JP4221903B2 - 酸化セリウムの製造方法、酸化セリウム研磨剤、これを用いた基板の研磨方法及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、酸化セリウムの製造方法、酸化セリウム研磨剤、これを用いた基板の研磨方法及び半導体装置の製造方法に関し、更に詳しくは、生産性及び歩留まりよく酸化セリウム粒子を製造する方法、膜質に依存せず、傷なく高速研磨が可能な酸化セリウム研磨剤、これを用いた基板の研磨方法及び高信頼性を有する半導体装置を生産性及び歩留まりよく製造する方法に関する。
【0002】
背景技術
従来、半導体装置の製造工程において、プラズマ−CVD、低圧−CVD等の方法で形成されるSiO2絶縁膜等の無機絶縁膜層を平坦化するための化学機械研磨法として、CMP法が使用されている。CMP法に使用する研磨剤としては、一般に、コロイダルシリカ系の研磨剤又はシリカ粒子、酸化セリウム粒子等を砥粒とするスラリーが用いられている。
【0003】
コロイダルシリカ系の研磨剤は、シリカ粒子を四塩化珪酸を熱分解する等の方法で粒成長させ、アンモニア等のアルカリ金属を含まないアルカリ溶液でpH調整を行って製造している。しかしながら、このような研磨剤は、無機絶縁膜の研磨速度が十分ではなく、実用化するためには高研磨速度としなければならないという技術的課題がある。
【0004】
一方、フォトマスク用ガラス表面研磨剤として、酸化セリウム研磨剤が使用されている。酸化セリウム粒子は、シリカ粒子やアルミナ粒子に比べて硬度が低く、したがって研磨表面に傷が入りにくく、仕上げ鏡面研磨に有用である。また、酸化セリウムは強い酸化剤として知られるように、化学的活性な性質を有している。この利点を活かし、絶縁膜用化学機械研磨剤への適用が有用である。
【0005】
しかしながら、フォトマスク用ガラス表面を研磨するために、酸化セリウム研磨剤をそのまま無機絶縁膜研磨に適用すると、その1次粒子径が大きいために絶縁膜表面に目視で観察できる程度の研磨傷が入ってしまうという問題点がある。また、酸化セリウム研磨剤の種類によっては、その研磨速度が被研磨面の膜質によって大きく異なるという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、SiO2絶縁膜等の被研磨面を傷無く高速度で研磨することが可能な酸化セリウムを容易に歩留まりよく製造できる方法を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、さらに、SiO2絶縁膜等の被研磨面を、膜質に依存することなく、傷無く高速度で研磨することが可能な酸化セリウムを必須成分とする酸化セリウム研磨剤を提供することである。
【0008】
本発明の目的は、絶縁膜等の被研磨面を、膜質に依存することなく、傷無く高速度で研磨することが可能な基板の研磨方法を提供することである。
【0009】
本発明の目的は、信頼性に優れる半導体装置を、生産性及び歩留まりよく製造することが可能な半導体装置の製造方法を提供することである。
【0010】
発明の開示
本発明は、セリウム塩を急加熱して焼成温度まで昇温し、焼成することを特徴とする酸化セリウムの製造方法に関する。
【0011】
また、本発明は、焼成温度まで昇温する昇温速度を20〜200℃/分とする前記の酸化セリウムの製造方法に関する。
【0012】
また、本発明は、焼成をロータリーキルンにより行う前記の酸化セリウムの製造方法に関する。
【0013】
また、本発明は、焼成温度を600〜1000℃とし、焼成時間を30分〜2時間とする前記の酸化セリウムの製造方法に関する。
【0014】
また、本発明は、前記の酸化セリウムの製造方法により製造された酸化セリウム及び純水を含んでなる酸化セリウム研磨剤に関する。
【0015】
また、本発明は、前記の研磨剤を用いて、所定の基板を研磨することを特徴とする基板の研磨方法に関する。
【0016】
また、本発明は、シリカ膜が形成された半導体チップを、前記の研磨剤で研磨する工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
【0017】
発明を実施するための最良の形態
本発明におけるセリウム塩としては、炭酸セリウム、硫酸セリウム、蓚酸セリウム等が挙げられる。これらのセリウム塩は、水和物であってもよい。SiO2絶縁膜等の被研磨面を傷無く高速に研磨することが可能な酸化セリウム研磨剤の必須成分である酸化セリウムを容易に歩留まりよく製造する点から、セリウム塩として、炭酸セリウムを使用することが好ましく、炭酸セリウム水和物を使用することがより好ましい。
【0018】
これらのセリウム塩は、粉状であることが作業性の点から好ましい。
【0019】
本発明の酸化セリウムの製造方法は、セリウム塩を急加熱して焼成温度まで昇温し焼成することが必要である。
【0020】
緩慢な加熱を行い焼成温度まで昇温し焼成すると、得られる酸化セリウムが所望の性能を有さず、かかる酸化セリウムを用いた酸化セリウム研磨剤は被研磨面を傷つけやすく高速研磨が困難なものとなる。
【0021】
ここで、セリウム塩を焼成温度まで昇温する昇温速度を20〜200℃/分とすることが好ましく、40〜200℃/分とすることがより好ましい。
【0022】
また、焼成はバッチ炉においても可能であるが、ロータリーキルンにより行うことが好ましい。
【0023】
また、焼成温度は600〜1,000℃とすることが好ましい。
【0024】
また、焼成時間は30分〜2時間とすることが好ましい。
【0025】
ロータリーキルンは、既に公知の炉であり、特に制限はないが、例えば、耐火物を内貼りされた円筒状のキルンを軸線が水平線に対して傾斜するように配設して、キルンの両端をそれぞれ上端側支持部材と下端側支持部材で回転自在に支持し、前記キルンの外周にリング状の歯車を取り付けてモーター等の駆動装置及びその駆動装置の出力軸に取り付けられた歯車を介して回転駆動させるようにしたものが挙げられる。
【0026】
ロータリーキルンを使用する場合、好ましい態様は次のようになる。ロータリーキルンの炉管内温度は600〜1,000℃とし、予めその温度まで予熱し、その炉管内に炭酸セリウム水和物を時間当たり一定重量で投入し、20〜200℃/分の昇温速度で急激に熱を加える。その際、炉管断面積に対する炭酸セリウムの充填率は3〜10%とする。また炉管内には一定流量の酸素ガス等を吹き込み、酸化雰囲気で行う。
【0027】
本発明の研磨剤は、粉末X線回折チャートにおいて27〜30°の主ピークと32〜35°の副ピークとの面積強度比(主ピーク/副ピーク)が3.20以上である酸化セリウム粒子を媒体に分散させたスラリーを含むものであることが好ましい。
【0028】
本発明の酸化セリウム研磨剤においてスラリーに分散される酸化セリウム粒子は、粉末X線回折チャートから27〜30°の主ピークと32〜35°の副ピークとの面積強度比(主ピーク/副ピーク)が3.20以上であることが好ましく、3.20〜4.20であることがより好ましく、3.30〜4.00であることが最も好ましい。ここで、粉末X線回折による散乱X線の回折角度やピーク強度はその結晶を構成する原子やその配列に関する性質を反映しており、その回折チャートから結晶性物質の同定、結晶性等の構造解析ができる。
【0029】
本発明における酸化セリウムは立方晶系を示し、粉末X線回折チャートの27〜30°の主ピークは[1,1,1]面に、また、32〜35°の副ピークは[2,0,0]面と解析される。
【0030】
酸素欠陥等により酸化セリウム粒子の結晶に歪みが生じた場合、[1,1,1]面方向への歪みが大きくなり、27〜30°の主ピーク強度が低下することから、27〜30°の主ピークと32〜35°の副ピークとの面積強度比(主ピーク/副ピーク)が低下する。この27〜30°の主ピークと32〜35°の副ピークとの面積強度比(主ピーク/副ピーク)が3.20未満では、被研磨面の膜質によっては研磨速度が急激に低下することがある。
【0031】
ここで、粉末X線回折チャートの測定装置としては、市販の装置(例えば、リガク製 Geigerflex、商品名)を使用することができる。
【0032】
TEOS−CVD法等で形成されるSiO2絶縁膜は、酸化セリウム粒子の1次粒子径が大きく、かつ結晶歪が少ないほど、すなわち結晶性がよいほど高速研磨が可能であるが、研磨傷が入りやすい傾向がある。そこで、本発明における酸化セリウム粒子は、あまり結晶性を上げないで作製されることが好ましい。また、半導体チップ研磨等に使用することから、酸化セリウムのアルカリ金属およびハロゲン類の含有率は1ppm以下に抑えることが好ましい。
【0033】
本発明の研磨剤は、Na、K、Si、Mg、Ca、Zr、Ti、Ni、Cr及びFeの含有量はそれぞれ1ppm以下であることが好ましく、Alは10ppm以下であることが好ましい。
【0034】
本発明において、酸化セリウム粒子は、例えば、セリウム化合物を焼成することにより製造できる。ただし、研磨傷が入らない粒子を作製するためにできるだけ結晶性を上げない低温焼成が好ましい。
【0035】
焼成により得られた酸化セリウムは、ジェットミル等の乾式粉砕、ビ−ズミル等の湿式粉砕で粉砕することができる。粉砕された酸化セリウム粒子には、結晶子サイズの小さい単結晶粒子と結晶子サイズまで粉砕されていない粉砕粒子が含まれ、この粉砕粒子は単結晶粒子が再凝集した凝集体とは異なっており、2つ以上の結晶子から構成され、結晶粒界を有している。この結晶粒界を有する粉砕粒子を含む研磨剤で研磨を行うと、研磨時の応力により破壊され、継続的に活性面を成生すると推定され、SiO2絶縁膜等の被研磨面を傷なく高速に研磨することができる。
【0036】
本発明の酸化セリウム研磨剤は、前記の酸化セリウムの製造方法により製造された酸化セリウム及び純水を含んでなる。
【0037】
本発明の酸化セリウム研磨剤は、例えば、上記の方法により製造された酸化セリウム粒子、純水及び必要に応じて用いる分散剤を混合し酸化セリウム粒子を分散させることにより得ることができる。必要に応じて酸化セリウム粒子はフィルタ等で分級することができる。ここで、酸化セリウム粒子の濃度に制限は無いが、懸濁液(研磨剤)の取り扱い易さから0.1〜10重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
【0038】
分散剤としては、酸化セリウム粒子を媒体中に分散できるものであれば、特に制限はないが、例えば、金属イオン類を含まないものとして、(メタ)アクリル酸系ポリマーやそのアンモニウム塩;ポリビニルアルコール等の水溶性有機高分子類;ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム等の水溶性陰イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート等の水溶性非イオン性界面活性剤;及びモノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の水溶性アミン類などが挙げられる。なお、本発明における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリル酸アルキルとはアクリル酸アルキル及びそれに対応するメタクリル酸アルキルを意味する。
【0039】
なお、(メタ)アクリル酸系ポリマーやそのアンモニウム塩としては、例えば、アクリル酸重合体及びそのアンモニウム塩、メタアクリル酸重合体及びそのアンモニウム塩、(メタ)アクリル酸アンモニウム塩と(メタ)アクリル酸アルキル(メチル、エチル又はプロピル)との共重合体等が挙げられる。
【0040】
具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム塩及び(メタ)アクリル酸アンモニウム塩と(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体が好ましい。後者を用いる場合、(メタ)アクリル酸アンモニウム塩と(メタ)アクリル酸メチルとのモル比は、(メタ)アクリル酸アンモニウム塩/(メタ)アクリル酸メチルが10/90〜90/10であることが好ましい。
【0041】
また、アクリル酸系ポリマーやそのアンモニウム塩は、重量平均分子量(GPCで測定し、標準ポリスチレン換算した値)が1,000〜20,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜20,000である。重量平均分子量が20,000を超えると再凝集による粒度分布の経時変化が生じ易くなる。一方、重量平均分子量が1,000未満では分散性及び沈降防止の効果が充分でない場合がある。
【0042】
これらの分散剤の添加量は、スラリー中の粒子の分散性及び沈降防止性などから酸化セリウム粒子100重量部に対して0.01重量部から5重量部の範囲が好ましく、その分散効果を高めるためには分散処理時に分散機の中に粒子と同時又はほぼ同時に入れることが好ましい。酸化セリウム粒子100重量部に対して0.01重量部未満では酸化セリウム粒子が沈降しやすく、5重量部を超えると酸化セリウム粒子の再凝集による粒度分布の経時変化が生じ易くなる。
【0043】
これらの酸化セリウム粒子を水中に分散させる方法としては、通常の撹拌機による分散処理の他に、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミルなどを用いることができる。
【0044】
サブμmオーダの酸化セリウム粒子を分散させるためには、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、媒体撹拌式ミルなどの湿式分散機を用いることが好ましい。
【0045】
また、スラリーのアルカリ性を高めたい場合には、分散処理時又は処理後にアンモニア水などの金属イオンを含まないアルカリ性物質を添加することができる。
【0046】
本発明の研磨剤には、N,N−ジエチルエタノ−ルアミン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、アミノエチルエタノ−ルアミン、陰イオン性界面活性剤、又は、上述の分散剤等を使用形態に応じ、さらに適宜添加することができる。
【0047】
本発明の酸化セリウム研磨剤に分散された酸化セリウムの粒子を構成する一次粒子、即ち結晶子のアスペクト比は1〜2、中央値は1.3が好ましい。アスペクト比は走査型電子顕微鏡(例えば、(株)日立製作所製 S−900型)による観察で測定できる。
【0048】
この研磨剤において、酸化セリウム粒子は2個以上の結晶子から構成され、結晶粒界を有するものであることが好ましい。
【0049】
結晶粒界を有する酸化セリウム粒子径の中央値は60〜1,500nmが好ましく、100〜1,200nmがより好ましく、300〜1,000nmが最も好ましい。
【0050】
結晶子径の中央値は、5〜250nmが好ましく、5〜150nmがより好ましい。
【0051】
結晶粒界を有する酸化セリウム粒子径の中央値が300〜1,000nmであり、結晶子径の中央値が10〜50nmである粒子が好ましく使用される。
【0052】
また、結晶粒界を有する酸化セリウムの粒子径の中央値が300〜1,000nmであり、結晶子径の中央値が50〜200nmである粒子が好ましく使用される。
【0053】
結晶粒界を有する酸化セリウム粒子の最大径は、3,000nm以下が好ましく、結晶子の最大径は、600nm以下が好ましい。また、結晶子径が10〜600nmのものがより好ましい。
【0054】
本発明で、結晶粒子径及び結晶粒界を有する酸化セリウム粒子径は走査型電子顕微鏡(例えば、(株)日立製作所製 S−900型)による観察で測定できる。スラリー粒子である酸化セリウム粒子径はレーザー回折法(例えばマルバーンインスツルメント社製 Master Sizer microplus、屈折率:1.9285、光源:He−Neレーザー、吸収0)によって測定できる。なお、粒子の粒子径は、その粒子の長径と短径とから求められる。すなわち、その粒子の長径と短径とを測定し、長径と短径との積の平方根を粒子径とする。また、こうして決められた粒子径から求められる球の体積をその粒子の体積とする。
【0055】
また、中央値は、体積粒子径分布の中央値であり、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していき、50%になったときの粒子径を意味する。
【0056】
酸化セリウム粒子が、2個以上の結晶子から構成され、結晶粒界を有する場合、粒子径1μm以上の酸化セリウム粒子が、酸化セリウム粒子全量の0.1重量%以上を占めることが好ましい。かかる酸化セリウム粒子は、研磨の際に崩れながら所定の基板を研磨することができる。
【0057】
粒子径1μm以上の酸化セリウム粒子の含有量の測定は、液中パーティクルカウンタを用いて、粒子により遮られた透過光強度を測定することにより行い、測定装置としては、市販の装置(例えば、Particle Sizing System Inc.製の model 770 Accu-Sizer(商品名))を使用することができる。
【0058】
2個以上の結晶子から構成され、結晶粒界を有する酸化セリウム粒子は、研磨の際に媒体と触れていない新面を生成しながら、所定の基板を研磨することが好ましい。
【0059】
また、2個以上の結晶子から構成され、結晶粒界を有する酸化セリウム粒子は、所定の基板を研磨した後、遠心沈降法により測定した粒径0.5μm以上の酸化セリウム粒子の含有量の、同様に遠心沈降法により測定した研磨前の0.5μm以上の酸化セリウム粒子の含有量に対する比率が0.8以下となるものであることが好ましい。
【0060】
また、2個以上の結晶子から構成され、結晶粒界を有する酸化セリウム粒子は、所定の基板を研磨した後の、レーザ回折法により測定したD99体積%の酸化セリウム粒子径の、同様にレーザ回折法により測定した研磨前のD99体積%の酸化セリウム粒子径に対する比率が0.4以上、0.9以下となるものであることが好ましい。
【0061】
また、2個以上の結晶子から構成され、結晶粒界を有する酸化セリウム粒子は、所定の基板を研磨した後の、レーザ回折法により測定したD90体積%の酸化セリウム粒子径の、同様にレーザ回折法により測定した研磨前のD90体積%の酸化セリウム粒子径に対する比率が0.7以上、0.95以下となるものであることが好ましい。
【0062】
ここで、D99%、D90%は、体積粒子径分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していき、それぞれ99%、90%になったときの粒子径を意味する。
【0063】
なお、遠心沈降法は、遠心力により沈降させた粒子を透過光の強度により酸化セリウム粒子含有量を測定するものである。測定装置としては、例えば、島津製作所SA−CP4L(商品名)を使用することができる。
【0064】
また、所定の基板を研磨した後とは、研磨対象となる基板を保持するための基板取付け用吸着パッドを貼り付けたホルダーに所定の基板をセットし、多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッドを貼り付けた定盤上に、被研磨面を下にしてホルダーを載せ、さらに加工荷重が300g/cm2になるように重しを載せ、定盤上に上記研磨剤を50ml/minの速度で滴下しながら定盤を30min−1(30rpm)で一定時間回転させることにより被研磨面を研磨した後を意味する。その際、研磨後の研磨剤は循環させて再使用し、研磨剤の総量は750mlとする。
【0065】
レーザ回折法による測定は、例えば、マルバーンインスツルメンツ社製マスター・サイザー・マイクロプラス(Master Sizer microplus、商品名)(屈折率:1.9285、光源:He−Neレーザ)によって行うことができる。
【0066】
また、本発明の研磨剤は、気孔を有する砥粒を媒体に分散させたスラリーを含むものである。ここで、砥粒としては酸化セリウム粒子が好ましく使用される。
【0067】
気孔は、ピクノメータを用いて測定した密度とX線リートベルト解析で求めた理論密度との比から求めた気孔率が10〜30%であることが好ましい。また、B.J.H.(Barret, Joyner, Halende)法により測定した細孔容積が0.02〜0.05cm3/gである気孔が好ましい。
【0068】
また、本発明の研磨剤は、かさ密度が6.5g/cm3以下である酸化セリウム粒子を媒体に分散させたスラリーを含むものである。ここで、密度が5.0g/cm3以上、5.9g/cm3以下であることが好ましく、媒体として純水が好ましく使用される。このスラリーには分散剤を含むことができ、分散剤としては、水溶性有機高分子、水溶性陰イオン界面活性剤、水溶性非イオン性界面活性剤及び水溶性アミンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリアクリル酸系ポリマーの塩が好ましく使用でき、アンモニウム塩がより好ましく使用できる。
【0069】
本発明の研磨剤のpHは、研磨特性、酸化セリウム粒子の分散性、耐沈降性等の点から7〜10であることが好ましく、8〜9であることがより好ましい。
【0070】
本発明の酸化セリウム研磨剤が研磨される膜としては、例えば、無機絶縁膜が挙げられ、具体的には、SiH4又はテトラエトキシシラン(TEOS)をSi源とし、酸素又はオゾンを酸素源としたCVD法により形成されたSiO2膜が挙げられる。
【0071】
所定の基板として、回路素子とアルミニウム配線が形成された段階の半導体基板、回路素子が形成された段階の半導体基板等の半導体基板上にSiO2絶縁膜層が形成された基板が使用できる。また、半導体分離(シャロートレンチ分離)の目的で形成されたSiO2絶縁膜を含有する基板も使用できる。
【0072】
このような半導体基板上に形成されたSiO2絶縁膜層を上記研磨剤で研磨することによって、SiO2絶縁膜層表面の凹凸を解消し、半導体基板全面に渡って平滑な面とする。
【0073】
ここで、研磨する装置としては、半導体基板を保持するホルダーと研磨布(パッド)を貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)定盤を有する一般的な研磨装置が使用できる。
【0074】
研磨布としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などが使用でき、特に制限がない。また、研磨布にはスラリーが溜まる様な溝加工を施すことが好ましい。
【0075】
研磨条件には制限はないが、定盤の回転速度は半導体が飛び出さないように100min−1以下の低回転が好ましく、半導体基板にかける圧力は研磨後に傷が発生しない様に105Pa(1kg/cm2)以下が好ましい。
【0076】
研磨している間、研磨布にはスラリーをポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨布の表面が常にスラリーで覆われていることが好ましい。
【0077】
研磨終了後の半導体基板は、流水中で良く洗浄後、スピンドライヤ等を用いて半導体基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。このようにして平坦化されたSiO2絶縁膜層の上に、第2層目のアルミニウム配線を形成し、その配線間および配線上に再度上記方法によりSiO2絶縁膜を形成後、上記酸化セリウム研磨剤を用いて研磨することによって、絶縁膜表面の凹凸を解消し、半導体基板全面に渡って平滑な面とする。この工程を所定数繰り返すことにより、所望の層数の半導体を製造できる。
【0078】
本発明において所定の基板とは、SiO2絶縁膜が形成された半導体基板、SiO2絶縁膜が形成された配線板、ガラス、窒化ケイ素等の無機絶縁膜、フォトマスク・レンズ・プリズムなどの光学ガラス、ITO等の無機導電膜、ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路、光ファイバ−の端面、シンチレ−タ等の光学用単結晶、固体レ−ザ単結晶、青色レ−ザ用LEDサファイア基板、SiC、GaP、GaAs等の半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板、磁気ヘッド等を含む。本発明の酸化セリウム研磨剤は、上記基板を研磨するために使用される。
【0079】
実施例
次に、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
【0080】
実施例1
(酸化セリウム研磨剤の作製)
炭酸セリウム水和物をロータリーキルン(炉径φ250mm、炉長L4000mm)に毎時9kg投入し、800℃で空気を吹き込みながら1時間焼成した(投入された炭酸セリウム水和物が焼成温度800℃まで昇温する昇温速度53℃/分)。このようにして得られた酸化セリウム粉末1kgをジェットミルを用いて乾式粉砕し酸化セリウム粒子を得た。この酸化セリウム粒子1kgとポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)23gと純水8,977gを混合し、攪拌しながら超音波分散を10分間施した。得られたスラリーを1μmのフィルターで濾過し、さらに純水を加えることにより3重量%研磨剤を得た。
【0081】
酸化セリウム粒子の一次粒子径を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製 S−900)で観察し測定したところ、20〜500nmで、体積分布中央値80nmであった。また一次粒子のアスペクト比は中央値1.3であった。さらに二次粒子径をレーザー回折法(測定装置:マルバーンインスツルメンツ社製Master Sizer microplus、屈折率:1.9285、光源:He−Neレーザー、吸収0で測定)を用いて調べたところ、中央値が300nm、最大粒子径が2,600nmであった。また、この粒子のかさ密度を、ピクノメータを用いて測定したところ、5.25g/cm3であった。さらにX線リートベルト解析による理想密度は7.200g/cm3であり、これらの値から気孔率を算出した結果、27.1%であった。また、B.J.H.法によりその細孔容積を測定した結果、0.040cm3/gであった。
【0082】
同様にして、研磨剤から取出した粒子について測定した結果、27〜30°の主ピークと32〜35°の副ピークとの面積強度比(主ピーク/副ピーク)は3.35であった。
【0083】
(絶縁膜層の研磨)
CMP研磨装置(荏原製作所製 EPO−111型)で8″ウェハ上にTEOS−プラズマCVD法で形成したSiO2絶縁膜(厚さ1.5μm)を1分間研磨した。研磨条件は荷重30kPa、背面圧力15kPa、定番回転数75min−1、キャリア回転数75min−1で、酸化セリウムスラリー(固形分:1重量%)を200ml/minの速度で滴下しながら実施した。
【0084】
研磨後ウェハをホルダーから取り外して、洗浄装置(東京マイクロテック(株)製 ウェハスクラバー)によりPVAスポンジブラシ使用による純水ブラシ洗浄を1分間、メガソニックパルス洗浄を1分間、純水リンス洗浄を1分間及びスピン乾燥を1分間行い、ウェハの洗浄を実施した。研磨前後のウェハの膜厚を膜厚測定装置(大日本スクリーン製造製光干渉式膜厚計 LAMBDAエース VLM8000−LS)によりウェハ内49ポイント測定し、研磨前後の膜厚平均値の差を研磨時間で割ることで研磨速度を求めた結果、この研磨による研磨速度は5325Å/minであり、さらにウェハ全面に渡って均一の厚みになっていることがわかった。また研磨後のウェハの表面の異物、欠陥をパーティクルカウンター(ケーエルエー・テンコール(株)製SFS6220表面異物検査装置)で検出し、そのすべてのウェハ内座標データを基にレビューステーション(オリンパス光学工業製 AL2000ウェハ外観検査顕微鏡 倍率800〜1600倍、暗視野観察)で観察し、異物と欠陥を区分し、研磨傷数を求めた結果、ウェハ1枚内の研磨傷は30個未満であった。また、研磨後の研磨剤Aの粒径を遠心沈降式粒度分布計により測定した結果、0.5μm以上の粒子含有量(体積%)の、研磨前の値に対する比率は0.455であった。また、研磨後の研磨剤の粒径をレーザ散乱式粒度分布計により測定した結果、D99%及びD90%における粒径は研磨前の値に対してそれぞれ0.521、0.825であった。
【0085】
実施例2
(1)酸化セリウム粒子の調整
a.酸化セリウム粒子Aの調整
炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、80℃/分の昇温速度で昇温し、800℃で2時間、空気を流し込みながら(10L/min)焼成することにより黄白色の粉末を約1kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ酸化セリウムであることを確認した。
【0086】
得られた焼成粉末の粒子径は30〜100μmであった。焼成粉末粒子表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化セリウムの粒界が観察された。粒界に囲まれた酸化セリウムの結晶子径を測定したところ、その分布の中央値が190nm、最大値が500nmであった。
【0087】
この酸化セリウム粉末1kgをジェットミルを用いて乾式粉砕を行った。粉砕粒子について走査型電子顕微鏡で観察したところ、結晶子径と同等サイズの小さな粒子の他に、1〜3μmの大きな多結晶粒子と0.5〜1μmの多結晶粒子が混在していた。多結晶粒子は単結晶粒子の凝集体ではなかった。粉砕により得られた酸化セリウム粒子を、以下、酸化セリウム粒子Aと呼ぶ。
【0088】
さらに、酸化セリウム粒子Aの一次粒子径を走査型電子顕微鏡で観察し測定したところ、50〜500nmで、体積分布中央値は90nmであった。また一次粒子のアスペクト比は中央値1.2であった。さらに二次粒子径をレーザー回折法を用いて調べたところ、中央値が350nm、最大粒子径が2800nmであった。
【0089】
b.酸化セリウム粒子Bの調整
炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、70℃/分の昇温速度で昇温し、700℃で2時間、空気を流し込みながら(10L/min)焼成することにより黄白色の粉末を約1kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ酸化セリウムであることを確認した。
【0090】
得られた焼成粉末の粒子径は30〜100μmであった。焼成粉末粒子表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化セリウムの粒界が観察された。粒界に囲まれた酸化セリウムの結晶子径を測定したところ、その分布の中央値が50nm、最大値が100nmであった。
【0091】
この酸化セリウム粉末1kgをジェットミルを用いて乾式粉砕を行った。粉砕粒子について走査型電子顕微鏡で観察したところ、結晶子径と同等サイズの小さな粒子の他に、1〜3μmの大きな多結晶粒子と0.5〜1μmの多結晶粒子が混在していた。多結晶粒子は単結晶粒子の凝集体ではなかった。粉砕により得られた酸化セリウム粒子を、以下、酸化セリウム粒子Bと呼ぶ。
【0092】
さらに、酸化セリウム粒子Bの一次粒子径は、60〜550nmで、体積分布中央値は80nmであった。また一次粒子のアスペクト比は中央値1.15であった。さらに二次粒子径をレーザー回折法を用いて調べたところ、中央値が400nm、最大粒子径が2900nmであった。
【0093】
(2)研磨剤の調整
上記(1)で得られた酸化セリウム粒子A又はB1kgとポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)23gと脱イオン水8,977gを混合し、攪拌しながら超音波分散を10分間施して、酸化セリウム粒子を分散させ、スラリーを得た。
【0094】
得られたスラリーを1ミクロンフィルターでろ過をし、さらに脱イオン水を加えることにより3重量%の研磨剤を得た。どちらのスラリーもpHは8.3であった。酸化セリウム粒子Aから得られた研磨剤を、以下、研磨剤Aと呼ぶ。また、酸化セリウム粒子Bから得られた研磨剤を、以下、研磨剤Bと呼ぶ。
【0095】
上記研磨剤A又はBを適当な濃度に希釈し、それを乾燥してスラリー中の粒子を取出した。研磨剤Aから取出した粒子の粉末X線回折測定を行い、その回折チャートから27〜30°の主ピークと32〜35°の副ピークとの面積強度比(主ピーク/副ピーク)を算出した結果、3.36となった。また、この粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、その多結晶粒子径を測定したところ、中央値が825nm、最大値が1230nmであった。また、この粒子のかさ密度を、ピクノメータを用いて測定したところ、5.78g/cm3であった。さらにX線リートベルト解析による理想密度は7.201g/cm3であり、これらの値から気孔率を算出した結果、19.8%であった。また、B.J.H.法によりその細孔容積を測定した結果、0.033cm3/gであった。
【0096】
同様にして、研磨剤Bから取出した粒子について測定した結果、27〜30°の主ピークと32〜35°の副ピークとの面積強度比(主ピーク/副ピーク)は3.52示した。
【0097】
(3)絶縁膜の研磨
ホルダーに貼り付けられた基板取り付け用の吸着パッドにTEOS−プラズマCVD法で作製したSiO2絶縁膜(膜I)を形成させたSiウエハを吸着させて固定した。このホルダーを、Siウエハを保持したまま、絶縁膜面を下にして、多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッドを貼り付けた定盤上に絶縁膜面に載置し、さらに加工荷重が300g/cm2になるように重しを載せた。
【0098】
次に、定盤上に本実施例で調整した研磨剤A(固形分:3重量%)を50ml/minの速度で滴下しながら、定盤を30min−1(30rpm)で2分間回転させ、絶縁膜を研磨した。研磨後ウエハをホルダーから取り外して、流水で良く洗浄後、超音波洗浄機によりさらに20分間洗浄した。洗浄後、ウエハをスピンドライヤーで水滴を除去し、120℃の乾燥機で10分間乾燥させた。
【0099】
乾燥後のウエハについて、光干渉式膜厚測定装置を用いて、研磨前後の膜厚変化を測定した。その結果、研磨剤Aを用いた場合はこの研磨により450nm(研磨速度:225nm/min)の絶縁膜が削られ、ウエハ全面に渡って均一の厚みになっていることが分かった。また、光学顕微鏡を用いて絶縁膜表面を観察したところ、明確な傷は見られなかった。
【0100】
上記と異なる装置を用いて、TEOS―プラズマCVD法により作製したSiO2絶縁膜(膜II)を形成させたSiウエハ及び熱酸化法により作製したSiO2絶縁膜(膜III)を形成させたSiウエハについて研磨を検討した。その結果、研磨剤Aを用いた場合には、それぞれ、420nm(研磨速度:210nm/min)及び520nm(研磨速度:260nm/min)の絶縁膜が削られ、どちらもウエハ全面に渡って均一の厚みになっていることが分かった。また、光学顕微鏡を用いて絶縁膜表面を観察したところ、どちらも明確な傷は見られなかった。
【0101】
同様にして、定盤上に本実施例で調整した研磨剤B(固形分:3重量%)を50ml/minの速度で滴下しながら、絶縁膜(膜I)の研磨を検討した。その結果、この研磨により430nm(研磨速度:215nm/min)の絶縁膜が削られ、ウエハ全面に渡って均一の厚みになっていることが分かった。また、光学顕微鏡を用いて絶縁膜表面を観察したところ、明確な傷は見られなかった。さらに異なる装置を用いて、TEOS―プラズマCVD法により作製したSiO2絶縁膜(膜II)を形成させたSiウエハ、及び熱酸化法により作製したSiO2絶縁膜(膜III)を形成させたSiウエハについて研磨を検討した。その結果、研磨剤Bを用いた場合には、それぞれ、400nm(研磨速度:200nm/min)及び490nm(研磨速度:245nm/min)の絶縁膜が削られ、どちらもウエハ全面に渡って均一の厚みになっていることが分かった。また、光学顕微鏡を用いて絶縁膜表面を観察したところ、どちらも明確な傷は見られなかった。
【0102】
また、研磨剤Aを用い、上述の場合と同様にしてSiウエハ表面のSiO2絶縁膜を研磨し、研磨後の研磨剤Aの粒径を遠心沈降式粒度分布計により測定した結果、0.5μm以上の粒子含有量(体積%)の、研磨前の値に対する比率は0.385であった。また、研磨後の研磨剤Aの粒径をレーザ散乱式粒度分布計により測定した結果、D99%及びD90%における粒径は研磨前の値に対してそれぞれ0.491、0.804であった。
【0103】
比較例1
(1)酸化セリウム粒子Cの調整
炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、15℃/分の昇温速度で昇温し、800℃で2時間減圧中(10mmHg)で焼成することにより黄白色の粉末を約1kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ酸化セリウムであることを確認した。
【0104】
得られた焼成粉末の粒子径は30〜100μmであり、酸化セリウムの粒界が観察された。
【0105】
この酸化セリウム粉末1kgを実施例2と同様にジェットミルを用いて乾式粉砕を行った。その結果、結晶子径と同等サイズの小さな粒子の他に、1〜3μmの大きな多結晶粒子と0.5〜1μmの多結晶粒子が混在していた。多結晶粒子は単結晶粒子の凝集体ではなかった。粉砕により得られた酸化セリウム粒子を、以下、酸化セリウム粒子Cと呼ぶ。
【0106】
さらに、酸化セリウム粒子Cの一次粒子径を走査型電子顕微鏡で観察し測定したところ、150〜700nmで、体積分布中央値は250nmであった。また一次粒子のアスペクト比は中央値1.6であった。さらに二次粒子径をレーザー回折法を用いて調べたところ、中央値が1,100nm、最大粒子径が3,500nmであった。
【0107】
(2)研磨剤Cの調整
上記(1)で得られた酸化セリウム粒子C1kgとポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)23gと脱イオン水8,977gを混合し、実施例2と同様にして3重量%の研磨剤を得た。スラリーのpHは8.3であった。酸化セリウム粒子Cから得られた研磨剤を、以下、研磨剤Cと呼ぶ。
【0108】
上記研磨剤Cを用い、実施例2と同様にして取出した粒子の27〜30°の主ピークと32〜35°の副ピークとの面積強度比(主ピーク/副ピーク)を算出した結果、3.01となった。
【0109】
(3)絶縁膜の研磨
上記研磨剤Cを用いて、実施例2と同様にして絶縁膜(膜I)の研磨を検討した。その結果を実施例2における研磨剤A又はBを用いた結果とあわせて最後に表1に示す。
【0110】
研磨剤Cを用いての研磨後はウエハ全面に渡って均一の厚みになっており、表面に明確な傷は見られなかった。しかし、この研磨により、360nm(研磨速度:180nm/min)の絶縁膜が削られ、本実施例の研磨剤A又はBと比較すると同じ温度で焼成しても約20%低い値であった。
【0111】
また、異なる装置を用いて、TEOS―プラズマCVD法により作製したSiO2絶縁膜(膜II)を形成させたSiウエハ及び熱酸化法により作製したSiO2絶縁膜(膜III)を形成させたSiウエハについて研磨を検討した。その結果、研磨剤Cを用いた場合には、それぞれ、250nm(研磨速度:125nm/min)及び520nm(研磨速度:260nm/min)の絶縁膜が削られ、被研磨面の膜質によって研磨速度が最大2倍異なった。
【0112】
【表1】
【0113】
産業上の利用可能性
本発明の酸化セリウムの製造方法は、SiO2絶縁膜等の被研磨面を傷無く高速に研磨することが可能な酸化セリウム研磨剤の必須成分である酸化セリウムを容易に歩留まりよく製造することができるものである。
【0114】
本発明の酸化セリウム研磨剤は、SiO2絶縁膜等の被研磨面を傷なく高速に研磨することが可能なものである。
【0115】
本発明の研磨剤は、さらに、SiO2絶縁膜等の被研磨面を、膜質にあまり依存せず、傷なく高速に研磨することが可能なものである。
【0116】
本発明の基板の研磨方法は、絶縁膜等の被研磨面を、膜質にあまり依存せず、傷なく高速に研磨することが可能なものである。
【0117】
本発明の半導体装置の製造方法は、信頼性に優れる半導体装置を歩留まり及び生産性よく製造することができるものである。
Claims (3)
- セリウム塩を昇温速度20〜200℃/分で600〜1,000℃の焼成温度まで昇温し、該焼成温度で焼成することを特徴とする酸化セリウムの製造方法。
- 焼成をロータリーキルンにより行う請求項1記載の酸化セリウムの製造方法。
- 焼成時間が30分〜2時間である、請求項1又2記載の酸化セリウムの製造方法。
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