JP3798312B2 - 誘導発熱ローラ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は誘導発熱ローラ装置、特にローラの内部に配置される誘導発熱機構を保持軸に保持するとともに、この保持軸に対してローラを回転自在に支持し、更にこの保持軸の両端をローラの両側から外部に引き出し、引き出された端部を固定枠に固定して取り付けた誘導発熱ローラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえばプラスチックフイルム、紙、布、不織布、金属箔などのシート材あるいはウエブ材の連続熱処理工程において、適度の温度に誘導発熱して回転するローラが使用されることは、すでによく知られている。そのうちの一つの従来例を示したのが、図7である。同図において、1はローラ、2はローラ1の内部に位置する誘導発熱機構で、筒状の鉄心3と、その外周に巻装されてある誘導コイルル4とによって、主として構成されている。
【0003】
誘導発熱機構2は、保持軸5により保持されている。実際には保持軸5は鉄心3を貫通し、かつ固定されている。保持軸5の両端部6,7はローラ1の両側より外部に引き出されてあり、その引出端部が、機台などの固定枠8,9に固定して支持される。10は誘導コイル4を電源に接続するための電線で、保持軸5の内部を通り、その一方の端部から外部に導出されている。
【0004】
ローラ1は外部からの回転駆動力により、あるいは被加熱物の添纏にともなう駆動力により回転されて使用されるのが普通である。そのためにはローラ1は回転自在に支持されることが必要である。図に示すローラ装置は、ローラ1を保持軸5に対して回転自在に支持している。この支持のために、図7に示す従来構成では、ジャーナル11,12を用いている。
【0005】
この構成を説明すると、各ジャーナル11,12は、ローラ1の端部に嵌合する嵌合部13,14と、ローラ1の各端面に締付ボルト15,16によって固定されるフランジ部17,18とを備えており、また各ジャーナル11,12の外端内周面と保持軸5の外周面との間に軸受19,20が介在されている。
【0006】
21は軸受19の外輪の外側をジャーナル11の内周面に固定するスナップリング、22は軸受19の内輪の外側を保持軸5の外周面に固定するスナップリング、23は軸受19の内輪の内側を保持軸5の外面に固定するスナップリング、24は軸受20の外輪の外側をジャーナル12の内面に固定するスナップリングである。
【0007】
この構成では、ローラ1は、ジャーナル11,12、軸受19,20ならびに保持軸5を介して固定枠8,9に機械的に支持される。一方ローラ1は機械的に支持されているだけではその使用目的は達成されず、ローラ1は回転自在に支持されなければならない。そのためにジャーナル11,12は、このローラ1の回転に供する軸受19,20を、保持軸5との間に保持することも重要な使用目的となっている。
【0008】
このように軸受19,20を設置するのに、ジャーナル11,12を使用するのは次のような理由による。仮にジャーナル11,12を省略し、軸受19,20をローラ1の内面と保持軸5の外面との間に直接したとする。そのときは軸受19,20の外輪の外径ならびに内輪の内径は、ローラ1の内径ならびに保持軸5の外径に合致していなければならない。しかし組立現場において、常にこのような内外径が合致する軸受を用意するのは不可能である。
【0009】
そこで図のようにジャーナル11,12をローラ1に取り付け、その内周面、保持軸5の外周面を、与えられた軸受19,20の内輪、外輪に合致するように切削加工などにより修正するようにしている。もしジャーナル11,12を使用しないとすれば、ローラ1の内面を切削する必要があり、その修正は極めて面倒である。また誤切削すれば、そのローラは廃品とせざるをえない。ジャーナルを利用していればそれを誤切削しても、ジャーナルだけを取り替えればよいとしても、しかしジャーナルはもはや廃品である。。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、誘導発熱機構を内部に備えたローラを回転支持するための構成を簡略化することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、中空円筒状のローラと、中空筒状の誘導発熱機構と、前記誘導発熱機構の中空内を貫通し前記誘導発熱機構を保持する保持軸とを有し、前記保持軸に保持した前記誘導発熱機構を前記ローラの中空内に配置し、前記誘導発熱機構の両側から突出する前記保持軸に前記ローラの両側の端部を軸受けを介して自在に支持するとともに、前記ローラの両側から引き出された前記保持軸の各端部を固定枠に固定してなる誘導発熱ローラ装置ローラにおいて、前記ローラの一側の端部の支持構成を、 前記保持軸の外周面と前記ローラの内周面のうちの一方またはその両方に、スリーブを嵌合し、前記保持軸の外周面と前記ローラの内周面との間に、前記スリーブを介して、前記ローラを前記保持軸に対して回転自在に支えるための軸受を介在させるとともに、前記保持軸側に位置するスリーブまたは軸受けを前記保持軸に対してスライド自在としてなることを主な特徴とする。
【0012】
ローラを保持軸に対して回転自在に支えるための一側の軸受は、保持軸の外周面とローラの内周面との間において、スリーブを介して設置されるので、軸受の内外径が不揃いであっても、その内外径に応じた肉厚のスリーブを選んで使用することにより、ローラを保持軸に対して簡単に回転自在に設置することができる。ローラの一方の端部は少なくともジャーナルの使用が省略できるので、それだけローラの回転に要する構成が簡略化される。また、保持軸側に位置するスリーブまたは軸受けは保持軸に対してスライド自在であるので、ローラと保持軸との間で発生する熱膨張差による応力を保持軸のスライドで吸収させることができる。
【0013】
ジャーナルを使用する構成では、組立て、分解に際して締結ボルト(図7に示す締結ボルト15,16)をもって、ジャーナルをローラに取り付け、取外しする必要がある。この締結ボルトはローラの円周方向に沿って多数必要としているので、その締付け、取外し作業が極めて面倒である。しかしジャーナルを使用しないことにより、締結ボルトの締め付け、取外し作業が不要となる。
【0014】
更に組み立てられているローラの内部からメンテナンスその他の理由により、誘導発熱機構を取り出す必要のあることがある。その場合も、従来構成ではジャーナルをローラから取り外さなければならないが、本発明ではジャーナルをローラの少なくとも一方の端部に使用していないので、軸受とともに保持軸をローラの外部に引き出すことができ、したがってジャーナルの取外し作業を必要としないで、保持軸とともに誘導発熱機構を外部に取り出すことができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施態様を図1によって説明する。なお図7と同じ符号を付した部分は、同一または対応する部分を示す。従来と同様に最初に保持軸5を誘導発熱機構2に貫通させ、この誘導発熱機構2を保持軸5に固定する。そのあと本発明にしたがい、誘導発熱機構2の左側において、スリーブ30を保持軸5に嵌合し、このスリーブ30の外側と内側とをスナップリング31、32により保持軸5に固定する。
【0016】
このスリーブ30の外周面とローラ1の左側の端部の内周面との間に、ローラ1を保持軸5に対して回転自在に支える軸受33を介在させる。軸受33の内輪はスナップリング34によりスリーブ30に固定され、また外輪はその右側がローラ1の内周面の段部40Aに当接し、左側がスナップリング35によりローラ1の内周面にそれぞれ固定される。
【0017】
また誘導発熱機構2の右側において、スリーブ36を保持軸5に嵌合する。ここではスリーブ36は保持軸5に対してスライド自在に取り付けられる。そしてこのスリーブ36の外周とローラ1の右側の端部の内周面との間に、軸受37を介在させる。軸受37の内輪はスナップリング38によりスリーブ36に固定され、また外輪はその左側がローラ1の内周面の段部40Bに当接し、右側はスナップリング39によりローラ1の内周面にそれぞれ固定される。
【0018】
スナップリング39を取り外せば、軸受37はスリーブ36とともに、ローラ1に対して右側に取外し自在となる。ローラの運転に際しては、保持軸5の端部6,7は固定枠8,9に固定されることは図7の場合と同様である。
【0019】
この構成によれば、ローラ1の左側は軸受33,スリーブ30を介して保持軸5に、また右側は軸受37、スリーブ36を介して保持軸5に支持されことになる。したがって組立て時において、各軸受33,37の内輪、外輪の径が保持軸5の外径、ローラ1の内径に合致していなくとも、スリーブ30,36として、その内径、外径を適宜調整することにより、ローラ1を保持軸5に正確に支持させることができる。またその際従来のようにジャーナル、ローラなどを切削調整する必要はない。またジャーナルを使用していないので、ローラ支持のための構成が簡略化されるようになる。
【0020】
メンテナンスなどのために、誘導発熱機構2、保持軸5をローラ1の外部に引き出す場合は次のように行なう。まず保持軸5の端部6,7を固定枠8,9から取外す。そして誘導発熱機構2などを右側に引き出す場合は、スナッブリング31,39を取り外す。そのあと保持軸5をローラ1より右側に引き出せば、保持軸5とともに、スリーブ36,軸受37、誘導発熱機構2が一体となってローラ1の外部に引き出される。なお軸受33,スリーブ30はローラ1の内部にとどまっている。
【0021】
誘導発熱機構2、保持軸5を左側に引き出す場合は、スナッブリング35を取外す。これにより軸受33はローラ1に対して左側に取外し自在となる。そして保持軸5をローラ1より左側に引き出せば、保持軸5とともに、スリーブ30,軸受33、誘導発熱機構2が一体となってローラ1の外部に引き出される。軸受37,スリーブ36はローラ1の内部にとどまっている。
【0022】
なお誘導発熱機構2の外径が、ローラ1の内径より小さくしてあることは、当然である。そうでなければ誘導発熱機構2をローラ1の内部に引き入れることも、また引き出すこともできない。
【0023】
図1に示す構成では、スリーブ36を、保持軸5の外周面に沿ってスライド自在としているが、これはローラ1と保持軸5との間で熱膨張差が生じたとき、その差によって発生する応力を吸収させる対策のためである。
【0024】
図1の構成において、ローラ1を外部からの駆動力によって回転させるには、ローラ1の外周面にプーリ、歯車などを取り付けて、これらを利用して回転させる必要がある。しかしローラの種類によっては、ローラ1にプーリ、歯車などを取り付けられない場合は、図2に示すように、ローラ1の一方の端部のみ、たとえば左側についてのみ、図7と同じようにジャーナル11を取り付け、軸受19によって回転自在に支持する。そしてジャーナル11にプーリ、歯車などを取り付けるようにすればよい。
【0025】
なおこの構成では、いったんローラ1の内部に設置された誘導発熱機構2の引き出しは、ローラ1の右側からのみ可能である。その引き出し方法は、図1の場合と同様である。
【0026】
図1,図2に示す実施態様は、スリーブ30,36を保持軸5の外周面に嵌合した構成であるが、これに代えて図3,図4に示すように、ローラ1の内周面に嵌合してもよい。図中30A,36Bはそのスリーブを示す。図3において、軸受33はその内輪の両側をスナップリング41,42によって保持軸5に固定される。軸受33の外輪はスナップリング35Aによつてスリーブ30Aに固定されている。スリーブ30Aは軸受33の外輪とローラ1の内周面との間に介在し、その右側はローラ1の内周面に設けられた段部43に当接し、左側はスナップリング44によりローラ1の内周面に固定される。
【0027】
軸受37はその内輪が保持軸5の外周面にスライド自在に設置される。このスライドによって熱膨張差によって発生する応力を吸収する。軸受37の外輪とローラ1の内周面との間にスリーブ36Aが介在する。軸受37の外輪はスナップリング39Aによりスリーブ36Aの内周に固定されている。またスリーブ36Aはその左側がローラ1の内周面に設けられた段部45に当接し、右側はスナップリング46によりローラ1の内周面に固定される。
【0028】
誘導発熱機構2,保持軸5をローラ1の外部に引き出す場合は、図1の場合と同様にスナップリング41,46を取外し、保持軸5を右側に引き出せばよい。左側に引き出す場合も図1と同様である。図4は図2に対応し、ローラ1の左側のみをジャーナル11を介して保持軸5に対して回転自在としてある。ローラ1の右側は図3の構成と同様である。
【0029】
以上の実施態様は、スリーブを保持軸側、ローラ側のいずれか一方に設置した構成であるが、これに代えて図5,図6に示すように両方に設置するようにしてもよい。これらは図1乃至図4に示す構成を組み合わせることによって容易に得られる。誘導発熱機構2などを引き出す場合は、図5ではスナップリング31,46を取り外せばよく、図6の場合はスナップリング22を取り外せばよく、いずれも以上述べた実施態様の場合と同様である。なお図5,図6において、スリーブ36が図1と同じように保持軸5に対してスライド自在としてある。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ローラを保持軸に対して回転自在に支えるための軸受は、保持軸の外周面とローラの内周面との間のスリーブを介して設置されているので、軸受の内外径が不揃いであっても、その内外径に応じた肉厚のスリーブを選んで使用することにより、ローラの内周面なり、保持軸の外周面なりを、軸受に応じて修正することなく、その軸受を設置することができる。またローラの少なくも一方の端部においてはジャーナルの使用を省略するので、組立、分解に際し、その締付け、取外作業は不要となり、その作業が簡便となる。更に組み立てられているローラの内部から誘導発熱機構を取り出すに際しても、ジャーナルの取外しを必要とすることなく、その取り出しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様を示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施態様を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施態様を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施態様を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施態様を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施態様を示す断面図である。
【図7】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 ローラ
2 誘導発熱機構
5 保持軸
8 固定枠
9 固定枠
11 ジャーナル
19 軸受
30 スリーブ
33 軸受
36 スリーブ
30A スリーブ
36A スリーブ
37 軸受

Claims (2)

  1. 中空円筒状のローラと、中空筒状の誘導発熱機構と、前記誘導発熱機構の中空内を貫通し前記誘導発熱機構を保持する保持軸とを有し、前記保持軸に保持した前記誘導発熱機構を前記ローラの中空内に配置し、前記誘導発熱機構の両側から突出する前記保持軸に前記ローラの両側の端部を軸受けを介して自在に支持するとともに、前記ローラの両側から引き出された前記保持軸の各端部を固定枠に固定してなる誘導発熱ローラ装置ローラにおいて、前記ローラの一側の端部の支持構成を、前記保持軸の外周面と前記ローラの内周面のうちの一方またはその両方に、スリーブを嵌合し、前記保持軸の外周面と前記ローラの内周面との間に、前記スリーブを介して、前記ローラを前記保持軸に対して回転自在に支えるための軸受を介在させるとともに、前記保持軸側に位置するスリーブまたは軸受けを前記保持軸に対してスライド自在としてなり、他側の端部の支持構成を、保持軸の外周面と前記ローラの内周面のうちの一方またはその両方に、スリーブを嵌合し、前記保持軸の外周面と前記ローラの内周面との間に、前記スリーブを介して、前記ローラを前記保持軸に対して回転自在に支えるための軸受を介在させるとともに、前記保持軸側に位置するスリーブまたは軸受けを前記保持軸に対してスナップリングで抜け止め固定してなることを特徴とする誘導発熱ローラ装置。
  2. 中空円筒状のローラと、中空筒状の誘導発熱機構と、前記誘導発熱機構の中空内を貫通し前記誘導発熱機構を保持する保持軸とを有し、前記保持軸に保持した前記誘導発熱機構を前記ローラの中空内に配置し、前記誘導発熱機構の両側から突出する前記保持軸に前記ローラの両側の端部を軸受けを介して自在に支持するとともに、前記ローラの両側から引き出された前記保持軸の各端部を固定枠に固定してなる誘導発熱ローラ装置ローラにおいて、前記ローラの一側端部の支持構成を、 前記保持軸の外周面と前記ローラの内周面のうちの一方またはその両方に、スリーブを嵌合し、前記保持軸の外周面と前記ローラの内周面との間に、前記スリーブを介して、前記ローラを前記保持軸に対して回転自在に支えるための軸受を介在させるとともに、前記保持軸側に位置するスリーブまたは軸受けを前記保持軸に対してスライド自在としてなり、他側の端部の支持構成を、前記ローラの端部に固定されたジャーナルとの間に、前記ジャーナルを前記保持軸に対して回転自在に支えるための軸受を介在させてなることを特徴とする特徴とする誘導発熱ローラ装置。
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