JP3580321B2 - 難燃性強化樹脂成形材料及び成形品 - Google Patents

難燃性強化樹脂成形材料及び成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、難燃性強化樹脂成形材料、さらに詳しくは難燃性強化ポリオレフィン系樹脂成形材料及びこれを用いた成形品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ポリオレフィン系樹脂は、易燃性樹脂であるため、従来から様々な難燃化技術が提案され、主としてハロゲン系難燃剤が用いられてきたが、近年、環境や安全性の面からノンハロゲン化技術が強く望まれるようになってきた。現在、ノンハロゲン化技術としては、無機水和物、例えば水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウムなどを使用する方法及び窒素系難燃剤,リン系難燃剤などの各種の難燃剤を添加する方法が提案されている。しかし、前者は所定の難燃効果を発揮させるには多量の充填を必要とし、強度低下や耐衝撃性の低下が著しいばかりか、比重が重くなるとともに成形性も低下してしまう。一方、後者においても所定の難燃効果を発揮させるには相当量の添加が必要であり、強度の低下が起こるばかりか、コストが非常に高くなり、なかなか実用には供しえないケースが多い。
また、ガラス繊維との組み合わせも考えられるが、前者では強度低下や耐衝撃性の低下をカバーできない。他方、後者においてはガラス繊維との組み合わせによって強度低下や耐衝撃性の低下をかなり抑えることができるが、ガラス繊維による反りの発生を抑制できず、さらにガラス繊維との組み合わせの場合、より多くの難燃剤を必要とし、ますますコストアップになってしまう。
【0003】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、安価でかつ機械的強度,剛性及び衝撃強度が高く、軽量で、反り変形も少ない難燃性強化ポリオレフィン系樹脂成形材料を開発すべく鋭意検討した結果、熱膨張性黒鉛を配合したものが上記の課題に合致するものであることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、ポリオレフィン系樹脂,酸変性ポリオレフィン系樹脂,ガラス繊維及び膨張性黒鉛の合計量100重量部に対して赤リン 0. 1〜20重量部及びメラミン樹脂 0. 1〜20重量部を配合してなることを特徴とする難燃性強化樹脂成形材料及び該成形材料から成る成形品を提供するものである。
【0004】
本発明の難燃性強化樹脂成形材料は、上記のようにポリオレフィン系樹脂,酸変性ポリオレフィン系樹脂,ガラス繊維及び膨張性黒鉛から成るものである。
ここで、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン;プロピレン;ブテン−1;3−メチルブテン−1;3−メチルペンテン−1;4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、あるいはこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。代表例としては、高密度,中密度,低密度ポリエチレンや、直鎖状ポリエチレン,超高分子量ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのポリエチレン系樹脂、シンジオタクチックポリプロピレン,アイソタクチックポリプロピレンや、プロピレン−エチレンブロック共重合体又はランダム共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1などを挙げることができる。これらのうち、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0005】
また、酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、不飽和有機カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリプロピレン系樹脂を用いるのが好ましい。ここで使用される変性ポリオレフィン系樹脂に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン,エチレン−α−オレフィン共重合ゴム,エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン系化合物共重合体(例えばEPDMなど),エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン系化合物共重合ゴムなどが挙げられる。また、上記α−オレフィンとしては、例えばプロピレン;ブテン−1;ペンテン−1;ヘキセン−1;4−メチルペンテン−1などが挙げられ、これらは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのポリオレフィン系樹脂の中では、ポリプロピレンやポリエチレンが好適であり、中でもポリプロピレンが最も好ましい。
【0006】
また、変性に用いられる不飽和カルボン酸類としては、不飽和カルボン酸及びその誘導体が挙げられ、該不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,イタコン酸,クロトン酸,シトラコン酸,ソルビン酸,メサコン酸,アンゲリカ酸などが挙げられ、またその誘導体としては、酸無水物,エステル,アミド,イミド,金属塩などがあり、例えば無水マレイン酸,無水イタコン酸,無水シトラコン酸,アクリル酸メチル,メタクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,マレイン酸モノエチルエステル,アクリルアミド,マレイン酸モノアミド,マレイミド,N−ブチルマレイミド,アクリル酸ナトリウム,メタクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。これらの中で特にマレイン酸,フマル酸,アクリル酸が好ましい。
【0007】
これらの不飽和カルボン酸やその誘導体は、前記ポリオレフィン系樹脂を変性する場合、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また変性方法については特に制限はなく、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば該ポリオレフィン系樹脂を適当な有機溶媒に溶解し、不飽和カルボン酸やその誘導体及びラジカル発生剤を添加して攪拌、加熱する方法、あるいは前記各成分を押出機に供給してグラフト共重合を行う方法などを用いることができる。この変性ポリオレフィン系樹脂としては、前記不飽和カルボン酸やその誘導体の付加量が0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜10重量%の範囲にあるものがよく、特にマレイン酸付加ポリプロピレンが好適である。この付加量が0.01重量%未満であると、強度を向上させる効果が小さく、10重量%を超えると飽和に達し、それ以上入れても経済的ではなく、逆に衝撃強度などが低下することもある。
【0008】
本発明の成形材料は、さらにガラス繊維を含むが、繊維径が1〜50μmであるのが好ましく、3〜30μmであるのがより好ましく、また、カップリング剤で表面処理されたガラス繊維を用いるのが好ましい。カップリング剤としては、いわゆるシラン系カップリング剤,チタン系カップリング剤として従来公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。このシラン系カップリング剤の具体例としては、トリエトキシシラン;ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン;N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン;N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン;トリアミノプロピルトリメトキシシラン;3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン;3−4,5ジヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシシラン;ヘキサメチルジシラザン;N,O−(ビストリメチルシリル)アミド;N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレアなどが挙げられる。これらの中でもγ−アミノプロピルトリエトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのアミノシラン,エポキシシランが好ましい。特に前記のアミノシランを用いることが好ましい。
【0009】
また、チタン系カップリング剤の具体例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート;イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート;イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート;テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート;テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート;テトラ(1,1−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート;ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート;ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート;イソプロピルトリオクタノイルチタネート;イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート;イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート;イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート;イソプロピルトリクミルフェニルチタネート;イソプロピルトリ(N−アミドエチル,アミノエチル)チタネート;ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート;ジイソステアロイルエチレンチタネートなどが挙げられる。これらの中でも、イソプロピルトリ(N−アミドエチル,アミノエチル)チタネートが好適である。
【0010】
このようなカップリング剤を用いてガラス繊維の表面処理を行うには、通常の方法で行うことができ、特に制限はない。例えば、前記カップリング剤の有機溶媒溶液あるいは懸濁液をいわゆるサイジング剤としてガラス繊維に塗布するサイジング処理,乾式混合,スプレー法により行うことが望ましい。
また、前記のカップリング剤とともにガラス用フィルム形成性物質を併用することができる。このフィルム形成性物質には、特に制限はなく、例えばポリエステル系,ウレタン系,エポキシ系,アクリル系,酢酸ビニル系,イソシアネート系などの重合体が挙げられる。
【0011】
本発明において、ガラス繊維は、ポリオレフィン系樹脂又は酸変性ポリオレフィン系樹脂に含有させてペレット化され、ペレット長と等しい長さのガラス繊維を含む樹脂ペレットとして配合するのが好ましい。ペレット化する際にはガラス繊維を適当な収束剤を用いて、好ましくは100〜10000本、より好ましくは300〜5000本の範囲で収束した繊維束を用いるのが好ましい。
収束剤としては、例えば、ウレタン系,アクリル系,ブタジエン系,エポキシ系などがあり、いずれも用いることができるが、これらの中でウレタン系が好ましい。このウレタン系収束剤は、通常ジイソシアネート化合物と多価アルコールとの重付加反応により得られるポリイソシアネートを50重量%以上の割合で含有するものであって、油変性型,湿気硬化型,ブロック型などの一液タイプ、及び触媒硬化型,ポリオール硬化型などの二液タイプがあるが、いずれも用いることができる。
【0012】
こうして集束された繊維束に樹脂を含浸させることによってガラス繊維を含む樹脂ペレットを得ることができるが、繊維束に対する樹脂の含浸性を向上させるために、該繊維束に予め有機過酸化物を付着させておくことが好ましい。ここで、有機過酸化物としては、100℃での半減期が10秒以上、好ましくは150℃での半減期が10秒以上、より好ましくは150℃での半減期が30秒以上であるものが好適である。100℃での半減期が10秒未満のものでは、ダイス内で有機過酸化物が速く消失してしまい、繊維束に接する樹脂を低分子化することができず、含浸性を向上させることができないおそれがある。
このような有機過酸化物は、例えば、ケトンパーオキシド類,ハイドロパーオキシド類,ジアシルパーオキシド類,ジアルキルパーオキシド類,パーオキシケタール類,アルキルパーエステル類,パーカーボネート類などであり、代表例としては、ケトンパーオキシド類として、メチルエチルケトンパーオキシド,メチルイソブチルケトンパーオキシドなどが、ハイドロパーオキシド類として、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシドなどが、ジアシルパーオキシド類として、イソブチルパーオキシド,アセチルパーオキシドなどが、ジアルキルパーオキシド類として、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン,2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン,1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどが、パーオキシケタール類として、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサンなどが、アルキルパーエステル類として、t−ブチルパーオキシアセテート,t−ブチルパーオキシベンゾエートなどが、パーカーボネート類として、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどが挙げられる。
これらの有機過酸化物は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その付着量は、繊維束に対して、0.01〜5重量%の範囲にあるのが望ましい。この量が0.01重量%未満では、接触した樹脂が充分に低分子化せず、含浸が不充分になり、引出し速度を大きくした場合、所望の繊維強化樹脂ペレットが得られにくい。また、5重量%を超えると、その量の割には効果の向上がみられず、むしろ経済的に不利となる。樹脂の低分子化及び経済性の面から、より好ましい付着量は0.05〜3重量%の範囲にあり、特に0.1〜1重量%の範囲が好ましい。
【0013】
樹脂を付着、含浸させる方法としては、例えば、溶融樹脂に繊維束を浸漬して通す方法,コーティング用ダイに繊維束を通す方法,ダイを用いて繊維束の周りに溶融樹脂を押し出す方法などを採用することができる。繊維束中への溶融樹脂の含浸、濡れ性をさらに向上させるために、ダイ内に凹凸部を設け、張力下に溶融樹脂の付着した繊維束を引き抜き、さらに加圧ロールでプレスする工程を組み込むことが特に好ましい。
このようにして得られたストランド状の長繊維強化樹脂を冷却後、適切な長さのペレットに切断することにより、ガラス繊維が平行に配列され、ガラス繊維長とペレット長とが等しい樹脂ペレットを得ることができる。
本発明においては、2〜300mmの長さのペレットに切断するのが好ましい。これにより、ガラス繊維の長さはペレット長と等しい2〜300mmとなる。繊維長が2mm未満では機械的強度,耐熱性及び衝撃強度の向上が充分でなく、反り変形も大きくなる場合があり、また、300mmを超えると成形が困難となる場合がある。ペレット長は、機械的強度,耐熱性,衝撃強度及び反り変形の面から3〜100mmの範囲であるのが好ましく、6〜50mmの範囲であるのがさらに好ましい。
【0014】
本発明の成形材料は、さらに膨張性黒鉛を含む。本発明に用いる膨張性黒鉛としては、黒鉛層間に硫酸根,炭酸根,硝酸根,リン酸根などの何れか一種以上を取り込んだものが好ましい。このような膨張性黒鉛は、その製造方法に特に制限はないが、例えば、粒状の結晶性黒鉛を(a)濃硫酸8〜98重量%と濃硝酸92〜2重量%との混合物,(b)発煙硝酸,(c)発煙硫酸及び(d)パーオキシハロゲン酸(例えば、過塩素酸又は過沃素酸)を2〜70重量%含む水溶液のうちから選択された酸と室温付近の温度で接触させることによって製造される。膨張性黒鉛は、ある温度を超えると元の容積より著しく膨張し、熱絶縁層として作用し、伝熱を遅延させ、さらに炎の伝播を遅延させる。本発明においては、容積が50倍以上に膨張するものが好ましい。50倍未満では、充分な難燃効果が得られないという不都合が生じやすい。
また、本発明に用いる膨張性黒鉛は、平均粒子径が100〜3000μm、好ましくは250〜1000μmのものが好ましい。平均粒子系が100μm未満であると、充分な難燃効果が得られないというおそれがあり、3000μmを超えると、外観等が著しく悪くなるという不都合が生じやすい。
【0015】
本発明の成形材料は、上記の各成分を含有するが、各成分の配合割合は特に制限はなく、各種の状況に応じて適宜定めればよいが、通常はポリオレフィン系樹脂30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%、酸変性ポリオレフィン系樹脂0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、ガラス繊維5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%、膨張性黒鉛5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%である。
【0016】
本発明の成形材料は、上記のように難燃性黒鉛を配合したことにより高い難燃性を有するが、さらにリン系難燃剤を配合することができる。リン系難燃剤は、成形材料100重量部に対して0.1〜20重量部配合するのが好ましい。リン系難燃剤が0.1重量部未満では難燃性を向上させる効果が小さく、20重量部を超えると経済的でないばかりか、燃焼ガスのpHが4以下になることがある。ここで、リン系難燃剤としては、例えば、赤リン,リン酸アンモニウム,トリクレジルホスフェート,トリエチルホスフェート,酸性リン酸エステル,トリフェニルホスフェンオキシドなどが挙げられる。
リン系難燃剤として赤リンを用いるのが好ましく、その際メラミン樹脂を併用するのが好ましい。これらの使用量は、上記成形材料100重量部に対して赤リン0.1〜20重量部及びメラミン樹脂0.1〜20重量部とするのが好ましい。赤リンが0.1重量部未満では難燃性を向上させる効果が小さく、20重量部を超えると燃焼ガスのpHが4以下になることがある。また、メラミン樹脂が0.1重量部であるとpHを改良する効果が小さく、20重量部を超えると経済的でないばかりか、成形時に金型汚染や詰まりの原因になる可能性があり、また、成形品表面に著しくブリードしてくることもある。
【0017】
本発明の成形材料には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じさらに各種添加剤、例えば安定剤,酸化防止剤,光安定剤,滑剤,可塑剤,帯電防止剤,離型剤,着色剤などを配合することができる。
本発明はさらに、本発明の成形材料を用いて各種特性の優れた成形品を提供するものである。本発明の成形品は、本発明の成形材料を射出成形,押出成形,プレス成形など、各種成形法によって成形することによって得られる。成形品としては、ケーブル用エンクロージャーや端面板が好適である。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
なお、下記の実施例及び比較例において作製した試験片及び成形品の特性の評価は、下記の要領で調べた。
【0019】
試験片の機械的強度
(イ)引張強さ
JIS K−7113に準拠して測定した。
(ロ)曲げ弾性率
JIS K−7203に準拠して測定した。
(ハ)アイゾット衝撃強さ(ノッチ付)
JIS K−7110に準拠して測定した。
試験片の燃焼性
(a)酸素指数
JIS K−7201に準拠して測定した。
(b)燃焼ガスのpH
JIS K−7217に準拠し、燃焼ガスをトラップし、そのpHを測定した。
【0020】
成形品の特性
▲1▼衝撃強さ
3kgの鋼球を0.5m、1.0m及び1.5mの高さから落下させ、下記の基準で評価した。
○ 破壊されなかった。
× 破壊された。
▲2▼強度試験
金属バンドによる300kgの締めつけ荷重により行い、下記の基準で評価した。
○ 破壊されなかった。
× 破壊された。
▲3▼製品の反り
図2に示すように、製品を平板上に置き、片面を押さえた場合の反対側の浮いた高さh(mm)を反り量とした。この反り量が3mm以下であることが必要である。
【0021】
製造例1(ガラス繊維強化ペレットの製造)
アミノシラン系カップリング剤で表面処理された繊維径10μmのガラス繊維1700本を、ウレタン系収束剤で収束する際に、該ガラス繊維100重量部に対し、有機過酸化物として2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン0.3重量部を付着させたガラスロービングを作製し、このロービング中に230℃、2.16kgfのメルトインデックス(MI)が10g/10分の溶融ポリプロピレン〔出光石油化学(株)製、商品名J−750H〕を含浸させ、引出し、冷却することにより、ポリプロピレン50重量%とガラス繊維50重量%から成る連続繊維強化ストランドを得た。この際の引出し速度は10m/分であった。得られたストランドを切断し、長さ15mmのペレットを得た。
【0022】
実施例1
230℃、2.16kgfのメルトインデックス(以下、単にMIと記す)が30g/10分のポリプロピレン45重量%とマレイン酸付加量5重量%のポリプロピレン5重量%と膨張性黒鉛50重量%とをバンバリーミキサーで180℃で混練し、ペレットを得た。
得られたペレット60重量%及び製造例1で作製したガラス繊維強化樹脂ペレット40重量%をドライブレンドした後、射出成形により設定温度200℃で試験片及び図1に示すエンクロージャーを成形し、試験に供した。成形材料の組成を第1表に示し、試験片の試験結果を第2表に、エンクロージャーの試験結果を第3表に示す。
【0023】
実施例2
実施例1で製造したペレット70重量%と製造例1で作製したガラス繊維強化樹脂ペレット30重量%をドライブレンドした後、実施例1と同様に操作し、成形材料の組成を第1表に示し、試験片の試験結果を第2表に、エンクロージャーの試験結果を第3表に示す。
【0024】
実施例3
MI=30g/10分のポリプロピレン43重量%とマレイン酸付加量5重量%のポリプロピレン2重量%と膨張性黒鉛35重量%と赤リン10重量%とメラミン樹脂10重量%とをバンバリーミキサーで180℃で混練し、ペレットを得た。 得られたペレット60重量%及び製造例1で作製したガラス繊維強化樹脂ペレット40重量%をドライブレンドした後、実施例1と同様に操作し、成形材料の組成を第1表に示し、試験片の試験結果を第2表に、エンクロージャーの試験結果を第3表に示す。
【0025】
実施例4
実施例3で得られたペレット40重量%と製造例1で作製したガラス繊維強化樹脂ペレット60重量%をドライブレンドした後、実施例1と同様に操作し、成形材料の組成を第1表に示し、試験片の試験結果を第2表に、エンクロージャーの試験結果を第3表に示す。
【0026】
実施例5
MI=30g/10分のポリプロピレン47重量%とマレイン酸付加量5重量%のポリプロピレン3重量%と膨張性黒鉛30重量%とをブレンドした後、二軸押出機(東芝機械製、TEM−35)で180℃で混練し、さらに溶融後、長さ3mmのチョップドストランド20重量%をサイドフィードしペレットを得た。得られたペレットを用いて射出成形により、設定温度200℃で試験片を成形し、試験に供した。成形材料の組成を第1表に、試験片の試験結果を第2表に示す。
【0027】
比較例1
MI=30g/10分のポリプロピレン70重量%と膨張性黒鉛30重量%とをバンバリーミキサーで180℃で混練し、ペレットを得た。
得られたペレットを用いて射出成形により設定温度200℃で試験片及びエンクロージャーを成形し、試験に供した。成形材料の組成を第1表に、試験片の試験結果を第2表に、エンクロージャーの試験結果を第3表に示す。
【0028】
比較例2
MI=30g/10分のポリプロピレン50重量%と膨張性黒鉛30重量%とをブレンドした後、二軸押出機(東芝機械製、TEM−35)で180℃で混練し、さらに溶融後、長さ3mmのチョップドストランド20重量%をサイドフィードし、180℃で混練し、ペレットを得た。
得られたペレットを用いて比較例1と同様にして試験片及びエンクロージャーを成形し、成形材料の組成を第1表に、試験片の試験結果を第2表に、エンクロージャーの試験結果を第3表に示す。
【0029】
比較例3
MI=30g/10分のポリプロピレン75重量%と膨張性黒鉛20重量%と赤リン5重量%とをブレンドした後、比較例2と同様にしてペレットの作製,試験片及びエンクロージャーの成形及び試験を行い、成形材料の組成を第1表に、試験片の試験結果を第2表に、エンクロージャーの試験結果を第3表に示す。
【0030】
比較例4
MI=30g/10分のポリプロピレン35重量%と水酸化マグネシウム40重量%と赤リン5重量%とをブレンドした後、二軸押出機(東芝機械製、TEM−35)で220℃で混練し、さらに溶融後、長さ3mmのチョップストランド20重量%をサイドフィードし、220℃で混練し、ペレットを得た。
得られたペレットを用いて射出成形により設定温度220℃で試験片及びエンクロージャーを成形し、試験に供した。成形材料の組成を第1表に、試験片の試験結果を第2表に、エンクロージャーの試験結果を第3表に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003580321
【0032】
【表2】
Figure 0003580321
【0033】
【表3】
Figure 0003580321
【0034】
【発明の効果】
本発明の成形材料は、ハロゲン系難燃剤を含まないため、環境及び安全性の面から好適なものであり、これを用いることにより環境汚染を引き起こすことなく高い作業安全性を以て、軽量でかつ強度,剛性及び耐衝撃性が高く、しかも、そり変形も少ない難燃性成形品を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例で作製したエンクロージャーの概略図である。
【図2】実施例及び比較例で作製したエンクロージャーの反り率を示す説明図である。

Claims (5)

  1. ポリオレフィン系樹脂,酸変性ポリオレフィン系樹脂,ガラス繊維及び膨張性黒鉛の合計量100重量部に対して赤リン0.1〜20重量部及びメラミン樹脂0.1〜20重量部を配合してなることを特徴とする難燃性強化樹脂成形材料。
  2. ガラス繊維が、平行に配列され、長さ2〜300mmのペレット長と等しい長さのガラス繊維を含む樹脂ペレットとして配合されたものである請求項1記載の難燃性強化樹脂成形材料。
  3. 請求項1又は2記載の難燃性強化樹脂成形材料から成る成形品。
  4. 成形品がケーブル用エンクロージャーである請求項3記載の成形品。
  5. 成形品が端面板である請求項3記載の成形品。
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