JP2000033628A - 軽量樹脂成形品およびその製造方法 - Google Patents

軽量樹脂成形品およびその製造方法

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JP2000033628A
JP2000033628A JP10201024A JP20102498A JP2000033628A JP 2000033628 A JP2000033628 A JP 2000033628A JP 10201024 A JP10201024 A JP 10201024A JP 20102498 A JP20102498 A JP 20102498A JP 2000033628 A JP2000033628 A JP 2000033628A
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fiber
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injected
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Manabu Nomura
学 野村
Toru Shima
徹 嶋
Jun Sato
佐藤  淳
Hiroshi Aida
宏史 合田
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    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
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    • B29C2045/1723Introducing an auxiliary fluid into the mould the fluid being introduced into the interior of the injected material which is still in a molten state, e.g. for producing hollow articles using fibre reinforcements

Abstract

(57)【要約】 【課題】中空部を有する大面積の成形品であっても剛
性、強度の低下がなく、外観良好で軽量化の制御範囲が
広く幅広い分野の成形品への適用ができる軽量樹脂成形
品を得る。 【解決手段】金型キャビティに対して進退可能なリブ形
成手段を有する成形金型を用い、金型キャビティに繊維
含有溶融熱可塑性樹脂を射出または射出圧縮し、次いで
金型キャビティの容積が拡大する方向に金型を後退さ
せ、後退の開始後に溶融樹脂にガスを注入することによ
り、繊維含有率が10〜70重量%の熱可塑性樹脂から
形成される中空成形品であって、中空部に補強リブ構造
を有する軽量樹脂成形品を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量樹脂成形品お
よびその製造方法に関し、詳しくは、軽量化されていな
がら、特に剛性、曲げ強度、衝撃強度、強度の均一性お
よび局部的な応力や捩じれに対する抵抗性にすぐれた特
性を有する軽量樹脂成形品およびその効率的な製造方法
に関する。
【0002】
【背景技術】従来より、ガラス繊維等の繊維を含有させ
ることで強化された繊維強化樹脂成形品が知られてい
る。この繊維強化樹脂成形品は、引張強度、曲げ強度な
どの機械的特性や耐熱性にすぐれているので、インパネ
コア、バンパービーム、ドアステップ、ルーフ・ラッ
ク、リア・クォターパネル、エアクリーナ・ケース等の
自動車部品、ラジオ、テレビ、ビデオなどの電気製品の
外箱、コンピューター、プリンター、複写機などのハウ
ジングや部品および外壁用パネル、間仕切壁用パネル、
棚板、ケーブル・トラフなどの家具・建築・土木用部材
等として広く利用されている。このような繊維強化樹脂
成形品を製造するにあたり、金型の内部に繊維を含んだ
溶融樹脂を射出する射出成形方法を利用することができ
る。この射出成形方法によれば、複雑な形状のものでも
成形できるうえ、所定の成形サイクルを連続して繰り返
すことが可能なため、同一形状のものを大量生産するこ
とができるというメリットがある。
【0003】射出成形で成形された繊維強化樹脂成形品
は、強度や剛性を向上させるために、繊維量を増やす
と、成形品の重量が増大するとともに、反り変形が大き
くなる傾向にあるので、重量軽減のために、原材料に発
泡剤を混入させ、成形品となる樹脂を発泡させながら成
形を行う発泡射出成形方法が提案されている(特開平7
−247679号公報等)。この発泡射出成形方法で
は、軽量化を達成するために、かなりの量の発泡剤を用
いても、充分な発泡倍率を得ることは容易でない。しか
も、充分な発泡倍率が得られたとしても、金型転写性は
甘く、成形品の外観が損なわれるばかりか、強度、剛性
などを充分確保できない場合がある。
【0004】これらの問題点を解消するものとして、強
度、剛性、耐衝撃性等の機械的特性や外観品質を維持し
つつ、軽量化を図るために、(1)比較的長い繊維を含
有した繊維強化樹脂ペレットを用い、繊維によるスプリ
ングバック現象を発生させて成形中の樹脂を膨張させ、
軽量成形品を得る膨張成形方法。(2)前記(1)にお
ける繊維強化ペレットに発泡剤を混入させ、この発泡剤
により樹脂の膨張を促進させ、さらに成形品の軽量化を
図る膨張成形方法が提案されている(国際公開97/2
9896号公報)。これらの方法によれば、機械的特性
を損なわずに、成形品の軽量化を充分達成できるので、
繊維強化樹脂成形品の軽量化を図るのに有効であるとい
える。
【0005】一方、樹脂成形品の軽量化成形方法とし
て、金型キャビティ内の溶融樹脂中への加圧流体の注入
と、移動金型を金型開放方向へ移動して、金型キャビテ
ィ容積を拡大して中空部を成形する方法がよく知られて
いる。しかし、この方法では、移動金型の後退時に、対
応する金型面の溶融樹脂同志が引っ張られて引き延ばさ
れ、更には、注入するガスの影響で両面から多数の不規
則な突起状物が形成される。この突起状物は、形状、位
置、サイズを制御することができず、リブとしての製品
設計に生かすことができないばかりか、成形品表面のヒ
ケや光沢ムラなど外観上からも問題となっている。
【0006】(3)この突起状物の形成を防止するため
に、溶融樹脂として、低発泡性熱可塑性樹脂を金型キャ
ビティに射出したあと、第一次のキャビティ容積の拡大
をしたあと、不活性加圧流体を圧入しながら金型キャビ
ティ容積の第二次拡大を行い中空部を形成する製造方法
が提案されている(特開平8−11151号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)、(2)に示した成形方法で得られた成形品も軽
量化(膨張)の程度、成形品の形状によっては、たとえ
ば面容積(成形品の面積)が大きい場合、あるいは軽量
化の程度が高く、たとえば、膨張率が2倍を越えるよう
な場合には、内部構造として、均一な空隙を持つ構造で
は、成形品の厚み方向の中央部では、密度が極端に低く
なり、曲げ変形、曲げ剛性に対して必ずしも十分寄与し
ない場合がある。また、(3)の製造方法では、突起状
物がなく、表面特性にすぐれた軽量成形品が得られるか
もしれないが、成形品の面積が比較的大きい場合には、
両表面部間の中空部分は、物性的にマイナスに作用し、
剛性、強度が確保できない場合が多くなる。さらに、発
泡性樹脂としては、かなりの量の発泡剤の添加が必要で
あり、成形品表面にシルバーストリークが発生する。ま
た、発泡を抑制するためには、溶融樹脂の射出時にカウ
ンタープレッシャー法で加圧する必要がある。したがっ
て、その使用分野は大きく制限されるものと考えられ
る。本発明の目的は、中空部を有する大面積の成形品で
あっても剛性、強度の低下がなく、外観良好で軽量化の
制御範囲が広く幅広い分野の成形品への適用ができる軽
量樹脂成形品およびその効率的な製造方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な状況下において、ガス注入射出成形方法における原料
樹脂と成形品、成形品の軽量化と成形品の内部構造と物
性について鋭意研究を重ねた。その結果、繊維を含有す
る成形品の好ましい内部構造は、空隙が中空部を形成せ
ず、実質的に均一に形成された場合である。しかしなが
ら、軽量化度の高い場合には、上記の構造を形成させる
ための成形条件などが非常に狭く、安定して上記構造を
得ることは難しい場合がある。したがって、成形状件な
どによっては、成形品内部、特に厚み方向中心部の密度
が著しく低くなり、十分な強度、剛性が得られなくな
る。このような軽量化度の高い成形品の場合には、成形
品の両表面部間に中空部を形成し、更に、両表面部間に
補強リブが形成させた構造の方が、工業的に安定して成
形できるとともに、剛性、強度的にもすぐれていること
を見出した。
【0009】また、リブ形成手段を有する成形金型を用
い、金型キャビティに、特定の繊維含有樹脂成形材料か
らなる繊維含有溶融熱可塑性樹脂を射出または射出圧縮
し、次いで金型キャビティの容積を拡大し、拡大開始後
に溶融樹脂にガスを注入するすることにより、剛性、強
度、外観にすぐれた軽量樹脂成形品が効率よく製造でき
ることを見出し、本発明を完成したものである。
【0010】すなわち、本発明は、 (1)繊維含有率が10〜70重量%の熱可塑性樹脂か
ら形成される中空成形品であって、中空部に補強リブ構
造を有する軽量樹脂成形品。 (2)中空部を含めた空隙率が、30〜95%である上
記(1)記載の軽量樹脂成形品。 (3)繊維がガラス繊維であり、平均繊維長が1〜20
mmである上記(1)又は(2)記載の軽量樹脂成形
品。 (4)リブ形成手段を有する成形金型を用い、金型キャ
ビティに平均繊維長が2〜50mmの繊維含有成形樹脂
原料からなる繊維含有溶融熱可塑性樹脂を射出または射
出圧縮し、次いで金型キャビティの容積を拡大し、拡大
開始後に溶融樹脂にガスを注入する10〜70重量%の
繊維含有熱可塑性樹脂から形成される中空成形品であっ
て、中空部に補強リブ構造を有する軽量樹脂成形品の製
造方法。 (5)リブ形成手段を有する成形金型が、リブ形成部分
を除いてキャビティを拡張可能な成形金型である上記
(4)記載の軽量樹脂成形品の製造方法。 (6)リブ形成手段を有するが、成形金型の対向面の少
なくとも一方に凹凸を有する成形金型である上記(4)
記載の軽量樹脂成形品の製造方法。 (7)繊維含有溶融熱可塑性樹脂が、全長が2〜50mm
であり、この全長と等しい長さを有し、互いに平行に配
列された状態にある繊維を20〜80重量%含有する繊
維含有熱可塑性樹脂ペレットまたは前記ペレットと他の
ペレットとの混合物で前記繊維が全体の10〜70重量
%とされたものを可塑化、溶融したものである上記
(4)〜(6)のいずれかに記載の軽量樹脂成形品の製
造方法、および (8)金型キャビティの拡大のための金型後退速度が1
〜200mm/秒である上記(4)〜(7)のいずれか
に記載の軽量樹脂成形品の製造方法を提供するものであ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の軽量樹脂成形品およびその製造方法につ
いて、製造方法の一例をもとに説明する。本発明の軽量
樹脂成形品の製造方法は、特定の成形樹脂原料からなる
繊維含有溶融熱可塑性樹脂を金型キャビティに射出充填
し、次いで金型キャビティ容積を拡大するとともに、溶
融樹脂中にガスを注入するに際し、リブ形成能を有する
構造の金型を用い、中空部に補強用のリブを形成するも
のである。すなわち、前記した、特開平8−11151
号公報では、発泡剤によって、金型拡大初期の膨張を意
図しているのに対して、本発明では、発泡剤を実質的に
用いることなく、含有繊維の絡み合いによるスプリング
バック現象による膨張により同様な効果を得るものであ
る。したがって、射出時の発泡剤の発泡による不良現象
や、カウンタープレッシャー法などの特別の設備を必要
としない。しかも、含有繊維による補強効果に加えて、
中空部にリブ構造を形成するので、剛性、強度を格段に
高めることができる。
【0012】本発明の軽量樹脂成形品の製造方法は、金
型キャビティの拡大に対応して、ガス注入により、溶融
樹脂を膨張させて、中空部を形成することにより、成形
品を軽量化するものである。この軽量化は、成形品全体
としての重量は、成形金型の溶融樹脂充填時のキャビテ
ィ容積により、固定されるものであるが、リブ構造を持
つ中空成形品として、その形状効果により、同一重量で
ありながら、はるかに高い、剛性、強度をもつこととな
り、たとえば、自動車の軽量化、省資源化に寄与できる
ものである。
【0013】本発明者らは、繊維含有樹脂のスプリング
バック現象を利用した軽量樹脂成形品の製造方法につい
ては、前記したように、すでに提案している。この方法
の特長は、成形品の全体が、繊維含有樹脂の膨張構造を
とるところにある。しかし、膨張倍率が高くなると、成
形品の内部、特に厚み方向中心部の密度が非常に低くな
り、場合によっては、発明の特長が十分に生かされない
場合が考えられる。本発明の軽量樹脂成形品の製造方法
は、繊維含有樹脂の膨張特性を、金型キャビティの拡大
の初期段階に用い、軽量化のための膨張による中空部の
形成は実質的には、注入ガスにより行うものである。し
たがって、成形品での繊維含有樹脂部分は、必ずしも、
膨張した構造をとることを必要としない。しかし、適度
の膨張構造をとることを、当然含むものである。この含
有繊維は、補強効果に寄与するのみでなく、後述するリ
ブ構造の形成にも寄与するものと考えられる。
【0014】本発明で、成形品として、中空構造を形成
するため、すなわち、全体的に膨張させることなく、選
択的に中空構造を形成させる手段としては、繊維含有樹
脂が金型キャビティの拡大により膨張を開始する、初期
段階からガスの注入を開始すること、さらには、金型キ
ャビティの拡大の速度を早めること、ガスの注入速度を
早め、且つガス流量を増大させることなどより達成され
る。したがって、成形原料の選択、成形条件の選定によ
り、軽量化の程度を任意に制御できるとともに、繊維含
有樹脂部の膨張の程度についても、制御できる。
【0015】上記方法により、軽量化は可能であるが、
中空部は単に軽量化の効果のみであり、特に、膨張の程
度が3倍以上の成形品では、剛性、強度の点で、実使用
に耐えないものとなる。むしろ、3倍以下では、中空部
の形成よりも、全体的に中実の膨張構造(空隙分散)を
とることが好ましい。したがって、本発明では、中空部
にリブ構造を形成する必要がある。リブ構造を形成する
ための、金型構造としては特に制限はなく、成形品の形
状などを考慮して、任意の手段を採用できる。以下リブ
構造を形成する製造方法の一例について説明する。
【0016】第1例は、金型キャビティ容積の拡大をキ
ャビティに対して進退可能なキャビティ形成面を複数有
する移動金型(中子)を用いて行うものである。ここに
おいて、移動金型(中子)の形状として、単純形状、す
なわちキャビティに対し、平面状の単一移動金型を用い
た場合では、ほぼ均一厚みの中空部を有する平面構造の
成形品となる。この場合、金型キャビティの表面部分は
冷却され非膨張のスキン層が形成され、軽量化にも関わ
らず、高い強度と剛性をもつ樹脂成形品となる。しか
し、この厚み方向のスキン層/中空層/スキン層からな
る三層構造では、面容積が大きい場合には剛性が不足
し、局部的な応力や捩じれに対する抵抗力も不十分な場
合がある。
【0017】本発明ではこれらの問題点を解消するため
に、両表面のスキン層を繊維含有樹脂からなる補強リブ
で結合するものである。これを達成するために、本発明
の上記の製造方法では、金型キャビティに対して進退可
能なキャビティ形成面を複数有する(複数の移動部をも
つ)移動金型を設けた金型で、移動金型のキャビティ形
成面がクリアランスを残した突出位置にある金型キャビ
ティに特定の成形樹脂原料からなる繊維含有溶融熱可塑
性樹脂を射出し、次いで金型のキャビティの容積が拡大
する方向に移動金型を後退させるものである。
【0018】キャビティ形成面を構成する複数の移動部
(中子)の形状や個数は、成形品の大きさ、要求特性な
どにより適宜決定される。また、複数の移動部の突出状
態も同様に適宜決定されるが、一般的には、対向する金
型面との間に、成形品の膨張倍率を考慮した適度のクリ
アランスを持った位置とされる。また、金型キャビティ
の拡大開始後、窒素などのガスをキャビティ内の繊維含
有溶融樹脂に注入する。これにより、繊維含有溶融樹脂
の膨張により、キャビティ拡大初期膨張が、ガス注入の
力に優先することにより、スムースな膨張の開始が図ら
れ、注入ガスにより良好な中空部が形成される。特に、
予め、成形品の外周部と中央部は、樹脂の充填時と成形
品のキャビティが同じであり、移動型の後退部分に容易
にガスが注入され、中空部の形成が確実となるととも
に、明確なリブが確実に形成される。注入されたガス
は、中空部の容積の拡大を図るとともに、繊維含有溶融
樹脂を金型成形面に向かって押圧することになり、樹脂
が金型面に密着した状態で冷却されるので成形品の表面
にヒケが生じない。また、このガスを金型内に流通させ
れば成形品の冷却が促進され成形サイクルが向上する、
この際に、揮発性の水などの液体を同伴させると、より
冷却効果がよくなる。
【0019】つぎに、本発明の好適な製造方法は、成形
原料樹脂として、平均繊維長が2〜50mm、繊維含有
率が10〜70重量%である繊維含有熱可塑性樹脂を用
いる。特に、繊維含有熱可塑性樹脂が全長が2〜50mm
であり、この全長と等しい長さを有し、互いに平行に配
列された状態にある繊維を20〜80重量%含有する繊
維含有熱可塑性樹脂ペレットと他のペレットとの混合物
で前記繊維が全体の10〜70重量%とされたものであ
る成形原料を用いることが好ましい。ここで、他のペレ
ットとしては、通常は熱可塑性樹脂、またはこれに各種
添加剤を含むものであるが、たとえばガラス繊維などを
溶融混練して得られるペレットであってもよい。この成
形原料の選択によって、スプリングバック現象がより良
く発現する。しかし、本発明では、前記したように、中
空部形成のための膨張は実質的には、ガスの注入により
行うものであり、含有繊維は初期の膨張に寄与すればよ
い。したがって、その膨張程度は、ガスを用いない場合
のようには必要ない。
【0020】本発明において、軽量樹脂成形品にリブを
形成する、成形金型手段としては、軽量樹脂成形品の膨
張倍率が比較的大きい場合など、必ずしも、緻密な構造
のリブである必要が無い場合も多い。この場合は、中空
部のみならず、リブ部も膨張による空隙を有する軽量構
造となるため、より軽量な成形品が得られることにな
る。したがって、リブ部を形成するための手段として
は、中空部にリブが形成されるように成形金型を設計す
ることによっても達成される。たとえば、固定金型ある
いは可動金型面の少なくとも一方に、凸部を形成する方
法がある。この方法では、凸部の冷却が他の一般部より
早く、溶融粘度が上昇し、膨張が妨げられることにな
る。他方、凹部を形成する場合は、凸部の場合と同様な
効果に加えて、該当部分の樹脂量が多くなり、ともにリ
ブ相当部分を形成することができる。また、リブの形成
位置、形状としては、直線状、格子状、独立状のものな
ど任意でり、軽量樹脂成形品の製品設計より適宜選定す
ることができる。
【0021】また、ガス注入による中空部の形成は、前
記のようにガス注入の条件の選定によっても制御可能で
あるが、キャビティの拡大速度、すなわち、可動金型、
移動金型の後退速度の制御によっても可能である。後退
速度としては、1〜200mm/秒の範囲であり、好ま
しくは2〜100mmの範囲であり、他の条件にもよる
が、比較的早くすることが中空部の選択的な形成に寄与
する。
【0022】本発明の軽量樹脂成形品は、繊維含有率が
10〜70重量%、好ましくは15〜60重量%であ
る。10重量%未満では、膨張性、強度、剛性、耐熱性
が十分でなく、70重量%越えると溶融時の流動性が低
下し、外観不良の発生、膨張性、成形性が低下する場合
がある。この繊維含有熱可塑性樹脂から形成される中空
成形品であって、中空部に補強リブ構造を有するもので
ある。また、その軽量化は、含有する繊維の種類や含有
量、目的とする製品の要求特性によっても異なるが、中
空部を含めた空隙率が、30〜95%の範囲、好ましく
は40〜90%の範囲ものである。繊維としては、ガラ
ス繊維が好ましく、成形品中の平均繊維長は1〜20m
m、特に、2〜15mmである。ここで1mm未満で
は、繊維の絡み合いが不十分となり、膨張性が不足する
とともに、強度、剛性、耐衝撃性の点でも好ましくな
い。また、20mmを越えると分散性が十分でないとと
もに、溶融時の流動性が不十分となり、成形品の薄肉部
や末端部に樹脂が流れにくくなり、成形不良が発生する
場合がある。
【0023】本発明に用いられる熱可塑性樹脂として
は、特に、制限はないが、例えば、ポリプロピレン、プ
ロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エ
チレンランダム共重合体、ポリエチレン等のポリオレフ
ィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩
化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
ポリ芳香族エーテルまたはチオエーテル系樹脂、ポリ芳
香族エステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびアクリ
レート系樹脂等が採用できる。ここで、上記熱可塑性樹
脂は、単独で用いることがもできるが、二種類以上を組
み合わせて用いてもよい。
【0024】このような熱可塑性樹脂のうち、ポリプロ
ピレン、プロピレンと他のオレフィンとのブロック共重
合体、ランダム共重合体、あるいは、これらの混合物な
どのポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂が好まし
く、特に、不飽和カルボン酸、または、その誘導体で変
性された酸変性ポリオレフィン系樹脂を含有するポリプ
ロピレン系樹脂が好適である。また、これら熱可塑性樹
脂には、各種エラストマーなどの耐衝撃性改良剤、安定
剤、帯電防止剤、耐候剤、着色剤、短繊維、タルク等の
充填剤を必要に応じて加えることもできる。なお、必要
により、発泡剤などのガス発生剤を少量添加しいもよ
い。
【0025】また、繊維としては、セラミック繊維:ボ
ロン繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チッ化ケイ
素繊維、ジルコニア繊維、無機繊維:ガラス繊維、炭素
繊維、金属繊維:銅繊維、黄銅繊維、鋼繊維、ステンレ
ス繊維、アルミニウム繊維、アルミニウム合金繊維、有
機繊維:ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアリ
レート繊維などを例示できる。
【0026】さらに、繊維含有成形樹脂原料としては、
前記したように全長が2〜50mmであり、この全長と等
しい長さを有し、互いに平行に配列された状態にある繊
維を20〜80重量%含有する繊維含有熱可塑性樹脂ペ
レットまたは前記ペレットと他のペレットとの混合物で
前記繊維が全体の10〜70重量%とされた成形樹脂材
料であることが好ましい。繊維が互いに平行に配列され
た状態となって全体の20〜80重量%含有されたペレ
ットを用いれば、射出装置のスクリューで可塑化、溶
融、混練を行っても、繊維の破断が起こりにくく、また
分散性も良好となる。これにより、キャビティ中の繊維
含有溶融樹脂のスプリングバック現象が良好になるとと
もに、最終成形品中に残存する繊維長が長くなり、物性
の向上、表面外観が向上する。なお、射出成形機の可塑
化スクリューとしては、圧縮比の比較的低いタイプの使
用が、繊維の破断を抑制する点で好ましい。
【0027】ここで、ガラス繊維としては、E−ガラ
ス、S−ガラスなどのガラス繊維であって、その平均繊
維径が25μm以下のもの、好ましくは3〜20μmの
範囲のものが好ましく採用できる。ガラス繊維の径が3
μm未満であると、ペレット製造時にガラス繊維が樹脂
になじまず、樹脂に含浸するのが困難となる一方、20
μmを超えると、外観が低下するとともに、リブなどの
細部に繊維が流れ難くなるとともに、溶融混練時に切
断、欠損が起こりやすくなる。これらの熱可塑性樹脂お
よびガラス繊維を用い、引き抜き成形法等でペレットを
製造するにあたり、ガラス繊維は、カップリング剤で表
面処理した後、収束剤により、100〜10000本、
好ましくは、150〜5000本の範囲で束ねておくこ
とが望ましい。
【0028】カップリング剤としては、いわゆるシラン
系カップリング剤、チタン系カップリング剤として従来
からあるものの中から適宜選択することができる。例え
ば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメ
トキシシラン等のアミノシランやエポキシシランが採用
できる。特に、前記アミノ系シラン化合物を採用するの
が好ましい。
【0029】収束剤としては、例えば、ウレタン系、オ
レフィン系、アクリル系、ブタジエン系およびエポキシ
系等が採用でき、これらのうち、ウレタン系およびオレ
フィ系が好ましく採用できる。これらのうち、ウレタン
系収束剤は、通常、ジイソシアネート化合物と多価アル
コールとの重付加反応により得られるポリイソシアネー
トを50重量%以上の割合で含有するものであれば、油
変性型、湿気硬化型およびブロック型等の一液タイプ、
および、触媒硬化型およびポリオール硬化型等の二液タ
イプのいずれもが採用できる。一方、オレフィン系収束
剤としては、不飽和カルボン酸、または、その誘導体で
変性された変性ポリオレフィン系樹脂が採用できる。
【0030】上述のような収束剤で収束したガラス繊維
に熱可塑性樹脂を付着・含浸させることにより、ガラス
繊維を含有する樹脂ペレットが製造される。ガラス繊維
に熱可塑性樹脂を付着・含浸させる方法としては、例え
ば、溶融樹脂の中に繊維束を通し、繊維に樹脂を含浸さ
せる方法、コーティング用ダイに繊維束を通して含浸さ
せる方法、あるいは、ダイで繊維の周りに付着した溶融
樹脂を押し広げて繊維束に含浸させる方法等が採用でき
る。ここで、繊維束と樹脂とをよくなじませる、すなわ
ち濡れ性を向上するために、内周に凹凸部が設けられた
ダイの内部に、張力が加えられた繊維束を通して引き抜
くことで、溶融樹脂を繊維束に含浸させた後、さらに、
この繊維束を加圧ローラでプレスする工程が組み込まれ
た引抜成形法も採用できる。なお、ガラス繊維と溶融樹
脂とが互いによくなじむ、濡れ性のよいものであれば、
溶融樹脂がガラス繊維に容易に含浸され、ペレットの製
造が容易となるので、前述の収束剤で繊維を収束する工
程は、省略できる場合がある。ここで、互いによくなじ
ませる方法としては、樹脂に極性を付与したり、ガラス
繊維の表面にカップリング剤と反応する官能基をグラフ
トしたりする方法が有効である。
【0031】以上のような方法で、樹脂が含浸された長
尺繊維束(ストランド等)を、繊維の長手方向に沿って
切断していけば、ペレットの全長と同じ長さの長繊維を
含んだ樹脂ペレットを得ることができる。この際、樹脂
ペレットとしては、繊維束がストランドにされ、その断
面形状が略円形となった樹脂含有長尺繊維束を切断した
ものに限らず、繊維を平たく配列することにより、シー
ト状、テープ状またはバンド状になった樹脂含有長尺繊
維束を所定の長さに切断したものでもよい。
【0032】次に、キャビティ内の繊維含有溶融樹脂に
注入する前記ガスとしては、特に制限はなく、通常は室
温の窒素、アルゴンなどの不活性ガスが用いられる。な
お、冷却を早め、成形サイクルを向上するためには、温
度が15℃以下、好ましくは、0℃以下の冷却用ガスを
採用することもできる。さらに、前記ガスは、前記溶融
樹脂を可塑化して射出する射出装置のノズルの内部に設
けられたガスノズル、または、前記金型の内部に設けら
れたスプル、ランナおよびキャビティのいずれかに開口
されるガスピンから、繊維含有溶融樹脂の内部へ注入す
ることができる。これらのなかでも、金型に設けられた
ガスピン、特に、キャビティに開口されたガスピンか
ら、リブ形成部を避けて注入するのが好ましい。なお、
ガスピンはキャビテイ内に進退に設けることも出来る。
【0033】また、前記ガスの圧力としては、0.1〜
30MPaの範囲、特に、1〜20MPaの範囲に設定
されていることが好ましい。すなわち、注入するガスの
圧力値は、成形品の大きさ、形状および膨張倍率、なら
びに、溶融樹脂の流動性、粘度および含有繊維量、さら
には、金型のゲート形状等に応じて設定するものであ
る。ここで比較的低圧でもガス注入が可能な理由は、金
型キャビテイの拡大開始後になされること、繊維のスプ
リングバック現象を利用して、予め樹脂が膨張したとこ
ろに注入されるためである。したがって、溶融樹脂の表
面と金型成形面との間にガスが漏れたり、シルバーマー
クストリーク等の外観上の不具合が発生する可能性が低
くなる。また成形品の冷却行程において、ガスを流通排
出させて賦形後の樹脂を短時間で冷却することもでき
る。
【0034】さらに、前記金型には、成形品の表面を被
覆一体化するための表皮材を、成形前に予め装着させる
ことができる。このように、予め成形前に表皮材が装着
された金型を用いれば、表面が表皮材で被覆された軽量
樹脂積層成形品が得られるようになる。ここで、表皮材
としては、織布や不織布等の布、熱可塑性樹脂シート、
フイルム、熱可塑性樹脂の発泡シート、および、模様等
が印刷されたフィルム等の単層材、ならびに、熱可塑性
エラストマーや塩化ビニル樹脂等の表皮材に、熱可塑性
樹脂や熱可塑性樹脂の発泡体シート等からまる裏地材を
裏打ちした多層材が採用できる。なお、表皮材は成形品
に全面被覆することもできるし、部分被覆することもで
きる。
【0035】本発明製造方法にあっては、金型キャビテ
ィへの繊維含有溶融熱可塑性樹脂の射出は一般の射出成
形の方法が採用される。また、射出時のキャビティクリ
アランス、繊維含有量などによる溶融流動性、成形品の
サイズ(溶融樹脂の流動長さ)、樹脂配向の防止などの
場合には、金型キャビティを満たすには不十分な樹脂を
射出し、次いで、可動金型、移動金型などを前進して溶
融樹脂を圧縮し、完全充填する射出圧縮成形方法を採用
することもできる。なあ、表皮一体の成形方法にあって
は射出圧縮成形方法の採用が好ましい場合がある。
【0036】以下に本発明の実施の態様を図面に基づい
て説明する。図1は、本発明の軽量樹脂成形品の製造方
法の第1実施態様を概念的に示す。図2は、本発明の軽
量樹脂成形品の製造方法の第2実施態様を概念的に示
す。各図において、1は固定金型、2は可動金型、3は
移動金型、4は移動金型突出部、5は金型キャビティ、
6はスプルー、7、8はガス注入口、9は軽量樹脂成形
品、10は軽量樹脂成形品各部である。各図において、
(A)は、繊維含有溶融樹脂を射出し、射出成形金型の
容積を拡大する前の状態を示し、(B)は射出成形金型
の容積を拡大した後の状態を示す。
【0037】図1に示す本発明の第1実施態様での本発
明の軽量樹脂成形品の製造方法は、まず、固定金型1と
可動金型2を型締めし、さらに複数の突出部を有する移
動金型3をキャビティ5の中に突出させて、射出時の金
型キャビティ容積を決定する。この場合に移動金型の突
出部の先端突出位置は成形品の厚み方向に対して、クリ
アランスD1になるようにする。このクリアランスD1
や移動金型(突出部)の形状は、最終成形品の形状や軽
量化の程度などにより適宜決定することができる。この
状態のキャビティ5に対して、繊維含有溶融熱可塑性樹
脂が図示しない可塑化装置のノズルからスプルー6を介
して射出、充填され、射出樹脂圧によって金型面が確実
に転写される。射出された溶融樹脂は、金型との接触部
分から冷却が始まる。ついで、移動金型3の後退を開始
するとともに、ガス注入口7、8より窒素ガスを注入し
ながら、図1(B)に示すように、D2の位置、すなわ
ち、最終成形品となるキャビティ容積になるように拡大
する。
【0038】この移動金型3の後退によって、溶融状態
の繊維含有熱可塑性樹脂は、含まれる繊維の絡み合いに
よる、復元性によって、初期の膨張を生じる。ついで、
この膨張した、特に移動金型が後退する部分に選択的に
ガスが注入され、中空部が形成され、中空部に補強リブ
を有する最終成形品の形状になり、ガス圧によって金型
壁面に押しつけられ賦形される。ここで、移動金型の後
退は、1〜200mm/秒、好ましくは2〜100の範
囲で後退する。冷却後に、ガスが抜かれ、金型が開放さ
れて、軽量樹脂成形品が取り出される。本発明では、金
型の厚み方向に於いて、金型外周部以外の、例えば中央
部分に複数の移動部を有する移動金型をキャビティ内に
突出して溶融樹脂の射出を行い、外周部以外の一般部分
である平面構造を成形する部分においても、樹脂の冷却
を行うものである。ついで、移動金型を後退させ、ガス
を注入して溶融樹脂を膨張させ、中空部を形成する。こ
の金型での冷却による溶融樹脂の温度低下により溶融粘
度が上昇し、この領域を実質的に膨張できないようにし
たり、あるいは、膨張してもその程度を低くするもので
ある。
【0039】これにより、軽量樹脂成形品は中空部10
cとともに、成形品の外周部10aのみでなく、中央部
分にも繊維含有樹脂の緻密な領域、すなわち、補強リブ
10bが形成される。また、、ガス注入口の一方に調整
弁を設けて、ガス出口とし、ガス排出口の圧力をある圧
力に保ちながら、排出してガスを流通することで、成形
品の冷却を促進することもできる。
【0040】図2に示す、本発明の第2実施態様での軽
量樹脂成形品の他の製造方法は、まず、固定金型1と可
動金型2を型締めして、射出時のキャビティ容積を決定
する。この場合に可動金型2の固定金型1の主要部に対
する位置は成形品の厚み方向に対して、クリアランスD
1になるようにする。本実施態様の特長は、固定金型1
の金型面に凹状部11が形成されている点にある。ま
た、ガス注入ノズルは、この凹状部を避けて設けられて
いる。このクリアランスD1や凹状部の形状は、最終成
形品の形状や軽量化の程度などにより適宜決定すること
ができる。この状態のキャビティ5に対して、繊維含有
溶融熱可塑性樹脂が図示しない可塑化装置のノズルから
スプルー6を介して射出、充填され、射出樹脂圧によっ
て金型面が確実に転写される。
【0041】射出された溶融樹脂は、金型との接触部分
から冷却が始まる。この際、溶融樹脂の冷却は、金型面
の凹状部において選択的に始まり、ついで、可動金型2
の後退を開始するとともに、ガス注入口7、8の先端注
入しながら、図2(B)に示すように、D2の位置、す
なわち、最終成形品となる位置まで、キャビティ容積を
拡大する。この可動金型3の後退によって、溶融状態の
繊維含有熱可塑性樹脂は、含まれる繊維の絡み合いによ
る、復元性によって、初期の膨張を生じる。ついで、こ
の膨張した、特に、溶融粘度の低い部分にガスが選択的
に注入されるとともに、溶融樹脂の膨張の程度が低い時
点により、ガスが注入されることにより、注入部におい
て、ガスは中空部の形成に寄与する。その結果、中空部
に挟まれた部分に補強リブ構造が形成される。金型表面
の凹状部の形状に応じて形成される、中空部内に形成さ
れる低膨張領域ないし未膨張領域からなる補強リブは、
成形品の形状にもよるが、独立した線状、連続した線
状、格子状など任意である。かお、図2では、金型表面
に凹状部を形成して、対応部分の冷却を早めるととも
に、リブ形成部の樹脂量が増大する場合を示したが、他
の例としては、凸状部を形成してリブを形成する手段な
ど他の方法を採用することもできる。
【0042】次に、本発明の軽量樹脂成形品は、繊維含
有量が10〜70重量%の熱可塑性樹脂であり、中空部
を有し、中空部に補強リブ構造を有するものである。こ
こで中空部としては、補強リブ構造により、隔離された
複数の中空部であってもよいし、中空部の複数のリブが
分布している構造でもよい。本発明の軽量樹脂成形品
は、中空部以外の繊維含有樹脂で構成される本体部分に
あっても、繊維含有による膨張性をそれ自体で有するも
のであり、成形品によっては、中空部を除いた本体部分
にも微細な空隙部分を含む場合がある。したがって、本
発明の軽量樹脂成形品の軽量化の程度の指標としては、
中空部を含めた全体の空隙率、すなすわち、樹脂充填、
充満時の金型キャビティ容積と、最終成形品となる拡大
完了時の金型キャビティの容積への拡大膨張の程度で近
似的に表すことができる。成形品中の繊維としては、ガ
ラス繊維が好ましく、その平均繊維長が1〜20mmの
範囲のものが好ましい。
【0043】本発明の軽量樹脂成形品としては、インパ
ネコア、バンパービーム、ドアパネル、ドアステップ、
ルーフ・ラック、リア・クォターパネル、エアクリーナ
・ケース、各種ピラー類、天井材、エンジンカバー等の
自動車部品、ラジオ、テレビ、ビデオなどの電気製品の
外箱、コンピューター、プリンター、複写機などのハウ
ジングや部品および外壁用パネル、間仕切壁用パネル、
棚板、ケーブル・トラフなどの家具・建築・土木用部材
等としてその巾広い応用展開が期待される。
【0044】
【実施例】次に、本発明の効果を具体的な実施例に基づ
いて説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限
定されるものではない。 実施例1 ガラス繊維(13μm)が平行に配列し、その含有量が
75重量%、長さが12mmであるガラス繊維強化ポリ
プロピレンペレット(無水マレイン酸変性ポリプロピレ
ンを3重量%含有)60重量%とメルトインデックス
(MI:230℃、2.16kg荷重)が30g/10
分のポリプロピレンペレット40重量%をドライブレン
ドして成形樹脂原料とした。射出成形機は、型締力:8
50t、ガラス繊維の破断を少なくするために圧縮比:
1.9のスクリューを用いた。成形金型として図1
(A)に示すように、移動金型3の突出部4がキャビテ
ィ5の内部に突出した状態(固定金型と移動金型の突出
部のクリアランス(D1)は3mmとした。)で、金型
の位置決めを行った。図示しない射出ユニットで、成形
樹脂原料を、金型キャビティ容積に相当する容積となる
ように、溶融、可塑化、計量して射出、充填した。充填
完了の2秒後に移動金型3を、50mm/秒とかなり早
い速度で後退を開始し、後退開始後、溶融樹脂内部に二
箇所のガスピンより15MPaの窒素ガス(ガス流量2
リットル/秒)を注入した。後退は、図1(B)に示す
ような最終成形品となる位置(D2:12mm)までと
し、冷却後、ガス抜きを行い、可動金型2を型開きして
軽量樹脂成形品を取り出した。
【0045】得られた軽量樹脂成形品は、ヒケがなく、
平滑性も良好であった。中空部と微細な空隙を合わせた
空隙率はおよそ85%であった。また、軽量樹脂成形品
を切り出して成形品の内部構造を調べたところ、成形品
のうち移動型3が後退した領域には中空部が形成されて
いた。また、外周部の内側および樹脂射出時に移動金型
の突出部で形成されていたキャビティである中央部分は
空隙率の低いかなり緻密な部分からなり、実質補強リブ
としての機能を有しており、製品剛性にすぐれていた。
なお、ガスの注入を行わない場合は、最終成形品の厚み
のものが得られず、ヒケにより平面平滑性の劣るもので
あった。
【0046】実施例2 ガラス繊維(13μm)が平行に配列し、その含有量が
60重量%、長さが12mmであるガラス繊維強化ポリ
アミド樹脂(6,6ナイロン)70重量%とポリアミド
樹脂(6,6ナイロン)30重量%をドライブレンドし
たものを成形用原料とした。射出成形機は、型締力:8
50t、ガラス繊維の破断を少なくするために圧縮比:
1.9のスクリューを用いた。成形金型として図2
(A)に示すように、固定金型1の金型面に線状の凹状
部11を2本有する金型を用いた。可動金型2を前進さ
せて、キャビティ5のクリアランス(D1)が4mmと
なるように、金型の位置決めを行った。図示しない射出
ユニットで、成形用原料を、金型キャビティ容積に相当
する容積となるように、溶融、可塑化、計量して射出、
充填した。充填完了の1秒後に可動金型2を、30mm
/秒とかなり早い速度で後退を開始し、後退開始後、溶
融樹脂内部に3箇所のガスピンより15MPaの窒素ガ
ス(ガス流量:2リットル/秒)を注入した。後退は、
図2(B)に示すような最終成形品となる位置(D2:
20mm)までとし、冷却後、ガス抜きを行い、可動金
型2を型開きして軽量樹脂成形品を取り出した。
【0047】得られた軽量樹脂成形品は、ヒケがなく、
平滑性も良好であった。中空部と微細な空隙を合わせた
空隙率はおよそ79%であった。また、軽量樹脂成形品
を切り出して成形品の内部構造を調べたところ、成形品
のうち移動型3が後退した領域には中空部が形成されて
いた。また、外周部の内側および樹脂射出時に移動金型
の突出部で形成されていたキャビティである中央部分は
空隙率の低いかなり緻密な部分からなり、実質補強リブ
としての機能を有しており、製品剛性にすぐれていた。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、平面構造の成形品で、
面容積が大きく、膨張倍率が高い場合であっても、中空
部と比較的密度の高い、繊維含有樹脂からなる補強リブ
構造の効果により曲げ強度、剛性、耐熱性にすぐれ、し
かも局部的な応力や捩じれに対しても十分耐え、均質性
にすぐれるとともに、ヒケや波打ちなどがなく表面平滑
性にすぐれる軽量樹脂成形品が得られる。またその製造
方法にあっては、軽量化の程度を任意に制御できるとと
もに、軽量化率の高い成形品にあってもすぐれた強度特
性と表面性を維持できるとともに、冷却時間の短縮、成
形サイクルの短縮により生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施態様の概念図であり、(A)
は射出成形金型の容積を拡大する前の状態であり、
(B)は拡大後の状態である。
【図2】本発明の第2実施態様である表皮一体成形の概
念図であり、(A)は射出成形金型の容積を拡大する前
の状態であり、(B)は拡大後の状態である。
【符号の説明】
1:固定金型 2:可動金型 3:移動金型 4:移動金型突出部 5:金型キャビティ 6:フプルー 7:ガス注入口 8:ガス注入口 9:軽量樹脂成形品 10:成形品各部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F206 AB25 AG06 AG28 AR08 JA07 JF01 JM04 JN13 JN27 JQ81

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維含有率が10〜70重量%の熱可塑性
    樹脂から形成される中空成形品であって、中空部に補強
    リブ構造を有する軽量樹脂成形品。
  2. 【請求項2】中空部を含めた空隙率が、30〜95%で
    ある請求項1記載の軽量樹脂成形品。
  3. 【請求項3】繊維がガラス繊維であり、平均繊維長が1
    〜20mmである請求項1または2記載の軽量樹脂成形
    品。
  4. 【請求項4】リブ形成手段を有する成形金型を用い、金
    型キャビティに平均繊維長が2〜50mmの繊維含有成
    形樹脂原料からなる繊維含有溶融熱可塑性樹脂を射出ま
    たは射出圧縮し、次いで金型キャビティの容積を拡大
    し、拡大開始後に溶融樹脂にガスを注入する10〜70
    重量%の繊維含有熱可塑性樹脂から形成される中空成形
    品であって、中空部に補強リブ構造を有する軽量樹脂成
    形品の製造方法。
  5. 【請求項5】リブ形成手段を有する成形金型が、リブ形
    成部分を除いてキャビティを拡張可能な成形金型である
    請求項4記載の軽量樹脂成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】リブ形成手段を有する成形金型が、成形金
    型の対向面の少なくとも一方に凹凸を有する成形金型で
    ある請求項4記載の軽量樹脂成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】繊維含有溶融熱可塑性樹脂が、全長が2〜
    50mmであり、この全長と等しい長さを有し、互いに平
    行に配列された状態にある繊維を20〜80重量%含有
    する繊維含有熱可塑性樹脂ペレットまたは前記ペレット
    と他のペレットとの混合物で前記繊維が全体の10〜7
    0重量%とされたものを可塑化、溶融したものである請
    求項4〜6のいずれかに記載の軽量樹脂成形品の製造方
    法。
  8. 【請求項8】金型キャビティ拡大のための金型後退速度
    が1〜200mm/秒である請求項4〜7のいずれかに
    記載の繊維強化軽量樹脂成形品の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007030183A (ja) * 2005-07-22 2007-02-08 Daikyoo Nishikawa Kk 樹脂成形体及びその製造方法並びに自動車のドア
KR20140035945A (ko) * 2011-05-20 2014-03-24 우베 고산 기카이 가부시키가이샤 사출 성형방법
KR101537762B1 (ko) * 2015-02-04 2015-07-17 주식회사 씨엠산업 복합소재 인발 패널 및 그것을 이용한 구조물 시공방법

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