JP5610468B2 - 固体高分子電解質、固体高分子電解質フィルム及び固体高分子電解質フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献1には、PEO等のポリエーテル結合を有する高分子に1種又は2種以上のアルカリ金属塩を配合したイオン伝導性高分子組成物が記載されている。特許文献2と特許文献3には、ポリアルキレンカーボネートユニットを主鎖に有する有機高分子のユニットを有する有機高分子、金属塩並びにこれら有機高分子及び金属塩と相溶性の有機溶媒を含有してなる高分子固体電解質が記載されている。特許文献4には、例えば、エポキシ化合物と二酸化炭素の重合体とスルホン酸化合物からなるプロトン伝導性高分子固体電解質が記載されている。さらに、特許文献5には、希土類金属化合物及び還元性化合物の存在下、プロピレンオキシドを除く置換エポキシドと二酸化炭素を共重合するポリカーボネートの製法が記載されている。
このような背景の下、本発明者は、エポキシド化合物と二酸化炭素(CO2)との共重合反応により得られる脂肪族ポリカーボネートに注目した。この脂肪族ポリカーボネートは、PEO系材料と比べ、結晶性の発現によるイオン導電率の低下等の問題が解消される。さらに、二酸化炭素の有効利用の観点からも期待される。
本発明の目的は、脂肪族ポリカーボネートを含む固体高分子電解質等を提供することにある。
請求項1に係る発明は、エーテル結合を介して置換基が結合した構造を有する側鎖を備えた脂肪族ポリカーボネートと、電解質塩化合物と、を含有し、前記脂肪族ポリカーボネートは、グリシジルエーテル化合物と二酸化炭素との交互共重合体であって、下記式(2)で表される構成単位を有することを特徴とする固体高分子電解質である。
請求項4に係る発明は、下記式(2)で表される構成単位からなる脂肪族ポリカーボネートと電解質塩化合物とを共通の溶媒に溶解して高分子電解質溶液を調製し、前記高分子電解質溶液を基板上に拡げて高分子電解質溶液膜を調製し、前記高分子電解質溶液膜中の前記溶媒を除去することを特徴とする固体高分子電解質フィルムの製造方法である。
本実施の形態が適用される固体高分子電解質は、成分として、(a)エーテル結合を介して置換基が結合した構造を有する側鎖を備えた脂肪族ポリカーボネートと、(b)電解質塩化合物と、を含有する。以下、各成分について説明する。
成分(a)としての脂肪族ポリカーボネートは、主鎖にカーボネート基を有し、エーテル結合を介して置換基が結合した構造を有する側鎖を備えている。脂肪族ポリカーボネートの分子量は、特に限定されず、本実施の形態では、数平均分子量として1×103〜1×106の範囲が好ましい。
式(1) −CH2OR
式(1)中、Rは、置換基を表し、脂肪族ポリカーボネートの主鎖とエーテル結合を介して結合している。置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、アリル基、n−ブチル基、t−ブチル基、オクチル基、セチル基、ステアリル基、i−プロキル基、メトキシエチル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が好ましい。具体的には、フェニル基、m−トリル基、o−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。
これらの置換基の中でも、脂肪族炭化水素基が好ましく、特に、メトキシエチル基が好ましい。
ここで、グリシジルエーテル化合物としては、置換基として炭化水素基、芳香族炭化水素基を有するグリシジルエーテル化合物が挙げられる。置換基として炭化水素基を有するグリシジルエーテル化合物としては、例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、セチルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、置換基として芳香族炭化水素基を有するグリシジルエーテル化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、グリシジル−m−トリルエーテル、グリシジル−o−トリルエーテル、グリシジル−p−トリルエーテル、グリシジル−α−ナフチルエーテル、グリシジル−β−ナフチルエーテル等が挙げられる。
グリシジルエーテル化合物は、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
式(3) −R1(R2)
ここで、式(3)中、R1は、炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基を表す。R2は、当該R1の1〜4位に結合する1〜7個の置換基であり、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2又は3のアルケニル基、炭素数2又は3のアルキニル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、炭素数1又は2のアルキルチオ基、メチルオキシカルボニル基、炭素数2又は3のアシル基、アセチルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数1又は2のスルフィニル基、炭素数1又は2のアルキルスルホニル基、炭素数1又は2のアルキルアミノ基、ハロゲン原子及び炭素数0〜3のシリル基からなる群から選択される置換基を表す。
本実施の形態において、上述したグリシジルエーテル化合物と二酸化炭素との共重合反応に使用する重合触媒は特に限定されないが、本実施の形態では、有機溶媒の存在下に酸化亜鉛とジカルボン酸とを接触させて得られる亜鉛系触媒が好ましい。
このような亜鉛系触媒を調製する際に用いるジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、1,5−ペンタンジカルボン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、1,8−オクタンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、特に、グルタル酸、アジピン酸が好ましい。ジカルボン酸は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
グリシジルエーテル化合物と二酸化炭素との共重合反応に使用する重合触媒の使用量は、グルシジルエーテル化合物と重合触媒とのモル比(グルシジルエーテル化合物:重合触媒)として、100:0.1〜100:10、好ましくは100:3〜100:5の範囲から選択される。
グリシジルエーテル化合物と二酸化炭素との重合方法は特に限定されず、本実施の形態では、例えば、反応容器中にグリシジルエーテル化合物と重合触媒とを導入後、予め定められた圧力で反応容器中に二酸化炭素を導入し、共重合反応を行う方法が挙げられる。
重合反応の時間は特には限定されないが、本実施の形態では、30分〜100時間、好ましくは1〜50時間、さらに好ましくは1〜300時間の範囲である。
重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法において行なうことができる。
重合反応終了の後、ろ過等の操作により触媒残渣を反応生成物から除去する。また、例えば、希酸、希アルカリの水溶液による洗浄を行うことによって除去できる。
グリシジルエーテル化合物と二酸化炭素との共重合体(脂肪族ポリカーボネート)は、反応溶液から重合溶媒を除去することにより回収する。重合溶媒を除去する方法としては、例えば、フラッシュ乾燥、蒸発乾固等の直接乾燥法;反応溶液を脂肪族ポリカーボネートの貧溶媒中で析出させる析出凝固法等が挙げられる。
本実施の形態が適用される固体高分子電解質の成分(b)としての電解質塩化合物としては、従来の固体高分子電解質に用いられている金属塩が挙げられる。金属塩としてはリチウム塩が好ましい。具体的には、例えば、LiBr、LiCl、LiI、LiSCN、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、CH3COOLi、CF3COOLi、LiCF3SO3、LiPF6、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3等が挙げられる。
これらの中でも、LiN(CF3SO2)2(リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド:LiTFSI)が好ましい。また、金属塩としては、上述のリチウム塩のアニオンと、リチウム以外のアルカリ金属、例えばカリウム、ナトリウム等との塩を使用することもできる。これらの金属塩は、1種又は2種以上を併用することができる。
本実施の形態が適用される固体高分子電解質は、種々の方法により膜の形態に成形され、固体高分子電解質フィルムとして使用することができる。成膜方法としては特に限定されないが、例えば、固体高分子電解質の成分(a)(脂肪族ポリカーボネート)と成分(b)(電解質塩化合物)とを共通の溶媒に溶解した溶液を調製し、この溶液を平坦な基板に広げ、溶媒を蒸発させてフィルムを得るキャスト法;成分(a)と成分(b)とを混練し、押出成形機によりフィルム状の押出す押出成形法等が挙げられる。
実施例に使用した脂肪族ポリカーボネートの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、標準ポリスチレンの分子量に換算した。溶媒にはクロロホルムを用いた。検出器として、屈折計(RI)を用いた。但し、ポリ(フェニルグリシジルエーテル/二酸化炭素)共重合体についてはUV検出器を用いた。測定条件は、流速1.0ml/minである。測定は、各種共重合体のクロロホルム溶液を調製し、この溶液をろ過した後、200μlを注入した。結果を後述する表1に示す。
実施例に使用した脂肪族ポリカーボネート、固体高分子電解質のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry, DSC)により測定した。試料容器にアルミニウムパンを用い、基準物質は大気(空容器)とした。測定条件は、温度範囲を−100℃〜+200℃、昇温速度を10℃/minとした。結果を後述する表1に示す。
実施例に使用した各種脂肪族ポリカーボネートは、核磁気共鳴分光法(1H−NMR,13C−NMR,日本電子株式会社製JEOL EX−400)を用い、その構造を確認した。溶媒には、d−クロロホルム(CDCl3wt%TMS)を用いた。
実施例において使用した固体高分子電解質フィルムのイオン伝導度(σ)は、試料を1対の電極(SUS製:厚さ10mm×幅15mm×長さ10mm)で挟んだ測定セルを作成し、これを用いて複素インピーダンスを測定し、次式に基づきイオン伝導度(σ)を算出した。
σ=d/(R・A)
(式中、Rはバルク抵抗値、dは試料の厚さ、Aは電極の面積である。)
複素インピーダンスの測定を行うと、電位勾配に沿ったイオンの泳動と同時に、電気二重層の充放電、電極反応などが起こるために、周波数依存性を示す。この周波数依存性を、実数部を横軸、虚数部を縦軸とした平面にプロット(Cole−Coleプロット)し、その軌跡を説明する等価回路の値(抵抗値)を求めた。
測定温度は、30℃,40℃,60℃,80℃,100℃である。イオン伝導度(σ)の測定結果を、後述する表1に示す。
また、複素インピーダンスの測定結果から算出したイオン伝導度(σ)を用い、測定温度の逆数(1000/T)を横軸、イオン伝導度の対数(logσ)を縦軸に取ったアレニウスプロットを作成した。結果を図4に示す。
(A)重合触媒
以下の操作に従い、亜鉛系触媒としてグルタル酸亜鉛(ZnGA)を調製した。
酸化亜鉛(ZnO:関東化学株式会社製)とグルタル酸(GA:関東化学株式会社製)を、モル比で1:0.99になるよう秤量した。これらの試薬を200mlナスフラスコ中で、90mlのトルエンとともに55℃で4時間撹拌し、その後、140℃前後で24時間還流を行った。この際、副生物として水が生じるため、反応によって生じる水を回収するDean−Stark管を組み込んだ。
反応終了後、反応生成物をアセトンにより数回洗浄し、次いで、ろ集した。続いて、反応生成物を、デシケーター中でダイアフラムポンプを用いて減圧乾燥を行った後、80℃で真空乾燥を行った。その後、スパチュラを用いて反応生成物を細かく砕き、さらに120℃で真空乾燥を行って、白色パウダー状のZnGAを得た。以下に、ZnOとグルタル酸との合成スキームを示す。
(a)脂肪族ポリカーボネートの調製
以下の操作に従い、各種脂肪族ポリカーボネートを調製した。
先ず、グルシジルエーテル化合物として以下の6種類の化合物を準備した。各化合物は、予め、モレキュラーシーブ(4Å)により脱水処理を行った。
・n−ブチルグリシジルエーテル(nBGE,関東化学株式会社製)
・t−ブチルグリシジルエーテル(tBGE,ALDRICH社製)
・フェニルグリシジルエーテル(PGE,関東化学株式会社製)
・i−プロピルグリシジルエーテル(iPrGE,東京化成株式会社製)
・エチルグリシジルエーテル(EGE,東京化成株式会社製)
・メトキシエチルグリシジルエーテル(MeEt−GE)
その後、生成物は、デシケーター中でダイアフラムポンプを用いて減圧乾燥を行い、次いで、60℃で真空乾燥を行って、白色・ゴム状の脂肪族ポリカーボネートをそれぞれ得た。
図1は、ポリ(n−ブチルグリシジルエーテル/二酸化炭素)共重合体(P(nBGE)の1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルである。図2は、ポリ(t−ブチルグリシジルエーテル/二酸化炭素)共重合体(P(tBGE)の1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルである。図3は、ポリ(フェニルグリシジルエーテル/二酸化炭素)共重合体(P(PGE)の1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルである。図4は、ポリ(i−プロピルグリシジルエーテル/二酸化炭素)共重合体(P(iPrGE)の1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルである。図5は、ポリ(エチルグリシジルエーテル/二酸化炭素)共重合体(P(EGE)の1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルである。図6は、ポリ(メトキシエチルグリシジルエーテル/二酸化炭素)共重合体(P(MeEt−GE)の1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルである。
5.01ppm(−CH2−CH−OCOO−)
4.27〜4.43ppm(−CH2−CH−OCOO)
3.60〜3.79ppm(−CH2−O−(CH2)3−CH3)
3.39〜3.46ppm(−CH2−CH2−CH2−CH3)
1.52〜1.75ppm(−CH2−CH2−CH2−CH3)
1.26〜1.36ppm(−CH2−CH2−CH2−CH3)
0.89〜0.92ppm(−CH2−CH2−CH2−CH3)
尚、各種共重合体の1H−NMRスペクトルにおいて、グリシジルエーテル化合物と二酸化炭素との共重合反応の進行に伴うエポキシ基の開環の影響を受け、グリシジルエーテル化合物の2.5ppm,2.8ppm,3.15ppm付近に見られるエポキシ環由来のピークが小さくなっていることが分かる。
154.13〜154.24ppm(−O−C=O−O)
76.69〜77.40ppm(CDCl3)
73.68〜74.33ppm(CH2−CH−OCOO)
70.58〜71.84ppm(−CH2−O−CH2−,−CH2−O−CH2−)
68.21〜68.29ppm(−CH2−CH−OCOO−)
31.49〜31.56ppm(−O−CH2−CH2−CH2−CH3)
19.12〜19.19ppm(−O−CH2−CH2−CH2−CH3)
13.80ppm(−O−CH2−CH2−CH2−CH3)
尚、各種共重合体の13C−NMRスペクトルにおいて、CO2とエポキシドの共重合によるカーボネート基由来のピークを、154ppm付近に確認した。
表1に示したグリシジルエーテル化合物(モノマー)と二酸化炭素を用いて得られた脂肪族ポリカーボネート0.1gをクロロホルム20mlに溶解し、クロロホルム溶液(濃度0.5%)を調製した。次に、このクロロホルム溶液に電解質塩化合物としてリチウムビストリフルオロスルホニルイミド(LiTFSI)を添加し、均一に拡散させた。LiTFSIの添加量は、脂肪族ポリカーボネートの1ユニットに対し10mol%である。
次に、脂肪族ポリカーボネートとLiTFSIとを含むクロロホルム溶液からクロロホルムを除去し、厚さ0.3mm程度のキャストフィルムを調製した。クロロホルムの除去は、ダイアフラムポンプによる減圧乾燥後、さらに、60℃で真空乾燥を行った。
このような操作により調製した固体高分子電解質フィルム(キャストフィルム)について、前述した操作により、ガラス転移温度及び複素インピーダンスを測定した。複素インピーダンスの測定結果から、イオン伝導度(σ)を求めた。結果を表1に示す。
また、図7は、実施例で使用した固体高分子電解質フィルムについて求めたイオン伝導度(σ)のアレニウスプロットである。
尚、比較のため、非晶性のポリエーテル系材料として、ポリエチレングリコールメタクリレート系材料(P(MEO))/LiTFSIを含む固体高分子電解質フィルムと、ポリ(エチレンオキシド−メトキシジエチレングリコールグリシジルエーテル−アリルグリシジルエーテル)共重合体(P(EO/EM2/AGE))/LiTFSIを含む固体高分子電解質フィルムとを調製し、実施例1と同様に複素インピーダンスの測定を行った。ポリエチレングリコールメタクリレート系材料(P(MEO))の構造は以下の通りである。結果を表1に示す。
<モノマー等>
PGE:フェニルグリシジルエーテル
nBGE:n−ブチルグリシジルエーテル
tBGE:t−ブチルグリシジルエーテル
iPrGE:i−プロピルグリシジルエーテル
EGE:エチルグリシジルエーテル
MeEt−GE:メトキシエチルグリシジルエーテル
P(MEO):ポリエーテル系材料
P(EO/EM2/AGE):ポリ(エチレンオキシド−メトキシジエチレングリコールグリシジルエーテル−アリルグリシジルエーテル)
共重合体
<電解質塩化合物>
LiTFSI:リチウムビストリフルオロスルホニルイミド
表1に示す結果から、脂肪族ポリカーボネートとLiTFSIを含む固体高分子電解質フィルムは、良好なイオン伝導度(σ)を示すことが分かる。
特に、図7に示すアレニウスプロットの結果から、ポリ(メトキシエチルグリシジルエーテル/二酸化炭素)共重合体(P(MeEt−GE))−LiTFSIを含む固体高分子電解質フィルムの場合(実施例6)、P(MEO)系材料を使用した場合(比較例1)と同等なイオン伝導度(σ)を示すことが分かる。表1に示すように、80℃におけるイオン伝導度(σ)は1.2×10−4S/cmであり、P(MEO)系材料のイオン伝導度(σ)は4.6×10−4S/cmである。
一方、従来のPEO系材料を用いる固体高分子電解質は、イオン伝導度の理論的な限界が指摘されており、実用的な数値に達成することが困難であると考えられている。さらに、PEO系材料は吸湿性が高く、力学的強度も不十分であることから、密封型の電池等に用途が限定され、さらなる用途開拓が難しいとされている。
またさらに、本発明で使用する脂肪族ポリカーボネートは、主鎖にカーボネート基を有し、炭素、水素、酸素のみから構成されている。このため、生分解性を発現し自然界の微生物により加水分解を受ける可能性が考えられる。これにより、廃棄の際、土壌に埋め立てることが可能な電池の開発が考えられる。
Claims (4)
- 30℃におけるイオン伝導度が1×10−5S/cm以上であることを特徴とする請求項2に記載の固体高分子電解質フィルム。
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