JP4219520B2 - 誘導発熱ローラ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回転する誘導発熱ローラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように誘導発熱ローラ装置は、回転するローラの内部に、鉄心と、これに巻装された誘導コイルとからなる誘導発熱機構を備えている。この構成の一例を図6によって説明すると、1はローラシェル、2はその両側に一体的に取り付けられてあるジャーナルで、これは軸受3を介して機台4に回転自在に支持されてあり、任意の駆動源によって回転駆動される。
【0003】
5は誘導発熱機構で、筒状の鉄心6と、これに巻装される誘導コイル7とによって構成されている。誘導発熱機構5はその両側を支持ロッド8によりローラシェル1の内部に支持されている。支持ロッド8は回転が拘束された状態でジャーナル2内に挿通され、軸受9を介してジャーナル2に支持されている。誘導コイル7はリード線10に接続され、このリード線10は、支持ロッド8内を通って外部に導出され、外部の交流電源に接続されている。
【0004】
ローラシェル1の端部にジャーナル2を取り付けるために、ジャーナル2の表面に凸部11を設け、その凸部11の外面11aが、ローラシェル1の内面1aの端部にほぼ合致するようにしておく。そしてこの凸部11の外面11aをローラシェル1の内面1aに圧入するように嵌合させ、締付ボルトにより締め付ける(詳細は図5参照。)。
【0005】
図5はその締付け状態の従来例を示すもので、図6のうちの実線で囲った部分Aを拡大して示してある。12はローラシェル1の肉厚部分に、ローラシェル1の回転軸心方向に沿って延びるように設けられたねじ孔、12aはねじ孔12のねじ部、13はねじ孔12に連続するようにジャーナル2に設けられた貫通孔、14は締付ボルト、14aは締付ボルト14のねじ部、14bは同頭部、14cは座金である。
【0006】
前記のようにジャーナル2の凸部11をローラシェル1の内面1aに嵌合させた状態で、締付ボルト14を貫通孔13に遊嵌させてから、ねじ部14aをねじ孔12のねじ部12aにねじ込む。このとき座金14cが貫通孔13の段部13aに押しつけられることによって、ローラシェル1に対してジャーナル2が一体的に強固に固定されることになる。実際には締付ボルト14はジャーナル2の円周方向に沿って多数設けてあり、したがってまた貫通孔13、ねじ孔12も同じ数だけ設けてある。
【0007】
ところで、ローラシェル1の内部にある誘導発熱機構5をたとえば修理、保全の目的で外部への取出しが要求される場合、前記のように固定されたジャーナル2をローラシェル1から取り外す必要がある。この場合はすべての締付ボルト14をゆるめて除去し、そのあとジャーナル2を引き出すようにしている。ところが実際にはジャーナル2の凸部11はローラシェル1の内面1aに強固に密着しているので、簡単には引き離れない。
【0008】
そのため従来では、ジャーナル2に、貫通孔13とは別に多数のねじ孔を設けておき、このねじ孔に押しボルトをねじ込むようにしている。この押しボルトのねじ込みにより、その先端がローラシェルの端面に押しつけられる。この押しつけによるねじ込みによって、ジャーナル2にはローラシェル1から離間する方向に送られる力が作用し、この力によってジャーナル2が引き離される。
【0009】
しかしこのようなジャーナル2の引離しのためには、前記の説明から理解されるように、ジャーナル2には、締付ボルト14が通る複数の貫通孔13と、押しボルトがねじ込まれる複数のねじ孔とを別個に設けておかなければならないことになる。そのためそれだけジャーナルに対する穿孔の数が多くなる欠点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、回転するローラシェルに取り付けられたジャーナルを取り外すために押しボルトを使用するようにした場合、ジャーナルを取り付けるための締付ボルトが通る孔を押しボルトがねじ込まれるねじ孔に兼用するようにし、もってジャーナルに対する穿孔の数を少なくすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ローラシェルに固定されてあるジャーナルをローラシェルから取り外す際に、ローラシェルに設けてある、締付ボルトのためのねじ孔に押しボルト受け用ねじをねじ込むとともに、押しボルト受け用ねじの頭部に当たって突き押すように、ジャーナルをローラシェルに取り付ける際に締付ボルトが遊嵌していたねじ孔に、押しボルトをねじ込むようにしたことを特徴とする。
【0012】
ジャーナルをローラシェルに取り付ける際には、締付ボルトはローラシェルに設けたねじ孔にジャーナルからねじ込むことにより、固定される。ジャーナルをとり外す際には、締付ボルトを除去したあと、前記ねじ孔に押しボルト受け用ねじをねじ込んでおき、その頭部に突き当たるように押しボルトをジャーナルにねじ込む。このねじ込みによってジャーナルにはローラシェルから離間する方向に力が作用し、この力によりジャーナルはローラシェルから引き離される。
【0013】
このようにすれば、ローラシェルに設けたねじ孔をもって、ジャーナルの締め付けと、取外しとの両方に利用される。したがってジャーナル取外しのための専用の孔をジャーナルに設ける必要がなくなり、それだけジャーナルに対すね穿孔の数が少なくて足りることになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施態様を図1〜図4によって説明する。なお図5、図6に示す符号と同じ符号を附した部分は同一または対応する部分を示す。本発明にしたがい、図5に示す従来構成における貫通孔13に代えてこれをねじ孔21とする。21aはそのねじ部である。ねじ孔21には段部21bを設けておくことは従来と同様である。22は押しボルト、22aはそのねじ部、23は押しボルト受け用のねじ、23aはそのねじ部、23bはねじ23をねじ孔12にねじ込むときに使用する角状のレンチ孔である。
【0015】
ジャーナル2は従来と同様にローラシェル1の端面に嵌合され、締付ねじ14をねじ孔12にねじ込むことにより、座金14cがねじ孔21の段部21bに押しつけられ、これによりジャーナル2がローラシェル1に締め付けられる。そのときの状態を示したのが図3である。ねじ孔21の内径は締付ボルト14のねじ部14aの径より大きいので、ねじ孔21の内面と締付ボルト14のねじ部14aの外周との間には僅かな間隙が生じる。
【0016】
このようにローラシェル1に取り付けられたジャーナル2を取り外すときは、すべての締付ボルト14をねじ孔12から取り除く。そして最初にねじ孔12にねじ23をレンチ孔23bを利用してねじ込む。この場合ねじ23の頭部がローラシェル1の端面よりも僅かに突出するようにしておく。
【0017】
ついで押しボルト22をねじ孔21にねじ込む。このねじ込みにつれて押しボルト22の先端が、さきにねじ込まれているねじ23の頭部に突き当たる。押しボルト22を更にねじ込むと、ジャーナル2にはこれがローラシェル1の端面から引き離される方向の力が作用する。これによりジャーナル2をローラシェル1から離すことができ、もってジャーナル2を取り外すことができる。
【0018】
なおこの押しボルト22を利用してジャーナル2を取り外す作業は、従来における押しボルトを利用して行う取外し作業となんら異なるところはない。これらの説明から理解されるように、ジャーナルの締め付けと、その取外しの際には、ともに同じねじ孔21を供用しているので、締め付けと取外しのためにそれぞれ別の孔を用意する必要はなくなる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ローラシェルに対するジャーナルの取付けるための締付ボルが通るようにジャーナルに設けた孔を、ジャーナルの取外しのための押しボルトのねじ込みのために供用するようにしたので、従来のようにジャーナルの取付け用の孔と取外しのための孔とを別個に設ける必要がなくなるので、したがってジャーナルに対する穿孔の数をそれだけ少なくすることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様を示すもので、ジャーナルを取り外す状態を示す部分断面図である。
【図2】図1における押しボルトと押しボルト受け用ねじの正面図である。
【図3】本発明におけるジャーナルを取り付けた状態を示す部分断面図である。
【図4】図3における締付ボルトの正面図である。
【図5】従来例におけるジャーナルを取り付けた状態を示す部分断面図である。
【図6】誘導発熱ローラ装置の断面図である。
【符号の説明】
1 ローラシェル
2 ジャーナル
11 凸部
12 ねじ孔
14 締付ボルト
21 ねじ孔
22 押しボルト
23 押しボルト受け用ねじ

Claims (1)

  1. 誘導発熱して回転するローラシェルと、前記ローラシェルの内端面に嵌合する凸部を備え、前記凸部が前記ローラシェルの内端面に嵌合した状態で締付ボルトにより固定されるジャーナルを備え、前記ローラシェルの肉厚部分に、前記ローラシェルの回転軸心方向に沿って延びる第1のねじ孔を設け、また前記第1のねじ孔に連続して前記ジャーナルに前記第1のねじ孔よりも内径が大きい第2のねじ孔を設け、前記第2のねじ孔に遊嵌される前記締付ボルトを前記第1のねじ孔にねじ込むことにより、前記ローラシェルに対して前記ジャーナルを固定してなる誘導発熱ローラ装置において、前記ローラシェルに固定されてある前記ジャーナルを前記ローラシェルから取り外す際に、前記第1のねじ孔に押しボルト受け用ねじをねじ込むとともに、前記押しボルト受け用ねじの頭部に当たって突き押すように前記第2のねじ孔に押しボルトをねじ込んでなる誘導発熱ローラ装置。
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