JP4947854B2 - エステル組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は低吸収性のエステル組成物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
飽食の潮流の中で、カロリーの過剰摂取が特に欧米で大きな問題となってきている。日本においても脂質からの摂取エネルギー比率が依然として増加傾向にある。特に脂質は単位重量当たりのカロリー価が高く、脂質エネルギー比の増加は大きな問題として認識されている。脂質の過剰摂取は、肥満、高脂血症、心臓病、大腸ガン等の一因ともなり、生活習慣病予防の観点からも注意を払うべき問題である。但し、脂質を低減すると食品の美味しさも低減することになり、汎用的な低カロリー脂質あるいは低吸収性脂質の開発が望まれている。
【0003】
低吸収性脂質組成物としては、短鎖飽和脂肪酸及び長鎖飽和脂肪酸からなるトリグリセリド〔商品名;Caprenin(C6 、C8 の短鎖飽和脂肪酸及びC22の長鎖飽和脂肪酸からなるトリグリセリド)、Salatrim(C3 、C4 の短鎖飽和脂肪酸及びC18の長鎖飽和脂肪酸からなるトリグリセリド)〕、長鎖飽和脂肪酸からなる三飽和トリグリセリド(例えば、大豆油の極度硬化油)、糖エステル〔商品名;Olestra(蔗糖脂肪酸エステル)、Sorbestrin(ソルビトール脂肪酸エステル)〕等がよく知られている。なお、Cn は炭素数がn個の分子であることを示す。
【0004】
また、製品配合の中で単位重量当たりのカロリー価の高い脂質をより低カロリーの澱粉系(デキストリン、修飾スターチ)、蛋白系(乳蛋白、卵白)、植物繊維系(セルロース、ファイバー)、ガム系(キサンタンガム)に置換する配合上の工夫等も一般的によく知られている。
【0005】
トリグリセリドを主成分とする一般の油脂の場合、その物理的燃焼価は9.45kcal/gであり、これに吸収率95%を乗じ、9kcal/gと計算されている。短鎖飽和脂肪酸及び長鎖飽和脂肪酸からなるトリグリセリドは5kcal/g、長鎖飽和脂肪酸からなる三飽和トリグリセリドは3kcal/gと言われている。これらは吸収率は低いものの、風味、食感が極めて悪く加工食品設計上、大きな問題となる。糖あるいは糖アルコールの脂肪酸エステル類は全く吸収されないため0kcal/gである。但し、これらは熱安定性が悪く、また製造コストも高く、限定的用途にしか使用できない。
【0006】
また、製品配合の中で脂質を澱粉系、蛋白系他に置換する方法等については個別の商品に限定したかたちの工夫であり、汎用的な適用は非常に難しい。
【0007】
一方、EP0910955号公報には、低吸収性のワックスエステル組成物が提案されているが、これらは製造コストが高く、目的の組成物を得るための製法も現実的ではなかった。また風味、食感の面でも充分でなく、汎用的応用面においても満足のいくものではなかった。
【0008】
また、カロリー摂取量に対する脂肪の比率を低減した食事によるダイエットも種々試みられているようであるが、低脂肪食によるダイエットは継続率が低下するようである。つまり、適量の脂肪を含む美味しい食事によらなければ、ダイエットの継続が困難になるものと想定される(油脂 Vol.52,No.7,p13 1999)。
【0009】
従って、本発明の目的は、汎用的に使用可能な種々のニーズに容易に適合し得る低吸収性のエステル組成物及びその安価な製造方法を提供し、風味、食感に優れた、健康改善に有用な食品開発に資することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成し、主にジグリセリド、トリグリセリド、及び炭素数6以上のアシル基と炭素数6以上のアルコキシル基とから構成されるエステル化合物(通常ワックス又はワックスエステルとも称される)からなり、かつ該ジグリセリドを3重量%以上、該エステル化合物を7〜95重量%それぞれ含有することを特徴とするエステル組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、上記ジグリセリドを6重量%以上、上記エステル化合物を7〜80重量%それぞれ含有する上記エステル組成物を提供するものである。
【0012】
本発明は、上記エステル化合物が主に炭素数10以上のアシル基と炭素数10以上のアルコキシル基とから構成されてなる上記エステル組成物を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、上記ジグリセリドを構成するアシル基の組成と、上記エステル化合物を構成するアシル基の組成とが実質的に同一である上記エステル組成物を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、上記トリグリセリドが、1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリド(以下、SUSともいう)、1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリドと1,3−不飽和−2−飽和トリグリセリド(以下、USUともいう)からなる分子間化合物(以下、SUS/USUともいう)、1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリドと1,2−飽和−3−不飽和トリグリセリド(以下、SSUともいう)又は2,3−飽和−1−不飽和トリグリセリド(以下USSともいう)からなる分子間化合物(以下、SUS/(SSU/USS)ともいう)の群から選ばれる1 種以上を含有し、それらの含有量の総量が、エステル組成物全体に対して、2〜87重量%である上記エステル組成物を提供するものである。
【0015】
本発明は、上記エステル組成物を配合使用した食品を提供するものである。
【0016】
本発明は、上記の本発明のエステル組成物の好ましい製造方法として、主にトリグリセリドからなる油脂と炭素数6以上のアルコールとの混合系を、無溶媒下で、リパーゼ又は化学触媒の存在下にてエステル交換反応を行った後、得られた反応混合物より該リパーゼ又は該触媒を除去し、さらに必要に応じて精製を行うことを特徴とするエステル組成物の製造方法を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、主にトリグリセリドからなる上記油脂と炭素数6以上の上記アルコールとの混合物に、さらに炭素数10以上のアシル基と炭素数3以下のアルコキシル基とから構成されるエステルを加えた混合系のエステル交換反応を、この過程で発生する炭素数3以下のアルコキシル基から由来するアルコールを反応系外に除去しながら行う上記エステル組成物の製造方法を提供するものである。
【0018】
さらに、本発明は、反応系において、アシル基のモル数がヒドロキシル基のモル数を超えない範囲で反応する上記エステル組成物の製造方法を提供するものである。
【0019】
また、本発明は、反応系において、実質的にグリセリドに対する位置選択性のないリパーゼを触媒として用いる上記エステル組成物の製造方法を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、エステル化合物もしくはエステル化合物を含有する油脂と、1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリド、1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリドと1,3−不飽和−2−飽和トリグリセリドからなる分子間化合物、1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリドと1,2−飽和−3−不飽和トリグリセリド又は2,3−飽和−1−不飽和トリグリセリドからなる分子間化合物の群から選ばれる1 種以上を含有する油脂を配合することを特徴とする上記エステル組成物の製造方法を提供するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
本発明のエステル組成物は、主にジグリセリド、トリグリセリド、及び炭素数6以上のアシル基と炭素数6以上のアルコキシル基とから構成されるエステル化合物(ワックスエステル)からなり、ジグリセリドが3重量%以上、エステル化合物(ワックスエステル)が7〜95重量%それぞれ含有することを特徴とするものである。
【0023】
ジグリセリドの含有量は3重量%以上であり、より望ましい含有量は6重量%以上である。ジグリセリドの含有量が3重量%未満では、乳化性に劣ったものとなる。
【0024】
上記エステル化合物の占める割合が7重量%未満の場合は、通常の油脂の吸収性と大差なくなり、本発明の目的を達成することができなくなる。また、上記エステル化合物の占める割合が95重量%を超える場合には、エステル組成物の乳化性が悪くなる。これはジグリセリド、トリグリセリド等に比べエステル化合物の乳化性が低いためと考えられる。エステル組成物の乳化性が悪くなると、マーガリン、ファットスプレッド等の乳化系への応用が困難になり、汎用的応用の面で障害となる。乳化剤添加量の増加、組合せの工夫で対応し得る可能性もあるが、健康上及びコスト上昇を伴うことより望ましいとは言えない。また、上記エステル化合物の占める割合が95重量%を超える場合には、エステル組成物の製造時に、副産物の割合が多くなるというコスト上の問題も生起する。上記エステル化合物のより望ましい含有量は10〜80重量%である。
【0025】
本発明で用いられるエステル化合物(ワックスエステル)を構成するアシル基及びアルコキシル基の炭素数は6以上であれば特に制限はないが、エステル化合物(ワックスエステル)の総炭素数としては20以上が望ましく、より望ましくは28以上である。また、アシル基とアルコキシル基のそれぞれの炭素数としては主に10以上で構成されることがより望ましく、12以上で構成されることがさらに望ましい。これらの範囲で、より長鎖の組合せの方が天然資源として豊富であり、より容易により安価に入手し得ること、反応工程及びその後の精製工程等の製造プロセスにおいてプロセス条件設定がより容易となる。
【0026】
また、ジグリセリドを構成するアシル基の組成と、エステル化合物を構成するアシル基の組成とが実質的に同一であることが望ましい。これは、本発明のエステル組成物の物性的均一性(例えば、液状性あるいは結晶形態の安定性等)をより安定的に保持するためである。エステル化合物及びジグリセリド、トリグリセリドを構成するアシル基の組成が実質的に同一であることがより望ましい。
【0027】
本発明のエステル組成物は、トリグリセリドとして、SUS、SUSを構成成分とする分子間化合物であるSUS/USU、SUS/(SSU/USS)の1種以上を含有し、それらの総量がエステル組成物全体に対して2〜87重量%含有することで口溶け等の食感が優れたものとなり、可塑性油脂等に好ましく使用することができる。SUS又は分子間化合物の割合が2重量%未満では、良好な口溶けが得られないことがあり、また、SUSの割合が87重量%を超える場合には、可塑性油脂として使用した場合に、結晶安定性が悪くなる場合がある。また、分子間化合物の割合が87重量%を超える場合には、低吸収性の目的が達せられない場合があり好ましくない。上記、SUS又は分子間化合物のより望ましい含有量は、それらの総量がエステル組成物全体に対して10〜80重量%、さらに望ましい含有量は20〜70重量%である。SUSはその濃度がエステル組成物中50重量%以上であれば、低吸収性(吸収率70%)であり、エステル化合物(吸収率0%)との配合により、本発明のエステル組成物は任意の吸収率に調整することが可能となる。
【0028】
またトリグリセリド中の、SUS,SUSを構成成分とする分子間化合物であるSUS/USU、SUS/(SSU/USS)の総量の含有量は、10〜100重量%が好ましく、20〜100重量%がより好ましい。トリグリセリド中、SUS又は分子間化合物の割合が10重量%未満では良好な口溶けが得られないことがある。
【0029】
本発明で用いられるSUSを構成する飽和脂肪酸は炭素数16以上のものが望ましい。構成する飽和脂肪酸の炭素数が14以下では、SUSの吸収率が上昇するので望ましくない。SUSを構成する不飽和脂肪酸は、モノエン脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、トランス脂肪酸のいずれか又は混合されたもので構わない。
【0030】
本発明で用いられる分子間化合物を構成する飽和脂肪酸は炭素数16以上のものが望ましい。構成する飽和脂肪酸の炭素数が14以下では、分子間化合物が形成されにくい。構成する不飽和脂肪酸はモノエン脂肪酸が望ましい。モノエン脂肪酸以外では、分子間化合物が形成されにくい。
【0031】
本発明のエステル組成物は、単独もしくは他の食用油脂と配合して、パン、デニッシュ、ペーストリー、パイ、クッキー、ケーキ用のショートニング、マーガリン、ファットスプレッドの原料油脂として、またホイップクリーム、マヨネーズ、ドレッシング、チョコレート用の原料油脂として、さらにクッキングオイル、調理用油脂、フライ用油脂等に用いることができる。特にトリグリセリドとして、SUS、SUSを構成成分とする分子間化合物であるSUS/USU、SUS/(SSU/USS)の1種以上を含有し、それらの総量がエステル組成物全体に対して2〜87重量%含有するエステル組成物の場合、可塑性油脂として好ましく使用でき、口溶け等の食感や結晶安定性等に優れ、例えばマーガリンやファットスプレッドの原料油脂として好ましく使用できる。
【0032】
本発明のエステル組成物、該エステル組成物と他の食用油脂を配合した油脂、は、一般の脂質含有食品であればいずれにも使用でき、その食品の例としては、マーガリン、ファットスプレッド、クッキングオイル、フライ油、調理用油脂、マヨネーズ、ドレッシング、ホイップクリーム、チョコレート、パイ等の焼き菓子、パン、デニッシュ、ペーストリー、洋菓子、冷菓等を挙げることができる。特にトリグリセリドとして、SUS、SUSを構成成分とする分子間化合物であるSUS/USU、SUS/(SSU/USS)の1種以上を含有し、それらの総量がエステル組成物全体に対して2〜87重量%含有するエステル組成物の場合、例えばマーガリンやファットスプレッド等、それらを使用した食品は、優れた口溶け等の食感や優れた結晶安定性等を有するようになり好ましく用いられる。本発明のエステル組成物の各食品中への配合量は、特に制限はなく、従来使用されている油脂と同様に使用することができる。
【0033】
次に、本発明のエステル組成物の製造方法について説明する。
本発明のエステル組成物の製造方法は、主にトリグリセリドからなる油脂と炭素数6以上のアルコールとの混合系を、無溶媒下で、リパーゼ又は化学触媒の存在下にてエステル交換反応を行った後、得られた反応混合物より該リパーゼ又は該触媒を除去し、さらに必要に応じて精製を行うことを特徴とする。
【0034】
また、上記の反応系に、さらに炭素数10以上のアシル基と炭素数3以下のアルコキシル基から構成されるエステルを加えた混合系のエステル交換反応を、この過程で発生する炭素数3以下のアルコキシル基から由来するアルコールを反応系外に除去しながら行うものである。
【0035】
出発原料として用いる主にトリグリセリドからなる油脂としては、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、スーパーオレイン、パーム中融点画分、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、サンフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックサンフラワー油、米糠油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、シア脂、イリッペ脂、マンゴー脂、コクム脂、牛脂、豚脂、魚油、乳脂、MCT等の合成油脂、あるいはこれらの硬化油、分別油、エステル交換油等を用いることができる。
【0036】
出発原料としての炭素数6以上のアルコールとしては、天然油脂を原料として製造される高級アルコールあるいはこれらの混合アルコールが用いられる。天然油脂を原料とした高級アルコールの製造過程で二重結合が飽和化されるケースもあるが、サイドリアクションとしての飽和化反応が格段と抑制されたものが製造されるようになってきているため、それらも利用できる。また、天然ワックスの鹸化分解で製造される高級アルコールも用いることができる。
【0037】
上記のトリグリセリドからなる油脂とアルコールにさらに原料の一部として加える炭素数10以上のアシル基と炭素数3以下のアルコキシル基から構成されるエステルについて説明する。アシル基としては炭素数10以上であれば特に制限はなく、またアルコキシル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル基から選ばれる。上記エステルのアシル基としては炭素数12以上がより望ましく、炭素数16以上がさらに望ましい。上記エステルを反応系に加えるケースでは、炭素数3以下のアルコキシル基から由来するアルコールを系外に除去しながらエステル化反応を行うが、アシル基としては比較的長鎖の方が、またアルコキシル基としてはより短鎖の方がアルコールを系外に除去する条件の設定が容易となる。
【0038】
また、反応系内のアシル基の総モル数がヒドロキシル基の総モル数を超えない範囲で反応することが望ましい。ヒドロキシル基よりアシル基のモル数が多い系では、多くの場合に、反応後の精製で脱酸等の工程を必要とする。脱酸工程は漂白や脱臭に比べ比較的面倒でロスの多い工程であり避ける方が望ましい。ここでいうヒドロキシル基の総モル数とは、アシル基と結合しエステル化されているヒドロキシル基(アルコキシル基)及びヒドロキシル基の総モル数をいう。反応系に、さらに炭素数10以上のアシル基と炭素数3以下のアルコキシル基から構成されるエステルを加えるケースでは、炭素数3以下のアルコキシル基から由来するアルコールのヒドロキシル基は、反応系から除去されるため、総モル数には含めない。
【0039】
本発明の製造方法で用いられるリパーゼとしては、特に制限はないが、トリグリセリドの位置選択性の無いものを使用するのが好ましい。具体的にはAlcaligenes属、Chromobacterium属、Pseudomonas属、Humicola 属から得られる酵素等が好ましく、この中で、Alcaligenes属、Chromobacterium属、Pseudomonas属から得られる酵素等がより好ましく、Alcaligenes属から得られる酵素等が最も好ましい。これらの酵素は酵素粉末のままで使用することも可能であるが、キトサン、珪藻土、アルミナ、活性炭、セラミックス、イオン交換樹脂等の担体に固定化して用いることもできる。リパーゼの使用量はリパーゼの活性により異なるが、原料混合物に対して0.005〜10重量%とするのが好ましく、より好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.02〜3重量%である。酵素反応系の温度は、好ましくは45〜100℃、さらに好ましくは60〜80℃である。酵素反応系の系内水分は、好ましくは900ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。
【0040】
本発明の製造方法で用いられる化学触媒としてはアルカリ触媒が有効である。ソジウムメチラート、水酸化カリウムが望ましく、特にソジウムメチラートがより望ましい。ソジウムメチラート等のアルカリ触媒を用いる場合は原料中の酸性物質及び水分をよく除いておくことが望ましい。
【0041】
本発明においては、エステル交換反応は無溶媒下で行う。無溶媒とすることにより反応後の脱溶媒も不要となり、コストの低減されたプロセスとなる。
【0042】
反応の形式としては、回分式反応、連続式反応の両方が可能であるが、原料の一部として炭素数10以上のアシル基と炭素数3以下のアルコキシル基から構成されるエステルを加えて行う場合には、回分式反応の方がより容易に炭素数3以下のアルコキシル基から由来するアルコールを系外に除去しながら行うことができる。
【0043】
反応後の後精製としてはリパーゼ又は触媒の除去、あるいは必要に応じて漂白(活性白土等による吸着処理)、脱臭(水蒸気蒸留等による低分子成分の除去)等を行なう。上記精製条件は反応混合物の物性に対応して選定する。
【0044】
また、本発明のエステル組成物は、エステル化合物もしくはエステル化合物を含有する油脂と、SUSを含有する油脂及び/又は分子間化合物を含有する油脂とを適宜配合しても得ることができる。特にSUS及び/又は分子間化合物のエステル組成物中の含有量を調整する場合、エステル化合物もしくはエステル化合物を含有する油脂に、SUSを含有する油脂及び/又は分子間化合物を含有する油脂を配合して調整することが好ましい。
【0045】
本発明で用いられるSUSを含有する油脂としては、パーム中融点画分、サル脂、シア脂、イリッペ脂、マンゴー脂、コクム脂、綿実ステアリンあるいはこれらの硬化油、分別油、エステル交換油等が挙げられる。
【0046】
本発明で用いられる分子間化合物を含有する油脂は、SUS/USUを含有する油脂、及び/又はSUS/(SSU/USS)を含有する油脂である。
【0047】
SUS/USUを含有する油脂は、SUSを含有する油脂とUSUを含有する油脂とを配合して得られる。
【0048】
SUSを含有する油脂としては、パーム中融点画分、サル脂、シア脂、イリッペ脂、マンゴー脂、コクム脂あるいはこれらの硬化油、分別油、エステル交換油等が挙げられる。
【0049】
USUを含有する油脂は、極度硬化油とモノエン脂肪酸のエステルとを1,3位置選択的リパーゼを用いて、エステル交換した後、分子蒸留により、脂肪酸エステル等を除去、溶剤分別により、USUを濃縮、後精製し得られる。上記位置選択性を有するリパーゼは、グリセリドの1,3位置の脂肪酸のみに作用するもので、その例としては、Rhizoupus 属、Aspergillus 属、Rhizomucor属から得られる酵素等が望ましい。また、もちろんUSUを含有する油脂、例えば、ラードを溶剤分別してUSU(軟部油成分)を濃縮したものを使用してもよい。
【0050】
SUS/(SSU/USS)を含有する油脂は、極度硬化油とハイオレイック油脂とを非選択的リパーゼ、又は化学触媒を用いてエステル交換した後、溶剤分別により、SUS、SSU、USSを濃縮、後精製し得られた油脂に、必要に応じて、主にSUSからなる油脂を適宜配合して得られる。上記非選択的リパーゼは、リパーゼとしては、特に制限はないが、トリグリセリドの位置選択制が無いものを使用するのが望ましい。具体的にはAlkaligenes 属、Chromobacterium 属、Pseudomonas 属、Humicola属から得られる酵素等が望ましい。本発明の製造方法で用いられる化学触媒としてはアルカリ触媒が有効である。ソジウムメチラート、水酸化カリウムが望ましい。また、SUS/(SSU/USS)を含有する油脂は、SSU/USSを含有する油脂、例えば、ラードを溶剤分別してSSU/USS(中部油成分)を濃縮した油脂にSUSを主成分とする油脂を配合しても得られる。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何等制限されるものではない。
【0052】
〔実施例1〕
反応原料としてナタネ油とヤシ油アルコールを用いた。ナタネ油のアシル基の組成を表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 0004947854
【0054】
表1の(n:m)はアシル基の炭素数(n)及び二重結合数(m)を示す。表1よりナタネ油を構成する脂肪酸の平均分子量は269.6、またナタネ油を構成するトリグリセリドの平均分子量は846.8と計算される。
【0055】
また、ヤシ油アルコールのアルコキシル基の組成を表2に示す。
【0056】
【表2】
Figure 0004947854
【0057】
表2の(n:m)はアルコキシル基の炭素数(n)及び二重結合数(m)を示す。表2よりヤシ油アルコールの平均分子量は202.6と計算される。
【0058】
<エステル組成物の製造>
10リットル容の反応器にナタネ油6.4kgとヤシ油アルコール1.6kgを仕込み、系内水分を200ppmに調整後、Alcaligenes属由来のリパーゼ(商品名;リパーゼQL、名糖産業社製)2gを添加した。反応温度65℃で40時間反応した。この反応系のアシル基のモル数は、次の計算により、22.7モルと求められる。
3×6.4×1000÷846.8=22.7
【0059】
また、ヒドロキシル基は、油脂(トリグリセリド)のグリセロール(一分子に三個のヒドロキシル基を有す)とヤシ油アルコールのヒドロキシル基からなり、ヒドロキシル基の系内のモル数は、次の計算により、30.6モルと求められる。
3×6.4×1000÷846.8+1.6×1000÷202.6=30.6
【0060】
上記の反応混合物よりセライト濾過によりリパーゼを除き、漂白(活性白土2重量%を添加し、85℃で20分間撹拌後セライト濾過)及び脱臭(水蒸気蒸留、温度200℃、1時間)等を行ない本発明のエステル組成物を得た。
【0061】
得られたエステル組成物の薄層クロマトグラフィーによる分析では、ジクリセリド38重量%、トリグリセリド34重量%、エステル化合物(ワックスエステル)28重量%であった。薄層クロマトグラフィーで分離したジクリセリド、トリグリセリド及びエステル化合物(ワックスエステル)の画分を分取してガスクロマトグラフィーによる脂肪酸組成の分析法によりアシル基の分析を行ったところ、いずれもナタネ油のアシル基の組成と同等であった。なお、エステル化合物(ワックスエステル)画分については鹸化後、アルコール部分をエチルエーテルで抽出し、石鹸水溶液に酸を加え脂肪酸とした後、エチルエーテルで抽出し、常法により脂肪酸組成分析を行った。
【0062】
エステル化合物(ワックスエステル)は吸収されないことにより、このエステル組成物は6.5kcal/g〔=(0.38+0.34)×9.45×0.95kcal/g〕と評価される(一般の油脂の物理的燃焼価を9.45kcal/g、その吸収率を95%として計算した)。
【0063】
得られたエステル組成物は、無味無臭で、マーガリン他の原料油として好適に使用可能であった。
【0064】
〔実施例2〕
10リットル容の反応器に融点36℃のナタネ硬化油4.8kgとヤシ油アルコール3.2kgを仕込み、実施例1と同様に反応及び後精製を行った。なお、後精製の脱臭における水蒸気蒸留の時間を2時間に延長した点が異なる。
【0065】
得られたエステル組成物は、ジクリセリド22重量%、トリグリセリド11重量%、エステル化合物(ワックスエステル)67重量%であった。
【0066】
エステル化合物(ワックスエステル)は吸収されないことにより、このエステル組成物は約3.0kcal/g〔=(0.22+0.11)×9.45×0.95kcal/g〕と評価される(一般の油脂の物理的燃焼価を9.45kcal/g、その吸収率を95%として計算した)。
【0067】
得られたエステル組成物は、無味無臭であり、マーガリン他の原料油として好適に使用可能であった。
【0068】
〔実施例3〕
10リットル容の反応器にナタネ油1.6kgとナタネ油の脂肪酸基をアシル基としたエチルエステル(ソジュームメチラートを触媒としたアルコリシス反応及び反応物の水洗、蒸留により調製したもので平均分子量309.4)3.2kg、ヤシ油アルコール3.2kgを仕込み、アスピレーターで減圧状態にして生成するエチルアルコールを系外に除去しながら実施例1と同様に反応した。この反応系のアシル基のモル数は、次の計算により、16.0モルと求められる。
3×1.6×1000÷846.8+3.2×1000÷309.4=16.0
【0069】
また、ヒドロキシル基はの系内のモル数は、次の計算式により、21.5モルと求められる。
3×1.6×1000÷846.8+3.2×1000÷202.6=21.5
【0070】
エチルエステルのエトキシ基由来のエタノールは反応系から除去されるので、この部分は上記のヒドロキシル基には包含しない。反応後は実施例1と同様に後精製を行った。なお、後精製の脱臭における水蒸気蒸留の時間を2時間に延長した点が異なる。
【0071】
得られたエステル組成物は、ジクリセリド8重量%、トリグリセリド9重量%、エステル化合物(ワックスエステル)83重量%であった。
【0072】
エステル化合物(ワックスエステル)は吸収されないことにより、このエステル組成物は約1.5kcal/g〔=(0.08+0.09)×9.45×0.95kcal/g〕と評価される(一般の油脂の物理的燃焼価を9.45kcal/g、その吸収率を95%として計算した)。
【0073】
得られたエステル組成物は、無味無臭であり、マーガリン他の原料油として好適に使用可能であった。
【0074】
〔実施例4〕
10リットル容の反応器に融点36℃のナタネ硬化油0.8kgとナタネ硬化油の脂肪酸基をアシル基としたエチルエステル(ソジュームメチラートを触媒としたアルコリシス反応及び反応物の水洗、蒸留により調製した)4kg、ヤシ油アルコール3.2kgを仕込み、アスピレーターで減圧状態にして生成するエチルアルコールを系外に除去しながら実施例3と同様に反応した。反応後は実施例3と同様に後精製を行った。
【0075】
得られたエステル組成物は、ジクリセリド3重量%、トリグリセリド6重量%、エステル化合物(ワックスエステル)91重量%であった。
【0076】
このエステル組成物は約0.8kcal/g〔=(0.03+0.06)×9.45×0.95kcal/g〕と評価される(一般の油脂の物理的燃焼価を9.45kcal/g、その吸収率を95%として計算した)。
【0077】
得られたエステル組成物は、無味無臭であり、マーガリン他の原料油として好適に使用可能であった。
【0078】
〔実施例5〕
(マーガリンの調製)
実施例1〜4で得たエステル組成物を、それぞれ15重量%、20重量%、20重量%及び45重量%の割合で混合した。得られた混合エステル組成物80重量%、水18.3重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳0.5重量%、フレーバー0.2重量%を乳化、急冷可塑化によりマーガリンを調製した。得られたマーガリンは乳化剤を添加していないが、急冷可塑化中、保存中(5±2℃、4ケ月)のいずれにおいても水の分離がなく、また乳化剤を添加していないため風味もよく、また、口溶け、食感とも良好であった。
【0079】
〔実施例6〕
(ファットスプレッドの調製)
精製パーム油25重量%、実施例2で得られたエステル組成物25重量%及び実施例4で得られたエステル組成物を50重量%の割合で混合した。得られた混合エステル組成物50重量%、水48.3重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳0.5重量%、フレーバー0.2重量%を乳化、急冷可塑化によりファットスプレッドを調製した。得られたファットスプレッドは乳化剤を添加していないが、急冷可塑化中、保存中(5±2℃、3ケ月)のいずれにおいても水の分離がなく、また、乳化剤を添加していないため風味もよく、また口溶け、食感とも良好であった。
【0080】
[実施例7〜11及び比較例1]
10リットル容の反応器にパーム油(ヨウ素価IV=48)4.8kgとパーム油アルコール3.2kgを仕込み、系内水分を200ppmに調整後、Alcaligenes 属由来のリパーゼ(商品名;リパーゼQL、名糖産業社製)2gを添加した。反応温度65℃で40時間反応した。反応混合物よりセライト濾過によりリパーゼを除き、漂白(活性白土2重量%を添加し、85℃で20分間撹拌後セライト濾過)及び脱臭(水蒸気蒸留、温度200℃、1時間)等を行ないエステル化合物を含有するエステル組成物Aを得た。
【0081】
得られたエステル組成物Aの薄層クロマトグラフィーによる分析では、ジグリセリド24重量%、トリグリセリド6重量%、エステル化合物62重量%、モノグリセリド8重量%であった。
【0082】
上記エステル組成物AとSUS含有油脂であるパーム中融点画分(ヨウ素価IV=34)を表3の比率で配合し、本発明のエステル組成物B〜Eを得た。
【0083】
本エステル組成物のカロリー(kcal/g)は、
▲1▼エステル化合物以外の組成中に占めるSUSの割合が50重量%未満のとき、
カロリー=(トリグリセリド重量%+ジグリセリド重量%+モノグリセリド重量%)/100×9.45×0.95kcal/g
▲2▼エステル化合物以外の組成中に占めるSUSの割合が50重量%以上のとき、
カロリー=トリグリセリド重量%/100×9.45×0.70+(ジグセリド重量%+モノグリセリド重量%)/100×9.45×0.95kcal/gと評価される(エステル化合物(ワックスエステル)は吸収されないことにより、0kcal/g、一般の油脂の物理的燃焼価を9.45kcal/g、その吸収率を95%、油脂中に占めるSUSの割合が50重量%を超える場合は、その吸収率を70%として計算した)。
【0084】
上記エステル組成物A〜Eとパーム中融点画分を用い、マーガリンを調製して評価した。すなわち、エステル組成物80重量%、水18.3重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳0.5重量%、フレーバー0.2重量%を乳化、急冷可塑化によりマーガリンを調製した。得られたマーガリンを10名のパネラーで口溶けを評価(優、良、可、不可の4段階評価)した。また、20℃、4ヶ月の保存でのブツ、油分離の発生の有無により、結晶安定性を評価した。結果を表3に示す。パーム中融点画分を用いたものを比較例1とした。
【0085】
【表3】
Figure 0004947854
【0086】
[実施例12〜16及び比較例2]
10リットル容の反応器に融点36℃のナタネ硬化油(ヨウ素価IV=71)1.6kgとナタネ硬化油の脂肪酸基をアシル基としたエチルエステル(ソジュームメチラートを触媒としたアルコリシス反応及び反応物の水洗、蒸留により調製したもの)3.2kgを仕込み、アスピレーターで減圧状態にして生成するエチルアルコールを系外に除去しながら、実施例7〜11と同様に反応、後精製を行いエステル化合物を含有するエステル組成物Fを得た。
【0087】
得られたエステル組成物Fの薄層クロマトグラフィーによる分析では、ジグリセリド8重量%、トリグリセリド9重量%、エステル化合物83重量%、モノグリセリド0重量%であった。
【0088】
10L容の反応器に大豆極度硬化油2kgとオレイン酸エチル4kgを仕込み、系内水分を300ppmに調整後、Rhizomucor由来の固定化リパーゼ(商品名;リボザイムRMIM、ノボザイムズ社製)50gを充填したガラスカラムに毎時100gの流速、反応温度70℃で通液し、反応油を得た。反応油を分子蒸留し、脂肪酸エチル等を除去した後、溶剤分別を行い、1,3―オレイルー2−ステアリルグリセリン(USU)を70重量%含有する油脂を得た。上記油脂とコクム脂(SUS含量70重量%、ヨウ素価IV=37)を等量配合し、分子間化合物(SUS/USU)70重量%を含有する油脂を得た。
【0089】
エステル組成物Fと分子間化合物を含有する油脂を表4の比率で配合し、本発明のエステル組成物G〜Jを得た。カロリーは実施例7〜11と同様にして計算した。
【0090】
エステル組成物F〜Jと分子間化合物を含有する油脂を用い、ファットスプレッドを調製して評価した。すなわち、エステル組成物50重量%、水48.3重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳0.5重量%、フレーバー0.2重量%を乳化、急冷可塑化によりファットスプレッドを調製した。得られたファットスプレッドを10名のパネラーで口溶けを評価(優、良、可、不可の4段階評価)した。また、20℃、4ヶ月の保存でのブツ、油分離の発生の有無により、結晶安定性を評価した。結果を表4に示す。分子間化合物を含有する油脂を用いたものを比較例2とした。
【0091】
【表4】
Figure 0004947854
【0092】
【発明の効果】
本発明のエステル組成物は、低吸収性であり、また安価に製造することができる。このエステル組成物の各種脂質含有食品への応用により、風味、食感に優れ、カロリーの低い食品を安価に提供することができる。つまり、本発明のエステル組成物により大部分の脂質含有食品の低カロリー化を図ることができ、健康改善に極めて有用となる。

Claims (10)

  1. 主にジグリセリド、トリグリセリド、及び炭素数6以上のアシル基と炭素数6以上のアルコキシル基とから構成されるエステル化合物からなり、かつ該ジグリセリドを3重量%以上、該エステル化合物を7〜80重量%それぞれ含有し、上記トリグリセリドが、1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリド、1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリドと1,3−不飽和−2−飽和トリグリセリドからなる分子間化合物、1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリドと1,2−飽和−3−不飽和トリグリセリド又は2,3−飽和−1−不飽和トリグリセリドからなる分子間化合物の群から選ばれる1種以上を含有し、それらの含有量が、エステル組成物全体に対して、10〜80重量%であり、該トリグリセリドを構成する不飽和脂肪酸が、モノエン脂肪酸であることを特徴とする低カロリー食品用エステル組成物。
  2. 上記ジグリセリドを6重量%以上含有する請求項1記載のエステル組成物。
  3. 上記エステル化合物が、主に炭素数10以上のアシル基と炭素数10以上のアルコキシル基とから構成される請求項1又は2記載のエステル組成物。
  4. 上記ジグリセリドを構成するアシル基の組成と、上記エステル化合物を構成するアシル基の組成とが実質的に同一である請求項1〜3のいずれか1項に記載のエステル組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のエステル組成物を配合使用した低カロリー食品。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエステル組成物の製造方法であって、主にトリグリセリドからなる油脂と炭素数6以上のアルコールとの混合系を、無溶媒下で、リパーゼ又は化学触媒の存在下にてエステル交換反応を行った後、得られた反応混合物より該リパーゼ又は該触媒を除去し、さらに必要に応じて精製を行うことを特徴とするエステル組成物の製造方法。
  7. 主にトリグリセリドからなる上記油脂と炭素数6以上の上記アルコールとの混合物に、炭素数10以上のアシル基と炭素数3以下のアルコキシル基とから構成されるエステルを加えた混合系のエステル交換反応を、この過程で発生する炭素数3以下のアルコキシル基から由来するアルコールを反応系外に除去しながら行う請求項記載のエステル組成物の製造方法。
  8. 反応系において、アシル基のモル数がヒドロキシル基のモル数を超えない範囲で反応する請求項6又は7記載のエステル組成物の製造方法。
  9. 反応系において、実質的にグリセリドに対する位置選択性のないリパーゼを触媒として用いる請求項6〜8のいずれか1項に記載のエステル組成物の製造方法。
  10. 請求項1記載のエステル組成物の製造方法であって、エステル化合物もしくはエステル化合物を含有する油脂と、1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリド、1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリドと1,3−不飽和−2−飽和トリグリセリドからなる分子間化合物、1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリドと1,2−飽和−3−不飽和トリグリセリド又は2,3−飽和−1−不飽和トリグリセリドからなる分子間化合物の群から選ばれる1種以上を含有する油脂を配合することを特徴とするエステル組成物の製造方法。
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