JPH10305467A - ガラス繊維強化熱可塑性樹脂の成形方法および成形品 - Google Patents

ガラス繊維強化熱可塑性樹脂の成形方法および成形品

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JPH10305467A
JPH10305467A JP9119418A JP11941897A JPH10305467A JP H10305467 A JPH10305467 A JP H10305467A JP 9119418 A JP9119418 A JP 9119418A JP 11941897 A JP11941897 A JP 11941897A JP H10305467 A JPH10305467 A JP H10305467A
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thermoplastic resin
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学 野村
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Yasunobu Yamazaki
康宣 山崎
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正道 小出
Atsuo Teraoka
淳男 寺岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】強度、剛性および耐熱性等の機械的特性や外観
品質を損なうことなく、さらに軽量化が図れるようにな
るガラス繊維強化熱可塑性樹脂の成形方法および成形品
の提供。 【解決手段】全長が5〜100mmとされ、かつ、平行に
束ねられた、全長と等しい長さのガラス繊維を含む樹脂
ペレットを用い、直径Dが50mm以上で、ホッパの直下
のスクリュ溝の深さLがL>0.1×Dとされ、圧縮比
が2.5以下のスクリュと、非回転型逆流防止リング
と、口径4mm以上のノズルとを有する射出装置20を備え
た射出成形機の、移動ダイプレート4を前進させ、成形
品よりも狭くしたキャビティに射出することで、キャビ
ティ内の溶融樹脂を成形面に密着させ、スキン層を形成
した後、移動ダイプレート4を後退させ、キャビティを
拡張し、スプリングバック現象で溶融樹脂を膨張させ、
内部に空隙を発生させ、軽い成形品を成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス繊維強化熱
可塑性樹脂の成形方法および成形品に関し、詳しくは、
剛性および強度に優れたガラス繊維強化熱可塑性樹脂成
形品の軽量化および表面状態の向上を図ったガラス繊維
強化熱可塑性樹脂の成形方法、および、この成形方法で
得られる成形品に関する。
【0002】
【背景技術】従来より、ガラス繊維強化樹脂成形品は、
引っ張り強度、剛性および耐熱性等の機械的特性に優れ
ているので、インパネコア、バンパービーム、ドアステ
ップ、ルーフ・ラック、リア・クォターパネルおよびエ
アクリーナ・ケース等の自動車部品、ならびに、外壁用
パネル、間仕切壁用パネルおよびケーブル・トラフ等の
建築・土木用部材等として広く利用されている。このよ
うなガラス繊維強化樹脂成形品を製造するにあたり、金
型の内部に繊維を含んだ溶融樹脂を射出する射出成形方
法を利用することができる。この射出成形方法によれ
ば、複雑な形状のものでも成形できるうえ、所定の成形
サイクを連続して繰り返すことが可能なため、同一形状
のものを大量生産することができるというメリットが得
られる。射出成形で成形されたガラス繊維強化樹脂成形
品は、以下の〜等の欠点を有している。 ガラス繊維が成形の際に切断されると、ガラス繊維
の量を増やしても、強度や剛性が向上できない。 射出圧を高圧にする等により強い異方性が生じる
と、この異方性が反り変形の原因となる。 強度や剛性を向上させるために、ガラス繊維の量を
増やすと、成形品の重量が増大する。
【0003】上記〜の欠点を解消するために、以下
のa)〜c)に示される方法が提案されている。 a) ガラス繊維の成形時における切断が低減されるよう
に、その全長(例えば、2〜100mm)と等しい長さの
補強用ガラス繊維を互いに平行に配列した状態で含有す
る樹脂ペレットを原材料とする成形方法(特公昭63−
37694号公報、特開平3−188131号公報
等)。 b) 反り変形の原因となる異方性を抑制するために、長
さ10〜100mmの繊維を平行に配列させた樹脂ペレッ
トを用い、繊維が樹脂の内部で互いに絡み合った状態と
なるように成形する繊維強化熱可塑性樹脂製品の製造方
法(特開平6−198753号公報等)。 c) ガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形品の重量を軽減す
るために、発泡剤を原材料に混入させ、成形品を形成す
る樹脂を発泡させながら成形を行う発泡射出成形方法
(特開平7−247679号公報等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ガラス繊維
強化樹脂製品に対しては、強度、剛性および耐熱性等の
機械的特性や外観品質を損なうことなく、より一層の軽
量化を実現したいという要望がある。このような要望に
対し、上記のa)およびb)の方法では、両方とも軽量化が
目的ではないので、ガラス繊維強化樹脂製品の軽量化は
期待できない。また、上記のc)の方法では、軽量化を達
成するために、かなりの量の発泡剤を用いても、発泡倍
率を2〜5倍にすることは容易でなく、しかも、ガラス
繊維の含有量に制限があり、充分な機械的特性が得られ
ない場合もあり、強度、剛性および耐熱性等の機械的特
性や外観品質を維持しつつ、軽量化を図ることが困難で
あるという問題がある。
【0005】一方、発泡剤の発泡を促進するために、金
型を閉じる前に、金型キャビティに発泡剤を含有した樹
脂を射出し、型締めの圧力が加わらないうちに、発泡剤
を発泡させた後、金型を閉じて成形を行う成形方法(イ
ンジェクション・プレス成形方法)を採用することが考
えられる。しかしながら、インジェクション・プレス成
形方法では、発泡倍率を高めるために発泡剤を増やす
と、成形品の表面にガスが走り、シルバーマークが生じ
るという外観品質上の不具合が生じるうえ、やはり、ガ
ラス繊維の含有量に制限があり、ガラス繊維強化樹脂製
品の強度確保および軽量化の両方を達成するのが難し
く、前述の問題を解決するには不十分である。また、外
観品質を向上するために、高圧ガスを利用することで、
金型キャビティの内部圧力を発泡剤の発泡圧よりも高い
圧力に保持しておき、この状態で、発泡剤を含んだ溶融
樹脂を金型キャビティに射出するカウンター・プレッシ
ャー成形方法を利用することが考えられる。このカウン
ター・プレッシャー成形方法によれば、キャビティの内
圧により、溶融樹脂内の発泡剤が発泡を抑えられ、この
状態で、金型の成形面に接した溶融樹脂の表面を冷却し
てスキン層とし、その後、金型キャビティ内を減圧して
発泡させるので、外観品質に優れた成形品が得られる。
しかしながら、溶融樹脂をある程度冷却させた後に、発
泡剤を発泡させるので、発泡倍率に限界があるうえ、成
形品の内部に大きな中空部や巣が発生しやすく、重量的
および強度的に必ずしも充分でないという問題があるう
え、キャビティの内部を昇圧するためのガス注入設備
や、気密性に優れた金型等が必要となり、製造コスト面
でも問題がある。
【0006】本発明の目的は、強度、剛性および耐熱性
等の機械的特性さらには外観品質を損なうことなく、軽
量化が図れるようになるガラス繊維強化熱可塑性樹脂の
成形方法および成形品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1発明は、全
長が5〜100mmの範囲にされるとともに、前記全長と
等しい長さの補強用ガラス繊維が、互いに平行に配列さ
れた状態となって、全体の20〜80重量%含有された
熱可塑性樹脂ペレットを含んだ原材料を採用し、ホッパ
から射出シリンダ内に供給された樹脂ペレットの可塑
化、混練および射出を行うために、直径Dが50mm以上
とされ、前記ホッパの直下におけるスクリュ溝の深さL
がL>0.1×Dとされ、圧縮比が2.5以下となるよ
うに設定されたスクリュと、このスクリュの先端近傍の
所定範囲を当該スクリュの長手方向に沿って前後に移動
可能とされる非回転型逆流防止リングと、オープンタイ
プおよびシャットオフタイプのいずれか一方にされると
ともに、前記射出シリンダの先端に設けられた口径4mm
以上のノズルと、金型の固定型が取付けられた固定ダイ
プレートと、前記金型の移動型が取付けられ、前記固定
ダイプレートに対して移動可能とされた移動ダイプレー
トとを備えた射出成形機で前記原材料を溶融した溶融樹
脂を前記金型内に射出して繊維強化樹脂を射出成形する
ガラス繊維強化熱可塑性樹脂の成形方法であって、前記
溶融樹脂の射出後に、前記移動ダイプレートを前記固定
ダイプレートから後退させ、前記金型のキャビティを成
形品に応じた容積に拡張することを特徴とする。
【0008】このような本発明では、ある程度長い繊維
が混入された樹脂を射出成形する際に見られる、スプリ
ングバック現象を利用することにより、発泡剤を利用し
なくとも、溶融樹脂の内部に充分な膨張力が発生するよ
うになり、その内部に無数の空隙が生じた軽い成形品が
得られるようになる。ここで、長さが5〜100mmの範
囲にあるガラス繊維を、全体の20〜80重量%含有す
るとともに、全長が5〜100mmの範囲にある熱可塑性
樹脂ペレットを含んだ原材料を採用することで、成形時
スプリングバック現象により発生する空隙の量が充分確
保されるようになり、成形品の軽量化を充分に図ること
が可能となる。なお、ガラス繊維の長さが5mm未満で
は、成形品の強度や剛性を確保するのに、繊維長が不足
する場合があるとともに、ペレットの製造時にペレット
が割れるおそれがある一方、長さが100mmを超える
と、射出成形時にブリッジを起こしたり、可塑化不良の
原因となったりするため、成形が困難となる場合があ
る。そして、ガラス繊維の含有率が全体の20重量%に
満たないと、スプリングバックが不足し、軽量成型品が
得られにくくなる場合があり、また、成形品の剛性や耐
衝撃強度が不足し、80重量%を超えると、成形品の表
面に繊維が露出し、外観品質が損なわれる場合がある。
【0009】また、スクリュの直径Dを50mm以上と
し、ホッパの直下におけるスクリュ溝の深さLをL>
0.1×Dとし、圧縮比を2.5以下とするとともに、
非回転型逆流防止リングと、口径4mm以上のオープンタ
イプまたはシャットオフタイプノズルとを採用すること
で、射出成形時に繊維の破断が抑制され、溶融樹脂の内
部で生じる膨張力が確保されるようになる。そして、溶
融樹脂の射出後に、前記金型のキャビティを成形品に応
じた容積に拡張することにより、スプリングバック現象
が促進され、溶融樹脂の内部で押し潰された繊維が元の
状態に戻ろうとする復元力により、溶融樹脂が膨張し、
その内部に無数の空隙が発生するので、軽量化された成
形品が得られるようになり、これにより前記目的が達成
される。
【0010】以上において、前記金型のキャビティを成
形品に応じた容積に拡張するタイミングは、前記溶融樹
脂を射出し、前記金型のキャビティが溶融樹脂で充満し
た後に設定することができる。このように、射出時に金
型のキャビティを溶融樹脂で充満させれば、金型内に溶
融樹脂を射出する射出圧力で溶融樹脂が金型の成形面に
向かって押圧されて密着し、成形品の表面にスキン層が
形成される。この後に、溶融樹脂を膨張させれば、膨張
させても成形品の表面が平滑となり、外観品質が確保さ
れる。また、前記金型のキャビティを成形品に応じた容
積に拡張するタイミングは、前記金型のキャビティ内へ
の前記溶融樹脂の射出を開始してから、前記移動ダイプ
レートを前進させ、前記キャビティ内の前記溶融樹脂を
圧縮した後に設定することもできる。このように、キャ
ビティ内への前記溶融樹脂の射出を開始し、ある程度キ
ャビティに溶融樹脂が充填された状態で、キャビティ内
の前記溶融樹脂を圧縮すれば、溶融樹脂が金型の成形面
に向かって押圧されて密着し、表面にスキン層が形成さ
れ、この後に、溶融樹脂を膨張させれば、膨張させても
成形品の表面が平滑となり、外観品質が確保される。
【0011】また、前記金型のキャビティの成形品に応
じた容積が、当該成形品を成形するために必要な量の原
材料の容積の1.3〜6.0倍に設定されていることが
好ましい。このようにすれば、強度、剛性および耐熱性
等の機械的特性や外観品質を損なうことなく、成形品の
重量を充分軽減することが可能となる。さらに、前記原
材料には、当該原材料100重量部に対して0.01〜
3重量部の発泡剤を混入することができる。発泡剤とし
ては、アゾジカルボンアミド等のアゾ化合物、ニトロソ
化合物、スルホニル・ヒドラジド化合物等の有機化合
物、重炭酸ナトリウム等の無機化合物を採用することが
できる。このようにすれば、重量との関係から、ガラス
繊維の量が制限される場合などにおいては、スプリング
バック現象における繊維の復元力の不足分を、発泡剤の
発泡力が補完し、成形品に応じた容積にまで溶融樹脂を
確実に拡張させることが可能となる。なお、発泡剤の含
有量が3重量部を超えると、シルバーマークが生じる場
合があり、外観品質上の不具合が生じるおそれがあるう
え、成形品の内部に大きな中空分が発生し、強度や剛性
が著しく低下する場合がある。
【0012】また、前記金型は、固定金型部と、この固
定金型部に対して進退可能とされた移動金型部とを含ん
で構成され、前記溶融樹脂を膨張させるために、前記金
型のキャビティが成形品に応じた容積に拡張されるにあ
たり、前記移動金型部が0.05〜50mm/秒の速度で
後退されることが好ましい。このようにすれば、射出成
形機の型締装置で移動金型部を移動させることにより、
キャビティの容積の拡張および縮小が任意に行えるよう
になるうえ、キャビティの容積の拡張の際に、移動金型
部を0.05〜100mm/秒の速度、好ましくは、0.
05〜50mm/秒の速度で後退すれば、移動金型部の成
形面と密着した状態を維持しながら、溶融樹脂が膨張す
るようになり、成形品の外観品質が確実に確保されるよ
うになる。なお、移動金型部の後退速度が、0.05mm
/秒未満であると、溶融樹脂の膨張よりも溶融樹脂の冷
却固化が先行し、成形品の容積まで溶融樹脂が膨張しな
い場合がある。一方、移動金型部の後退速度が100mm
/秒を超えると、溶融樹脂の膨張速度よりも移動金型部
の後退速度の方が速すぎる場合が多く、膨張する溶融樹
脂の前面が移動金型部の成形面から離れ、成形品の外観
品質が損なわれる場合があるので、表面の平滑性があま
り問題とならない製品の製造への利用に限定される。
【0013】さらに、樹脂ペレットの主原料となる熱可
塑性樹脂としては、特に、制限はないが、例えば、ポリ
プロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、
プロピレン−エチレンランダム共重合体、ポリエチレン
等のポレオレフィン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、AB
S樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボ
ネート系樹脂、ポリ芳香族エーテルまたはチオエーテル
系樹脂、ポリ芳香族エステル系樹脂、ポリスルホン系樹
脂およびアクリレート系樹脂等が採用できる。ここで、
上記熱可塑性樹脂は、単独で用いることがもできるが、
二種類以上を組み合わせて用いてもよい。このような熱
可塑性樹脂のうち、ポリプロピレン、プロピレンと他の
オレフィンとのブロック共重合体、ランダム共重合体、
あるいは、これらの混合物などのポリプロピレン系樹脂
が好ましく、特に、不飽和カルボン酸、または、その誘
導体で変性された酸変性ポリオレフィン系樹脂を含有す
るポリオレフィン系樹脂が好適である。
【0014】また、樹脂ペレットに含有されるガラス繊
維としては、E−ガラスまたはS−ガラスのガラス繊維
であって、その平均繊維径が25μm以下のもの、好ま
しくは3〜20μmの範囲のものが採用できる。ガラス
繊維の径が1μm未満であると、ペレット製造時にガラ
ス繊維が樹脂になじまず、樹脂に含浸するのが困難とな
る一方、25μmを超えると、溶融混練時に切断、欠損
が起こりやすくなる。
【0015】これらの熱可塑性樹脂およびガラス繊維を
用い、引き抜き成形法等でペレットを製造するにあた
り、ガラス繊維は、カップリング剤で表面処理した後、
収束剤により、100〜10000本、好ましくは、1
50〜5000本の範囲で束ねておくことが望ましい。
カップリング剤としては、いわゆるシラン系カップリン
グ剤、チタン系カップリング剤として従来からあるもの
の中から適宜選択することができる。例えば、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
等のアミノシランやエポキシシランが採用できる。特
に、前記アミノ系シラン化合物を採用するのが好まし
い。このようなカップリング剤を用いてガラス繊維の表
面処理を行うにあたり、前述のカップリング剤を有機溶
媒に混ぜた有機溶媒液あるいは混濁液を、いわゆるサイ
ジング剤としてガラス繊維に塗布するサイジング処理の
他、乾式混合およびスプレー法等が採用できる。また、
表面処理を行うにあたり、前述のカップリング剤ととも
に、ガラス用フィルム形成物質を併用することができ
る。このフィルム形成物質としては、例えば、ポリエス
テル系、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、酢酸ビ
ニル系およびイソシアネート系等の重合体が採用でき
る。収束剤としては、例えば、ウレタン系、オレフィン
系、アクリル系、ブタジエン系およびエポキシ系等が採
用でき、これらのうち、ウレタン系およびオレフィ系が
採用できる。これらのうち、ウレタン系収束剤は、通
常、ジイソシアネート化合物と多価アルコールとの重付
加反応により得られるポリイソシアネート50重量%以
上の割合に含有するものであれば、油変性型、湿気硬化
型およびブロック型等の一液タイプ、および、触媒硬化
型およびポリオール硬化型等の二液タイプのいずれもが
採用できる。一方、オレフィン系収束剤としては、不飽
和カルボン酸、または、その誘導体で変性された変性ポ
リオレフィン系樹脂が採用できる。
【0016】上述のような収束剤で収束したガラス繊維
に熱可塑性樹脂を付着・含浸させることにより、ガラス
繊維を含有する樹脂ペレットが製造される。ガラス繊維
に熱可塑性樹脂を付着・含浸させる方法としては、例え
ば、容器等に入れた溶融樹脂の中に繊維束を通し、繊維
に樹脂を含浸させる方法、コーティング用ダイに繊維束
を通して含浸させる方法、あるいは、ダイで繊維の周り
に付着した溶融樹脂を押し広げて繊維束に含浸させる方
法等が採用できる。ここで、繊維束と樹脂とをよくなじ
ませる、すなわち濡れ性を向上するために、内周に凹凸
部が設けられたダイの内部に、張力が加えられた繊維束
を通して引き抜くことで、溶融樹脂を繊維束に含浸させ
た後、さらに、この繊維束を加圧ローラでプレスする工
程が組み込まれた引抜成形法も採用できる。なお、ガラ
ス繊維と溶融樹脂とが互いによくなじむ、濡れ性のよい
ものあれば、溶融樹脂がガラス繊維に容易に含浸され、
ペレットの製造が容易となるので、前述の収束剤で繊維
を収束する工程は、省略できる場合がある。ここで、互
いによくなじませる方法としては、樹脂に極性を付与し
たり、ガラス繊維の表面にカップリング剤と反応する官
能基をグラフトしたりする方法が有効である。以上のよ
うな方法で、繊維束が含有された長尺樹脂塊を、繊維の
長手方向に沿って切断していけば、ペレットの全長と同
じ長さの長繊維を含んだ樹脂ペレットを得ることができ
る。この際、樹脂ペレットとしては、繊維束がストラン
ドにされ、その断面形状が略円形となった長尺樹脂塊を
切断したものに限らず、繊維を平たく配列することによ
り、シート状、テープ状またはバンド状になった長尺樹
脂塊を所定の長さに切断したものでもよい。
【0017】本発明の第2発明は、前記第1発明により
成形した成形品である。このような本第2発明では、そ
の内部に無数の空隙が生じるので、重量が軽くなり、自
動車等の輸送機械の部品として利用すれば、その機械的
効率等を向上することが可能となり、ケーブルトラフ等
の建築土木部材として利用すれば、その軽量性から、設
置作業等が容易に行えるようになる。以上において、前
記溶融樹脂は、当該成形品を成形するために使用された
原材料を1.3〜6.0倍の容積に膨張させることが望
ましい。このようにすれば、強度、剛性および耐熱性等
の機械的特性および外観品質に優れ、かつ、重量が充分
軽減された成形品が確実に得られるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の各形態を図
面に基づいて説明する。図1には、本発明の第1実施形
態に係る射出成形機1が示されている。この射出成形機
1は、固定型10A および移動型10B に分割された金型10
で成形を行うものである。射出成形機1には、固定型10
A が固定された固定ダイプレート3と、移動型10B が設
けられた移動ダイプレート4と、この移動ダイプレート
4を固定ダイプレート3へ向かって進退駆動するための
型締装置5と、金型10の内部に溶融樹脂を射出する射出
装置20とが備えられている。移動ダイプレート4は、型
締め用の油圧シリンダ装置6が固定された固定プレート
7および固定ダイプレート3の間に架け渡されたタイバ
ー8に沿って摺動自在に設けられたものである。
【0019】型締装置5は、油圧シリンダ装置6のピス
トンロッド6Aが連結されたトグル機構9を有し、油圧シ
リンダ装置6の押圧力をトグル機構9で増力して移動ダ
イプレート4を進退させるようになっている。また、型
締装置5は、移動型10B の移動範囲内おいて、移動型10
B を任意の位置まで移動させ、その位置で静止させるこ
とが可能となっており、これにより、金型10の閉鎖、型
締めおよび開放等が行えるようになっている。ここで、
成形時に、移動ダイプレート4を移動して、金型10の内
部に設けられたキャビティの容積を縮小または拡張する
ことにより、当該キャビティに射出された溶融樹脂を圧
縮する、もしくは、当該溶融樹脂の膨張を促進すること
が可能となっている。また、型締装置5は、型締力が所
定の範囲内で任意に調節可能とされるとともに、油圧シ
リンダ装置6のピストンロッド6Aの移動速度が所定の範
囲内で任意に調節可能となっている。これにより、キャ
ビティ内に射出された溶融樹脂に加える圧縮力や、当該
溶融樹脂の膨張を促進する際の移動型10B の後退速度等
が調節可能となっている。
【0020】射出装置20は、筒状に形成された射出シリ
ンダ21の内部に設けられたスクリュ22で、原材料である
樹脂ペレットの可塑化、混練および射出を行うイン・ラ
イン式のものである。射出装置20には、樹脂ペレットが
投入される漏斗状のホッパ23が設けられている。スクリ
ュ22は、図2に示されるように、ホッパ23の直下近傍に
配置されるとともに、ホッパ23からの樹脂ペレットを当
該スクリュ22の先端側へ送る供給部22Aと、供給部22A
から送られてきた樹脂ペレットの溶融、圧縮および混練
を行う圧縮部22B と、圧縮部22B から送られたきた溶融
樹脂がより均一となるように、当該溶融樹脂をさらに混
練する計量部22C とが設けられたものである。ここで、
スクリュ22の直径Dは、50mm以上に設定されている。
また、ホッパ23からスクリュ22の供給部22A に設けられ
たスクリュ溝24A に供給される樹脂ペレットの食い込み
性が良好となるように、スクリュ溝24A の深さLは、L
>0.1×Dとなるように設定されている。さらに、樹
脂ペレットに含有されるガラス繊維が圧縮の際に破断さ
れないように、圧縮部22B におけるスクリュ溝24B の深
さは、圧縮比が2.5以下となるように設定されてい
る。
【0021】スクリュ22の先端には、図3に示されるよ
うに、円錐状のスクリュヘッド25が設けられている。こ
のスクリュヘッド25の近傍には、当該スクリュ22の全周
にわたって縮径した凹部26が設けられている。この凹部
26には、非回転型逆流防止リング27が遊嵌されている。
この非回転型逆流防止リング27は、スクリュ22の長手方
向に沿って、凹部26が設けられた範囲(図中矢印Aに示
す範囲)において前後に移動可能とされたものである。
この非回転型逆流防止リング27は、溶融樹脂の可塑化時
には図中左方に前進して、溶融樹脂の流路を開放する
が、溶融樹脂の射出保圧時には右方に後退して溶融樹脂
の流路を閉鎖し、金型10内に射出された溶融樹脂の逆流
を防止するようになっている。また、非回転型逆流防止
リング27は、スクリュ22が回転しても、回転しないよう
になっている。これにより、射出シリンダ21内の溶融樹
脂は、ホッパ23から供給されたペレットが、供給部22A
から圧縮部22B を通り、計量部で22C で溶融混練され
る。射出シリンダ21の先端には、オープンタイプのノズ
ル28が設けられている。このノズル28の口径Bは、4mm
以上に設定されている。ここで、スクリュ22の先端のス
クリュヘッド25の表面と、射出シリンダ21の内周面との
隙間29は、溶融樹脂が流通する流路となっている。この
隙間29の間隔は、ノズル28と同程度の溶融樹脂流量を確
保するように設定されている。
【0022】次に、本実施形態の成形手順について説明
する。まず、射出成形機1に金型10を装着するととも
に、ホッパ23にガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレットを
投入する。ここで採用される樹脂ペレットは、ポリプロ
ピレンを主原料とした全長が5〜100mmの範囲にされ
たものである。この樹脂ペレットには、その全長と等し
い長さの補強用ガラス繊維が、互いに平行に配列された
状態となって、全体の20〜80重量%含有されてい
る。そして、射出成形機1を起動し、射出装置20の射出
シリンダ21内に供給された樹脂ペレットの可塑化および
混練を開始する。この射出成形機1の起動とともに、型
締装置5を作動させ、移動ダイプレート4を固定ダイプ
レート3に向かって移動させ、図4(A)に示されるよ
うに、金型10のキャビティが成形品に応じた容積よりも
縮小される位置Uに、移動型10Bを静止させ、当該キャ
ビティの厚さ寸法をt1にする。
【0023】この際、位置Uは、当該位置Uに静止した
移動型10B が形成するキャビティの厚さt1と、成形品に
応じた容積を確保したキャビティの厚さt2との関係にお
いて、t2/t1が1.3〜6.0の範囲となるように設定
することができる。また、射出シリンダ21内では、樹脂
ペレットの可塑化および混練を充分行うことにより、溶
融樹脂内の無数のガラス繊維を、均一に分布させ、か
つ、互いに充分絡み合った状態にし、スプリングバック
現象が発生しやすい状態にする。この状態で、射出装置
20から金型10に溶融樹脂を射出して、成形品に応じた容
積よりも縮小されたキャビティに充満させ、射出圧力で
溶融樹脂が金型10の成形面に向かって押圧されて密着し
ている状態にし、ここで、溶融樹脂の射出を完了する。
溶融樹脂の射出完了直前、直後、あるいは、射出完了か
ら所定時間が経過したら、移動ダイプレート4を駆動
し、移動型10B をゆっくり後退させ、図4(B)に示さ
れるように、金型10のキャビティが成形品に応じた容積
となる位置Vに移動型10B を静止させ、当該キャビティ
の厚さ寸法をt2にする。これにより、射出完了から移
動型10B が位置Vに到達するまでの間に、溶融樹脂の表
面を冷却し、溶融樹脂(成形品)の表面にスキン層を形
成する。
【0024】射出完了後に移動型10B を後退させる場合
には、金型温度により多少異なるが、射出完了から移動
型10B の後退開始までの時間を、0〜10秒の範囲で設
定することができる。また、移動型10B の後退速度Vr
は、0.05〜100mm/秒の範囲、好ましくは、0.
05〜50mm/秒の範囲で設定することができる。移動
型10B を後退させると、スプリングバック現象が促進さ
れ、溶融樹脂内で押し潰されていたガラス繊維の弾性的
な復元力により、溶融樹脂が膨張し、溶融樹脂の内部に
無数の空隙が発生し、原材料よりも容積が大きく軽量化
された成形品が成形される。このような成形品を充分冷
却するのに必要な所定時間が経過したら、型締装置5を
作動させて移動ダイプレート4を後退させ、金型10を開
く。そして、金型10の内部から成形品を取出し、成形を
完了する。以降、必要に応じて、以上のような成形作業
を繰り返す。
【0025】前述のような本実施形態によれば、次のよ
うな効果が得られる。すなわち、長さが5〜100mmの
範囲にある長いガラス繊維を含んだ樹脂を、充分混練し
たうえで、金型10の内部に射出し、スプリングバック現
象が発生するようにしたので、発泡剤を利用しなくと
も、溶融樹脂が充分膨張し、内部に無数の空隙が生じた
軽い成形品を得ることができる。
【0026】また、長さが5〜100mmの範囲にあるガ
ラス繊維を、全体の20〜80重量%含有するととも
に、全長が5〜100mmの範囲にある熱可塑性樹脂ペレ
ットを含んだ原材料を採用したので、可塑化が良好に行
えるようになるうえ、成形時のスプリングバック現象で
充分な量の空隙が発生可能となり、成形品の軽量化を充
分に図ることができるうえ、成形品の表面に繊維が露出
せず、成形品の外観品質を優れたものにできる。
【0027】さらに、スクリュ22の直径Dを50mm以上
とし、ホッパ23の直下におけるスクリュ溝24A の深さL
をL>0.1×Dとし、スクリュ22の圧縮比を2.5以
下とするとともに、非回転型逆流防止リング27と、口径
4mm以上のオープンタイプのノズル28とを設け、射出成
形時にガラス繊維の破断が抑制されるようにしたので、
溶融樹脂の内部で生じる膨張力が確保され、成形品の軽
量化を確実に図ることができるうえ、成形品の引っ張り
強度、耐衝撃強度、剛性および耐熱性等の機械的特性を
優れたものにできる。
【0028】また、溶融樹脂の射出開始前に、金型10の
キャビティを成形品に応じた容積よりも縮小し、この状
態のキャビティ内に溶融樹脂を射出して充満させること
で、キャビティ内の溶融樹脂を成形面に押圧して密着さ
せるようにしたので、溶融樹脂の表面のみが冷えてスキ
ン層となり、この点からも、外観品質に優れた成形品を
得ることができる。
【0029】しかも、表面にスキン層が形成されたら、
金型10のキャビティを成形品に応じた容積に拡張するこ
とにより、溶融樹脂の内部で押し潰されたガラス繊維が
元の状態に戻りやすくしたので、スプリングバック現象
が促進され、溶融樹脂の内部に無数の空隙が容易に発生
するようになり、この点からも、軽量化された成形品を
確実に得ることができる。
【0030】さらに、位置Uにおいて移動型10B が形成
するキャビティの厚さt1と、成形品に応じた容積を確保
したキャビティの厚さt2との関係において、t2/t1が、
1.3〜6.0の範囲となるように設定し、このような
位置Uに移動型10B を静止させ、成形品に応じた容積よ
りも縮小したキャビティに溶融樹脂を充満させたので、
スキン層の形成が確実なものにできるうえ、移動型10B
の後退により、原材料容積をおおよそ1.3〜6.0倍
に膨張させることができ、この点からも、強度、剛性お
よび耐熱性等の機械的特性や外観品質を損なうことな
く、成形品の重量を充分軽減することができる。
【0031】また、溶融樹脂を膨張させるために、金型
10のキャビティを成形品に応じた容積に拡張するにあた
り、移動型10B を0.05〜50mm/秒の速度で後退さ
せたので、キャビティの容積の拡張の際に、溶融樹脂の
膨張よりも溶融樹脂の冷却固化が先行せずに、所定の大
きさまで溶融樹脂を確実に膨張させることができるう
え、膨張する溶融樹脂の前面が移動金型部の成形面から
離れることがなく、移動金型部の成形面に密着した状態
を維持しながら、溶融樹脂を膨張させることもでき、成
形品の外観品質を確実に良好なものにできる。
【0032】図5には、本発明の第2実施形態に係る成
形手順が示されている。本第2実施形態では、前記第1
実施形態において成形品に応じた容積よりも縮小したキ
ャビティ内に溶融樹脂を充満させることで、溶融樹脂に
圧縮力を加えていたのを、移動型10B の前進により、溶
融樹脂に圧縮力を加るようにしたものである。以下に、
本第2実施形態の成形手順を具体的に説明する。なお、
本第2実施形態の成形手順は、前記第1実施形態と同様
の射出成形機1を採用するものであるため、射出成形機
1の説明は省略する。まず、射出成形機1に金型10を装
着するとともに、ホッパ23にガラス繊維含有熱可塑性樹
脂ペレットを投入する。ここで採用される樹脂ペレット
は、前記第1の成形手順で採用したものと同様のもので
ある。ここで、ホッパ23には、樹脂ぺレットの他に、発
泡剤を含有したマスターバッチを混入させることもでき
る。ただし、発泡剤の混入量は、少なくする必要があ
り、発泡剤の含有量が樹脂ペレットの100重量部に対
して0.01〜3重量部の範囲となるようにする。な
お、発泡剤の含有量が3重量部を超えると、シルバーマ
ークが生じる場合があり、外観品質上の不具合が生じる
おそれがあるうえ、成形品の内部に大きな中空分が発生
し、強度や剛性が著しく低下する場合がある。
【0033】そして、射出成形機1を起動し、その射出
シリンダ21内に供給された樹脂ペレットの、可塑化およ
び混練を開始するとともに、型締装置5を作動させ、移
動ダイプレート4を前進させ、図5(A)に示されるよ
うに、金型10のキャビティが成形品に応じた容積よりも
拡張される位置Xに、移動型10B を静止させ、当該キャ
ビティの厚さ寸法をt3にする。この状態で、射出装置20
から金型10に溶融樹脂を射出する。なお、前記第1実施
形態と同様に、スプリングバック現象の発生を容易にす
るために、射出前に、溶融樹脂の混練を充分行い、ガラ
ス繊維の分布を均一にし、かつ、ガラス繊維が互いに充
分絡み合った状態にしておく。金型10内への溶融樹脂の
射出開始と同時に、移動型10B の前進を開始させ、金型
10内の溶融樹脂に圧縮力を加わえ、この圧縮力で溶融樹
脂が金型10の成形面に向かって押圧されて密着している
状態にするとともに、移動型10B の移動により、溶融樹
脂をキャビティ全体に充満させる。ここで、金型10のキ
ャビティが成形品に応じた容積よりも縮小される位置Y
に、移動型10B が到達するまでの間に、溶融樹脂の表面
を冷却し、溶融樹脂(成形品)の表面にスキン層を形成
する。なお、金型10内に射出された溶融樹脂は、移動型
10B が位置Yにあるときのキャビティ容積に相当する量
が射出される。この量に達ししだい、射出装置20による
溶融樹脂の射出は完了する。
【0034】そして、図5(B)に示されるように、移
動型10B が位置Yに到達し、金型10のキャビティの厚さ
寸法がt4となったら、直ちに、移動型10B をゆっくり後
退させ、図5(C)に示されるように、金型10のキャビ
ティが成形品に応じた容積となる位置Zに移動型10B を
静止させ、当該キャビティの厚さ寸法をt5にする。この
際、位置Yは、当該位置Yに静止した移動型10B が形成
するキャビティの厚さt4と、位置Zに静止した移動型10
B が形成するキャビティの厚さt5との関係において、t5
/t4が、1.3〜6.0の範囲となるように設定するこ
とができる。また、移動型10B の後退速度Vrは、0.0
5〜100mm/秒の範囲、好ましくは、0.05〜50
mm/秒の範囲で設定することができる。移動型10B の後
退により、スプリングバック現象が促進され、溶融樹脂
内で押し潰されていたガラス繊維の弾性的な復元力によ
りにより、溶融樹脂の内部に無数の空隙が発生し、これ
により溶融樹脂が膨張し、原材料よりも容積が大きく軽
量化された成形品が成形される。このような成形品を充
分冷却するのに必要な所定時間が経過したら、型締装置
5が作動して移動ダイプレート4を後退させ、金型10を
開く。そして、金型10の内部から成形品を取出し、成形
を完了する。以降、必要に応じて、以上のような成形作
業を繰り返す。
【0035】このような本実施形態においても、前記第
1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる他、
移動型10B の移動により、溶融樹脂を圧縮するとともに
キャビティ全体に充満させるので、射出圧ではキャビテ
ィ全体に溶融樹脂を充満できない薄い成形品でも成形す
ることができるうえ、発泡剤を用いれば、発泡剤が樹脂
の膨張を助けるので、重量との関係で膨張に必要な量の
ガラス繊維を含有させることができない場合でも、所望
の膨張率を達成することができるという効果を付加でき
る。
【0036】
【実施例】次に、本発明の効果を具体的な実施例に基づ
いて説明する。 [実施例1]本実施例1は、前記第1実施形態に基づい
た射出成形機1および成形手順を用いて成形を行う実験
である。本実施例1では、以下のような原材料、金型、
射出成形機および射出手順を採用する。 a)原材料:ガラス繊維強化ポリプロピレンペレット 当該ペレットの全長 ; 15mm ポリプロピレンの メルトインデックスMI; 60g/10分(230℃, 2.16kg
f) ポリプロピレンの含有率; 60重量% ガラス繊維の含有率 ; 40重量% ガラス繊維の長さ ; 15mm b)金型:図6に示されるように、背もたれ31と座部32と
が一体成形され、かつ、 その肉厚が全体的に均
一とされた椅子部品を成形するための金型 椅子部品の寸法:幅寸法W ;420mm 奥行き寸法D;360mm 高さ寸法H ;380mm 肉厚寸法 ; 12mm c)射出成形機:型締力850tの射出成形機(株式会社
日本製鋼所製) スクリュ22の直径D ; 90mm スクリュ溝24A の深さL; 18mm オープンタイプノズル28の口径B; 6mm 圧縮比; 2.1 溶融樹脂の射出温度;220℃(射出シリンダ21内) d) 成形手順:次の〜に示す工程を含んだ手順 溶融樹脂の射出前に、金型10の移動型10Bが位置U
に到達するまで、移動ダイプレート4を前進させ、その
位置で静止させる。ここで、位置Uは、移動型10B が形
成するキャビティの厚さt1が4mmとなるように設定され
ている。 の状態で、予め可塑化および計量が完了している
とともに、厚さt1が4mmとなったキャビティの容積に相
当する量の溶融樹脂を金型10内に射出する。 溶融樹脂の射出完了から5秒間が経過した後、金型
10の移動型10Bが位置Vに到達するまで、移動ダイプレ
ート4を後退させ、その位置で静止させる。この状態
で、溶融樹脂の冷却・固化を行う。ここで、位置Vは、
移動型10B が形成するキャビティの厚さt2が12mmとな
るように設定されている。また、移動型10B の後退速度
Vrは、1.0mm/秒に設定されている。 [実施例2]本実施例2は、前記実施例1における移動
型10B の後退速度Vrを100mm/秒に変更した以外は、
前記実施例と同一の原材料、射出成形機、金型および手
順で、同一の成形品を成形する実験である。
【0037】[比較例1]本比較例1は、前記実施例1
におけるスクリュ溝24A の深さLを8mmに、スクリュ22
の圧縮比を3.1にそれぞれ変更した以外は、前記実施
例と同一の射出成形機、金型および手順で、同一の成形
品を得ようとする実験である。 [比較例2]本比較例2は、前記実施例1における非回
転型逆流防止リング27を、スクリュ22とともに回転する
回転型逆流防止リングに、ノズル28の口径Bを2mmにそ
れぞれ変更した以外は、前記実施例と同一の原材料、射
出成形機、金型および手順で、同一の成形品を得ようと
する実験である。 [比較例3]本比較例3は、前記実施例1における全長
15mmのガラス繊維強化ポリプロピレンペレットを、全
長2mmのペレットに変更した以外は、前記実施例と同一
の射出成形機、金型および手順で、同一の成形品を得よ
うとする実験である。 [比較例4]本比較例4は、前記実施例1における原材
料を、ポリプロピレンおよびガラス繊維がそれぞれ50
重量%ずつで含有され、その全長が10mm のガラス繊
維強化ポリプロピレンペレットと、単なるポリプロピレ
ンペレットとを、それぞれ20重量%および80重量%
の割合でブレンドしたものに変更した以外は、前記実施
例と同一の射出成形機、金型および手順で、同一の成形
品を得ようとする実験である。
【0038】〔実験結果〕以上の実施例1,2および比
較例1〜4の各々で成形した各製品を、次のA)〜D)に示
す評価法で評価する。その結果は、表1に示されてい
る。 A) 原材料の容積に対して各製品が何倍の容積となった
か、すなわち、各製品の膨張倍率を測定し、その膨張倍
率の大きさを評価する。 B) 各製品の中央部を切断し、その切断面を目視により
観察し、各製品の内部における膨張状況を評価する。 C) 各製品の外観および表面の平滑性を目視により観察
し、その外観品質を評価する。 D) 図7に示されるように、各製品30を圧縮試験機33に
設けられた一対の圧縮盤34の間に配置し、破壊されるま
で圧縮し、破壊に至った荷重を測定し、製品の破壊強度
の大きさを評価する。
【0039】
【表1】
【0040】実施例1によれば、溶融樹脂が充分に膨張
し、製品の軽量化が充分達成できるうえ、大きな圧縮力
にも耐えうる強度を備え、かつ、外観品質も優れた製品
を得ることができることが判る。実施例2では、前記実
施例1と同様に、溶融樹脂が充分に膨張し、製品の軽量
化は達成できる。しかし、前記実施例1と異なり、外観
品質の確保はあまり期待できないので、表面の平滑性が
あまり問題とならない製品の製造への利用に限定される
ことが判る。また、破壊強度は、ある程度確保される
が、前記実施例1よりも劣っている。比較例1ないし比
較例3のいずれにおいても、溶融樹脂の膨張が不完全で
あることから、製品の軽量化が不十分となる。また、大
きな圧縮力には耐えられないことから、充分な強度が得
られず、外観品質も不十分となることが判る。比較例4
では、溶融樹脂が膨張しないので、製品の軽量化が全く
望めないことが判る。また、外観品質および破壊強度の
確保は全く望めないことが判る。
【0041】[実施例3]本実施例3は、前記第2実施
形態に基づいた射出成形機1および成形手順を用いて成
形を行う実験である。本実施例3では、以下のような原
材料、金型、射出成形機および射出手順を採用する。 a)原材料:次の〜のうち、およびをドライブレンドした混合物Aに、 を添加した添加混合物B ガラス繊維強化ポリプロピレンペレット(以下GFPPという。) 単なるポリプロピレンペレット(以下、PPという。) 発泡剤が配合されたマスターバッジ(以下、MBという。) ・GFPPの組成: ポリプロピレン ;38重量% マイレン酸変性ポリプロピレン; 2重量% ガラス繊維 ;60重量% ・GFPPの全長 :12mm ・GFPPのガラス繊維の長さ :12mm ・GFPPおよびPPのポリプロピレンのMI:60g/10分(230℃, 2.26kgf) ・混合物AのGFPPおよびPPの 混合比(重量比)=GFPP:PP=1:1 ・混合物Aのガラス繊維含有率:30重量% ・添加混合物Bの ・MB添加量 :混合物Aの100重量部に対し1重量部 ・発泡剤添加量 :混合物Aの100重量部に対し0.3重量部 ・MBの発泡剤含有率:30重量% b)金型:矩形平板状の製品を成形するための金型 成形時における金型温度; 80℃ 製品の寸法:縦寸法;600mm 横寸法;300mm 厚さ寸法; 12mm c)射出成形機:型締力850tの射出成形機(株式会社
日本製鋼所製) スクリュ22の直径D ;100mm スクリュ溝24A の深さL; 15mm オープンタイプノズル28の口径B; 8mm 圧縮比; 1.9 d)成形手順:次の〜に示す工程を含んだ手順 溶融樹脂の射出前に、金型10の移動型10Bが位置X
に配置されるように、移動ダイプレート4を移動させ、
その位置で静止させる。ここで、位置Xは、移動型10B
が形成するキャビティの厚さt3が5mmとなるように設定
されている。 予め可塑化および計量が完了しているとともに、厚
さt4が3mmとなったキャビティの容積に相当する量の溶
融樹脂の金型10内への射出を開始するとともに、移動ダ
イプレート4の前進を開始する。 金型10の移動型10Bが位置Yに到達するまで、移動
ダイプレート4を前進させ、溶融樹脂を圧縮する。な
お、位置Yは、移動型10B が形成するキャビティの厚さ
t5が3mmとなるように設定されている。 金型10の移動型10Bが位置Yに到達したら、直ち
に、移動ダイプレート4を後退させ、金型10の移動型10
Bが位置Zに到達したら、その位置で静止させる。この
状態で、溶融樹脂の冷却・固化を行う。ここで、位置Z
は、移動型10B が形成するキャビティの厚さt5が12mm
となるように設定されている。また、移動型10B の後退
速度Vrは、5.0mm/秒に設定されている。
【0042】[比較例5]本比較例5は、前記実施例3
において成形時に移動させた移動型10B を、成形の開始
から完了まで位置Zに固定して成形を行うように変更し
た以外は、前記実施例3と同一の射出成形機、金型およ
び条件で、同一の成形品を得ようとする実験である。 [比較例6]本比較例6は、前記実施例3における原材
料を、ポリプロピレン、マイレン酸変性ポリプロピレン
およびガラス繊維がそれぞれ58重量%、2重量%およ
び30重量%の割合で含有され、かつ、ガラス繊維の平
均長が0.48mm とされたGFPPペレットのみから
なるものに変更した以外は、前記実施例3と同一の射出
成形機、金型および手順で、同一の成形品を得ようとす
る実験である。
【0043】〔実験結果〕以上の実施例3および比較例
5〜6の各々で成形した各製品を、前述のA)〜C)の評価
法および次のE), F)に示す評価法で評価する。その結果
は、表2に示されている。 E) 上面が平面となった定盤の上に各製品を載せ、一方
の面の一端縁を抑え、他方の面の他端縁を浮き上がら
せ、当該製品の他端縁と定盤上面との距離を測定し、こ
の距離の大きさに基づき、各製品の反り具合を評価す
る。 F) 図8に示されるように、一対の固定押圧部35の間に
進入する一個の移動押圧部36で被試験物を折り曲げる試
験機37で、各製品38を破壊されるまで折り曲げ、破壊に
至った荷重を測定し、製品の破壊強度の大きさを評価す
る。なお、折り曲げ試験機37に設けられた一対の固定押
圧部35の間隔Lは、300mmとなっている。
【0044】
【表2】
【0045】実施例3によれば、溶融樹脂が充分に膨張
し、製品の軽量化が充分達成できるうえ、折れ曲げ強度
に優れ、かつ、全体の反りがほとんどなく、表面に凹凸
等が全くない、外観品質に優れた製品を得ることができ
ることが判る。比較例5では、溶融樹脂がキャビティ全
体に行き渡らない、いわゆるショートショットとなり、
製品といえるものを得ることはできなかった。なお、こ
の比較例5では、樹脂の膨張は認められるが、表面状態
は劣悪で、外観品質は全く期待できない。比較例6で
は、溶融樹脂が膨張しないので、製品の軽量化が全く望
めないことが判る。また、外観品質および破壊強度の確
保は全く望めないことが判る。
【0046】以上、本発明について好適な実施形態およ
び実施例を挙げて説明したが、本発明は、これらの実施
形態および実施例に限られるものではなく、本発明の要
旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変
更が可能である。例えば、前記第2実施形態では、移動
型10B が位置Yに到達したときの金型10のキャビティの
容積を、各成形品を成形するのに必要な溶融樹脂の量に
相当する容積としたが、位置Yにおけるキャビティの容
積は、射出直後に溶融樹脂の膨張が始まっている場合も
あることから、必要溶融樹脂量よりも大きくてもよい。
要するに、溶融樹脂を圧縮して成形品の表面にスキン層
が形成できればよい。また、射出成形機のノズルは、オ
ープンタイプのものに限らず、シャットオフタイプのも
のでもよい。
【0047】さらに、樹脂ペレットの主剤となる熱可塑
性樹脂としては、ポリプロピレンに限らず、プロピレン
−エチレンブロック共重合体、ポリエチレン等のポレオ
レフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、ポ
リ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル
系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、ポリ芳香族エーテルまたはチオエーテル系樹脂、ポ
リ芳香族エステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびア
クリレート系樹脂でもよく、ガラス繊維強化成形品が形
成できる熱可塑性樹脂であれば、具体的な組成は適宜選
択できる。
【0048】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、強度、剛
性および耐熱性等の機械的特性や外観品質を損なうこと
なく、さらに軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る射出成形機の全体
を示した側面図である。
【図2】前記実施形態の射出シリンダを示す拡大断面図
である。
【図3】前記実施形態の射出シリンダの要部を示す拡大
断面図である。
【図4】前記実施形態の成形手順を説明するための図で
ある。
【図5】本発明の第2実施形態の成形手順を説明するた
めの図である。
【図6】本発明の実施例1で成形する製品を示す斜視図
である。
【図7】本発明の実施例1における評価方法を説明する
ための図である。
【図8】本発明の実施例3における評価方法を説明する
ための図である。
【符号の説明】
1 射出成形機 3 固定ダイプレート 4 移動ダイプレート 10 金型 10A 固定型 10B 移動型 21 射出シリンダ 22 スクリュ 23 ホッパ 24A スクリュ溝 L ホッパの直下におけるスクリュ溝の深さ 25 スクリューヘッド 27 非回転型逆流防止リング 28 ノズル 29 流路としての隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 105:12 309:08 (72)発明者 小出 正道 埼玉県入間市宮寺字宮の台4102−142 株 式会社日本製鋼所内 (72)発明者 寺岡 淳男 埼玉県入間市宮寺字宮の台4102−142 株 式会社日本製鋼所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】全長が5〜100mmの範囲にされるととも
    に、前記全長と等しい長さの補強用ガラス繊維が、互い
    に平行に配列された状態となって、全体の20〜80重
    量%含有された熱可塑性樹脂ペレットを含んだ原材料を
    採用し、 ホッパから射出シリンダ内に供給された樹脂ペレットの
    可塑化、混練および射出を行うために、直径Dが50mm
    以上とされ、前記ホッパの直下におけるスクリュ溝の深
    さLがL>0.1×Dとされ、圧縮比が2.5以下とな
    るように設定されたスクリュと、 このスクリュの先端近傍の所定範囲を当該スクリュの長
    手方向に沿って前後に移動可能とされる非回転型逆流防
    止リングと、 オープンタイプおよびシャットオフタイプのいずれか一
    方にされるとともに、前記射出シリンダの先端に設けら
    れた口径4mm以上のノズルと、 金型の固定型が取付けられた固定ダイプレートと、 前記金型の移動型が取付けられ、前記固定ダイプレート
    に対して移動可能とされた移動ダイプレートと、 を備えた射出成形機で前記原材料を溶融した溶融樹脂を
    前記金型内に射出して繊維強化樹脂を射出成形するガラ
    ス繊維強化熱可塑性樹脂の成形方法であって、 前記溶融樹脂の射出後に、前記移動ダイプレートを前記
    固定プレートから後退させ、前記金型のキャビティを成
    形品に応じた容積に拡張することを特徴とするガラス繊
    維強化熱可塑性樹脂の成形方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のガラス繊維強化熱可塑性
    樹脂の成形方法において、前記溶融樹脂を射出し、前記
    金型のキャビティが溶融樹脂で充満した後、前記金型の
    キャビティを成形品に応じた容積に拡張することを特徴
    とするガラス繊維強化熱可塑性樹脂の成形方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のガラス繊維強化熱可塑性
    樹脂の成形方法において、前記金型のキャビティ内への
    前記溶融樹脂の射出を開始してから、前記移動ダイプレ
    ートを前進させ、前記キャビティ内の前記溶融樹脂を圧
    縮した後、前記金型のキャビティを成形品に応じた容積
    に拡張することを特徴とするガラス繊維強化熱可塑性樹
    脂の成形方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれかに記載
    のガラス繊維強化熱可塑性樹脂の成形方法において、前
    記キャビティの成形品に応じた容積は、当該成形品を成
    形するために必要な量の原材料容積の1.3〜6.0倍
    に設定されていることを特徴とするガラス繊維強化熱可
    塑性樹脂の成形方法。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれかに記載
    のガラス繊維強化熱可塑性樹脂の成形方法において、前
    記樹脂ペレットの主原料となる熱可塑性樹脂がポリプロ
    ピレン系樹脂であることを特徴とするガラス繊維強化熱
    可塑性樹脂の成形方法。
  6. 【請求項6】請求項1ないし請求項5のいずれかに記載
    のガラス繊維強化熱可塑性樹脂の成形方法において、前
    記原材料には、当該原材料100重量部に対して0.0
    1〜3重量部の発泡剤を混入させることを特徴とするガ
    ラス繊維強化熱可塑性樹脂の成形方法。
  7. 【請求項7】請求項1ないし請求項6のいずれかに記載
    のガラス繊維強化熱可塑性樹脂の成形方法において、前
    記金型は、固定金型部と、この固定金型部に対して進退
    可能とされた移動金型部とを含んで構成され、前記溶融
    樹脂を膨張させるために、前記金型のキャビティを成形
    品に応じた容積に拡張するにあたり、前記移動金型部が
    0.05〜100mm/秒の速度で後退されることを特徴
    とするガラス繊維強化熱可塑性樹脂の成形方法。
  8. 【請求項8】請求項1に記載のガラス繊維強化熱可塑性
    樹脂の成形方法により成形したことを特徴とするガラス
    繊維強化熱可塑性樹脂の成形品。
  9. 【請求項9】請求項8に記載のガラス繊維強化熱可塑性
    樹脂の成形品において、原材料を1.3〜6.0倍の容
    積に膨張させたことを特徴とするガラス繊維強化熱可塑
    性樹脂の成形品。
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