JP4219103B2 - 植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物の製造方法 - Google Patents

植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コレステロール吸収抑制作用を有する植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
植物ステロールには小腸からのコレステロールの吸収抑制作用があることが古くから知られており、血漿コレステロール濃度低下剤として用いられている。コレステロールの吸収は、コレステロールが胆汁酸ミセルへ溶解することが必要である。しかし、コレステロールの胆汁酸への溶解量は低く、大部分はエマルジョンの状態にある。
【0003】
一方、植物ステロールの場合もコレステロールとほぼ同程度の量が胆汁酸ミセルへ溶解する。したがって、コレステロールと植物ステロールが共存すると、コレステロールの胆汁酸ミセルへの溶解量が減少することになる。また、植物ステロールの小腸からの吸収率は低く、小腸内腔に残存するため、コレステロールの胆汁酸ミセルへの溶解量は制限されたままとなり、コレステロールの吸収が抑制されることとなる。したがって、食事から摂取するコレステロールの影響を受けやすいヒトの場合、植物ステロールは有効な血漿コレステロール濃度低下剤として、臨床的に利用されている。
【0004】
この植物ステロールは、植物油脂や大豆、小麦等に含まれており、日常の食事で摂取しているが、その量はごく僅かなものである。コレステロールの吸収を抑制させるためには、1日約1〜2gの植物ステロールが必要であり、通常のヒトの食事でそのような多量の植物ステロールを摂取することは困難である。
【0005】
最近、植物ステロールを油脂製品に利用するために、油脂への溶解性を高める方法が数多く提案されている。
特公昭57−26732号公報には、油脂中の遊離脂肪酸含量を高めることによって植物ステロールの油脂への溶解性を高める方法が提案されている。この方法では、植物ステロールの油脂への溶解性は向上するが、油脂中の遊離脂肪酸含量が高く、そのまま製品化するのは難しい。
【0006】
特開昭59−147099号公報には、脱臭スカムを食用油脂に添加し、それを精製して油脂中の植物ステロール含量を高める方法が、特開昭57−39736号公報には、食用油脂から有機溶剤を用いて植物ステロールを抽出し、それを添加した油脂組成物が、それぞれ提案されているが、これらの方法で調製した油脂組成物中の植物ステロールの含量はごく僅かなものであり、満足できるものではない。
【0007】
特開昭57−206336号公報には、植物ステロールを0.5〜30重量%含有した食用油脂が提案されている。植物ステロールの油脂への溶解性はわずかであるため、単に植物ステロールを油脂に混ぜただけでは、油脂への溶解性を改良したことにはなっていない。
このように、常温で植物ステロールの結晶化が起きることなく、その含量の高い油脂組成物の製造方法は現在のところ見つかっていない。
【0008】
他方、植物ステロールを植物ステロール脂肪酸エステルにして油脂への溶解性を高めた方法もある。植物ステロール脂肪酸エステルは、小腸内で遊離の植物ステロールと脂肪酸に加水分解されるため、植物ステロールと同様にコレステロール吸収抑制作用を有する。
【0009】
特開昭62−166895号公報では、水媒系及び/又は含水有機溶媒系下でリパーゼを触媒とした脂肪酸又は脂肪酸エステルと植物ステロールとのエステル化反応が開示されているが、この反応は、溶媒を使用するため脱溶媒工程が必要なこと、含水溶媒系下で反応を行うため、得られる油脂組成物の酸価も高いという欠点がある。特開2000−72793号公報では、カラー奪活剤の存在下にスタノール/ステロールと脂肪酸とを直接エステル化しているが、この方法でカラー奪活剤を使用する目的は、色調の改善のためである。
【0010】
また、一般に植物ステロールは油脂の脱臭スカムより産出するものであり、その風味は良好なものとは言えない。このため、植物ステロールを多量に配合すると当然風味は悪くなる。従来の技術において、油脂中の植物ステロールの含量を高める方法については数多くの提案があるものの、精製油の風味について記載しているものは見当たらない。
【0011】
従って、本発明の目的は、コレステロール吸収抑制作用を有する植物ステロールの含量が高く、かつ植物ステロールが結晶として析出することがなく、しかも風味が良好である油脂組成物の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、植物ステロールと油脂との混合物を吸着剤存在下でアルカリ触媒又はリパーゼ粉末触媒(固定化リパーゼを除く)を用いてエステル化反応させることを特徴とする植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物の製造方法により、上記目的を達成したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物の製造方法について詳細に説明する。
本発明で用いられる植物ステロールは、大豆、菜種、綿実等の種子油の不けん化物中に含まれており、主に植物油の脱臭工程で産出される脱臭スカムより分離して得られるものである。
【0014】
植物ステロールとしては、一般にβ−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等が知られている。本発明で用いられる植物ステロールは、これらの分離単独品である必要はなく、上記ステロールの混合物で十分である。また、本発明で用いられる植物ステロールは、上記ステロールを水素添加したスタノールを含んでいてもよい。
【0015】
本発明で用いられる油脂としては、脂肪酸組成が炭素数4〜24の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からなる油脂で、具体的にはパーム油、パームオレイン、スーパーオレイン、パームステアリン、パーム中融点部等のパーム系油脂、大豆油、菜種油、ハイオレイック菜種油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、サンフラワー油、ハイオレイックサンフラワー油、米糠油等の液状油、パーム核油、ヤシ油等のラウリン系油脂、牛脂、豚脂、魚油、乳脂等の動物油脂、これらの油脂の硬化油、分別油あるいはエステル交換油を単独あるいは配合して用いることができる。しかし、健康面を考えると、植物性油脂を使用することが好ましい。
【0016】
本発明において、植物ステロールと油脂との混合割合は、植物ステロールのモル数が油脂の脂肪酸残基のモル数以下であるのが好ましく、例えば、主に炭素数16〜18の脂肪酸残基を有する油脂を用いる場合、好ましくは油脂を99〜45重量%と植物ステロールを1〜55重量%、さらに好ましくは油脂を95〜50重量%と植物ステロールを5〜50重量%、最も好ましくは油脂を90〜50重量%と植物ステロールを10〜50重量%混合したものを用いる。上記の場合、植物ステロールの配合量が55重量%よりも多いと、未反応の植物ステロールが残存しやすく、また口溶けが悪くなりやすい。また、上記の場合、植物ステロールの配合量が1重量%よりも少ないと、コレステロール吸収抑制効果が発揮されにくい。
【0017】
本発明で用いる吸着剤としては、活性白土、シリカ、活性炭、セルロース、デンプン、セライト及びイオン交換樹脂等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、活性白土を用いるのが好ましい。
【0018】
上記の吸着剤の添加量は、本発明で用いる油脂の配合量によって異なるが、植物ステロールと油脂との混合物に対して、0.01〜20重量%とするのが好ましく、さらに好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.1〜1重量%である。吸着剤の添加量が0.01重量%より少ないとエステル化反応を進行させる効果が少なく、高融点の遊離の植物ステロールが多く残存しやすい。また、吸着剤の添加量が20重量%を超えると、植物ステロールと油脂とのエステル化反応で得られた反応油が吸着剤にしみこむ割合が多くなりやすく、該吸着剤はエステル化反応終了後に濾別してしまうため、反応油のロスが多くなりやすい。
【0019】
本発明に係るエステル化反応に使用する触媒は、アルカリ触媒又はリパーゼ粉末触媒である。
上記のアルカリ触媒としては、具体的にはソジウムメトキシド、苛性ソーダが挙げられる。
【0020】
上記のアルカリ触媒の添加量は、植物ステロールと油脂との混合物に対して、0.01〜5重量%とするのが好ましく、さらに好ましくは0.1〜1重量%、最も好ましくは、0.2〜0.5重量%である。アルカリ触媒の添加量が0.01重量%よりも少ないとエステル化反応が進行しにくくなりやすい。また、アルカリ触媒の添加量が5重量%を超えると、副生物として、石鹸、脂肪酸メチルエステル等が生成するため、反応油のロスが多くなりやすい。
【0021】
上記のリパーゼ粉末触媒としては、具体的にはAlcaligenes属、Chromobacterium属、Pseudomonas属、Humicola属から得られるリパーゼが好ましく、Alcaligenes属、Pseudomonas属から得られるリパーゼが最も好ましい。これらの酵素は、ケイソウ土、アルミナ、イオン交換樹脂、活性炭、セラミック等の担体に固定化するとエステル化を促進する効果が少なくなるので、リパーゼ粉末のままで使用する。また、本発明では固定化リパーゼは使用しない。
【0022】
上記のリパーゼ粉末触媒の添加量は、植物ステロールと油脂との混合物に対して、0.01〜10重量%とするのが好ましく、さらに好ましくは0.05〜5重量%、最も好ましくは、0.1〜1重量%である。
【0023】
本発明に係るエステル化反応は、無溶媒下で行うのが好ましい。
【0024】
本発明に係るエステル化反応の反応温度は、アルカリ触媒を用いる場合は、好ましくは70℃〜130℃、さらに好ましくは80℃〜120℃、最も好ましくは90℃〜110℃である。反応温度が70℃よりも低いと反応が完全に起こりにくく、130℃よりも高いと植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物の風味が悪化しやすい。
【0025】
上記反応温度は、リパーゼ粉末触媒を用いる場合は、好ましくは60℃〜90℃、さらに好ましくは65℃〜85℃、最も好ましくは70℃〜80℃である。反応温度が60℃よりも低いと植物ステロールが溶解しないので反応が遅く、90℃よりも高いとリパーゼが失活しやすい。
【0026】
植物ステロールと油脂との混合物に吸着剤を添加した系の水分量は、アルカリ触媒を用いる場合は、好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下であることが、触媒の失活を防ぐため望ましい。
【0027】
上記水分量は、リパーゼ粉末触媒を用いる場合は、好ましくは900ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下であることが、反応油の加水分解をできるだけ少なくし、脱臭工程での損失を低くできるため望ましい。
【0028】
また、エステル化反応は、常圧もしくは減圧の条件下で行うことができる。
【0029】
また、本発明のエステル化反応は、バッチ式の回分反応で行うことができる。
バッチ式の回分反応では、植物ステロールと油脂と吸着剤を配合し、そして減圧下で脱水を行うのが好ましい。このときの減圧下にする条件としては、好ましくは500〜2000Pa、さらに好ましくは500〜1500Paである。
【0030】
そして次に、アルカリ触媒を用いる場合は30分〜3時間、リパーゼ粉末触媒を用いる場合は4〜48時間、エステル化反応を行うのが好ましい。この際、上記のエステル化反応は減圧下で行うのが好ましい。このときの減圧下にする条件としては、好ましくは500〜2000Pa、さらに好ましくは500〜1500Paである。
【0031】
また、リパーゼ粉末触媒を用いて、反応温度を90℃以下とし、かつ植物ステロールを30重量%以上配合する際は、植物ステロールが溶解しないため、エステル化反応を2〜3段に分けて行う(例えば、先ず植物ステロールの一部を配合して1段目の反応を行い、1段目の反応が完了した後に、残りの植物ステロールを入れて、2段目の反応を行う)のが望ましい。
【0032】
植物ステロールと油脂との混合物を吸着剤の存在下でアルカリ触媒又はリパーゼ粉末触媒を用いてエステル化反応させることにより得られた反応油は、通常、アルカリ触媒を使用した場合は、中和、吸着剤の濾別、水洗、漂白、脱臭を行うことによって、リパーゼ粉末触媒を使用した場合は、リパーゼ粉末及び吸着剤の濾別、漂白、脱臭を行うことによって精製する。
【0033】
上記の中和工程は、リン酸水溶液又はクエン酸水溶液を添加することによって行う。この際、エステル化反応で用いたアルカリ触媒は中和され、分解される。
【0034】
上記の吸着剤の濾別工程は、セライト等をろ過助剤に使用した減圧ろ過又は圧搾ろ過によって行う。
【0035】
上記の漂白工程は、活性白土、シリカ、活性炭等の吸着剤で処理することによって行う。また、漂白工程は、好ましくは70〜90℃で、500〜1500Paの減圧下にて、15〜30分行う。
【0036】
通常の脱臭工程は250〜265℃のような高温で行われるが、本発明に係る上記の脱臭工程は、好ましくは250℃以下、特に好ましくは120〜240℃で行う。脱臭温度が250℃よりも高いと、生成した植物ステロール脂肪酸エステルのロスが多くなりやすい。また、脱臭工程は、好ましくは100〜400Paの減圧下にて行うのがよい。
【0037】
また、脱臭時間は、脱臭温度と反応油の酸価によって異なるが、通常30〜180分で行う。
【0038】
上記の水洗工程は、得られた反応油に対して約50重量%以下の水を加えることによって行うのが好ましい。
【0039】
このように、植物ステロールと油脂との混合物を吸着剤存在下でアルカリ触媒又はリパーゼ粉末触媒を用いてエステル化反応させることによって、植物ステロール脂肪酸エステル含量が高い油脂組成物を得ることができる。この反応のメカニズムは以下の通りである。
【0040】
植物ステロールと油脂との混合物を、吸着剤を使用せず、アルカリ触媒又はリパーゼ粉末触媒を用いてエステル化反応を行った場合、植物ステロール脂肪酸エステル、植物ステロール、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、グリセリンからなる反応油が得られる。
【0041】
一方、植物ステロールと油脂との混合物を吸着剤の存在下でアルカリ触媒又はリパーゼ粉末触媒を用いてエステル化反応させた場合、モノグリセリド及びグリセリンが吸着剤に吸着されることにより、反応平衡がシフトし、植物ステロール脂肪酸エステルが増え、植物ステロール、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドが減り、新たにグリセリンが生成する。アルカリ触媒又はリパーゼ粉末触媒及び吸着剤が十分量存在すれば、上記の反応が繰り返され、植物ステロール脂肪酸エステルが生成される反応にシフトし、植物ステロール脂肪酸エステル含量が高い油脂組成物を得ることができるのである。
【0042】
本発明は、植物ステロールと油脂とのエステル化反応において、生成するモノグリセリド及びグリセリンを吸着剤で吸着することで、エステル化率を高くすることを特徴とするため、従来の植物ステロールのエステル化方法とは異なるものである。そして、本発明の製造方法は、脂肪酸や脂肪酸エステルを使用する方法と比較して、安価な油脂をそのまま脂肪酸の供給減として使用するため、コスト的に有利である。
【0043】
本発明に係るエステル化反応による植物ステロール脂肪酸エステルの生成率は、好ましくは80〜100%、さらに好ましくは90〜100%である。尚、ここでいう植物ステロール脂肪酸エステルの生成率とは以下の式で求めた値である。
【0044】
植物ステロール脂肪酸エステルの生成率(%)=(A/B)×100
A:植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物中の植物ステロール脂肪酸エステルの植物ステロール換算量(重量%)=植物ステロール脂肪酸エステル含量×414/(414+282−18)
B:植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物中の全植物ステロール換算量(重量%)=A+植物ステロール含量
【0045】
また、本発明の製造方法で得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物中に含まれる植物ステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、反応する油脂の脂肪酸組成によって異なるが、炭素数4〜24の飽和又は不飽和脂肪酸である。
【0046】
本発明の製造方法で得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物は、植物ステロール脂肪酸エステルを好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10〜95重量%、一層好ましくは20〜95重量%、最も好ましくは30〜90重量%含有するものである。
【0047】
本発明の製造方法で得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物は、植物ステロールを好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以上4.5重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以上4重量%以下含有するものである。
【0048】
本発明の製造方法で得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物は、トリグリセリドを好ましくは0.1〜95重量%、さらに好ましくは0.5〜70重量%、最も好ましくは1〜50重量%含有し、ジグリセリドを好ましくは0.1〜25重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%、最も好ましくは1〜15重量%含有するものである。
【0049】
本発明の製造方法で得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物は、単独、もしくは他の食用油脂と混合して、製菓用、製パン用、洋菓子用の、ショートニング、マーガリン、練り込み用油脂、ロールイン用油脂;ホイップクリーム用油脂;マヨネーズ用油脂;チョコレート用油脂;無水クリーム用油脂;調理用油脂;フライ用油脂、スプレー用油脂等の油脂として用いることができる。他の食用油脂と混合して用いる場合、本発明の製造方法で得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物の配合量は、混合油脂中、好ましくは1〜99重量%、さらに好ましくは5〜90重量%、最も好ましくは10〜80重量%である。そして、上記のような油脂を用いて、食パン、菓子パン、パイ、デニッシュ、シュー、ドーナツ、ケーキ、クラッカー、クッキー、ビスケット、ワッフル、スコーン、スナック菓子、ホイップクリーム、乳代替組成物、デザート、アイスクリーム、飲料、マヨネーズ、ドレッシング、チョコレート、無水クリーム、キャンディー、ガム、米菓、サンドクリーム、フィリングクリーム、サラダ、レトルト食品、ルー、フライ食品、冷凍食品等の食品を製造することができる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何等制限されるものではない。
以下の実施例で、原料油脂中の各成分は、次の分子量を用いてモル数を計算した。また、菜種油は、主に炭素数が16〜18の脂肪酸残基を有する油脂である。
【0051】
菜種油トリグリセリド :MW884
植物ステロール :MW414
菜種油脂肪酸残基(平均):MW264
【0052】
(実施例1)
2リットルのフラスコに植物ステロール350g(0.85モル)、菜種油650g(菜種油トリグリセリドモル数:0.74モル、菜種油脂肪酸残基モル数:2.21モル)、活性白土1gを入れ、温度105℃、1,330Pa以下の減圧下で30分間撹拌し、水分50ppm以下とした。そして、これにソジウムメトキシド2gを添加し、温度100℃、1,330Pa以下の減圧下で30分間エステル化反応を行った。
反応油を常法で中和、吸着剤を濾別、水洗、漂白(温度85℃にて、反応物に対し白土を1重量%添加し、1,330Pa以下の減圧下で30分間処理)、脱臭(温度200℃、399Pa以下の減圧下で60分間水蒸気蒸留を行う)して、反応精製油(植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物)を得た。得られた反応精製油は液状油であり、風味良好であった。また、得られた反応精製油の組成を表1に示した。
【0053】
(比較例1)
エステル化反応時に活性白土を未添加とした以外は、実施例1と同様にして反応精製油を得た。得られた反応精製油は、高融点の遊離の植物ステロールが多く残存し、口溶け不良であった。また、得られた反応精製油の組成を表1に示した。
【0054】
(実施例2)
2リットルのフラスコに植物ステロール500g(1.21モル)、菜種油500g(菜種油トリグリセリドモル数:0.57モル、菜種油脂肪酸残基モル数:1.71モル)、シリカゲル5gを入れ、温度110℃、1,330Pa以下の減圧下で30分間撹拌し、水分50ppm以下とした。そこへソジウムメトキシド5gを添加し、温度105℃、1,330Pa以下の減圧下で30分間エステル化反応を行った。
反応油を常法で中和、吸着剤を濾別、水洗、漂白(温度85℃にて、反応物に対し白土を1重量%添加し、1,330Pa以下の減圧下で30分間処理)、脱臭(温度200℃、399Pa以下の減圧下で60分間水蒸気蒸留を行う)して、反応精製油を得た。得られた反応精製油は液状油であり、風味良好であった。また、得られた反応精製油の組成を表1に示した。
【0055】
(比較例2)
エステル化反応時にシリカゲルを未添加とした以外は、実施例2と同様にして反応精製油を得た。得られた反応精製油は、高融点の遊離の植物ステロールが多く残存し、口溶け不良であった。また、得られた反応精製油の組成を表1に示した。
【0056】
(実施例3)
2リットルのフラスコに植物ステロール200g(0.49モル)、菜種油600g(菜種油トリグリセリドモル数:0.68モル、菜種油脂肪酸残基モル数:2.04モル)、活性炭3gを入れ、温度100℃、1,330Pa以下の減圧下で15分間撹拌し、水分300ppmとした。温度を70℃に下げ、市販の粉末リパーゼ(商品名:リパーゼQL(Alcaligenes属)、名糖産業(株)製)3gを添加し、窒素雰囲気下で24時間エステル化反応を行った。そこへさらに植物ステロール200g(0.49モル)を入れ、1,330Pa以下の減圧下で24時間エステル化反応を行った。
反応油をろ過し、リパーゼ及び吸着剤を濾別、漂白(温度85℃にて、反応物に対し白土を1重量%添加し、1,330Pa以下の減圧下で30分間処理)、脱臭(温度200℃、399Pa以下の減圧下で60分間水蒸気蒸留を行う)して、反応精製油を得た。得られた反応精製油は液状油であり、風味良好であった。また、得られた反応精製油の組成を表1に示した。
【0057】
(比較例3)
リパーゼとして市販の固定化リパーゼ(商品名:リパーゼQLC(Alcaligenes属)、名糖産業(株)製)を使用した以外は、実施例3と同様にして反応精製油を得た。得られた反応精製油は、高融点の遊離の植物ステロールが多く残存し、口溶け不良であった。また、得られた反応精製油の組成を表1に示した。
【0058】
【表1】
Figure 0004219103
【0059】
表1より、植物ステロールと油脂との混合物をアルカリ触媒又はリパーゼ粉末を触媒としてエステル化反応させる際に、吸着剤を使用することで、植物ステロール脂肪酸エステル含量が高く、且つ植物ステロール含量が低い油脂組成物を製造可能であることがわかる。
【0060】
(実施例4) マーガリンの調製
硬化大豆油(融点45℃)20重量%、パーム油15重量%、実施例1の反応精製油50重量%、水13.3重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳0.5重量%及びフレーバー0.2重量%を乳化、急冷可塑化し、マーガリンを作成した。このマーガリンは、植物ステロール脂肪酸エステルを36重量%、遊離の植物ステロールを0.6重量%含有していた。
得られたマーガリンは、乳化剤を添加していないが、急冷可塑化中、保存中(4カ月)のいずれにおいても水の分離がなかった。また、乳化剤を添加していないため、風味も非常に良好であった。
また、得られたマーガリンを、基準油脂分析法(日本油化学協会)の2.4.9.1−1996(薄層クロマトグラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じて測定したところ、植物ステロール(遊離型換算)を22.6重量%含有していた。
【0061】
【発明の効果】
本発明は、植物ステロールと油脂を原料としてコレステロール吸収抑制作用を有する植物ステロール脂肪酸エステルを高濃度に含有する油脂組成物の製造方法を提供するものである。

Claims (3)

  1. 植物ステロールと油脂との混合物を吸着剤存在下でアルカリ触媒又はリパーゼ粉末触媒(固定化リパーゼを除く)を用いてエステル化反応させることを特徴とする植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物の製造方法。
  2. 上記の吸着剤が活性白土、シリカ、活性炭、セルロース、デンプン、セライト及びイオン交換樹脂の中から選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物の製造方法。
  3. 上記植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物が植物ステロール脂肪酸エステルを5重量%以上含有する請求項1又は2記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物の製造方法。
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