JPH11179749A - 繊維強化樹脂成形品およびその製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂成形品およびその製造方法

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JPH11179749A
JPH11179749A JP9348382A JP34838297A JPH11179749A JP H11179749 A JPH11179749 A JP H11179749A JP 9348382 A JP9348382 A JP 9348382A JP 34838297 A JP34838297 A JP 34838297A JP H11179749 A JPH11179749 A JP H11179749A
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JP
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fiber
molded product
mold
resin
cavity
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Toru Shima
徹 嶋
Manabu Nomura
学 野村
Atsushi Sato
佐藤  淳
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/1703Introducing an auxiliary fluid into the mould
    • B29C45/1704Introducing an auxiliary fluid into the mould the fluid being introduced into the interior of the injected material which is still in a molten state, e.g. for producing hollow articles
    • B29C45/1705Introducing an auxiliary fluid into the mould the fluid being introduced into the interior of the injected material which is still in a molten state, e.g. for producing hollow articles using movable mould parts
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
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    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/1703Introducing an auxiliary fluid into the mould
    • B29C45/1704Introducing an auxiliary fluid into the mould the fluid being introduced into the interior of the injected material which is still in a molten state, e.g. for producing hollow articles
    • B29C2045/1723Introducing an auxiliary fluid into the mould the fluid being introduced into the interior of the injected material which is still in a molten state, e.g. for producing hollow articles using fibre reinforcements

Abstract

(57)【要約】 【課題】面容積の大きい繊維強化樹脂成形品の、均一性
を高め、局部的な応力、捩じれに対しても十分耐えるこ
とができる樹脂成形品およびその効率的な製造方法を提
供する。 【解決手段】内部が高空隙率である繊維強化樹脂成形品
の両表面スキン層を実質空隙の無いリブ構造で結合す
る。固定型1、移動型2および移動型の内部を進退可能
で、キャビティに対して連通するスリット4を設けた可
動型3で形成された金型キャビティ(クリアランス:D
1)に繊維含有溶融樹脂を射出または射出後圧縮して充
填した後、スリット部の樹脂の冷却を待って、可動型3
を後退して、最終成形品の容積(D2)になるような位
置まで膨張させる。また、可動型3の後退開始後に繊維
含有溶融樹脂にガスを注入することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化樹脂成形
品およびその製造方法に関し、詳しくは、軽量化されて
いながら、特に剛性、曲げ強度、衝撃強度、強度の均一
性、および局部的な応力や捩じれに対する抵抗性にすぐ
れた繊維強化樹脂成形品およびその効率的な製造方法に
関する。
【0002】
【背景技術】従来より、ガラス繊維等の繊維を含有させ
ることで強化された繊維強化樹脂成形品が知られてい
る。この繊維強化樹脂成形品は、引張強度、曲げ強度な
どの機械的特性や耐熱性にすぐれているので、インパネ
コア、バンパービーム、ドアステップ、ルーフ・ラッ
ク、リア・クォターパネル、エアクリーナ・ケース等の
自動車部品、および、外壁用パネル、間仕切壁用パネ
ル、ケーブル・トラフ等の建築・土木用部材等として広
く利用されている。このような繊維強化樹脂成形品を製
造するにあたり、金型キャビティに繊維を含んだ溶融樹
脂を射出する射出成形方法を利用することができる。こ
の射出成形方法によれば、複雑な形状のものでも成形で
きるうえ、所定の成形サイクルを連続して繰り返すこと
が可能なため、同一形状のものを大量生産することがで
きるというメリットがある。
【0003】射出成形で成形された繊維強化樹脂成形品
は、強度や剛性を向上させるために、繊維量を増やす
と、成形品の重量が増大するとともに、反り変形が大き
くなる傾向にある。このため、重量軽減のために、原料
樹脂に発泡剤を混入させ、成形品となる樹脂を発泡させ
ながら成形を行う発泡射出成形方法が提案されている
(特開平7−247679号公報等)。この発泡射出成
形方法では、軽量化を達成するために、かなりの量の発
泡剤を用いても、十分な発泡倍率を得ることは容易でな
い。しかも、充分な発泡倍率が得られたとしても、成形
品の外観が発泡により損なわれるうえ、補強用繊維を含
有しているにもかかわらず、内部に大きな中空部が形成
されやすく、均一性に劣り、強度、剛性、耐衝撃性等の
機械的特性が十分確保できない場合がある。
【0004】これらの問題点を解消するものとして、強
度、剛性、耐衝撃性等の機械的特性や外観品質を維持し
つつ、軽量化を図るために、(1)比較的長い繊維を含
有した繊維強化樹脂ペレットを用い、繊維によるスプリ
ングバック現象を発生させて、成形中の樹脂を膨張さ
せ、軽量成形品を得る膨張成形方法、(2)前記(1)
における繊維強化ペレットに発泡剤を混入させ、この発
泡剤により樹脂の膨張を補完させ、さらに成形品の軽量
化を図る膨張成形方法が提案されている(国際公開 W
O97/29896号公報)。これらの方法によれば、
機械的特性を損なわずに、成形品の軽量化を充分達成で
きるので、繊維強化樹脂成形品の軽量化を図るのに有効
であるといえる。
【0005】また、(3)スリットを有する可動コアを
備えた金型キャビティに化学発泡剤を添加した溶融樹脂
を射出又は射出圧縮して充填した後、金型に接する部分
の樹脂表面を発泡しない状態で冷却固化させ、ついで可
動コアを移動させてキャビティ容積を拡大しキャビティ
容積拡大部分の溶融樹脂を発泡させて、リブ構造を有す
る発泡樹脂成形品の製造方法が提案されている(特開平
9−104043号公報)。しかしながら、この発泡剤
を用いる製造方法では射出時に発泡剤による発泡を抑え
ることが困難であり、特に射出圧縮の場合は射出時に樹
脂圧が低下し発泡がより起こり、成形品表面にシルバー
マークなど不都合が起こる。また、発泡倍率が高くなる
と、実施例からも明らかなように発泡部に大きな中空部
が発生するため均一性にすぐれた成形品が得られない場
合がある。また、軽量化は達成されるものの、強度的に
十分なものでもない。さらに、発泡体は独立気泡とな
り、成形品の冷却に時間がかかり成形サイクルが長く、
生産性に問題を残している。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】しかしながら、上記
(1)、(2)に示した成形方法で得られた成形品も軽
量化(膨張)の程度、成形品の形状によっては、たとえ
ば面容積が大きい場合には、曲げ強度、剛性が不十分で
あったり、局所的な応力に対する耐性がいまだ十分でな
いなど、強度の均一性や捩じれに対する抵抗性が低い場
合があり、解決が望まれている。また上記(3)に示し
た製造方法は、強度、均一性、生産性などの点で問題が
あることは、前記した通りである。本発明の目的は、成
形品の面容積が大きい場合であっても、曲げ強度、剛
性、衝撃強度、耐熱性等にすぐれ、しかも局部的な応力
や捩じれに対しても十分に耐えることのできる、均一性
にすぐれた繊維強化樹脂成形品およびその効率的な製造
方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な状況下において、分散した空隙を有する繊維強化樹脂
成形品の全体的な構造と物性について鋭意研究を重ねた
結果、成形品の構造として、空隙が全体的に均一に分散
するのではなく、両スキン層間にリブを形成することが
成形品の物性向上に寄与することを見出した。従来の樹
脂成形品において、周辺部は未膨張または低膨張部分を
形成することができるが、他の一般部分は、平面構造に
あっては均一に近い膨張が起こる。本発明者らは、この
均一膨張部分の構造を変え、スキン層間の厚み方向に実
質的に空隙がないか、または低空隙率である一種のリブ
構造を有する成形品とすることにより、諸物性が向上す
ること、また、そのような成形品が、可動型のキャビテ
ィ側にスリットを設けることで製造できることを見出
し、本発明を完成したものである。
【0008】すなわち、本発明は、 (1)キャビティに連通するスリットを有する可動型を
含む金型で形成されるキャビティに繊維含有溶融樹脂を
射出または射出圧縮して充填し、次いで金型キャビティ
の容積が拡大する方向に可動型を後退させることを特徴
とするリブ構造を有する繊維強化樹脂成形品の製造方
法。 (2)キャビティを形成する金型が固定型、移動型およ
び移動型内をキャビティに対して進退可能な可動型から
なる上記(1)記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。 (3)可動型の後退開始後にキャビティ内の前記繊維含
有溶融樹脂の内部にガスを注入する上記(1)または
(2)記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。 (4)あらかじめ表皮材を装着したキャビティに繊維含
有溶融樹脂を射出または射出圧縮する上記(1)〜
(3)のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形品の製造方
法。 (5)繊維含有溶融樹脂が、2〜100mmであり、こ
の全長と等しい長さを有し、互いに平行に配列された状
態にある繊維を20〜80重量%含有する繊維含有樹脂
ペレットまたは前記ペレットと他の樹脂ペレットとの混
合物で前記繊維が全体の10〜70重量%とされたもの
を可塑化、溶融したものである上記(1)〜(4)のい
ずれかに記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法、および (6)スキン層、実質的に連続する空隙を有する繊維含
有疎領域および実質的に連続する空隙を有さない繊維含
有緻密領域を有し、該緻密領域がスキン層間を連結する
リブ構造を形成することを特徴とする繊維強化樹脂成形
品。 (7)繊維含有疎領域の空隙率が50〜90%で、繊維
含有緻密領域の空隙率が0〜30%である上記(6)記
載の繊維強化樹脂成形品。 (8)繊維がガラス繊維であり、繊維含有率が成形品の
10〜70重量%で、平均繊維長が1〜20mmである
上記(6)または(7)記載の繊維強化樹脂成形品。 (9)一体化された表皮材を有する上記(6)〜(8)
のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形品を提供するもの
である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明では、空隙が分散した繊維強化軽量樹脂成
形品を製造するためには、繊維含有溶融樹脂(熱可塑性
樹脂)を金型キャビティに射出または射出後圧縮して充
填し、次いで金型キャビティ容積を最終成形品の容積に
拡大する。すると溶融樹脂は含有繊維の絡み合いによる
スプリングバック現象により拡大された容積に膨張し、
冷却後型を開放することにより、分散した空隙を有する
軽量化された繊維強化樹脂成形品が得られる。本発明で
は、この際に、金型キャビティに連通するスリットを有
する可動型を含む金型を用いる。すなわち、このスリッ
トを有する金型キャビティに対して、繊維含有溶融樹脂
を射出または射出した後圧縮して充填する。充填された
樹脂はこのスリット部分において冷却が優先して流動性
が低下もしくは流動しなくなる。ついで、可動型を最終
成形品の容積となる位置まで後退すると、含有繊維の絡
み合いによって発生するスプリングバック現象により膨
張し、冷却後に空隙を有する軽量化された繊維強化樹脂
成形品が得られる。
【0010】この際、可動型のスリット部分の樹脂は既
に冷却、賦形が進行しており、可動型の後退時に可動型
から離型しキャビティ内に止まる。したがって、このス
リット部分の樹脂は実質的に膨張が起こらず、起こった
としても軽微であり、空隙が連続するような膨張は通常
起こらず、その結果緻密領域を形成する。このスリット
部分の樹脂は両スキン層を結合するリブ構造をとること
になり、軽量化にも関わらず、面容積の大きい成形品に
おいても強度、剛性、強度の均一性、捩じれに対する抵
抗性が向上する。
【0011】ここにおいて、可動型(中子)を金型キャ
ビティ全面(平面構造)と等しいもので行ったのでは、
ほぼ均一の膨張倍率の繊維強化樹脂成形品が得られ、ま
た、金型キャビティの側面との間に隙間を設けた可動型
(中子)を用いた場合には、成形品の外周部分は非膨張
ないし低膨張倍率となるが、樹脂成形品の非外周部分、
すなわち他の一般部分は均一な高膨張倍率となる。この
場合、金型キャビティの表面部分は冷却され非膨張のス
キン層が形成され、軽量化にもかかわらず、高い強度と
剛性をもつ樹脂成形品となる。しかし、この成形品が厚
み方向のスキン層/膨張層/スキン層からなる三層構造
のみでは、面容積が大きい場合には剛性的に不足し、局
部的な応力や捩じれに対する抵抗力が不十分となる。
【0012】本発明ではこれらの問題点を解消するため
に、両表面のスキン層をリブ構造となる実質的に空隙率
が少ない緻密な樹脂の領域で部分的に結合しようとする
ものである。これを達成するために、本発明製造方法で
は、金型キャビティに対して進退可能となった可動型
に、キャビティに連通するスリットを形成した可動型を
含む金型で形成されたキャビティに、繊維含有溶融樹脂
を射出または射出後に圧縮して充填し、スリット部の樹
脂を冷却後キャビティ内に保持したままで、金型のキャ
ビティの容積を最終成形品の容積まで拡大する方向に可
動型を後退させ、膨張させるものである。
【0013】樹脂を射出、または射出後に圧縮して充填
するときの金型キャビティの容積は最終成形品の厚みと
軽量化(膨張倍率)を考慮して、最終成形品の容積より
も縮小された容積となるように設定される。この初期の
金型キャビティは、固定型とキャビティに連通するスリ
ットを有する可動型で形成することができる。しかし、
さらに移動型からなり、この可動型が移動型内を前進、
後退するように構成された金型構造をとることが好まし
い。
【0014】可動型(中子)の形状は、成形品の大き
さ、要求特性などにより適宜決定される。また、可動型
に設けられるスリットの位置、形状、大きさ、数、分布
等は任意であり、成形品の形状、厚み、面容積、軽量化
の程度、使用場所、要求性能などを考慮して適宜決定さ
れる。典型的には、位置としては、少なくとも成形品の
中央部付近にひとつ形成し、形状としては、幅が1〜1
0mm程度で、長さが10mm以上の溝状である。ま
た、方向としては、縦、横または斜めに、連続、または
断続の形態に形成することが好ましい。また、スリット
の厚み方向の深さは成形品の厚みに対して、ほぼ同程度
とされるが、少し長めにすることが好ましい場合があ
る。金型の冷却としては、特に、可動型のスリット部分
が優先的に冷却できるようにすることが好ましい。な
お、初期のキャビティの厚みにもよるが、可動型のスリ
ットに対応する固定型にもある程度の凹部を形成するこ
とにより、スリット入り口の冷却を促進したり、リブ構
造としての効果をより高めることができる。
【0015】金型構造としては、固定型、移動型および
可動型で構成することが、成形の自由度、成形品の取り
出しなどの点で好ましい。すなわち、移動型とこの移動
型内を進退可能に設けられたスリットを有する可動型と
固定型により金型キャビティを形成する。この場合のキ
ャビティとしてはスリットを除いた部分のキャビティを
略平板状とすることもできるが、移動型と可動型との間
に隙間を設け、この隙間が溶融樹脂の射出時の金型キャ
ビティの一部を形成するようにすることができる。これ
により、外周部のキャビティ面が溶融樹脂の射出または
射出圧縮時の樹脂の充填時に最終成形品の外周部を賦形
することになり、後の可動型の後退時の影響を受けなく
なるとともに、外周部にも緻密領域が明瞭に形成される
こととなる。
【0016】また、可動型の後退による金型キャビティ
の拡大開始時点から終了時、または終了後に窒素などの
ガスをキャビティ内の繊維含有溶融樹脂に注入すること
もできる。これにより、繊維含有樹脂の膨張を助けると
ともに、溶融樹脂を金型成形面に向かって押圧すること
になり、樹脂が金型面に密着した状態で冷却されるの
で、スリット部の緻密領域と膨張部分である疎領域の樹
脂との接着性の向上、成形品の表面にヒケが生じないな
どの効果が期待できる。また、このガスを金型内の樹脂
の空隙部に流通させれば成形品の冷却が促進され成形サ
イクルが短縮する。この際に、揮発性の水などの液体を
同伴させると冷却効果をより向上することもできる。
【0017】本発明では、このような繊維強化樹脂成形
品の製造方法において、金型に表皮材を予め装着するこ
とにより、表皮材が一体化した繊維強化樹脂成形品とす
ることもできる。表皮材を一体化する場合には、一般的
に表皮材は固定型側に装着され、全面表皮材の成形品の
場合には、樹脂の射出をサイドゲートから行う。さら
に、本発明の製造方法において、繊維含有溶融樹脂が、
2〜100mmであり、この全長と等しい長さを有し、
互いに平行に配列された状態にある繊維を20〜80重
量%含有する繊維含有樹脂ペレットまたは前記樹脂ペレ
ットと他の樹脂ペレットとの混合物で前記繊維が全体の
10〜70重量%とされた原料樹脂を可塑化、溶融した
ものであることが好ましい。この原料選択によって、ス
プリングバック現象がより良く発現する。すなわち、成
形時に可塑化溶融樹脂中のガラス繊維が長く保たれると
ともに、分散性が良好になる。この原料樹脂には必要に
より、膨張を補完するために少量(3重量%以下)の発
泡剤を添加することもできる。
【0018】本発明の繊維強化樹脂成形品は、含有する
空隙により軽量化されており、その程度は、含有する繊
維の種類や含有量、目的とする成形品の要求特性によっ
ても異なるが、平均空隙率が、約30〜90%程度であ
る。空隙率が30%未満では軽量化の効果が小さく、9
0%を越えると表面の平滑性が低下し、表面の緻密なス
キン層が薄くなり、強度的にも弱くなる。なお、成形品
のリブ部を形成する樹脂領域の空隙率は、他の一般部分
である疎領域の空隙率より低いものであり、実質的に連
通しない空隙の空隙率が0〜30%程度である。また、
他の一般部分である疎領域の空隙率は実質的に連通する
空隙の空隙率が50〜90%である。
【0019】また、樹脂成形品中の平均繊維長として
は、たとえばガラス繊維の場合では1〜20mm、好ま
しくは2〜15mmである。ここで1mm未満では、繊
維の絡み合いが不十分となり、膨張性が不足するととも
に、強度、剛性、耐衝撃性の点でも好ましくない。ま
た、20mmを越えると分散性が十分でないとともに、
溶融時の流動性が不十分となり、成形品の薄肉部である
スリットや末端部に樹脂が流れにくくなり、成形不良が
発生する場合がある。さらに、ガラス繊維の場合の繊維
含有量としては、通常10〜70重量%、好ましくは1
5〜60重量%である。10重量%未満では、膨張性、
強度、剛性、耐熱性が十分でなく、70重量%を越える
と溶融時の流動性が低下し、膨張性、成形性が低下する
場合がある。上記において、空隙率(%)とは、〔(成
形品の容積−空隙を有さない場合の容積)/成形品の容
積〕×100を示す。なお、成形品としては、成形品の
部分を含む場合もある。
【0020】本発明に用いられる熱可塑性樹脂として
は、特に、制限はないが、例えば、ポリプロピレン、プ
ロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エ
チレンランダム共重合体、ポリエチレン等のポリオレフ
ィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩
化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
ポリ芳香族エーテルまたはチオエーテル系樹脂、ポリ芳
香族エステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびアクリ
レート系樹脂等が採用できる。ここで、上記熱可塑性樹
脂は、単独で用いることがもできるが、二種類以上を組
み合わせて用いてもよい。このような熱可塑性樹脂のう
ち、ポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの
ブロック共重合体、ランダム共重合体、あるいは、これ
らの混合物などのポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が
好ましく、特に、不飽和カルボン酸、または、その誘導
体で変性された酸変性ポリオレフィン系樹脂を含有する
ポリプロピレン系樹脂が好適である。
【0021】また、繊維としては、セラミック繊維:ボ
ロン繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チッ化ケイ
素繊維、ジルコニア繊維、無機繊維:ガラス繊維、炭素
繊維、金属繊維:銅繊維、黄銅繊維、鋼繊維、ステンレ
ス繊維、アルミニウム繊維、アルミニウム合金繊維、有
機繊維:ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアリ
レート繊維などを例示できる。これらのなかでもガラス
繊維が好ましく用いられる。
【0022】さらに、繊維含有熱可塑性樹脂の原料とし
ては、2〜100mmの範囲の全長を有するとともに、
この全長と等しい長さの繊維が互いに平行に配列された
状態となって全体の20〜80重量%含有された前記繊
維含有熱可塑性樹脂ペレットまたは他のペレットとの混
合物で前記繊維が全体の10〜70重量%とされたもの
であることが好ましい。繊維が互いに平行に配列された
状態となって全体の20〜80重量%含有されたペレッ
トを用いれば、射出装置のスクリューで可塑化・混練を
行っても、繊維の破断が起こりにくく、また分散性も良
好となる。これにより、キャビティ中の溶融樹脂のスプ
リングバック現象が良好となるとともに、最終成形品中
で残存する繊維長が長くなり、物性の向上、表面外観が
向上する。なお、射出成形機の可塑化スクリューとして
は、圧縮比の比較的低いタイプの使用が、繊維の破断を
抑制する点で好ましい。
【0023】ここで、ガラス繊維としては、E−ガラ
ス、S−ガラスなどのガラス繊維であって、その平均繊
維径が25μm以下のもの、好ましくは3〜20μmの
範囲のものが好ましく採用できる。ガラス繊維の径が3
μm未満であると、ペレット製造時にガラス繊維が樹脂
になじまず、樹脂の含浸が困難となる一方、20μmを
超えると、溶融混練時に切断、欠損が起こりやすくな
る。これらの熱可塑性樹脂およびガラス繊維を用い、引
き抜き成形法等でペレットを製造するにあたり、ガラス
繊維は、カップリング剤で表面処理した後、収束剤によ
り、100〜10000本、好ましくは、150〜50
00本の範囲で束ねておくことが望ましい。
【0024】カップリング剤としては、いわゆるシラン
系カップリング剤、チタン系カップリング剤として従来
からあるものの中から適宜選択することができる。例え
ば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメ
トキシシラン等のアミノシランやエポキシシランが採用
できる。特に、前記アミノ系シラン化合物を採用するの
が好ましい。
【0025】収束剤としては、例えば、ウレタン系、オ
レフィン系、アクリル系、ブタジエン系およびエポキシ
系等が採用でき、これらのうち、ウレタン系およびオレ
フィ系が採用できる。これらのうち、ウレタン系収束剤
は、通常、ジイソシアネート化合物と多価アルコールと
の重付加反応により得られるポリイソシアネート50重
量%以上の割合に含有するものであれば、油変性型、湿
気硬化型およびブロック型等の一液タイプ、および、触
媒硬化型およびポリオール硬化型等の二液タイプのいず
れもが採用できる。一方、オレフィン系収束剤として
は、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変
性ポリオレフィン系樹脂が採用できる。
【0026】上述のような収束剤で収束したガラス繊維
に熱可塑性樹脂を付着・含浸させることにより、ガラス
繊維を含有する樹脂ペレットが製造される。ガラス繊維
に熱可塑性樹脂を付着・含浸させる方法としては、例え
ば、溶融樹脂の中に繊維束を通し、繊維に樹脂を含浸さ
せる方法、コーティング用ダイに繊維束を通して含浸さ
せる方法、あるいは、ダイで繊維の周りに付着した溶融
樹脂を押し広げて繊維束に含浸させる方法等が採用でき
る。ここで、繊維束と樹脂とをよくなじませる、すなわ
ち濡れ性を向上するために、内周に凹凸部が設けられた
ダイの内部に、張力が加えられた繊維束を通して引き抜
くことで、溶融樹脂を繊維束に含浸させた後、さらに、
この繊維束を加圧ローラでプレスする工程が組み込まれ
た引抜成形法も採用できる。なお、ガラス繊維と溶融樹
脂とが互いによくなじむ、濡れ性のよいものであれば、
溶融樹脂がガラス繊維に容易に含浸され、ペレットの製
造が容易となるので、前述の収束剤で繊維を収束する工
程は、省略できる場合がある。ここで、互いによくなじ
ませる方法としては、樹脂に極性を付与したり、ガラス
繊維の表面にカップリング剤と反応する官能基をグラフ
トしたりする方法が有効である。
【0027】以上のような方法で、樹脂が含浸された長
尺繊維束(ストランド等)を、繊維の長手方向に沿って
切断すれば、ペレットの全長と同じ長さの長繊維を含ん
だ樹脂ペレットを得ることができる。この際、樹脂ペレ
ットとしては、繊維束がストランドにされ、その断面形
状が略円形となった樹脂含有長尺繊維束を切断したもの
に限らず、繊維を平たく配列することにより、シート
状、テープ状またはバンド状になった樹脂含有長尺繊維
束を所定の長さに切断したものでもよい。
【0028】また、前記原料には、3重量%以下の発泡
剤を含ませることができる。発泡剤を含有させれば、ス
プリングバック現象における繊維の絡み合いの復元力
(膨張)が不足する場合においても、発泡剤の発泡力が
繊維の復元力を補完するので、可動型が後退するのに応
じて、成形品に応じた容積にまで繊維含有溶融樹脂が確
実に膨張するようになる。なお、発泡剤の含有量が3重
量%を超えると、シルバーマークが生じる場合があり、
外観品質上の不具合が生じるおそれがあるうえ、成形品
の内部に大きな中空部が発生し、強度や剛性が著しく低
下する場合がある。こうした理由で、発泡剤の添加は、
スプリングバック現象の補完のためであることから、そ
の含有量は、必要最低限に留めるのが好ましい。具体的
には、0.01〜3重量%の発泡剤を含ませることが好
ましい。ここで、発泡剤の種類は、熱により分解してガ
スを発生するものであれば、限定されない。例えば、シ
ュウ酸誘導体、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカ
ルバジド、アジド化合物、ニトロソ化合物、トリアゾー
ル、尿素およびその関連化合物、亜硝酸塩、水素化物、
炭酸塩ならびに重炭酸塩等が採用できる。さらに具体的
に例示すれば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ベ
ンゼンスルホヒドラジド、N,N−ジニトロペンタメチ
レンテトラミン、テレフタルアジド等が採用できる。ま
た、必要により、安定剤、帯電防止剤、耐候剤、着色
剤、短繊維、タルク等の充填剤を加えることもできる。
【0029】次に、キャビティ内の繊維含有溶融樹脂に
注入する前記ガスとしては、温度が15℃以下、好まし
くは、0℃以下の冷却用ガスを採用するのが好ましい。
さらに、前記ガスは、前記繊維含有溶融樹脂を可塑化し
て射出する射出装置のノズルの内部に設けられたガスノ
ズル、または、前記金型の内部に設けられたスプル、ラ
ンナーおよびキャビティのいずれかに開口されるガスピ
ンから、溶融樹脂の内部へ注入することができる。これ
らのなかでも、金型に設けられたガスピン、特に、キャ
ビティに開口されたガスピンから注入するのが好まし
い。
【0030】また、前記ガスの圧力としては、0.01
〜20MPaの範囲、特に、0.05〜2MPaの範囲
に設定されていることが好ましい。すなわち、注入する
ガスの圧力値は、成形品の大きさ、形状および膨張倍
率、ならびに、溶融樹脂の流動性、粘度および含有繊維
量、さらには、金型の形状等に応じて設定するものであ
る。一般的には、ガスの圧力をより低圧にすれば、溶融
樹脂内部に大きな中空部が発生する可能性が小さくな
り、強度確保がより確実となるうえ、溶融樹脂の表面と
金型の成形面との間へガスが漏洩しにくくなり、シルバ
ーマーク等の不具合発生の可能性がより小さくなる。
【0031】この比較的低圧でのガス注入が可能な理由
は、繊維のスプリングバック現象を利用するため、相互
に連続する多数の空隙が成形品の内部に確保されるため
である。一方、従来の短繊維での発泡剤による軽量化で
は、独立気泡しか形成することができないため、低圧ガ
スの注入は困難で、ガス注入には高圧のガスが必要で、
注入ガスにより大きな中空部が形成されてしまう。すな
わち大中空部によるか、連続均一分散によるかで、軽量
化の形態が全く異なる。なお、ガスの圧力が20MPa
を越えてしまうと、溶融樹脂の表面と金型成形面との間
にガスが漏れたり、大きな中空部が生じたりする場合が
多く、シルバーマーク等の外観上の不具合や、大きな中
空部による強度低下等の機能上の不具合が発生する可能
性が著しく高くなるが、本発明でのガス注入は、膨張の
補完であり、かかる高い圧力を必要としない。また、成
形品の冷却行程において、ガスを流通排出させて溶融樹
脂を短時間で冷却することが生産性を向上させる立場か
ら好ましい。
【0032】さらに、前記金型には、成形品の表面を被
覆一体化するための表皮材を、成形前に予め装着させる
ことができる。このように、予め成形前に表皮材が装着
された金型を用いれば、表面が表皮材で被覆された繊維
強化軽量樹脂積層成形品が得られるようになる。ここ
で、表皮材としては、特に限定されるものではなく、た
とえば織布や不織布等の布、熱可塑性樹脂シート、フイ
ルム、熱可塑性樹脂の発泡シート、および、模様等が印
刷されたフィルム等の単層材、ならびに、熱可塑性エラ
ストマーや塩化ビニル樹脂等の表皮材に、熱可塑性樹脂
や熱可塑性樹脂の発泡体シート等からまる裏地材を裏打
ちした多層材が採用できる。この際、表皮材は成形品に
全面被覆することもできるし、部分被覆することもでき
る。なお、表皮材積層成形品を製造する場合は、表皮材
の特性にもよるが、クッション性表皮、繊維状表皮など
の場合には、一般の射出成形では、射出樹脂圧力により
表皮が損傷しやすいので、キャビティに対して不十分な
量の樹脂を射出した後、可動型を前進して圧縮する射出
圧縮成形方法を採用することが好ましい。
【0033】以下に本発明の実施の各形態を図面に基づ
いて説明する。図1は、本発明の繊維強化樹脂成形品の
製造方法の第1実施態様例を概念的に示す。図1(a)
は、繊維含有溶融樹脂を射出し、射出成形金型のキャビ
ティ容積を拡大する直前の状態を示し、図1(b)は射
出成形金型のキャビティ容積を拡大した後であって、金
型開放前の成形品の賦形完了時の状態を示す。図1
(a)において、1は固定型、2は移動型、3は可動
型、4は可動型に形成されたスリット、5は樹脂流路、
6はキャビティ、7はガス注入口、8はガス排出口であ
る。本発明の繊維強化樹脂成形品の製造にあっては、固
定型1と移動型2を型締めし、可動型3をキャビティ6
の中に突出させて、射出時のキャビティ容積を決定す
る。この場合に可動型の突出位置は成形品の厚み方向に
対して、クリアランスがD1となるようにする。なお、
可動型のスリットの深さは、図1(a)にあっては、最
終成形品の厚みとしてある。このクリアランスD1やス
リットの形状、数、可動型のキャビティ面の形状など
は、最終成形品の形状や軽量化の程度などにより適宜決
定することができる。
【0034】この初期の状態のキャビティに対して、繊
維含有溶融樹脂が図示しない可塑化装置のノズルから樹
脂流路5を介して射出される。射出された溶融樹脂は、
金型との接触部分から冷却が始まり、特にスリット部に
充填された樹脂は早い冷却により賦形される。ついで、
他の大部分の溶融樹脂が完全に冷却、硬化する前に、図
1(b)に示すように、可動型3を後退させ、D2とな
る位置、すなわち、最終成形品となるキャビティ容積に
なるように後退、拡張する。この可動型3の後退によっ
て、溶融状態の繊維含有樹脂は、含まれる繊維の絡み合
いによる、スプリングバック現象により膨張して最終成
形品の形状になり、この膨張力によってスリット賦形部
と金型壁面に押しつけられ賦形される。したがって、ス
リット部の樹脂は実質的には膨張が抑えられ空隙率の低
い実質的に空隙の無い緻密領域、すなわち両スキン層を
結合するリブを形成することになる。冷却後に金型が開
放されて、繊維強化樹脂成形品が取り出される。
【0035】本発明では、キャビティの厚み方向に於い
て、金型外周部以外の例えば中央部に、リブ形成部とな
るスリットを有する金型キャビティに樹脂を射出または
射出圧縮して充填し、外周部以外の一般平面構造部分中
のスリット部の樹脂の冷却を行う。ついで、可動型を後
退させて溶融樹脂を膨張させる。冷却によるスリット部
の溶融樹脂の温度低下、溶融粘度の上昇により、この部
分の樹脂が実質的に膨張できなくなる。これにより、成
形品の高膨張部分である疎領域:H(高空隙率部)、成
形品の外周部の密領域:L(中空隙率部)およびリブ部
の緻密領域:S(低、無空隙部)からなる成形品が得ら
れる。
【0036】本発明では、成形品の軽量化の程度にもよ
るが、その膨張性の高い溶融樹脂のキャビティ内への射
出が必要であり、このためには前記したように、射出樹
脂中の繊維、たとえばガラス繊維の平均繊維長が長いこ
とが望ましい。また、空隙率の高い成形品を得るために
は、その膨張力を補完し、また、金型表面への樹脂の押
しつけ賦形による、ヒケの防止のために、少量の発泡剤
を添加することもできる。また、可動型の後退開始後に
おいて、ガス排出口8を閉じた状態で、ガス注入口7か
ら1Mpa以下の比較的低圧のガスを注入することがで
きる。さらに、ガス排出口の圧力をある圧力に保ちなが
ら排出してガスを流通することで、成形品の冷却を促進
するとともに、表面のヒケ発生の防止ができる。本発明
の繊維強化樹脂成形品は、一般の発泡剤を用いた軽量化
の場合の独立気泡とは異なり、溶融樹脂は含有繊維の絡
み合いの回復により、繊維をもとに連続した空隙が形成
され、成形品の膨張部分の均一化を図りながら、ガスが
注入できるという大きな利点があり、ガスの流通で内部
から冷却でき成形サイクルを大幅に短縮できるという利
点がある。本発明では、高膨張部分、低膨張部分、未膨
張部分を有しながら全体としては、ガスの流通が可能な
空隙で連通していることが、成形時にガスを注入できる
ので好ましい。
【0037】図2は、本発明の繊維強化樹脂成形品の製
造方法の第2実施態様例を概念的に示す。図1と異なる
点は、可動型3の突出時に、移動型2と可動型3との間
に側面隙間9を設け、最終成形品の外周部、スリット4
でもって樹脂射出充填時の金型キャビティを形成するも
のである。この態様においては、次いでなされる溶融樹
脂の射出により、溶融樹脂は最終成形品の主要な外表面
が高い圧力により金型に賦形され、金型の冷却によりあ
る程度冷却固定され、可動型の後退時に悪影響がなく、
図1の場合にくらべて可動型の後退による側面外観が良
好となる。なお、この態様においても第一実施態様と同
様にして成形できるが、図2は可動型3の反対側の固定
型1の表面に予め、表皮材10を装着することによっ
て、表皮材10が一体に結合した積層成形品を成形する
ものである。この例では、表皮材を固定型に設けたの
で、樹脂の射出ゲートをサイドゲートとしてある。成形
法は、表皮材を挿入すること以外は、第1の実施態様と
実質同様であるので、説明は省略する。なお本発明にお
ける、可動型の前進、後退は、たとえば、移動型と移動
型取り付け盤の間に装着された、可動型を前進、後退す
る機能を有する、金型可動装置を用いることにより成形
される。
【0038】
【実施例】次に、本発明の効果を具体的な実施例に基づ
いて説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限
定されるものではない。 実施例1 ガラス繊維が平行に配列し、その含有量が70重量%、
長さが12mmであるガラス繊維強化ポリプロピレンペ
レット(無水マレイン酸変性ポリプロピレンを3重量%
含有)70重量部とメルトインデックス(MI:230
℃、2.16kg荷重)が30g/10分のポリプロピ
レンペレット30重量部をドライブレンドしたものを成
形用原料とした。射出成形機は、型締力:850t、ガ
ラス繊維の破断を少なくするために圧縮比:1.9のス
クリューを用いた。金型として図1(a)に示すよう
に、スリット4(幅:2mm、深さ:7mm)をもつ可
動型3がキャビティ6の内部に突出した(D1:5m
m)とした状態で型締めし、成形原料を可塑化計量して
射出、充填した。充填完了の3秒後に可動型3を、図1
(b)に示すような位置まで後退させて拡張、膨張させ
て、冷却し厚み(D2)が12mmである、600mm
×300mmの板状成形品を得た。成形品を切り出して
成形品の膨張状況を調べたところ、高膨張部分(H)の
空隙率は約58%であったが、スリット部分は実質的に
空隙を有していなかった。また、成形品を灰化後残存繊
維の平均繊維長を測定した結果、7.3mmであった。
スリット部の未膨張部分は両スキン層を結合するリブ構
造となっていた。
【0039】実施例2 実施例1で用いた、成形原料と射出成形機、および図2
に示す金型を用いて類似の成形品の成形を行った。な
お、実施例2では図2に示す、表皮材は用いないで成形
した。スリット4(幅:2mm、深さ:9mm)を可動
型が突出した状態で可動型3と移動型2の間に3mmの
隙間9ができ、キャビティクリアランスが(D1:4m
m)+2mmの状態で3mmに相当する繊維含有溶融樹
脂を射出し、次いで可動型を前進して圧縮し、充填し
た。圧縮完了3秒後に移動型を後退して最終成形品であ
るD2:12mmまで拡張、膨張させた。このとき、可
動型後退開始2秒後に窒素ガスを0.1MPaでガスピ
ンより溶融樹脂に注入した。冷却後型を開放して成形品
を取り出した。成形品を切り出して膨張状況を調べたと
ころ、高膨張部分(H)の空隙率は約75%であった
が、スリット部分は実質的に膨張は見られず、空隙はな
かった。また、成形品外周部も明確な未膨張層が形成さ
れていた。成形品を灰化後残存繊維の平均繊維長を測定
した結果、6.9mmであった。
【0040】実施例3 実施例2で用いた、成形原料と射出成形機、類似の成形
品および図2に示す金型を用いて表皮材を一体化積層し
た成形を行った。可動型が突出した状態で表皮材(10
倍発泡ポリプロピレン/ポリ塩化ピニルレザー:3m
m)を図2(a)に示すように装着し、キャビティクリ
アランス(表皮材を除く)が12mmの状態で、クリア
ランスが3mm(D1)に相当する量の繊維含有溶融樹
脂を射出し、可動型を前進させて圧縮、樹脂を充填し
た。充填2秒後に、図2(b)に示す表皮材を除く厚み
(D2)を12mmになる位置まで可動型を後退させて
拡張、膨張させた。冷却後型を開き、表皮付きの15m
m(表皮部を除く)の板状成形品を得た。成形品を切り
出して成形品の膨張状況を調べたところ、高膨張部分
(H)の空隙率は約75%であり、スリット部分は実質
的に空隙が見られず、外周部も明確な未膨張層が形成さ
れていた。また、表皮材がきれいに一体化し反対面も波
うちのない良好な軽量成形品であった。成形品を灰化後
残存繊維の平均繊維長を測定した結果、8.3mmであ
った。
【0041】比較例1 実施例1において、原料樹脂として、平均繊維長0.4
mmのガラス繊維を40重量%含有する樹脂ペレットを
用いて成形を試みた。膨張は全く見られず成形品は得ら
れなかった。比較例2実施例1において、原料ペレット
100重量部に発泡剤(発泡剤マスターバッチ:永和化
成株式会社製:EV−306G:発泡剤30重量%のマ
スターバッチを20重量部)6重量部ブレンドして成形
を試みた結果板状成形品は得られた。成形品を切り出し
て成形品の膨張状況を調べたところ、高膨張部分(H)
の空隙率は約47%で、スリット相当部の空隙率は約1
5%であった。また表面はガスの走ったシルバーマーク
が全体に見受けられるとともに、冷却不良のために波打
ちを生じていた。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、成形品の面容積が大き
い場合であっても、リブ構造の効果により曲げ強度、剛
性、衝撃性、耐熱性にすぐれ、しかも局部的な応力や捩
じれに対しても十分耐え、均質性にすぐれるとともに、
表面特性にすぐれる繊維強化樹脂成形品が得られる。ま
た、金型構造も比較的単純で、成形品外形を平面構造を
維持し、しかも軽量化の程度を任意に制御できるととも
に、軽量化率の高い成形品にあってもすぐれた表面性を
維持できるとともに、冷却効率の向上、成形サイクルの
短縮により生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態例の概念図であり、
(a)は射出成形金型のキャビティ容積を拡大する直前
の状態であり、(b)は拡大後の状態である。
【図2】本発明の第2実施形態例である表皮一体成形の
概念図であり、(a)は射出成形金型のキャビティ容積
を拡大する直前の状態であり、(b)は拡大後の状態で
ある。
【符号の説明】 1:固定型 2:移動型 3:可動型 4:スリット 5:樹脂流路 6:キャビティ 7:ガス注入口 8:ガス排出口 9:側面隙間 10:表皮材 H:疎領域(高空隙率部) L:密領域(中空隙率部) L:緻密領域(低、無空隙部)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャビティに連通するスリットを有する可
    動型を含む金型で形成されるキャビティに繊維含有溶融
    樹脂を射出または射出圧縮して充填し、次いで金型キャ
    ビティの容積が拡大する方向に可動型を後退させること
    を特徴とするリブ構造を有する繊維強化樹脂成形品の製
    造方法。
  2. 【請求項2】キャビティを形成する金型が固定型、移動
    型および移動型内をキャビティに対して進退可能な可動
    型からなる請求項1記載の繊維強化樹脂成形品の製造方
    法。
  3. 【請求項3】可動型の後退開始後にキャビティ内の前記
    繊維含有溶融樹脂の内部にガスを注入する請求項1また
    は2記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】あらかじめ表皮材を装着したキャビティに
    繊維含有溶融樹脂を射出または射出圧縮する請求項1〜
    3のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】繊維含有溶融樹脂が、2〜100mmであ
    り、この全長と等しい長さを有し、互いに平行に配列さ
    れた状態にある繊維を20〜80重量%含有する繊維含
    有樹脂ペレットまたは前記ペレットと他の樹脂ペレット
    との混合物で前記繊維が全体の10〜70重量%とされ
    たものを可塑化、溶融したものである請求項1〜4のい
    ずれかに記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】スキン層、実質的に連続する空隙を有する
    繊維含有疎領域および実質的に連続する空隙を有さない
    繊維含有緻密領域を有し、該緻密領域がスキン層間を連
    結するリブ構造を形成することを特徴とする繊維強化樹
    脂成形品。
  7. 【請求項7】繊維含有疎領域の空隙率が50〜90%
    で、繊維含有緻密領域の空隙率が0〜30%である請求
    項6記載の繊維強化樹脂成形品。
  8. 【請求項8】繊維がガラス繊維であり、繊維含有率が成
    形品の10〜70重量%で、平均繊維長が1〜20mm
    である請求項6または7記載の繊維強化樹脂成形品。
  9. 【請求項9】一体化された表皮材を有する請求項6〜8
    のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形品。
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