JP4224389B2 - スプリングコネクタ - Google Patents

Description

本発明は、信頼性が高くしかも安価に製造し得るスプリングコネクタに関するものである。

従来のスプリングコネクタの構造の一例が、特開２００３−１７１７３に示されている。この従来の構造の一例を、図７ないし図９を参照して簡単に説明する。図７は、従来のスプリングコネクタのホルダを一部切り欠いた図であり、（ａ）は被当接端子が当接してない状態を示し、（ｂ）は被当接端子が当接した状態を示す。図８は、図７（ａ）のＤ−Ｄ矢視断面図である。図９は、板状端子を示す図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は左側面図である。
特開２００３−１７１７３

まず、従来のスプリングコネクタの一例は、導電材からなる板状端子１０と、板状端子１０に摺動自在な導電性ピン１２と、板状端子１０と導電性ピン１２の間に縮設されるコイルスプリング１４と、絶縁樹脂からなるホルダ１６で構成される。

板状端子１０は、図９に示すごとく、長尺状の板金が略半分に折り曲げられて開口端側が折り曲げ側より広い略Ｕ字状とされ、折り曲げられた半分の一方に先端方向が開口する凹部１０ａが形成され、凹部１０ａの底縁中央に小さな突部１０ｂが形成される。折り曲げられた半分の他方は、基板（図示せず）に半田付けなどされる接続部１０ｃである。また、導電性ピン１２は、先端側に径の細いプランジャ部１２ａが形成され、基端側に膨大部１２ｂが形成され、この膨大部１２ｂの両側に軸方向の溝１２ｃ，１２ｃが形成される。これらの溝１２ｃ，１２ｃが板状端子１０の凹部１０ａの対向する内側縁に嵌合され、これを摺動用のガイドとして、導電性ピン１２が板状端子１０に対して摺動自在に配設される。さらに、導電性ピン１２には、基端面より軸方向に有底孔が形成される。なお、板状端子１０および導電性ピン１２は、必要により金メッキなどが施される。

そして、絶縁樹脂からなるホルダ１６内に、導電性ピン１２がプランジャ部１２ａの先端を突出させてしかも抜け出ないように突出および押し込み自在で、また板状端子１０が適宜に固定されて、それぞれに組み込まれる。そして、ホルダ１６の基底面に対して、導電性ピン１２は、先端側が上にある斜方向に突出および押し込み自在とされる。ここで、導電性ピン１２の有底孔に一端側が挿入されて、また他端が板状端子１０の凹部１０ａの底縁中央の突部１０ｂでずれが阻止されて、コイルスプリング１４が導電性ピン１２と板状端子１０の凹部１０ａの底縁との間に縮設される。しかも、ホルダ１６の基底面に、板状端子１０の接続部１０ｃが配設される。

かかる構成の従来例において、図７（ｂ）に示すごとく、ホルダ１６の基底面と平行に被当接端子１８が導電性ピン１２のプランジャ部１２ａの先端に押し込み方向に当接すると、導電性ピン１２は板状端子１０の凹部１０ａの内側縁をガイドとしてコイルスプリング１４を縮ませながら斜め下方へと移動する。この際に、導電性ピン１２には、図７（ｂ）でＦなるこじる方向の力が作用し、導電性ピン１２の溝１２ｃ，１２ｃが板状端子１０の凹部１０ａの内側縁に強く押圧される。もって、導電性ピン１２と板状端子１０が確実に電気的な接続が得られる。

上記従来にあっては、導電性ピン１２を板状端子１０に確実に電気的な接続を得るために、導電性ピン１２はホルダ１６の基底面に対して平行方向に押し込まれず、その押し込み方向は基底面に対して所定の傾斜を必要とする。すなわち、被当接端子１８の移動方向に対して、導電性ピン１２の押し込み方向が、ある角度をもって斜めとなるように形成される。そこで、この押し込み方向を傾斜させて設定する分だけ、基底面からの高さ寸法が大となる。

本発明は、かかる従来技術の事情に鑑みてなされたもので、導電性ピンの突出および押し込み方向はホルダの基底面と平行で、しかも導電性ピンと板状端子が確実に電気的な接続がなされるスプリングコネクタを提供することを目的とする。

かかる目的を達成するために本発明のスプリングコネクタは、絶縁性のホルダ内に、先端側に径の細いプランジャ部が形成され基端側に膨大部が形成された導電性ピンを、前記プランジャ部の先端が前記ホルダより先端方向に突出するとともに前記膨大部により抜け出ないようにして突出および押し込み自在に配設し、前記導電性ピンの前記膨大部の両側に突出および押し込み方向の溝を設け、前記膨大部の両側の前記溝に嵌合する一対のガイド部と前記導電性ピンに対して上または下または上下から弾接する弾接部を設けた導電性の板状端子を前記ホルダに配設し、前記導電性ピンを突出方向に弾性付勢するコイルスプリングを配設して構成されている。

請求項１記載のスプリングコネクタにあっては、突出および押し込み自在の導電性ピンに板状端子の弾接部が常に弾接しているので、導電性ピンの突出および押し込み方向がホルダの基底面と平行であっても、導電性ピンと板状端子の電気的な接続が確実に得られる。そこで、従来例に比較して、導電性ピンの突出および押し込み方向に傾斜を必要としない分だけ高さ寸法を小さくすることが可能である。しかも、導電性ピンに上または下から弾接部を弾接させるので、この弾接部と導電性ピンの電気的な接続および導電性ピンの溝がガイド部に押圧されることによる電気的な接続が得られ、確実に導電性ピンと板状端子の電気的な接続が得られる。または、導電性ピンに上下から弾接部を弾接させることで、それぞれの弾接部で電気的な接続が得られる。

以下、本発明の第１実施例を図１ないし図３を参照して説明する。図１は、本発明のスプリングコネクタの第１実施例を示し、（ａ）はホルダの一部を切り欠いた図、（ｂ）は（ａ）のＡ−Ａ矢視断面図、（ｃ）は（ａ）のＢ−Ｂ矢視断面図である。図２は、板状端子を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は左側面図である。図３は、導電性ピンを示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は左側面図である。

まず、図３に示す導電性ピン１２は、上述の従来例に用いたものと同じであり、プランジャ部１２ａと膨大部１２ｂと溝１２ｃ，１２ｃおよび有底孔１２ｄを有する。そして、導電材からなる板状端子２０は、図２に示すごとく、長尺状の板金が略Ｕ字状で半分に折り曲げられ、折り曲げられた半分の一方が中央部分と両側部分に縦に３つに分割され、両側部分は、折り曲げられた半分の他方の接続部２０ａとなる部分と略平行に形成されるとともに両側部分の対向する内側縁が平行とされてガイド部２０ｂ，２０ｂが形成され、中央部分で導電性ピン１２に上から弾接する弾接部２０ｃが形成される。そして、ガイド部２０ｂ，２０ｂの内側縁が導電性ピン１２の溝１２ｃ，１２ｃに嵌合して、ガイド部２０ｂ，２０ｂにより導電性ピン１２が摺動自在とされる。なお、導電性ピン１２の摺動範囲内で、弾接部２０ｃが導電性ピン１２に弾接することは勿論である。さらに、板状端子２０には、コイルスプリング１４の基端側のずれを阻止する突起２０ｄが突設される。そこで、コイルスプリング１４の一端側を導電性ピン１２の有底孔１２ｄに挿入し、他端側を板状端子２０の突起２０ｄでずれを阻止して、コイルスプリング１４が導電性ピン１２と板状端子２０の間に縮設されるようにして、板状端子２０に導電性ピン１２が組み付けられる。

さらに、図１に示すごとく、導電性ピン１２と板状端子２０およびコイルスプリング１４の組み付け体を、ホルダ２２に組み込み適宜に板状端子２０が抜け出ないようにする。ここで、導電性ピン１２のプランジャ部１２ａの先端はホルダ２２から突出し、しかも膨大部１２ｂにより突出方向への抜けが規制される。板状端子２０の接続部２０ａはホルダ２２の基底面に配設される。

かかる構成からなる本発明のスプリングコネクタの第１実施例にあっては、板状端子２０の弾接部２０ｃが導電性ピン１２に常に弾接するので、従来例のごとく、導電性ピン１２の突出および押し込み方向が被当接端子１８の移動方向に対してある角度で斜めに設定される必要はなく、平行であっても確実な電気的な接続が得られる。しかも、弾接部２０ｃの弾力で導電性ピン１２の溝１２ｃ，１２ｃがガイド部２０ｂ，２０ｂの上面に押し付けられ、ここでも電気的な接続が得られる。

次に、本発明の第２実施例を図４および図５を参照して説明する。図４は、本発明のスプリングコネクタの第２実施例を示し、（ａ）はホルダの一部を切り欠いた図、（ｂ）は被当接端子が当接して押し込まれた状態の図である。図５は、板状端子を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は左側面図である。図４および図５において、図１ないし図３に示す部材と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。

第２実施例で、第１実施例と相違するところは、図５に示すごとく、板状端子３０に導電性ピン１２に対して上から弾接する弾接部２０ｃに加えて、下から弾接する別の弾接部３０ｃを設けたことにある。なお、ホルダ３２は、この弾接部３０ｃが下から導電性ピン１２に弾接し得るように形成されることは勿論である。また、第２実施例にあっては、下から弾接する弾接部３０ｃは、図４（ｂ）に示すごとく、導電性ピン１２が被当接端子１８に押し込まれた最終段階近くで、始めて導電性ピン１２に弾接するように形成されている。

かかる構成からなる本発明のスプリングコネクタの第２実施例にあっては、導電性ピン１２に対して２つの弾接部２０ｃ，３０ｃが弾接して確実に電気的な接続が得られる。しかも、導電性ピン１２に対して２つの弾接部２０ｃ，３０ｃが弾接する突出および押し込み方向の位置が違うことにより、導電性ピン１２に対してこじる力が作用し、導電性ピン１２の溝１２ｃ，１２ｃの両端部に板状端子３０のガイド部２０ｂ，２０ｂが強く押圧されて、ここでも確実な電気的に接続がなされる。この２つの弾接部２０ｃ，３０ｃにより導電性ピン１２をこじるためには、導電性ピン１２の摺動に遊びが必要である。また、導電性ピン１２の押し込みの最終段階近くで、もう１つの弾接部３０ｃを弾接させることで、被当接端子１８を当接させる操作の完了を感知させることも可能である。なお、２つの弾接部２０ｃ，３０ｃが対向する位置で導電性ピン１２に弾接するようにしても良い。

さらにまた、本発明の第３実施例を図６を参照して説明する。図６は、本発明のスプリングコネクタの第３実施例に用いる板状端子を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は左側面図である。図６において図１ないし図５に示す部材と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。

図６に示す第３実施例の板状端子５０は、第１実施例で、導電性ピン１２の突出方向に先端を向けて板状端子２０が折り曲げられてガイド部２０ｂ，２０ｂが形成されているのに代えて、突出および押し込み方向と直交する断面形状が接続部２０ａの両側より対向する一対のコ字状に折り曲げ、このコ字状の対向する内側縁をガイド部５０ｂ，５０ｂとして作用させるように形成されている。なお、ホルダは、図示していないが、かかる板状端子５０が適宜に配設固定し得るように形成されることは勿論である。

かかる構成の第３実施例では、第１実施例の比較して、ガイド部５０ｂ，５０ｂの機械的強度を大きく製作するのに適している。

本発明のスプリングコネクタの第１実施例を示し、（ａ）はホルダの一部を切り欠いた図、（ｂ）は（ａ）のＡ−Ａ矢視断面図、（ｃ）は（ａ）のＢ−Ｂ矢視断面図である。 第１実施例の板状端子を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は左側面図である。 導電性ピンを示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は左側面図である。 本発明のスプリングコネクタの第２実施例を示し、（ａ）はホルダの一部を切り欠いた図、（ｂ）は被当接端子が当接して押し込まれた状態の図である。 第２実施例の板状端子を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は左側面図である。 本発明のスプリングコネクタの第３実施例に用いる板状端子を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は左側面図である。 従来のスプリングコネクタのホルダを一部切り欠いた図であり、（ａ）は被当接端子が当接してない状態を示し、（ｂ）は被当接端子が当接した状態を示す。 図７（ａ）のＤ−Ｄ矢視断面図である。 従来例の板状端子を示す図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は左側面図である。

符号の説明

１０，２０，３０，５０ 板状端子
１０ｃ，２０ａ 接続部
１２ 導電性ピン
１２ａ プランジャ部
１２ｂ 膨大部
１２ｃ 溝
１２ｄ 有底孔
１４ コイルスプリング
１６，２２，３２ ホルダ
１８ 被当接端子
２０ｂ，５０ｂ ガイド部
２０ｃ，３０ｃ 弾接部
２０ｄ 突起

Claims (1)

1. 絶縁性のホルダ内に、先端側に径の細いプランジャ部が形成され基端側に膨大部が形成された導電性ピンを、前記プランジャ部の先端が前記ホルダより先端方向に突出するとともに前記膨大部により抜け出ないようにして突出および押し込み自在に配設し、前記導電性ピンの前記膨大部の両側に突出および押し込み方向の溝を設け、前記膨大部の両側の前記溝に嵌合する一対のガイド部と前記導電性ピンに対して上または下または上下から弾接する弾接部を設けた導電性の板状端子を前記ホルダに配設し、前記導電性ピンを突出方向に弾性付勢するコイルスプリングを配設して構成したことを特徴するスプリングコネクタ。