JP4080556B2 - 繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法及び金型 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法及び金型 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法及び金型に関し、詳しくは繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを用いた射出成形により、多量の発泡剤を用いる必要もなく軽量で、高強度、高剛性であり、外観にも優れた繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品を金型形状に忠実に製造する方法及び該成形品の製造に用いられる金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス繊維で強化された樹脂は、引張強度、剛性、耐熱性などに優れることから、重要な素材として使用されているが、成形法に関しては、その容易さから、射出成形が広く行われている。しかるに、ガラス繊維の配合量を増やした場合、成形品の比重が高くなることや、成形中のガラス繊維の切断により強度が低下するという欠点も有していた。これらの欠点を改良する方法として、特定のペレット長さに等しく且つ平行に配列したガラス繊維で強化した樹脂ペレットを用いる方法(例えば、特公昭63−37694号公報,特開平3−188131号公報など)が提案されている。しかし、これらの方法では、強度等については改良されるものの、ガラス繊維の配合によって重量が重くなるという問題は依然として解消していない。
【0003】
一方、該成形体を軽量化する方法としては、発泡剤を用いた発泡射出成形方法が知られている(特開平7−247679号公報等)が、この場合、かなりの量の発泡剤が必要であり、発泡倍率を高くすることも容易ではなく、またガラス繊維含有量にも限界がある。また、成形品表面に、シルバーマークのような不良現象が発生し、成形品の強度、剛性の点でも十分ではなかった。
【0004】
これらの現状に鑑み、先に本発明者らは、同様の成形原料を成形するにおいて、成形原料を溶融混練し、最終の成形品に相当する金型容積よりも小さくなるように閉じた金型中に溶融樹脂を射出し、樹脂の射出完了前若しくは完了後に金型を最終成形品の容積まで開くことを特徴とするガラス繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法を提案した(特願平8−028841号)。
【0005】
しかし、かかる方法において、成形品のキャビティ部の全面を拡張する場合にあっては、溶融樹脂が金型に接触すると、金型接触部分は直ぐに固化し始めるため、例えば、板状成形品にあっては、両表面には外観良好なスキン層が形成されるが、端面については、一部固化が始まっているためキャビティの拡張を行っても溶融樹脂の膨張,流動がスムーズにいかず、端面の外観不良を生ずる場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、繊維を含有する熱可塑性樹脂ペレットを用いて表面特性、強度、剛性に優れた、軽量の成形品を発泡剤を用いることなく得ることができ、しかも金型形状に忠実な端面外観の良好な最終成形品を効率よく製造する方法及び該製造法において用いられる金型の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、軽量化と強度を満足し、端面を含めた外観が良好であり、金型形状に忠実な繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品を射出成形によって得るべく、鋭意検討した結果、特定の成形法により、上記目的が達成され、優れた軽量成形品が得られることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)、又は該ペレット(A)と熱可塑性樹脂からなる成形原料を溶融混練し、最終の成形品より小さい容積の金型キャビティに充填中又は充填した後、金型キャビティを最終の成形品に相当する状態にまで拡大させることにより軽量化された成形品を製造する方法において、前記金型キャビティは、固定金型,可動金型及び可動金型の移動方向と同方向に独立に前進又は後退しうるように可動金型の内側に配設された動作コアとからなり、前記動作コアを進退させることで、前記動作コアに当接する部分を拡大することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法(1)を提供するものである。また、上記(1)で用いるのと同様の成形原料を溶融混練し、金型キャビティに前記成形原料からなる樹脂を射出して成形品を製造する方法において、前記金型キャビティは、固定金型,可動金型及び可動金型の移動方向と同方向に独立に前進又は後退しうるように可動金型の内側に配設された動作コアとからなり、前記金型キャビティ内に樹脂が充満されて、前記固定金型および前記可動金型に接触する最終成形品の金型接触面が形成された後に、前記金型キャビティ部分が最終成形品に相当する状態になるように前記動作コアを後退させること特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法(2)を提供するものである。また、上記(1)又は(2)で用いるのと同様の成形原料を溶融混練し、金型キャビティに前記成形原料からなる樹脂を射出して成形品を製造する方法において、前記金型キャビティは、固定金型,可動金型及び可動金型の移動方向と同方向に独立に前進又は後退しうるように可動金型の内側に配設された動作コアとからなり、前記樹脂前記金型キャビティ内に所定量射出した後に、前記金型キャビティ内に樹脂が充満するように一旦前記動作コアを前記固定金型側に前進させ、前記金型キャビティ内に樹脂が充満されて、前記固定金型および前記可動金型に接触する最終成形品の金型接触面が形成された後に、前記キャビティ部分が最終成形品に相当する状態になるように前記動作コアを前記固定金型から離間する状態に後退させることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法(3)を提供するものである。さらには、上記製造法において用いられる金型を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
1.繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法は、繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)が成形原料として用いられる。
(1) 熱可塑性樹脂
ここで用いられる熱可塑性樹脂については特に制限はなく、例えばポリオレフィン系樹脂,ポリスチレン系樹脂,ポリ塩化ビニル系樹脂,ポリアミド系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリアセタール系樹脂,ポリカーボネート系樹脂,ポリ芳香族エーテル又はチオエーテル系樹脂,ポリ芳香族エステル系樹脂,ポリスルホン系樹脂,アクリレート系樹脂などが挙げられる。
【0010】
ここでポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン;プロピレン;ブテン−1;3−メチルブテン−1;3−メチルペンテン−1;4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、あるいはこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。代表例としては、高密度,中密度,低密度ポリエチレンや、直鎖状ポリエチレン,超高分子量ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのポリエチレン系樹脂、シンジオタクチックポリプロピレン,アイソタクチックポリプロピレンや、プロピレン−エチレンブロック共重合体又はランダム共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1などを挙げることができる。
【0011】
また、スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン,α−メチルスチレンなどの単独重合体やこれらの共重合体、あるいはこれらと共重合可能な不飽和単量体との共重合体が挙げられる。代表例としては、一般用ポリスチレン,耐衝撃用ポリスチレン,耐熱用ポリスチレン(α−メチルスチレン重合体),シンジオタクチックポリスチレン,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS),アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS),アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS),アクリロニトリル−エチレン−プロピレンゴム−スチレン共重合体(AES),アクリルゴム−アクリロニトリル−スチレン共重合体(AAS)などが挙げられる。
【0012】
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル単独重合体や塩化ビニルと共重合可能な不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。該共重合体としては、例えば塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体,塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体,塩化ビニル−エチレン共重合体,塩化ビニル−プロピレン共重合体,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体,塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体などが挙げられる。さらに、これらのポリ塩化ビニル系樹脂を後塩素化して、塩素含量を高めたものを用いることができる。
【0013】
ポリアミド系樹脂としては、例えば、6−ナイロンや12−ナイロンなど、環状脂肪族ラクタムを開環重合したもの、6,6−ナイロン;6,10−ナイロン;6,12−ナイロンなど、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、m−キシレンジアミンとアジピン酸との縮重合物など、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、p−フェニレンジアミンとテレフタル酸との縮重合物やm−フェニレンジアミンとイソフタル酸との縮重合物など、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、11−ナイロンなど、アミノ酸を縮重合させたものなどを挙げることができる。
【0014】
ポリエステル系樹脂としては、芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールとを縮重合させたものが挙げられ、具体例としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどがある。
ポリアセタール系樹脂としては、例えば、単独重合体のポリオキシメチレン及びトリオキサンとエチレンオキシドから得られるホルムアルデヒド−エチレンオキシド共重合体などが挙げられる。
【0015】
ポリカーボネート系樹脂としては、4,4’−ジヒドロキシジアリールアルカン系ポリカーボネート、特にビスフェノールAとホスゲンとを反応させるホスゲン法や、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを反応させるエステル交換法などにより得られるビスフェノールA系ポリカーボネートが好ましく用いられる。また、ビスフェノールAの一部を2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンや2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンなどで置換した変性ビスフェノールA系ポリカーボネートや難燃化ビスフェノールA系ポリカーボネートなども用いることができる。
【0016】
ポリ芳香族エーテル又はチオエーテル系樹脂は、分子鎖中にエーテル結合又はチオエーテル結合を有するもので、このような樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル,スチレンでグラフト化されたポリフェニレンエーテル,ポリエーテルエーテルケトン,ポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。
ポリ芳香族エステル系樹脂としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸の縮重合で得られるポリオキシベンゾイル,ビスフェノールAとテレフタル酸やイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸との縮重合で得られるポリアリレートなどが挙げられる。
【0017】
ポリスルホン系樹脂は、分子鎖中にスルホン基を有するもので、このようなものとしては、例えば、ビスフェノールAと4,4’−ジクロロジフェニルスルホンとの縮重合で得られるポリスルホン、フェニレン基がエーテル基とスルホン基を介してp−位に連結された構造のポリエーテルスルホン、ジフェニレン基とジフェニレンエーテル基とがスルホン基を介して交互に連結した構造のポリアリールスルホンなどを挙げることができる。
【0018】
アクリレート系樹脂としては、例えば、メタクリル酸エステル重合体やアクリル酸エステル重合体などが挙げられ、これらの単量体としては、メタクリル酸及びアクリル酸のメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,ブチルエステルなどが用いられるが、工業的成形材料としてはメチルメタクリレート樹脂を代表的なものとして挙げることができる。
【0019】
本発明においては、上記熱可塑性樹脂は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記の熱可塑性樹脂の中で、ポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとのランダム共重合体、プロック共重合体あるいはこれらの混合物などのポリプロピレン系樹脂が好ましく、特に、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された酸変性ポリオレフィン系樹脂を含有するポリプロピレン系樹脂が好適である。
【0020】
ここで、酸変性ポリオレフィン系樹脂に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン,エチレン−α−オレフィン共重合体,プロピレン−エチレンランダム共重合体,プロピレン−エチレンブロック共重合体,エチレン−α−オレフィン共重合ゴム,エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン系化合物共重合体(例えばEPDMなど),エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン系化合物共重合ゴムなどが挙げられる。また、上記α−オレフィンとしては、例えばプロピレン;ブテン−1;ペンテン−1;ヘキセン−1;4−メチルペンテン−1などが挙げられ、これらは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのポリオレフィン系樹脂の中では、共重合体を含むポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂が好適であり、中でもポリプロピレン系樹脂が最も好ましい。
【0021】
また、変性に用いられる不飽和カルボン酸またはその誘導体の具体例としては、アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,イタコン酸,クロトン酸,シトラコン酸,ソルビン酸,メサコン酸,アンゲリカ酸などの不飽和カルボン酸類、無水マレイン酸,無水イタコン酸,無水シトラコン酸,アクリル酸メチル,メタクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,マレイン酸モノエチルエステル,アクリルアミド,マレイン酸モノアミド,マレイミド,N−ブチルマレイミド,アクリル酸ナトリウム,メタクリル酸ナトリウムなどの酸無水物,エステル,アミド、イミド、金属塩などを挙げることができる。これらの中で不飽和ジカルボン酸及びその誘導体が好ましく、特に無水マレイン酸が好適である。
【0022】
これらの不飽和カルボン酸やその誘導体は、前記ポリオレフィン系樹脂を変性する場合、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また変性方法については特に制限はなく、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば該ポリオレフィン系樹脂を適当な有機溶媒に溶解し、不飽和カルボン酸やその誘導体及びラジカル発生剤を添加して攪拌、加熱する方法、あるいは前記各成分を押出機に供給して溶融混練を行う方法などを用いることができる。この変性ポリオレフィン系樹脂としては、前記不飽和カルボン酸やその誘導体の付加量が0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の範囲にあるものがよく、特に0.1〜10重量%の無水マレイン酸付加変性ポリプロピレン系樹脂が好適である。
(2) 繊維
本発明に用いる繊維は特に問わないが、ガラス繊維;ボロン繊維,炭化ケイ素繊維,アルミナ繊維,チッ化ケイ素繊維,ジルコニア繊維,ケイ酸カルシウム繊維,ロックウール等のセラミック繊維;酸化マグネシウム繊維,マグネシウムオキシサルフェート繊維,水酸化マグネシウム繊維,石膏繊維等の無機繊維;銅繊維,黄銅繊維,鋼繊維,ステンレス繊維,アルミニウム繊維,アルミニウム合金繊維等の金属繊維;ポリエチレン繊維,ポリプロピレン繊維,アラミド繊維,ケプラー繊維,ポリアリレート繊維等の有機繊維;炭素繊維等が挙げられるが、とりわけガラス繊維が好ましく用いられる。
【0023】
ガラス繊維は、カップリング剤で表面処理されたものが好ましい。カップリング剤としては、いわゆるシラン系カップリング剤,チタン系カップリング剤として従来公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。このシラン系カップリング剤の具体例としては、トリエトキシシラン;ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン;N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン;N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン;トリアミノプロピルトリメトキシシラン;3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン;3−4,5ジヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシシラン;ヘキサメチルジシラザン;N,O−(ビストリメチルシリル)アミド;N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレアなどが挙げられる。これらの中でもγ−アミノプロピルトリエトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのアミノシラン,エポキシシランが好ましい。特に前記のアミノ系シラン化合物を用いることが好ましい。
【0024】
また、チタン系カップリング剤の具体例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート;イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート;イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート;テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート;テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート;テトラ(1,1−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート;ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート;ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート;イソプロピルトリオクタノイルチタネート;イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート;イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート;イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート;イソプロピルトリクミルフェニルチタネート;イソプロピルトリ(N−アミドエチル,アミノエチル)チタネート;ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート;ジイソステアロイルエチレンチタネートなどが挙げることができる。
【0025】
このようなカップリング剤を用いてガラス繊維の表面処理を行うには、通常の方法で行うことができ、特に制限はない。例えば、前記カップリング剤の有機溶媒溶液あるいは懸濁液をいわゆるサイジング剤としてガラス繊維に塗布するサイジング処理,乾式混合,スプレー法により行うことが望ましい。
また、前記のカップリング剤とともにガラス用フィルム形成性物質を併用することができる。このフィルム形成性物質には、特に制限はなく、例えばポリエステル系,ウレタン系,エポキシ系,アクリル系,酢酸ビニル系,イソシアネート系などの重合体が挙げられる。
【0026】
本発明において、ガラス繊維としては、E−ガラス、S−ガラス等のガラス繊維で、その平均繊維径が20μm以下のものが好ましく用いられる。さらに、好ましくは1〜17μm、より好ましくは3〜14μmのものである。1μm未満では、ペレット製造時の樹脂の濡れ、含侵が困難となり、20μmを越えると溶融混練時の繊維の欠損が起こりやすくなる。また、前記の熱可塑性樹脂、特にポリプロピレン系樹脂を用い、引抜成形法などを用いてペレット化され、2〜100mmのペレット長と等しい長さのガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂ペレットとして用いることが好ましく行われる。ペレット化する際にはガラス繊維を適当な収束剤を用いて、好ましくは100〜10000本、より好ましくは150〜5000本の範囲で収束した繊維束を用いるのが好ましい。
【0027】
収束剤としては、例えば、ウレタン系,オレフィン系、アクリル系,ブタジエン系,エポキシ系などがあり、いずれも用いることができるが、これらの中でウレタン系、オレフィン系が好ましい。ウレタン系収束剤は、通常ジイソシアネート化合物と多価アルコールとの重付加反応により得られるポリイソシアネートを50重量%以上の割合で含有するものであって、油変性型,湿気硬化型,ブロック型などの一液タイプ、及び触媒硬化型,ポリオール硬化型などの二液タイプがあるが、いずれも用いることができる。また、オレフィン系としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂を用いることができる。
【0028】
こうして集束された繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させることによってガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)を製造することができるが、ガラス繊維束に樹脂を付着、含浸させる方法としては、例えば、溶融樹脂に繊維束を浸漬して通す方法,コーティング用ダイに繊維束を通す方法,ダイを用いて繊維束の周りに溶融樹脂を押し出す方法などを採用することができる。繊維束中への溶融樹脂の含浸、濡れ性をさらに向上させるために、ダイ内に凹凸部を設け、張力下に溶融樹脂の付着した繊維束(ストランド)を引き抜き、さらに加圧ロールでプレスする工程を組み込む引抜成形法も採用することができる。なお、ガラス繊維への熱可塑性樹脂の含浸性、ペレットの製造性が満足されれば収束剤の使用は必ずしも必要としない。このようにして得られたストランド状の長繊維含有熱可塑性樹脂を冷却後、適切な長さのペレットに切断することにより、ガラス繊維が互いに平行に配列され、ガラス繊維長とペレット長とが等しいガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)を得ることができる。
【0029】
本発明においては、2〜100mmの長さのペレットに切断したものを用いるのが好ましい。これによりガラス繊維の長さはペレット長と等しい2〜100mmとなる。繊維長が2mm未満では本発明の製造法を採用しても、成形品の軽量化の達成は困難であり、機械的強度なども充分でなく、反り変形も大きくなる場合があり、また、100mmを超えると射出成形が困難となるとともに、ガラス繊維の分散性、成形品の表面特性が低下する場合がある。ペレット長は成形品の軽量化、機械的強度、外観特性及び反り変形の面から3〜80mmの範囲であるのが好ましく、分散性、外観、表面特性を考慮すると特に5〜50mmの範囲であるのがさらに好ましい。
【0030】
ガラス繊維以外の他の繊維、例えば、他のセラミック繊維,無機繊維,有機繊維,金属繊維,炭素繊維等を用いる場合であっても、上記ガラス繊維で述べたのと同様の方法により、繊維含有熱可塑性樹脂ペレットを製造することができる。このペレットを製造する場合のポリプロピレン系樹脂は、メルトインデックス:MI(230℃、2.16kgf)が、10〜1000g/10分、好ましくは30〜600g/10分の範囲のものが、含侵性、成形性などの点で好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂としては、重合条件によりMIを調整したもの、あるいは過酸化物を添加して溶融混練してMIが大きくなるように調整したものを用いることができる。なお、前記ペレットとしては、ストランド状のものを切断したものに限らず、シート状、テープ状、バンド状に成形したものを繊維長さが実質的に2〜100mmになるように切断したものであってもよい。
【0031】
本発明の軽量成形品の製造法にあっては、前記繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)を単独で成形に供することもできるが、(A)と熱可塑性樹脂との混合物を成形原料として用いることもできる。この場合において、前記ペレット(A)中の繊維の含有量が成形原料全体の20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%となるようにすることが望ましい。(A)と共に用いる熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、市販されている一般グレードのペレット、粒状体、粉体などその形状には制限はないが、ペレットを用いることが好ましい。またタルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維ミルドファイバー、炭素繊維、硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、酸化チタン繊維、有機繊維などの強化剤、充填剤を含有したペレット、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、分散剤などを含有したペレット等を例示できる。
2.繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法は、前記の繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)単独、あるいは(A)と熱可塑性樹脂との混合物を成形原料として、通常、特定条件の射出成形により成形する。この場合、成形原料中の繊維はペレット中において互いに平行に配列しており、その繊維長は2〜100mm、好ましくは3〜80mmであり、繊維含有量は、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。繊維長が2mm未満では軽量化が十分達成されがたく、100mmを越えると射出成形機への供給が困難となり、また供給された場合にあっても可塑化が不安定となり均一な成形品を製造することが困難である。また、長繊維(2〜100mm)の含有量が20重量%未満では、長繊維ペレトの製造において、フィラメントを連続的に引き出すことが困難な場合があり、また軽量化が十分達成されない場合がある。また、80重量%以上では、繊維束中への樹脂の含侵が十分行なわれず、成形品中に未解繊の繊維が残る場合がある。なお繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)としては、繊維長の異なるペレット、繊維含有量の異なるペレットを必要により混合して用いることもできる。
3.成形方法
成形原料の溶融混練、射出法としては、(1)成形機の加熱筒内に、成形原料を投入し、加熱溶融させた後、繊維等を分散させ、その後射出成形機の先端に送り込み、プランジャー等で射出する方法、(2)加熱筒内に、成形原料を投入し、加熱溶融させた後、プランジャー等で射出成形機のスクリュー部に送り込み、繊維等を分散させた後、射出する方法、(3)深溝で圧縮比の小さいスクリューを用い、且つシリンダー温度等を著しく高く保ち、繊維破断を防止しつつ射出成形機の先端部分に樹脂を送り込み、プランジャー等で射出成形する方法などがある。ここで、射出成形方法としては、一般の射出成形方法、射出圧縮成形方法を含むものである。本発明においては、成形原料を溶融混練し、最終の成形品より小さい容積の金型キャビティに充填中又は充填した後、金型キャビティを最終の成形品に相当する状態にまで拡大させることにより軽量化された成形品を製造する方法において、最終の成形品における端部形成部を除いた部分を拡大することを特徴としている。ここでいう最終の成形品における端部とは、最終成形品において、動作コアの後退によって形成される部分以外の部分、すなわち固定金型および可動金型に接触する金型接触面をさすのであるが、本発明においては、かかる端部を動作コアの後退に先立って形成させているから、動作コアの後退を開始してもかかる端部の形状はすでに形成されており、動作コアの後退に何ら影響されることなく、端面外観の良好で金型形状に忠実な形状をもつ最終成形品が得られるのである。端部形成部(金型接触面)を除いた部分を拡大するにおいて、拡大させるのは端部形成部(金型接触面)を除いた部分の全部であっても一部であってもよい。端部は拡大によって形成させないことが必要である。
【0032】
かかる特徴を満たす方法であれば詳細は問わないが、以下に、射出成形方法及び射出圧縮成形方法の場合の態様について、例示的に詳述する。上記特徴を満たす方法でありさえすればよく、その態様に限定されるものではない。
(1) 射出成形方法
射出成形による場合、一例により詳述すると、本発明の製造法は、キャビティ部分が最終の成形品に相当する状態よりも小さくなるように閉じた金型中に溶融樹脂を射出し、樹脂の射出が完了し閉じた金型内への樹脂の充満直前又は樹脂の充満後、最終の成形品の端部を先に形成した後に、キャビティ部分が最終成形品に相当する状態になるように動作コアを後退させることにより行うものである。
【0033】
この場合の最初の金型の閉じ具合は、成形原料の繊維の含有量、繊維長さあるいは目的とする成形品の空隙率(成形体の比重)などをもとに適宜設定することができるが、通常、好ましくは、最終キャビティ容積の15〜90%であるように設定される。
また、動作コアを後退させるタイミングは金型の温度、成形品表面のスキン層の厚み、成形品の厚みなどを考慮して適宜決定すればよいが、第1図に模式的に示すように、最終成形品の端部を先に形成し、しかる後に、動作コアを後退させることが必要である。かかる方法を採ることにより、端面外観が良好で金型形状に忠実な最終成形品を得ることができる。極めて固化しやすい樹脂の場合には、閉じた金型内への樹脂の充満直前に動作コアを後退させてもよいが、この場合においても、最終成形品の端部を先に形成していることが必要である。通常、樹脂の充満後、樹脂が固化に要する若干の時間を置いた後に動作コアを後退させることが好ましく行われる。仮に、本発明のような方法を採らずに、第2図に模式的に示すように、キャビティ部の全面を拡張する方法を採った場合、溶融樹脂が金型に接触すると、金型接触部分は直ぐに固化し始めるため、可動側金型を後退させてキャビティ部を拡張する操作を行うと、この固化層により未固化樹脂のスムーズな流れが邪魔され、その結果、未充填部分が生じ、不均一な端面となり、目的とする外観良好な最終形状が得られないおそれがある。
【0034】
動作コアを後退させる速度は、用いた樹脂等の成形原料或いは最終成形品の形状等によっても異なるが、通常、0.1〜10mm/秒の範囲で選ばれる。さらには、速度は必ずしも一定にする必要はなく、後退初期から徐々に速度を速めていってもよい。また、動作コアの後退を目的とする最終成形品に相当する位置で停止させるのではなく、一旦最終成形品相当容積よりも大きい位置まで後退させ、しかる後に、最終成形品相当容積にまで動作コアを逆に前進させて圧縮するという方法を採ってもよい。
(2) 射出圧縮成形方法
射出圧縮成形による場合、一例により詳述すると、本発明の製造法は、キャビティ部分が最終の成形品に相当する状態よりも小さくなるように閉じた金型中に溶融樹脂を射出し、樹脂の射出が完了する前に又は完了と同時に、金型内に樹脂が充満するように一旦動作コアを前進させ、樹脂を充満させると同時に又は樹脂を充満させた後、最終の成形品の端部を形成した後に、キャビティ部分が最終成形品に相当する状態になるように動作コアを後退させることにより行うものである。
【0035】
本方法による場合、低い射出圧力で樹脂の射出を行うことができるため、射出充填時に生じやすい繊維の折損や配向を効果的に防ぐことが可能になる。 本方法においては、金型内に樹脂が充満するように一旦動作コアを前進させるが、この場合の前進させる距離を、通常、0.1〜50mmの範囲にする。特に、成形品表面でのエアーの巻き込みによるフローマーク等の外観不良発生防止の点から、0.1〜10mmの範囲が好ましく用いられる。前進させる速度は、通常、0.5〜30mm/秒の範囲から適宜選ばれる。
【0036】
動作コアの前進による圧縮により金型内に樹脂を充満させる操作ののち、続いて動作コアを後退させるが、樹脂が充満した後の金型の状態や一連の操作については、上記射出成形法のところで述べた内容がそのまま適用される。
(3) 金型に射出する樹脂の溶融混練物は、繊維が互いに絡み合った状態であることが好ましく、この絡み合いによって射出された溶融樹脂は金型中で膨張性を有する溶融樹脂状態になる。
【0037】
なお、本発明の製造法にあっては、必要に応じて少量の発泡剤(ガス、揮発性化合物、分解型発泡剤)を用いてもよい。
また、目的を阻害しない範囲において、安定剤、帯電防止剤、耐候剤、着色剤などの添加剤を加えることもできる。さらに、本発明の軽量成形品の製造法にあっては、成形金型の少なくとも一面に、全面または部分的に発泡材料、不織布などの繊維材料、印刷樹脂フイルムなどの表皮材料を予め装着して成形することもできる。
4.繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品
本発明の製造法によって得られる繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品は、その空隙率が10〜80%、好ましくは20〜70%である。10%未満では軽量化の効果がなく、80%を越えると空隙を有さないスキン層を確実に形成することが困難になるとともに、強度が十分でなくなる場合がある。なお、ここで空隙率とは、成形品中の繊維や樹脂などの占める容積を除いた容積の比率である。また、成形品中の重量平均ガラス繊維長は、1〜20mm、好ましくは1.5〜15mm、より好ましくは2.0〜12mmである。成形品中の繊維長が1mm未満では、溶融樹脂の膨張性が低く、空隙率を確保することが困難であり、また成形品の強度が十分でなく、20mmを越えてもこれによる強度等への影響は少なく、逆に成形条件をマイルドにする必要があり、成形時間が長く、生産性が低下し実用的でない。また、本発明の軽量成形品は、曲げの比強度(曲げ強度/比重)が、80MPa以上、好ましくは90MPa以上、より好ましくは100MPa以上である。このような曲げの比強度は、スキン層の形成と特定長さの繊維強化によって達成される。
【0038】
本発明の製造法においては、各種成形品の製造が可能であり、板状成形品、型物成形品とし、特に30mm以下の板状系の成形品として、自動車部品、家電部品、建築部材などの分野で用いられる。
5.金型
本発明の製造法において用いられる金型は、固定金型,可動金型及び可動金型の移動方向と同方向に独立に前進又は後退しうるように可動金型の内側に配設された動作コアとからなるものであり、キャビティ部が該固定金型,可動金型及び動作コアから形成され、動作コアを前進又は後退させることによりキャビティ部の容積を可変とし得る構造になっているものである。動作コアの位置設定及び前進又は後退は、リミットスイッチ等で行われるものでもよく、また、タイマー制御されるものでもよい。動作コア及び可動金型の駆動は油圧,空圧又は電動等何でもよい。駆動部は金型部に組み込まれていてもよいし、別装置であってもよい。
【0039】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
なお、実施例及び比較例に使用するガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(長繊維ペレット)は下記の方法で調製したものである。
〔製造例1〕
ダイス;押出機の先端に取り付け、含浸部に5本のロッドを直線状に配置。
(特開平3−183531、第2図に準じた装置を用いる方法で製造した。)
繊維束;γ−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理された繊維径13μmのガラス繊維をウレタン系収束剤で170本束ねたガラスロービング
予熱温度;200℃
熱可塑性樹脂;230℃、2.16kgfのメルトインデックス(以下、単にMIと記す)=60g/10分の1.0重量%の無水マレイン酸含有変性ポリプロピレン
溶融温度;240℃
ロッド;5本、6mm(直径)×3mm(長さ)
傾斜角度;25度
上記条件下において、テンションロール間で繊維束の量を調製しつつダイ内に送り込み含浸を行い、冷却後ペレタイザーでガラス繊維含有量が41重量%で、長さが20mmのガラス繊維含有ペレット(以下、長繊維ペレットA−1と記す)を製造した。
【0040】
下記の実施例及び比較例において、成形品の評価及び成形品より切り出した試験片の試験は下記の方法で行った。
▲1▼曲げ強度及び曲げ弾性率: JIS K−7203に準拠して求めた。
曲げの比強度=曲げ強度/比重
曲げの比弾性率=曲げ弾性率/比重
▲2▼成形品中の重量平均ガラス繊維長・・・成形品を灰化後、万能投影機にてガラス繊維を倍率10倍で写真撮影し、デジタイザーにて、約3000本を測定し、その平均値を求めた。
〔実施例−1〕
次に示す原料,装置,条件,操作等により行った。
(1) 成形原料: 上記製造例1で得られた長繊維ペレット
(2) 金型 : キャビティ部が、縦800mm×横400mm(厚さは可変タイプ)の矩形板テスト型であって、可動金型の内側端面から3mmの位置に、可動金型の移動方向と同方向に独立に前進又は後退が可能な動作コアが配設されている。
第1図参照。
(3) 成形機 : 射出成形機(三菱重工業株式会社製:850MGW−160)金型を可動とするため出光IPMユニットが装着されている。
(4) 成形条件
▲1▼成形温度(シリンダ温度): 260℃
▲2▼金型温度: 50℃
▲3▼射出圧力: 80kg/cm2
▲4▼射出速度: 60%
▲5▼樹脂充填時間: 3.2 秒
▲6▼保持圧力 : 30kg/cm2
▲7▼保持時間 : 3.0 秒
▲8▼冷却時間 : 120 秒
(5) 成形操作
次に示す手順に従って行った。
【0041】
▲1▼射出成形機において、可動金型を移動させ通常の射出成形と同じように、金型を閉じた。
▲2▼次に、キャビティ部における固定金型と動作コアとのクリアランスが4mmになるよう動作コアを前進させ、保持した。
▲3▼射出ユニットより、溶融した成形原料を金型に射出し、初期キャビティ部に完全に充満させ、保圧をかけた。
【0042】
▲4▼保圧時間経過直後に、動作コアの後退を開始した。後退速度は、0.4mm/秒とし、後退距離を4mmとすることにより、最終キャビティ部の厚みを8mmとして後退を終了した。
▲5▼冷却時間経過後、可動金型を後退させて金型を開き成形品を取り出した。評価結果を第1表に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004080556
【0044】
〔比較例−1〕
実施例−1において、動作コアを有さず、第2図に示すように固定金型と可動金型のみからキャビティ部が形成され、かつ可動金型の移動によってキャビティ部の容積を可変とし得る金型に代えた以外は、実施例1と同様に行った。
評価結果を第1表に示す。
【0045】
【発明の効果】
本発明による繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法は、多量の発泡剤を用いる必要もなく、得られた成形体は、軽量であるとともに、表面にスキン層が形成されるため、ガラス繊維の補強と相まって高強度、高剛性である。また、成形品端面の外観良好な金型形状に忠実な最終成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例または比較例における射出成形を模式的に示す概略図である。

Claims (5)

  1. 繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)、又は該ペレット(A)と熱可塑性樹脂からなる成形原料を溶融混練し、最終の成形品より小さい容積の金型キャビティに充填中又は充填した後、金型キャビティを最終の成形品に相当する状態まで拡大させることにより軽量化された成形品を製造する方法において、
    前記金型キャビティは、固定金型と、前記固定金型のキャビティを覆う可動金型と、可動金型の移動方向と同方向に独立に前進又は後退しうるように可動金型の内側に配設された動作コアとからなり、
    前記樹脂の射出が完了し、前記金型キャビティ内に樹脂が充満されて、前記固定金型および前記可動金型に接触する最終成形品の金型接触面が形成された後に、前記金型キャビティ部分が最終成形品に相当する状態になるように前記動作コアを後退させること特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法。
  2. 繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)、又は該ペレット(A)と熱可塑性樹脂からなる成形原料を溶融混練し、金型キャビティに前記成形原料からなる樹脂を射出して成形品を製造する方法において、
    前記金型キャビティは、固定金型と、前記固定金型のキャビティを覆う可動金型と、可動金型の移動方向と同方向に独立に前進又は後退しうるように可動金型の内側に配設された動作コアとからなり、
    前記樹脂前記金型キャビティ内に所定量射出した後に、前記金型キャビティ内に樹脂が充満するように一旦前記動作コアを前記固定金型側に前進させ、前記金型キャビティ内に樹脂が充満されて、前記固定金型および前記可動金型に接触する最終成形品の金型接触面が形成された後に、前記キャビティ部分が最終成形品に相当する状態になるように前記動作コアを前記固定金型から離間する状態に後退させることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法。
  3. 繊維がガラス繊維である請求項1〜2のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法。
  4. 繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)において、繊維含有量が20〜80重量%で、繊維が互いに平行に配列しており長さが2〜100mmであること
    を特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品の製造法に用いられる金型であって、固定金型,可動金型及び可動金型の移動方向と同方向に独立に前進又は後退しうるように可動金型の内側に配設された動作コアとからなるものであり、キャビティ部が該固定金型,可動金型及び動作コアから形成され、動作コアを前進又は後退させることによりキャビティ部の容積を可変とし得る射出成形用金型。
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