JP4242947B2 - 低カロリー液状油脂 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然油脂と同じ構造で、加熱調理可能な常温で液状の低カロリー油脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
欧米では、脂肪摂取過剰と肥満、各種疾病との関係が取り上げられ、問題となっている。対応として米国では、脂肪摂取過剰な食生活改善のアクションプログラムが示されている。我国においても、厚生省国民栄養調査(平成6年)によると脂質所要量より20%以上過剰に摂取している人が国民の36.8%を占めていることが報告されている。実際、シュガーレス甘味料市場の急速な広がりに見るように、健康志向が高まりつつある。
【0003】
この様な生活習慣と摂取エネルギー過剰という現状の中で、摂取カロリーの低減という視点から、様々な低カロリー素材が提案され、いわゆる低カロリー食品が、世界中で盛んに発売されている。一時期には、脂質に比べて低カロリーのたんばく質、炭水化物に注目した研究が多く紹介された。油脂を、より低カロリーの素材で置き換えようとするもので、これらを大別すると、(1)炭水化物系素材、(2)蛋白系素材、(3)油脂系素材がある。
【0004】
(1)の商品例には、松谷化学工業のパセリSA−2が、(2)の商品例には、 Nutra Sweet社のSimplessが、それぞれ挙げられる。
【0005】
これら商品例の機能は、主に乳化能やテクスチャを与えるものだが、加熱調理に使えず、凍結によっても変性してその機能を失うため、ドレッシング、ヨーグルトやアイスクリームなど極めて限られた用途にしか用いることができない。また、油脂独特のボディ感や旨味を与えることは、当然のことながら不可能であり、美味しさの点で、消費者に充分な満足を与えるには至っていない。
【0006】
そこで、この点で注目されるのが、(3)油脂系素材である。
【0007】
この油脂系の素材は、油脂の持つ旨味を初めとする諸機能を与えるため通常の油脂に近い成分で構成されており、それでいて摂取した場合にカロリーを低減するためには、様々な創意工夫が必要とされ、実現は困難である。
【0008】
油脂のカロリーに関する研究は、実は30年以上の長きにわたっており、油脂系の低カロリー素材として、▲1▼天然油脂と構造を全く異にした非天然型物質、▲2▼天然の油脂と構造は同じで、カロリーが低い中短鎖の脂肪酸と、トリグリセリドの1,3位に存在すると吸収が下がる長鎖の飽和脂肪酸で構成されたものが、いくつか提案されているにすぎない。
【0009】
しかしながら、これらも、その性質上の理由などから用途の制限が厳しく、世界市場を見渡しても、実用に供せられているものはほとんど無いのが実状である。
【0010】
非天然型のものとして、例えば、蔗糖のポリ脂肪酸エステルがあるが(米国特許第3,600,186号、P&G社)、これは安全性の点で不安があるとされている。
【0011】
一方、天然型のものとしては、例えば、中短鎖の脂肪酸を含むもの(特表平6−506106号、ナビスコ インコーポレーテッド)やジステアロ型のトリグリセリドを主成分とするもの(特開平6−14712号、日清製油)等があるが、前者は容易に分解、発煙するため加熱料理用に使用できないという欠点が、後者は一般の植物油と同じ様に扱える常温で液状の油脂を提供し難い上、1,2−ジステアロ型と1,3−ジステアロ型の区分が無いためカロリーの低減において効果的でない等の欠点がそれぞれあり、いずれも実用面における問題点を有している。
【0012】
油脂成分の一つであるジステアロ型のトリグリセリドは、低カロリーであるが、固体脂である。
【0013】
例えば、特開平6−14712号(日清製油)では、ジステアロモノリノレイントリグリセリド(SSL、SLS)及び/又はジステアロモノα−リノレイントリグリセリド(SSLn、SLnS)を30%以上含む油脂を低カロリー油脂として請求しているが、この含量では固体脂となる。
【0014】
上記のSLS(SLnS)は、大豆油に10%配合しただけで固液分離を引き起こし、液状を維持できないという欠点を有する。
【0015】
このような固体脂と液状油を配合した場合に発生する固液分離を抑制するための技術として、結晶抑制剤等の添加剤を使用する方法が知られている。しかし、この結晶抑制剤もその選定は容易ではなく、必ずしも有効な方法ではない。
【0016】
例えば、モノステアロジオレイントリグリセリド(SOO)は、m.P.23〜24℃であることが知られており、通常油と比較した吸収率が82%であることが報告されている(F.H.Mattsonら、J.Ntr.,109,1682-1687(1979))。しかし、このものは、室温では融点に近いため、その性状は甚だ不安定である。
【0017】
以上のように、熱媒体(フライ油)として利用可能な食用油について、低カロリーという機能と、液状という状態を両立させる条件を見出すのは極めて難しいことである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
このような厳しい環境下、本発明は、天然油脂と同じ構造で、加熱調理用として使用できる常温で液状の安全な低カロリー油脂を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決するため鋭意研究を行ったところ、長鎖の飽和脂肪酸は吸収率は低いが反液状化の性質を有し、一方、長鎖の不飽和脂肪酸は吸収率は高いが液状化の性質を有するという、相反する性質を持つ両成分の配合をうまく調整すれば、結晶抑制剤等の添加剤なしでも、低カロリーで、しかも常温で液状の油脂が安定的に得られることを発見し、更に、研究を重ねた結果、遂に本発明を完成したものである。
【0020】
即ち、本発明は、次の通りのものである。
【0021】
1)SUS及び/又はSUUからなるトリグリセリドを含有するものであって、SUS及び/又はSUUを70%以上、且つSUSを10%〜25%含有し、しかも多価不飽和脂肪酸成分が全脂肪酸成分の40%以上占めることを特徴とする低カロリー液状油脂。
【0022】
2)(a)主成分が少なくとも2位に炭素数16〜18の多価不飽和脂肪酸残基を70%以上含有するトリグリセリドである油脂と(b)炭素数16〜18の飽和脂肪酸とを、(a):(b)=1:0.4〜1:0.7(重量比)で、エステル交換反応させることを特徴とする上記1記載の低カロリー液状油脂の製造方法。
【0023】
3)(a)の油脂が、紅花油、アマニ油、又は大豆油からなる群の少なくとも1種から選ばれる油脂である上記2記載の低カロリー液状油脂の製造方法。
【0024】
4)(a)の油脂が、リノール酸及び/又はリノレン酸を50%以上含有するものである上記2又は3記載の低カロリー液状油脂の製造方法。
【0025】
5)(b)の飽和脂肪酸が、パルミチン酸及び/又はステアリン酸である上記2、3又は4記載の低カロリー液状油脂の製造方法。
【0026】
6)エステル交換反応が、1,3−位特異的なリパーゼの存在下で行われる上記2、3、4又は5記載の低カロリー液状油脂の製造方法。
【0027】
7)上記1記載の低カロリー液状油脂を含有する食品。
【0028】
ところで、特に、本発明が特徴とするところは、▲1▼SUU+SUSの合計量が70%以上、▲2▼SUSの量が10%〜25%、及び▲3▼多価不飽和脂肪酸が全脂肪酸の40%以上という3条件全部を備えたものを選定することにより、液状で、しかも低カロリーの油脂を得る点にある。
【0029】
上記の3条件の選定理由について、以下、述べる。
【0030】
(イ) 上記▲1▼の条件について
本発明の所期の目的を達成するためには、SUU+SUSの合計量は、70%以上である。SUU+SUSの合計量が70%未満であると、上記▲2▼及び▲3▼の条件を満足しても、低カロリーのものは得られない。
【0031】
(ロ) 上記▲2▼の条件について
本発明の所期の目的を達成するためには、SUSの量は、10%〜25%、好ましくは14%〜23%である。SUSの量が10%未満の場合、上記▲1▼及び▲3▼の条件を満足しても、低カロリーのものは得られない。また、SUSの量が25%を超えると、上記▲1▼及び▲3▼の条件を満足しても、固体状となり、液状のものは得られない。
【0032】
(ハ) 上記▲3▼の条件について
本発明の所期の目的を達成するためには、多価不飽和脂肪酸が全脂肪酸の40%以上、好ましくは42%〜60%である。多価不飽和脂肪酸が全脂肪酸の40%未満であると、上記▲1▼及び▲2▼の条件を満足しても、固体状となり、液状のものは得られない。
【0033】
以上、本発明は、上記▲1▼〜▲3▼の条件全部を備えたものを選定することにより、液状で、しかも低カロリーという2つの性能を有する優れた油脂を得ることを可能としたものである。
【0034】
前述したように、マトソン(F.H.Mattson)らによれば、不飽和脂肪酸を有する、1(3)−モノステアロジオレイントリグリセリドは吸収率が低いとされていることからみて、不飽和脂肪酸を有する点では同じところの、多価不飽和脂肪酸を主成分とするSUUの場合、その吸収率が低いと予想される。
【0035】
しかしながら、後述するように、不飽和脂肪酸として、多価不飽和脂肪酸を主成分とするSUUの場合は、このような予想とは逆に、該SUUは吸収率は高いという事実があることが分かった(比較例1参照)。即ち、同じ不飽和脂肪酸においても、その不飽和基の数により、その吸収率には差があることが判明した。
【0036】
ところが、本発明者らは、驚くべきことに、このように、吸収率が高いと予想される多価不飽和脂肪酸を主成分とするSUUの場合にあっても、SUSが特定量(10%〜25%)共存すると、吸収され難くなるという意外な事実があることを知り得たのである。
【0037】
したがって、このような意外な事実の認識に基づいてなされた本発明は、その完成が容易でなかったことを示している。
【0038】
以上のことから、本発明における、▲1▼SUU+SUSの合計量が70%以上、▲2▼SUSの量が10%〜25%、及び▲3▼多価不飽和脂肪酸が全脂肪酸の40%以上という3条件全部を備えたものを選定することに、格別の意義(困難性)があることが分かるであろう。
【0039】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0040】
本発明の低カロリー液状油脂の製造方法は、通常のエステル交換法により行うのがよい。
【0041】
該エステル交換法としては、化学法とリパーゼ法が挙げられ、該リパーゼ法には、非特異的方法と1,3−位特異的法とがある。
【0042】
上記のエステル交換法の内、化学法と非特異的リパーゼ法では、数多くの種類のトリグリセリドが生成するので、目的とする本発明の油脂を得るためには、各種の精製処理が必要となる。
【0043】
これに対して、1,3−位特異的リパーゼ法では、上記の化学法等に比し、少数の種類のトリグリセリドしか生成しないので有利である。
【0044】
このような1,3−位特異的リパーゼ法によるエステル交換法としては、トリグルセリドと脂肪酸とを反応させる方法と二種類のトリグリセリドを反応させる方法とがあるが、前者の方法を採用するのが好ましい。
【0045】
次に、上記の前者の1,3−位特異的リパーゼ法における原料、反応方法等について説明する。
【0046】
(1)リパーゼ
1,3−位特異的リパーゼとしては、Mucor miehei由来リパーゼ、Aspcrgillus niger由来リパーゼ、Rhizopus delemar由来リパーゼ、Rhizopus arrhizus由来リパーゼ又はRhizopus niveus由来リパーゼ等が挙げられる。
【0047】
また、酵素の使用形態としては、液状、粉末又は珪藻土やイオン交換樹脂等の担体に固定化したもの等が挙げられる。
【0048】
(2)反応形式
バッチ式又は連続式のいずれでも行うことができる。反応物の回収、酵素の反復使用等を考慮すると、リパーゼを充填したカラムを使用した連続式で行うのが好ましい。
【0049】
(3)原材料
(a)トリグリセリド
トリグリセリドとしては、2位に、炭素数16〜18の多価不飽和脂肪酸を70%以上含有し、飽和脂肪酸は5%未満のものを使用するのがよい。
【0050】
例えば、2位に、不飽和結合が2〜3個のリノール酸、α−リノレン酸を多く含有し、飽和脂肪酸を殆ど含まないものとして、紅花油、大豆油、綿実油、ひまわり油、アマニ油、シソ油などが挙げられる。
【0051】
(b)飽和脂肪酸
飽和脂肪酸又はそのアルコールエステルを使用するのがよい。
【0052】
完全水添した菜種油、大豆油などを加水分解して得られる炭素数16〜18の飽和脂肪酸、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸が好ましい。炭素数が長いペヘン酸等は油脂の融点を上げるため液状油脂を作り難く適切ではない。又、炭素数が短いカプリン酸等は加熱により容易に発煙し臭いを発生するので使えない。
【0053】
(4)方法
上記の油脂と飽和脂肪酸の使用割合は、原料油脂の種類によって異なる。例えば、原料油脂中の多価不飽和脂肪酸の含有量が多い場合、飽和脂肪酸の使用割合は高くする必要があるが、原料油脂中の多価不飽和脂肪酸の含有量が少なくなると、飽和脂肪酸の使用割合は低くする必要がある。
【0054】
具体的には、(a)主成分が少なくとも2位に炭素数16〜18の多価不飽和脂肪酸残基を70%以上含有するトリグリセリドである油脂と(b)炭素数16〜18の飽和脂肪酸とを、(a):(b)=1:0.4〜1:0.7(重量比)で、1,3−位特異性リパーゼでエステル交換反応させることにより行うのがよい。
【0055】
この場合の油脂としては、紅花油、アマニ油、大豆油又はこれらの混合物等を用いるのが好ましい。
【0056】
ところで、油脂として、高リノール種の紅花油を使用する場合、全脂肪酸に占めるリノール酸量が約78%、2位脂肪酸に占める割合が約84%であるので、1,3−位特異的酵素でステアリン酸とエステル交換を行えば、1,3−ジステアロ−2−リノレイントリグリセリドと1(3)−モノステアロ−ジリノレイントリグリセリドを調製できるので、特に好ましい。
【0057】
本発明による油脂は、それ自体のカロリー低減度は、USP3,600,186号(P&G社)等の発明に比べ必ずしも高いとは言えないが、我が国の脂質の摂取状況をみると適切な数値となっている。また、本発明による油脂は、中短鎖の脂肪酸がほとんど含まれておらず、熱安定性に優れており、加熱調理に適した特性がある。
【0058】
さらに、天然の油脂と同じ構造であるので、健康面や安全性により優れたものである。
【0059】
本発明の低カロリー液状油脂は、その特性を活かして、サラダ油、サラダドレッシング、フライ油等に使用して、低カロリー食品を製造することが出来る。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の実施例において、「%」とあるのは、「重量%」を意味する。
【0061】
【実施例1】
紅花油とアマニ油を1:1に配合した油600gとパルミチン酸350g(油脂:脂肪酸比、1:0.58)を混合して、Mucor miehei由来の酵素(ノボノルディスク LIPOZYME IM、イオン交換樹脂に固定化)50gと共に窒素気流下60℃で4時間攪拌して反応させた。反応物は、固定化酵素をろ別した後、減圧下(2Torr)で水蒸気蒸留(260℃、蒸気量対油2.5%、60分間)を行い脂肪酸を除去し、トリグリセリド画分を得た。これを常法に従い脱色、脱臭して550gの精製油を得た。
【0062】
なお、脱色、脱臭は、以下の条件で行った。
【0063】
脱色条件:白土添加量1%、105℃、15分間。
【0064】
脱臭条件:260℃、1.8Torr、60分間、吹き込み蒸気量 対油2%。
【0065】
【実施例2】
大豆油と紅花油を1:1に配合した油600gとステアリン酸200g(油脂:脂肪酸比1:0.33)をRhizopus delemar由来の固定化酵素(天野製薬リパーゼD、セラミック担体日本ガイシ製SM−10に固定化)200gと共に窒素気流下70℃で8時間攪拌して反応させた。その後、実施例1と同様に処理し、520gの精製油を得た。
【0066】
【実施例3】
綿実油900gとステアリン酸50gを混合し(油脂:脂肪酸比、1:0.06)、Mucor miehei由来の酵素(ノボノルディスク LIPOZYME IM)200gと共に窒素気流下70℃で4時間攪拌して反応させた。反応物は実施例1と同様に処理して、820gの精製油を得た。
【0067】
【比較例1】
サフラワー油800gとステアリン酸200gを混合し(油脂:脂肪酸比、1:0.25)、LIPOZYME IM 100gと共に70℃で5時間攪拌して反応させた。反応物は、固定化酵素をろ別した後、実施例1と同様に脂肪酸を除去した。得られた脱酸油を5倍容のヘキサンに溶解させ、5℃で溶媒分別して高融点画分を除去し、−10℃で中融点画分を濾過回収した。その後、常法に従い脱色、脱臭して180gの精製油を得た。
【0068】
【比較例2】
紅花油700gとステアリン酸200gを混合油し(油脂:脂肪酸比、1:0.28)、Mucor miehei由来の酵素(ノボノルディスク LIPOZYME IM)50gと共に70℃で5時間攪拌して反応させた。反応物は実施例lと同様に処理して、630gの精製油を得た。
【0069】
【比較例3】
紅花油500gとステアリン酸400gを混合し(油脂:脂肪酸比、1:0.8)、LIPOZYME IM(Novo社)100gと共に70℃で6時間攪拌して反応させた。反応物は実施例1と同様に処理して、450gの精製油を得た。
【0070】
【比較例4】
菜種油600gとステアリン酸300gを混合し(油脂:脂肪酸比、1:0.5)、LIPOZYME IM(Novo社)90gと共に70℃で4時間攪拌して反応させた。反応物は実施例1と同様に処理して、530gの精製油を得た。
【0071】
【動物試験】
l)方法
ラットを10頭1群として、5日間予備飼育した後、実施例の液状油を含む飼料(表1)を1週間摂取させ、油脂の摂取量と糞中の脂質排泄量を調べ、大豆油に対する吸収率を求めた。油脂には、試験区1では実施例1の油を、試験区2では実施例2の油を、試験区3では実施例3の油を、試験区4では比較例1の油を、試験区5では比較例2の油を、試験区6では比較例3の油を、試験区7では比較例4の油を、対照区には大豆油をそれぞれ用いた。
【0072】
2)飼料組成
【表1】
Figure 0004242947
試験結果は、以下の表2に示す。
【表2】
Figure 0004242947
なお、上記の表において、本件の場合、トリグリセリド中の脂肪酸は、炭素数16〜18の飽和脂肪酸であるか不飽和脂肪酸であるか否かが重要であり、その具体的な脂肪酸の種類は特に問題にする必要はないので、理解し易いように、炭素数16〜18の飽和脂肪酸に該当するものは「S」と、炭素数16〜18の不飽和脂肪酸に該当するものは「U」と、それぞれ、表記した。
【0073】
ところで、特に、本発明が特徴とするところは、▲1▼SUU+SUSの合計量が70%以上、▲2▼SUSの量が10%〜25%、及び▲3▼多価不飽和脂肪酸が全脂肪酸の40%以上という3条件全部を備えたものを選定することにより、液状で、しかも低カロリーの油脂を得る点にあることは、前に述べたとおりであるが、このような本発明の所期の目的を達成するためには、該▲1▼〜▲3▼の3条件全部を備えることが不可欠なことは、以下述べるように、上記の表2の結果から分かる。
【0074】
(イ) 上記▲1▼の条件について
比較例2の結果から、SUU+SUSの合計量が70%未満であると、上記▲2▼及び▲3▼の条件を満足しても、液状ではあるが、低カロリーのものは得ることが出来ないことが分かる。
【0075】
(ロ) 上記▲2▼の条件について
比較例1の結果から、SUSの量が14%未満であると、上記▲1▼及び▲3▼の条件を満足しても、液状ではあるが、低カロリーのものは得ることが出来ないことが分かる。
【0076】
また、比較例3の結果から、SUSの量が25%を超えると、上記▲1▼及び▲3▼の条件を満足しても、低カロリーのものではあるが、固体状となり、液状のものは得ることが出来ないことが分かる。
【0077】
(ハ) 上記▲3▼の条件について
比較例4の結果から、多価不飽和脂肪酸が全脂肪酸の40%未満であると、上記▲1▼及び▲2▼の条件を満足しても、固体状となり、液状のものは得ることが出来ないことが分かる。
【0078】
(ニ) 実施例1〜3の結果から、上記▲1▼〜▲3▼の条件全部を備えたものは、液状でしかも低カロリーのものを得ることが分かる。
【0079】
また、その低カロリー度の達成をみると、実施例のものは、吸収率は70%台であり、液状の比較例1、2、4のものに比し、20%以上低いことが分かる。
【0080】
以上の結果、本発明のように、液状で、しかも低カロリーという2つの性能を有する優れた油脂を得るためには、上記▲1▼〜▲3▼の条件全部を備えることが不可欠であることが分かる。
【0081】
【発明の効果】
本発明による油脂は、以下のように優れた特性を有する。
【0082】
(1)低カロリーである。
【0083】
(2)常温で均一な液状である。
【0084】
(3)加熱しても、分解や発煙を発生しない。
【0085】
(4)結晶抑制剤等の添加剤を使用しなくても、固液分離を起こさない。
【0086】
(5)天然の油脂と同じ構造であるので、健康面や安全性により優れたものである。
【0087】
(6)加熱調理用、例えば、フライなど油を多量に含む食品の調理に最適性を有する。

Claims (7)

  1. 下記の式1のトリグリセリド(以下、「SUS」という。)及び/又は下記の式2のトリグリセリド(以下、「SUU」という。)からなるトリグリセリドを含有するものであって、SUS及び/又はSUUを70%以上、且つSUSを10%〜25%含有し、しかも多価不飽和脂肪酸成分が全脂肪酸成分の40%以上占めることを特徴とする低カロリー液状油脂。
    Figure 0004242947
    Figure 0004242947
    (式中、Sは炭素数16〜18の飽和脂肪酸残基;Uは炭素数16〜18の不飽和脂肪酸残基を、それぞれ示す。)
  2. (a)主成分が少なくとも2位に炭素数16〜18の多価不飽和脂肪酸残基を70%以上含有するトリグリセリドである油脂と(b)炭素数16〜18の飽和脂肪酸とを、(a):(b)=1:0.4〜1:0.7(重量比)で、エステル交換反応させることを特徴とする請求項1記載の低カロリー液状油脂の製造方法。
  3. (a)の油脂が、紅花油、アマニ油、又は大豆油からなる群の少なくとも1種から選ばれる油脂である請求項2記載の低カロリー液状油脂の製造方法。
  4. (a)の油脂が、リノール酸及び/又はリノレン酸を50%以上含有するものである請求項2又は3記載の低カロリー液状油脂の製造方法。
  5. (b)の飽和脂肪酸が、パルミチン酸及び/又はステアリン酸である請求項2、3又は4記載の低カロリー液状油脂の製造方法。
  6. エステル交換反応が、1,3−位特異的なリパーゼの存在下で行われる請求項2、3、4又は5記載の低カロリー液状油脂の製造方法。
  7. 請求項1記載の低カロリー液状油脂を含有する食品。
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