(CH)−O−CO−等)、リニアーブチレンカーボネート(例えば、−O−CH−CH(CHCH)−O−CO−等)、リニアーペンテンカーボネート(例えば、−O−CH−CH(CHCHCH)−O−CO−等)、およびリニアーヘキセンカーボネート(例えば、−O−CH−CH(CHCHCHCH)−O−CO−等)等が挙げられる。第二の構成単位としてのアルキレンカーボネートは、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートのうち、少なくともいずれかであることが好ましい。
第二の構成単位としてのアルキレンオキシドは、一般式 −CR−CR10−O− で表される構造であることが好ましい。R、R、R、およびR10は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。
第二の構成単位としてのアルキレンオキシドとして、具体的には、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド(例えば、−CH−CH(CH)−O−等)、ブチレンオキシド(例えば、−CH−CH(CHCH)−O−等)、ペンテンオキシド(例えば、−CH−CH(CHCHCH)−O−等)、およびヘキセンオキシド(例えば、−CH−CH(CHCHCHCH)−O−等)等が挙げられる。
本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂は、第一の構成単位が前記一般式(2)で表される構成単位であり、第二の構成単位がエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートであることがより好ましい。
本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂の分子量は、重量平均分子量(Mw)で表す場合、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算で、5,000〜5,000,000の範囲であることが好ましく、10,000〜1,000,000の範囲であることがより好ましい。
(脂肪族ポリカーボネート樹脂の製造方法)
本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されない。例えば、後述の実施例に記載のように、重合触媒の存在下、第一の構成単位を形成するモノマーと、第二の構成単位を形成するモノマーと、二酸化炭素とを、共重合させることにより、製造することができる。
本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂を製造する際に使用する重合触媒としては、特に限定されない。例えば、有機亜鉛系触媒、金属サレン錯体触媒(例えば、コバルトサレン錯体触媒)、および金属コロール系触媒等が例示できる。第二の構成単位をアルキレンカーボネートとする場合には、グルタル酸亜鉛(ZnGA)およびコバルトサレン錯体触媒が好ましく用いられ、第二の構成単位をアルキレンオキシドとする場合には、金属コロール系触媒が好ましく用いられる。
第一の構成単位を形成するモノマーと、第二の構成単位を形成するモノマーと、二酸化炭素とを共重合させる方法において、出発原料として用いられるモノマーとしては、第一の構成単位を形成するモノマーとして、例えば、前記一般式(1)で表される基を有するエポキシドモノマー等が挙げられ、第二の構成単位を形成するモノマーとして、例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド等が挙げられる。
具体的には、例えば、第一の構成単位を形成するモノマーとして、下記一般式(3)で表されるエポキシドモノマー(前記一般式(1)で表される基を有するエポキシドモノマー)が挙げられ、第二の構成単位を形成するモノマーとして、下記一般式(4)で表されるエポキシドモノマーが挙げられる。
Figure 0006460830
(前記一般式(3)中、R、R、L、およびmは、前記と同様である。)
Figure 0006460830
(前記一般式(4)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1もしくは2のアルキル基である。)
第一の構成単位を形成するモノマーと、第二の構成単位を形成するモノマーと、二酸化炭素との共重合反応に使用する重合触媒の使用量は、有機亜鉛系触媒の場合には、エポキシドモノマー1モルに対して0.2モル以下であることが好ましく、より好ましくは0.1モル以下、さらに好ましくは0.05モル以下である。なお、反応性の観点から、有機亜鉛系触媒の使用量は、エポキシドモノマー1モルに対して0.001モル以上であることが好ましい。また例えば、金属サレン錯体触媒の場合には、エポキシドモノマー1モルに対して、0.05モル以下であることが好ましく、より好ましくは0.01モル以下、さらに好ましくは0.001モル以下である。なお、反応性の観点から、金属サレン錯体触媒の使用量は、エポキシドモノマー1モルに対して、0.0001モル以上であることが好ましい。また例えば、金属コロール系触媒の場合には、エポキシドモノマー1モルに対して0.05モル以下であることが好ましく、より好ましくは0.01モル以下、さらに好ましくは0.001モル以下である。なお、反応性の観点から、金属コロール系触媒の使用量は、エポキシドモノマー1モルに対して0.0001モル以上であることが好ましい。
さらに、金属サレン錯体触媒または金属コロール系触媒を使用する場合には助触媒を使用することができる。助触媒としては、例えばオニウム塩化合物が好ましい。前記オニウム塩化合物の具体例として、特に限定されないが、高い反応活性を有する観点から、ビス(トリフェニルホスフォラニリデン)アンモニウムクロリド(PPNCl)、ピペリジン、ビス(トリフェニルホスフォラニリデン)アンモニウムフルオリド(PPNF)、アンモニウムペンタフルオロベンゾエート(PPNOBzF)、およびテトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド(nBuNCl)等が好ましい。
なお、圧力等の重合条件は、触媒の種類によっても最適条件が異なるが、例えば、反応容器内の二酸化炭素の圧力は、0.1MPa以上10MPa以下、好ましくは、0.5MPa以上7.0MPa以下である。
また、重合温度は、例えば、有機亜鉛系触媒の場合には、40℃以上100℃以下、好ましくは、60℃以上80℃以下程度である。また例えば、コバルトサレン錯体触媒の場合には、触媒作用が良好に働き、反応速度が促進されることから、室温(25℃)程度が好ましい。また例えば、金属コロール系触媒の場合には、反応時間を短縮する観点から、10℃以上90℃以下であることが好ましく、20℃以上60℃以下であることがより好ましい。
本実施形態における脂肪族ポリカーボネート樹脂は、第一の構成単位を形成するモノマーおよび第二の構成単位を形成するモノマーを重合させる他に、別の構造を有するモノマーを共存させて重合反応を行ってもよい。
本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂は、イオン伝導度の観点から、第一の構成単位を、全繰り返し単位中、15モル%以上97モル%以下含むことが好ましく、25モル%以上95モル%以下含むことがより好ましい。
また、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂は、耐熱性の観点から、第二の構成単位を、全繰り返し単位中、3モル%以上85モル%以下含むことが好ましく、5モル%以上75モル%以下含むことが好ましい。
第一の構成単位が15モル%以上であれば、イオン伝導度の向上効果が十分に得られ、第二の構成単位が3モル%以上であれば、耐熱性の向上効果が十分に得られる。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂は、ブロック共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体等、いずれであってもよいが、交互共重合体またはランダム共重合体であることが、耐熱性の観点からより好ましい。
[固体電解質]
本実施形態に係る固体電解質は、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂と、アルカリ金属塩とを含む。
固体電解質中の脂肪族ポリカーボネート樹脂の含有量は、(固体電解質全体の)5質量%以上99質量%以下であることが好ましく、10質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る固体電解質において、アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、およびカリウム塩等が挙げられる。
本実施形態において、アルカリ金属塩は、リチウム塩であることが好ましい。固体電解質中でアルカリ金属塩は、アルカリ金属等の陽イオンおよび当該陽イオンの対イオンとして存在し得る。アルカリ金属塩がリチウム塩であれば、エネルギー密度がより高くなる。
リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiI、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、LiNO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、LiCHSO、LiCSO、Li(CFSON、Li(CSO)N、Li(FSON、およびLi[(COB等を挙げることができる。これらの中でも、イオン伝導度の観点から、Li(CFSON(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド:LiTFSI)およびLi(FSON(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド:LiFSI)の少なくとも一種含むことがより好ましい。複数種類のアルカリ金属塩が固体電解質に含まれていてもよい。
本実施形態に係る固体電解質において、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂中の全カーボネート基(−O−CO−O−)に対するアルカリ金属(アルカリ金属塩に由来する金属のことであり、アルカリ金属塩から解離した金属イオンの他、アルカリ金属塩から解離していない金属をも含む概念とする)のモル比(アルカリ金属/全カーボネート基)が0.05以上4以下であることが好ましく、0.1以上3以下であることがより好ましく、0.1以上2以下であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る固体電解質は、本発明の目的を損なわない限りにおいて、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂およびアルカリ金属塩以外の成分を含んでいてもよい。
例えば、本実施形態に係る固体電解質は、溶媒を含まない固体状(溶媒非含有固体電解質)であってもよいが、溶媒を含むゲル状(高分子ゲル電解質)であってもよい。固体電解質が高分子ゲル電解質である場合、高分子ゲル電解質中の溶媒の含有量は、通常、固体電解質全体の30質量%以上99質量%以下である。
また、例えば、本実施形態に係る固体電解質は、ポリエチレンオキシド樹脂(PEO系)、ポリアクリルニトリル樹脂(アクリロニトリル系)、ポリフッ化ビリニデン樹脂(フッ素系)、ポリメチルメタクリレート樹脂(アクリル系)、およびその他の脂肪族ポリカーボネート樹脂(本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂以外の脂肪族ポリカーボネート樹脂)等、電解質に用いられる樹脂として公知の樹脂を含んでいてもよい。
また、例えば、本実施形態に係る固体電解質は、フィラーやその他添加剤を含んでいてもよい。
フィラーとしては、例えば、タルク、カオリン、クレー、珪酸カルシウム、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、マイカ、モンモリロナイト、およびガラス繊維等が挙げられる。これらの中でも、アルミナ、ジルコニア、酸化マグネシウム、およびチタン酸バリウムのうち少なくとも一種を含むことが好ましい。
本実施形態に係る固体電解質を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、モノマーを重合させて脂肪族ポリカーボネート樹脂を得てからアルカリ金属塩を含有させてもよいし、アルカリ金属塩の存在下でモノマーを重合させて脂肪族ポリカーボネート樹脂を形成させてもよい。前者の方法の場合、例えば、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂に、アルカリ金属塩および溶媒を加えて溶解させ、溶媒を除去することで固体電解質を得ることができる。
本実施形態に係る固体電解質の形態や構成等は、特に限定されない。例えば、膜状の固体電解質膜であってもよい。固体電解質膜は、自立性を有することが好ましい。自立性を有する固体電解質膜は、取り扱い性に優れる。自立性を有する膜とは、固体電解質膜を支持体から形状を保ったまま剥がすことができ、取り扱うことのできる膜である。
固体電解質膜は、次のようにして製造することができる。例えば、本施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂、アルカリ金属塩、および溶媒を含む混合溶液を支持体の表面に塗布して塗膜を形成し、塗膜中の溶媒を除去することにより、膜状の固体電解質膜を得ることができる。このとき、支持体から固体電解質膜を剥離する必要がある場合には、支持体の表面に剥離処理が施されていることが好ましい。
本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂において、主鎖にはカーボネート基(−O−CO−O−)が含まれており、その主鎖に結合している側鎖には電子吸引性基が含まれているため、塩の解離性およびポリマーの柔軟性が増し、アルカリ金属塩を多量に溶解させても結晶化し難い。また、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂は、第一の構成単位と第二の構成単位とを含む共重合体であるため、多量のアルカリ金属塩と共に用いた場合にも、分解することなく、良好な耐熱性を示す。
そのため、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂を含む固体電解質は、アルカリ金属塩を多量に溶解させて、キャリア密度を増加させることができる。ゆえに、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂によれば、イオン伝導度を向上させることができる。従来のポリエチレンオキシド系のポリマーや従来の脂肪族ポリカーボネート樹脂は、アルカリ金属塩を溶解させることのできる量が、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂より少なく、イオン伝導度を向上させようとしてアルカリ金属塩の量を増やすと、ポリマーのガラス転移温度が上昇することでイオンの移動度が低下し、イオン伝導度が低下してしまう。また、塩の結晶化が起きることで、膜強度やイオン伝導度が低下してしまう。
また、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂は、主鎖にカーボネート基を含む構造であるため、重合が容易であり、分子量を大きくすることができる。それゆえ、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂を用いることで、自立性を有する固体電解質膜として得ることができる。
さらに、本実施形態に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂は、側鎖に電子吸引性基を有しているため、アルカリ金属塩を含む固体電解質等に用いた場合にも、溶存する金属イオンとの間に強固な錯体構造を形成せずに、適度な相互作用を維持することができる。それゆえ、アルカリ金属塩が低濃度であっても、イオン電導度は良好となる。
本実施形態に係る固体電解質は、イオン伝導性に優れているため、例えば電池等に好適に用いることができる。本実施形態に係る固体電解質を含む電池としては、例えば、リチウムイオン電池およびリチウムイオン二次電池等を挙げることができる。
[リチウムイオン二次電池]
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、本実施形態に係る固体電解質を含むことが好ましい。本実施形態において、リチウムイオン二次電池の電解質層の構成材料として本実施形態に係る固体電解質を含むことが好ましい。リチウムイオン二次電池は、陽極と、陰極と、陽極および陰極の間に配置される電解質層とで構成される。当該構成とすることで、特性に優れた電池を得ることができる。
なお、前述の脂肪族ポリカーボネート樹脂、アルカリ金属塩、および溶媒を含有する混合溶液を電極に塗布し、溶媒を除去することで、固体電解質膜を電極上に直接形成してもよい。本実施形態に係るリチウムイオン二次電池が備える各種部材は、特に限定されないが、例えば電池に一般的に使用される材料を用いることができる。
そして、本実施形態に係る固体電解質は、溶媒を含んでいなくとも、イオン伝導性を有する。そのため、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池を、本実施形態に係る固体電解質を含み、かつ溶媒を含まない電池とすれば、液漏れがなく安全に使用することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されない。本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、これらの実施例に何ら限定されない。
[NMR測定]
実施例に使用した各種脂肪族ポリカーボネートは、核磁気共鳴分光法(H−NMR,日本電子株式会社製JEOL EX−400)を用い、その構造を確認した。溶媒には、d−クロロホルム(TMSを含有しない)を用いた。
<実施例1>
[脂肪族ポリカーボネート樹脂の合成]
(モノマーの合成)
まず、第一の構成単位を形成するモノマーとして、下記式のシアノエチルグリシジルエーテル(モノマーA)を、非特許文献1に記載の方法に従って合成した。得られたモノマーAの構造は、H−NMRにて確認した(図1)。
Figure 0006460830
(重合触媒の合成)
以下の操作に従い、亜鉛系触媒としてグルタル酸亜鉛(ZnGA)を調製した。
酸化亜鉛(ZnO:関東化学株式会社製)とグルタル酸(GA:関東化学株式会社製)を、モル比で1:0.99になるよう秤量した。これらの試薬を、Dean−Stark管を取り付けた200mLナスフラスコ中で、90mLのトルエンとともに55℃で4時間撹拌し、その後、140℃前後で24時間還流を行った。還流の際、副生物として水が生じるため、Dean−Stark管により、反応によって生じる水を回収した。
反応終了後、反応生成物をアセトンにより数回洗浄し、次いで、洗浄後の反応生成物をろ取した。続いて、ろ取した反応生成物をデシケーター中に入れ、ダイアフラムポンプを用いて減圧乾燥を行い、減圧乾燥後、さらに80℃で真空乾燥を行った。その後、スパチュラを用いて反応生成物を細かく砕き、さらに120℃で真空乾燥を行って、白色パウダー状のZnGAを得た。
(重合)
次に、本実施例に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂Aの合成を行った。
上記合成したモノマーAと、プロピレンオキシド(第二の構成単位を形成するモノマー)と、上記合成したZnGA(重合触媒)を、モル比で5:15:1になるよう秤量し、圧力容器内で撹拌した。これらの作業はすべて、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で行った。続いて、圧力容器内をCOでパージした後、送液ポンプによりCOを圧力容器内に導入し、圧力容器内の圧力を6.4MPaにし、60℃で48時間、重合反応を行った。以下に、脂肪族ポリカーボネート樹脂Aの合成スキームを示す。なお、下記合成スキームにおける脂肪族ポリカーボネート樹脂Aの構造は、便宜上示されているのであって、脂肪族ポリカーボネート樹脂Aがブロック共重合体であることを限定する構造ではない。
Figure 0006460830
反応終了後、圧力容器の内容物にクロロホルムを加えてクロロホルム溶液を調製し、これを吸引ろ過することによりZnGAを取り除いた。次に、ろ液を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した後、濃縮後のろ液を撹拌しているメタノール中に滴下し、生成物を沈殿させた。
その後、生成物は、デシケーター中でダイアフラムポンプを用いて減圧乾燥を行い、次いで、60℃で真空乾燥を行って、重量平均分子量24,000の脂肪族ポリカーボネート樹脂A[q(第一の構成単位PCEGE):35モル%、p(第二の構成単位PPC):65モル%)]を得た。なお、得られた脂肪族ポリカーボネート樹脂Aの構造は、H−NMRにて確認した(図2)。また、それぞれの構成単位の比率は、H−NMRによってそれぞれの構成単位由来のピークのプロトン比率から算出した。
<実施例2>
モノマーA、プロピレンオキシド、およびZnOA(重合触媒)のモル比を、10:10:1に変更した他は実施例1と同様にして、重量平均分子量26,800の脂肪族ポリカーボネート樹脂B[q(第一の構成単位PCEGE):60モル%、p(第二の構成単位PPC):40モル%)]を合成した。なお、得られた脂肪族ポリカーボネート樹脂Bの構造は、H−NMRにて確認した(図3)。また、それぞれの構成単位の比率は、H−NMRによってそれぞれの構成単位由来のピークのプロトン比率から算出した。
<実施例3>
モノマーA、プロピレンオキシド、およびZnOA(重合触媒)のモル比を、90:10:1に変更した他は実施例1と同様にして、重量平均分子量28,500の脂肪族ポリカーボネート樹脂C[q(第一の構成単位PCEGE):94モル%、p(第二の構成単位PPC):6モル%)]を合成した。なお、得られた脂肪族ポリカーボネート樹脂Cの構造は、H−NMRにて確認した(図4)。また、それぞれの構成単位の比率は、H−NMRによってそれぞれの構成単位由来のピークのプロトン比率から算出した。
<参考例1>
モノマーA、プロピレンオキシド、およびZnGA(重合触媒)のモル比を、20:0:1に変更した他は実施例1と同様にして、脂肪族ポリカーボネート樹脂D[q(第一の構成単位PCEGE):100モル%、p(第二の構成単位PPC):0モル%)]を合成した。
<比較例1>
モノマーA、プロピレンオキシド、およびZnGA(重合触媒)のモル比を、0:20:1に変更した他は実施例1と同様にして、脂肪族ポリカーボネート樹脂E[q(第一の構成単位PCEGE):0モル%、p(第二の構成単位PPC):100モル%)]を合成した。
[脂肪族ポリカーボネート樹脂の性能評価]
(ガラス転移温度)
実施例1〜3、参考例1、および比較例1で得られた脂肪族ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度の測定は、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント社製,型番:Q2000)を用いて行った。−70℃から100℃まで昇温速度20℃/分で測定試料を加熱し、熱量変化の測定を行って、データを採取した。
結果を表1に示す。
(耐熱性評価)
実施例1〜3、参考例1、および比較例1で得られた脂肪族ポリカーボネート樹脂の5%重量減少温度(測定試料を昇温しながら重量減少を測定し、重量減少が5重量%に達したときの温度)の測定は、示差熱分析装置(島津製作所社製、TG/DTA分析器DTG−60)を用いて行った。測定試料を昇温温度10℃/分にて40〜500℃まで昇温し、5%重量減少温度を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0006460830
表1に示すように、実施例1〜3の脂肪族ポリカーボネート樹脂A〜Cは、比較例1の脂肪族ポリカーボネート樹脂Eと同程度またはそれ以上に、耐熱性が良好であり、実用化レベルの耐熱性を有していることがわかった。
[電解質膜の製造]
次に、本実施例に係る脂肪族ポリカーボネート樹脂を含む固体電解質からなる電解質膜を製造した。
<実施例4>
上記脂肪族ポリカーボネート樹脂Aに、全カーボネート基に対するリチウムのモル比[Li]/[−O−CO−O−]が0.2となるように秤量したLiTFSIを混合して、よく撹拌し、固体電解質を得た。その後、フッ素樹脂製モールド上に固体電解質をキャストし、乾燥窒素雰囲気下、60℃で6時間乾燥させ、さらに減圧下、60℃で24時間乾燥させ、[Li]/[−O−CO−O−]のモル比が0.2の電解質膜を得た。
<実施例5>
脂肪族ポリカーボネート樹脂Aの代わりに、上記脂肪族ポリカーボネート樹脂Bを用いた以外は実施例4と同様の手順にて、[Li]/[−O−CO−O−]のモル比が0.2の電解質膜を得た。
<実施例6>
脂肪族ポリカーボネート樹脂Aの代わりに、上記脂肪族ポリカーボネート樹脂Cを用いた以外は実施例4と同様の手順にて、[Li]/[−O−CO−O−]のモル比が0.2の電解質膜を得た。
<参考例2>
脂肪族ポリカーボネート樹脂Aの代わりに、上記脂肪族ポリカーボネート樹脂Dを用いた以外は実施例4と同様の手順にて、[Li]/[−O−CO−O−]のモル比が0.2の電解質膜を得た。
<比較例2>
脂肪族ポリカーボネート樹脂Aの代わりに、上記脂肪族ポリカーボネート樹脂Eを用いた以外は実施例4と同様の手順にて、[Li]/[−O−CO−O−]のモル比が0.2の電解質膜を得た。
<実施例7>
脂肪族ポリカーボネート樹脂Aに、全カーボネート基に対するリチウムのモル比[Li]/[−O−CO−O−]が0.6となるように秤量したLiTFSIを混合した以外は実施例4と同様の手順にて、[Li]/[−O−CO−O−]のモル比が0.6の電解質膜を得た。
<実施例8>
脂肪族ポリカーボネート樹脂Aの代わりに脂肪族ポリカーボネート樹脂Bを用い、全カーボネート基に対するリチウムのモル比[Li]/[−O−CO−O−]が0.6となるように秤量したLiTFSIを混合した以外は実施例4と同様の手順にて、[Li]/[−O−CO−O−]のモル比が0.6の電解質膜を得た。
<実施例9>
脂肪族ポリカーボネート樹脂Aの代わりに脂肪族ポリカーボネート樹脂Cを用い、全カーボネート基に対するリチウムのモル比[Li]/[−O−CO−O−]が0.6となるように秤量したLiTFSIを混合した以外は実施例4と同様の手順にて、[Li]/[−O−CO−O−]のモル比が0.6の電解質膜を得た。
<参考例3>
脂肪族ポリカーボネート樹脂Aの代わりに脂肪族ポリカーボネート樹脂Dを用い、全カーボネート基に対するリチウムのモル比[Li]/[−O−CO−O−]が0.6となるように秤量したLiTFSIを混合した以外は実施例4と同様の手順にて、[Li]/[−O−CO−O−]のモル比率が0.6の電解質膜を得た。
<比較例3>
脂肪族ポリカーボネート樹脂Aの代わりに脂肪族ポリカーボネート樹脂Eを用い、全カーボネート基に対するリチウムのモル比[Li]/[−O−CO−O−]が0.6となるように秤量したLiTFSIを混合した以外は実施例4と同様の手順にて、[Li]/[−O−CO−O−]のモル比率が0.6の電解質膜を得た。
[電解質膜の性能評価]
(ガラス転移温度)
実施例4〜9、参考例2〜3、および比較例2〜3で得られた電解質膜のガラス転移温度の測定は、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント社製,型番:Q2000)を用いて行った。−70℃から100℃まで昇温速度20℃/分で測定試料を加熱し、熱量変化の測定を行って、データを採取した。
結果を表2に示す。
(耐熱性評価)
実施例4〜9、参考例2〜3、および比較例2〜3で得られた電解質膜の5%重量減少温度(測定試料を昇温しながら重量減少を測定し、重量減少が5重量%に達したときの温度)の測定は、示差熱分析装置(島津製作所社製、TG/DTA分析器DTG−60)を用いて行った。測定試料を昇温温度10℃/分にて40〜500℃まで昇温し、5%重量減少温度を測定した。
結果を表2に示す。
(イオン伝導度)
実施例4〜9、参考例2〜3、および比較例2〜3で得られた電解質膜を、それぞれ直径16mmの円形に切り抜き、電極として2枚のステンレス板で挟み、ステンレス板間のインピーダンスを、測定温度60℃にて測定した。測定には、電極間に交流(印加電圧は10mV)を印加して抵抗成分を測定する交流インピーダンス法を用いた。得られたコール・コールプロットの実数インピーダンス切片よりイオン伝導度を算出した。なお、測定にはポテンショスタット/ガルバノスタット(SP−150 biologic社製)を用いた。
イオン伝導度(σ)は、次の数式(1)により求めた。
σ=L/(R×S)・・・(1)
前記数式(1)中、σはイオン伝導度(単位はS/cm)、Rは抵抗(単位はΩ)、Sは電解質膜の測定時の断面積(単位はcm)、Lは電極間距離(単位はcm)を示す。なお、S=0.8cm×0.8cm×πである。
測定結果を表3に示す。
Figure 0006460830
Figure 0006460830
表2および表3に示すように、実施例4〜6の電解質膜は、実用化レベルの良好な耐熱性を有しており、かつ比較例2の電解質膜よりもイオン伝導度が高いことがわかった。一方、比較例2の電解質膜は、耐熱性は良好であるが、イオン伝導度は低かった。
また、表2および表3に示すように、実施例7〜9の電解質膜も、実用化レベルの良好な耐熱性を有しており、かつ比較例3の電解質膜よりもイオン伝導度が高いことがわかった。一方、比較例3の電解質膜は、耐熱性が良好であるが、イオン伝導度は低かった。

Claims (13)

  1. 第一の構成単位と第二の構成単位とを有し、前記第一の構成単位が下記一般式(1)で表される基を有する構成単位であり、第二の構成単位が下記一般式(4)で表されるエポキシドモノマーに由来する構成単位である脂肪族ポリカーボネート樹脂。
    Figure 0006460830
    (前記一般式(1)中、Rは電子吸引性基であり、Lは1または2であり、mは1以上5以下の正の整数である。)
    Figure 0006460830
    (前記一般式(4)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1もしくは2のアルキル基である。)
  2. 前記第一の構成単位は、下記一般式(2)で表される構成単位を含む、請求項1に記載の脂肪族ポリカーボネート樹脂。
    Figure 0006460830
    (前記一般式(2)中、R、L、およびmは前記と同様であり、nは正の整数であり、Rは水素原子またはアルキル基である。)
  3. 前記Rとしてのアルキル基は、炭素数1〜3のアルキル基である、請求項2に記載の脂肪族ポリカーボネート樹脂。
  4. 前記Rは、水素原子またはメチル基である、請求項2に記載の脂肪族ポリカーボネート樹脂。
  5. 前記第二の構成単位として、アルキレンカーボネートの少なくとも一種を含むか、或いは、アルキレンカーボネートの少なくとも一種を含み、かつ、アルキレンオキシドの少なくとも一種を含む、請求項1に記載の脂肪族ポリカーボネート樹脂。
  6. 前記Rは、シアノ基、環状エーテル基、および環状カーボネート基からなる群から選択される、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の脂肪族ポリカーボネート樹脂。
  7. 前記Rは、シアノ基、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基、2−テトラヒドロフラニル基、または3−テトラヒドロフラニル基である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の脂肪族ポリカーボネート樹脂。
  8. 前記Rは、シアノ基である、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の脂肪族ポリカーボネート樹脂。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の脂肪族ポリカーボネート樹脂と、アルカリ金属塩とを含む固体電解質。
  10. 前記アルカリ金属塩は、リチウム塩である、請求項9に記載の固体電解質。
  11. 前記リチウム塩として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドおよびリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの少なくとも一種を含む、請求項10に記載の固体電解質。
  12. 前記脂肪族ポリカーボネート樹脂中の全カーボネート基に対するアルカリ金属のモル比(アルカリ金属/全カーボネート基)が0.05以上4以下である、請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の固体電解質。
  13. 請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の固体電解質を含むリチウムイオン二次電池。
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