JP4217284B2 - ガラス繊維強化ポリオレフィン系樹脂ペレット - Google Patents

ガラス繊維強化ポリオレフィン系樹脂ペレット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形、押出成形などに用いることのできるガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットに関する。詳しくは、取り扱い性にすぐれ、溶融混練時の繊維破断が少なく、機械的、熱的特性にすぐれた成形品を連続、安定製造できるガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性樹脂の強度、耐熱性の向上のためにガラス繊維を用いた強化方法が一般に行われている。強化方法としては、チョップドストランド状のガラス繊維を用いて単純ブレンド溶融混練して得られるペレットが多用されている。しかし、このペレットを用いて射出成形した場合、最終成形品中のガラス繊維長さが実質的に1mm以下になり、ガラス繊維の強化効果を十分生かすことができていない。このため、ガラス繊維束を引抜きながら樹脂を含浸することによって、繊維が平行に配列したストランドとなし、これを切断することにより繊維を長く保った長繊維ペレットが提案されている。
【0003】
しかし、長繊維ペレットは従来の短繊維ペレットに比較して、ペレット長が長いために溶融可塑化が不安定になりやすく、その結果として、(1)製品重量がバラつく、(2)溶融可塑化時間が長くなる、(3)ガラス繊維が破断しやすくなる、(4)ホッパー内でブリッジが起きやすく成形機への安定供給が困難になる場合があるなどの問題点がある。また、ガラス繊維束へ樹脂を含浸する場合に低分子量の樹脂を選択し、スプレダーなどを用いる含浸条件の採用などで改善することも提案されている。しかし、連続ストランド(連続引き出し物)をペレットに切断するときに、ガラス繊維が抜け落ちたり、成形現場でのペレットのドライブレンド、空気輸送などの際にガラス繊維が脱落したり、さらに脱落繊維による毛玉の発生などで、ホッパーでの詰まりや成形品にガラス繊維の分散不良などの不良品を発生させ、連続安定成形性に劣るなどの問題点が依然残されていた。さらに、抜け落ちたガラス繊維が成形現場に飛散し、作業者の膚に刺さるなど、衛生、安全、環境面からも問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の欠点を克服し、ガラス繊維の抜け落ちが少なく、衛生、安全、環境面で取り扱い性にすぐれるとともに、射出成形などの成形によって強度、耐熱性、外観などにすぐれた成形品を連続、安定製造することができるガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ガラス繊維と樹脂の界面接着強度(界面剪断強度)とペレットの形状を特定範囲に制御することにより、課題が解決できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、(1)ポリオレフィン系樹脂と30〜80重量%の実質的に平行に配列したガラス繊維からなり繊維方向の長さが3〜100mmであるペレットであって、ガラス繊維と樹脂の界面接着力が界面剪断強度で10MPa以上、ペレットの断面積が3〜10mm、ペレット断面の長径/短径の比が1.1〜2.5、ペレット長さ(mm)/断面積(mm)の比が1.4〜5であることを特徴とするガラス繊維強化ポリオレフィン系樹脂ペレット。
(2)ポリオレフィン系樹脂が不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂を含有するものである前記(1)記載のガラス繊維強化ポリオレフィン系樹脂ペレットを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明のガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂と30〜80重量%の実質的に平行に配列したガラス繊維からなり繊維方向の長さが3〜100mmであるペレットである。本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、特に制限なく、たとえば、エチレン;プロピレン;ブテン−1;3−メチルブテン−1;4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、あるいはこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などのポリオレフィン系樹脂、あるいはポリスチレン系樹脂,ポリ塩化ビニル系樹脂,ポリアミド系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリアセタール系樹脂,ポリカーボネート系樹脂,ポリ芳香族エーテル又はチオエーテル系樹脂,ポリ芳香族エステル系樹脂,ポリスルホン系樹脂,アクリレート系樹脂,フッ素系樹脂などが挙げられる。これらは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0008】
これらの中でポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂の例としては、高密度,中密度,低密度ポリエチレンや、直鎖状低密度ポリエチレン,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体,プロピレン−エチレンブロック共重合体やランダム共重合体,プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリブテン−1,ポリ4−メチルペンテン−1などを挙げることができるが、本発明においては、これらの中で、特にポリプロピレンン系樹脂が好適である。このポリプロピレン系樹脂は、特に制限はなく、広範囲の分子量(メルトインデックス)のものを使用できるが、長期耐熱安定性などの点から、メルトインデックス(MI)(温度230℃,荷重2.16kg)が60g/10分以下のものが好ましく、特に40g/10分以下のものが好ましい。
【0009】
なお、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂を含有するものが好ましい。この変性ポリオレフィン樹脂は、ガラス繊維と樹脂の界面強度が向上し、引張強さなどが大幅に向上する上、繊維束への樹脂含浸性が促進するので好適である。この変性ポリオレフィン系樹脂に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリプロピレン,ポリエチレン,エチレン−α−オレフィン共重合ゴム,エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン系化合物共重合体(例えばEPDMなど),エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン系化合物共重合ゴムなどが挙げられる。また、上記α−オレフィンとしては、例えばプロピレン;ブテン−1;ペンテン−1;ヘキセン−1;4−メチルペンテン−1などが挙げられ、これらは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのポリオレフィン系樹脂の中では、ポリプロピレンやポリエチレンが好適であり、中でもポリプロピレンが最も好ましい。
【0010】
また、変性に用いられ不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,イタコン酸,クロトン酸,シトラコン酸,ソルビン酸,メサコン酸,アンゲリカ酸などが挙げられ、またその誘導体としては、酸無水物,エステル,アミド,イミド,金属塩などがあり、例えば無水マレイン酸,無水イタコン酸,無水シトラコン酸,アクリル酸メチル,メタクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,マレイン酸モノエチルエステル,アクリルアミド,マレイン酸モノアミド,マレイミド,N−ブチルマレイミド,アクリル酸ナトリウム,メタクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。これらの中で不飽和ジカルボン酸及びその誘導体が好ましく、特に無水マレイン酸が好適である。
【0011】
これらの不飽和カルボン酸やその誘導体は、前記ポリオレフィン系樹脂を変性する場合、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また変性方法については特に制限はなく、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば該ポリオレフィン系樹脂を適当な有機溶媒に溶解し、不飽和カルボン酸やその誘導体及びラジカル発生剤を添加して攪拌、加熱する方法、あるいは前記各成分を押出機に供給してグラフト共重合を行う方法などを用いることができる。この変性ポリオレフィン系樹脂としては、前記不飽和カルボン酸やその誘導体の付加量が0.01〜20重量%、好ましくは0.02〜10重量%の範囲にあるものがよく、特に無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂が好適である。
【0012】
つぎに、本発明で用いるガラス繊維は、E−ガラス、S−ガラスなどであり、その径が3〜30μm、好ましくは6〜25μmの範囲にあるのが望ましい。この場合、繊維径が3μm未満では樹脂の含浸や取り扱いが困難になり、30μmを越えると成形品の外観や物性が低下することがある。熱可塑性樹脂との複合化に当たっては、通常、この複数のガラスフィラメントを集めた繊維束、いわゆるガラス繊維ロービングの形態で用いられる。
【0013】
本発明においては、上記ガラス繊維を、樹脂との濡れ性や接着性などを良好なものとするために、表面処理剤で予め処理しておいてもよい。この表面処理剤としては、例えばシラン系,チタネート系,アルミニウム系,クロム系,ジルコニウム系,ボラン系カップリング剤などが挙げられるが、これらの中でシラン系カップリング剤及びチタネート系カップリング剤が好ましく、特にシラン系カップリング剤が好適である。
【0014】
このシラン系カップリング剤としては、例えばトリエトキシシラン,ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン,γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でもγ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン類が好適である。
【0015】
該ガラス繊維を、上記表面処理剤で処理する方法については特に制限はなく、従来慣用されている方法、例えば水溶液法,有機溶媒法,スプレー法など、任意の方法を用いることができる。
本発明のガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットの製造のためには、たとえば、前記ガラス繊維束として、樹脂の含浸性,樹脂との濡れ性や接着性、得られる複合材料の機械物性、コスト、取扱い性などの点から、繊維径6〜25μmのガラス繊維200〜3000本からなり、アミノシラン系カップリング剤で表面処理したものが好適に用いられる。次に、ガラス繊維束を、ダイス内に導き、押出機より供給される温度200〜300℃程度の溶融熱可塑性樹脂と接触させたのち、ダイスから引出す。この際、ガラス繊維束を流動パラフインなどのダイス内の溶融樹脂温度以上の沸点を有する液状物質で処理することもできる。ダイスから引出されたストランドは冷却後、引取り機にて引き取ったのち、カッターにより3〜100mmの長さに切断して、ペレット化される。このペレットの長さが3mm未満では補強効果が充分に発揮されないおそれがあり、100mmを超えると成形中に噛み込みが悪くなり、安定的な生産が困難となる場合がある。
【0016】
このようにして得られたガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットにおける繊維と樹脂成分との含有割合は、ガラス繊維が30〜80重量%で、熱可塑性樹脂成分が70〜20重量%の範囲にある。ガラス繊維の含有量が30重量%未満では繊維量が不足し、定量的に引出すことが困難となることがあり、樹脂量が多くなるためペレット形状を制御することが困難となる。また、80重量%を超えると樹脂の含浸が困難となる場合があり、ストランドの切断時にペレット割れが起こりやすくなり、ガラス繊維の脱落とともに、ペレットの形状を制御することが困難になる。樹脂の含浸性及び引出し性の面から、特にガラス繊維が35〜70重量%であって、熱可塑性樹脂成分が65〜30重量%の範囲にあるのが好ましい。
【0017】
本発明においては、必要に応じて、熱可塑性樹脂に、種々の物性改良のために他の樹脂、ゴム類,充填剤,添加剤を含有させることもできる。この場合の含有量は熱可塑性樹脂の一部を置き換えたものとする。添加物の例としては、たとえば、耐衝撃改良剤として、エチレン−プロピレン共重合体ゴム,ポリブタジエンゴム,スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム(SBS),SBSを水添したスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体ゴム(SEBS)などのゴム類を添加することもできる。また、成形品の要求特性等を考慮して、金属粉,カーボンブラック,グラファイト,タルク,マイカ,クレー,炭酸カルシウム,シリカ,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,硫酸カルシウム,ガラス短繊維,チタン酸カルシウムウィスカー,繊維状のマグネシウムオキシサルフェートなどの無機充填剤、架橋樹脂粉末などの有機充填剤、結晶化促進剤、酸化防止剤(リン系,フェノール系,硫黄系など)、中和剤、発泡剤、滑剤、分散剤、過酸化物、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐電防止剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、プロセスオイル、エポキシ化合物、金属不活性化剤、硫化亜鉛、酸化チタンなどの顔料、染料などの添加剤を添加することもできる。
【0018】
本発明のガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは、前記のようにして製造することができるが、成形原料、成形条件などを選択することによって得られた特定の性能と形状を満足する範囲のペレットである。まず(1)ガラス繊維と熱可塑性樹脂の界面接着力が界面剪断強度で10MPa以上であることが必要である。界面剪断強度が10MPa以下の場合には、ガラス繊維の抜けが多くなり、ドライブレンド時や空気輸送時において毛玉の発生により作業環境の悪化をまねき、また、成形品の製造において、連続安定生産が困難になるとともに、外観や、強度、特に高温時での強度が不足することがある。この界面接着強度を達成するためには、ガラス繊維の表面処理剤の選択や熱可塑性樹脂に接着性向上剤の添加などの方法がある。たとえば、前記した不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィンの酸付加量の異なるものの使用や添加量を変えることにより制御することができる。なお、本発明で規定する界面剪断強度とは、本発明のペレットを構成する熱可塑性樹脂とガラス繊維を用いて、(イ)マイクロドロップ法や(ロ)シングルファイバー法(単繊維埋め込み法)などで測定することができる。詳細については、実施例で述べる。
【0019】
次に、(2)ペレットの断面積が3〜10mm2 であることが必要である。ここでペレットの断面積が3mm2 未満では、ペレット切断時に、割れが発生しやすく、ガラス繊維の抜けが起こるとともに、ホッパーでブリッジを起こしやすく安定生産性が不十分となる。また、10mm2 を越えると、溶融可塑化が困難となり可塑化時間が長くなり、結果としてガラス繊維の切断が起こり、成形品の物性の低下の原因となる。さらに、他のペレットとのドライブレンド時に分級しやすくなり成形品の品質が安定しない原因となる。
【0020】
また、(3)ペレット断面の長径/短径の比が1.1〜2.5であることが必要である。この比が1.1未満では、他のペレットとのドライブレンド時に、分級が起こりやすく、且つ押出機のスクリューへの噛み込みが悪く、可塑化時間が長くなる傾向になる。さらに、ストランドの切断時に切断しにくく、ペレット割れ、ガラス繊維抜けが起こりやすくなる。また、2.5を越えると、ペレットの形成後にペレットの割れが起こりやすく、ガラス繊維の脱落が発生するとともに、ホッパーでのブリッジが起こりやすくなる。
【0021】
さらに、(4)ペレット長さ(mm)/断面積(mm2 )の比が0.8〜5であることを満足することが必要である。この比が0.8未満だと可塑化時間が長くなりガラス繊維の切断が起こりやすく、5を越えるとホッパーでのブリッジが起こりやすくなるとともに、可塑化が不安定で、製品重量のバラツキが発生しやすくなり、品質的にも安定した製品を連続成形することが困難となる。
【0022】
本発明のガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは、前記(1)〜(4)のそれぞれを満足することが必要であり、これによってペレットの安定製造性、取り扱い性がよく、射出成形などの成形において、機械的、熱的性質にすぐれた成形品を効率良く安定成形できることが可能になる。
本発明のペレットは、そのまま単独原料として成形してもよく、また同種又は類似の繊維を含まない樹脂、あるいは他の樹脂のペレットとブレンドし、必要な添加剤などを加えて、射出成形など各種成形方法を用いて各種成形品に成形される。本発明のペレットから成形される成形品としては、インストルメントパネルコア、ファンシュラウド、ファン、フロントエンド、タイミングベルトカバー、エンジンカバー、ラゲージボックス、ホイールキャップ、エアクリナケースなどの各種自動車部品、OAハウジング、電動工具、発電機カバー、クーリングファン、プーリー、エアコン室外機などの電気部品、パイプ継ぎ手、コンパネ、バス設備などの住宅・建設部材、各種椅子類、防振箱など一般分野などを挙げることができる。
【0023】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例および比較例
ガラス(Eガラス)繊維径13μm、繊維数600本からなるガラス繊維束を、沸点358℃の流動パラフィンで接触処理したあと、圧縮ロール間を通し、ついでこれをダイス内に導いた。ダイス内で、メルトインデックス(MI)が30g/10分(温度230℃,荷重2.16kg)のホモポリプロピレン〔無水マレイン酸付加量、分子量の異なる変性ポリプロピレンの添加量を変更することで、界面剪断強度を調節した。〕の溶融物(250℃)を接触含浸させたのち、ストランドとしてこれを引出し、引き取り冷却して切断し、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを得た。ここで、ペレットの断面形状は、ダイス先端のノズル形状ならびに引き取りロール圧力を変更することで調節した。ペレット長さは、引き取り速度とカッターの回転速度を変更することで調整した。なお、切断はファンカッターを用いた。
【0024】
ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットの評価
1.界面剪断強度
(イ)マイクロドロップ法
ガラス繊維一本に、溶融させた熱可塑性樹脂を樹脂珠として付着させる。この樹脂珠よりガラス繊維を引き出し、この引き出し強度より界面剪断強度を求めることができる。この界面剪断強度の測定装置としては、東栄産業株式会社製の複合材界面特性評価装置を用いた。
【0025】
(ロ)シングルファイバー法(単繊維埋め込み法)
熱可塑性樹脂試験片中に、ガラス繊維一本を埋め込み、この試験片を伸びが10%以上になるまで引張った後、試験片を灰化し、破断したガラス繊維の繊維長分布を測定し、その繊維長さより下記式により界面剪断強度を求めることができる。
界面剪断強度(τw)=(r・σ)/(2Lc)
破断繊維の平均繊維長(Lave)=(3/4)・臨界繊維長(Lc)
r:繊維半径
σ:ガラス繊維強度
なお、本発明では、上記(イ)と(ロ)の方法により、求められた界面剪断強度の値の中で高いものの値を採用した。
【0026】
2.ペレットの断面積、長径、短径、長さの測定 (1)1つのペレットをエポキシ樹脂中に埋め込み、硬化後、サンドペーパーで断面の面出しを行った後、マイクロスコープにより、断面を拡大し、最も径の大きいところを長径、最も短いところを短径とし、50測定の平均値を求めた。
(2)(1)と同様のサンプルを用い、画像処理により、断面積の50測定の平均値断面積を求めた。
(3)ノギスにより長さを測定し、50測定の平均値を求めた。
3.ペレットの取り扱い性の評価
(1)ドライブレンド時のガラス繊維の抜け状況
各ペレット50kgをタンブラーに投入し、回転数30rpm、15分間回転させた後、ペレットを抜き出し、タンブラーに付着したガラス繊維を集め、切粉などを取り除くため灰化後、その重量を測定した(付着ガラス繊維量)。また、排出したペレット500gを取り出し、四塩化炭素中で、沈殿したガラス繊維のみを取り出し、その重量を測定した(分離ガラス繊維量)。
○・・付着ガラス繊維量、分離ガラス繊維量がいずれも100ppm以下。
×・・付着ガラス繊維量、分離ガラス繊維量のいずれかが100ppm以上。
【0027】
4.成形性、製品の評価
表1に示す、本発明のペレット(GFPP)、または表2に示す本発明のペレット(GFPP)にMIが30g/10分のホモポリプロピレン(PP)を所定量ブレンドした成形原料をホッパーローダーで、型締力850t、成形機A=スクリュー圧縮比3.2、成形機B=スクリュー圧縮比1.9、金型(600×300×3mmの平板)の射出成形機へ供給して成形を行った。
【0028】
【表1】
Figure 0004217284
【0029】
【表2】
Figure 0004217284
【0030】
(1)ホッパー内のブリッジ発生状況の評価
6時間連続成形を行い、この間にホッパー内ブリッジを一度でも起こしたものを:××、成形途中または成形後にホッパーまたはホッパーローダーを観察して毛玉の発生が確認(毛玉があれば、更に長い時間連続成形すればブリッジ発生の危険性がある)されたもの:×、ブリッジ、毛玉の発生が一切ないもの:○とした。
【0031】
(2)可塑化時間の評価
成形時の可塑化計量時間を測定し、100ショット分の平均値を示した。
(3)製品重量のバラツキの評価
平板100枚の重量を測定し、その平均重量を求めた。次に、平均重量と最も重量差のある平板の重量の差の%で評価した。
【0032】
(4)成形品中の平均ガラス繊維長
平板の一部を切り出し、灰化後、繊維長さを測定し、重量平均繊維長を求めた。
(5)120℃曲げ強度
平板より試験片を切り出し、JIS K−7203に基づき測定した。
それぞれの評価結果を表2に示す。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、ペレットの製造、ドライブレンド、貯蔵、輸送時において、カラス繊維の抜け落ちによる分離が少なく、人体や作業環境への悪影響が少なくなる。また、射出成形などで成形品を製造する場合においても、ホッパーでのブリッジの発生、毛玉の発生が実質的になく、連続的に安定した成形条件で成形できる。その結果、得られた成形品においても、外観にすぐれ、製品間の重量バラツキが殆どなく、ガラス繊維の長さが比較的長い状態で均一に分散し、強度、特に高温時での強度を高く維持できる。したがつて、自動車分野、電気分野、住宅・建設分野をはじめ多様な分野への展開が可能となる。

Claims (2)

  1. ポリオレフィン系樹脂と30〜80重量%の実質的に平行に配列したガラス繊維からなり繊維方向の長さが3〜100mmであるペレットであって、ガラス繊維と樹脂の界面接着力が界面剪断強度で10MPa以上、ペレットの断面積が3〜10mm、ペレット断面の長径/短径の比が1.1〜2.5、ペレット長さ(mm)/断面積(mm)の比が1.4〜5であることを特徴とするガラス繊維強化ポリオレフィン系樹脂ペレット。
  2. ポリオレフィン系樹脂が不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂を含有するものである請求項1記載のガラス繊維強化ポリオレフィン系樹脂ペレット。
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