JP4222237B2 - 擦弦楽器 - Google Patents

擦弦楽器 Download PDF

Info

Publication number
JP4222237B2
JP4222237B2 JP2004079441A JP2004079441A JP4222237B2 JP 4222237 B2 JP4222237 B2 JP 4222237B2 JP 2004079441 A JP2004079441 A JP 2004079441A JP 2004079441 A JP2004079441 A JP 2004079441A JP 4222237 B2 JP4222237 B2 JP 4222237B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piece
thin
string
instrument
bowed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004079441A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005266377A (ja
Inventor
洋次郎 高林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaha Corp
Original Assignee
Yamaha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaha Corp filed Critical Yamaha Corp
Priority to JP2004079441A priority Critical patent/JP4222237B2/ja
Publication of JP2005266377A publication Critical patent/JP2005266377A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4222237B2 publication Critical patent/JP4222237B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Stringed Musical Instruments (AREA)
  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Description

この発明は、自然擦弦楽器であるバイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス等による演奏音と同様な楽音を、弦の振動を検出するセンサから出力される電気信号に基づいて発生する擦弦楽器、すなわち電気擦弦楽器および電子擦弦楽器に関する。
電気擦弦楽器は、弓による擦弦操作(ボーイング)時の弦の振動を、ピックアップ(センサ)で検出して電気信号に変換し、その電気信号を増幅してフィルタ処理などを施して楽音信号とし、それをスピーカで電気・音響変換して自然擦弦楽器と同様な楽音を放音する。
一方、電子擦弦楽器は、電気擦弦楽器と同様に、擦弦操作による弦の振動をピックアップで検出して電気信号に変換するが、その電気信号から楽音のピッチや振幅などのデータを作成し、そのデータを電子音源に入力することにより、例えばROMに記憶されたPCM符号化された楽音データを読み出してD/A変換して楽音信号を生成し、その楽音信号をスピーカで電気・音響変換して自然擦弦楽器と同様な楽音を放音する。
このような電気擦弦楽器及び電子擦弦楽器(以下「電気・電子擦弦楽器」という)は、スピーカの代りにヘッドホンで楽音を聴きながら演奏練習を行なったり、演奏による楽音信号を録音テープや記録ディスクなどの記録媒体に記録したりすることができる。
したがって、このような擦弦楽器によれば、外部に演奏音を放音しない消音演奏をすることができる。その場合も、弦を弓で擦ることによる摺接音や弦の振動音自体は消音できないが、弦の振動が伝わる楽器本体からの放射音はできる限り抑える必要がある。
そのため、従来の消音演奏に適した電気・電子擦弦楽器の楽器本体(ボディ)は、共鳴胴のない厚肉の木材等による中実のソリッド構造になっていた。
しかし、このようなソリッド構造のボディを使用すると楽器全体が重くなるため演奏性に問題が生じ、特にバイオリンのように手で持って演奏する楽器には適さなかった。
そこで、特許文献1に見られるように、電気・電子擦弦楽器の楽器本体を、木材単板を複数層に積層し、その各層間の少なくとも一ヶ所に粘着層を介在させた集成構造にすることによって、重量を軽減しながら充分な消音効果が得られるようにすることが提案されている。
特許第3225856号公報
バイオリン等の自然擦弦楽器では、演奏者のボーイングに応じて弦が振動するとともに駒が若干揺動するため、ボーイングの仕方によって音色が変化する。しかしながら、上述したようなソリッド構造あるいは積層集成構造の楽器本体(ボディ)を使用した電気・電子擦弦楽器では駒が揺動しないため、ボーイングの振る舞いによる音色変化が少ない。また、音色自体も硬めでふくよかさが足りないという問題があった。
この発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、消音演奏に適した電気・電子擦弦楽器でありながら、演奏者のボーイングの振る舞いに応じて音色が変化し、且つ柔らかくふくよかな音色が得られるようにすることを目的とする。
この発明による擦弦楽器は、共鳴胴の無い厚肉材からなるボディと、そのボディ上に張られた弦と、その弦とボディとの間に挟持される駒と、弦の振動を検出して電気信号を出力するセンサとを備えた擦弦楽器であって、上記の目的を達成するため、上記ボディの駒を装着する部位の近傍を他の部位より肉厚が薄い薄肉部としたものである。
そして、上記ボディの薄肉部の裏面側の該ボディの長手方向における駒の搭載位置より幾分テールピース側にずれた位置で、幅方向における中央より高音側にずれた位置に、上記薄肉部の揺動の支点となる支柱部材を上記ボディに一体に形成して設け、上記ボディの前記薄肉部の裏面側の該ボディの幅方向における中央より低音側にずれた位置に、該薄肉部の揺動を前記ボディ全体に伝達するための補強部材(ブレース)を、上記ボディの長手方向にリブ状に延びて該ボディに一体に形成して設けたことを特徴とする。
さらに、上記ボディの薄肉部を形成した部分の両側部に、上面から薄肉部の厚さだけ下のところに長手方向に沿ってスリットを形成するとよい。
また、上記センサを駒に埋設すれば、演奏に応じた微妙な弦振動を正確に検出することができる。そのセンサとしては、バイモルフ型又はモノモルフ型圧電素子などの曲げセンサを用いるとよい。
この発明による擦弦楽器は、消音効果が充分に得られるソリッド構造のボディを備えた電気・電子擦弦楽器でありながら、演奏者のボーイングの振る舞いに応じてボディの薄肉部が駒とともに若干揺動するため、演奏表現を反映した音色変化が生じる。また、ボディの駒を介して弦振動が伝達される部位が薄肉部で、厚肉のものと比較して振動伝達ロスが大きいため、柔らかくふくよかな音色となる。
そして、薄肉部の回動支点となる支柱部材を設けているので、薄肉部が駒の揺動に応じて揺動し易い。さらに、その揺動変位が補強部材によってボディ全体に伝達されるため、中低音の力強さが増し、音像が明確になる効果がある。しかも、これらの支柱部材と補強部材とが薄肉部の裏面側に一体に形成されているので、部品点数が増加せず、安価に作製することができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔基本的な実施例〕
まず、この発明による擦弦楽器の基本的な実施例を図1乃至図3によって説明する。図1はその擦弦楽器のボディの駒装着部付近の縦断面図(図2のA−A線に沿う断面図)、図2は同じくその横断面図(図1のB−B線に沿う断面図)である。
この擦弦楽器1は消音(サイレント)型の電気擦弦楽器と電子擦弦楽器に兼用できるものである。その楽器本体であるボディ10は、図1及び図2には駒装着部付近しか図示していないが、基本的には共鳴胴の無い厚肉材である中実の木材からなり、弦13を張る方向に細長い形状をなしている。そして、このボディ10の図1における左側の端部には、図示しない指板を支持するとともに先端部にペグボックスを備えたネックが固着され、図1における右側の端部には図示しないテールピースが装着されている。
そのペグボックスには4個の糸巻が設けられており、その各糸巻とテールピースとの間に4本の弦13が張られ、指板とテールピースとが対向する部分の中間において、弦13とボディ10の上面10aとの間に図示のように駒20が挟持されて装着され、各弦13に張力を与えている。
その駒20は、楓等の薄板材で作られており、弦13を係止する上縁が円弧状に形成され、中間部には複数の切欠部と切抜部が設けられている。そして、テールピース側から見た図2において、左側が低音側、右側が高音側であり一対の脚部22が設けられている。4本の弦13は、バイオリンに合わせると左側からG線,D線,A線,E線であり、G線が一番太く、E線が一番細い。
駒20内には、弦13が弓で擦られたときの振動を検出して電気信号をリード線16に出力する一対のセンサ25が埋設されている。このセンサ25としては、バイモルフ型又はモノモルフ型圧電素子などの曲げセンサが適している。この駒の詳細については図3によって後述する。
ボディ10は、図1及び図2に示すように、駒20を装着する部位の近傍の厚肉材を裏面1b側から彫り込んで凹陥部104を形成し、その部分を他の部位より肉厚が薄い薄肉部101としている点に特徴がある。この実施例ではさらに、その薄肉部101の裏面側に、薄肉部101の揺動の支点となる支柱部材102を、保持板105との間に挟持させて設けている。その保持板105は、ボディ10の裏面に長手方向に沿って凹陥部104を跨いでブリッジ状に固着されている。
この支柱部材102は、自然楽器のバイオリンなどに設けられている魂柱に相当し、ボディ10の長手方向においては図1に示すように駒20の搭載位置より幾分テールピース側にずれた位置に、ボディ10の幅方向においては図2に示すように中央より高音側にずれた位置に設けるのが望ましい。
この薄肉部101の裏面側にはさらに、図2に示すように、幅方向の中央より低音側にずれた位置に長手方向にリブ状に延びる補強部材であるブレース103を固着して設けている。このブレース103は、薄肉部101の揺動をボディ10の全体に伝達させるように設けている。
その支柱部材102とブレース103を、ボディ10に一体に形成するとよい
このボディ10の薄肉部101を形成した部分の両側部106には、上面から薄肉部101の厚さだけ下のところに長手方向に沿ってスリット(細長い孔)107が形成されている。
この擦弦楽器1が演奏されると、図2に矢示Q,Rで示すボーイング方向と平行な方向に駒20が揺動する。ボディ10の薄肉部101はこの駒20の揺動による力を受けて支柱部材102を回動軸として揺動する。その揺動は、弦13の張設方向に直交する方向(矢示Q,Rで示す方向に平行な方向)と若干ながら弦13の張設方向に平行な方向にも生じる。
このような薄肉部101の揺動は、ボーイングによる演奏表現を反映した動きに対しており、その揺動運動の変化に応じて、駒20に埋設されたセンサ25によって出力される電気信号が微妙に変化し、その信号に基づいて発生される楽音に音色変化を生み出す。また、ボディ10の駒20を介して弦振動が伝達される部位が薄肉部101であり、厚肉のものと比較して振動伝達ロスが大きいため、柔らかくふくよかな音色となる。
〔駒の具体例〕
次に、駒20の具体例について図3によって説明する。
図3は図1及び図2に示した駒20をテールピース側から見た正面図である。この駒20は、一般のバイオリンに搭載される駒と同様に、楓材が加工された板状の本体部21及び前述したボディ10の薄肉部101の表面に当接する一対の脚部22とを備えている。
その本体部21には、通常のバイオリンの駒と同様に、一対の切欠部220a、220bと1つの切抜部220cが形成されている。すなわち、一対の切欠部220a、220bは、本体部21の板面21Sの左右両側から中心線O−O′の方向に細く切込んだ後、上方の外側方向へそれぞれ方向を転換して大きく切り欠いたレバー(肝臓)形に形成されている。また、切抜部220cは、板面21Sの中央部に中心線O−O′に対称な一対の円形の切抜きの下部を互いに連結したハート形の切抜部である。ここで、中心線O−O′は、本体部21の弦配列方向(図3で左右方向)における略中央を通り、薄肉部101の表面に対して略垂直な線である。
また、一対の脚部22にも、それぞれ左右両側からU字状に切欠いた切欠部220d,220eと220f,220gが形成されている。
本体部21の上縁21Uは円弧状に形成され、そこに4本の弦13を一定の間隔を置いて係止する。
そして、演奏者が通常のバイオリンの弓と同じもので矢示Q,R方向にボーイングすると、それによって擦られた弦13が同方向に振動し、駒20の本体部21も矢示Q,R方向に曲げ力を受けて揺動するとともに、脚部22を経てその弦振動をボディ10の薄肉部101に伝達する。
その際、互いに隣接する切欠部220aと切抜部220cとの間、切欠部220bと切抜部220cとの間、切欠部220aと220eの間、切欠部220dと220eとの間、切欠部220bと220gとの間、および切欠部220fと220gとの間の各部によって、各弦13から薄肉部101への弦振動伝播経路(破線矢印で示す)が形成される。
さらに、この駒20の本体部21には、その板面21Sに中心線O−O′に対して対称な三叉状の溝230が形成されている。この溝230は、本体部21の下縁21Dから中心線O−O′に沿って上方に延びる主溝230aとその上端部から分岐して互いに離間するように斜め上方に延びる2本の枝溝230b,230cとからなる。
その枝溝230bは、切欠部220aと切欠部220cとの間の中央部の弦振動伝播経路に沿って延び、枝溝230cは、切欠部220bと切抜部220cとの間の中央部の弦振動伝播経路に沿って延びている。
この枝溝230b,230c内には、それぞれ弦13の振動を検出するセンサ(この例ではバイモルフ型圧電素子による曲げセンサ)25が合成樹脂製のホルダ24に支持されて収容されている。その各センサ25と枝溝230b,230cの内壁面とは離間しており、その隙間には油土等の塑性材料26が充填されている。この塑性材料26は、枝溝230b,230cの内壁面の変形をセンサ25に伝達する役割を果たす。
本体部21の板面21Sには図3に仮想線で示す範囲に、三叉状の溝230が形成された部分を覆うブリッジカバー27が貼り付けられるが、図3ではこのブリッジカバー27を貼り付ける前の状態を示している。
一対のセンサ25は、互いに同極性の面同士を並列接続するか、あるいは直列に接続して、擦弦時に本体部21が矢示Q,R方向に揺動変位したときに、枝溝230b,230cの内壁面が矢示P方向に変位することによってその圧電素子(ピエゾ素子)に発生する起電力が、互いに重畳して電気信号としてリード線16に出力されるようにする。
このセンサ25によって出力される電気信号をサウンドユニットに入力させて増幅し、各種の処理を施して、スピーカあるいはヘッドホンで電気・音響変換して楽音を発生させるようにすれば電気擦弦楽器となる。また、その電気信号から楽音のピッチや振幅などのデータを作成し、そのデータを電子音源に入力して楽音信号を生成し、その楽音信号をスピーカあるいはヘッドホンで電気・音響変換して楽音を発生させるようにすれば電子擦弦楽器となる。
なお、駒に形成する切欠部はレバー形又はU字形に限るものではないし、切抜部もハート形に限るものではなく、任意の形状および大きさのものに変更することもできる。また、その数も上述した例のように、本体部に3個、脚部に4個に限るものではなく、適宜の個数だけ所要な位置に設けることができる。
振動を検出するセンサは、バイモルフ型圧電素子による曲げセンサに限らず、モノモルフ型圧電素子による曲げセンサや、歪に応じて抵抗値が変化する歪ケージなど、弦振動による本体部の変形を検出することが可能なセンサであればよい。
〔具体的な実施例〕
次に、この発明による擦弦楽器のより具体的な実施例を図4乃至図11によって説明する。図4はその擦弦楽器の具体的実施例を平面図、図5はその擦弦楽器をサウンドシステムおよびスピーカと共に示す側面図である。これらの図において、前述した図1及び図2と対応する部分には同一の符号を付している。
この擦弦楽器2は、消音(サイレント)型の電気バイオリンと電子バイオリンに兼用できるものである。その楽器本体であるボディ10は、前述の実施例と同様に基本的には共鳴胴の無い厚肉材である中実の木材からなり、弦13を張る方向に細長い形状をなしている。そして、駒20を装着する部分の幅が最も広く、両端部方向に幅がやや狭くなる。
このボディ10の駒装着部の裏面は支持金具31によって胴部3に固着支持されている。その胴部3はバイオリンの共鳴胴の輪郭の一部と顎当て装着部を模した形状に形成されているが、共鳴胴にはなっていない。4は顎当てであり、胴部3の顎当て装着部に着脱可能に取り付けられる。
ボディ10の図4及び図5において左側に延びた端部には、指板14を支持すると共に先端部にペグボックス11aを備えたネック11が連結金具32によって固着され、右側に延びた部分にはテールピース15が装着されている。その右側に延びた部分の端部も胴部3に固着されている。
ネック11の先端部のペグボックス11aには4個の糸巻12が設けられており、その各糸巻12とテールピース15との間に、スチールあるいはガットなどによる4本の弦13が張られ、指板14とテールピース15とが対向する部分の中間において、各弦13とボディ10の上面10aとの間に図示のように駒20が挟持されて装着され、各弦13に張力を与えている。
このボディ10の駒20を装着する部位の近傍は、前述の実施例と同様に他の部位より肉厚の薄い薄肉部101となっている。そして、ボディ10の両側部106におけるその薄肉部101に対応する部分の下側に長手方向に延びるスリット(細長い孔)107を形成している。この点も前述の実施例と同様である。なお、このボディ10の詳細については後述する。
駒20は、図3によって説明した駒を使用することができる。すなわち、内部に弦13の振動を検出する一対のセンサ(前述の例ではバイモルフ型圧電素子による曲げセンサ)が埋設されており、そのリード線16に電気信号を出力する。そのリード線16は、テールピース15の裏面に沿って胴部3に導かれ、図5に示すように胴部3の後部側面に設けたジャック17に接続される。
図5に示す6はサウンドユニットで、ジャック17に挿着可能なプラグ18を先端に備えた信号線(インタフェースケーブル)5を設けている。7はこのサウンドユニット6に接続されるスピーカである。このスピーカ7に変えてヘッドホンを接続してもよい。
電気バイオリンを構成する場合は、このサウンドユニット6が入力信号を増幅し、各種処理を施して楽音信号を生成して、スピーカ7又はヘッドホンに出力する装置である。
電子バイオリンを構成する場合は、このサウンドユニット6が、例えばPCM符号化されたバイオリンの楽音データを記憶したROMと、そのデータを読み出す回路と、読み出したPCMデータをアナログの楽音信号に変換するD/Aコンバータ等から構成された音源装置と、その楽音信号を増幅するアンプ等からなる装置である。そして、入力信号から楽音のピッチや振幅などのデータを作成し、そのデータを電子音源に入力することによって楽音信号を生成し、その楽音信号を増幅してスピーカ7あるいはヘッドホンに出力する。
そこで、信号線5のプラグを擦弦楽器2のジャック17に挿着して、演奏者がこの擦弦楽器2を演奏すると、ボーイングによって弦が振動し、その振動を駒20内のセンサが検出して電気信号を出力し、その電気信号に基づいてサウンドユニット6が楽音信号を生成し、スピーカ7あるいは図示していないヘッドホンによって電気・音響変換してバイオリンの演奏音を放音することができる。
次に、この擦弦楽器2のボディ10の構造の詳細を図6乃至図10によって説明する。
図6は図4及び図5におけるボディの平面図(A)とその要部を断面にして示す側面図(B)であり、図7はその底面図である。図8、図9、及び図10は、それぞれ図6(A)のC−C線、D−D線、及びE−E線に沿う拡大断面図である。
これらの図において、図1、図2、図4、及び図5と対応する部分には同一の符号を付してある。なお、図6及び図7において、上側がネック側であり、下側がテールピース側である。
このボディ10も、前述のように駒を装着する部位の近傍の厚肉材を裏面10b側から彫り込んで凹陥部104を形成し、その部分を他の部位より肉厚が薄い薄肉部101としている。また、前述したように、ボディ10の両側部106におけるその薄肉部101に対応する部分の下側に長手方向に延びるスリット(細長い孔)107を形成している。
さらに、薄肉部101の裏面側に、この実施例では薄肉部101の揺動の支点となる支柱部10cをボディ10に一体に形成している。
すなわち図9に明示するように、ボディ10の薄肉部101を形成した凹陥部104の内側に、支柱部10cとなる部分を一方の側部106の内面から突出するように彫り残し、スリット107のその残した部分に当たる箇所を支柱部10cの手前10eまで深く彫り込んで、支柱部10cを形成する。
また、この支柱部10cは、前述した基本的実施例における支柱部材102と同様に、自然楽器のバイオリンに設けられている魂柱に相当し、ボディ10の長手方向においては駒の搭載位置より幾分テールピース側にずれた位置に、ボディ10幅方向においてはその中央より高音側(図9では右側)にずれた位置に設けている。
この薄肉部101の裏面側にはさらに、図6〜図9に示すように、幅方向の中央より低音側(図9では左側)にずれた位置に、長手方向にリブ状に延びる補強部であるブレース部10dを一体に設けている。このブレース部10dも、図9に明示するように、薄肉部101の内面から裏面10bまで突出するように、凹陥部104内に彫り残して形成しており、薄肉部101の揺動をボディ10の全体に伝達させるように設けている。
このボディ10の薄肉部101に続くテールピース側には、ベース形の浅い凹陥部108が形成されており、図5に示した支持金具31が嵌合する。図10に示す小穴109は、支持金具31の位置決め穴である。図6の(A)に示す110は、図5に示した胴部3への取付孔、111は図5に示したネック11への取付孔である。
この擦弦楽器2によっても、ボディ10の駒20を装着する部位の近傍が他の部位より肉厚が薄い薄肉部101になっているので、演奏時の駒20の揺動によってその薄肉部101も揺動し、それによって駒20に埋設されたセンサ25によって出力される電気信号が微妙に変化し、その信号に基づいて発生される楽音に音色変化が生じる。また、薄肉部101は厚肉部に比べて振動伝達ロスが大きいため、柔らかくふくよかな音色となる。
そして、この実施例でも薄肉部101の回動支点となる支柱部10cを設けているので、薄肉部101が駒20の揺動に応じて揺動し易い。
さらに、その揺動変位がブレース部10dによってボディ10全体に伝達されるため、中低音の力強さが増し、音像が明確になる効果がある。ブレース部10dがないと、薄肉ブ101の駒20の近傍のみが大きく変形し、薄肉ブ101の全体が振動せず、中低音に力強さが出てこない。ブレース部10dがあると、薄肉部101の全体が振動して音に芯が出てくる。
しかも、これらの支柱部10cとブレース部10dとが薄肉部101の裏面側に一体に形成されているので、部品点数が増加せず、安価に作製することができる。
上述した実施例は、この発明を電気・電子バイオリンに適用した場合について説明したが、この発明はこれに限るものではなく、ビオラ、チェロ、コントラバス等に対応する各種の消音型の電気・電子擦弦楽器にも同様に適用できる。その場合、そのボディや駒の材質、サイズ及び形状等をそれらの擦弦楽器に応じて適宜変更すればよい。また、弦の振動を検出するセンサを駒に埋設することはこの発明に不可欠のことではなく、駒の外部にセンサを取り付けたり、駒とボディとの間にセンサを挟み込むようにしてもよい。
この発明は、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス等の練習用などに使用する各種の消音(サイレント)型の電気・電子擦弦楽器を製造あるいは改造したり、それらの擦弦楽器を用いた演奏システムを構成する各種産業に利用できる。そして、擦弦楽器の練習用に限らず、演奏用としても表現力豊かな演奏を実現することができるので、演奏形態を多様化でき、他の電気楽器や電子楽器などの大音量が出る楽器と合奏することも容易になる。しかも、演奏者の意図を微妙に表現した精緻な演奏が可能になる。
この発明による擦弦楽器の基本的実施例におけるボディの駒装着部付近の縦断面図(図2のA−A線に沿う断面図)である。 同じくその横断面図(図1のB−B線に沿う断面図)である。 図1及び図2における駒の具体例を示す正面図である。 この発明による擦弦楽器の具体的実施例を示す平面図である。 同じくその擦弦楽器をサウンドシステムおよびスピーカと共に示す側面図である。
図4及び図5におけるボディの平面図(A)とその要部を断面にして示す側面図(B)である。 同じくボディの底面図である。 図6(A)のC−C線に沿う拡大断面図である。 図6(A)のD−D線に沿う拡大断面図である。 図6(A)のE−E線に沿う拡大断面図である。
符号の説明
1,2…擦弦楽器、3…胴部、4…顎当て、5…信号線(インタフェースケーブル)、6…サウンドユニット、7:スピーカ、10…ボディ、10a…ボディの表面、10b…ボディの裏面、10c…支柱部、10d…ブレース部(補強部材)、11…ネック、11a…ペグボックス、12…糸巻、13…弦、14…指板、15…テールピース、16…リード線、17…ジャック、18…プラグ、20…駒、21…本体部、22…脚部、24…ホルダ、25…センサ、26…塑性材料(油土)、27…ブリッジカバー、31…支持金具、32…連結金具、101…薄肉部、102…支柱部材、103…ブレース(補強部材)、104…凹陥部、105…保持板、106…側部、107…スリット、220a,220b…切欠部、220c…切抜部、230…溝、230a…主溝、230b,230c…枝溝、220d〜220g…切欠部

Claims (4)

  1. 共鳴胴の無い厚肉材からなるボディと、該ボディ上に張られた弦と、該弦と前記ボディとの間に挟持される駒と、前記弦の振動を検出して電気信号を出力するセンサとを備えた擦弦楽器であって、
    前記ボディの前記駒を装着する部位の近傍が他の部位より肉厚の薄い薄肉部となっており、
    前記ボディの前記薄肉部の裏面側の該ボディの長手方向における前記駒の搭載位置より幾分テールピース側にずれた位置で、幅方向における中央より高音側にずれた位置に、前記薄肉部の揺動の支点となる支柱部材を前記ボディに一体に形成して設け、
    前記ボディの前記薄肉部の裏面側の該ボディの幅方向における中央より低音側にずれた位置に、該薄肉部の揺動を前記ボディ全体に伝達するための補強部材を、前記ボディの長手方向にリブ状に延びて該ボディに一体に形成して設けた
    ことを特徴とする擦弦楽器。
  2. 前記ボディの前記薄肉部を形成した部分の両側部に、上面から前記薄肉部の厚さだけ下のところに長手方向に沿ってスリットを形成したことを特徴とする擦弦楽器。
  3. 前記センサが前記駒に埋設されている請求項1又は2記載の擦弦楽器。
  4. 前記センサが曲げセンサである請求項1乃至のいずれか一項に記載の擦弦楽器。
JP2004079441A 2004-03-19 2004-03-19 擦弦楽器 Expired - Fee Related JP4222237B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004079441A JP4222237B2 (ja) 2004-03-19 2004-03-19 擦弦楽器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004079441A JP4222237B2 (ja) 2004-03-19 2004-03-19 擦弦楽器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005266377A JP2005266377A (ja) 2005-09-29
JP4222237B2 true JP4222237B2 (ja) 2009-02-12

Family

ID=35090981

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004079441A Expired - Fee Related JP4222237B2 (ja) 2004-03-19 2004-03-19 擦弦楽器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4222237B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4702188B2 (ja) * 2006-06-12 2011-06-15 ヤマハ株式会社 電気弦楽器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005266377A (ja) 2005-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1600940B1 (en) Pickup device for plucked string instrument and plucked string instrument
KR100765656B1 (ko) 변환 장치 및 이를 설치한 현악기
JP4064985B2 (ja) 弦楽器用ナット及び弦楽器
EP3196873A1 (en) Musical instrument and acoustic transducer device
JP7098219B1 (ja) 弦楽器励振装置および弦楽器励振システム
EP1630787B1 (en) Electric stringed musical instrument equipped with single vibration sensor provided inside its body
JP6981021B2 (ja) エレクトリックギターのボディおよびエレクトリックギター
US4450748A (en) Solid body guitar with sealed cavity
JP2023138805A (ja) 楽器
JP2006308870A (ja) 弦楽器及びこれに用いられる変換装置の取付構造
JP4222237B2 (ja) 擦弦楽器
JP2007333757A (ja) 楽器
JP4356630B2 (ja) 撥弦楽器および撥弦楽器用ピックアップ
JP4239860B2 (ja) 擦弦楽器用駒および擦弦楽器
JP3864847B2 (ja) 振動検出装置、駒および弦楽器
JP6960647B1 (ja) 振動増幅器
JP3232965U (ja) 振動増幅器
WO2022075379A1 (ja) 加振装置及び加振システム
JPH11102182A (ja) 弦楽器
JP2005283732A (ja) 電気擦弦楽器
JP3452564B1 (ja) 弦楽器
WO2018074401A1 (ja) ピックアップ装置及び弦楽器
JP3912193B2 (ja) 弦楽器用駒および電気楽器
JP6417846B2 (ja) 弦楽器
JP3843812B2 (ja) 擦弦楽器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080724

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080729

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081028

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081110

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4222237

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111128

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111128

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121128

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121128

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131128

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees